【翻訳】ガンスリンガーじゃない、スペルスリンガーさ/Spellslinging【Daily MTG】
Tom LaPille
2011年03月04日
元記事:http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/ld/132

 ウィザーズ社の開発者たちは自身のゲームを皆に楽しくプレイしてもらうために努力している。そのため、私たちは皆マジックのプレイヤーではあるが、君たちがマジックのプレイヤーであることとは少し違うところがある。

 何が言いたいかと言うと、私たちはほとんどの時間をどうやったらゲームを最大限に楽しめるかを推し量るために用いているところは同じだが、私たちは「私たちではない皆が楽しめるかについて」を知識と経験に基づいて推し量っているのだ。

 どうやったらマジックをもっと面白くできるか、に縛られていない時間の使い道の1つは、大きなマジックの大会(例えばプロツアーやプレリリース)へと足を運び、そこでテーブルに腰を据えてマジックというゲームへの参加者である全員に対し、相手を問わず挑戦状を叩きつけているのだ。これは、古き時代には「ガンスリンガー(銃の名手)」(註1)と呼ばれていた。

 最近では、私たちはより正確な名でこれを呼んでいる。
 そう「スペルスリンガー(呪文の名人)」とね。
(註1) ガンスリンガー
 1人のプレイヤーが次々と相手を変えて対戦し続けること。有名プレイヤーがいて、その人の前に一般プレイヤーが列を作って、次々と対戦を申し込ませてもらう、というような感じ。場の雰囲気的にはサイン会に似ているかもしれない。


スペルスリンガーは非常に難しい企画である

 私たちと対戦する試合を対戦相手にも楽しんでもらいたい、と私たちは思っている。

 通常、私たちがスペルスリンガーを行っている際には多くの観戦者がいるため、私たちはその観戦している皆も同じく楽しんでもらえるよう最大限の努力をする。

 しかし、それを何時間にも渡って行わなければならないというのがスペルスリンガーの特徴的な点だ。自身がそれを面白いと思っていなければ、良いショーを演じ続けることは非常に難しい。よって私たち自身も楽しめているかどうかというのは非常に重要なことだ。

 ありがたいことに、私たちは他の人にも楽しんでもらえるような試合を作ることにはすでになかなかの腕を持っており、自身が観衆であればそれはさらに容易い仕事となる。

 今日は、私たちが長時間のスペルスリンガーのセッションのあいだ、自分たちを楽しませ続けるいくつかのテクニックについて、紹介したいと思う。もし君がありふれたマジックに飽きてきているように感じられたなら、これらのテクニックのどれかを試してみてもいいかもしれない。


新しいカードを見せびらかしてみる

 私たちがプレリリースで楽しむために最も効果的な手段の1つは、新しいカードをプレイすることだ。

 これらのトーナメントに訪れる人々のスタンダードデッキにまだ新しいカードが入っていないことを私たちは知っており、それは不公平なアドバンテージにつながってしまう可能性がある。通常、人々は気にしない。なぜなら彼らは新しいカードが使われるのを見ることに興味津々だからだ。

 初日からFFL(註2)で最強だったデッキをこれみよがしに披露することはないが、一般のコミュニティが何らかの理由をつけて、ことさらに嫌うカードがしばしばあることを私たちは知っている。
(註2) FFL
 Future Future Leagueの略。発売前にその新セットのカードを使ったデッキを開発部内で戦わせてバランスを確認するリーグ。

 例えば《激戦の戦域/Contested War Zone》はあまり多くの人々を早い段階で熱狂させるようなことはなかった。これは分からないでもない、なぜならこのカードはかなり変なカードだからだ。しかし私たちはこれが十分に強いことを知っていた。

 開発部の同僚であるZak Hillは《激戦の戦域/Contested War Zone》を充填させた赤単カルドーサの再誕デッキをプレリリースに持っていく彼のデッキとして選んだ。報告によるとそのデッキは手軽に楽しめ、新しいカードをプレイしつつも良いショーを上演することができ、かつしばしば無防備な相手を4ターン目キルしたとのことだった。

 それ以外で、特定のカードが不必要に数ヶ月も敬遠される例もある。

 最近起きた例では《霜のタイタン/Frost Titan》だ。このクリーチャーはコミュニティの人々に間違いなく最も弱いタイタンだと揶揄されていた。私はこの評価を不当なものと感じたため、その後、いつでも機会があれば喜んで人々をタイタンで凍らせていた。

 勝利より敗北のほうがつまらないことは確かだが、人々は、同じ敗北なら目新しく予想外の角度から訪れるもののほうが楽しめるものだ、ということを私は発見した。不当に低く評価されているカードをプレイする、というのは皆を楽しませ続ける手段として私たちがとる中でも特に素敵なものだ。


お遊びの要素の入ったデッキを使う

 見せびらかせる新しいセットがないときであっても、今まで誰も見たことのないようなデッキをプレイすることは可能だ。

 私自身はそういったデッキを作れる職人ではないが、ここにはそういったメンバーがたくさんおり、そんな彼らがスペルスリンガーの卓の近くにいるときには、いつでもすぐに彼らのデッキを借りることにしている。

 今年の夏に行われたプロツアー・サンファンで私はいくつかのそういったデッキをプレイすることができた。また、そこでは、常なる発明の才をあふれ殿堂入りもしているアラン・カマーが、スペルスリンガーにゲストとして参加してくれた。

 彼は、いとも容易くお遊びの要素の入った最高のデッキを持ち込んできた。それは《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》の入った「青黒《地獄彫りの悪魔》デッキ」だった。
Hellcarver Demon / 地獄彫りの悪魔 (3)(黒)(黒)(黒)
クリーチャー - デーモン(Demon)
飛行
地獄彫りの悪魔がいずれかのプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、あなたがコントロールする他のすべてのパーマネントを生け贄に捧げ、あなたの手札を捨てる。あなたのライブラリーの一番上から6枚のカードを追放する。あなたはこれにより追放された土地でないカードを、望む枚数だけそれらのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。
6/6
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Hellcarver+Demon/

 このデッキの目的は、もちろん対戦相手を《地獄彫りの悪魔/Hellcarver Demon》で殴りつけ、手に入れた《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》を唱えて相手を倒すことにある。

 それが目的ではあったが、ときどきは、4枚入っている《時間のねじれ/Time Warp》をまず1発撃ってから、次のターンにエムラクールにお出まし頂く、ということもあった。

 私が《地獄彫りの悪魔/Hellcarver Demon》を呼び出すのを見た対戦相手は誰も彼もが、一体全体何が起きるんだ、と怪訝な顔を浮かべ、私はそれで攻撃を成功させるたびに、デッキの上から1枚ずつ公開するという最高の瞬間を享受できた。

 スペルスリンガーで今までに最も楽しかった出来事の1つだ。

 普段のデッキ構築はこのように行われているわけではないが、次にイベントへ行く際には、クレイジーなデッキを作るのが得意な人たちにいくつかデッキの構築をお願いしてみようと画策している。


最善から1歩引いたデッキをプレイする

 スペルスリンガーで私たちが最強のデッキをプレイしない、というこの話を君たちにするのは決して論争の種をばらまきたいからではない。私たちにとってそれは現実的な譲歩にすぎないのだ。

 Mike Turian、Matt Place、Erik Lauer、Zac Hill、そしてDave Humpherysは、一度はプロツアーのトップ8に上り詰めたことがあるメンバーだ。私自身はそれを成し遂げたことがない。つまり、開発部の中心で1年半過ごしてきたという幸せを、最小限の競技マジックにおける実績で実現させたということだ。

 そうではあるが、私は少なくともグランプリのトップ8、グランプリのトップ16、そして5つのプロツアー予選の優勝に名前を刻んだことがある。統計的な話をすれば、私は大多数の人類よりもマジックが強いし、同僚の多くは私より疑いようもないほどに高いマジックのスキルを持っている。

 もし私たちが最善のデッキをプレイしたら、スペルスリンガーで相対する平均的なプレイヤーを遥かに上回るアドバンテージとなってしまう。スペルスリンガーの対戦相手がもしデッキの強さの差によるアドバンテージのせいで勝つ見込みがないような場合は、相手も私たちもお互いに楽しめやしないだろう。

 同様に私たちが気づいたこととして、ゲームという天秤を水平に保つためにわざと最善手を打たないというプレイングは、私たちのプレイを生で観戦できるという機会を丸ごと台無しにするものであり、私たち自身にとっても満足のいくものではないということだ。

 私たちも対戦相手も試合を楽しめるように保ちつつ、かつ皆にとってベストのショーを披露するために私たちは平均的なプレイヤーを蹂躙してしまわない程度にデッキのパワーレベルを弱める調整を行っているのだ。

 デッキのパワーレベルを弱める手段の1つとして私たちがとっているのは、トーナメント向けの構築デッキでは通常プレイされないようなカードを無作為に使ってみることだ。

 例えば、プロツアーのヴァンパイアデッキにはお目見えしないにも関わらず、あえてヴァンパイアデッキに《血の長の刃/Blade of the Bloodchief》と《蟲惑的な吸血鬼/Captivating Vampire》を入れてみたりする。

 これによって私たちのデッキの一貫性は減ずるが、ショーはより面白くなるし、私たちもまた観衆の前でプレイし続けるのを飽きずにすむ。
Blade of the Bloodchief / 血の長の刃 (1)
アーティファクト - 装備品(Equipment)
いずれかのクリーチャーが戦場からいずれかの墓地に置かれるたび、装備しているクリーチャーの上に+1/+1カウンターを1個置く。装備しているクリーチャーが吸血鬼(Vampire)である場合、代わりにそれの上に+1/+1カウンターを2個置く。
装備(1)
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Blade+of+the+Bloodchief/

Captivating Vampire / 蟲惑的な吸血鬼 (1)(黒)(黒)
クリーチャー - 吸血鬼(Vampire)
あなたがコントロールする他の吸血鬼(Vampire)クリーチャーは+1/+1の修整を受ける。
あなたがコントロールするアンタップ状態の吸血鬼を5体タップする:クリーチャー1体を対象とし、それのコントロールを得る。それはそれの他のタイプに加えて吸血鬼になる。
2/2
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Captivating+Vampire/

 私の同僚の多くが最善のデッキをプレイしたいという欲求を昇華させている中、私にはどうしてもそれが難しかった。

 私は、限りある制約の中で生み出される変数の最大値を求めるという挑戦に喜びを感じるし、それから逸れるということは自身のゲームに対する興味を失うことを意味している。

 そんな風に失敗であると分かりきっているデッキをプレイするくらいなら、自身のデッキ構築に追加ルールを設けてその制限下でどれだけ良いものを作れるかどうかと試すほうがずっと楽しいと気づいた。

 このアイデアの中でも特に私が好きなルールは、R&DのディレクターであるAaron Forsytheから頂戴したものだ。モーニングタイドが世に出たとき、彼は4枚入っている《目覚ましヒバリ/Reveillark》以外は1枚差ししかないというデッキを作った。
Reveillark / 目覚ましヒバリ (4)(白)
クリーチャー - エレメンタル(Elemental)
飛行
目覚ましヒバリが戦場を離れたとき、あなたの墓地にあるパワーが2以下のクリーチャー・カードを最大2枚まで対象とし、それらを戦場に戻す。
想起(5)(白)(あなたはこの呪文を、その想起コストを支払うことで唱えてもよい。そうした場合、戦場に出たときにこれを生け贄に捧げる。)
4/3
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Reveillark/

 そのデッキには、トーナメントレベルのヒバリデッキに入るような強いカードを除いたありとあらゆる《目覚ましヒバリ/Reveillark》と相性の良いカード(例えば《クローン/Clone》や《マーフォークの物あさり/Merfolk Looter》など)が入っていた。

 そのデッキは、対戦相手だけでなく私自身も驚かせてくれるようなカードでいっぱいだったおかげで、見ている人たちだけでなく披露している私にとっても楽しめる素晴らしいショーとなったのだ。

 私にとっては昔懐かしいホームグラウンドでもあるオハイオ州コロンブス、そこで開催された基本セット2011のプレリリースへスペルスリンガーのために旅立ったときに持っていたスタンダードのデッキこそが、私がAaron Forsytheから習った方法で初めて組んでみたデッキだった。

 私は非常に忙しかったため、デッキ構築に割ける時間はごくわずかだった。そのため私は構築するデッキを1つだけにすることにした。

 10時間ぶっ通しで遊んでも飽きないよう、そのデッキは使っていて楽しいものである必要があったので、私はバラエティに富んだデッキが欲しかった。さらには新しいカードをお披露目する必要もあった。

 これら全てを満たすために、私は4枚の《戦隊の鷹/Squadron Hawk》と4枚の《獣相のシャーマン/Fauna Shaman》以外は1枚差しという白緑デッキを組んだ。
Squadron Hawk / 戦隊の鷹 (1)(白)
クリーチャー - 鳥(Bird)
飛行
戦隊の鷹が戦場に出たとき、あなたはあなたのライブラリーから《戦隊の鷹/Sqadron Hawk》という名前のカードを最大3枚まで探し、それらを公開してあなたの手札に加えてもよい。その後、あなたのライブラリーを切り直す。
1/1
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Squadron+Hawk/

Fauna Shaman / 獣相のシャーマン (1)(緑)
クリーチャー - エルフ(Elf) シャーマン(Shaman)
(緑),(T),クリーチャー・カードを1枚捨てる:あなたのライブラリーからクリーチャー・カードを1枚探し、それを公開し、それをあなたの手札に加える。その後、あなたのライブラリーを切り直す。
2/2
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Fauna+Shaman/

 マナ基盤は少々不安定なものになっていた。

 マナ加速と複数の白マナを両方とも非常に必要とするデッキに《貴族の教主/Noble Hierarch》《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》《極楽鳥/Birds of Paradise》《東屋のエルフ/Arbor Elf》がそれぞれ1体ずつしか入っていないとそうなってしまうものだ。

 しかしこのデッキを使うのは最高に楽しく、私は25試合をこなしたあとですらまったく飽きがこなかった。

 私はこういった感じの縛りで作ったデッキを用意しておくのが好きだ。なぜならこれらのデッキはふらりと立ち寄ったゲームショップで使うときにとても楽しいからだ。

 この獣相のシャーマン・デッキはアラーラブロックがローテーションで落ちてしまったことで面白みを減じてしまったが、だからといって次のデッキを作れないということはない。

 以下が同じような縛りで作った最近のデッキだ。
ハイランダー的な戦隊の鷹デッキ/Nearly Singleton Squadron Hawk

メインデッキ

土地

1 《乾燥台地/Arid Mesa》
1 《天界の列柱/Celestial Colonnade》
1 《戦慄の彫像/Dread Statuary》
1 《進化する未開地/Evolving Wilds》
1 《氷河の城砦/Glacial Fortress》
1 《ハリマーの深み/Halimar Depths》
7 《島/Island》
1 《カビーラの交差路/Kabira Crossroads》
1 《湿地の干潟/Marsh Flats》
1 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
6 《平地/Plains》
1 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
1 《金属海の沿岸/Seachrome Coast》
1 《セジーリの隠れ家/Sejiri Refuge》
1 《地盤の際/Tectonic Edge》
1 《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》

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計 27枚

クリーチャー

1 《霜のタイタン/Frost Titan》
1 《海門の神官/Sea Gate Oracle》
4 《戦隊の鷹/Squadron Hawk》
1 《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
1 《太陽のタイタン/Sun Titan》
1 《宝物の魔道士/Treasure Mage》
1 《前兆の壁/Wall of Omens》
1 《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》
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計 11枚

その他の呪文

1 《取り消し/Cancel》
1 《糾弾/Condemn》
1 《審判の日/Day of Judgment》
1 《剥奪/Deprive》
1 《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》
1 《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》
1 《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》
1 《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》
1 《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
1 《未達への旅/Journey to Nowhere》
1 《マナ漏出/Mana Leak》
1 《精神隷属器/Mindslaver》
1 《否認/Negate》
1 《失脚/Oust》
1 《定業/Preordain》
1 《漸増爆弾/Ratchet Bomb》
1 《呪文貫き/Spell Pierce》
1 《太陽の宝球/Sphere of the Suns》
1 《広がりゆく海/Spreading Seas
1 《冷静な反論/Stoic Rebuttal》
1 《肉体と精神の剣/Sword of Body and Mind》
1 《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine》
------------------------------------------------------------------
計 22枚

サイドボード

1 《悪斬の天使/Baneslayer Angel》
1 《天界の粛清/Celestial Purge》
1 《真心の光を放つ者/Devout Lightcaster》
1 《神への捧げ物/Divine Offering》
1 《瞬間凍結/Flashfreeze》
1 《乱動への突入/Into the Roil》
1 《コーの火歩き/Kor Firewalker》
1 《コーの奉納者/Kor Sanctifiers》
1 《レオニンの裁き人/Leonin Arbiter》
1 《精神壊しの罠/Mindbreak Trap》
1 《境界線の隊長/Perimeter Captain》
1 《ファイレクシアの再誕/Phyrexian Rebirth》
1 《真面目な捧げ物/Solemn Offering》
1 《太陽破の天使/Sunblast Angel》
1 《シルヴォクの生命杖/Sylvok Lifestaff》
------------------------------------------------------------------
計 15枚

 これはプロツアー・パリで成功を収めた「Caw-Go(もしくはCaw-Blade)」デッキを彷彿とさせる。しかし1枚差しという制限によって私はその他のデッキの中からも少しずつアイデアを拝借することが出来た。

 その一例はPatrick Chapinのプレイしていたテゼレットデッキから拝借してきた《宝物の魔道士/Treasure Mage》と《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》と《精神隷属器/Mindslaver》だ。

 こういったデッキを私が好きなのは、デッキ内のプレイされる全てのカードについて最小枚数しか入れていなくても多少の正当性を主張できる、という特別な点なのだと思う。

 私たちのオフィスから歩いて5分程度のところにある"カードとコミックのシェーン"という素晴らしいゲームショップへこのデッキを持っていく機会があった。

 その晩のフライデーナイトマジックはブースタードラフトだったが、スタンダードデッキを持っている人たちもたくさんいたため、対戦することができた。デッキは確かにハンデをおったものではあったが、それでも連勝記録を授けてくれるだけの強さは十分にあった。

 その勝利には《カルドーサの再誕/Kuldotha Rebirth》入りの赤単デッキ相手の2本先取の試合も含まれた。その試合ではサイドボードの《ファイレクシアの再誕/Phyrexian Rebirth》、《コーの火歩き/Kor Firewalker》、《境界線の隊長/Perimeter Captain》、《太陽破の天使/Sunblast Angel》、《天界の粛清/Celestial Purge》そして《悪斬の天使/Baneslayer Angel》が力を合わせてくれたおかげで2ゲーム目と3ゲーム目ととることができた。

 今週末のゲームデーで何かユニークなことに挑戦したいと思っているのなら、こんな感じに構築されたデッキを持ちこむことを検討してみてはいかがだろうか。

 勝利をお約束することはできないが、デッキの1番上から次々とめくられるサプライズからはたくさんの楽しさを得られること間違いなしだ。自分で作るかわりに私のデッキリストを丸ごとコピーしたからって怒ったりはしない。今週末に「ほとんどハイランダー」なデッキを使った感想を聞くことを楽しみにしているよ。

 次のプロツアーは6月に名古屋で行われる。

 私たちのうちの何人かはそこで呪文をぶっ放しているはずで、今回は私も名簿に載っているんだ!私と直接会うこれまでにないチャンスだから、もし本気でそうしたいと思っているなら、日本への旅行を計画することをオススメするよ。

 もしかしたら君とそこで会うかもしれないね!
(註) ハイランダー
 文中に何度か出て来た「ハイランダー」というのは、基本地形以外のカードは全て1枚制限としてデッキを組むこと。俗に言う「縛り」の一種。統率者戦/Commander(通称、EDH)のフォーマットもこの縛りがある。

コメント

kago
2011年3月13日10:15

>ひ
自信があるわけではないですが、
go through one’s pacesで、自分の力量を示す
put A through its pacesで、Aの性能を試す
make a research visit to Aで、Aに調査で訪れる
という熟語があるようなので、これをもとに飛ばしたところを訳すと「最近調査で訪れた際にこのデッキを試す」とかですかね。

re-giant
2011年3月13日13:24

店のリサーチに向かって、ついでにそのときデッキの試し運転もできた、ってことか。なるほど。なんかお店をほめてるので馴染みの(昔からある)店だと思ったんですが、よく見たらそんなこと書いてないですね。

ラッチ
2011年3月13日15:04

去年千葉で行われた世界選手権の会場でガンスリンガーに挑みましたが、実に楽しかったですね。
ここに書かれている通り、開発陣の方々が使われていたデッキは真新しいカードが入っており、動きがハデで、それでいてよくバランスの取れた非常に質の高いデッキだと感じました。

またMagicを楽しもうという気持ちがよく伝わってきて、互いにプレイするカードで一喜一憂、大笑いしながら遊んでました。(その時私は《巨大戦車》が《大建築家》から次々と飛び出してきて、《飛翔する海崖》で飛行を得て飛んで行く冗談みたいなデッキを使ってDave Humpherysに勝ったのですが、Daveは凄くこのデッキを気に入ってくれました)

re-giant
2011年3月13日18:18

>またMagicを楽しもうという気持ちがよく伝わってきて、
>互いにプレイするカードで一喜一憂、大笑いしながら遊んでました。

素晴らしい。まさにそれが目的らしいので、ガンスリンガー大成功、です。
ラッチさんのデッキも「驚かせつつ、楽しみつつ、勝つ」が達成できたようで、
多分それが気に入ってもらえた理由なんでしょうね。

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