Lost in the Shuffle(今は亡きトレーディングカードゲーム専門誌、The DuelistでRichard Garfieldが書かれていた連載コラム)で1994年に書かれたコラムで、公式ルールにある多人数線のヴァリアントの1つ、大乱闘戦/Grand Meleeについての記事があり、それが2011年03月にDaily MTGで再掲載された。
とあるコンベンションで行われた、世界初の大乱闘戦/Grand Meleeの詳細らしい。通常のマジックの試合では見られないような出来事が色々起きていて面白かったので紹介してみる。
シャッフルの中で:大乱闘戦/Lost in the Shuffle: Grand Melee
2011年03月14日
元記事:http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/feature/134
Daily MTGが生まれる前、MagicTheGathering.comが生まれる前、そしてインターネットが生まれる前、そこにはマジックや他のゲームについて取り扱ったThe Duelist(註1)という雑誌があった。
(註1) The Duelist
主にマジックを扱ったトレーディングカードゲーム専門誌(1994年 創刊~1999年 41号)
The Duelistで定期的に掲載されていた記事の1つにマジックの生みの親であるRichard Garfield氏による Lost in the Shuffle があった。これはマジックに限らず世に生まれ出た様々なトレーディングカードゲーム全般について思いを巡らせているゲームデザイナーの日記のようなものであり、言い換えればゲームやゲームデザインに興味のある人全員にとってかけがえのない資料でもある。
ゲームの始まったばかりの頃を振り返るのはいつだって楽しい(実のところ、どんなものでもその起源を探ることは面白い)。なぜなら、一見したところ無計画に生み出されたようなアイデアのうち、いくつかのアイデアはその後も継続し(例えばエキスパンションのリリースとか)、他方でいくつかのアイデアは脇へ寄せられてしまうことになった(アンティ(註2)を思い出すね)。
(註2) アンティ
最初期にあった公式ルールの1つ。ゲーム開始前に山札の一番上を公開しそれを賭け札とする遊び方。賭け札となったカードはゲーム中に用いることは出来ない。
フェイクアンティと言って、めくるだけめくるけど実際には所有権を移動させないという遊び方もあった。
いずれにせよ、このルールのせいでデッキにキーカードを1枚しか入れてないとゲーム開始前に負ける危険性があった。今考えるととんでもない話だ。
そういったアイデアの中で今なお継続しているにも関わらず、ごくたまにしか行われていない、とあるものが初めて世に出たときのことについて今回の記事は語っている。
そう、大乱闘戦/Grand Melee(註3)だ。
(註3) 大乱闘戦/Grand Melee
公式ルールで定められている多人数戦のフォーマットの1つ。10人以上で行われ、同時に複数のターンを進行させるという豪快な試合。
細かい説明で君たちを退屈させるつもりはない。なぜならガーフィールド博士が以下で説明しているルールは今現在の大乱闘戦/Grand Meleeのルールと驚くほどに近いからだ。
ともかく重要な点は、大乱闘戦/Grand Meleeは理論上どれほどの人数であっても一緒に参加させることが出来る大規模なマジックの1試合であり、かつ複数のターンが同時に進行するということだ。この壮観な試合はインディアナポリスで開催されているゲームコンベンションGen Con(註4)でも何度か行われたことがある。
(註4) Gen Con
北米最大のゲーム大会の1つ。紙とペンを使うRPG、カードゲーム、ボードゲーム、ミニチュアゲームなどを4日間ぶっ通しで遊ぶコンベンションらしい。公式サイトによると今年は08/04~08/07に開催を予定している。
公式:http://www.gencon.com/
ガーフィールド博士の物語は、1994年に開催された小規模のローカルなコンベンションであるRadCon(註5)で行われた、一番最初の大乱闘戦/Grand Meleeについて語っており、この記事によって様々なことが明らかにされている。
このフォーマットの始まりについて、また試合が生み出した諸々の印象的なシーン(と、たびたび発生したルール上の悪夢)について、そしてガーフィールド氏が多人数プレイの面白い点と危険な点についての考察などだ。
(註5) RadCon
SFとファンタジーとゲームに関するコンベンション。今年はワシントン州のパスコで02/17~02/19にかけて開催された。公式サイトによるとすでに2014年まで会場は押さえてあるらしい。
公式:http://www.radcon.org/
最近の大乱闘戦/Grand Meleeについてはこことここ(註6)で読むことが出来る。もし君が最新のルールについて知りたいならば、ルールページへ飛べば総合ルールをダウンロードすることも出来る(これを紹介するのは自信がないからじゃないよ!)。総合ルールには大乱闘戦/Grand Meleeとその追加ルールについて全て載っている。
楽しんでくれ!
Kelly Digges
Daily MTG 編集部
(註6) こことここ
原文ではそれぞれ以下の記事へリンクが張られている。
・2007年08月 The Way of the Melee
http://www.wizards.com/Magic/magazine/Article.aspx?x=mtgcom/daily/bd292
・2008年08月 Gen Con 2008
http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/feature/472a
シャッフルの中で:大乱闘戦/Lost in the Shuffle: Grand Melee
Richard Garfield
1994年
元記事:http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/feature/134
マジックザギャザリングが発売されたとき、多人数で遊ぶためのルールは公式には発表されなかった。そのため多くの非公式なバリエーションが生まれることとなった。その中のいくつかは「ポケットプレイヤーズガイド」(註7)に紹介されている。
これらの中でも特に素晴らしいものは、私がMelee Magicと呼ぶようになったバージョンだ。
(註7) ポケットプレイヤーズガイド
1994年に発売された、マジックの最初の公式ガイドブック。「マジック:ザ・ギャザリング公式ガイドブック ポケットプレイヤーズガイド日本語版」として1996年に日本語版も出ている。
Amazon:http://www.amazon.co.jp/dp/4894251019
なお、記事では以下のURLへリンクが張られている。
http://www.goodreads.com/book/show/1037494.The_Pocket_Players_Guide_for_Magic
デザインの段階から対策しているのでもない限り、往々にして多人数で遊ぶゲームは同じ問題に直面することになる。
グループで遊ぶゲームではプレイヤーたちはチームを作ろうとする。もちろん、これが問題だと思う人はあまりいないが、これによってゲームの趨勢を分けるものが交渉の上手さとなってしまい(私と同じくらいディプロマシー/Diplomacy(註8)を遊んだことがある人なら分かるだろうが)プレイヤーは和合するようになり戦略は予測しやすいものとなる。
これは特に君のとる行動がどのプレイヤーにも同等に影響を与える場合に顕著となる。多人数ゲームの一部は、プレイヤーが攻撃時にとれる選択肢を制限することでこの問題に対処している。
例えばコズミックエンカウンター/Cosmic Encounter(註9)では、毎ターン、カードを引くことで防御側プレイヤーを無作為に決定している。またディプロマシー/Diplomacyでさえも侵略先はその地理的な位置関係によって効果的に制限されている。
(註8) ディプロマシー/Diplomacy
半世紀以上の歴史を持つ、ヨーロッパを舞台にしたボードゲーム。カードやサイコロといったランダム要素が皆無で、ほぼプレイヤー同士の「外交」のみでゲームが進むらしい。
(註9) コズミックエンカウンター/Cosmic Encounter
1981年に発売されたボードゲーム。それぞれ特殊能力を持った異星人となって植民地の争奪戦をするゲーム。日本語版も出ているらしいけど見たことない。
2つ目の問題点は、攻撃側に回るようプレイヤーにやる気を出させられるかどうかにある。
攻撃的な行動をとった際、関わったプレイヤーたちに損失を強いるようなゲームは、往々にして最も目立たないようにしていたプレイヤーが勝利してしまう。これが勝利のカギでは面白いゲームになるわけがない。
この現象への対策として、いくつかのゲームでは攻撃的なプレイによって利益を得られるようになっている。例えばリスク/Risk(註10)ではプレイヤーは軍備の増強に使えるカードを報酬として得られる。
(註10) リスク/Risk
世界地図上で互いの軍隊を戦わせて領土を奪い合うボードゲーム。舞台をヨーロッパに限ったものや、指輪物語の世界を題材にしたものなど、多くのバリエーションがあるらしい。
マジックのおける多人数プレイのバリエーションの多くで、私はこれら両方の問題点に苦しめられた。
特に言っておきたいのは、プレイヤーは他の誰でも攻撃できて最後に生き残ったものが勝利者となるというマジックのバリエーションはあまり好きではない、ということだ。
なぜならそうすると不均衡なチーム分けを推奨することとなり、また保守的なプレイングが恩恵を受けることになってしまう。しかしMelee Magicではこれらの問題点を解決することに成功し、また非常にたくさんの人数が同時に遊ぶことも可能にした。
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プレイヤーは左右の両サイドに他のプレイヤーが来るように座る。各プレイヤーは自分の左側に座っているプレイヤーへ向けてのみクリーチャーをアタックさせることが出来る。
全ての魔法の効果は2人分離れた距離までしか射程をもたない。《黒の万力/Black Vise》や《生命のタップ/Lifetap》のように対戦相手を参照する呪文は、唱える瞬間にその呪文の効果の及ぶ範囲にいる(2人分の距離内の)対戦相手の中から選ぶことになる。
その後、対象としたプレイヤーを変更することはできず、もしそのプレイヤーがゲームから除外された場合はその呪文も捨て札となる。「両方の」や「全ての」プレイヤーを参照とする全ての呪文は、唱えた本人と左隣の2人と右隣の2人に効果を及ぼす。
左隣のプレイヤーがゲームから除外された場合、君は1点の勝利ポイントを得る。また生き延びた場合は0.5点の勝利ポイントをを得る。
注意して欲しいのは、君の左隣のプレイヤーが、その他のプレイヤーの《稲妻/Lightning Bolt》によって引導を渡された場合であっても君にポイントが入るということだ。
もしアンティを賭けて遊んでいる場合は、左隣のプレイヤーがゲームから除外されたときにそのプレイヤーのアンティカードを得ることが出来る。これは、たとえ君がそのプレイヤーと同時に死んでしまった場合でも得られるが、アンティカードを失わずに済むのは最後まで生き残ることが出来た場合のみだ。
追記しておくと、プレイヤーがゲームから除外された場合、そのプレイヤーのカードやトークンは全てゲームから除外される(ただし永続的な効果を持つ奇妙なインスタント(註11)たちの効果は残る。例えば《魔法改竄/Magical Hack》や《死の色/Deathlace》などだ)。
(註11) インスタント
原文ではInterrupt。今は無きカードタイプの1つ。当時は永続的な書き換えが基本的にこのインタラプト呪文にしか存在しなかった。
念のために書いておこう。
3人もしくは4人でプレイした場合は生き残ったプレイヤーが勝利者となるが(註12)、もしゲームを続けて遊び点数を累計していく場合には、生存によるポイントも多少の違いは生むとはいえ、他のプレイヤーをもっとも倒したプレイヤーこそがもっとも大きな累計ポイントを積み上げることになるだろう。プレイに大きな違いが生じることになるため、自然と試合ごとに席順を変えたくなってくるはずだ。
(註12) 3人もしくは4人でプレイした場合は生き残ったプレイヤーが勝利者となる
3人で遊ぶ場合は確かにそうだが、4人で遊ぶ場合は必ずしも「生存者=勝利者」とはならないような気がする。
例えば、ABCDと並んでいて「B、A、C」の順にプレイヤーが敗北した場合、生存者は「D」だが、獲得ポイントは「A=0点、B=0点、C=2点、D=1.5点」となる。
席の並べ方と呪文の射程範囲によって、Melee Magicは複数のプレイヤーが同時にターンを進行させることが可能となる。これは、なぜかというと、右か左へ3人以上離れたところに座っているプレイヤーへはどうせ君の呪文が届かないためだ。
このため、全体の3分の1(端数切捨て)の人数のプレイヤーは同時にターンを進行させることが出来る。これらのプレイヤーが全員行動を終了した時点で、彼らの左隣にいるプレイヤーへターンが移る。これによって同じゲームに参加する人数に制限をかけることなく、常識的な時間内に試合を終えることができる。
もっとも、同時進行のプレイはゲームの時間を早めることはできるが、それは同時により多くの人数のジャッジを必要とすることになる。なおある一定数のプレイヤーがゲームから除外されるたび「ターン」もまた減少し、同時にジャッジも減らされる。
世界初の大乱闘戦/Grand Meleeが行われたのは、ワシントン州のリッチランドで開催された小さなSFコンベンション、RadConにおいてだった。これはおそらく世界でそれまでに行われた中でも最も大規模なカードゲームの試合だったであろうし、あの時点では間違いなく世界で最大のマジックの試合だった。
この大乱闘戦/Grand Meleeは、参加者40人のMelee Magicで、13人のジャッジが、ゲーム開始時にターンの所有権を持っていた13人のプレイヤーの背後それぞれついていた。
プレイヤーが3人ゲームから除外されるごとにジャッジ1人も除外された。参加者数が減るたびにテーブルの数も減らされた。これまたこのフォーマットにしか見られない特別な点だ。
このイベントの凄さが君たちに伝わるよう、ここに「40人の参加者と13人のジャッジが多数のテーブルを囲んでいる図」(註13)を用意してみた。
(註13) 40人の参加者と13人のジャッジが多数のテーブルを囲んでいる図
元記事のイラストを参照のこと。妙に味のあるスケッチが載っている。
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/feature/134
なかなか壮観なものだろう? 試合会場をこのような形にセットアップした理由は、会場にあった全テーブルを使い果たす羽目になったからだ。
大きな数字が珍しくないこの時代、40というのは大した数字ではないように思えたが、試合のための準備を整えたくさんのプレイヤーたちがやってくるのを見ているとき、私は横にいたSnarkに「40人で試合したら面白いんじゃないだろうかとか私が言い出した時点で、なんで君は私の口をふさいでくれなかったんだ」と尋ねた。
しかし、その晩ぐっすり寝て、次の日に余韻に浸る頃には、後悔など一切なかった。
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プレイヤーがゲームから除外されるごとに、そのプレイヤーの右隣に座っているプレイヤーはブースターパックと1勝利ポイントを手に入れた。
さらに最もたくさんポイント獲得したプレイヤーには優勝賞品が用意されており、それは7つの撃墜数をあげたHoi Nguyenへ手渡された。2位の賞品を手にしたのはAlで、彼の撃墜数は6つだった。
特別賞を与えられたのはJoelで、彼はこの大乱闘の最後の生存者であった。
この競技では生き残ったプレイヤーにも何らかの賞を与えたほうが良いだろう、と私たちは考えている。最後に残った数人のプレイヤーたちが試合を放り出さず、やる気を失わないで勝ちへ向かいたくなるようにするためだ。
ただし、単に生存した者が勝利者であってはならないというのは重要な点だ。このようなフォーマットに40人のプレイヤーが全員とも「お前らは殺しあえ、俺は生き延びる」デッキを持ち寄るところなど想像しただけで寒気がする。
この試合は大体5時間ほどかかった。このサイズのトーナメントにかかる時間としては普通の長さだ。
通常ではお目にかかれないような、見ているだけで楽しいことがよく起きた。
試合会場の一部では、こう着状態に陥りクリーチャーたちはただ突っ立っているだけで、その一方、他の戦場では呪文があちらこちらへ飛び交う中でアタックが時計回りに発生し、プレイヤーはそのターンの防御をがら空きにしつつ攻撃を行っていた。
呪文の射程範囲というルールがいくつかの興味深い効果を生み出していた。何しろプレイヤーたちはすぐ隣のプレイヤーだけを相手にしているわけにはいかなかったからだ。
苦悶の叫びがいくつも上がったのは、あるプレイヤーが《天秤/Balance》を唱えた瞬間だった。その厄災は合計5人のプレイヤーを巻き込んだのだ。唱えたプレイヤーがどうなったかは知らないが、範囲内にいた中の2人はゲームの勝者たちであるHoiとJoelだった。
Balance / 天秤 (1)(白)
ソーサリー
各プレイヤーは、コントロールする土地の数が最も少ないプレイヤーがコントロールする土地の数に等しい数だけ、自分がコントロールする土地を選ぶ。その後、残りを生け贄に捧げる。同じ方法で、各プレイヤーはカードを捨て、クリーチャーを生け贄に捧げる。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Balance/
またプレイヤーA、B、C、Dと並んでいるときに起きた一連の出来事は以下の通りだ。
1. 「A」が「C」に《分解/Disintegrate》を唱えた。
2. 「D」がその《分解/Disintegrate》を《魔力消沈/Power Sink》しようとした。
3. 「C」がその《魔力消沈/Power Sink》を《魔力消沈/Power Sink》した。
その結果どうなったかというと「B」が勝利ポイントを得たのだ! おそらくこのような相互作用が実際にはかなり数で発生していたのではないかと思われる。
Disintegrate / 分解 (X)(赤)
ソーサリー
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。分解はそれにX点のダメージを与える。このターン、そのクリーチャーは再生できない。このターン、そのクリーチャーが墓地に置かれる場合、代わりにそれを追放する。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Disintegrate/
Power Sink / 魔力消沈 (X)(青)
インスタント
呪文1つを対象とし、それをそれのコントローラーが(X)を支払わない限り、打ち消す。支払わなかった場合、そのプレイヤーは自分がコントロールするマナ能力を持つすべての土地をタップし、自分のマナ・プールを空にする。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Power+Sink/
しかしこのような遠距離にいる対戦相手への妨害が思惑通りにいかないケースもちらほら見られた。
あるプレイヤーが私に教えてくれたことによれば、彼は2人分離れた距離に入るプレイヤーを排除しようと全てをつぎ込んだらしい。
その理由は相手が《因果応報/Karma》によって彼を真綿で首を絞めるようにじわじわと殺そうとしていたからだが、彼を排除した結果、そのさらに隣にいたプレイヤーが《因果応報/Karma》を2枚出していたという事実が判明しただけだったそうだ。
がっかりだね!
Karma / 因果応報 (2)(白)(白)
エンチャント
各プレイヤーのアップキープの開始時に、因果応報はそのプレイヤーに、そのプレイヤーがコントロールする沼(Swamp)の数に等しい点数のダメージを与える。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Karma/
私たちはしばしばプレイヤーが彼をアタックしている相手のプレイヤーに回復魔法をかけているのを見かけた。その相手が死んでしまうことでより凶悪な対戦相手が射程範囲内に入ってしまうのを避けるためだ。
あるプレイヤーは赤いクリーチャーの大群を指揮していたが、その左隣のプレイヤーは《赤の防御円/Circle of Protection: Red》を持っていた。防御円を持っているプレイヤーよりも下流にいるプレイヤーたちはそれが壊されないよう細心の注意を払っていた。なぜなら彼らにはその赤い大群に対する適切な守備隊を持っていなかったためだ。
Circle of Protection: Red / 赤の防御円 (1)(白)
エンチャント
(1):このターン、あなたが選んだ赤の発生源1つが次にあなたに与えるすべてのダメージを軽減する。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Circle+of+Protection%3A+Red/
ゲームも中盤に入った頃に均衡が崩れ始めたのは、あるプレイヤーがドワーフ(註14)を使って、自身の左側にいるプレイヤーたちの騎士たちをアンブロッカブルにしたときだった。
これにはたくさんのプレイヤーたちが犠牲になり、ついに誰かがドワーフどもに《火の玉/Fireball》を撃ち込み墓地送りにしたときは大きな喝采が上がった。
(註14) ドワーフ
以下の《ドワーフ戦士団/Dwarven Warriors》のこと。Dwarven Warriors / ドワーフ戦士団 (2)(赤)
クリーチャー - ドワーフ(Dwarf) 戦士(Warrior)
(T):パワーが2以下のクリーチャー1体を対象とする。このターン、それはブロックされない。
1/1
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Dwarven+Warriors/
カードの効果でコントローラーがかわることはよくあることだ。
ふらふらとテーブルをさまよう《ガズバンのオーガ/Ghazban Ogre》がいた。毎ターンそいつは左右2人のプレイヤーを含めた中で一番ライフが多いプレイヤーの元へ移動していた。
Ghazban Ogre / ガズバンのオーガ (緑)
クリーチャー - オーガ(Ogre)
あなたのアップキープの開始時に、いずれかのプレイヤーが他の各プレイヤーよりも多いライフを持つ場合、その最も多いライフを持つプレイヤーはガズバンのオーガのコントロールを得る。
2/2
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Ghazban+Ogre/
Hoiの《蜂の巣/The Hive》は、《秘宝奪取/Steal Artifact》などの効果のせいでゲーム中に3~4人のプレイヤーのあいだでコントロールが5回も移動した。
The Hive / 蜂の巣 (5)
アーティファクト
(5),(T):《ワスプ/Wasp》という名前の、飛行を持つ無色の1/1の昆虫(Insect)アーティファクト・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。(それは飛行や到達を持たないクリーチャーによってはブロックされない。)
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/The+Hive/
Steal Artifact / 秘宝奪取 (2)(青)(青)
エンチャント - オーラ(Aura)
エンチャント(アーティファクト)
あなたは、エンチャントされているアーティファクトをコントロールする。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Steal+Enchant/
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ゲームの終盤は非常に見ていて楽しいものだった。その頃には参加者の輪は3~4人にまで縮んでおり、全プレイヤーともに十分な陣営が築かれていたためだ。
各プレイヤーの戦略はすでにテーブルに公開されており、引きの強さよりもデッキデザインの腕とプレイスキルの方がずっと重要になっていた。
それはまるで、多くの敵を打ち負かしつつその敗者たちの屍を越えて自身の軍団を遥かな地まで率いてきた軍司令官たちが、1つの大きな戦乱の果てについに相まみえたのを見ているかのようだった
Melee Magicは今まで見てきた他のどんなフォーマットともまったく違った印象を受けた。
多くの場合、トーナメントの最終盤の戦いは熱気あふれるものだったが、それらはときに片方のプレイヤーが数回の悪い引きを見せることで退屈なものになってしまった。
大乱闘戦/Grand Meleeではもしプレイヤーが土地ばかり引いてしまった場合は早々と退場することになる。しかしあるプレイヤーは土地を1枚も引けなかったにも関わらず10ターンほど生き延びた。
生き延びたプレイヤーたちというのは、傷だらけにそして穴だらけになりながらも、ときに卑屈にときに大胆にふるまい、なおも戦場に踏みとどまった。彼らは全身全霊を尽くしてぶつかりあった。大量の土地を抱えて、大量の兵士を配備した。
試合はあまりに大きすぎ、1人のプレイヤーがその全体を見通すことなど出来なかった。
実際のところ、勝者と敗者の差とは、プレイヤーたちのいる戦場が新たな局面を迎えるたびに、その手の届く限られた範囲の動静をどれだけ早く把握しきることが出来たかどうか、であった。
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大乱闘戦/Grand Meleeを開催してみたいと思った人たちに、いくつかの提案と警告の言葉を送りたい。
おそらく時間制限は必須となるだろう。なぜならプレイヤーたちは状況を把握するのに非常に長い時間を費やしてしまうかもしれないからだ。しかし私たちがRadConで採用した「1ターン、2分」の制限は、戦闘のあとでソーサリーを使おうとしたプレイヤーたちを苦しめた。戦闘がひどく長引いたからだ。
またジャッジの移動と離脱(註15)については両方ともゲーム開始前にきちんと決めておくべき点だ。
(註15) ジャッジの移動と離脱
ターンが移る際のジャッジが隣のプレイヤーの後ろへ「移動」することと、人数が減った際の必要数以上のジャッジが「離脱」すること。
RadConではジャッジの移動をスムーズに行うことはなかなか難しかった。全員がターンを終えたかどうかを確認することが困難だったためだ。私たちの場合、最初は手をあげることでそれを示そうとしたが、途中からはウィザーズのメンバーが作ってくれた旗を用いることにした。そうしてさえ、観戦者の人ごみがジャッジの視認を妨げた。
また各プレイヤーが近くのプレイヤーたち、つまり呪文の届く範囲にいる両サイドの2人ずつ、およびさらにその1つ隣にいるプレイヤーたちを観察できるかどうかも重要だとわかった。
これは、試合を進行させる私たちにとっては資材配置の問題となった。
どういうことかと言うと、試合時間の一部は、プレイヤーにカードを別のテーブルに移してもらうのに費やすこととなったのだ。これは、プレイヤーたちが常に互いを視界内に収めることができるよう、プレイヤーが脱落するごとにテーブルを減らすためだった。
最後に付け加えておくこととしては、もしプレイヤー(そのすぐ右がターンを終えたばかり)のあとを追ってジャッジが抜ける場合、次にジャッジを後ろにつけるプレイヤーは3つ右にいるプレイヤーとなる。これが何を意味するかというとジャッジが最初のプレイヤーに戻るまでにそれぞれが新たなターンを得るということだ。(註16)
(註16) この段落全体について
原文が論理クイズのようになっているので訳が正解かどうか自信がない。
念のため、以下に原文を載せておく。
原文:
Finally, if a judge was dropped after a player to a player’s right finished a turn, then the next judge back would be three players to the right-meaning each of them got another turn before the judge got to the first player.
これによってジャッジが1人抜けるたびに、1人ないし2人のプレイヤーは1ターンを失うということになる。ゲームの終盤、これは重要な点となる。ときにはターンの開始時に悪いニュースが飛び込んでくるということだ。
これらの問題点を加味しても、RadConで開催された大乱闘戦/Grand Meleeは大成功だった。
たくさんの人たちが同じようなイベントを他のコンベンションでも見たいと望んでおり、私もそれを薦めたい。なお、私たちがまたこれを開催することがあれば、事前にギネス記録を確認しておいて記録更新を狙ってもいいかもしれないと思っている。
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