余談1:02月01日《メリーラの守り手/Melira’s Keepers》

 2月からFAQシリーズ開始。この日は感染とカウンターが配置されない能力の関係。前にも新しいセットが出た直後のCard of the DayがFAQだったけれど、あのときは本当に公式FAQの完全コピーペーストだった。訳している最中に「あれ、これどっかで読んだな」と気づいて公式を確認したときのあのなんとも言えない気持ち。

余談2:02月02日《悪性の傷/Virulent Wound》

 かわいい《銅のマイア/Copper Myr》初登場の回。それはさておき、FAQと《巨大化/Giant Growth》の相性の良さは第4版の頃から変わってない。今まで、一番FAQに登場した回数が多いカードなんじゃなかろうか。ちなみに今までFAQに登場した回数が一番多いクリーチャーは《灰色熊/Grizzly Bears》……だと思う(憶測)。

 ところで前々から気になっているんだけど、遅延誘発型能力を《もみ消し/Stifle》するときって具体的にいつ唱えればいいんだろう。《悪性の傷/Virulent Wound》から毒カウンターをもらいたくないときは《悪性の傷/Virulent Wound》が唱えられたときに「もみ消す」のか、対象となったクリーチャーが墓地に置かれたときに「もみ消す」のか。これが調べてもなかなか分からない。

 多分、クリーチャーが墓地に置かれたときに「それのコントローラーは毒(poison)カウンターを1個得る」がスタックに積まれるので、そのときに唱えるんだろうと思ってる。でも、そうだとすると《霊体の地滑り/Astral Slide》の遅延誘発型能力を「もみ消す」ときはいつ唱えればいいのかが分からなくなる。

余談3:02月03日《腐敗狼/Rot Wolf》

 Card of the Dayの元記事では省略されているイベントが多かったので、やりすぎかな、と思いつつも訳注で文中に補足を色々と入れてみた。仮にもFAQだから、訳に固執して読む人を混乱させたら意味が無いと思った。

余談4:02月04日《マイアの溶接工/Myr Welder》

 今週の意訳。
原文:
 A Myr Welder walks into a bar and imprints Mimic Vat and our friend the Copper Myr.
拙訳:
 《マイアの溶接工/Myr Welder》が散歩に出かけた際、《ミミックの大桶/Mimic Vat》とみんな大好き《銅のマイア/Copper Myr》を刻印した。

 最初「A walk into bar (Aが棒に出くわす)」という言い回しがあるのかと思って調べてしまった。多分ここの「Bar」は単なる「酒場」。原文に即して訳すなら「《マイアの溶接工/Myr Welder》がふらりと酒場に立ち寄った際に」だけど、日本語的じゃないなあ、という独断と偏見により今の形に。

余談5:02月05日 メタゲームとは?/the metagame

 実はあまり訳すのに際して苦労がなかった。さすがRichard Garfield氏の書かれた文章だけのことはあって、原文が非常に読みやすく分かりやすかった。

 あえて苦労があったとすれば、文中に出てくる各種ゲームについての調査。ブリッジの試合の単位が「ラバー(Rubber)」というのを知らなかったので「a rubber of bridge」が何かの成句かと思って調べてしまった。要するに「ブリッジの1試合」ってことか。

 それより何より、一番調査に時間がかかったのは「Crypt-List」。最初、予想したのは「一見ランダムに縦横に並べられた文字の中から単語を探すパズル」だったんだけど、Google先生に何度も聞きまくった結果、違うことが判明。

 さらに余談。試しにネットで出題されていた「Crypt-List」を解こうとしてみたんだけど、これがなかなか難しい。よほどの英単語数を知らないと太刀打ちできない。

余談6:MTGにおけるミスプレイの意味~プロだってミスするよ!

 ペンティーノさんのブログで紹介されていた翻訳記事。
 http://biggbo.diarynote.jp/201102022153325202/

 これを読んで思ったのは、まったく同じことが翻訳でも言えるなあ、ということ。特に「上手いプレイが行われた際に,観戦者はそれを当然と考え ,自分も同じ結論に至れると決めてかかりますが,実際にはそうできない人もいるはずです.」はそのまま「上手い訳が行われた際に,読者はそれを当然と考え ,自分も同じ訳に至れると決めてかかりますが,実際にはそうできない人もいるはずです.」と言い換えられると思った。うん。気をつけよう。

余談7:《襞金屑ワーム/Quilled Slagwurm》

 Card of the Dayはまったく関係ない話。公式のフルスポイラーを眺めているとき《襞金屑ワーム/Quilled Slagwurm》のフレイバーテキストが引っかかった。
Vorinclex removed its teeth so it wouldn’t waste time chewing before moving to the next kill.
引用元:http://magiccards.info/mbs/en/89.html

 そのまま訳すと「Vorinclexがその歯を取り除いたのは、次の殺しに移る前の噛み砕く無駄な時間を省くため」となるような気がするんだけど、それだと意味が分からない。

 まずVorinclexが人なのかワームなのか。ここで言っている「その歯を取り除く」というのはワームの歯のことだろうから、Vorinclexはワームではない(自分自身の歯を取り除くワームはいないだろうから)。

 ではVorinclexはなんで歯を取り除いたのかというと「次に獲物を殺しに向かう前に、いちいち前の獲物を噛み砕くのが無駄だと思ったため」歯を取り除いたらしい。ここで気になるのが「次の獲物を殺しに向かう」のは誰なんだろう、ということ。

 普通に考えるとワームなんだろうけど、ワームが黙って他人に歯を取り除かれるわけがないんだから、このワームは当然もうVorinclexによって退治されたあと。よって、残る登場人物はVorinclexしか存在しないから「Vorinclexが(ワームを殺し、その歯を取り除いたあと)次の獲物を殺しに向かう前」の話だと思った。

 だけどそうすると「Vorinclexが何かを噛み砕くのに使う時間を省くためにワームの歯を取り除いた」ことになってしまう。意味が通らない。

 ……と、文章にすると長くなってしまうけど、まあ、フレイバーテキストを読んだ瞬間、上記のような疑問が頭の中をグルグルと渦巻いたという話。

 とりあえずは日本語訳を読めば何か分かるだろうと考えて確認しにいってみた。
ヴォリンクレックスはそれの歯を取り除いた。そうすれば、次の獲物を殺す前の、噛み砕く無駄な時間を省けるからだ。
引用元:http://magiccards.info/mbs/jp/89.html

 そのままだった ( ´・ω・`)

 ここで発想の転換をしてみる。

 より自然な解釈として「次の獲物を狙うのがワーム」であるとまず仮定する。そうすると「ワームはVorinclexに黙って歯を取り除かれていた」ことになる。それがあり得るとすると、つまり2人は仲良し……というか、Vorinclexはワームの創造主っぽい立場なのかもしれない。

ヴォリンクレックス
 「デカいワーム作ろう。敵をどんどん貪ってくれるように、歯はつけないでおこう。
  どうせ飲み込まれたら助からないんだ、いちいち犠牲者を噛み砕く時間が惜しいよね」
襞金屑ワーム
 「わーい、これで休み無く獲物を貪れるぞ! ありがとう、ヴォリンクレックスさん!」

 なんか違うような気もしないでもないけど、個人的には納得できたから、これでいいや。

コメント

nophoto
おつかれさまです
2011年2月7日8:29

>《悪性の傷/Virulent Wound》
《もみ消し》はスタック上に対象が無くては唱えられません。
誘発型能力は、誘発イベントが生じるまではスタックに乗りません。

《悪性の傷》…クリーチャーが墓地に置かれ、遅延誘発型能力がスタックに乗った後、それが解決される前にあなたが優先権を得たとき、《もみ消し》て下さい。
《霊体の地滑り》…次の終了ステップの開始時に、遅延誘発型能力がスタックに乗った後、それが解決される前に以下略。

>rubber
rubberとは、「ラバー・ブリッジ」という、コントラクト・ブリッジの遊び方の一つで使われる概念です。
ブリッジの1ゲームでは、勝ったペアに対してトリック点とボーナス点が与えられます。
ラバー・ブリッジでは、どっちかのペアが累計100点のトリック点を獲得したところで「1ラバー」となります。
1ゲームでラバーになることもありますし、稀には10ゲームやってもラバーに到達しないこともあります。
どっちかのペアが累計で2ラバーを取ったら競技は終了で、ボーナス点も含めた獲得ポイントを累計して勝者を決めます。
(必ずしも2ラバー取った方が勝ちでもないので、「2ラバー先取制」とは異なります。が、ラバー獲得ボーナスがそれなりに大きいので、グランドスラムを連発されたりしてなければ、普通は2本取った方が勝ちます。)

余談ですが、ラバー・ブリッジは、家庭内やホーム・パーティ、仲間内などで遊ぶときに好まれるゲーム・ストラクチャーで、ブリッジでお金を賭ける場合は概ねこれです。
競技会では、ラバーではなくデュプリケート・ブリッジという形式で争われます。

>Vorinclex removed its teeth so it wouldn’t waste time chewing before moving to the next kill.
>ここで発想の転換をしてみる。

はい、だいたいそれで正しいと思います。
Vorinclexさんが出てくるカードは7枚ありますけど、どうもファイレクシア側の人のようですね。
歯の無い《襞金屑ワーム》を創造したのか、それともたまたまそこにいた《襞金屑ワーム》から歯を引っこ抜いただけなのか確証はありませんが、「removed」と言ってるので、たぶん後者ではないかと思います。

nophoto
あいしゃ
2011年2月7日8:47

はじめまして。いつも楽しませて頂いております。

Vorinclex/ヴォリンクレックスはファイレクシアの緑に列する派閥の法務官(偉い人)で、強い捕食者がその力を妨げられることなく繁栄すべきだという信念を持っています。なので「歯を取り除いた」というのは元々強い捕食者であるワームを彼なりの考えで更に強く改造したという事なのではないかな、と。

ペンティーノ
2011年2月7日12:10

《飲み込む金屑ワーム/Engulfing Slagwurm(SOM)》のフレーバーが

It teeth exist only for decoration:その歯はただの飾りだ

とあるのでそれを取っちゃったってことですかね

re-giant
2011年2月7日18:08

大人気だなー、ワーム。

>おつかれさまです さん
>《霊体の地滑り》…次の終了ステップの開始時に、(略)

長年の疑問が解決しました。これでアストラルグライド全盛期の時代へ青白パーミッションデッキ片手にタイムスリップしてしまっても安心です。

>ラバー・ブリッジ

やっぱり遊んだことの無いゲームの用語は厳しいですね。ありがとうございます。イメージとしては麻雀の「局」に少し似ている気がしました。「誰かが上がるまでが1局」というほど簡単ではなくて、親の連チャンやら東場と南場の違いやらでいくらでも長短の条件が変わりうる、という点。

>あいしゃさん
>ファイレクシアの緑に列する派閥の法務官(偉い人)

なるほど。あらためて探してみるとフレイバーテキストへの登場回数多いですね、ヴォリンクレックスさん。そうか偉い人なのか……個人的には、自分の(勝手な)訳のせいで、非常に親しみがいのある人なんですが。

>ペンティーノさん
>It teeth exist only for decoration:その歯はただの飾りだ

どんだけ必要ないんだ、金屑ワームの歯 (笑)。しかし「歯なんて飾りですよ」ってことが偉い人にも分かるほどなら、あと数世代も経つと退化してなくなってしまいそうです。

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