余談1:今週のCard of the Dayのテーマ
今週は、新セットの統率者で初めて収録された新カードたちのお披露目。多人数プレイ推奨のフォーマットだけあって「対戦相手が多いほどお得」なカードばかり。
余談2:月曜日 《締め付け/Stranglehold》
フレイバーテキストの紹介というだけの記事。このフレイバーテキストがなんか上手いこと言ってるっぽいんだけど、正直なところ内容を理解できていない。
原文:
The correct answer to a barbarian’s riddle is to choke on your cleverness and die.
日本語:
蛮人の出す謎に対する正しい答えは、己の知性に喉を詰まらせて死ぬことだ。
なぞなそっぽいフレイバーテキストなので、注釈で補足を入れようかと思ったんだけど、そもそも書いてる本人が内容を理解できていないので諦めた。
最初見たときは「ああ、なるほどね。蛮人が襲ってきたら小ざかしい知恵で対抗しようとしても力で押し潰されちゃうよね」と分かったつもりになったんだけど、何度も読んでいるうちによく分からなくなってきた。
そもそも「蛮人の出す謎」とは何か? 大した脳みそを持ってない輩が出してきたなぞなぞということなんだろうか。それだと「子供のなぞなぞなのに、無理に深い意味があるようにとって自滅しないように」という警句になるのかもしれない。
でもそうだとしたら「己の知性に喉を詰まらせて死ぬこと」が「正しい答え」なわけないよな。その場合の「正しい答え」は「シンプルに考えてシンプルに答えること」になるはず。
というわけで、別の解釈を考える。
「蛮人の挑戦に素直に頭を使って答えようなんて自殺行為だ」という意味なんだろうか。ほとんど最初の解釈と同じだけど、これも「自殺行為 = 正しい答え」になってしまうから、意味不明。
要するに難しいのは「正しい答え = 死ぬこと」の箇所なんだな。分かった。ここから切り崩していくしかない。
「正しい答え(correct answer)」がどういう意味か。普通に考えたら「死ぬこと」が「正しい」わけはないんだから、これはきっと「唯一の解答である = 他の選択肢がない」ということなのではないかと考えてみる。
ここで言っている「唯一の選択肢」は「己の知性に喉を詰まらせて死ぬこと」。つまり「頭を使ったせいで死んでしまう」こと。
余談なんだけど、イラストを見ると確かに「喉を詰まらせて死んでいる」。このイラストのままで、かつフレイバーテキストが「蛮人に出した謎に対して返って来た答えは、自身の知性に喉を詰まらせて死ぬことだった」とかであれば、「出題者 = 非蛮人、回答者 = 蛮人」という分かりやすい話になるんだけど。
閑話休題。
というわけで、最終的な解釈は「蛮人に何かを問われました。そのときは何をしても無駄です。唯一の選択肢は、あれやこれやと頭を使って考えをめぐらしている間に首を絞められて死にます」という感じ。
イマイチ、腑に落ちないけど、これでいいや。
余談3:火曜日 《謎の守り手/Riddlekeeper》
未来予知の「未来から来たタイムシフトカード」である《結ばれた奪い取り/Bonded Fetch》は、統率者の時代から来たのかもしれない……だって統率者のホムンクルス、《謎の守り手/Riddlekeeper》に外見がそっくりなんだぜ、という話っぽい。
どうせだったら《結ばれた奪い取り/Bonded Fetch》自体も統率者に収録してしまえば、さらに「ああ、この未来から来ていたのか」と納得できるのに。
とか言いつつ、実は統率者に収録されているカードリスト知らないんだけど。
余談4:水曜日 《野生への貢ぎ物/Tribute to the Wild》
新たなマローの魔術師、モドルーニの登場。名前は「Modruni」で、何かのアナグラムっぽいようにも見える。アナグラムの解読は頭の固い人間には向かない作業なので、そういうのが得意な人に任せる。
個人的に気になったのはどちらかというとモリモの収録セット。
フレイバーテキストの確認をしているときに知ったんだけど、どうやらモリモはアーチエネミー版が存在するらしい。どうせ多人数フォーマットに収録するなら「パワーとタフネスはそれぞれ、すべてのプレイヤーの手札にあるカードの総数に等しい」の能力を持っているムルタニを収録すればいいのに、と思った。
もしかして再録禁止カードなんだろうか、と思ったら本当にそうだった。
余談5:木曜日 《マグマの力/Magmatic Force》
元祖が 《新緑の魔力/Verdant Force》、白に《天界の魔力/Celestial Force》と来たんだから、そこは《マグマの魔力/Magmatic Force》じゃないの?
とはいえ、誰も関連性を思いつかなかった、なんてことはあるわけないと思うので、きっと色々と話し合った結果に決まった訳なんだろうな。
「当然、訳は《マグマの魔力》しかありえねーだろ!」
「《マグマの魔力》ってなんだよ! マグマに魔力があんのかよ!」
「じゃあ、あんた、《新緑の魔力》なら説明できるってのかよ!」
「やめて、2人とも! こんな……こんなことになるくらいなら……!」
「……まずい! 彼女を止めろ! 窓から投げ捨てるつもりだ!」
「止めないで! 争いの種になるくらいなら、いっそ!」
冗談はさておき、こういった訳が決まるまでの経緯については結構気になってたりする。1人の考えでさくっと決まるような話じゃなさそうだし、もし機会があれば経緯を見てみたい。ぐるぐる。
余談6:金曜日 《吸肉/Syphon Flesh》
「肉」を吸われたら、もう「魂」とか「心」とか関係ないような気がするんだけど。
それはさておき、記事のオチでリスティックについて言葉を濁しているんだけど、この「えーと」という間はどういう意味なのかについて考えてみた。
1つには「リスティックを吸い取る、ってなんだよ、リスティックを吸い取るって」という意味でのためらいという可能性。もう1つに「あまり思い出したくないけど、ほら、あのがっかりメカニズムのリスティックにも Syphon があるよ」という意味でのためらい、という可能性。
まあ、前者だろうけどね。
余談7:より良いエンチャントのために(その1)/Enchantment For Better Things, Part One
ぶっちゃけると、1枚目に紹介されている《死体の花/Cadaverous Bloom》に関する記事の中の、Mark Rosewater と Mike Long の会話を訳したかっただけだったりする。
《霊の鏡/Spirit Mirror》のトークンに《平和な心/Pacifism》を貼り付けられた話なども面白かったけど、主目的はあくまで《死体の花/Cadaverous Bloom》。
とはいえ、前編を訳した以上、後編も訳すつもり。個人的に後編の見どころだと思っているのは、2人のマーク(Mark Rosewater、Mark Gottlieb)が対決するところ。
余談8:Tom LaPilleのプロツアー名古屋旅行記/Magical Mystery Tour
諸事情により急いで訳したので、ところどころ訳が粗い部分がある。
「one can only imagine」の箇所の訳。間違ってはいないけど「想像に難くない」としたほうが日本語がカッコ良かったかもしれない。その場合「同様のミスが世界のどこかで起きてしまっているということは想像に難くない」のようになる。ただ本音を言うと、原文の「so I’m glad I experienced it」を正しくつかめているのかよく分からない。おそらく「起きやすいミスだから自分で経験しておくことは今後のマジックの開発に携わる上で無駄にはなるまい」という意味だと思ってるんだけど、はてさて。
これも訳は間違っていないと思う。単に日本語がカッコ悪いという話。色々と訳の粗い文なんだけど、特に「primitive」の箇所。これは確かに「原始的、粗野」という意味なんだけど、さすがにそのまま訳したのは失敗だったかもしれない。文脈から考えると「当時の弱いカード」を指しているようだから「~よりもずっと非効率的なカード」とか「~よりも貧弱なカード」とかのほうがふさわしい気がする。
自動翻訳かお前は、と言いたくなるような訳。もっとも、じゃあどう訳そうかというと難しい。原文が繊細で詩的な文なので、ちょっとでも意訳を試みると簡単に壊れてしまいそう。まあ、根本的な問題は「surreal」なんだけど。日本だと「シュールレアリスム」で知られてる単語。
「Nominally」をわざわざ「名目上」と直訳しなくてもよかったかもしれない。「~ということになっている」のほうが自然だったかな。それと「targeted research」の訳だけど、これはどうしたものか。この場合の「Target」は「顧客」なのかな。「顧客リサーチ」とか「顧客を対象としたリサーチ」のような……でも、そもそも顧客以外を対象にしたリサーチなんてないだろうし。
余談9:禁止カード
今週のマジックコミュニティは、どこもかしこもこの話題で持ちきりだった。
久しぶりの禁止カードということもあるし、スタンダードから落ちるまでの期間が短いことや、発売したばかりの構築済みに含まれているカードが対象、などなど、これほど話題に事欠かないネタも珍しい。
とはいえ、実際にカードを持っているわけでもなし、実際に使われたことがあるわけでもなし、ほとんど影響を受けないそんな自分が何か言ってもしょうがないわけで。
1つだけ言えるとすれば、次がないといいな、ということ。
やっぱり禁止カードは、色んな人にとって残念な話。今までそのカードに負けてきた人からすれば釈然としないものがあるかもしれないし、今そのカードを持っている人はがっかりするし、新たにパックから引いてしまった人もがっかりするし……禁止カードなんて出ないにこしたことない。
余談10:基本セット2012
徐々に公式サイトでもプレビューが出始めた基本セット2012。《平和な心/Pacifism》のカードイラストがミラージュ版で懐かしい、とか、そういえばもう《魂の絆/Spirit Link》は存在しなくて《絆魂/Lifelink》なんだっけ、とか、つらつら眺めているだけでも楽しい。
そうそう。毎度毎度プレビューサイトを探すのがとんでもなく手間なんだけど、どうにかして欲しいな。なんで日本語公式サイトのトップページに基本セットのプレビューへ飛べるリンクを置いてくれないんだろう。
まあ、それはそれとして。
新しいカードで個人的にヒットだったのは《マナリス/Manalith》と《Greatsword/大剣》。
前者はその名前と能力とイラストとが噛み合いすぎてる。そのうち《厳かなマナリス/Grim Manalith》とか《翡翠のマナリス/Jade Manalith》とか出してくれないかな。
後者の《Greatsword/大剣》は(強さの残念っぷりは後述するとして)そのファンタジーRPGそのものであるシンプルなネーミングと効果とイラストが素晴らしい。どうせ《Kiteshield》を《カイトシールド》と訳すなら、こっちも《グレートソード》にしてくれればいいのにな。もったいない。
さて、避けて通れない効果の残念っぷりについて。
よく、レアリティが違うから比べられない、と言われるけど、その言い訳が通用するレベルを遥かにこえてないか、これ。
神話レアの「剣」と比べるとさすがに2段階レアリティを理由にされそうなので、レアの「剣」と比べてみようか。どっちでもいいけど、とりあえず《光と影の剣》で比較してみる。
1.マナコスト
《大剣》は(3)
《光と影の剣》は(3)
結果:互角
2.パワーとタフネス
《大剣》は +3/+0
《光と影の剣》は +2/+2
結果:互角?
3.装備コスト
《大剣》は(3)
《光と影の剣》は(2)
結果:《光と影の剣》の勝ち
4.プロテクション
《大剣》はなし
《光と影の剣》は「プロテクション (白と黒)」
結果:《光と影の剣》の勝ち
5.その他の追加効果
《大剣》はなし
《光と影の剣》は《死者再生》と《治癒の軟膏》
結果:《光と影の剣》の勝ち
個人的に一番ひどいと思うのは「装備コスト」。いくらなんでもそれくらいは許してあげて欲しい、と思った。差分値をとりまとめてみるとこんな感じか。
【デメリット】
・パワー修整値を1点下げる
・レアリティを1段階上げる
【メリット】
・タフネス修整値が2点上がる
・装備コストが1点減る
・プロテクション (白) を得る
・プロテクション (黒) を得る
・攻撃が通った際に《死者再生》の効果
・攻撃が通った際に《治癒の軟膏》の効果
パワーとタフネスの修整値でメリット・デメリットを相殺したとすると、レアリティを一段階上げることで「装備コストが下がって、プロテクション (白) を得て、プロテクション (黒) を得て、攻撃が通った際に《死者再生》を誘発して、攻撃が通った際に《治癒の軟膏》を誘発する」ってことだぞ。
それがレアリティ一段階の差だとすると、《光と影の剣》をさらに神話レアに押し上げることで、それ1本だけで世界を薙ぎ払える剣が生まれるんじゃないか。……いや、《世界薙ぎの剣/Worldslayer》の話じゃなくて。
ここでさらに《骨断ちの矛槍/Bonesplitter》(マナコスト(1)、装備コスト(1)、修整値 +2/+0、コモン)の話を持ちだしてもいいんだけど、もう《Greatsword/大剣》のライフはゼロよ!、という叫びが聞こえて来たのでここまでにしとく。
余談10:基本セットの名前
ところでいまだに新しい基本セットの呼び方に慣れない。第4版から入った身としては、単純に「第 N 版」で続けてくれれば楽なのに、と思う。ネット上でも呼び方が「基本セット2012」、「M12」、「M2012」、「基本セットM12」のように表記が色々で検索しづらい。
変えた理由は、おそらく週刊少年ジャンプで連載されていた「ジョジョの奇妙な冒険」が「スティール・ボール・ラン」になったことや、週刊少年チャンピオンで連載されていた「グラップラー刃牙」が「バキ」になってからさらに「範馬刃牙」になったことと同じ理由じゃないかと、推測してる。
つまり「積みあがった数字が大きいと、新規読者(ユーザ)が二の足を踏むから」じゃないかと思った。「第13版」とか見せられたら「そんな長い歴史があるのか。今から入っても大丈夫なんだろうか」となるかもしれないけど「M2012」なら「ああ、今年度の商品なんだな」で済む。
全て憶測だけど。
今週は、新セットの統率者で初めて収録された新カードたちのお披露目。多人数プレイ推奨のフォーマットだけあって「対戦相手が多いほどお得」なカードばかり。
余談2:月曜日 《締め付け/Stranglehold》
フレイバーテキストの紹介というだけの記事。このフレイバーテキストがなんか上手いこと言ってるっぽいんだけど、正直なところ内容を理解できていない。
原文:
The correct answer to a barbarian’s riddle is to choke on your cleverness and die.
日本語:
蛮人の出す謎に対する正しい答えは、己の知性に喉を詰まらせて死ぬことだ。
なぞなそっぽいフレイバーテキストなので、注釈で補足を入れようかと思ったんだけど、そもそも書いてる本人が内容を理解できていないので諦めた。
最初見たときは「ああ、なるほどね。蛮人が襲ってきたら小ざかしい知恵で対抗しようとしても力で押し潰されちゃうよね」と分かったつもりになったんだけど、何度も読んでいるうちによく分からなくなってきた。
そもそも「蛮人の出す謎」とは何か? 大した脳みそを持ってない輩が出してきたなぞなぞということなんだろうか。それだと「子供のなぞなぞなのに、無理に深い意味があるようにとって自滅しないように」という警句になるのかもしれない。
でもそうだとしたら「己の知性に喉を詰まらせて死ぬこと」が「正しい答え」なわけないよな。その場合の「正しい答え」は「シンプルに考えてシンプルに答えること」になるはず。
というわけで、別の解釈を考える。
「蛮人の挑戦に素直に頭を使って答えようなんて自殺行為だ」という意味なんだろうか。ほとんど最初の解釈と同じだけど、これも「自殺行為 = 正しい答え」になってしまうから、意味不明。
要するに難しいのは「正しい答え = 死ぬこと」の箇所なんだな。分かった。ここから切り崩していくしかない。
「正しい答え(correct answer)」がどういう意味か。普通に考えたら「死ぬこと」が「正しい」わけはないんだから、これはきっと「唯一の解答である = 他の選択肢がない」ということなのではないかと考えてみる。
ここで言っている「唯一の選択肢」は「己の知性に喉を詰まらせて死ぬこと」。つまり「頭を使ったせいで死んでしまう」こと。
余談なんだけど、イラストを見ると確かに「喉を詰まらせて死んでいる」。このイラストのままで、かつフレイバーテキストが「蛮人に出した謎に対して返って来た答えは、自身の知性に喉を詰まらせて死ぬことだった」とかであれば、「出題者 = 非蛮人、回答者 = 蛮人」という分かりやすい話になるんだけど。
閑話休題。
というわけで、最終的な解釈は「蛮人に何かを問われました。そのときは何をしても無駄です。唯一の選択肢は、あれやこれやと頭を使って考えをめぐらしている間に首を絞められて死にます」という感じ。
イマイチ、腑に落ちないけど、これでいいや。
余談3:火曜日 《謎の守り手/Riddlekeeper》
未来予知の「未来から来たタイムシフトカード」である《結ばれた奪い取り/Bonded Fetch》は、統率者の時代から来たのかもしれない……だって統率者のホムンクルス、《謎の守り手/Riddlekeeper》に外見がそっくりなんだぜ、という話っぽい。
どうせだったら《結ばれた奪い取り/Bonded Fetch》自体も統率者に収録してしまえば、さらに「ああ、この未来から来ていたのか」と納得できるのに。
とか言いつつ、実は統率者に収録されているカードリスト知らないんだけど。
余談4:水曜日 《野生への貢ぎ物/Tribute to the Wild》
新たなマローの魔術師、モドルーニの登場。名前は「Modruni」で、何かのアナグラムっぽいようにも見える。アナグラムの解読は頭の固い人間には向かない作業なので、そういうのが得意な人に任せる。
個人的に気になったのはどちらかというとモリモの収録セット。
フレイバーテキストの確認をしているときに知ったんだけど、どうやらモリモはアーチエネミー版が存在するらしい。どうせ多人数フォーマットに収録するなら「パワーとタフネスはそれぞれ、すべてのプレイヤーの手札にあるカードの総数に等しい」の能力を持っているムルタニを収録すればいいのに、と思った。
もしかして再録禁止カードなんだろうか、と思ったら本当にそうだった。
余談5:木曜日 《マグマの力/Magmatic Force》
元祖が 《新緑の魔力/Verdant Force》、白に《天界の魔力/Celestial Force》と来たんだから、そこは《マグマの魔力/Magmatic Force》じゃないの?
とはいえ、誰も関連性を思いつかなかった、なんてことはあるわけないと思うので、きっと色々と話し合った結果に決まった訳なんだろうな。
「当然、訳は《マグマの魔力》しかありえねーだろ!」
「《マグマの魔力》ってなんだよ! マグマに魔力があんのかよ!」
「じゃあ、あんた、《新緑の魔力》なら説明できるってのかよ!」
「やめて、2人とも! こんな……こんなことになるくらいなら……!」
「……まずい! 彼女を止めろ! 窓から投げ捨てるつもりだ!」
「止めないで! 争いの種になるくらいなら、いっそ!」
冗談はさておき、こういった訳が決まるまでの経緯については結構気になってたりする。1人の考えでさくっと決まるような話じゃなさそうだし、もし機会があれば経緯を見てみたい。ぐるぐる。
余談6:金曜日 《吸肉/Syphon Flesh》
「肉」を吸われたら、もう「魂」とか「心」とか関係ないような気がするんだけど。
それはさておき、記事のオチでリスティックについて言葉を濁しているんだけど、この「えーと」という間はどういう意味なのかについて考えてみた。
1つには「リスティックを吸い取る、ってなんだよ、リスティックを吸い取るって」という意味でのためらいという可能性。もう1つに「あまり思い出したくないけど、ほら、あのがっかりメカニズムのリスティックにも Syphon があるよ」という意味でのためらい、という可能性。
まあ、前者だろうけどね。
余談7:より良いエンチャントのために(その1)/Enchantment For Better Things, Part One
ぶっちゃけると、1枚目に紹介されている《死体の花/Cadaverous Bloom》に関する記事の中の、Mark Rosewater と Mike Long の会話を訳したかっただけだったりする。
《霊の鏡/Spirit Mirror》のトークンに《平和な心/Pacifism》を貼り付けられた話なども面白かったけど、主目的はあくまで《死体の花/Cadaverous Bloom》。
とはいえ、前編を訳した以上、後編も訳すつもり。個人的に後編の見どころだと思っているのは、2人のマーク(Mark Rosewater、Mark Gottlieb)が対決するところ。
余談8:Tom LaPilleのプロツアー名古屋旅行記/Magical Mystery Tour
諸事情により急いで訳したので、ところどころ訳が粗い部分がある。
原文:
This was frustrating, but I can only imagine it happens elsewhere in the world, so I’m glad I experienced it.
拙訳:
これはあまり楽しい出来事ではなかったが、同じミスは世界のどこかでも起こっているだろうと思う。そう考えると、こんな目にあったのも無駄ではない。
「one can only imagine」の箇所の訳。間違ってはいないけど「想像に難くない」としたほうが日本語がカッコ良かったかもしれない。その場合「同様のミスが世界のどこかで起きてしまっているということは想像に難くない」のようになる。ただ本音を言うと、原文の「so I’m glad I experienced it」を正しくつかめているのかよく分からない。おそらく「起きやすいミスだから自分で経験しておくことは今後のマジックの開発に携わる上で無駄にはなるまい」という意味だと思ってるんだけど、はてさて。
原文:
The tools that the Mirage Block versions of this deck used to sacrifice their lands were much more primitive than the cards this fellow was using,
拙訳:
ミラージュブロック構築時代のこのコンボデッキが自身の土地を破壊するのに使っていたカードは、今回のこの人物が使っていたものよりずっと原始的なカードだった。
これも訳は間違っていないと思う。単に日本語がカッコ悪いという話。色々と訳の粗い文なんだけど、特に「primitive」の箇所。これは確かに「原始的、粗野」という意味なんだけど、さすがにそのまま訳したのは失敗だったかもしれない。文脈から考えると「当時の弱いカード」を指しているようだから「~よりもずっと非効率的なカード」とか「~よりも貧弱なカード」とかのほうがふさわしい気がする。
原文:
It was surreal to have Sands of Time / Equipoise reach out of the depths of time and cause me a little bit of misery.
拙訳:
《時の砂/Sands of Time》と《平衡/Equipoise》が深い時の底から蘇り、私にちょっとした不幸を届けてくれたことは不思議な体験だった。
自動翻訳かお前は、と言いたくなるような訳。もっとも、じゃあどう訳そうかというと難しい。原文が繊細で詩的な文なので、ちょっとでも意訳を試みると簡単に壊れてしまいそう。まあ、根本的な問題は「surreal」なんだけど。日本だと「シュールレアリスム」で知られてる単語。
原文:
Nominally speaking, some part of my job is supposed to be research. We sometimes do targeted research like focus testing or surveys,
拙訳:
名目上、リサーチは私の仕事の一部だ。私たちは時々はターゲットを絞ったリサーチを行う。対象を決めたテストやアンケートなどだ。
「Nominally」をわざわざ「名目上」と直訳しなくてもよかったかもしれない。「~ということになっている」のほうが自然だったかな。それと「targeted research」の訳だけど、これはどうしたものか。この場合の「Target」は「顧客」なのかな。「顧客リサーチ」とか「顧客を対象としたリサーチ」のような……でも、そもそも顧客以外を対象にしたリサーチなんてないだろうし。
余談9:禁止カード
今週のマジックコミュニティは、どこもかしこもこの話題で持ちきりだった。
久しぶりの禁止カードということもあるし、スタンダードから落ちるまでの期間が短いことや、発売したばかりの構築済みに含まれているカードが対象、などなど、これほど話題に事欠かないネタも珍しい。
とはいえ、実際にカードを持っているわけでもなし、実際に使われたことがあるわけでもなし、ほとんど影響を受けないそんな自分が何か言ってもしょうがないわけで。
1つだけ言えるとすれば、次がないといいな、ということ。
やっぱり禁止カードは、色んな人にとって残念な話。今までそのカードに負けてきた人からすれば釈然としないものがあるかもしれないし、今そのカードを持っている人はがっかりするし、新たにパックから引いてしまった人もがっかりするし……禁止カードなんて出ないにこしたことない。
余談10:基本セット2012
徐々に公式サイトでもプレビューが出始めた基本セット2012。《平和な心/Pacifism》のカードイラストがミラージュ版で懐かしい、とか、そういえばもう《魂の絆/Spirit Link》は存在しなくて《絆魂/Lifelink》なんだっけ、とか、つらつら眺めているだけでも楽しい。
そうそう。毎度毎度プレビューサイトを探すのがとんでもなく手間なんだけど、どうにかして欲しいな。なんで日本語公式サイトのトップページに基本セットのプレビューへ飛べるリンクを置いてくれないんだろう。
基本セット2012・特設サイト
http://www.wizards.com/magic/tcg/products.aspx?x=mtg/tcg/products/magic2012
まあ、それはそれとして。
新しいカードで個人的にヒットだったのは《マナリス/Manalith》と《Greatsword/大剣》。
前者はその名前と能力とイラストとが噛み合いすぎてる。そのうち《厳かなマナリス/Grim Manalith》とか《翡翠のマナリス/Jade Manalith》とか出してくれないかな。
後者の《Greatsword/大剣》は(強さの残念っぷりは後述するとして)そのファンタジーRPGそのものであるシンプルなネーミングと効果とイラストが素晴らしい。どうせ《Kiteshield》を《カイトシールド》と訳すなら、こっちも《グレートソード》にしてくれればいいのにな。もったいない。
さて、避けて通れない効果の残念っぷりについて。
Greatsword / 大剣 (3)
アーティファクト - 装備品(Equipment)
装備しているクリーチャーは+3/+0の修整を受ける。
装備(3)((3):あなたがコントロールするクリーチャー1体を対象とし、それにつける。装備はソーサリーとしてのみ行う。このカードはつけられていない状態で戦場に出て、クリーチャーが戦場を離れても戦場に残る。)
よく、レアリティが違うから比べられない、と言われるけど、その言い訳が通用するレベルを遥かにこえてないか、これ。
神話レアの「剣」と比べるとさすがに2段階レアリティを理由にされそうなので、レアの「剣」と比べてみようか。どっちでもいいけど、とりあえず《光と影の剣》で比較してみる。
1.マナコスト
《大剣》は(3)
《光と影の剣》は(3)
結果:互角
2.パワーとタフネス
《大剣》は +3/+0
《光と影の剣》は +2/+2
結果:互角?
3.装備コスト
《大剣》は(3)
《光と影の剣》は(2)
結果:《光と影の剣》の勝ち
4.プロテクション
《大剣》はなし
《光と影の剣》は「プロテクション (白と黒)」
結果:《光と影の剣》の勝ち
5.その他の追加効果
《大剣》はなし
《光と影の剣》は《死者再生》と《治癒の軟膏》
結果:《光と影の剣》の勝ち
個人的に一番ひどいと思うのは「装備コスト」。いくらなんでもそれくらいは許してあげて欲しい、と思った。差分値をとりまとめてみるとこんな感じか。
【デメリット】
・パワー修整値を1点下げる
・レアリティを1段階上げる
【メリット】
・タフネス修整値が2点上がる
・装備コストが1点減る
・プロテクション (白) を得る
・プロテクション (黒) を得る
・攻撃が通った際に《死者再生》の効果
・攻撃が通った際に《治癒の軟膏》の効果
パワーとタフネスの修整値でメリット・デメリットを相殺したとすると、レアリティを一段階上げることで「装備コストが下がって、プロテクション (白) を得て、プロテクション (黒) を得て、攻撃が通った際に《死者再生》を誘発して、攻撃が通った際に《治癒の軟膏》を誘発する」ってことだぞ。
それがレアリティ一段階の差だとすると、《光と影の剣》をさらに神話レアに押し上げることで、それ1本だけで世界を薙ぎ払える剣が生まれるんじゃないか。……いや、《世界薙ぎの剣/Worldslayer》の話じゃなくて。
ここでさらに《骨断ちの矛槍/Bonesplitter》(マナコスト(1)、装備コスト(1)、修整値 +2/+0、コモン)の話を持ちだしてもいいんだけど、もう《Greatsword/大剣》のライフはゼロよ!、という叫びが聞こえて来たのでここまでにしとく。
余談10:基本セットの名前
ところでいまだに新しい基本セットの呼び方に慣れない。第4版から入った身としては、単純に「第 N 版」で続けてくれれば楽なのに、と思う。ネット上でも呼び方が「基本セット2012」、「M12」、「M2012」、「基本セットM12」のように表記が色々で検索しづらい。
変えた理由は、おそらく週刊少年ジャンプで連載されていた「ジョジョの奇妙な冒険」が「スティール・ボール・ラン」になったことや、週刊少年チャンピオンで連載されていた「グラップラー刃牙」が「バキ」になってからさらに「範馬刃牙」になったことと同じ理由じゃないかと、推測してる。
つまり「積みあがった数字が大きいと、新規読者(ユーザ)が二の足を踏むから」じゃないかと思った。「第13版」とか見せられたら「そんな長い歴史があるのか。今から入っても大丈夫なんだろうか」となるかもしれないけど「M2012」なら「ああ、今年度の商品なんだな」で済む。
全て憶測だけど。
コメント
これは、「蛮人のなぞなぞ。正解は『おりこうが喉に詰まって死んじゃった』。」てなとこでしょう。
どんな「なぞなぞ」だったのか、肝心の問いは書いてませんが、脳力フル回転で推理するに、「これからお前に起こること、な~んだ」とかそんなとこでしょうか。
蛮人ですし。
>アナグラムの解読は頭の固い人間には向かない作業なので
そういう皆さんのためにこういうサービスもあります。
Internet Anagram Server tp://wordsmith.org/anagram/
どうも英語の一般名詞のアナグラムではないっぽいですね。
>「想像に難くない」としたほうが日本語がカッコ良かったかもしれない。
なるほど。
でも、「only」のニュアンスが飛んじゃってませんか?
「かろうじて」とか、そういう感じですよね。
>targeted research
文科省とか学術会議関係では「特定領域研究」と訳すようですね。
正直あんまりいい訳って気はしないですが、お役所はそういうことあんまり気にしませんからねぇ。
「ターゲットを絞ったリサーチ」は分かりやすくていい訳だと思いますよ!
うーん。その場合は「特定のなぞなぞ」に対する答えになるので「The correct answer to [the] barbarian’s riddle」になるんではないかと思うんですよ。
こういうのってウィザーズのユーザサポートへ問い合わせメール送れば正しい解釈…… the correct answer を教えてくれるんでしょうかね(笑)
>そういう皆さんのためにこういうサービスもあります
おお、アナグラム解析機ですか。こんな便利なものがあるんですね。ただ、ジグソーパズルを自動で解いてもらってしまうような物寂しさもちょっとありますけど。
>文科省とか学術会議関係では「特定領域研究」と訳すようですね
なるほど。うーん、そういう学問系の専門用語とか、限られた世界の単語は見つけるの難しいです。スラングとはまた違った世界の広がり。
リンクさせて頂きました、よろしくお願いします。
《大剣》は同じアンコモンの《ロクソドンの戦槌/Loxodon Warhammer》なんかと比べるともうなんだろう比べるとかそういう次元じゃないなと感じます。
流石にハンマーは基本セット入りにするにあたってレア化しましたが、アンコモンにするとこうなっちゃうのかと思うと酷いものですね。
:This was frustrating, but I can only imagine it happens elsewhere in the world, so I’m glad I experienced it.
これは楽しい出来事ではなかったが、この出来事がもしここではないどこかで起きたのだとしたら、わたしはそれを想像することしかできないのだ。そう考えると、実際体験できただけ幸せだったと言える。
ただ、いずれにしても
>おそらく「起きやすいミスだから自分で経験しておくことは今後のマジックの開発に携わる上で無駄にはなるまい」という意味だ
この部分はおそらく間違いないかと。
そういえば、ハンマーは元々アンコモンでしたっけ。同じレアリティな上に性能が非常に似通っていて比較しやすい分、差が歴然ですね。まったくひどい話です。まあ、レアに格上げされているので情状酌量の余地あり、でしょうか。それに「剣」じゃないですし(個人的には重要な点)。
日本語としても自然で、内容もすんなり頭に入るナイスな訳ですね。ちょっと悔しい。高潮のさんのコメントを削除して証拠を隠滅しつつ、自分の記事をその訳でこっそり上書きしておこうかな、と迷うほどです(やめろ)。