余談1:今週のCard of the Dayのテーマ
今週のテーマは基本セット2012に再録されるカードたち。
余談2:月曜日 《精神の制御/Mind Control》
第4版からマジックを始めた身としては、今まで多くの調整版(という名の弱体化)を見てきた。《稲妻/Lightning Bolt》が《ショック/Shock》に変わったのも、《対抗呪文/Counterspell》が《取り消し/Cancel》に変わったのも見てきた。
そのたびに友人たちと「単に弱くなってないか、これ」と顔を見合わせていた。ただ《支配魔法/Control Magic》が消えてしばらくしてから《不実/Treachery》が出て来たのを見たときは「……これ、強化されてないか?」が皆の共通した感想だったように思う。
何せ基本セットのコントロール奪取が《捕縛/Binding Grasp》とか《誘拐/Abduction》の時代。そんな中、あっさりクリーチャー奪っておいてマナがフル回復している状態を維持できるのは、着地に隙のない昇竜拳のような強さだった。ひどいときには《不実/Treachery》から《不実/Treachery》というコンボでもなんでもないコンボが発生してたし。
そんなわけで、昔さんざん《支配魔法/Control Magic》を撃っていたのに《説得/Persuasion》を見たときはむしろほっとした記憶がある。ああ、これくらいがちょうどいいんでないかい、という感じ。
余談3:火曜日 《正義の執政官/Archon of Justice》
基本セット2012から登場する新しいゲーム用語である「死亡する」の紹介。確かに文字数は短くなるけど、非クリーチャーに関しては今まで同じ表記を使うのであろうことを考えると、同じことをカードによって違う呼び方することになるけどいいのかな。
とか言いつつ、直感的に分かりやすい用語だとも思う。「埋葬する/Bury」みたいな暗記物とは一味違う(ちなみに「埋葬する/Bury」は「破壊する+再生できない」という意味。確か《神の怒り/Wrath of God》のテキストは一時期「Bury all creatures」だった)。
余談4:水曜日 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
個人的な意見だけど、あのときの《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》の相方が《ユートピアの木/Utopia Tree》という時点で「開発側が落とすつもり満々」だったんじゃないの?、と今も疑ってる。逆抱き合わせ商法と言えばいいのか。
これまた憶測だけど「《ぶどう棚/Vine Trellis》と《ユートピアの木/Utopia Tree》の2枚はいらないから、その他の2枚残してくれー」と思った人がいっぱいいたんじゃないかなー。
余談5:木曜日 《オーラ術師/Auramancer》
新枠での再録に、一部の Rebecca Guay ファンがお喜びのもよう。それはさておき、最後の辺りが訳していてちょっと面白かった。英語には「mance」という単語がないので、多分、これで合ってるはず。
余談6:金曜日 《火山のドラゴン/Volcanic Dragon》
確かに性能から鑑みるにアンコモンというレアリティが妥当かもしれないけど、ちょっとかわいそうな気もする。むしろ、最近のインフレ具合からすると同じ能力で 5/5 でもいい。ドラゴンなのにアンコモンというと《チビ・ドラゴン/Dragon Whelp》以来かな……ああ、もちろん多相を除いての話。
余談7:カードギャラリー
特設サイトのカードギャラリーを見て思ったのは(先週もちょっと書いたけど)次に出る基本セットの「日本語の正式名称」が何なのかいまだに良く分からないということ。
カードギャラリーのHTML上のタイトルは「マジック2012 カードイメージギャラリー」で、ページの画像にあるタイトルは「基本セット2012 カードギャラリー」。さらに文中にある前書きには「マジック2012 基本セット カードギャラリーへようこそ」とある。
なんか揉めてるのかな……まさかね。
余談8:プレインズウォーカー
基本セットに収録されるプレインズウォーカーの話。実戦の強さに関しては正直よく分からないので、フレイバー的な印象について気になったところでも書いてみようかと。
黒のプレインズウォーカーである《ソリン・マルコフ/Sorin Markov》さんなんだけど、この人の2つ目の能力が今回の部下たちとかみあってないのがさみしい。もちろん、お名前を冠している《ソリンの復讐/Sorins Vengeance》との相性(?)は問題ないんだけど、そういう話ではなく。
前回の登場時は、配下の吸血鬼たちが「対戦相手のライフが10点以下だったら、もっと頑張れるんスけどねえ(チラッ)」とボスに求めていたわけなんだけど、今回の基本セットに収録されている吸血鬼の方々って別段そんなこと求めてないような気が……狂気とのシナジーだったら1つ目の能力で十分すぎるし。
ソリンさんが新しいこの職場で「そーら、相手のライフを10点にしてやったぞ、嬉しいか、お前ら!」と意気揚々としているのに対して、部下の吸血鬼たちが白けた顔で「うわーい(棒読み)」「やったぜー(棒読み)」みたいなことになっていないかと不安になる。
トイレで吸血鬼たちが「6マナで出てきてあれかよ」「あと1マナ我慢して復讐だけしてくれてれば十分やっちゅうの」とか話してて、個室でソリンさんがそれ聞いてがっくりしてたらどうしよう。「昔の部下たちは目を血走らせて喜んでくれてたのになあ……」と昔の仲間と一緒に飲み会で撮った集合写真にぽつぽつと涙をこぼしながらジェネレーションギャップに悩むソリンさん頑張れ。超頑張れ。
でも多分また使われな(以下略)
余談9:偉大となるべく運命づけられた《Angelic Destiny》について
もう本当に申し訳ない。以後、気をつけます。コメント欄にも書いたけど、カードテキストの誤訳のせいで記事の内容(新用語である「死亡する」について言及があった箇所)と齟齬を起こしている点が特に申し開きできない。
訳がひどかったり、日本語がおかしかったりする場合は恥をかくのが自分で済むけれど「この記事の内容はカードを正しく読んでない気がする」みたいなことになると、原文の筆者が疑われてしまうわけで……指摘してくれた方にあらためて感謝。
さて。
気を取り直して本文の話。
力技で訳したことにしたけど、なんか違ってることに自分でも気づいてる。「suit up」に対して「button up」を用いて何か上手いこと言ってるんだろうなあ、と思いつつも、結局そのニュアンスを訳し切れなかった。
余談10:お気に入り日記の更新、について
前に「お気に入り日記の更新」が一覧に上手く反映されない、というお言葉を頂いた。その原因が分かった。原因はダイアリーノートの仕様。左にある「お気に入り日記の更新」の一覧は「更新した日記の日付順」に並ぶけど、そこに表示される日付は「更新日時」である、ということ。
書いてる自分でも分かりづらい説明だなと思うので例を挙げてみる。例えば、AさんとBさんをお気に入り登録していたとしてそれぞれの方が以下のような日時に日記を更新したとする。
Aさん
07月02日 20:30 に「07月02日」の日記を投稿(タイトル:Aの日記です)
Bさん
07月03日 22:30 に「07月01日」の日記を投稿(タイトル:Bの日記だよ)
この場合、そのBさんの日記自体はAさんより過去のものなので、Bさんのほうが更新日時は新しくてもお気に入り日記の更新順はAさんが上に来る。つまり以下のようになる。
Aの日記です Aさん (7月2日 20:30)
Bの日記だよ Bさん (7月3日 22:30)
さらにCさんが上記の1週間後に、今更ながら「06月20日」の日記を「07月10日 23:30」に投稿したとする。すると日記の日付上は3つの中で一番の過去なので「お気に入り日記の更新」のリスト上は以下の通り下へ回されてしまう(更新日時は一番最近)。
Aの日記です Aさん (7月3日 20:30)
Bの日記だよ Bさん (7月3日 22:30)
Cの日記だす Cさん (7月10日 23:30)
この「アラビア湾が見えるよ」のブログでは、翻訳記事は基本的に土曜日に突っ込むことにしている。そのためだけに過去の土曜日が「空けられて」いる。翻訳記事をその「空けておいた過去の土曜日」に投稿すると「お気に入り日記の更新」リストの順序は遥か過去に回されてしまう。
と、そういう話なんだけど……なんか簡単なことを難しく説明しているような。
余談11:より良いエンチャントのために(その2)/Enchantment For Better Things, Part Two
この前後編の翻訳記事は、日記の日付上は「06月11日」に投稿されている。そのため、上記の「余談10」で説明した理由により、リンクを張って下さっている方々の「お気に入り日記の更新」リスト上ではかなり下の方に位置していたはずで、多分、誰もこれのアップデートに気づいてないと思われる。まあ、気が向いたら読んでみてください。
さて、これはMark Rosewater氏の記事なわけで、つまり色々と難しい言い回しがいっぱい使われている。いや、難しい、というのは正しくないか。単語をそのままの意味に使わず感覚的に内容が伝わってくる文章というか……難しいというより読む側にも高いレベルを要求してくる文章というべきかも。
言いたいことはしっかり伝わってくるのにそれを日本語に置き換えるのがとんでもなく難しい。多分「カードにはあるべき姿というものがあり、無理に力を加えず、カードが自然と向かうべき方向に進むのを見守る。それが良いデザインだ」みたいなことだと思うんだけど、これをそのまま書いたら「翻訳」と言うより「説明」とか「解説」な気がする。
いや、なんとなくは分かる気がするんだ。「tickles your design bone」とか、なんとなく何を言いたいか伝わってくるんだけど、それを日本語にするのが、もう、なんというか……難しい。そもそも解釈が間違ってる可能性もある。
ここらへんはもうマジックがどうこうと言うより、物語を構築する上で知っておくべきノウハウそのままな気がする。訳すのは大変だったけど、興味深かった部分でもある。正しく理解できてるといいんだけど。
これは単純に「we should shake things up a bit」の訳に困ったという話。「安易に停滞させず『軽く揺さぶって』変化をつけたい」という意味での「shake」と思われるけど、そのまま訳したら日本語にならないし……と、色々考えた結果、こんな感じ。
今週のテーマは基本セット2012に再録されるカードたち。
余談2:月曜日 《精神の制御/Mind Control》
第4版からマジックを始めた身としては、今まで多くの調整版(という名の弱体化)を見てきた。《稲妻/Lightning Bolt》が《ショック/Shock》に変わったのも、《対抗呪文/Counterspell》が《取り消し/Cancel》に変わったのも見てきた。
そのたびに友人たちと「単に弱くなってないか、これ」と顔を見合わせていた。ただ《支配魔法/Control Magic》が消えてしばらくしてから《不実/Treachery》が出て来たのを見たときは「……これ、強化されてないか?」が皆の共通した感想だったように思う。
何せ基本セットのコントロール奪取が《捕縛/Binding Grasp》とか《誘拐/Abduction》の時代。そんな中、あっさりクリーチャー奪っておいてマナがフル回復している状態を維持できるのは、着地に隙のない昇竜拳のような強さだった。ひどいときには《不実/Treachery》から《不実/Treachery》というコンボでもなんでもないコンボが発生してたし。
そんなわけで、昔さんざん《支配魔法/Control Magic》を撃っていたのに《説得/Persuasion》を見たときはむしろほっとした記憶がある。ああ、これくらいがちょうどいいんでないかい、という感じ。
余談3:火曜日 《正義の執政官/Archon of Justice》
基本セット2012から登場する新しいゲーム用語である「死亡する」の紹介。確かに文字数は短くなるけど、非クリーチャーに関しては今まで同じ表記を使うのであろうことを考えると、同じことをカードによって違う呼び方することになるけどいいのかな。
とか言いつつ、直感的に分かりやすい用語だとも思う。「埋葬する/Bury」みたいな暗記物とは一味違う(ちなみに「埋葬する/Bury」は「破壊する+再生できない」という意味。確か《神の怒り/Wrath of God》のテキストは一時期「Bury all creatures」だった)。
余談4:水曜日 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
個人的な意見だけど、あのときの《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》の相方が《ユートピアの木/Utopia Tree》という時点で「開発側が落とすつもり満々」だったんじゃないの?、と今も疑ってる。逆抱き合わせ商法と言えばいいのか。
これまた憶測だけど「《ぶどう棚/Vine Trellis》と《ユートピアの木/Utopia Tree》の2枚はいらないから、その他の2枚残してくれー」と思った人がいっぱいいたんじゃないかなー。
余談5:木曜日 《オーラ術師/Auramancer》
新枠での再録に、一部の Rebecca Guay ファンがお喜びのもよう。それはさておき、最後の辺りが訳していてちょっと面白かった。英語には「mance」という単語がないので、多分、これで合ってるはず。
原文:
Even though "Aura" is now an enchantment subtype, this little ’mancer can mance any kind of enchantment
拙訳:
今では「オーラ」はエンチャントのサブタイプの1つではあるが、このかわいい「何とかマンサー」さんがマンサーできるのはエンチャントであればなんでもよい。
余談6:金曜日 《火山のドラゴン/Volcanic Dragon》
確かに性能から鑑みるにアンコモンというレアリティが妥当かもしれないけど、ちょっとかわいそうな気もする。むしろ、最近のインフレ具合からすると同じ能力で 5/5 でもいい。ドラゴンなのにアンコモンというと《チビ・ドラゴン/Dragon Whelp》以来かな……ああ、もちろん多相を除いての話。
余談7:カードギャラリー
特設サイトのカードギャラリーを見て思ったのは(先週もちょっと書いたけど)次に出る基本セットの「日本語の正式名称」が何なのかいまだに良く分からないということ。
カードギャラリーのHTML上のタイトルは「マジック2012 カードイメージギャラリー」で、ページの画像にあるタイトルは「基本セット2012 カードギャラリー」。さらに文中にある前書きには「マジック2012 基本セット カードギャラリーへようこそ」とある。
なんか揉めてるのかな……まさかね。
余談8:プレインズウォーカー
基本セットに収録されるプレインズウォーカーの話。実戦の強さに関しては正直よく分からないので、フレイバー的な印象について気になったところでも書いてみようかと。
黒のプレインズウォーカーである《ソリン・マルコフ/Sorin Markov》さんなんだけど、この人の2つ目の能力が今回の部下たちとかみあってないのがさみしい。もちろん、お名前を冠している《ソリンの復讐/Sorins Vengeance》との相性(?)は問題ないんだけど、そういう話ではなく。
前回の登場時は、配下の吸血鬼たちが「対戦相手のライフが10点以下だったら、もっと頑張れるんスけどねえ(チラッ)」とボスに求めていたわけなんだけど、今回の基本セットに収録されている吸血鬼の方々って別段そんなこと求めてないような気が……狂気とのシナジーだったら1つ目の能力で十分すぎるし。
ソリンさんが新しいこの職場で「そーら、相手のライフを10点にしてやったぞ、嬉しいか、お前ら!」と意気揚々としているのに対して、部下の吸血鬼たちが白けた顔で「うわーい(棒読み)」「やったぜー(棒読み)」みたいなことになっていないかと不安になる。
トイレで吸血鬼たちが「6マナで出てきてあれかよ」「あと1マナ我慢して復讐だけしてくれてれば十分やっちゅうの」とか話してて、個室でソリンさんがそれ聞いてがっくりしてたらどうしよう。「昔の部下たちは目を血走らせて喜んでくれてたのになあ……」と昔の仲間と一緒に飲み会で撮った集合写真にぽつぽつと涙をこぼしながらジェネレーションギャップに悩むソリンさん頑張れ。超頑張れ。
でも多分また使われな(以下略)
余談9:偉大となるべく運命づけられた《Angelic Destiny》について
もう本当に申し訳ない。以後、気をつけます。コメント欄にも書いたけど、カードテキストの誤訳のせいで記事の内容(新用語である「死亡する」について言及があった箇所)と齟齬を起こしている点が特に申し開きできない。
訳がひどかったり、日本語がおかしかったりする場合は恥をかくのが自分で済むけれど「この記事の内容はカードを正しく読んでない気がする」みたいなことになると、原文の筆者が疑われてしまうわけで……指摘してくれた方にあらためて感謝。
さて。
気を取り直して本文の話。
原文:
If your opponent cannot kill the creature you are suiting up-while you are in the act of buttoning up-the game is unlikely to last many more turns after that.
拙訳:
もし君がこれを着せてボタンをかけてあげたクリーチャーを対戦相手が除去できなければ、ゲームは数ターンとかからずに終わることだろう。
力技で訳したことにしたけど、なんか違ってることに自分でも気づいてる。「suit up」に対して「button up」を用いて何か上手いこと言ってるんだろうなあ、と思いつつも、結局そのニュアンスを訳し切れなかった。
余談10:お気に入り日記の更新、について
前に「お気に入り日記の更新」が一覧に上手く反映されない、というお言葉を頂いた。その原因が分かった。原因はダイアリーノートの仕様。左にある「お気に入り日記の更新」の一覧は「更新した日記の日付順」に並ぶけど、そこに表示される日付は「更新日時」である、ということ。
書いてる自分でも分かりづらい説明だなと思うので例を挙げてみる。例えば、AさんとBさんをお気に入り登録していたとしてそれぞれの方が以下のような日時に日記を更新したとする。
Aさん
07月02日 20:30 に「07月02日」の日記を投稿(タイトル:Aの日記です)
Bさん
07月03日 22:30 に「07月01日」の日記を投稿(タイトル:Bの日記だよ)
この場合、そのBさんの日記自体はAさんより過去のものなので、Bさんのほうが更新日時は新しくてもお気に入り日記の更新順はAさんが上に来る。つまり以下のようになる。
Aの日記です Aさん (7月2日 20:30)
Bの日記だよ Bさん (7月3日 22:30)
さらにCさんが上記の1週間後に、今更ながら「06月20日」の日記を「07月10日 23:30」に投稿したとする。すると日記の日付上は3つの中で一番の過去なので「お気に入り日記の更新」のリスト上は以下の通り下へ回されてしまう(更新日時は一番最近)。
Aの日記です Aさん (7月3日 20:30)
Bの日記だよ Bさん (7月3日 22:30)
Cの日記だす Cさん (7月10日 23:30)
この「アラビア湾が見えるよ」のブログでは、翻訳記事は基本的に土曜日に突っ込むことにしている。そのためだけに過去の土曜日が「空けられて」いる。翻訳記事をその「空けておいた過去の土曜日」に投稿すると「お気に入り日記の更新」リストの順序は遥か過去に回されてしまう。
と、そういう話なんだけど……なんか簡単なことを難しく説明しているような。
余談11:より良いエンチャントのために(その2)/Enchantment For Better Things, Part Two
この前後編の翻訳記事は、日記の日付上は「06月11日」に投稿されている。そのため、上記の「余談10」で説明した理由により、リンクを張って下さっている方々の「お気に入り日記の更新」リスト上ではかなり下の方に位置していたはずで、多分、誰もこれのアップデートに気づいてないと思われる。まあ、気が向いたら読んでみてください。
さて、これはMark Rosewater氏の記事なわけで、つまり色々と難しい言い回しがいっぱい使われている。いや、難しい、というのは正しくないか。単語をそのままの意味に使わず感覚的に内容が伝わってくる文章というか……難しいというより読む側にも高いレベルを要求してくる文章というべきかも。
原文:
Good design is about allowing the cards to live and grow and find their own voice.
拙訳:
良いデザインとは、カードが息づき成長するのを見守り、自らのあるべき姿へ辿り着けるようにしてあげることだ。
言いたいことはしっかり伝わってくるのにそれを日本語に置き換えるのがとんでもなく難しい。多分「カードにはあるべき姿というものがあり、無理に力を加えず、カードが自然と向かうべき方向に進むのを見守る。それが良いデザインだ」みたいなことだと思うんだけど、これをそのまま書いたら「翻訳」と言うより「説明」とか「解説」な気がする。
原文:
My lesson of this card is to indulge your passion. If it tickles your design bone, odds are it will do the same for others. Great cards come from reaching for the stars. And if reaction to Doubling Season has been any indication, many other bones have been tickled.
拙訳:
私がこのカードから得た教訓、それは感情の赴くままに行動せよ、だ。もしそれが君のデザインセンスを刺激するなら、他のメンバーのそれも刺激するはずだ。偉大なるカードは、天高く光る星に手を伸ばすところから生まれる。そして《倍増の季節/Doubling Season》に対して何らかの反応が得られたということは、彼らの何かを刺激したということだ。
いや、なんとなくは分かる気がするんだ。「tickles your design bone」とか、なんとなく何を言いたいか伝わってくるんだけど、それを日本語にするのが、もう、なんというか……難しい。そもそも解釈が間違ってる可能性もある。
原文:
Anyway, part of a good supervillain/superhero rapport is to have some issue that the two of you each have a personal stake in that causes constant clashing with a subtle subtext of a will of minds.
拙訳:
良い「ヒーローと悪党」の対立関係とは特定のトピックに関してその2人が異なる主義主張を持ち、それを理由とした継続的な衝突を通して作品の根底に流れるテーマをかすかに匂わせることにある。
ここらへんはもうマジックがどうこうと言うより、物語を構築する上で知っておくべきノウハウそのままな気がする。訳すのは大変だったけど、興味深かった部分でもある。正しく理解できてるといいんだけど。
原文:
Urza’s Saga: The development team thought we should shake things up a bit so they changed the card into Vernal Bloom.
拙訳:
デベロップメント・チームは、もう少し常識にとらわれない感じにしたい、と感じたためこのカードを《花盛りの春/Vernal Bloom》にしてしまった。
これは単純に「we should shake things up a bit」の訳に困ったという話。「安易に停滞させず『軽く揺さぶって』変化をつけたい」という意味での「shake」と思われるけど、そのまま訳したら日本語にならないし……と、色々考えた結果、こんな感じ。
コメント
《ラノワールのエルフ》《ユートピアの木》/《極楽鳥》《ぶどう棚》は、それぞれ1マナと2マナで緑マナと好きな色のマナが逆になっているので、メルヴィン的には美しい対照だと思ってましたよ。開発側には特に他意はなかったのだと思います。まあ後者が勝つに決まってるのですが。
suit up と button up は難しいですね。一応辞書的には後者に「黙る」という意味があるらしいのですが、日本語に訳すのは厳しいです。もう「黙る」でなくてもなんか洒落になってれば訳としてはありのようにも思います。
tickle one’s design bone は「デザイン心をくすぐる」なんてどうでしょう。ちょっと訳し過ぎかな。
なるほど。確かにそうとらえると綺麗だ。なんか納得しました。
>開発側には特に他意はなかったのだと思います。
ですね。好きだった《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》が落ちたからといって、さすがに邪推しすぎだったかもしれません。反省。
>tickle one’s design bone は「デザイン心をくすぐる」なんてどうでしょう。
あー、そうか、せっかくに日本語にも「くすぐる」という表現があるんだから、そこは合わせたほうが美しいですね。「bone」も「~の内まで」と考えていたので「心」でも問題なさそうです。