【翻訳】アラーラ再誕デザイン秘話:黄金を混成する/Hybridizing Gold【Daily MTG】
Tom LaPille
2009年04月24日
http://www.wizards.com/magic/magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/ld/35
アラーラ再誕はマジック初の「収録されているカードがマルチカラーのみ」というセットだ。
歴史的な話をすると、金枠の金色カードは(赤)(緑)のように異なる色マナを2つ以上持つカードだった。しかしアラーラ再誕はマナコストに混成マナを含むカードが収録されている。今日の記事は、なぜ私たちが混成マナのみを含むカードを、金枠専用となるはずのセットに含めることにしたのかだ。
混成マナの金枠カードについての物語は、アラーラ再誕デザインの初期までさかのぼる。
デザインチームは初めからセットに含まれるカードは全てマルチカラーになること知っており、それによって様々な難題が生じるであることも予想していた。
そのうちのいくつかについてはアラーラ再誕のプレビューが始まったその日にMark Rosewaterが挙げていたが、デザインチームはその他にもたくさんの困難に直面していた。
チームがセットの大まかな草案を作ったとき、メンバーはそのセットに含まれるカードがどれも素晴らしいものであるにせよ、多くのプレイヤーは自身の望むカードを平均的なパックに十分見つけることができないのではないかという不安を覚えた。
ここにボブというプレイヤーがいると思ってくれ。彼は赤緑デッキを好んでプレイしている。
ボブが第10版のブースターを開けたとしよう。おそらく彼はそこに各色のカードをそれぞれ5枚に1枚の割合で見つけることになる。よって、おそらく彼の赤緑デッキに入れることの出来るカードは5枚に2枚の割合だけ入っているわけだ。
アラーラ再誕が友好色ごとの2色マルチカラーカードしか入っていなかった場合を想像してみてくれ。それぞれの組み合わせが5分の1ずつセットを占めることになる。
先ほどのボブがアラーラ再誕のブースターを開けた場合、彼の赤緑デッキに入りうるカードは5枚に1枚だけだ。ボブにとってプレイできるかもしれないカードの枚数ががくんと減ってしまうわけだ。
そもそも友好色ごとの組み合わせしかないという仮定自体、非現実的な話だ。アラーラの断片ブロックの3つ目のセットである以上、このセットはブロックのテーマを引き継がないわけにはいかない。
つまり3色のマルチカラーが大量に登場しないわけがなく、かつ敵対色のカードも多少含まれる必要がある。これが何を意味するかと言うと、ボブのデッキに入りうるカードは5枚に1枚よりもさらに少なくなるということだ。
デザインチームにはこれが看過できない事態であるように思われた。ボブのようなプレイヤーもアラーラ再誕のブースターパックからデッキに入れられるカードを相当枚数引けるべきなのだ。
リミテッドのプレイテストの初期段階において、デザインチームはこれに関連した問題に直面した。
アラーラの断片ブロックを用いて行われるリミテッドのデッキは多くの場合において友好的な3色を含むデッキになる。そのため単色のカードについては5種類のうち3種類のカードがデッキに入りうるが、友好色のマルチカラーについては5種類のうち2種類の組み合わせしかデッキに入らない。
第10版であれば全体の半分以上のカードがデッキに適しうるが、アラーラ再誕には単色カードが存在しない。
これが何を意味するか? そう、デザインチームはシールドデッキを組もうとした際にアラーラ再誕から出てくるカードに関しては通常より使えるカード量の割合が少なくなってしまうということだ。
これはあまり嬉しいニュースではない。
新しいカードは目いっぱいプレイしたいのに、セットの方向性がそれを妨げているのだ。これは解決されなければならない問題だとアラーラ再誕のデザインチームは考え、そこで彼らはちょっと変わった解答を思いついた。
混成マナだ。
一例としてはビジュアルスポイラーにもあがっていた《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade》だ。
そのマナコストを見て欲しい。
《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade》はどこからどうみても「ジャンドな」カードだ。そのマナコストには黒と赤と緑が含まれている。
しかしそれら3つのマナが一度に必要になることはない。黒/緑の混成マナのおかげで、君が《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade》を唱えるときに必要なのは(黒)(赤)か(緑)(赤)だけでいい
アラーラ再誕の金枠カードはすべて同じ方式に従っている。断片の中央の色である通常のマナが1点、そして中央の色に接するそれぞれの友好色2つを含む混成マナが1点。
これによって、これらのカードは断片の1つに属しつつもまるで同時に2つの友好色マルチカラーであるかのようにプレイすることが可能となったのだ。
《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade》は混成マナを含む金枠クリーチャーのサイクルの1枚だ。もう1枚、サイクルから紹介しよう。これが私の今日のプレビューカードでもある。
《エスパーの嵐刃/Esper Stormblade》は《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade》に非常によく似ている。しかしこのカードは《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade》よりもさらに自身の断片を上手く体現している。
《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade》と同じように、《エスパーの嵐刃/Esper Stormblade》も (白)(青)か (黒)(青)のいずれかでもプレイ可能なマナコストを持っている。
しかしそれだけでなく、《エスパーの嵐刃/Esper Stormblade》はエスパー特有の有色アーティファクトカードでもある。それによってエスパーのカードたちと多くのシナジーを得ることができるのだ。
君の《宮廷のホムンクルス/Court Homunculus》は大きくなるし、君の《聖域のガーゴイル/Sanctum Gargoyle》で手札に戻すこともできるし、その他のコモンのエスパー・ハイブリッド金枠カードたちともシナジーを形成することができる。さらに他のマルチカラーパーマネントと一緒にいることで飛行を得られるため、エスパーの飛行部隊たちとの相性も良い。
もう1つ面白いことを教えてあげよう。この混成マナを持つ金枠のクリーチャーたちはアラーラ再誕の境界石と完璧なシナジーを形成するんだ。
君はその代替コストを用いて1ターン目に《火荒の境界石/Firewild Borderpost》をプレイすれば、2ターン目に速攻を持った《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade》が3点ダメージのアタックに向かえるという寸法だ。
《火荒の境界石/Firewild Borderpost》から《エスパーの嵐刃/Esper Stormblade》へとつなぐスタートはさらに素晴らしい。なぜなら《火荒の境界石/Firewild Borderpost》はそれ自体がアーティファクトだからだ。
君のそのエスパーデッキに当然入っているであろうたくさんのアーティファクト関係のカードたち(例えば《エーテリウムの達人/Master of Etherium》や《金線の天使/Filigree Angel》など)の助けとなってくれるだろう。
おそらく君たちはこういった特殊なマナコストを持つカードのデザインには独特の難しさがあるのではないか、と思うかもしれない。それは大体において正しい。カラーパイの区分に属する効果を持つ混成マナの金枠カードを作るのはなかなかの難事だった。
それらのカードのうち、他のカードよりも簡単に作れたものもあったし、他のカードよりもシンプルな出来なものもあった。以下に挙げるビジュアルスポイラーから引っ張って来たカードは、混成マナの金枠カードの中でもシンプルなものの例だ。
《マリーシの双子爪/Marisi’s Twinclaws》はハイブリッドカードのシンプルな面を挙げるのに最高の例だ。Multiverse(訳註:R&Dが開発中に用いる掲示板のようなもの。多種多様な意見、野次、疑問、回答などが飛び交う)のコメントを見てみよう。
Doug Beyer:2008/04/28
とてもクールなデザインだ
キーワード1つとイカしたマナコストだけでこれだけの表現ができるなんて凄いね
とても上手くまとまってると思うよ
(Treefolk Knightって点を除けば)
Aaron Forsythe:2008/05/04
彼はTimbermareにまたがって戦場へ向かうんだろうね!
Tom LaPille 2008/08/04
私はこいつが大好きだよ
Ken Nagle 2008/08/11
《貴神の神罰/Scourge of the Nobilis》の対象にふさわしいな!
《マリーシの双子爪/Marisi’s Twinclaws》は、名前を持ってなかったことを除けば、生まれたときからまさに今の姿だった。ああ、それともう1つ、このカードは「ツリーフォーク・騎士(Treefolk Knight)」という笑ってしまいそうなクリーチャータイプの組み合わせだった。そのため私はプレイテストでこのカードが登場するたびに剣と盾を構えた木々のイラストをプレイテスト用のカードに描きこんでやったものだ。
それはそれとして、このカードがカラーパイ上、何の問題もないことは明らかだった。白も赤も二段攻撃を持っているし、それは奇妙なほどに緑っぽさを感じる2/4というスペック(緑の蜘蛛たちを思い出さないか?)に見事にはまっていた。 また二段攻撃は《グリフィンの導き/Griffin Guide》や《腐れ蔦の外套/Moldervine Cloak》と結びつくことで化け物じみたクリーチャーを生み出せる。
《マリーシの双子爪/Marisi’s Twinclaws》はシンプルで楽しく、普通でない要素の組み合わせにも関わらず、とても上手くまとまったクリーチャーだ。
しかし他の混成マナを持つ金枠カードたちのデザインはそう簡単ではなかった。次に挙げるのは今日2枚目のプレビューカードであり、非常にデザインが難産だったハイブリッド金枠カードだ。
これまたMultiverseに寄せられたコメントを見てみよう。
Aaron Forsythe:2008/04/25
レアからHCに移動させたよ
Dave Guskin:2008/08/13
まだちょっと気になってるんだけどさ
黒マナ中心的な金枠ハイブリッドなのにメカニズムに黒っぽさがないよね
コンセプトはいいんだけどね
でも例えばコストを重くしてライフ回復的な要素を足すとかどう?
(インベイジョンのSpinal Embraceみたいに)
Alexis Janson:2008/08/14
今あるように、生け贄部分が黒っぽさ担当だと俺は思うよ
Tom LaPille:2008/08/15
AJに賛成
このままでいいと思う
このカードの効果は奇妙な組み合わせだ。
一時的なコントロール奪取は元々《命令の光/Ray of Command》に見られるように青のものとして始まったが、今では《脅しつけ/Threaten》のように赤の分野になっている。このことが赤青のハイブリッドカードであることの納得のいく説明になっている。
黒である点は、もちろん自分の目的のために用いた対戦相手のクリーチャーが用済みになった時点で始末してしまう点だ。セットに取り組んでいた頃の上記のコメントにもあるように、私はこのカードは非常に魅力あるデザインだと思った。
それだけでなく、《ボーラスの奴隷/Slave of Bolas》は実際にプレイするのも楽しいカードだ。
先週の水曜日に行われたウィザーズ社員限定のプレリリースで、私は運の良いことに自分の緑/黒/赤デッキにちょうどいい《ボーラスの奴隷/Slave of Bolas》2枚を引くことができた。
私は時間の関係で1マッチしか遊べなかったし、そのマッチで奪えた中で一番良かったクリーチャーは《モストドン/Mosstodon》だった。
しかし私以外に目を向けると《ボーラスの奴隷/Slave of Bolas》はとんでもないクリーチャーたちを奪ってはひどいことをしていた。奪われていたクリーチャーたちは例えば《炎破のドラゴン/Flameblast Dragon》や《スラクジムンダール/Thraximundar》などだ。
奪取が成功するたびに、私は《ボーラスの奴隷/Slave of Bolas》を唱えた側が笑みを浮かべたり、必死にそれをこらえようとしつつもこらえきれないでいるのを見た。
プレリリースでの体験は私に混成マナの金枠カードたちがあるべき場所に収まったと確信させるに十分なデモンストレーションとなった。
当初、私は自分の3色デッキに十分な枚数のカードが引けないのではないかという懸念があった。しかし実際には混成マナの金枠カードたちが山となって積まれたおかげで私のデッキは無事に完成した。
その山には《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade》と2枚の《ボーラスの奴隷/Slave of Bolas》、その他にも(まだ公表できない)2枚のハイブリッド金枠カードがあった。
ジャンドカラーのハイブリッド金枠カードたちは非常にありがたかった。なぜなら私が開けた3パックのアラーラ再誕からは私の色に合う土地サイクリングカードが入っておらず、かつ境界石に至ってはトータルで0枚だったからだ。
マナ調整をしてくれるカードが欠けている状態において、《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade》やその他の(黒/緑)(赤)というマナコストのカードたちは非常に助けとなる存在だった。
もちろん対戦相手の側にも大量のハイブリッド金枠カードが並んでいた。私はあらためて混成マナを加えることを決めてくれたデザインチームに深く感謝した。
混成マナの金枠カードたちはデザインチームの抱えていた問題を驚くほどエレガントに解決してくれた。
これらのカードはアラーラの断片ブロックに骨組みにピタリとハマってくれた。何しろ混成マナのおかげでこれらのカードのマナコストはそれぞれの断片にしっかりと属してくれることになったからだ。
そして彼らはまた多色というアラーラ再誕のテーマにもきちんと当てはまっている。唱えるのに2色必要ということのも含めてだ。さらに彼らは2つ以上の有効色のペアに同時に属すことで多くのプレイヤーたちにブースターごとのプレイ可能なカードを増やしてくれもした。
一見、奇妙に見えるかもしれないこの混成マナの金枠カードたちは、そう、デザインチームの懸念を完璧なまでに払拭してくれたんだ。
今週末はアラーラ再誕のプレリリースだ。
私はこのあいだの水曜日にウィザーズ社員限定のプレリリースで大変楽しい思いをしてきた。今週末、君たちに同じ舞台にご招待できると思っている。
私たちのサイトに新たに作られたイベントロケーターは、君の近所で行われるプレリリースを見つける助けになってくれるはずだ。ぜひ土曜日はプレリリースで両手いっぱいの新しい「黄金」を体験しに行ってくれ!
Tom LaPille
2009年04月24日
http://www.wizards.com/magic/magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/ld/35
アラーラ再誕はマジック初の「収録されているカードがマルチカラーのみ」というセットだ。
歴史的な話をすると、金枠の金色カードは(赤)(緑)のように異なる色マナを2つ以上持つカードだった。しかしアラーラ再誕はマナコストに混成マナを含むカードが収録されている。今日の記事は、なぜ私たちが混成マナのみを含むカードを、金枠専用となるはずのセットに含めることにしたのかだ。
混成マナの金枠カードについての物語は、アラーラ再誕デザインの初期までさかのぼる。
デザインチームは初めからセットに含まれるカードは全てマルチカラーになること知っており、それによって様々な難題が生じるであることも予想していた。
そのうちのいくつかについてはアラーラ再誕のプレビューが始まったその日にMark Rosewaterが挙げていたが、デザインチームはその他にもたくさんの困難に直面していた。
チームがセットの大まかな草案を作ったとき、メンバーはそのセットに含まれるカードがどれも素晴らしいものであるにせよ、多くのプレイヤーは自身の望むカードを平均的なパックに十分見つけることができないのではないかという不安を覚えた。
ここにボブというプレイヤーがいると思ってくれ。彼は赤緑デッキを好んでプレイしている。
ボブが第10版のブースターを開けたとしよう。おそらく彼はそこに各色のカードをそれぞれ5枚に1枚の割合で見つけることになる。よって、おそらく彼の赤緑デッキに入れることの出来るカードは5枚に2枚の割合だけ入っているわけだ。
アラーラ再誕が友好色ごとの2色マルチカラーカードしか入っていなかった場合を想像してみてくれ。それぞれの組み合わせが5分の1ずつセットを占めることになる。
先ほどのボブがアラーラ再誕のブースターを開けた場合、彼の赤緑デッキに入りうるカードは5枚に1枚だけだ。ボブにとってプレイできるかもしれないカードの枚数ががくんと減ってしまうわけだ。
そもそも友好色ごとの組み合わせしかないという仮定自体、非現実的な話だ。アラーラの断片ブロックの3つ目のセットである以上、このセットはブロックのテーマを引き継がないわけにはいかない。
つまり3色のマルチカラーが大量に登場しないわけがなく、かつ敵対色のカードも多少含まれる必要がある。これが何を意味するかと言うと、ボブのデッキに入りうるカードは5枚に1枚よりもさらに少なくなるということだ。
デザインチームにはこれが看過できない事態であるように思われた。ボブのようなプレイヤーもアラーラ再誕のブースターパックからデッキに入れられるカードを相当枚数引けるべきなのだ。
リミテッドのプレイテストの初期段階において、デザインチームはこれに関連した問題に直面した。
アラーラの断片ブロックを用いて行われるリミテッドのデッキは多くの場合において友好的な3色を含むデッキになる。そのため単色のカードについては5種類のうち3種類のカードがデッキに入りうるが、友好色のマルチカラーについては5種類のうち2種類の組み合わせしかデッキに入らない。
第10版であれば全体の半分以上のカードがデッキに適しうるが、アラーラ再誕には単色カードが存在しない。
これが何を意味するか? そう、デザインチームはシールドデッキを組もうとした際にアラーラ再誕から出てくるカードに関しては通常より使えるカード量の割合が少なくなってしまうということだ。
これはあまり嬉しいニュースではない。
新しいカードは目いっぱいプレイしたいのに、セットの方向性がそれを妨げているのだ。これは解決されなければならない問題だとアラーラ再誕のデザインチームは考え、そこで彼らはちょっと変わった解答を思いついた。
混成マナだ。
一例としてはビジュアルスポイラーにもあがっていた《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade》だ。
Jund Hackblade / ジャンドの斬刃 (黒/緑)(赤)
クリーチャー - ゴブリン(Goblin) 狂戦士(Berserker)
あなたが他の多色のパーマネントをコントロールしている限り、ジャンドの斬刃は+1/+1の修整を受けるとともに速攻を持つ。
2/1
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Jund+Hackblade/
そのマナコストを見て欲しい。
《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade》はどこからどうみても「ジャンドな」カードだ。そのマナコストには黒と赤と緑が含まれている。
しかしそれら3つのマナが一度に必要になることはない。黒/緑の混成マナのおかげで、君が《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade》を唱えるときに必要なのは(黒)(赤)か(緑)(赤)だけでいい
アラーラ再誕の金枠カードはすべて同じ方式に従っている。断片の中央の色である通常のマナが1点、そして中央の色に接するそれぞれの友好色2つを含む混成マナが1点。
これによって、これらのカードは断片の1つに属しつつもまるで同時に2つの友好色マルチカラーであるかのようにプレイすることが可能となったのだ。
《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade》は混成マナを含む金枠クリーチャーのサイクルの1枚だ。もう1枚、サイクルから紹介しよう。これが私の今日のプレビューカードでもある。
Esper Stormblade / エスパーの嵐刃 (白/黒)(青)
アーティファクト クリーチャー - ヴィダルケン(Vedalken) ウィザード(Wizard)
あなたが他の多色のパーマネントをコントロールしている限り、エスパーの嵐刃は+1/+1の修整を受けるとともに飛行を持つ。
2/1
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Esper+Stormblade/
《エスパーの嵐刃/Esper Stormblade》は《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade》に非常によく似ている。しかしこのカードは《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade》よりもさらに自身の断片を上手く体現している。
《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade》と同じように、《エスパーの嵐刃/Esper Stormblade》も (白)(青)か (黒)(青)のいずれかでもプレイ可能なマナコストを持っている。
しかしそれだけでなく、《エスパーの嵐刃/Esper Stormblade》はエスパー特有の有色アーティファクトカードでもある。それによってエスパーのカードたちと多くのシナジーを得ることができるのだ。
君の《宮廷のホムンクルス/Court Homunculus》は大きくなるし、君の《聖域のガーゴイル/Sanctum Gargoyle》で手札に戻すこともできるし、その他のコモンのエスパー・ハイブリッド金枠カードたちともシナジーを形成することができる。さらに他のマルチカラーパーマネントと一緒にいることで飛行を得られるため、エスパーの飛行部隊たちとの相性も良い。
もう1つ面白いことを教えてあげよう。この混成マナを持つ金枠のクリーチャーたちはアラーラ再誕の境界石と完璧なシナジーを形成するんだ。
君はその代替コストを用いて1ターン目に《火荒の境界石/Firewild Borderpost》をプレイすれば、2ターン目に速攻を持った《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade》が3点ダメージのアタックに向かえるという寸法だ。
Firewild Borderpost / 火荒の境界石 (1)(赤)(緑)
アーティファクト
あなたは火荒の境界石のマナ・コストを支払うのではなく、(1)を支払うとともにあなたがコントロールする基本土地1つをオーナーの手札に戻してもよい。
火荒の境界石はタップ状態で戦場に出る。
(T):あなたのマナ・プールに(赤)か(緑)を加える。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Firewild+Borderpost/
《火荒の境界石/Firewild Borderpost》から《エスパーの嵐刃/Esper Stormblade》へとつなぐスタートはさらに素晴らしい。なぜなら《火荒の境界石/Firewild Borderpost》はそれ自体がアーティファクトだからだ。
君のそのエスパーデッキに当然入っているであろうたくさんのアーティファクト関係のカードたち(例えば《エーテリウムの達人/Master of Etherium》や《金線の天使/Filigree Angel》など)の助けとなってくれるだろう。
Master of Etherium / エーテリウムの達人 (2)(青)
アーティファクト クリーチャー - ヴィダルケン(Vedalken) ウィザード(Wizard)
エーテリウムの達人のパワーとタフネスはそれぞれ、あなたがコントロールするアーティファクトの総数に等しい。
あなたがコントロールする他のアーティファクト・クリーチャーは+1/+1の修整を受ける。
*/*
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Master+of+Etherium/
Filigree Angel / 金線の天使 (5)(白)(白)(青)
アーティファクト クリーチャー - 天使(Angel)
飛行
金線の天使が戦場に出たとき、あなたはあなたがコントロールするアーティファクト1つにつき3点のライフを得る。
4/4
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Filigree+Angel/
おそらく君たちはこういった特殊なマナコストを持つカードのデザインには独特の難しさがあるのではないか、と思うかもしれない。それは大体において正しい。カラーパイの区分に属する効果を持つ混成マナの金枠カードを作るのはなかなかの難事だった。
それらのカードのうち、他のカードよりも簡単に作れたものもあったし、他のカードよりもシンプルな出来なものもあった。以下に挙げるビジュアルスポイラーから引っ張って来たカードは、混成マナの金枠カードの中でもシンプルなものの例だ。
Marisi’s Twinclaws / マリーシの双子爪 (2)(赤/白)(緑)
クリーチャー - 猫(Cat) 戦士(Warrior)
二段攻撃
2/4
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Marisi%27s+Twinclaws/
《マリーシの双子爪/Marisi’s Twinclaws》はハイブリッドカードのシンプルな面を挙げるのに最高の例だ。Multiverse(訳註:R&Dが開発中に用いる掲示板のようなもの。多種多様な意見、野次、疑問、回答などが飛び交う)のコメントを見てみよう。
Doug Beyer:2008/04/28
とてもクールなデザインだ
キーワード1つとイカしたマナコストだけでこれだけの表現ができるなんて凄いね
とても上手くまとまってると思うよ
(Treefolk Knightって点を除けば)
Aaron Forsythe:2008/05/04
彼はTimbermareにまたがって戦場へ向かうんだろうね!
Tom LaPille 2008/08/04
私はこいつが大好きだよ
Ken Nagle 2008/08/11
《貴神の神罰/Scourge of the Nobilis》の対象にふさわしいな!
《マリーシの双子爪/Marisi’s Twinclaws》は、名前を持ってなかったことを除けば、生まれたときからまさに今の姿だった。ああ、それともう1つ、このカードは「ツリーフォーク・騎士(Treefolk Knight)」という笑ってしまいそうなクリーチャータイプの組み合わせだった。そのため私はプレイテストでこのカードが登場するたびに剣と盾を構えた木々のイラストをプレイテスト用のカードに描きこんでやったものだ。
それはそれとして、このカードがカラーパイ上、何の問題もないことは明らかだった。白も赤も二段攻撃を持っているし、それは奇妙なほどに緑っぽさを感じる2/4というスペック(緑の蜘蛛たちを思い出さないか?)に見事にはまっていた。 また二段攻撃は《グリフィンの導き/Griffin Guide》や《腐れ蔦の外套/Moldervine Cloak》と結びつくことで化け物じみたクリーチャーを生み出せる。
《マリーシの双子爪/Marisi’s Twinclaws》はシンプルで楽しく、普通でない要素の組み合わせにも関わらず、とても上手くまとまったクリーチャーだ。
しかし他の混成マナを持つ金枠カードたちのデザインはそう簡単ではなかった。次に挙げるのは今日2枚目のプレビューカードであり、非常にデザインが難産だったハイブリッド金枠カードだ。
Slave of Bolas / ボーラスの奴隷 (3)(青/赤)(黒)
ソーサリー
クリーチャー1体を対象とし、それのコントロールを得る。そのクリーチャーをアンタップする。それはターン終了時まで速攻を得る。次の終了ステップの開始時に、それを生け贄に捧げる。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Slave+of+Bolas/
これまたMultiverseに寄せられたコメントを見てみよう。
Aaron Forsythe:2008/04/25
レアからHCに移動させたよ
Dave Guskin:2008/08/13
まだちょっと気になってるんだけどさ
黒マナ中心的な金枠ハイブリッドなのにメカニズムに黒っぽさがないよね
コンセプトはいいんだけどね
でも例えばコストを重くしてライフ回復的な要素を足すとかどう?
(インベイジョンのSpinal Embraceみたいに)
Alexis Janson:2008/08/14
今あるように、生け贄部分が黒っぽさ担当だと俺は思うよ
Tom LaPille:2008/08/15
AJに賛成
このままでいいと思う
このカードの効果は奇妙な組み合わせだ。
一時的なコントロール奪取は元々《命令の光/Ray of Command》に見られるように青のものとして始まったが、今では《脅しつけ/Threaten》のように赤の分野になっている。このことが赤青のハイブリッドカードであることの納得のいく説明になっている。
黒である点は、もちろん自分の目的のために用いた対戦相手のクリーチャーが用済みになった時点で始末してしまう点だ。セットに取り組んでいた頃の上記のコメントにもあるように、私はこのカードは非常に魅力あるデザインだと思った。
それだけでなく、《ボーラスの奴隷/Slave of Bolas》は実際にプレイするのも楽しいカードだ。
先週の水曜日に行われたウィザーズ社員限定のプレリリースで、私は運の良いことに自分の緑/黒/赤デッキにちょうどいい《ボーラスの奴隷/Slave of Bolas》2枚を引くことができた。
私は時間の関係で1マッチしか遊べなかったし、そのマッチで奪えた中で一番良かったクリーチャーは《モストドン/Mosstodon》だった。
しかし私以外に目を向けると《ボーラスの奴隷/Slave of Bolas》はとんでもないクリーチャーたちを奪ってはひどいことをしていた。奪われていたクリーチャーたちは例えば《炎破のドラゴン/Flameblast Dragon》や《スラクジムンダール/Thraximundar》などだ。
奪取が成功するたびに、私は《ボーラスの奴隷/Slave of Bolas》を唱えた側が笑みを浮かべたり、必死にそれをこらえようとしつつもこらえきれないでいるのを見た。
プレリリースでの体験は私に混成マナの金枠カードたちがあるべき場所に収まったと確信させるに十分なデモンストレーションとなった。
当初、私は自分の3色デッキに十分な枚数のカードが引けないのではないかという懸念があった。しかし実際には混成マナの金枠カードたちが山となって積まれたおかげで私のデッキは無事に完成した。
その山には《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade》と2枚の《ボーラスの奴隷/Slave of Bolas》、その他にも(まだ公表できない)2枚のハイブリッド金枠カードがあった。
ジャンドカラーのハイブリッド金枠カードたちは非常にありがたかった。なぜなら私が開けた3パックのアラーラ再誕からは私の色に合う土地サイクリングカードが入っておらず、かつ境界石に至ってはトータルで0枚だったからだ。
マナ調整をしてくれるカードが欠けている状態において、《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade》やその他の(黒/緑)(赤)というマナコストのカードたちは非常に助けとなる存在だった。
もちろん対戦相手の側にも大量のハイブリッド金枠カードが並んでいた。私はあらためて混成マナを加えることを決めてくれたデザインチームに深く感謝した。
混成マナの金枠カードたちはデザインチームの抱えていた問題を驚くほどエレガントに解決してくれた。
これらのカードはアラーラの断片ブロックに骨組みにピタリとハマってくれた。何しろ混成マナのおかげでこれらのカードのマナコストはそれぞれの断片にしっかりと属してくれることになったからだ。
そして彼らはまた多色というアラーラ再誕のテーマにもきちんと当てはまっている。唱えるのに2色必要ということのも含めてだ。さらに彼らは2つ以上の有効色のペアに同時に属すことで多くのプレイヤーたちにブースターごとのプレイ可能なカードを増やしてくれもした。
一見、奇妙に見えるかもしれないこの混成マナの金枠カードたちは、そう、デザインチームの懸念を完璧なまでに払拭してくれたんだ。
今週末はアラーラ再誕のプレリリースだ。
私はこのあいだの水曜日にウィザーズ社員限定のプレリリースで大変楽しい思いをしてきた。今週末、君たちに同じ舞台にご招待できると思っている。
私たちのサイトに新たに作られたイベントロケーターは、君の近所で行われるプレリリースを見つける助けになってくれるはずだ。ぜひ土曜日はプレリリースで両手いっぱいの新しい「黄金」を体験しに行ってくれ!
コメント
多色のブロックはお祭り感があって好きです。
しかし気がつけばアラーラブロックが出たのももう3年前。
初めて神話レアが登場してからもうそんな経つとは、時が経つのは早いものです。
ありがたやありがたや
開発裏話系は最新セットでなくとも興味深い内容ですよね。