【翻訳】ブライアン・キブラーが語るプレインズウォーカーポイントシステムの問題点について/The Problem With Planeswalker Points【SCG】
2011年12月13日 翻訳 コメント (16)【翻訳】ブライアン・キブラーが語るプレインズウォーカーポイントシステムの問題点について/The Problem With Planeswalker Points【SCG】
Brian Kibler
2011年12月12日
元記事:http://www.starcitygames.com/magic/legacy/23253_The_Problem_With_Planeswalker_Points.html
プレインズウォーカーポイントシステムが大々的に始まったが、導入からつまずいた感がある。
プレイヤーに自身が上へ上へと進む達成感をコンスタントに感じてもらうツールとしては素晴らしいと思う。さらにこのシステムはDCIレーティング・ランキング・システムと違ってプレイしたくないという気持ちを生じさせることなく、プレイヤーに大会結果から自身のスキルレベルを測るバロメーターとして機能してくれる。
高いレベルの大会での成績に対する報酬や招待などを提供する手法となる一方、利己的な利用が可能という不備や大会結果について質ではなく量が重要視されるということに対する不満の声も聞かれる。
またこれに関連して、このシステムが持つ問題点としては不確定性と燃え尽き症候群があげられる。このシステムによって競い合うによって、プレイヤーは半ば強制的にプレイし続けることを求められる。そうしたくはないときも含めてだ。
なぜなら参加し続けないことによってそれまで積み上げてきたことによって得られるはずだった報酬が得られなくなってしまう可能性があるからだ。
問題点について
最初の競技シーズンの結果がもう間もなく帳簿に書き留められようとしている。これによってPWPシステムがプレイヤーたちの動向にどのような影響を与えるかを確認できる機会が得られたわけだ。
トップに並ぶプレイヤーたちの結果を見るに、どうやらプレイヤーたちは報酬を求めて(もしくは少なくともポイントの獲得そのものを狙って)大会への参加回数を大幅に増やしたらしい。
高ランクのポイント獲得者たちの多くは、その獲得ポイントの結構な率を低いランクの大会へ何度も何度も足を運ぶことによって得ている。100位以内のプレイヤーたちの大半はこのシステムの不備をつくことによってその座に辿りついているのだ。
現在のシステムの中でこれを可能としてしまっているもっとも大きな穴の1つは、プロツアーとグランプリのサイドイベントが増加傾向にあることだ。
この変更を推し進めている動機については理解しているつもりだ。PWPを得るためだけに賞品の見込みのないGP/PTに残り続けなければならないという事態を回避するためだろう。
しかしこのことによる影響はその範囲に収まらない。プレイヤーたちは高い倍率を誇るこれらサイドイベントそれ自体を目的にグランプリやプロツアーへ参加し、実際には本戦に出場しているプレイヤーたちを上回る勢いでポイントを稼いでいるのだ。
グランプリサンディエゴで私は64位以内に入り328ポイントを得た。その間、Gerry Thompsonはバイの最中にサイドイベントへ参加し、2日目進出を逃したあとPTQをドロップ前に1ラウンドだけプレイし、日曜日だけで7つのサイドイベントに参加した。これによって彼は私よりも多くのポイントを獲得している。
世界選手権で私はまた64位以内に入り、最終的には368ポイントを得ている。その間、私のルームメイトであるJeffはサイドイベントのみで私よりも多くのポイントを稼いでいる。さらに何人かのプレイヤーは週末を通してJun’ya Iyanagaよりも多くのポイントを稼いでいる……Jun’ya Iyanagaは「世界選手権の優勝者」だ。
このことは明らかに現在の構造に不備があることを示唆している。
また同様に、フライデーナイトマジックの倍率の高さはこれらの大会の重要性を上回り過ぎている。PWPのトップのポイント内訳を見てもらえば分かることだが、そのポイントの結構なパーセンテージはFNMから得ており、また大半のプレイヤーは1週間に複数回のFNMイベントに参加してポイントを稼いでいる。
PWPシステムはこういったプレイヤーたちに報いるべき制度ではない。FNMを楽しみたいだけのプレイヤーたちを罰するべきではもちろんない(旧レーティングシステムはFNMで負けることでそうなってしまっていた可能性がある)。しかし参加しなければポイント争いに置いていかれるという強迫観念から参加するようになることもまたおかしい。
私はサンクスギビングの休暇中、ラスベガスへ出かけた。そのときデッキも持っていった。FNMに間に合う時間に到着したときのためで、ポイント欲しさに参加するかもしれなかったからだ。
結局、私はFNMの時間までには到着できず、普通に友人と遊びに出かけた。最初からそれが旅の目的だったからだ。だがそもそもこれについて悩むこと自体がおかしな話であり、PWPシステムがプレイヤーに強いるべき選択であってはならない。
私は、PWPシステムはもし正しく運用されれば、コンスタントに良い成績を出しているにも関わらず本戦への招待を受けられないプレイヤーに対して報いることが出来る素晴らしいシステムだと思っている。しかし現在の運用による招待方法はいくつもの点において不備があると言える。
プロツアーとグランプリの優勝者へ権利を与えなくなったのは大きな問題点だ。これによって、多くのイベントに参加する時間のない(もしくは、はっきり言ってしまえば多くのイベントへ参加する気のない)プレイヤーからプロツアーへ参加する機会を奪ってしまうことになる。
今までは、グランプリでトップをとるかプロツアー予選を突破すればプロツアーに参戦できるという期待をプレイヤーに抱かせることができた。そしてその結果に続けていくつかのイベントで手堅い結果を出すことができれば「トレインに乗る」ことができた。新たなシステムではそれは不可能だ。
今年の世界選手権でDavid Caplanはトップ4に残り、次のプロツアーへの参加権利を得ることが出来た……が、それは単にプロツアーポイントシステムが廃止される前に16点のプロツアーポイントを獲得したからだ。準々決勝で敗退していたら、彼は権利を得ることができなかった。
Andrew Cuneoはマジックオンライン世界選手権での好成績を理由に世界選手権への権利を得て10位に入ることに成功したが、ホノルルへの権利は得られなかった。
私が数年前にマジックに復帰したとき、私はプロツアーホノルルの予選を勝ち抜き、本戦でトップ8に残った。これが新しいポイントシステムの下で行われていたら、続くプロツアーオースティンへの参加権利を得ることはできなかっただろうし、またそこで優勝することも出来なかっただろう。
プロツアーやグランプリの優勝によって権利を勝ち取れるというのはきわめて重要なことだ。PWPシステムを用いて自分たちの都合の良い環境を築こうとしている数多くのプレイヤーは間違いなく存在する。
彼らはPWPシステムの恩恵にあずかれないプレイヤーたち、つまり権利獲得のために膨大な数のイベントに参加することの出来ないプレイヤーたちを締め出そうとしている。
マジック以外の全てを諦めるつもりのある人間にしかプロツアーに参加する権利はない、というのがウィザーズの発したいメッセージだとは私には到底思えない。
どちらかといえば、Paul RietzlやJosh Utter-Leytonのようなフルタイムの仕事につきつつも高いスキルを持つプレイヤーたちにこそチャンスが与えられるべきだと思う。
重要な点として挙げたいのは、PWPシステムが締め出すことになってしまうのは競技マジックに時間を割けない人たちだけではないという点だ。このシステムは、コンスタントにレベルの高い競技イベントが開かれない地域に対しても逆風となる。言ってしまえば、アメリカと西ヨーロッパの一部と日本以外の全てだ。
グランプリ優勝者に対して権利を与えないこと、そして同様に国別選手権から世界選手権へと通じる道の消滅は、市場の小さな地域からプロツアーへ通じる道が失われることを意味している。
ああ、もちろんPTQを勝ち抜けばいいということは変わらない。しかしそれでも彼らが参加することの出来るプロツアーはただ1つだけだ。もしトップ8に入ったとしても次のイベントへの参加権利は保障されない!
この新たなシステムが施行されていたら、何人のプロツアープロたちがその姿を消していたことだろう? Paulo Vitor Damo de Rosa? Martin Juza? Jeremy Neeman? 新たなシステムの下では、これらのプレイヤーがプロツアーにその輝きを残すことはなかっただろう。
プロツアー予選を勝ち抜いてから、さらにプロツアー予選を勝ち抜いてから、さらにさらにプロツアー予選を勝ち抜いていれば、もしかしたら? だけど実際はそれを達成するずっと前に気力尽きて諦めてしまうことだろう。
毎週複数のFNMに参加しつつサイドイベント目当てにグランプリやプロツアーを飛びまわれるだけの時間とお金を持っている「PWPシステムに君臨できる」プレイヤーにとっても、現在のPWPシステムの招待制度は必ずしも好ましいものではないはずだ。
潜在的な招待権利は不確定なものでしかなく、彼らはポイントを稼ぎ続けなければ誰かに追い抜かれてしまうかもしれないという強迫観念に追われ続ける。シーズンが終わるごとにポイントがリセットされるという点はシステムにダッチ・オークションの様相を呈させている。勝てなかったプレイヤーにしても、それまでシステムにつぎ込んだ全てを失い、しかも何も得るものはない。
今現在、70位にいるChris Mascioliを例にとってみよう。
Chris MascioliはPWPシステムが発表された時点からポイントをコツコツと稼ぎ続けている。とはいえ彼はポイントのためだけにグランプリやプロツアーのサイドイベントに参加しようとするほどには入れ込んでいない。
彼の現在のシーズンポイントは1936点であり、そのうちの615点はFNMから得たものだ。これは彼の総ポイント数のほぼ3分の1に当たる量だ! 彼は相当な数のプロツアー予選に参戦しているが、自身の力量のなさのためか、一度もトップ8にすら入れていない。
自身がその制度のおかげで報酬を得ることができる位置につけているにも関わらず、Chris MascioliはPWPシステムには構造的におかしなところがあると公言している。彼に言わせると、この制度がなければFNMとその次の日のプロツアー予選の両方に参加するために地下鉄の駅で夜を明かすような真似をすることはなかったとのことだ。
現在の位置から転がり落ちないためにイベントに参加し続けているのはこのChris Mascioliだけではないことは確かだ。
次の順位のプレイヤー(実質的な「目に見える競争相手」)に対してすでに数百点のポイント差をつけているAlex Bertonciniは、それでも世界選手権へ出向いていくつものサイドイベントに参加してきた。抜かれることの恐怖からだ。
同様に100位以内にいるZaiem Begは、38度を超える熱であったにも関わらずFNMへ参戦した。自身の健康よりもポイントを抜かれる恐怖が上回ったからだ。
PWPポイントが実際のイベントにおける「プレイ」に対してどのような影響をもたらしたのかについても言及しておくべきだろう。
世界選手権では複数のイベントに一時に参加を申し込んだプレイヤーが多くいた。それぞれのイベントのラウンドが交互に開始されることで全てに「参加できる」ことを期待してのことだ。もしそう上手くいかなかったら、単に彼らは降参するのに十分な時間だけ顔を出すことでとりあえずドロップをまぬがれていた。
複数のイベントに登録しつつ、全てのラウンドで投了し続けたプレイヤーを私は複数人知っている。彼らはいずれかのマッチでBYEと当たってポイントが稼げないかとを期待していた。
こういった行為によって傷つくことになるのは、こんな馬鹿げた行為に手を染めず正々堂々とPWPポイントを稼ごうとしているプレイヤーだけではない。マジックをプレイしたいと望んでイベントに参加しているにも関わらず、こんなプレイヤーとのマッチアップを組まれてしまったプレイヤーたちも同様に被害者だ。
またシステム開始時点から参戦できていたかどうかが非常に重要になってしまう点も無視できない。シーズン開始時の数週間にイベントに参加できなかったプレイヤーは大きな不利を背負うことになってしまう。
権利獲得を目標とするプレイヤーが、あるシーズンについて「全グランプリに参加できないなら一切のグランプリに参加しなくても同じことだ」と考えてしまうことは大いにありえることだ。
なぜなら相当数の招待スロットはすでに埋まってしまっているだろうし、また多くのグランプリに参加できているプレイヤーのポイントを上回ることはほぼ不可能だからだ。
さらに特筆すべき点としては、現在の競技シーズンは以降のものよりもずっと重要度が高くなってしまっている、という点だ。
なぜならトップをとることが出来たプレイヤーたちは単にプロツアーホノルルの権利を得られるだけではなく、来期の全てのグランプリのBYEを得るからだ。そしてなんらかの理由によりトップに残れなかったプレイヤーたちは来シーズンを全て1回戦から開始することになる。
これは高いレベルの競技マジックに興味を抱いているプレイヤーたちの参戦に対して大きな障害となる。スタート地点ですでに差をつけられ、追い抜くためには相手以上の成績が必要となる。大いにやる気を削いでしまうことになるだろう。
さてどうしたものか
最低限のスタートとして、プロツアーとグランプリに権利獲得のチャンスを一部でもいいから与えなおすべきだ。プロツアーの規模を小さくしたいのならば、以前よりもずっと少ない数でもかまわない。
私の希望としては、グランプリのトップ8およびプロツアーのトップ32に権利を与えることだ。もしそれでは招待人数が多すぎるということであれば、グランプリはトップ4まで、プロツアーはトップ16までにしてみてはどうだろう。
ただ、トップ8はちょうどいいラインだと思うし、次のプロツアーに続けて参戦するためにベスト16に残らなければいけないというのはハードルが高すぎるように思われる。
最近の発表にあったグランプリの優勝者のみ、招待されるというのはいくらなんでもしみったれている。ここ最近のグランプリ本戦に参加するプレイヤーの数を踏まえるとなおさらだ。
本戦に参加したいと考えるプレイヤーの多くはプロツアー予選を避けるようになっている。何百人と参加するトーナメントでたった1人しか権利を勝ち取れないという条件を好むプレイヤーはあまりいない。
これが参加者1000人を超えるようなイベントでかつ同じ条件となったときに参加してみようと考えるプレイヤーがどれほどいるだろうか?
解決方法としてはおそらく以前と同程度までハードルを下げることだろう。たとえばグランプリのトップ4とプロツアーのトップ16だ。かわりに他の手段で得られる権利の数を減らす必要がある。
PWPシステム自体の話をすれば、プレミアイベントのサイドイベントへのボーナス倍率は廃止されるべきだ。これらによって得られるメリットは悪用されるデメリットに比べると小さすぎるといわざるを得ない。
正当性を持たせたいならポイント倍率はイベントの主要な点に対してのみ課されるべき倍率だ。これらのボーナス倍率は簡単に悪用されることがすでに証明されている。
同様にFNMの倍率も問題だ。減らすか、もしくは完全に撤廃すべきだ。
FNMの価値が高いことは無視できないレベルに悪用されている。PWPの争いの中でFNMによるポイントが占める重要性(またラウンド数の多いFNMイベントへの参加可否の重み)はあまりに高すぎる。
これに関連して私が同様に懸念しているのは、FNM選手権だ。
現状では、たくさんのFNMイベントを開催しているショップへ行くことが出来るプレイヤーもしくは毎週複数のFNMイベントに参加できるプレイヤー以外にはまったく権利獲得の見込みがない。
単純にFNMを楽しんでいるプレイヤーや、地元のショップで良い成績を収めているプレイヤーであったとしてもまったく太刀打ちできるものではない。
私の友人から聞いた話だが、彼の兄弟はもう何年もFNMに参加し続けており、生涯獲得FNMポイントもトップ10に入るほどで、そんな彼は初めてFNM選手権について聞いたときそれはそれは喜んだそうだ。
しかしシーズンが始まって数週間後、他のトッププレイヤーたちがどれほどの点数を稼ぎだしているのかを知ったとき、自分にはまったく見込みがないことに気づいたらしい。
その結果、彼はFNM選手権の発表以前よりもFNMに参加する回数が「少なくなった」とのことだ。あまりに失望したためにね。
この問題点についてどうすれば解決できるのは分からないが、これをそのままにしてよいとは思えない。問題点としてとらえるべきだと思う。
PWPによる招待制度に立ち戻ると、解決法の1つとしては、1シーズンのあいだにあるプレイヤーが特定のイベントタイプから得ることができるポイント数に上限を設けるというのはどうだろうか。
たとえば、PWPシステムの招待可否を計算する際にはFNMかサイドイベントから得たうち500点までしか合計点に含めないことにする、というふうにだ。これによって複数の問題が一度に解決する。
これによって低いレベルのサイドイベントを無限に渡り歩く必要性をなくすことができるし、プレイヤーにこれ以上無理に参加し続けなくてもよいという心理的なゴールを設けることができるし、またそれらサイドイベントの倍率を下げることなく本戦に対する相対的な重要性を下げることができる。
この解決法をとるに当たって、潜在的な問題となるのは現在のイベントのクラス分けのされ方だ。SCGオープンのレベルのイベントは倍率が×3しかないから「低い」のだろうか?
プロツアー予選とグランプリのサイドイベントはどちらも×5だから同程度とみなされるべきなのだろうか?(個人的には同等にみなされるべきではないと信じているが、これはまた別の問題であり、別個に解決されるべきことだ)
正しい分け方としては、上限なく加算されるのはプロツアー予選、グランプリ、そしてプロツアー本戦から得られるポイントに限るべきだ。しかしこれだと非常に多くの競技イベントが外されることになってしまう。
もしかしたらもっともよい解決方法は上限を高めに見積もることなのかもしれない。そう、たとえば上限を1000点として、上記3つのイベント以外は全てこれに含まれることにする、のようにだ。
こういった形で上限を設けてもプレイヤーたちは多くのポイントを主要でないイベントから稼ぎ出すことが出来てしまう。
しかし少なくとも時間さえかければひたすらポイントが稼げるというような形は減らせるだろうし、複数のイベントに同時参加して時間がかち合ったら姿を現さないとか単に投了だけするというような事態も減らせるのではないかと思われる。
上限いっぱいまで稼ぐには相当なプレイ量が必要となるだろう。しかしそれでも1シーズンの間ずっとノンストップでプレイし続けなければいけないということにはならないだろうし、また単にプレイをし続けるだけで他のプレイヤーの追いつくチャンスをつぶすということも出来なくなる。
それにこうすることで、プレイする回数が多いだけでなく加えて主要な競技イベントで高い成績を収めたプレイヤーのほうが権利を獲得しやすくなるという側面がある。低いレベルのイベントで上限いっぱい稼いだプレイヤーとの差別化を図ることができるからだ。
またシステムはグランプリとプロツアーレベルのイベントで優勝したプレイヤーに何らかの形で報いる必要がある。単に参加するだけに対して、好成績を残した際に得られるメリットが相対的に見て低すぎる。
現状では、プロツアーのラウンド1を勝ち抜くこととトップ16に残ることがほぼ等価だ。またグランプリに2回参加して両方とも6-3に終わり2日目に参加できない場合のほうが1回だけ参加して12-3の成績でトップ8に残った場合よりも高い。
プロツアーでトップ8に残った場合の倍率はそれ以下の順位のときよりも高く設定すべきだし、グランプリも同様だ。
トップ8に残ったら50%のボーナスが乗るというのを考えたが、それでも低すぎる気がしている。プロツアーで優勝した際に得られるポイントが、グランプリに毎回参加してBYEを含めて1回か2回だけラウンド1を勝ち抜いたプレイヤーよりも低くなってしまうからだ。
私の考える適切な倍率は、トップ8で200%、トップ16で150%、トップ32で125%、トップ64で110%くらいだろうか。それより高くてもいいかもしれない。
仮に200%のボーナスがあったとしても、私のプロツアーオースティンでの優勝(ボーナス倍率なしで612ポイント)は1,224ポイントまでしか上がらない。これはグランプリに6回参加してその全てで6-3した場合(つまり一度も2日目に進めなかった場合)と同程度だ。
好成績の価値とグランプリやプロツアーで悪い成績を残した場合の対比は、来年度から変更されるプロプレイヤークラブの仕組みや新たな世界選手権への招待制度のことをを考えるとさらに重要となる。
来年度の世界選手権への招待はプロフェッショナルPWPに基づいて決定される。おそらくプロプレイヤークラブの代替案も同様となるだろう。
前述した順位に応じたボーナス倍率がなければ、各グランプリに欠かさず参加したプレイヤーと2つのイベントにしか参加していないがその両方で優勝したプレイヤーとのあいだの累計ポイントに差がほとんどなくなる。
これは非常に大きな問題のように思われる。
プロプレイヤークラブの新しい形が相対評価なのか絶対評価なのか(トップから一定順位までのプレイヤー数なのか、一定ポイント数以上のプレイヤー全員なのか)、そのいずれであったとしても、現在のシステムでは少ないイベントで好成績を残したプレイヤーよりもより多くの数のイベントに参加するプレイヤーの側に重みが置かれることになるだろう。
これが問題と感じているのは私1人ではない。少なくとも私は毎週末ごとにグランプリに参加するという事態は避けたいと思っている。旅費は決して安くはないし、国の端から端まで毎週移動するというのは実質的に他に何もできなくなってしまう。
しかし全てのグランプリに参加するということの価値が高く設定されてしまうと1つでも参加しなかったプレイヤーはそれだけで不利を背負うこととなり、以降のイベントでよい成績を残したとしてもその差を取り戻せる見込みはそれほど大きくはない。
これによってグランプリへの参加は「オールオアナッシング」となってしまう。全てのグランプリに参加したいとは思わないが、全てに参加しないでも同じと考えるのも同様に気持ちのいいものではない。
単に参加するだけということに比べると良い成績を残すというのは非常に重要なことだ。しかし現状のプロフェッショナルPWPがこのままだとすると、それは重要ではなくなる。
私はウィザーズ・オブ・ザ・コーストがプロツアーを夢の舞台と位置づけていることを知っている。彼らがトッププレイヤーがその成功に応じた報酬を得るべきと考えていることも知っている。彼らが競技マジックを単に「参加し続けることだけに意義がある」ものにしたくないことも知っている。
しかし私はまたこれらの立ち位置とここ最近発表された変更たちと相容れないことも知っている。
彼らがゲームが長く愛されるために全体的に見てもっとも利益になるよう行動してくれるであろうことを私は信じており、ここのあげた思いのいくつかが彼らを目的へと導く助けとなってくれるよう祈っている。
Brian Kibler
2011年12月12日
元記事:http://www.starcitygames.com/magic/legacy/23253_The_Problem_With_Planeswalker_Points.html
プレインズウォーカーポイントシステムが大々的に始まったが、導入からつまずいた感がある。
プレイヤーに自身が上へ上へと進む達成感をコンスタントに感じてもらうツールとしては素晴らしいと思う。さらにこのシステムはDCIレーティング・ランキング・システムと違ってプレイしたくないという気持ちを生じさせることなく、プレイヤーに大会結果から自身のスキルレベルを測るバロメーターとして機能してくれる。
高いレベルの大会での成績に対する報酬や招待などを提供する手法となる一方、利己的な利用が可能という不備や大会結果について質ではなく量が重要視されるということに対する不満の声も聞かれる。
またこれに関連して、このシステムが持つ問題点としては不確定性と燃え尽き症候群があげられる。このシステムによって競い合うによって、プレイヤーは半ば強制的にプレイし続けることを求められる。そうしたくはないときも含めてだ。
なぜなら参加し続けないことによってそれまで積み上げてきたことによって得られるはずだった報酬が得られなくなってしまう可能性があるからだ。
問題点について
最初の競技シーズンの結果がもう間もなく帳簿に書き留められようとしている。これによってPWPシステムがプレイヤーたちの動向にどのような影響を与えるかを確認できる機会が得られたわけだ。
トップに並ぶプレイヤーたちの結果を見るに、どうやらプレイヤーたちは報酬を求めて(もしくは少なくともポイントの獲得そのものを狙って)大会への参加回数を大幅に増やしたらしい。
高ランクのポイント獲得者たちの多くは、その獲得ポイントの結構な率を低いランクの大会へ何度も何度も足を運ぶことによって得ている。100位以内のプレイヤーたちの大半はこのシステムの不備をつくことによってその座に辿りついているのだ。
現在のシステムの中でこれを可能としてしまっているもっとも大きな穴の1つは、プロツアーとグランプリのサイドイベントが増加傾向にあることだ。
この変更を推し進めている動機については理解しているつもりだ。PWPを得るためだけに賞品の見込みのないGP/PTに残り続けなければならないという事態を回避するためだろう。
しかしこのことによる影響はその範囲に収まらない。プレイヤーたちは高い倍率を誇るこれらサイドイベントそれ自体を目的にグランプリやプロツアーへ参加し、実際には本戦に出場しているプレイヤーたちを上回る勢いでポイントを稼いでいるのだ。
グランプリサンディエゴで私は64位以内に入り328ポイントを得た。その間、Gerry Thompsonはバイの最中にサイドイベントへ参加し、2日目進出を逃したあとPTQをドロップ前に1ラウンドだけプレイし、日曜日だけで7つのサイドイベントに参加した。これによって彼は私よりも多くのポイントを獲得している。
世界選手権で私はまた64位以内に入り、最終的には368ポイントを得ている。その間、私のルームメイトであるJeffはサイドイベントのみで私よりも多くのポイントを稼いでいる。さらに何人かのプレイヤーは週末を通してJun’ya Iyanagaよりも多くのポイントを稼いでいる……Jun’ya Iyanagaは「世界選手権の優勝者」だ。
このことは明らかに現在の構造に不備があることを示唆している。
また同様に、フライデーナイトマジックの倍率の高さはこれらの大会の重要性を上回り過ぎている。PWPのトップのポイント内訳を見てもらえば分かることだが、そのポイントの結構なパーセンテージはFNMから得ており、また大半のプレイヤーは1週間に複数回のFNMイベントに参加してポイントを稼いでいる。
PWPシステムはこういったプレイヤーたちに報いるべき制度ではない。FNMを楽しみたいだけのプレイヤーたちを罰するべきではもちろんない(旧レーティングシステムはFNMで負けることでそうなってしまっていた可能性がある)。しかし参加しなければポイント争いに置いていかれるという強迫観念から参加するようになることもまたおかしい。
私はサンクスギビングの休暇中、ラスベガスへ出かけた。そのときデッキも持っていった。FNMに間に合う時間に到着したときのためで、ポイント欲しさに参加するかもしれなかったからだ。
結局、私はFNMの時間までには到着できず、普通に友人と遊びに出かけた。最初からそれが旅の目的だったからだ。だがそもそもこれについて悩むこと自体がおかしな話であり、PWPシステムがプレイヤーに強いるべき選択であってはならない。
私は、PWPシステムはもし正しく運用されれば、コンスタントに良い成績を出しているにも関わらず本戦への招待を受けられないプレイヤーに対して報いることが出来る素晴らしいシステムだと思っている。しかし現在の運用による招待方法はいくつもの点において不備があると言える。
プロツアーとグランプリの優勝者へ権利を与えなくなったのは大きな問題点だ。これによって、多くのイベントに参加する時間のない(もしくは、はっきり言ってしまえば多くのイベントへ参加する気のない)プレイヤーからプロツアーへ参加する機会を奪ってしまうことになる。
今までは、グランプリでトップをとるかプロツアー予選を突破すればプロツアーに参戦できるという期待をプレイヤーに抱かせることができた。そしてその結果に続けていくつかのイベントで手堅い結果を出すことができれば「トレインに乗る」ことができた。新たなシステムではそれは不可能だ。
今年の世界選手権でDavid Caplanはトップ4に残り、次のプロツアーへの参加権利を得ることが出来た……が、それは単にプロツアーポイントシステムが廃止される前に16点のプロツアーポイントを獲得したからだ。準々決勝で敗退していたら、彼は権利を得ることができなかった。
Andrew Cuneoはマジックオンライン世界選手権での好成績を理由に世界選手権への権利を得て10位に入ることに成功したが、ホノルルへの権利は得られなかった。
私が数年前にマジックに復帰したとき、私はプロツアーホノルルの予選を勝ち抜き、本戦でトップ8に残った。これが新しいポイントシステムの下で行われていたら、続くプロツアーオースティンへの参加権利を得ることはできなかっただろうし、またそこで優勝することも出来なかっただろう。
プロツアーやグランプリの優勝によって権利を勝ち取れるというのはきわめて重要なことだ。PWPシステムを用いて自分たちの都合の良い環境を築こうとしている数多くのプレイヤーは間違いなく存在する。
彼らはPWPシステムの恩恵にあずかれないプレイヤーたち、つまり権利獲得のために膨大な数のイベントに参加することの出来ないプレイヤーたちを締め出そうとしている。
マジック以外の全てを諦めるつもりのある人間にしかプロツアーに参加する権利はない、というのがウィザーズの発したいメッセージだとは私には到底思えない。
どちらかといえば、Paul RietzlやJosh Utter-Leytonのようなフルタイムの仕事につきつつも高いスキルを持つプレイヤーたちにこそチャンスが与えられるべきだと思う。
重要な点として挙げたいのは、PWPシステムが締め出すことになってしまうのは競技マジックに時間を割けない人たちだけではないという点だ。このシステムは、コンスタントにレベルの高い競技イベントが開かれない地域に対しても逆風となる。言ってしまえば、アメリカと西ヨーロッパの一部と日本以外の全てだ。
グランプリ優勝者に対して権利を与えないこと、そして同様に国別選手権から世界選手権へと通じる道の消滅は、市場の小さな地域からプロツアーへ通じる道が失われることを意味している。
ああ、もちろんPTQを勝ち抜けばいいということは変わらない。しかしそれでも彼らが参加することの出来るプロツアーはただ1つだけだ。もしトップ8に入ったとしても次のイベントへの参加権利は保障されない!
この新たなシステムが施行されていたら、何人のプロツアープロたちがその姿を消していたことだろう? Paulo Vitor Damo de Rosa? Martin Juza? Jeremy Neeman? 新たなシステムの下では、これらのプレイヤーがプロツアーにその輝きを残すことはなかっただろう。
プロツアー予選を勝ち抜いてから、さらにプロツアー予選を勝ち抜いてから、さらにさらにプロツアー予選を勝ち抜いていれば、もしかしたら? だけど実際はそれを達成するずっと前に気力尽きて諦めてしまうことだろう。
毎週複数のFNMに参加しつつサイドイベント目当てにグランプリやプロツアーを飛びまわれるだけの時間とお金を持っている「PWPシステムに君臨できる」プレイヤーにとっても、現在のPWPシステムの招待制度は必ずしも好ましいものではないはずだ。
潜在的な招待権利は不確定なものでしかなく、彼らはポイントを稼ぎ続けなければ誰かに追い抜かれてしまうかもしれないという強迫観念に追われ続ける。シーズンが終わるごとにポイントがリセットされるという点はシステムにダッチ・オークションの様相を呈させている。勝てなかったプレイヤーにしても、それまでシステムにつぎ込んだ全てを失い、しかも何も得るものはない。
今現在、70位にいるChris Mascioliを例にとってみよう。
Chris MascioliはPWPシステムが発表された時点からポイントをコツコツと稼ぎ続けている。とはいえ彼はポイントのためだけにグランプリやプロツアーのサイドイベントに参加しようとするほどには入れ込んでいない。
彼の現在のシーズンポイントは1936点であり、そのうちの615点はFNMから得たものだ。これは彼の総ポイント数のほぼ3分の1に当たる量だ! 彼は相当な数のプロツアー予選に参戦しているが、自身の力量のなさのためか、一度もトップ8にすら入れていない。
自身がその制度のおかげで報酬を得ることができる位置につけているにも関わらず、Chris MascioliはPWPシステムには構造的におかしなところがあると公言している。彼に言わせると、この制度がなければFNMとその次の日のプロツアー予選の両方に参加するために地下鉄の駅で夜を明かすような真似をすることはなかったとのことだ。
現在の位置から転がり落ちないためにイベントに参加し続けているのはこのChris Mascioliだけではないことは確かだ。
次の順位のプレイヤー(実質的な「目に見える競争相手」)に対してすでに数百点のポイント差をつけているAlex Bertonciniは、それでも世界選手権へ出向いていくつものサイドイベントに参加してきた。抜かれることの恐怖からだ。
同様に100位以内にいるZaiem Begは、38度を超える熱であったにも関わらずFNMへ参戦した。自身の健康よりもポイントを抜かれる恐怖が上回ったからだ。
PWPポイントが実際のイベントにおける「プレイ」に対してどのような影響をもたらしたのかについても言及しておくべきだろう。
世界選手権では複数のイベントに一時に参加を申し込んだプレイヤーが多くいた。それぞれのイベントのラウンドが交互に開始されることで全てに「参加できる」ことを期待してのことだ。もしそう上手くいかなかったら、単に彼らは降参するのに十分な時間だけ顔を出すことでとりあえずドロップをまぬがれていた。
複数のイベントに登録しつつ、全てのラウンドで投了し続けたプレイヤーを私は複数人知っている。彼らはいずれかのマッチでBYEと当たってポイントが稼げないかとを期待していた。
こういった行為によって傷つくことになるのは、こんな馬鹿げた行為に手を染めず正々堂々とPWPポイントを稼ごうとしているプレイヤーだけではない。マジックをプレイしたいと望んでイベントに参加しているにも関わらず、こんなプレイヤーとのマッチアップを組まれてしまったプレイヤーたちも同様に被害者だ。
またシステム開始時点から参戦できていたかどうかが非常に重要になってしまう点も無視できない。シーズン開始時の数週間にイベントに参加できなかったプレイヤーは大きな不利を背負うことになってしまう。
権利獲得を目標とするプレイヤーが、あるシーズンについて「全グランプリに参加できないなら一切のグランプリに参加しなくても同じことだ」と考えてしまうことは大いにありえることだ。
なぜなら相当数の招待スロットはすでに埋まってしまっているだろうし、また多くのグランプリに参加できているプレイヤーのポイントを上回ることはほぼ不可能だからだ。
さらに特筆すべき点としては、現在の競技シーズンは以降のものよりもずっと重要度が高くなってしまっている、という点だ。
なぜならトップをとることが出来たプレイヤーたちは単にプロツアーホノルルの権利を得られるだけではなく、来期の全てのグランプリのBYEを得るからだ。そしてなんらかの理由によりトップに残れなかったプレイヤーたちは来シーズンを全て1回戦から開始することになる。
これは高いレベルの競技マジックに興味を抱いているプレイヤーたちの参戦に対して大きな障害となる。スタート地点ですでに差をつけられ、追い抜くためには相手以上の成績が必要となる。大いにやる気を削いでしまうことになるだろう。
さてどうしたものか
最低限のスタートとして、プロツアーとグランプリに権利獲得のチャンスを一部でもいいから与えなおすべきだ。プロツアーの規模を小さくしたいのならば、以前よりもずっと少ない数でもかまわない。
私の希望としては、グランプリのトップ8およびプロツアーのトップ32に権利を与えることだ。もしそれでは招待人数が多すぎるということであれば、グランプリはトップ4まで、プロツアーはトップ16までにしてみてはどうだろう。
ただ、トップ8はちょうどいいラインだと思うし、次のプロツアーに続けて参戦するためにベスト16に残らなければいけないというのはハードルが高すぎるように思われる。
最近の発表にあったグランプリの優勝者のみ、招待されるというのはいくらなんでもしみったれている。ここ最近のグランプリ本戦に参加するプレイヤーの数を踏まえるとなおさらだ。
本戦に参加したいと考えるプレイヤーの多くはプロツアー予選を避けるようになっている。何百人と参加するトーナメントでたった1人しか権利を勝ち取れないという条件を好むプレイヤーはあまりいない。
これが参加者1000人を超えるようなイベントでかつ同じ条件となったときに参加してみようと考えるプレイヤーがどれほどいるだろうか?
解決方法としてはおそらく以前と同程度までハードルを下げることだろう。たとえばグランプリのトップ4とプロツアーのトップ16だ。かわりに他の手段で得られる権利の数を減らす必要がある。
PWPシステム自体の話をすれば、プレミアイベントのサイドイベントへのボーナス倍率は廃止されるべきだ。これらによって得られるメリットは悪用されるデメリットに比べると小さすぎるといわざるを得ない。
正当性を持たせたいならポイント倍率はイベントの主要な点に対してのみ課されるべき倍率だ。これらのボーナス倍率は簡単に悪用されることがすでに証明されている。
同様にFNMの倍率も問題だ。減らすか、もしくは完全に撤廃すべきだ。
FNMの価値が高いことは無視できないレベルに悪用されている。PWPの争いの中でFNMによるポイントが占める重要性(またラウンド数の多いFNMイベントへの参加可否の重み)はあまりに高すぎる。
これに関連して私が同様に懸念しているのは、FNM選手権だ。
現状では、たくさんのFNMイベントを開催しているショップへ行くことが出来るプレイヤーもしくは毎週複数のFNMイベントに参加できるプレイヤー以外にはまったく権利獲得の見込みがない。
単純にFNMを楽しんでいるプレイヤーや、地元のショップで良い成績を収めているプレイヤーであったとしてもまったく太刀打ちできるものではない。
私の友人から聞いた話だが、彼の兄弟はもう何年もFNMに参加し続けており、生涯獲得FNMポイントもトップ10に入るほどで、そんな彼は初めてFNM選手権について聞いたときそれはそれは喜んだそうだ。
しかしシーズンが始まって数週間後、他のトッププレイヤーたちがどれほどの点数を稼ぎだしているのかを知ったとき、自分にはまったく見込みがないことに気づいたらしい。
その結果、彼はFNM選手権の発表以前よりもFNMに参加する回数が「少なくなった」とのことだ。あまりに失望したためにね。
この問題点についてどうすれば解決できるのは分からないが、これをそのままにしてよいとは思えない。問題点としてとらえるべきだと思う。
PWPによる招待制度に立ち戻ると、解決法の1つとしては、1シーズンのあいだにあるプレイヤーが特定のイベントタイプから得ることができるポイント数に上限を設けるというのはどうだろうか。
たとえば、PWPシステムの招待可否を計算する際にはFNMかサイドイベントから得たうち500点までしか合計点に含めないことにする、というふうにだ。これによって複数の問題が一度に解決する。
これによって低いレベルのサイドイベントを無限に渡り歩く必要性をなくすことができるし、プレイヤーにこれ以上無理に参加し続けなくてもよいという心理的なゴールを設けることができるし、またそれらサイドイベントの倍率を下げることなく本戦に対する相対的な重要性を下げることができる。
この解決法をとるに当たって、潜在的な問題となるのは現在のイベントのクラス分けのされ方だ。SCGオープンのレベルのイベントは倍率が×3しかないから「低い」のだろうか?
プロツアー予選とグランプリのサイドイベントはどちらも×5だから同程度とみなされるべきなのだろうか?(個人的には同等にみなされるべきではないと信じているが、これはまた別の問題であり、別個に解決されるべきことだ)
正しい分け方としては、上限なく加算されるのはプロツアー予選、グランプリ、そしてプロツアー本戦から得られるポイントに限るべきだ。しかしこれだと非常に多くの競技イベントが外されることになってしまう。
もしかしたらもっともよい解決方法は上限を高めに見積もることなのかもしれない。そう、たとえば上限を1000点として、上記3つのイベント以外は全てこれに含まれることにする、のようにだ。
こういった形で上限を設けてもプレイヤーたちは多くのポイントを主要でないイベントから稼ぎ出すことが出来てしまう。
しかし少なくとも時間さえかければひたすらポイントが稼げるというような形は減らせるだろうし、複数のイベントに同時参加して時間がかち合ったら姿を現さないとか単に投了だけするというような事態も減らせるのではないかと思われる。
上限いっぱいまで稼ぐには相当なプレイ量が必要となるだろう。しかしそれでも1シーズンの間ずっとノンストップでプレイし続けなければいけないということにはならないだろうし、また単にプレイをし続けるだけで他のプレイヤーの追いつくチャンスをつぶすということも出来なくなる。
それにこうすることで、プレイする回数が多いだけでなく加えて主要な競技イベントで高い成績を収めたプレイヤーのほうが権利を獲得しやすくなるという側面がある。低いレベルのイベントで上限いっぱい稼いだプレイヤーとの差別化を図ることができるからだ。
またシステムはグランプリとプロツアーレベルのイベントで優勝したプレイヤーに何らかの形で報いる必要がある。単に参加するだけに対して、好成績を残した際に得られるメリットが相対的に見て低すぎる。
現状では、プロツアーのラウンド1を勝ち抜くこととトップ16に残ることがほぼ等価だ。またグランプリに2回参加して両方とも6-3に終わり2日目に参加できない場合のほうが1回だけ参加して12-3の成績でトップ8に残った場合よりも高い。
プロツアーでトップ8に残った場合の倍率はそれ以下の順位のときよりも高く設定すべきだし、グランプリも同様だ。
トップ8に残ったら50%のボーナスが乗るというのを考えたが、それでも低すぎる気がしている。プロツアーで優勝した際に得られるポイントが、グランプリに毎回参加してBYEを含めて1回か2回だけラウンド1を勝ち抜いたプレイヤーよりも低くなってしまうからだ。
私の考える適切な倍率は、トップ8で200%、トップ16で150%、トップ32で125%、トップ64で110%くらいだろうか。それより高くてもいいかもしれない。
仮に200%のボーナスがあったとしても、私のプロツアーオースティンでの優勝(ボーナス倍率なしで612ポイント)は1,224ポイントまでしか上がらない。これはグランプリに6回参加してその全てで6-3した場合(つまり一度も2日目に進めなかった場合)と同程度だ。
好成績の価値とグランプリやプロツアーで悪い成績を残した場合の対比は、来年度から変更されるプロプレイヤークラブの仕組みや新たな世界選手権への招待制度のことをを考えるとさらに重要となる。
来年度の世界選手権への招待はプロフェッショナルPWPに基づいて決定される。おそらくプロプレイヤークラブの代替案も同様となるだろう。
前述した順位に応じたボーナス倍率がなければ、各グランプリに欠かさず参加したプレイヤーと2つのイベントにしか参加していないがその両方で優勝したプレイヤーとのあいだの累計ポイントに差がほとんどなくなる。
これは非常に大きな問題のように思われる。
プロプレイヤークラブの新しい形が相対評価なのか絶対評価なのか(トップから一定順位までのプレイヤー数なのか、一定ポイント数以上のプレイヤー全員なのか)、そのいずれであったとしても、現在のシステムでは少ないイベントで好成績を残したプレイヤーよりもより多くの数のイベントに参加するプレイヤーの側に重みが置かれることになるだろう。
これが問題と感じているのは私1人ではない。少なくとも私は毎週末ごとにグランプリに参加するという事態は避けたいと思っている。旅費は決して安くはないし、国の端から端まで毎週移動するというのは実質的に他に何もできなくなってしまう。
しかし全てのグランプリに参加するということの価値が高く設定されてしまうと1つでも参加しなかったプレイヤーはそれだけで不利を背負うこととなり、以降のイベントでよい成績を残したとしてもその差を取り戻せる見込みはそれほど大きくはない。
これによってグランプリへの参加は「オールオアナッシング」となってしまう。全てのグランプリに参加したいとは思わないが、全てに参加しないでも同じと考えるのも同様に気持ちのいいものではない。
単に参加するだけということに比べると良い成績を残すというのは非常に重要なことだ。しかし現状のプロフェッショナルPWPがこのままだとすると、それは重要ではなくなる。
私はウィザーズ・オブ・ザ・コーストがプロツアーを夢の舞台と位置づけていることを知っている。彼らがトッププレイヤーがその成功に応じた報酬を得るべきと考えていることも知っている。彼らが競技マジックを単に「参加し続けることだけに意義がある」ものにしたくないことも知っている。
しかし私はまたこれらの立ち位置とここ最近発表された変更たちと相容れないことも知っている。
彼らがゲームが長く愛されるために全体的に見てもっとも利益になるよう行動してくれるであろうことを私は信じており、ここのあげた思いのいくつかが彼らを目的へと導く助けとなってくれるよう祈っている。
コメント
翻訳してくださると助かります。
リンクさせていただきました。よろしくお願いします。
>mrgreedさん
始めてみたら意外と長くて時間がかかってしまいました。
>dds666さん
そういうこと言われると、誤訳かも、って心配になるじゃないですか(笑)
>kondohiさん
ありがとうございます。その言葉があればこそ続けていけます。
>白キコさん
楽しんで頂けたなら幸いです。
>りゅーさん
記事タイトルにEDHの3文字が入ってないと読まれないと思ってました(わりと本気)
長文で大変だったと思います、お疲れ様です
リンクさせていただきました
楽しみに読んでます。
英語記事だと面倒になって必要最小限以外スルーしてしまうので
翻訳記事は助かってます
長文大変だったと思います、お疲れ様です。
リンクさせていただきましたのでよろしくお願いします。
イベントはカジュアルイベント程度にしか参加してこなかった身ですが、PWP制度について考えるきっかけになりました。
続報のような記事がどこかで出てたら教えてください。訳します。