余談1:今週のCard of the Dayのテーマ

 今週は特にテーマらしいものが無かった気がする。月曜から順に「Gold」「Silver」「Bronze」と来て金曜日が「Iron」だけど、木曜日が《大胆な挑戦/Heroic Defiance》なので残念ながら「貴金属の名前」ではないらしい。

 金メダル、銀メダル、銅メダルで「Hero」と来てることで何かの大会との関連性かな、とも思ったけど、そうなると今度は「Iron」が分からなくなってしまう。うーん、謎だ。

余談2:月曜日 《黄金の羽根ズーベリー/Zuberi, Golden Feather》

 英語名を見るたびについ「ツェペリ」と読みたくなってしまう、グリフィンたちのロード。当時は「グリフィン=4マナ」という世界だったので部族デッキを組むのは苦行そのものだった。

 それでも最低限のスペックとその名前にふさわしいイラストは持っていたので個人的には好きなカードだった(使わなかったけど)。今だったら同じスペックで4マナだよな、きっと。

余談3:火曜日 《銀のゴーレム、カーン/Karn, Silver Golem》

 カードテキストがフレイバー的に何を表しているのか、最初見たときは分からなかったカード。「不殺(ころさず)」の誓いを持ってる、と知ったときは、なるほど、と思った。

 この日のCard of the Dayのネタは「初出がクリーチャー・カードだけど、のちにプレインズウォーカー・カードとして再登場したキャラクター」。

 言い換えると「一度もクリーチャーカードになったことのないプレインズウォーカー」もいるし「設定上はプレインズウォーカーだけどクリーチャーとしてしか出てないキャラクター」もいる。

 前者は最近のプレインズウォーカーたち全員、後者の例としては《特務魔道士ヤヤ・バラード/Jaya Ballard, Task Mage》や《工匠の神童、ミシュラ/Mishra, Artificer Prodigy》。

余談4:水曜日 《Bronze Calendar》

 イラストレーターへの指示が間違って伝わってしまった系のネタは今までにそこかしこで色々紹介されてる(どこまで本当かは知らない)。

 ウルザの「鉱山(Mine)」を頼んだら「地雷(Mine)」のイラストが上がって来たとか、「Soul NetのアナグラムでOnuletsってクリーチャー作ろう! ……って、なんでイラストに1体しか描いてないんだ!? これじゃ単数形にしなきゃいけないじゃないか!」ってことで名前を「Onulet」にせざるをえなくなったとか。

 でもやっぱりCard of the Dayでもネタにされている《Hyalopterous Lemure》が一番印象的かな。当時のカードの中でも随分イラストが目立ってた気がするし、イラストが気に入ったので遊び始めた頃の黒単に入れてたのを覚えてる。役に立ったかどうかは覚えてない。

余談5:木曜日 《大胆な挑戦/Heroic Defiance》

 まったく記事にされてるとおりに「ややこしくて分かりづらい」効果だと思った……というか白状すると効果を完全に勘違いしてた。

 MTG Wikiでカード情報を確認しに行ったら、その解説に「多色クリーチャーには向かない」と書いてあるのを見て「なんでだろう。多色ならそれだけボーナスを受けやすくなるんじゃないの? 一番多い色と共通なら強くなるんでしょ?」とか間の抜けたことを考えてた。逆だ、逆。

 まあ、それでもカードテキストの分かりづらさ1位の座は《生き写し/Dead Ringers》で揺らぐことはないだろうけど。ちなみに《生き写し/Dead Ringers》のテキストは以下の通り。一読して理解できる人はすごいと思う。
英文:
 Destroy two target nonblack creatures unless either one is a color the other isn’t. They can’t be regenerated.

和文:
 黒でないクリーチャー2体を対象とする。それらを「その一方が他方のものでない色である」ではない場合、破壊する。それらは再生できない。

 和文はその大して長くない文章の中に「~でない/~ではない」が3つも入ってるせいで異様に分かりづらい。さらに実際のカードは誤訳で本来と逆の効果だったというオチまでついてる隙の無さ。

余談6:金曜日 《鉄の衛兵目覚める/The Iron Guardian Stirs》

 翻訳は正解のない世界ではあるけれど、確かにちょっと元ネタのニュアンスが伝わりづらい訳だったかもしれない。かけ言葉なネタは本当に難しい。修行あるのみ。

 なお計略カードがCard of the Dayに取り上げられたのはこれが初めてのはず。文中のみの登場で言えば、今年の1月に《ミラディンの核/Mirrodin’s Core》が取り上げられたとき、次元カードの《パノプティコン/Panopticon》が記事内に登場してた、というのはある。

余談7:プレインズウォーカーポイントシステムの問題点について

 まさかこれほどまでに皆が興味を持っている話題だとは思わなかった。カイ・ブッディのインタビュー記事より来訪者多くてびっくりした。

 記事の具体的な主義主張については、もっと直接的にこの制度に関わりあっている方々が色々書いてくださっているようなので、ここでは訳の話をする。

 まずは出だし。
原文:
 The Planeswalker Points system has a noble goal, but a problematic implementation.

拙訳:
 プレインズウォーカーポイントシステムが大々的に始まったが、導入からつまずいた感がある。

 いきなりだけど、あらためて見るとこれは誤訳だ。正しくは「目指すところは崇高だが、導入部分でつまずいている」という内容のはず。
原文:
 A huge number of the players in the Top 100 have secured their place there by essentially exploiting the system.

拙訳:
 100位以内のプレイヤーたちの大半はこのシステムの不備をつくことによってその座に辿りついているのだ。

 訳すときに「PWPシステムには不備がある」って断言していいのか悩んだ。あからさまに公式に批判的な響きが感じられてしまう語なので。

 原文を先まで読んで「現在のシステムは完璧ではない。悪用できてしまう余地がある」という主張を筆者が持ってることを何度も確認した上で訳した。
原文:
 There exists a sufficiently large number of players who are willing to game the PWP system that they can lock out anyone who is unable or unwilling to do so, making it impossible for those players who don’t commit massive amounts of time to qualify.

拙訳:
 PWPシステムを用いて自分たちの都合の良い環境を築こうとしている数多くのプレイヤーは間違いなく存在する。彼らはPWPシステムの恩恵にあずかれないプレイヤーたち、つまり権利獲得のために膨大な数のイベントに参加することの出来ないプレイヤーたちを締め出そうとしている。

 この文章自体が大変だったけど、特に悩んだのは最初の文の「there exists players who are willing to game the PWP system」の「to game the PWP system」という箇所。

 手の平の上で操るようなニュアンスだと思って「支配する」とか「操作する」とか色々考えたんだけど前後と上手く噛み合わなくて、試行錯誤を繰り返した。

 最終的には、まあ、上記の通り。原文とそう遠く離れた意味にはなっていないと思うけど、それでも「思いのままに操る」という雰囲気が出せなかったのは心残り。
原文:
 The fact that the points reset from season to season gives the system the characteristics of a Dutch auction - even if they don’t win, they still lose everything they’ve put into the system up to that point for absolutely no reward.

拙訳:
 シーズンが終わるごとにポイントがリセットされるという点はシステムにダッチ・オークションの様相を呈させている。勝てなかったプレイヤーにしても、それまでシステムにつぎ込んだ全てを失い、しかも何も得るものはない。

 ダッチ・オークションの説明を加えようか悩んで、結局やめた。

 この形式のオークションを正しく理解できたか自信がなかったし、正直なところ、この言葉が分からなくてもなんとなく前後の文脈から分かるような気がしたから。

 なお調べた限りでは、ダッチ・オークションというのは「初めに最高額から始めて徐々に値を落とし、入札者があった瞬間に落札が確定する」という形式らしい。

 ただこの形式だと「even if they don’t win, they still lose everything they’ve put into the system(勝てなかったプレイヤーにしても、それまでシステムにつぎ込んだ全てを失い)」ということもない気がする。

 どちらかというとペニー・オークションじゃないかな、と思った。入札するだけでお金がかかる形式のオークションで、最終的な落札者以外もお金を消費せざるを得ないというもの。……それをDutch Auctionって呼んでるのかな。よく分からない。

 まあ、とりあえず直訳してあるから誤訳はないよね(それでいいのか)。
原文:
 I know that Alex Bertoncini, who was several hundred points ahead of his closest realistic competitor,

拙訳:
 次の順位のプレイヤー(実質的な「目に見える競争相手」)に対してすでに数百点のポイント差をつけているAlex Bertonciniは、

 分かりやすさ重視の括弧書きと原文にない補足情報つきの訳。極力この手段は用いないようにしているけど、原文そのままだとどうしても意味が伝わりそうにないと思ったときは。

コメント

netwatch
2011年12月18日13:35

普段の訳よりこのまとめ記事を楽しみにしていたりします。
思考過程を読みながら追うのが楽しいです><

>> 余談1:今週のCard of the Dayのテーマ
たぶんヘシオドスの「Age of man」ではないかなあと。
(前にBronzeではなくBrassと読んだ記憶があるのですが・・・Wiki(英)だとBronzeになっていたので、記憶違いかもしれません・・・=_=)

竜英傑、蛹
2011年12月18日14:51

失礼します。
もしかすると、ギリシャ神話でいうところの四時代(Golden Age, Silver Age, Bronze Age, Iron Age)に過渡期のHeroic Age(英雄時代)をではないでしょうか?
GoldではなくGoldenというあたりが…。

竜英傑、蛹
2011年12月18日14:53

って、よく見ましたら上の方のご指摘とかぶってるみたいです…確認を怠ってました、申し訳ありません。

re-giant
2011年12月18日15:55

>netwatchさん、蛹さん
ありがとうございます。まったく知りませんでした。

こういうご指摘を頂くたびに無知をさらけだしているようで本当に恥ずかしいです (´・ω・`)
でもまた1つ知識の欠落が埋まったことは、それはそれで嬉しいことだったり。

ギリシャ神話はほんのりとしか触れたことがないのでいつか通らないといけない道です。
ただ、それを含めて読まないといけないものが多すぎる……なんとかしたい。

>余談
あともう1つ覚えたこと。
今まで「たこ」さんかと思ってましたが「さなぎ」さんなんですね。すいませんでした。

nophoto
あいしゃ
2011年12月18日22:13

お疲れさまです、この週のまとめが大好きです。

<火曜日 《銀のゴーレム、カーン/Karn, Silver Golem》
ミシュラはプレインズウォーカーじゃないんですよ。暗黒時代~氷河時代にはドミナリアでも結構よく間違われていたとかいないとかどこかで読んだ気がします。

re-giant
2011年12月18日23:15

>ミシュラはプレインズウォーカーじゃないんですよ

な、なんですとーっ!? 兄弟2人ともプレインズウォーカーだとずっと信じてました。
でも、考えてみたら確かに公式な何かでそれを確認したことは一度もないような気が……

竜英傑、蛹
2011年12月19日21:06

たこ!?Σ(゚д゚)

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