前編
http://regiant.diarynote.jp/201305061531295027/
バルソー誕生秘話
デザインをする中で好きな作業の1つに、既存のイメージに合わせてデザインするというのがある(制約と創造性。ふむふむ)。これが当てはまるのは特に伝説のクリーチャーをデザインするときだ。
しばしば背景ストーリーにはレギュラーとなるキャラがいて、クリエイティブ・チームからそのキャラをカード化して欲しいという依頼がくるわけだ。
バルソーはその2つのバージョン両方ともについて、依頼がきた。
バルソーが特別だったのは、彼がブロックの背景ストーリー半ばで一度死に、ゾンビと化して蘇ってくるということが分かっていたことだ。同じブロック内で同じ伝説のクリーチャーを2バージョン作るというのはそうそうあることじゃない。
アーテイ、クロウヴァクス、カマールなどは違うバージョンをまったく違う時期にデザインされたものだ。しかしバルソーは隣り合う2つのセットで登場することになっており、違うバージョンを一気にデザインするという貴重な機会をついに得られたわけだ。
どういうことかというと、私たちは2枚のカードを使ってキャラクターの対照性を表現する機会が得られたということだ。さらに、クリエイティブな面でリンクさせる以上は、同時にメカニズム的な意味でもリンクさせないと美意識が許さない。
私たちはまずは「生きている」ときのバルソーから考えてみることにした。
たしかこんな会話だった気がする(クリエイティブチーム側の面子が誰だったかはっきりと覚えてはいないけど、確かブランドンだったと思う)
私:バルソーについて教えてくれよ。
ブランドン(以下、ブ):彼はバーバリアンのリーダーなんだ。
私:あれ? バルソーってドワーフじゃなかったっけ?
ブ:そうだよ。
私:ドワーフのバーバリアンたちを率いてるってこと?
ブ:いや、バーバリアンたちは人間だよ。
私:ドワーフは?
ブ:なんのドワーフだよ?
私:いや、バルソーはドワーフだろ? じゃあ少しはドワーフの知り合いがいるはずだ。
ブ:彼はドワーフの仲間から追放されたんだよ。
私:なんだって? ドワーフが仲間外れにされてるんだって? そりゃキツイな。
ブ:だろうね。
私:まあいいや、彼はバーバリアンのリーダーなんだね。……他には?
ブ:えーと、そうそう、彼はカマールの師匠的な存在なんだ。
私:……他には?
ブ:それくらいかな。
私:バーバリアンのリーダーであり、かつ師匠であるドワーフをデザインするわけか。
ブ:基本的にはね。
(沈黙)
私:うん、助かったよ。
バーバリアンのリーダーということで私は「他のバーバリアン(Barbarian)・クリーチャーは+1/+1の修整を受ける」に辿り着いた。師匠うんぬんは、バーバリアンのパワーをパンプさせる能力を思い付かせてくれた。
次に私は黒バージョンにとりかかることにした。
死んだあとのバージョンは少し「悪い」感じになっている。さらにアンデッドということもあって、こいつは「黒」になった。
カードに関連性を持たせるため、私は並行性のあるデザインを試みたかった。つまり、ゾンビ版バルソー(当時はそう呼ばれていた)も特定のクリーチャータイプに+1/+1の修整を与えつつ、かつそのクリーチャータイプにだけ何らかの効果のある能力を持たせたかったのだ。
前半部分について、ミニオンを思い付くのにそう時間はかからなかった。ストーリーとも合致するし、過去にロードが存在しなかった種族でもある(生きている方のバルソーが強化するバーバリアンも、過去にロードが存在しなかった種族だ)。
起動型能力については色々と試してみたがどうしてもしっくりこなかった。そこで私はブランドンの元へ戻り、背景ストーリーについてさらに聞き込みをしてみた。そうして得られたアイデアが「バルソーが自身の軍勢をまるごと復活させる」というものだ。
元々は単に黒のクリーチャーだけを復活させるというものだったが、2枚のカードを見比べているうちに、バーバリアンとミニオンの両方を釣りあげられるようにしてはどうだろう、
というアイデアが閃いた。
《汚らわしき者バルソー/Balthor the Defiled》のテキストに「赤のクリーチャー」が加わっているのはこういうわけだ。そんなこんなで伝説のドワーフは生まれ、そして死に、さらに2度目の生を受けたというわけだ。
ドワーフの狂戦士、「ドワーフの(Dwarven)」について語る
ちょっと手を止めてこのゲームに出てくるドワーフのカード名を見てくれ。その3分の2が「ドワーフの」で始まるんだ……って、3分の2だと!? カード名で俺たちがドワーフだって念を押すのがそんなに大事か? 俺たちゃ、みんな、3フィートであごひげ生えた連中だってんだよ。そんなんイラストがあれば十分分かるだろうが。
で、本当の理由を知りたいか? 人間様は俺たちに固有の名前をつけたくないんだよ。俺たちが個別に独立独歩した存在だと思って欲しくねえんだ。だからこれからも《ドワーフの剣職人/Dwarven Swordmaker》とか《ドワーフのチビすけ/Dwarven Pissed Off Little Guy》みたいな面白いカード名が出てくるんだろうよ。
楽しみにしてな。
注意深くあれ
ここで語るのは、私がどうやって試合に勝ったかという話だ。
話を始める前にあらかじめ言っておくと、この話はきっと論争を呼ぶだろうね。上手いプレイングだったと思う人もいるだろうし、私をクズだと思う人もいるだろう。だからこそ掲示板があるんだ。今週のスレで自由に議論して欲しい。私のプレイングが優れたものだったのか、それとも単に初心者を馬鹿にしたものだったのか。
それはさておき、ここからが本題だ。
そのときの私はミラージュのシールド戦に参加していた。対戦相手のライフを残り6点まで減らしていたが、地上はこう着状態におちいっていた。さて、私の手札には《卑屈な幽霊/Skulking Ghost》がいた(知らない人のために付け加えておこう。これは2/1の飛行クリーチャーで、何かの対象にされたとき生け贄に捧げなくてはならない)。この幽霊の攻撃が3回ヒットすれば私の勝ちだ。
問題は対戦相手側に立ちつくしているドワーフだった。
それは《ドワーフの放浪者/Dwarven Nomad》だった。ミラージュにおける《ドワーフの戦士団/Dwarven Warriors》の同型再販であり、クリーチャーを対象にとるタップ能力を持っている。
つまり私の《卑屈な幽霊/Skulking Ghost》を殺すことができるクリーチャーだ(なおタップ能力は「パワーが2以下のクリーチャー1体を対象とする。それはこのターン、ブロックされない」だ)。
私は幽霊を手札に残しておいた。しかし試合を続けるにつれ、彼のプレイングを見る限りとおそらく彼は《ドワーフの放浪者/Dwarven Nomad》の使い道に気づかないのではないかと思えてきた。
そこで私は《卑屈な幽霊/Skulking Ghost》を戦場に出すことにした。私の予想通り、続く3ターンの攻撃は邪魔されることなく相手にヒットし、相手は自分の目の前に解決策があることに気づくことは最後までなかった。
試合終了後、いい試合だったねと声をかけてから、彼のミスについて指摘した。
さて、一番の論点は何かというと、ボード上の展開の予想を対戦相手のプレイスキルの高低で判断したのは、スポーツマンシップの乗っ取った行為だったのか、それとも単に私が人間のクズだったのか?
ぜひとも論じてみて欲しい。
我がドワーフ的人生(その3)
ドワーフは怒りをコントロールする能力に乏しいことで有名だ。なぜだろうね。
私の私見だが、おそらくそれは彼らの身長に関係があるのだと思う(心理学ではこれを「ナポレオン・コンプレックス」と呼んでいる)。どうしてそれが分かるのかって? 私自身もそうだったからだ。
Randy Newnanが差別的なネタの歌を書いたのは1977年の12月のことだった。大した罪の意識もなく、彼はいかにチビであることが損なことかについて風刺的な歌詞をつづったのだ。
歌の題名は「Short People(チビな奴ら)」というもので、その歌詞は「小さな手、小さな目、だけどデッカいホラを吹く(They got little hands; little eyes. They walk around telling great big lies)」さらに「チビに生きる資格ナシ(short people got no reason to live)」というようなものだった。
1977年の当時、私は10歳だった。皮肉というものがまだ理解できる年齢ではなかった(メモ:子供にとって一番理解しがたいジョーク、それは皮肉だ)。
私にとってRandy Newnanは悪だった。
背の低い子供をどん底におとしめるにはどうしたらいいと思う?簡単なことさ。チビが最悪だ、という歌を全員で歌って聞かせればいいんだ。大人も一緒さ(傷ましい話だと思ってもらえるかな?)
皆はさぞかし楽しかっただろうね。私? Randy Newmanを憎悪したよ。当時、他の誰よりも彼を憎んだね。彼は単なる意地悪な上級生か何かじゃなかった。彼は人気歌手だったんだ。
もし私が短気なドワーフだったら、そして私の手に高品質の剣が握られていたら、間違いなく彼を亡きものにしただろうね(チビに生きる資格なしだって? 違うね! それはお前だよ!)
関係者全員にとって幸いだったのは、私が短気なドワーフではなかったということだ。
件名:お忙しいところ、失礼します
親愛なるマーク・ローズウォーター様
私の名前はジョクルールと申します。私はドワーフ組合の組合長を勤めさせていただいております。同胞がゲーム内にて適切かつ正確な描写で描かれるよう提言するのは私の役目と思われます。
私たちの懸念するところはつまるところ以下の3点に集約されます。ご参照ください。
1.偏見について
ドワーフのステレオタイプについておふざけが過ぎるように思われます。お気づきと思いますが、怒りっぽくてチビで、高品質の武器を振り回したり火を放ったりして、物を破壊したり爆破したりするというあれです。
2.カードの強さについて
人気のあるカードになるためにはどうすればよいか? 構築で使われるレベルの強いカードに登場すべし、ということを私と同胞たちはよく理解しております。私自身は、すべてのドワーフカードがすべからくそのレベルにあるべきだとまでは考えておりません。しかしトーナメントシーンに出番がないというのは、ファンタジー世界の古参種族として正しい扱いを受けていないということである、と感じます。
3.頻度について
繰り返しますが、ドワーフはファンタジーの鍵となる種族です。よってエキスパンションごとに少なくとも3枚もしくはそれ以上のドワーフカードが収録されるのがあるべき姿ではないかと考えています。
他の組合は絶え間ない督促であなた様を煩わせているものと思われます。しかし私はそのような真似はしたくありません(このことからも「ドワーフは理性のない直情的な存在である」というステレオタイプが実存に基づくものでないことがお分かりになると思います)。
私たちの抱える問題については理解していただけたものと信じています。そして上記の3点について、ファンタジーの主要種族に対する当然の振る舞いとして、漏れなく対応していただけるであろうことも、信じております。
心からの感謝とともに、
ジョクルールより
ドワーフに聞いてみよう
問い:ドワーフの複数形は?
《Dwarven Armorer》
「一塊のドワーフ」
《ドワーフ自警団/Dwarven Vigilantes》
「知らねえよ。一山のドワーフ? そもそも知りたい奴なんていねえだろ」
《ドワーフの兵卒/Dwarven Grunt》
「ドワーフの群れ」
《Dwarven Sea Clan》
「汚らしいドワーフたち」
《パーディック山の刀工/Pardic Swordsmith》
「怒れるドワーフたち」
《ドワーフ徴募兵/Dwarven Recruiter》
「ドワーフの群れ」
《ドワーフの狂戦士/Dwarven Berserker》
「ドワーフのケツだらけ」
《Dwarven Weaponsmith》
「少な目のドワーフ」
《ムチ打ち人/Whipkeeper》
「いっぱいのドワーフ」
《ドワーフ巡視部隊/Dwarven Patrol》
「群なすドワーフ」
《沸血のドワーフ/Bloodfire Dwarf》
「雪崩のようなドワーフ」
一寸法師にも五分の魂
今現在、32体のドワーフが確認されている(もちろんマジック世界のドワーフの話だ。現実世界には32体以上いる)。さてその中で優れたデザインのドワーフといえば? その質問を待っていたよ。そろそろ「マジックザギャザリング ドワーフ・ベスト10」を決めるべきときだろうからね。
第10位《ドワーフ爆破作業班/Dwarven Demolition Team》
カードデータ:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Dwarven+Demolition+Team/ベスト10にこれが滑り込んだ理由は、もっともフレイバー的にもっとも優れたドワーフだからだ。壁が立ちふさがってるって? 誰を呼ぶべきかは明白じゃないか。
第09位《地雷の敷設者/Mine Layer》
カードデータ:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Mine+Layer/このカードがベスト10に入った理由もまた優れたフレイバーによるもので、さらにメカニズムによる表現も素晴らしい。プレイに際して、対戦相手に興味深い選択を強いるという点でも面白い。相手は土地をあと1回しか使えない状態になってしまうのだから。
第08位《爆弾兵団/Bomb Squad》
カードデータ:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Bomb+Squad/元々はゴブリンのためにデザインされたカードだが、これこそまさにドワーフの冗談的な要素の極地だ。私はこのカードの「導火線に火をつけて、あとは爆発までただ待つだけ」というフレイバーが大好きだ。またこのカードは私がよいデザインに求めるものを持っていて、それはプレイヤーにアクションを要求するという点だ。クリーチャーAとBとCは4ターン後に爆発するらしい。さあ、どうする?
第07位《Dwarven Weaponsmith》
カードデータ:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Dwarven+Weaponsmith/ベストテンに取り上げたカードを見直してると、メカニズムそれ自体から素晴らしいフレイバーが伝わってくるカードがいかに多いかに気づかされるね。どんなアーティファクトからでも鎧を作り出してプレイヤーに提供してくれる、というのはとても面白いと思う。《Dwarven Weaponsmith》が《Dwarven Armorer》よりも上位にきた理由は、アーティファクトを材料に鎧を作る、ということのほうが、手札を材料に鎧を作るよりも、より豊かなフレイバーにあふれているからだ。
第06位《ドワーフの秘術師/Dwarven Thaumaturgist》
カードデータ:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Dwarven+Thaumaturgist/R&Dの誰でも知っていることだが、私はこの「パワーとタフネスをひっくり返すカード」が大好きだ。この面白い効果の元祖は黒だった(レジェンドの《Transmutation》がそれだ)が、それを赤に導入してくれたのがこのチビ助だ(そういえば今現在ではどこに属している能力なんだろうね。自身のパワーとタフネスを交換する、という能力なら青にあるようだけど)。
第05位《ムチ打ち人/Whipkeeper》
カードデータ:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Whipkeeper/私がこのカードを好きな理由は、そのメカニズムが他にプレイしているカードに大きく依存するためだ。もし君が他にダメージソースを多く抱えているなら、このカードの評価は上がる。しかしそうでないならイマイチなカードとなってしまう。他のカードに大きく依存するため、デッキを作る段階でプレイヤーに選択を強いる。そういうカードが私は大好きなのだ。
第04位《ドワーフ巡視部隊/Dwarven Patrol》
カードデータ:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Dwarven+Patrol/この《ドワーフ巡視部隊/Dwarven Patrol》が第4位に入った理由は、そのデメリットのデザインが素晴らしいと感じられたからだ。カード自体が使えないというほどひどくはないが、いざ使おうとすると、思っていたほど簡単じゃないことに気づく。
第03位《ドワーフ鉱夫/Dwarven Miner》
カードデータ:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Dwarven+Miner/デザインを経験すればするほど、シンプルでエレガントなカードに惹かれるようになる。ルールテキストを4つの単語(Destroy target nonbasic land)に収めるのは簡単な仕事ではない。しかもそれが実にドワーフらしいフレイバーもあわせ持つとなればなおさらだ。
第02位《ドワーフ自警団/Dwarven Vigilantes》
カードデータ:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Dwarven+Vigilantes/このカードは実にその名の表すところに忠実な能力を持っている。R&Dが俗に「Vigilante Ability」と呼んでいるもので、相手プレイヤーにダメージを与えるかわりに他のクリーチャーに移し替える能力のことだ。またこのカードは実際のプレイにおいても興味深い働きをみせてくれる。
第01位《ドワーフ戦士団/Dwarven Warriors》&《ドワーフの放浪者/Dwarven Nomad》
カードデータ:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Dwarven+Warriors/成功したデザインとは、一見弱く見えるが実際に使ってみると実は強い、というカードだ。それよりも作るのが難しいのは、一見強そうに見えるが実際に使ってみると実は弱い、というカードだ。それよりもさらに作るのが難しいのは、一見強そうに見えて、実は弱くて、それでもなおプレイヤーたちに愛されるカードだ。
そういった意味で、この《ドワーフ戦士団/Dwarven Warriors》が成し遂げた偉業は、どれほど賛辞してもし過ぎるということはない。マジックを遊び始めた頃、このカードはとても強く見えたはずだ(この記事を読んでくれている初心者の君へ。気をつけたまえ。君が思っているほどにこのカードは強くないぞ。嘘じゃない)。
マジックに慣れるに従って、このカードの弱さに君は気づくだろう。しかしそれでもなお、君はこのカードを使いたくなる衝動に駆られることがあるはずだ。素晴らしいデザインとはそういうものだ。
分担された役割は小さくなる
長年に渡り、多くの作品でドワーフこそが小さきものとしてエンターテイメント作品のノベルティであり続けてきたが、唯一にして無二の存在であった、というわけでもない。以下にあげるのはポップカルチャー作品に登場するドワーフ以外の(そしてドワーフと同じ悩みを持つ)存在のリストだ。
・ウンパルンパ
・マンチキン
・イウォーク
・Mini-Me
・トゥルーズ=ロートレック
・ゲリー・コールマン
・Santa Elves
・ホビット
・レプラコーン
・ダニー・デヴィート
・Webster
・ウィロー
・Tattoo (Fantasy Islandから。これは外せない)
ハイホー、ハイホー!
マジックに登場するドワーフカードだけを使って「七人の小人」を召還しなくてはいけなくなったら、どうすればいいと思う? 考えたこともないだろうね(ないよね?)。32個ものネタを書かないといけないとなれば、やるしかない。
その1:ハッピー(幸せもの)
《Dwarven Weaponsmith》(http://magiccards.info/rv/en/144.html)
選んだ理由は、こいつ以外にイラストで笑顔を浮かべているドワーフがいなかったからだ。
その2:グランピー(怒りん坊)
《Dwarven Berserker》(http://magiccards.info/wl/en/97.html)
こいつ以上に腹を立てているドワーフはいない。
その3:ドーピー(お間抜け)
《ドワーフ爆破作業班/Dwarven Demolition Team》(http://magiccards.info/al/en/143.html)
アルファ版のイラストを見てくれ。こいつより間抜けなドワーフはいないだろう。
その4:ドク(博士)
《ドワーフの秘術師/Dwarven Thaumaturgist》(http://magiccards.info/wl/en/98.html)
異論はないだろう。こいつ以外にドク(博士)と呼ぶべきドワーフは思いつきすらしないだろうね。どこからどうみても科学の使徒だ。
その5:スリーピー(ねぼすけ)
《Dwarven Trader》(http://magiccards.info/hl/en/91.html)
こいつは難しかった。このカードを選んだ理由は、イラストに描かれている女性(彼女以外に描かれていないからには彼女がドワーフなんだろう)が全ドワーフのイラストの中でもっとも眠たげに見えたからだ。さらに言えば、これは1/1のバニラだ。寝る以外にすることもないだろう。
その6:スニージー(くしゃみ屋)
《火花魔道士/Spark Mage》(http://magiccards.info/od/en/222.html)
百聞は一見にしかずだ。イラストを見てくれ。お大事に!
その7:バッシュフル(恥ずかしがり屋)
《ドワーフの放浪者/Dwarven Nomad》(http://magiccards.info/mr/en/170.html)
ほら、隠れてるだろ? ……これが精一杯だ。
なぜドワーフはゴブリンを憎むようになったのか
このコラムはなぜマジックにドワーフが少ないのかについて説明するいい機会だと思う。
それはゴブリンのせいだ。
いや、本当の話だ(より詳細な説明を聞きたいなら、私が昔に書いた"Here’s Looking at You Squid"というコラムを読んで欲しい。この記事は、一見、セファリッドについて述べているように見えるかもしれないが(まあ、そもそもセファリッド週間のために書いたものなんだが)実際はドワーフについて語っているコラムだ)。
マジックの赤という色において、小型のヒューマノイドのためだけに割けるスペースはそう大きくはない。そしてそのスペースの大半はゴブリンによって占められている。オデッセイブロックで試しにゴブリンをドワーフに交換してみたが、上手くいかなかった。プレイヤーの多くはゴブリンのほうがもっと好きなようだった。
私たちの仕事は究極的にはプレイヤーたちの望む物を提供することにある(ある一定ラインまではね。ときにプレイヤーたちは逆のものを求めることがあるから)。そのため私たちはゴブリンを対照的に強くすることにした(常にではないが、より多くの場合において)。
だからといって君たちがもう二度とドワーフに出会えないと言っているわけではない(というか、大丈夫、また会えるよ)。ただ会えたときはその出会いを大事にして欲しい。なぜならゴブリンほど頻繁に登場したりはしないだろうからね。
我がドワーフ的人生(その4)
背の高さについてもっとも差別的な扱いを受ける場所がどこだか知ってるかい? 私が小さい頃、自分の背の低さを嫌というほど思い知らされた場所がどこだったか?
遊園地だ。
そう、純粋に背丈だけを基準にした入門ゲートがあるのは遊園地だけなんだ。これが特に問題だったのは、私が小さな子供であり、ジェットコースターが大好きだったことだ(子供用の小さな奴を経験したことによってね)。
さらに問題だったのは私の身長が4フィート未満であり、かつジェットコースターの入り口には4フィートの高さをしたウサギちゃんのイラストが必ず描かれていたということだ(なお、さらにイカしたジェットコースターの条件は5フィート以上だったが、これが苦難として立ちふさがるのはまだ先の話だ)。
ところで君たちは別段ピエロを怖がったりはしないだろうね? あれだよ、板に描かれた奴で手を横に突き出しながら「この怖い怖いジェットコースターに乗るには、これだけの身長が必要だよ!」って吹き出しが付いてる奴だ。
私かい? 怖かったよ(いや、そもそもピエロ自体が怖いものだ。認めたまえ)。
このピエロは私の用心棒だった。このピエロこそが私を夢のジェットコースターとのあいだに立ちふさがる存在だった。私はピエロが大嫌いだったよ。Randy Newmanほどじゃないが、それでも大嫌いだったことにかわりはない。
さて、4フィートにわずか1インチ足りないだけの少年に出来る事はなんだったろう?
答えはウェスタン風衣装だ。
そう、私がジェットコースターに乗るためのカギはカウボーイブーツ以外になかった。1インチ以上の厚さのカカトを持つブーツこそが私に必要なものだったのだ。
面白いことにジェットコースターの係員は、どうして私みたいな子供がわざわざ遊園地にカウボーイブーツをはいて来ているのかについて尋ねたりはしなかった。
さて、ギムリやバッシュフルも同じような悩みを抱えたことがあるんだろうか?
どうだろうね。
ドワーフに聞いてみよう
問い:特殊地形についてどう思います?
《ドワーフの爆風掘り/Dwarven Blastminer》
「耐えられんね」
《ドワーフ爆破作業班/Dwarven Demolition Team》
「壁が建ってるかどうかによるな」
《ドワーフ鉱夫/Dwarven Miner》
「嫌いだ」
《開放されたドワーフ/Liberated Dwarf》
「申し訳ないな、とは思う」
《Dwarven Sea Clan》
「知らん。そもそも土地から遠いところに住んでるんでな」
《焼き焦がすドワーフ/Dwarven Scorcher》
「俺の邪魔をしないなら許す」
《穿つドワーフ/Dwarven Driller》
「特殊だろうが基本だろうが関係ねえ、大嫌いだ」
《捕らわれのドワーフ/Enslaved Dwarf》
「ぶっちゃけどっちでもいい」
《パーディック山の鉱夫/Pardic Miner》
「土地だと? やっかいごとしか持ってきやがらねぇ」
《地雷の敷設者/Mine Layer》
「爆破するそのときだって、流してやる涙は1滴たりともないね。これでいいか?」
《ドワーフの狂戦士/Dwarven Berserker》
「ははあ、なるほど。
ドワーフに質問しようってんだから特殊地形の話を持ち出すのは当然だな。
俺たちの神経を逆撫でしたくてしょうがないんだろう、うん?
ほーら、ちっこい奴らが腹を立てたぞ、ってな。
……失せやがれ、この野郎!!」
時間の問題
マジックの歴史に名を連ねたことのあるドワーフの名前を以下に列挙してみた。
・Dwarven Artillery
・Dwarven Artisan
・Dwarven Assassin
・Dwarven Berserker
・Dwarven Blacksmith
・Dwarven Brawler
・Dwarven Cadet
・Dwarven Captain
・Dwarven Commando
・Dwarven Cutthroat
・Dwarven Digger
・Dwarven Enforcer
・Dwarven Explorer
・Dwarven Farmer
・Dwarven Hero
・Dwarven Marauder
・Dwarven Mechanic
・Dwarven Mercenary
・Dwarven Pickpocket
・Dwarven Piker
・Dwarven Psychopath
・Dwarven Scout
・Dwarven Sharpshooter
・Dwarven Spy
・Dwarven Tactician
・Dwarven Thief
・Dwarven Tinkerer
・Dwarven Trailblazer
・Dwarven Tunnler
・Dwarven Vandal
・Dwarven Warlord
・Dwarven Wizard
ドワーフの狂戦士、伝説のドワーフについて語る
マジックに300体以上の伝説のクリーチャーがいるって知ってたかい? 300体だぞ!
伝説のゴブリンは? 6体だ。伝説のエルフは? 4体だ。伝説のヘビ人間は? 7体だ・・・・・・7体だと! 伝説のゴーレムは? 2体だ。伝説のセファリッドは? ああ、あの人の形をしたイカの化け物のことだよ。2体だ。
さて伝説のドワーフが何体か知ってるかい?
1体だ。しかもドワーフの爪弾き者だ。そのとおり、奴らが伝説のドワーフに祭り上げた唯一のドワーフは同胞に何一つ与えてくれやしなかったのさ。
それだけならまだしも、すぐ次のエキスパンションで殺しちまいやがった。どっちにしてもそれほど重要な立ち位置をもらってたわけでもないがな。
おっと、俺の前で「伝説のドワーフなら2体いるじゃないか」なんて抜かそうもんならぶっ飛ばすぞ。生きてるバルソーと死んでるバルソーで2体なんて認めねえからな。
あんなの合わせて1体だ、1体。
あまり知られていない事実
私の参加するプロツアーでは「クエスチョンマークのマジックゲームショー」という催し物が開かれることになっている。これは参加者が「賞金と賞品(から賞金を除いたもの)」が得られる、マジックのトリビアに関するクイズショーだ。例えば以下のような感じだね。
0.あいさつ(今日のテーマは、私たちの小さき友人であるドワーフについて)
1.マナコストに最も多くマナシンボルを含むドワーフは?
答え:
赤マナ3点を必要とする《血たぎるドワーフ/Dwarven Bloodboiler》
2.母音で名前が始まる唯一のドワーフは?
答え:
トーメントの《捕らわれのドワーフ/Enslaved Dwarf》
3.もっとも短いルールテキストを持つドワーフは?
答え:
一切のルールテキストを持たない、ホームランドの《Dwarven Trader》
4.《爆弾兵団/Bomb Squad》の用いるカウンターの名前は?
答え:
導火線カウンター
5.現在の32体のうち、テキストボックスに「土地」の単語を含むドワーフは何体?
答え:
たったの5体。
《ドワーフの爆風掘り/Dwarven Blastminer》
《穿つドワーフ/Dwarven Driller》
《ドワーフ鉱夫/Dwarven Miner》
《地雷の敷設者/Mine Layer》
《パーディック山の鉱夫/Pardic Miner》
6.ウィザードのクリーチャータイプを持つ、唯一のドワーフの名前は?
答え:
《火花魔道士/Spark Mage》
7.1つの単語を除いてまったく同じルールテキストをもつ2体のドワーフの名前は?
答え:
《捕らわれのドワーフ/Enslaved Dwarf》と《開放されたドワーフ/Liberated Dwarf》
8.初登場のエキスパンションでテキストボックスに注釈文のあった唯一のドワーフは?
答え:
オンスロートの《ドワーフの爆風掘り/Dwarven Blastminer》
9.初出から再版までもっとも長くかかったドワーフは?
答え:
《ドワーフ爆破作業班/Dwarven Demolition Team》
初登場はアルファ版(とベータ版とアンリミテッド)。次に再版されたのは基本セットの第8版。
10.ドワーフのルールテキストに登場したことのあるクリーチャータイプをすべて述べよ。
答え:
バーバリアン:《頑強なるバルソー/Balthor the Stout》
ミニオン:《汚らわしき者バルソー/Balthor the Defiled》
オーク:《ドワーフ兵士/Dwarven Soldier》
採点表:
8~10点:
もし私が顔を出しているプロツアーに参加する機会があったら、ぜひQuestion Markに出場すること。君なら賞品を手に入れことができるはずだ。
5~7点:
Question Markに出場すべし。賞品を獲得するチャンスはほとんどないが、練習にはなる。
2~4点:
マジックのトリビアで身を立てていくのはあきらめた方がいい。
はっきり言わせてもらうが、ゴミだ。
1点:
君は2~4点の人をゴミと思うかもしれないが、それよりひどいゴミだね。
0点:
君は一言の罵詈雑言にすら値しない。吐き気がするね(まあ一言くらいはね)
-1点:
どうやったんだ? マイナス点はないはずだ。専門機関に診てもらったほうがいい。
ありえない点数をとっただけじゃなくて、算数からやり直したほうがいいという意味でね。
皮肉と偶然
このコラムは最初は軽い気持ちで始めたものだったが、なんという化け物に育ってしまったものやら。このコラムにかけた時間は過去のどのコラムにかけた時間よりも長いこと間違いなしだ(いくつかはほとんど同じくらいの時間を使ったかもしれないけどね)。
小さなドワーフたちのコラムがこれほどまでに大きくなるなんて誰が想像できただろう。君たちがこの記事を楽しんでくれたことを願うよ。ぜひとも感想を聞かせて欲しい。
このコラムが気に入った? 気に入らなかった? どこが良かった? 悪かった? 私が疑いようもないほどに狂ってるって信じてもらえたかな? ぜひ教えてくれ。
さて皮肉の次は、偶然についてだ。
このコラムを終わらせるに当たって、32という数字は単なる思いつきにすぎないわけではないことを語っておこう(私が何を言っているのか分からなくても大丈夫。おそらく掲示板で誰かがネタばらしをしてくれるだろう。ちなみにあらかじめ言っておくと数え間違いではないよ。The Simpsonがそれ自体パロディなようにね)
恐ろしいことにマジックにいるドワーフの数もちょうど32体だ。なんてこった。
何にせよ、このイカレたコラムもそろそろ終わりを告げるときがきた。来週はもっとシンプルな記事になる予定だ。楽しみにしていてくれ。あなたの人生にも32のイカしたネタが転がってますように。
マーク・ローズウォーター
コメント
最後のトリビアクイズは4点でした。ドワーフにはそれなりに思い入れがある心算でしたが、昔のカードについての知識不足を思い知らされました。
なおトリビアクイズは1点でした。