余談1:Card of the Day について
06月18日の公式サイトリニューアルに伴い、Card of the Day の更新が停止している……と思っていたけれど、公式サイトの Forum(ユーザ掲示板)を見ているとどうやら「サイトのどこかに Card of the Day のページはあるけど日付しかない(記事が空欄)」らしい。
その書き込みがなされてからすでに1ヶ月近く経っているので、もしかしたらすでに問題は解決しているかもしれない。でも公式サイトの「Archive」から、記事名「Card of the Day」をこまめに検索しても何も出てこない(そもそも記事の検索機能が働いているかどうか怪しい)。
公式サイトへ送った問合せの回答もないし、公式Twitterのアカウントへ送ったリプライも返信ない状態なので、何か知ってる人いたら教えてください、お願いします。
余談2:公式サイト
旧アーティファクト色だった前の公式サイトのデザインのほうが目に優しい気がするのは単にリニューアル後に慣れてないだけなんだろうか。新しいデザインは「5色のマジック」にしてはあまりに「黒」過ぎるような気がする。
あと、前述したように、記事の検索機能(フィルター機能)が働いていないような気がする。「Archive」の下部に、記事のタイプや著者などでフィルタリング検索が可能であるかのようなプルダウンメニューがあるけど、どう選択しても「結果なし」が返ってくる。
大丈夫なのかなあ。
ちなみにForum(ユーザ掲示板)を見てると「意図的に使いづらくしてサイトのビュー数を減らして、ほら誰も公式サイトなんか見てないんだからつぶしましょう、とかサイト管理者が思ってるんじゃないの?」と、とんでもなくうがった見方をしている人もいる。
さすがにそれはないと思うけど、そう思われてる時点でまずいのでは。
余談3:天使週間の翻訳について
楽しかった(小学生並みの感想)
ただジョーク満載の文章なので翻訳するとき、どこまで意訳したものか、その匙加減が難しかった。ちなみに、このブログの翻訳は基本的に原文にない語を訳文に使うのを避けるようにしている……と思ってけど、実はそうでもないかもしれない。
越えちゃいけないラインを越えているかどうかは自分じゃ分からないので、判断に迷ったり、意図的に言葉を足した箇所など、訳す際に難しかったところを挙げてみる。
いきなり長々と引き合いに出してしまった。どこで迷ったかを挙げてみる。
まず「the grandmommy of all angels」。まさか「おばあちゃん」とか「祖母」とか訳すわけにもいかない(はず)。最初は「始祖」としたけど、ちょっと大仰かな、と思って最終的には「祖」にした。
次に「I’ve managed to ~ for a one on one interview」。
最初に訳したときは「ゲストにお招きし、差し向かいで話をすることに成功したんだからね」として、最終的には「ゲストにお招きすることに成功し、差し向かいで話をさせてもらうことになったんだからね」とした。
素直に訳すなら「1対1のインタビューになんとか捕まえることができた」になるのかな……あれ? なんかあらためて見るとこれでいい気がしてきた。
なんでインタビューって単語避けたんだっけか。2文に連続してインタビューという同じ名詞が並ぶことを避けたせいかな。英語ならまだしも日本語なら同じ言葉並んでも別に良かったか。
ここに挙げた以外で言及する点としては「I am excited to」を「私は胸の高鳴りを抑えることが出来ずにいる」という盛大な意訳にしたのが少し反省点で、「without any further ado」を「これ以上の前置きは不要だろう」としたのはなかなか上手いこといったと思ってる点。
しかしこの調子で書いてたら文字数制限に引っ掛かりそうだな。まあいいか。書きたいこと書こう。そのためのブログだ。
ここを訳すときに迷ったのは、なんといっても「口調」。これは本当に迷った。実際、別の口調で半分以上訳したバージョンもある(そっちは「です・ます」口調)。
語尾をいかにもな女性口調にするかどうか、丁寧ながらも威圧的な口調にするか、女王様にするか(なぜこの選択肢が生じたかはまた後ほど)。
何度か記事を読み直して今の口調(フレンドリーな女性口調)に決めた。英語の砕けた口調(Yeah や Kinda など)があったことも理由の1つだし、インタビューの途中でクイズを出すような軽いノリがあったこともそう。
これは訳す人によって大きく変わるポイントだろうな、と思う。他の人だったらどうしたか、ちょっと気になる。はすっぱなセラの天使もちょっと面白いかもしれない。
「来なかったら基本セットから抜くって脅したのはてめえだろうが!」
いや、ごめん。これはない。
ごく稀にやる「バレたら著者に怒られるかもしれないシリーズ」の1つ。具体的に言うと「Ha ha」を「あはは。面白いわー(目が笑ってない)」としたところ。ここは「著者のネタ」を完全に「訳す人間のネタ」で上書きしてる。
ここに限った話ではないけど、特にここは「おいおい、マローのネタつまらないな」と万が一にも思われてはいけない箇所なのでネタばらしをしておく所存。
そこまで言うなら大人しく直訳しておけばいいのに、と言われそうだけど……ここを「はは」とか「あはははは」とかだけにするのは……なんというか……ちょっと表現しづらいんだけど「あまりにもったいない気が」した。
逆に、最後の「You’re making me uncomfortable. Could we start the interview?」を「いい加減にしなさい。インタビューするの? しないの?」は、原文にない単語ばかり使って訳しつつも大意は崩さずに上手いこと訳せたんじゃないかな、と思ってる。
個々の単語はそれほど難しくないし、原文を読むだけなら引っかからないけど、日本語の文章にするのは難しかった箇所。自然な日本語にしようと、語順を並べ替えたり、一部の単語を意図的に無視したりしてる。
意図的に削った単語は「mythological」と「archetype」。前者を素直に訳そうとすると「神話上の」となるけど、ゴブリンやエルフを「神話上の存在」と呼ぶのはどうしても違和感があった。「空想上の」にするという手もあったかな。
後者の「archetype」は完全に削ったわけではなく「代表的なところ」や「マイナーな存在」のように別単語に言い換えている。「アーキタイプ」という外来語だとイマイチ意味が違ってしまう気がした。
色々考えて、結局は形容詞の「薄汚い」をかぶせたんだけど、やっぱり素直に「あばずれ」とすべきだったかもしれない。その場合は「レジェンドにあのあばずれ、《堕天使/Fallen Angel》がいたわ」になるのかな。
名詞にすると文章を一度切らないといけなくなることに抵抗感があった。いや、原文自体、そうなっているんだからそうすべきなのかもしれない。うーん。
ここらでちょっと翻訳以外のネタ。
この「カードの名づけ方のルール」については以下の記事が詳しい。
Name Killers
http://www.wizards.com/magic/magazine/Article.aspx?x=mtgcom/daily/db12
上記記事の拙訳。
カード名が殺されるとき
http://regiant.diarynote.jp/201101290607062000/
《忘却の円/Oblivion Circle》ではなく《忘却の輪/Oblivion Ring》と名付けられた理由や、新しいセットでゴブリンがよく新しい名前(モグ、悪鬼、ボガートなど)を得る理由や、ローウィンブロックのあと「Cloud」を含むカード名がしばらく作られなかった理由などが説明されている。
この記事は本当に面白かったので、ぜひ色んな人に知って欲しいと思って、ことあるごとに紹介してる。原文自体が読みやすい文章なので、そういう意味でもおススメ。
翻訳の話に戻ろうか。
ダブルクオテーションで囲われた「bah-roken」は「ああ、Broken を冗談めかしてるのか」と判断した。多分あってると思う。多分。
原文に忠実に訳すなら「それほどショックを受けたようには聞こえないわね。あなたもあの場にいたわ」かな。でもここは明らかに「笑いをとりにいく場所」だと思ったので全力を出した。
今回、訳してて一番楽しかった箇所かも。
次は銀枠カードの話。
註記をつけようか少し迷った箇所。
このカード名の元ネタはスペイン語の「Que sera sera」という言い回し。意味は「なるようになるさ」で、日本語でも「ケセラセラ」という言葉で知られている。数十年前に流行った歌で特に知られているかもしれない。ジブリ映画の「となりの山田くん」でも流れていた。
あらためて調べて気づいたんだけど、これ、スペイン語なのか。ずっとフランス語だと思ってた。ちなみにフランス語にも同じ言い回しがあるけど、つづりが「Qui sera, sera」となるらしい。
ここでちょっと悩んだのは「Brand Team」。「ブランドチーム」「ブランド部」「ブランド部署」が無難というか正しいんだろうけど、ちょっと意訳。
ただ、会社の部署名なので、もしかしたら正式な和訳があるかもしれない。過去の記事を漁れば対訳が見つかる可能性もありか。労を惜しんだかも。
原文を正直に訳すと「初めて白単色で単にその能力を率直に持っていたのはビジョンズの《大天使/Archangel》だった」になる。ただ、そう言い切ってしまうと《セラの天使/Serra Angel》が無視された形になってしまう。
記事の流れで分かるだろ、と言えばそうなんだけど《大天使/Archangel》は《セラの天使/Serra Angel》以降で初めての警戒持ちである、ということが伝わる文章にしたかったのでそうした(だって結局この記事は《セラの天使/Serra Angel》のためのものなんだから)。
ギャグキャラになりかけてた《セラの天使/Serra Angel》が凛々しくなられた瞬間。それなりに自然な日本語に出来たんでないかと思っている(自画自賛)。
迷ったのは「Play with me! Come on, I’ve been the key creature in numerous decks.」。意味がとれない、というわけではなくて、どうやったら自然な日本語になるか、そして「魅力的な《セラの天使/Serra Angel》のセリフになるか」で。
最初の「Play with me」は「私をプレイして」「私をデッキに入れて」「私を活躍させて」などが候補だった。もしかしたら「私と一緒に遊んでください」という意味ともかかっていたのかな、この原文。それは拾えてないな。次の文にある「Key creature」もそのまま訳すか悩んで上記の形になった。
次は普通に訳に困った箇所。
困ったのはもちろん「the first high profile net deck」。個々の単語は分かっても全体ではどういう意味なのかさっぱり分からなかったので、なんとなく訳した。
なお「High profile deck」は「強い」というより「広く知られた」になるみたい。そういう意味では間違ってる。
ここの「Hush!」が口調をどうするか決めるキーポイントとなった。はっきり言って、ここの訳が決まればそのまま《セラの天使/Serra Angel》の口調が決まる。
没案1:お黙り!
没案2:黙りなさい!
没案3:黙れ、こわっぱが!
まあ、最後のは冗談だけど、仮にこの没案を採用してた場合、残りのセリフがどう変化したかを考えるのも楽しいことではある。
というわけでオチ。
オチでもあり、訳していて楽しかった箇所その2でもある。結構意訳したけど原文のニュアンスからは外れてないと信じてる。実際、あのプッシュは謎過ぎた。
06月18日の公式サイトリニューアルに伴い、Card of the Day の更新が停止している……と思っていたけれど、公式サイトの Forum(ユーザ掲示板)を見ているとどうやら「サイトのどこかに Card of the Day のページはあるけど日付しかない(記事が空欄)」らしい。
その書き込みがなされてからすでに1ヶ月近く経っているので、もしかしたらすでに問題は解決しているかもしれない。でも公式サイトの「Archive」から、記事名「Card of the Day」をこまめに検索しても何も出てこない(そもそも記事の検索機能が働いているかどうか怪しい)。
公式サイトへ送った問合せの回答もないし、公式Twitterのアカウントへ送ったリプライも返信ない状態なので、何か知ってる人いたら教えてください、お願いします。
余談2:公式サイト
旧アーティファクト色だった前の公式サイトのデザインのほうが目に優しい気がするのは単にリニューアル後に慣れてないだけなんだろうか。新しいデザインは「5色のマジック」にしてはあまりに「黒」過ぎるような気がする。
あと、前述したように、記事の検索機能(フィルター機能)が働いていないような気がする。「Archive」の下部に、記事のタイプや著者などでフィルタリング検索が可能であるかのようなプルダウンメニューがあるけど、どう選択しても「結果なし」が返ってくる。
大丈夫なのかなあ。
ちなみにForum(ユーザ掲示板)を見てると「意図的に使いづらくしてサイトのビュー数を減らして、ほら誰も公式サイトなんか見てないんだからつぶしましょう、とかサイト管理者が思ってるんじゃないの?」と、とんでもなくうがった見方をしている人もいる。
さすがにそれはないと思うけど、そう思われてる時点でまずいのでは。
余談3:天使週間の翻訳について
楽しかった(小学生並みの感想)
ただジョーク満載の文章なので翻訳するとき、どこまで意訳したものか、その匙加減が難しかった。ちなみに、このブログの翻訳は基本的に原文にない語を訳文に使うのを避けるようにしている……と思ってけど、実はそうでもないかもしれない。
越えちゃいけないラインを越えているかどうかは自分じゃ分からないので、判断に迷ったり、意図的に言葉を足した箇所など、訳す際に難しかったところを挙げてみる。
原文:
And I’m excited to announce that I’ve managed to snag the grandmommy of all angels for a one on one interview.
So without any further ado, I present Serra Angel’s first sit-down interview.
拙訳:
そして今、私は胸の高鳴りを抑えることが出来ずにいる。何しろ全ての天使の祖たる存在をゲストにお招きすることに成功し、差し向かいで話をさせてもらうことになったんだからね。
これ以上の前置きは不要だろう。インタビューを始めよう。ゲストは《セラの天使/Serra Angel》だ!
いきなり長々と引き合いに出してしまった。どこで迷ったかを挙げてみる。
まず「the grandmommy of all angels」。まさか「おばあちゃん」とか「祖母」とか訳すわけにもいかない(はず)。最初は「始祖」としたけど、ちょっと大仰かな、と思って最終的には「祖」にした。
次に「I’ve managed to ~ for a one on one interview」。
最初に訳したときは「ゲストにお招きし、差し向かいで話をすることに成功したんだからね」として、最終的には「ゲストにお招きすることに成功し、差し向かいで話をさせてもらうことになったんだからね」とした。
素直に訳すなら「1対1のインタビューになんとか捕まえることができた」になるのかな……あれ? なんかあらためて見るとこれでいい気がしてきた。
なんでインタビューって単語避けたんだっけか。2文に連続してインタビューという同じ名詞が並ぶことを避けたせいかな。英語ならまだしも日本語なら同じ言葉並んでも別に良かったか。
ここに挙げた以外で言及する点としては「I am excited to」を「私は胸の高鳴りを抑えることが出来ずにいる」という盛大な意訳にしたのが少し反省点で、「without any further ado」を「これ以上の前置きは不要だろう」としたのはなかなか上手いこといったと思ってる点。
しかしこの調子で書いてたら文字数制限に引っ掛かりそうだな。まあいいか。書きたいこと書こう。そのためのブログだ。
原文:
You threatened to take me out of Ninth if I didn’t show up.
拙訳:
来なかったら第9版に収録しないって脅しておいて白々しい。
ここを訳すときに迷ったのは、なんといっても「口調」。これは本当に迷った。実際、別の口調で半分以上訳したバージョンもある(そっちは「です・ます」口調)。
語尾をいかにもな女性口調にするかどうか、丁寧ながらも威圧的な口調にするか、女王様にするか(なぜこの選択肢が生じたかはまた後ほど)。
何度か記事を読み直して今の口調(フレンドリーな女性口調)に決めた。英語の砕けた口調(Yeah や Kinda など)があったことも理由の1つだし、インタビューの途中でクイズを出すような軽いノリがあったこともそう。
これは訳す人によって大きく変わるポイントだろうな、と思う。他の人だったらどうしたか、ちょっと気になる。はすっぱなセラの天使もちょっと面白いかもしれない。
「来なかったら基本セットから抜くって脅したのはてめえだろうが!」
いや、ごめん。これはない。
原文:
Serra:
That’s not funny.
Me:
How about Wrath of God?
Serra:
Ha ha.
Me:
Glorious Anthem?
Serra:
You’re making me uncomfortable. Could we start the interview?
拙訳:
セラの天使:
笑えない冗談ね。
私:
では《神の怒り/Wrath of God》?
セラの天使:
あはは。面白いわー(目が笑ってない)
私:
《栄光の頌歌/Glorious Anthem》?
セラの天使:
いい加減にしなさい。インタビューするの? しないの?
ごく稀にやる「バレたら著者に怒られるかもしれないシリーズ」の1つ。具体的に言うと「Ha ha」を「あはは。面白いわー(目が笑ってない)」としたところ。ここは「著者のネタ」を完全に「訳す人間のネタ」で上書きしてる。
ここに限った話ではないけど、特にここは「おいおい、マローのネタつまらないな」と万が一にも思われてはいけない箇所なのでネタばらしをしておく所存。
そこまで言うなら大人しく直訳しておけばいいのに、と言われそうだけど……ここを「はは」とか「あはははは」とかだけにするのは……なんというか……ちょっと表現しづらいんだけど「あまりにもったいない気が」した。
逆に、最後の「You’re making me uncomfortable. Could we start the interview?」を「いい加減にしなさい。インタビューするの? しないの?」は、原文にない単語ばかり使って訳しつつも大意は崩さずに上手いこと訳せたんじゃないかな、と思ってる。
原文:
While many of the archetypes played upon very popular mythological creatures, goblins and elves and such, Richard found himself drawn to several less popular archetypes.
拙訳:
もちろん大半のクリーチャーはゴブリンやエルフみたいに代表的なところから引っ張ってこられたわ。でもリチャードはもう少しマイナーな存在にも興味をひかれたのよ。
個々の単語はそれほど難しくないし、原文を読むだけなら引っかからないけど、日本語の文章にするのは難しかった箇所。自然な日本語にしようと、語順を並べ替えたり、一部の単語を意図的に無視したりしてる。
意図的に削った単語は「mythological」と「archetype」。前者を素直に訳そうとすると「神話上の」となるけど、ゴブリンやエルフを「神話上の存在」と呼ぶのはどうしても違和感があった。「空想上の」にするという手もあったかな。
後者の「archetype」は完全に削ったわけではなく「代表的なところ」や「マイナーな存在」のように別単語に言い換えている。「アーキタイプ」という外来語だとイマイチ意味が違ってしまう気がした。
原文:
I was in Alpha and Fallen Angel, the tramp, was in Legends.
拙訳:
アルファ版に私、そしてレジェンドにあの薄汚い《堕天使/Fallen Angel》
色々考えて、結局は形容詞の「薄汚い」をかぶせたんだけど、やっぱり素直に「あばずれ」とすべきだったかもしれない。その場合は「レジェンドにあのあばずれ、《堕天使/Fallen Angel》がいたわ」になるのかな。
名詞にすると文章を一度切らないといけなくなることに抵抗感があった。いや、原文自体、そうなっているんだからそうすべきなのかもしれない。うーん。
ここらでちょっと翻訳以外のネタ。
原文:
R&D has made a policy of not putting creature type words in a title if that creature is not of that creature type. This means that any creature called a "spirit" would now have to be a creature type spirit.
拙訳:
開発部は、そのクリーチャータイプを持っていない場合、クリーチャータイプを表す語をカード名に入れてはならない、というルールを作ったの。クリーチャー名に「スピリット(Spirit)」とあるなら、クリーチャータイプは必ず「スピリット(Spirit)」になるわ
この「カードの名づけ方のルール」については以下の記事が詳しい。
Name Killers
http://www.wizards.com/magic/magazine/Article.aspx?x=mtgcom/daily/db12
上記記事の拙訳。
カード名が殺されるとき
http://regiant.diarynote.jp/201101290607062000/
《忘却の円/Oblivion Circle》ではなく《忘却の輪/Oblivion Ring》と名付けられた理由や、新しいセットでゴブリンがよく新しい名前(モグ、悪鬼、ボガートなど)を得る理由や、ローウィンブロックのあと「Cloud」を含むカード名がしばらく作られなかった理由などが説明されている。
この記事は本当に面白かったので、ぜひ色んな人に知って欲しいと思って、ことあるごとに紹介してる。原文自体が読みやすい文章なので、そういう意味でもおススメ。
翻訳の話に戻ろうか。
原文:
Serra:
Yeah, well, R&D was convinced that I was, what’s the term "bah-roken"
拙訳:
セラの天使:
そうよ。開発部ときたら私が「ぶっ壊れてる」と思いこんだのよ!?
ダブルクオテーションで囲われた「bah-roken」は「ああ、Broken を冗談めかしてるのか」と判断した。多分あってると思う。多分。
原文:
Me:
Really?
Serra:
Don’t sound so shocked.
You were there.
Me:
Oh yeah.
拙訳:
私:
ええっ!? 本当に!?
セラの天使:
本気で驚いてないでしょ?
……ってか、あなたもあの場にいたわよね
私:
そういやそうだ。
原文に忠実に訳すなら「それほどショックを受けたようには聞こえないわね。あなたもあの場にいたわ」かな。でもここは明らかに「笑いをとりにいく場所」だと思ったので全力を出した。
今回、訳してて一番楽しかった箇所かも。
次は銀枠カードの話。
原文:
Me: It was called Que Serra, Serra.
拙訳:
私:《Que Serra, Serra》というカードです。
註記をつけようか少し迷った箇所。
このカード名の元ネタはスペイン語の「Que sera sera」という言い回し。意味は「なるようになるさ」で、日本語でも「ケセラセラ」という言葉で知られている。数十年前に流行った歌で特に知られているかもしれない。ジブリ映画の「となりの山田くん」でも流れていた。
あらためて調べて気づいたんだけど、これ、スペイン語なのか。ずっとフランス語だと思ってた。ちなみにフランス語にも同じ言い回しがあるけど、つづりが「Qui sera, sera」となるらしい。
原文:
Trust me, the Magic brand team was not happy to see the card go.
拙訳:
信じてもらえるか分かりませんが、マジックの広報部は決して手放しで喜んでくれたりはしませんでしたよ
ここでちょっと悩んだのは「Brand Team」。「ブランドチーム」「ブランド部」「ブランド部署」が無難というか正しいんだろうけど、ちょっと意訳。
ただ、会社の部署名なので、もしかしたら正式な和訳があるかもしれない。過去の記事を漁れば対訳が見つかる可能性もありか。労を惜しんだかも。
原文:
But the first mono-white creature to just have the ability outright is Archangel in Visions.
拙訳:
だけど白単色のクリーチャーでこの能力を条件抜きに持っていたのはビジョンズの《大天使/Archangel》まで待たないといけなかったわ。
原文を正直に訳すと「初めて白単色で単にその能力を率直に持っていたのはビジョンズの《大天使/Archangel》だった」になる。ただ、そう言い切ってしまうと《セラの天使/Serra Angel》が無視された形になってしまう。
記事の流れで分かるだろ、と言えばそうなんだけど《大天使/Archangel》は《セラの天使/Serra Angel》以降で初めての警戒持ちである、ということが伝わる文章にしたかったのでそうした(だって結局この記事は《セラの天使/Serra Angel》のためのものなんだから)。
原文:
We’re manifestations of pure white mana. We’re not born. We’re magically made. By a planeswalker. Our duty is to fight for justice and righteousness.
拙訳:
私たちは純粋なる白きマナの顕現であり、生まれるのではなくプレインズウォーカーによって魔法的に作り出された存在であり、私たちの使命は正義と高潔さのために戦うことだった。
ギャグキャラになりかけてた《セラの天使/Serra Angel》が凛々しくなられた瞬間。それなりに自然な日本語に出来たんでないかと思っている(自画自賛)。
原文:
Me:
And on that note,
I think it’s time to wrap up this interview.
Anything you’d like to say to the public?
Serra:
Yes.
Play with me! Come on, I’ve been the key creature in numerous decks.
Like “The Deck”.
拙訳:
私:
時間が参りました。
そろそろこのインタビューを締めくくりたいと思います
読者の皆さんへ伝えたいことはありますか?
セラの天使:
あるわ。
私を使ってね! 色んなデッキで活躍してたのよ!
あの「The Deck」にも入ってたし!
迷ったのは「Play with me! Come on, I’ve been the key creature in numerous decks.」。意味がとれない、というわけではなくて、どうやったら自然な日本語になるか、そして「魅力的な《セラの天使/Serra Angel》のセリフになるか」で。
最初の「Play with me」は「私をプレイして」「私をデッキに入れて」「私を活躍させて」などが候補だった。もしかしたら「私と一緒に遊んでください」という意味ともかかっていたのかな、この原文。それは拾えてないな。次の文にある「Key creature」もそのまま訳すか悩んで上記の形になった。
次は普通に訳に困った箇所。
原文:
That was a deck created by a player named Brian Weissman believed by many to be the first high profile net deck.
拙訳:
「The Deck」は Brian Weissman というプレイヤーによって作られたデッキですね。多くのプレイヤーに史上最初のトーナメントレベルのデッキと信じられているデッキです。
困ったのはもちろん「the first high profile net deck」。個々の単語は分かっても全体ではどういう意味なのかさっぱり分からなかったので、なんとなく訳した。
なお「High profile deck」は「強い」というより「広く知られた」になるみたい。そういう意味では間違ってる。
原文:
Serra:
Hush!
I’m just asking your readers to give me a shot.
拙訳:
セラの天使:
うるさいわね!
試しに使ってみて、って読者に頼んでるだけでしょ!
ここの「Hush!」が口調をどうするか決めるキーポイントとなった。はっきり言って、ここの訳が決まればそのまま《セラの天使/Serra Angel》の口調が決まる。
没案1:お黙り!
没案2:黙りなさい!
没案3:黙れ、こわっぱが!
まあ、最後のは冗談だけど、仮にこの没案を採用してた場合、残りのセリフがどう変化したかを考えるのも楽しいことではある。
というわけでオチ。
原文:
Me:
Did I tell you I saw the Hurloon Minotaur panhandling the other day?
Serra:
I never understood how he got such good PR. (1)(R)(R) for 2/3!
拙訳:
私:
あれ? そういえばこのあいだ《ハールーン・ミノタウルス》が
道端で物乞いしてるのを見たというのはもう話しましたっけ?
セラの天使:
そもそも、なんであれほどプッシュされてたのかが謎すぎるわ。
……3マナ 2/3 の分際で!
オチでもあり、訳していて楽しかった箇所その2でもある。結構意訳したけど原文のニュアンスからは外れてないと信じてる。実際、あのプッシュは謎過ぎた。
コメント
cardofthedayでサイト検索すると、月毎にまとめたページが13年12月~14年3月分だけ見つかりますね。
magic.wizards.com/en/articles/archive/daily-deck/card-day-march-2014-2014-02-28
このURL見る限りだとなぜかdaily deckにカテゴリ分けされてるみたいで、ページも雑だし、もしかしてwotc的にはもう更新する気がなかったりするんでしょうか。
わざわざチェックありがとうございます。うーん、やっぱり最新のは見つからないですか。本当にもう更新してないのかもしれませんね。このブログも潮時かもしれません。
>Hak0さん
マローの部族ネタの記事で、白のクリーチャータイプだけ1つも訳してないな、と思ったので探してみたら面白いのが見つかりました。同じく天使週間だから天使全般かな、と思ってたんですが見事にセラの天使の独壇場でした。
セラの天使はスタンダード(当時はタイプ2)のセット入れ替わりがある中で、おそらく一番長く使った思い出深いクリーチャーです。相手の最序盤に出された黒騎士に殴り負けたりしたのも懐かしいです。