今週のCard of the Day (2008年10月 第4週) とか
2014年10月26日 週のまとめ余談1:今週のCard of the Dayのテーマ
当時、発売直前(直後?)だったアラーラの断片のカードたち。今週はグリクシス(黒を中心とした青黒赤)の断片に関するカードたちがテーマだった模様。月曜から順に「デーモンとそれが住まう地」「人間を裏切りアンデッドに身を堕とした王」「死体を鑑定するゾンビ」「ゾンビの好物」「デビルとデーモンの関係性」。こうゾンビの話が多いと思い出すのが、ゾンビのテーマ週間に書かれた以下の記事。
原文:
I cc: Dead People
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtgcom/daily/mr61
拙訳:
このカードはゾンビですか?
http://regiant.diarynote.jp/201102260801103424/
余談2:月曜日 《アンクスの大悪魔/Archdemon of Unx》
「Unx」ってマジック世界で一番短い地名かもしれない、とか思いつつ訳の話。
素直に(愚直に)訳すのであれば「~苦痛のみだ。それと大悪魔だ。それとまた動き回る骸骨などだ」となるけど、このままでは冗談めかした原文に対してあまりにも無味乾燥に思われたので「ああ、それと~」とか「そうそう、ついでに~」とか付け加えてある。
ところで、拙訳ではさらっと誤魔化してあるけど「skeleton-thing」って、なんだろう。「骸骨的な」? 「骸骨やそれに類するもの」? 「骸骨っぽい見た目」?
余談3:火曜日 《裏切り者の王、セドリス/Sedris, the Traitor King》
セドリスやグリクシスについてMTG Wikiを参照しに行ったらこの Card of the Day の記事を参照(翻訳)したとおぼしき箇所があって、かぶらないようにしないとまずいな、と思った次第。しかし本当に背景設定について困ったときに MTG Wiki は頼りになる。感謝。
訳の話。
細かい点としては、ダブルクオテーションを鍵括弧にするかどうか、とか、「Vithian」を「ヴィティア語」にするか「ヴィティアの言葉」にするかどうか。
それより迷ったのは語順。やはり「グリクシス……それはヴィティア語で「裏切り者」を意味するッ!」というのがオチなわけで、この「裏切り者という意味である」は文末に置きたい。
当然「グリクシス」という単語はその直前に置きたい。しかし日本語だとそれが難しい。「グリクシス」の直後に「それはヴィティア語で ~」とおこうとした場合、体言止めを使う必要がある。
仮にやるなら「力あるリッチとして治めているその地はグリクシス、ヴィティア語で「裏切り者」という意味だ」のようになる。ただ体言止めはあまりにも……なんというか……小説表現というか、訳す側の主張が強すぎるような気がして避けたかった。
そんなこんなで平易な日本語文をとるかわりに原文より長くなった次第。
余談4:水曜日 《死体の鑑定人/Corpse Connoisseur》
軽い叙述トリックみたいなネタだった。「黒い帽子のコレクター」と言ったら「黒い帽子をコレクションしている人」であると同時に「黒い帽子がトレードマークの(何かの)コレクター」という意味にもとれる、みたいな。
ただ「死体の鑑定人」のカード名は確かに両方の意味にとれるんだけど「肉袋の匪賊」はちょっと厳しい。職業名(?)である「匪賊」を見て「ああ、略奪者の意味をもつ古語ね」と知ってる人がどれだけいるのか。
これはちょっと原文も交えて話したいのでここで訳の話。
英語の「Fleshbag Marauder does not maraud fleshbags」という軽快な文章が、日本語にすると「肉袋の匪賊は肉袋を略奪したりはしない」となってしまう。かと言ってカード名ネタなので「肉袋の略奪者は肉袋を略奪したりはしない」では(公式訳的に)意味が通らない。ジレンマ。
ちなみにマジックと全く関係ない話をすると「Marauder(マローダー)」と聞いて真っ先に思い出すには「ブレイド・オブ・アルカナ」というTRPGシステム。ヒーローが悪堕ちすると変化してしまう超生命体が「マローダー」。大抵の場合、これがシナリオのラスボスになる。
余談5:木曜日 《荒廃稲妻/Blightning》
《荒廃稲妻/Blightning》の極意、それは《精神腐敗/Mind Rot》と《溶岩の撃ち込み/Lava Spike》を組み合わせた全く新しい呪文。この呪文が活躍しだしたときに意外に思ったのは「あまり強くない2枚も、そのまま1枚となると強いんだな」ということ。
単に《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》が強かった可能性もあるけど、訳の話。
ポイントは2文目の冒頭にある「of course」の意味。これをどうとるかで訳が変わる。何が「もちろん」なのか?
1.「脳みそがご馳走」なのは当たり前である
2.「脳みその燻る臭いが珍しい」のは当たり前である
ゾンビは「汁気たっぷりの脳みそ(nice juicy brains)」を好むので「燻る臭いのする脳みそ(smell of smoldering brain)」を見かけることは珍しいのは至極当然である、という意味かな、と考えて訳してみた。
ちなみにその他の候補。
没訳:グリクシスに大量のゾンビがいることを考えると実に筋が通っている
没訳:グリクシスに大量のゾンビがいるという事実の確かな裏付けとなる
余談6:金曜日 《災いの悪魔/Scourge Devil》
そもそもデーモンとデビルって何が違うの、と思いつつも違う点から訳の話。
これをまず直訳気味に訳してみると……
逆に単語ごとの訳を捨て、とことん意訳してみると……
両方を試しに作ってみた上で、すり合わせてもみると……
……という感じ。
当時、発売直前(直後?)だったアラーラの断片のカードたち。今週はグリクシス(黒を中心とした青黒赤)の断片に関するカードたちがテーマだった模様。月曜から順に「デーモンとそれが住まう地」「人間を裏切りアンデッドに身を堕とした王」「死体を鑑定するゾンビ」「ゾンビの好物」「デビルとデーモンの関係性」。こうゾンビの話が多いと思い出すのが、ゾンビのテーマ週間に書かれた以下の記事。
原文:
I cc: Dead People
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtgcom/daily/mr61
拙訳:
このカードはゾンビですか?
http://regiant.diarynote.jp/201102260801103424/
余談2:月曜日 《アンクスの大悪魔/Archdemon of Unx》
「Unx」ってマジック世界で一番短い地名かもしれない、とか思いつつ訳の話。
原文:
It was once a grand stadium but now spawns only pain. And archdemons. And also skittering skeleton-things.
拙訳:
かつてはそこに大闘技場が存在もしていたが、
今そこから生み出されるものは苦痛のみだ。
ああ、それと大悪魔も生み出されている。
そうそう、ついでに元気に蠢く骸骨たちも生み出されているね。
素直に(愚直に)訳すのであれば「~苦痛のみだ。それと大悪魔だ。それとまた動き回る骸骨などだ」となるけど、このままでは冗談めかした原文に対してあまりにも無味乾燥に思われたので「ああ、それと~」とか「そうそう、ついでに~」とか付け加えてある。
ところで、拙訳ではさらっと誤魔化してあるけど「skeleton-thing」って、なんだろう。「骸骨的な」? 「骸骨やそれに類するもの」? 「骸骨っぽい見た目」?
余談3:火曜日 《裏切り者の王、セドリス/Sedris, the Traitor King》
セドリスやグリクシスについてMTG Wikiを参照しに行ったらこの Card of the Day の記事を参照(翻訳)したとおぼしき箇所があって、かぶらないようにしないとまずいな、と思った次第。しかし本当に背景設定について困ったときに MTG Wiki は頼りになる。感謝。
訳の話。
原文:
Now, he rules as a powerful lich over the land known as "Grixis"―Vithian for "Traitor".
拙訳:
そして今や彼は力あるリッチとしてグリクシスという名で知られる地を治めている。その名はヴィティア語で「裏切り者」という意味である。
細かい点としては、ダブルクオテーションを鍵括弧にするかどうか、とか、「Vithian」を「ヴィティア語」にするか「ヴィティアの言葉」にするかどうか。
それより迷ったのは語順。やはり「グリクシス……それはヴィティア語で「裏切り者」を意味するッ!」というのがオチなわけで、この「裏切り者という意味である」は文末に置きたい。
当然「グリクシス」という単語はその直前に置きたい。しかし日本語だとそれが難しい。「グリクシス」の直後に「それはヴィティア語で ~」とおこうとした場合、体言止めを使う必要がある。
仮にやるなら「力あるリッチとして治めているその地はグリクシス、ヴィティア語で「裏切り者」という意味だ」のようになる。ただ体言止めはあまりにも……なんというか……小説表現というか、訳す側の主張が強すぎるような気がして避けたかった。
そんなこんなで平易な日本語文をとるかわりに原文より長くなった次第。
余談4:水曜日 《死体の鑑定人/Corpse Connoisseur》
軽い叙述トリックみたいなネタだった。「黒い帽子のコレクター」と言ったら「黒い帽子をコレクションしている人」であると同時に「黒い帽子がトレードマークの(何かの)コレクター」という意味にもとれる、みたいな。
ただ「死体の鑑定人」のカード名は確かに両方の意味にとれるんだけど「肉袋の匪賊」はちょっと厳しい。職業名(?)である「匪賊」を見て「ああ、略奪者の意味をもつ古語ね」と知ってる人がどれだけいるのか。
これはちょっと原文も交えて話したいのでここで訳の話。
原文:
Compare this to Fleshbag Marauder, who, as far as we know, does not maraud fleshbags.
拙訳:
《肉袋の匪賊/Fleshbag Marauder》と比較してみるとよく分かるだろう。我々の知る限り、この匪賊は肉袋を略奪したりはしない。
英語の「Fleshbag Marauder does not maraud fleshbags」という軽快な文章が、日本語にすると「肉袋の匪賊は肉袋を略奪したりはしない」となってしまう。かと言ってカード名ネタなので「肉袋の略奪者は肉袋を略奪したりはしない」では(公式訳的に)意味が通らない。ジレンマ。
ちなみにマジックと全く関係ない話をすると「Marauder(マローダー)」と聞いて真っ先に思い出すには「ブレイド・オブ・アルカナ」というTRPGシステム。ヒーローが悪堕ちすると変化してしまう超生命体が「マローダー」。大抵の場合、これがシナリオのラスボスになる。
余談5:木曜日 《荒廃稲妻/Blightning》
《荒廃稲妻/Blightning》の極意、それは《精神腐敗/Mind Rot》と《溶岩の撃ち込み/Lava Spike》を組み合わせた全く新しい呪文。この呪文が活躍しだしたときに意外に思ったのは「あまり強くない2枚も、そのまま1枚となると強いんだな」ということ。
単に《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》が強かった可能性もあるけど、訳の話。
原文:
According to the flavor text of Blightning, the smell of smoldering brain matter is a rare treat. This, of course, makes perfect sense given the number of zombies on Grixis.
拙訳:
この《荒廃稲妻/Blightning》のフレイバーテキストによると、脳みその燻る臭いは「珍しいご馳走」らしい。これはもちろんグリクシスに大量のゾンビがいることを考えればむしろ当然ともいえることだ。
ポイントは2文目の冒頭にある「of course」の意味。これをどうとるかで訳が変わる。何が「もちろん」なのか?
1.「脳みそがご馳走」なのは当たり前である
2.「脳みその燻る臭いが珍しい」のは当たり前である
ゾンビは「汁気たっぷりの脳みそ(nice juicy brains)」を好むので「燻る臭いのする脳みそ(smell of smoldering brain)」を見かけることは珍しいのは至極当然である、という意味かな、と考えて訳してみた。
ちなみにその他の候補。
没訳:グリクシスに大量のゾンビがいることを考えると実に筋が通っている
没訳:グリクシスに大量のゾンビがいるという事実の確かな裏付けとなる
余談6:金曜日 《災いの悪魔/Scourge Devil》
そもそもデーモンとデビルって何が違うの、と思いつつも違う点から訳の話。
原文:
Devils on Grixis are small, not that smart, and exceedingly sadistic.
In order for the demons to rely on the devils’ loyalty, a fresh supply of helpless victims is always necessary.
これをまず直訳気味に訳してみると……
直訳版:
グリクシスに住まうデビルたちはあまり大きくなく、あまり賢くなく、そしてきわめて嗜虐的である。
デーモンたちはデビルの忠誠を信用するため、無力な生け贄たちの新鮮な供給を常に必要としている。
逆に単語ごとの訳を捨て、とことん意訳してみると……
意訳版:
グリクシスに住まうデビルたちは比較的小さい体を持ち、あまり賢くもないが、きわめて嗜虐的な性質を有している。
彼らを使役するデーモンたちはその忠誠心をつなぎとめるため、無力な生け贄たちを絶え間なく供給する必要に迫られている。
両方を試しに作ってみた上で、すり合わせてもみると……
拙訳:
グリクシスに住まうデビルたちは比較的小さく、あまり賢くもなく、そしてきわめて嗜虐的な性質を有している。
デーモンたちはデビルたちの忠誠心をつなぎとめるため、無力な生け贄たちの絶え間ない供給を常に必要としている。
……という感じ。
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