余談1:今週のCard of the Dayのテーマ

 以前の登場時からダークサイドに堕ちたあとの状態のカードたち。堕ちた理由は様々で、ファイレクシア化してたり、アンデッド化してたり、完成してたり、天使に呪いをかけられてたり、魔女に呪いをかけられてたり。

余談2:月曜日 《堕落した者アーテイ/Ertai, the Corrupted》

 昔、ホビージャパンのホームページで連載していた「スターライト・マナバーン」にアーテイも登場してたけど、移ろいの門の出すクイズに答えられずにいるうちに時空の狭間に飲み込まれて「しまった! こんな次元の狭間に…! なんかこの天才な私がえらい数学のデキの悪い生徒に生まれかわって「アーテイ」なのに「アーティ」とか呼ばれてそうな気がする」と言い残して消えてった。

 この意味深なセリフが意味するところはその回のあとがきで語られていて、作者によるそのあとがきで「アーティだと思ってた。GAMEぎゃざ誌で連載していた頃 堂々とアーティって書きました!」と白状してた。

 要するに「スターライト・マナバーン」の単行本化まだですか、という話。

余談3:火曜日 《ミノタウルスの嫌悪者/Minotaur Abomination》

 その昔、存在していた《忌まわしき者/Abomination》とはなんの関係もないみたい。ちなみにどんなカードだったかというと、緑と白のクリーチャー相手にブロックするかされるとその相手を破壊する、という5マナ 2/6のクリーチャー。

 またその昔、(いまこのブログでやっているように)公式サイトの Card of the Day を約3年半に渡って訳し続けていたサイトが「abomination.jp」だった。あのサイトに出会わなければこのブログを始めることもなかったな、とふと思い出す。

 昔話はさておき役の話。
原文:
 Normal Minotaurs may not exactly be beautiful, but at least all their body parts seem to be in vaguely the right places.
 Apparently anyone can be a necromancer these days; we really need a licensing board.

拙訳:
 普通のミノタウルスだって決して美しい見た目とは言えないが、少なくとも体のパーツは大体正しい位置にある。
 最近は誰でも簡単にネクロマンサーを名乗れるようになってしまった。そろそろ免許制にしたほうがいい気がするね。

 これ、1行目で「普通のミノタウロスも見た目ひどいけど、これに比べたらまだまし」と言っていて、2行目で「最近は誰でも簡単にネクロマンサーになれちゃうのな」と続いている。

 つまりあいだに「こんなできそこないとしか思えないゾンビしか作れない魔法使いすらネクロマンサーを名乗れてしまうほどにネクロマンサーの質が落ちている」という言葉が省略されてる。

 それを補わずにそのまま訳して伝わるのか……全文補うのはやり過ぎとしても、いくつか言葉を足して分かりやすくするべきなのか。でも補わないと分からないかもしれない、というのは読者に対する侮辱なのかもしれない。

 というわけで基本的にそのまま。

余談4:水曜日 《進化の爪、エズーリ/Ezuri, Claw of Progress》

 訳の話。
原文:
 The compleated form of the former Renegade Leader came out in Commander (2015 Edition)-and you have to admit, Phyrexian ”progress” might look hideous, but it works! Ezuri doesn’t care if you’re an Elf anymore. All shall be compleated.

拙訳:
 背教(Renegade)の先代のリーダーが「完成」されて統率者2015で帰ってきたぞ。ファイレクシアの「進化」の見た目は確かにひどいものだが、効果は抜群であることを認めないわけにはいかないだろう!
 もうエズーリは傍らにいるのがエルフかどうかなんて気にしない。誰であろうと「完成」されるべきなのだ。

 こういう世界特有の固有名詞、その中でも特にカタカナでないものは……困る。そのままでいい気もするし、説明が欲しい気もするし。

 背教はそのままでも良かったかな。「完成」の解説を付記したのは、個人的に「こういうメモがある翻訳が好き」だから。

 個人のブログだし、好きにする。

 あと付け加える点としては助詞かな。

  ・Phyrexian ”progress” might look hideous,
     but it works!
  ・ファイレクシアの「進化」の見た目は確かにひどいものだが、
     効果は抜群であることを認めないわけにはいかないだろう!

 最後の「であることを認めないわけにはいかない」は若干長いし、一般的な「認めざるを得ない」を使ってもいいんだけど、そうすると……

  ・効果は抜群であることを認めざるを得ない

 ……となってしまい「を」が重なるのが気になってしまった。こういうのが気になって、部分的には「第二候補」の日本語訳を採用せざるを得ないことがちょいちょいある。

余談5:木曜日 《呪われたクロウヴァクス/Crovax the Cursed》

 昔、訳したMark Rosewaterのコラムでクロウヴァクスが登場してた。ろくな扱いを受けてなかった気がする。
原文:
 Poor Crovax. He brought it on himself, but still, that curse really does seem like a bum deal.

拙訳:
 かわいそうなクロウヴァクス。自業自得とはいえ、この呪いはあまりにうま味がなさすぎる。

 「bring it on oneself」で「自らが招いたこと」なので「自業自得」。これはよしとして……「bum deal」がめんどかった。「損な取引」を意味する。

余談6:金曜日 《頂点捕食者、ガラク/Garruk, Apex Predator》

 ガラクさんって今どこで何してんだろ。
原文:
 Garruk has always been a mighty hunter, but after he was cursed by the Chain Veil (thanks, Liliana), he sank into madness and fury, and now he runs with fiends and hunts his own kind. He has become more predator than human.

拙訳:
  かつてのガラクは頼れる狩人であった。しかし鎖のヴェールに呪われた彼は深い狂気と怒りに囚われ、今や悪鬼とともに駆け巡りながら自身と同じプレインズウォーカーを追い詰める狩人となった(リリアナ、君のおかげだよ)。今の彼は、人であるよりも先に捕食者なのだ。

 色々難しかった。1つずつあげてく。

 1つ目として、カッコ内の (thanks, Liliana) がある。皮肉なのは明白として、どう訳すか。さらにどこに挿入するか。原文に合わせるなら「鎖のヴェールに呪われた~」の近くに置くべきなんだろうけど……

  (1) 鎖のヴェールに呪われた(ありがとう、リリアナ)ガラクは深い狂気と ~
  (2) リリアナのおかげで鎖のヴェールに呪われたガラクは深い狂気と怒りに ~
  (3) 鎖のヴェール(リリアナに感謝)に呪われたガラクは深い狂気と怒りに ~

 どれもこれもしっくりこなかったので「呪われたせいで狂気に囚われてプレインズウォーカー専門の狩人になった」という出来事全体を「リリアナのおかげ」ととらえることにした。

 2つ目は「hunts his own kind」。何かの言い回しかとも思ったけど調べた限りでは見つけられなかった。素直に読むなら「自身と同じタイプを狩る」という意味に思われたので、そう訳した。

 3つ目は末尾の「He has become more predator than human」。なんか訳しづらかった。多分「become more predator」という言い方が個人的にすんなり入ってこないからだと思う。

 そのまま訳すと「より捕食者になった」。前後も付け加えると「彼は人間よりもっと捕食者になった」? 日本語っぽくないなあ……というわけで拙訳では「今の~」とか「よりも先に~」とちょいちょい補って文章をカッコよくしようと試みた。

 難しかった。

余談7:ハースストーン

 もうすぐ新アドベンチャーが解禁になるということで2800ゴールドの貯金を作っておいた。新カードも色々紹介されてるしワクワクする。

 ハースストーンもマジックみたいに裴景ストーリーや世界設定がしっかりあって、レジェンドのカードたち同士にも因縁があるらしいし、映画も上映されてるし、踏み込んでみると楽しそうね。

コメント

高潮の
2016年8月11日1:38

abomination.jpさん、サイト自体はまだあるんですよね。card of the day に NetRunner のカードが登場したとき、自分のブログで訳したら、リンクを貼ってもらったのを憶えています。なんだかもう、ただ懐かしいです。

re-giant
2016年8月11日12:21

続けられてた日記もツイッターに移行して継続されてるみたいですね。こういう風にご健在であることが分かるのはなんか嬉しいです。

あと去年か一昨年のゲームマーケットで NetRunner を見かけて(遊んだこともないのに)なぜか懐かしい気持ちになりました。

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