余談1:今週のCard of the Dayのテーマ

 引き続き新セット「異界月」のカードの紹介をプロツアーの話題に絡めて行っている。なおここでいうプロツアーはシドニーで行われる「プロツアー異界月」。

 金曜日に時差の話題が記事の中であがってた。オーストラリアはアメリカやロシアと同じく国の中に複数のタイムゾーンがあって色々めんどいんだけど、それに輪をかけてめんどくささを跳ね上げているのが「夏時間」の制度。なんと州によって採用したりしてなかったりするという。

 オーストラリア人はよく混乱しないなあ、と思って聞いてみたら「いや混乱するよ。飛行機の時間を間違えたり」って言ってた。おいおい。

余談2:月曜日 《集合した中隊/Collected Company》

 訳の話。
原文:
 It’s mean! It’s green!
 It’s ridiculously powerful!
 Iiiit’s Collected Company, all-star of the last several months of premier play! Find out if Eldritch Moon can put a dent in its dominance at the Pro Tour this weekend.

拙訳:
 こいつは見てみろ! こいつは緑色!
 そしてこいつはすこぶるパワフル!
 ご覧あれ、何か月ものあいだTier1で大人気、これぞ《集合した中隊/Collected Company》! 果たして、異界月の新カードはこのカードの勢いを殺ぐことができるのか……今週末にご注目!

 比較しやすくするために原文にはない改行を入れてみる。

 うーん。

 ひどいな、これ。でも、まあ、どうしようもないな(白旗)

余談3:火曜日 《呪文捕らえ/Spell Queller》

 MTG Wikiにも書いてあったけど、これ、カード名が《呪い捕らえ/Cursecatcher》と似すぎだよ……再録かと思った。Wikiに「呪い捕らえのイメージを引きずりすぎると、呪文捕らえはパーマネント呪文も対象にできることを忘れがち」とあったけど、ホントにその勘違いしてた。

 ただマジックには10,000種類(!)を超えるカードがすでにあるわけで、過去のカードとまったく似てないカードをつけ続けるのは不可能に近い。どんな単語でも使えるわけでないし、どうしてもカブりは起きる。そこらへんについては昔訳した以下のコラムで語られている。

  カード名が殺されるとき/Name Killers
  http://regiant.diarynote.jp/201101290607062000/

 それはさておき訳の話。
原文:
 Could we see an all-in white-blue Spirits strategy conquer the Pro Tour?

拙訳:
 はてさて、僕らはオールイン型の青白スピリット戦略がプロツアーを席巻するところを見ることができるだろうか?

 あってるのかな、この「all-in」の訳。手札を抱えずに全部場にダンプしていくタイプのデッキを指しているっぽいんだけど、それって「スライ」とはまた違うのかな。

余談4:水曜日 《焼夷流/Incendiary Flow》

 「2マナ 3点火力 クリーチャーが死ぬとゲームから取り除かれる」というと昔懐かしい《火葬/Incinerate》が思い出される。ただ「ソーサリー」だし「再生は可能」なので基本的には下位互換かな。長いマジックの歴史でここ10年ほどはクリーチャーがどんどん強くなって、呪文は弱くなってる。

 基本的にクリーチャーで殴り合うゲームであり、それを拒否するならかなり歪で難しいデッキ構築を要求される、という流れは好き。まず「基本」がないと「色物」も生まれないし、バラエティに富んだ世界にするためには逆にまずは鋳型に嵌めようとする力が必要。

 まあそれはさておき《火葬/Incinerate》で思い出したのは《火山の鎚/Volcanic Hammer》。これがまた昔のカードに使い慣れた身からするととんでもない下位互換で「2マナ ソーサリー 対象に3点ダメージ」という効果だった。呪文の弱体化が行き過ぎてしまった例かな。

 とか言いつつ、実はデッキに投入してた時期がある。それは土地破壊を詰め込んだ《猛烈に食うもの/Magnivore》デッキ。軸となるクリーチャーの能力が「墓地に落ちているソーサリーの数だけ強くなる」だったので「ソーサリーであること」がメリットだった。

 ちなみに当時は《サイカトグ/Psychatog》華やかなりし頃で、2ターン目からサクサクと呪文を打ち消された。きつかった。なお《サイカトグ/Psychatog》対策としてサイドに《砂岩の落としわな/Sandstone Deadfall》を入れてみたけど《激動/Upheaval》で戻されたもよう。

 前にも書いたような気がする。まあいいか。

余談5:木曜日 《消えゆく光、ブルーナ/Bruna, the Fading Light》

 訳の話。
原文:
 Melding her and Gisela into an epic horror-monster sure is flashy, but don’t be surprised to see Bruna show up all by herself to reanimate some friends at the Pro Tour
 -which, through the magic of time zones, starts today on twitch.tv/magic!

拙訳:
 彼女とギセラを融合させて神話的モンスターに育て上げるのはもちろん素晴らしいけど、プロツアーで味方を復活させるためだけに彼女単体で使われるのを見たとしてもそれほど驚くには値しないよね。
 どうやって見るのかって? 時差の問題は今日のTwitch.tv/magicで解決さ!

 まずは前半部分。

 冒頭の「Melding」を合体とするかどうか。「Meld」は「融合、混合、合成」などの意味があり、その語感も「Melt(溶けて混ざる)」に似ている。合体よりはもうちょっとこう……液体っぽさというか不定形な感じが出したかった(全然関係ないけど「そういえば《Melding Jar》ってあったような……0マナでサクるとアーティファクト・クリーチャーを再生できるやつ……って、違うわ、《Welding Jar》だ」ってことがあった)。

 あとこれはどちらかというと日本語側の問題だけど「~ into an epic horror-monster sure is flashy」の箇所を「~に育て上げるのはもちろん」とするか「~に育て上げるのももちろん」とするか。合体させるだけでなく単体でも……という内容が続くので「育て上げるの」かな、と思いつつも「育てあげるのももちろん」と同じ平仮名が続くのに抵抗感があった。極力、同じ平仮名は連続しないようにしてる。読みづらそうだから(同様に漢字の連続も)。

 後半部分の話。

 ここは正直なところ推測と憶測で訳してる。あらためて読んでみるとこれ間違ってるな。単に「プロツアーのカレンダー上の開催日は今日ではないが時差の問題でアメリカでは今日から始まる」だな。「Through」を深読みしすぎた。

余談6:金曜日 《最後の望み、リリアナ/Liliana, the Last Hope》

 元のカード名の「Last Hope」は「最後の希望」というイメージがあって、これが「最後の望み」だと「色々ある願い事のうち、最後の1つ」というイメージで「Last Hope(最後の希望)」だと「全ての希望が絶えてしまったと思いきや、最後の希望がまだ残ってた」みたいな(註:感じ方には個人差があります。それはさておき訳の話)
原文:
 With or without a Zombie army as her supporting cast, this versatile three-mana planeswalker is pretty much guaranteed to show up at the Pro Tour.

拙訳:
 補佐してくれるゾンビ軍団がいてもいなくてこの多才な3マナのプレインズウォーカーはほぼ間違いなくプロツアーに顔を出すだろうね。

 最初に訳したときは「普段は補佐してくれるゾンビ軍団はいないけれど、それでもこの多才な~」としてしまったんだけど、あらためてカードテキストをちゃんと読んだらこのバージョンのリリアナさんもゾンビを呼べることが分かって、慌てて直した。

余談7:カウンター

 カウンターが30万超えた。2010年の11月ごろから初めて、もうすぐ6年になるから大体1年で5万ヒット、1日当たりに換算すると大体140ヒット。そんなもんか。

 ただ実際は公式サイトのリニューアルに伴う Card of the Day の休止期間があるので6年間途切れなく続けてきたわけではないけど。

 ちなみにこのブログで一番最初に紹介されている Card of the Day のカードは 2010年11月05日 の《Frazzled Editor》。このカード名を聞いてすぐにカードテキスト思い浮かぶ人はかなりのマジック通だと思う。

  Card of the Day - 2010/11/05
  http://regiant.diarynote.jp/201012040801498960/

コメント

高潮の
2016年8月28日1:35

自分は 6ED-MMQ-INV から始めたので、歴代スタンダードでも火力が最弱の時期だったんですよ。《ショック》が一応あって、次がもう《ウルザの激怒》。だから7版で火山の鎚再録された時には「おお、2マナで3点入るじゃん!」と普通に喜んだ憶えがあります。しかし、今《焼夷流》が使われるっぽい状況ということは、この直前のスタンダードも火力は相当あれだったってことになるのかも知れませんね。

re-giant
2016年8月31日0:31

>歴代スタンダードでも火力が最弱の時期

火力の氷河期ですね(なんだそれは)。《ショック/Shock》は本当にショックでした。リアルタイムであれほどあからさまな呪文の下位互換を見たのは初めてだった気がします。

しかし、なるほど、2マナで3点すらない時代があったんですね。同じ新カードでもいつから始めたのかで感じる強さが全然違う、ということをあらためて思い知りました。面白いです。

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