余談1:今週のCard of the Dayのテーマ

 どうやら次の銀枠シリーズ、アンスタブル(Unstable)が12月に出るらしい。それを意識してか Card of the Day も銀枠カードの紹介を始めている。多分、来週も銀枠カードだろうな。銀枠カードはダジャレやアメリカ文化に根差したフレイバーが多いので、銀枠カードを取り上げる Card of the Day も面白くなりそう。

余談2:月曜日 《Frazzled Editor》

 このカードが Card of the Day に取り上げられるのは7年ぶり2度目。前回は2010年の11月05日で、今回が2017年の11月06日なので、本当にちょうど7年ぶりだ。ちなみにその日の Card of the Day がこのブログの最初の記事でもある。

  Card of the Day - 2010/11/05
  http://regiant.diarynote.jp/201012040801498960/

 というわけで当ブログも7周年。それはさておき、とても難しかった訳の話。
原文:
 The pen is mightier, but this actual image of an R&D editor was captured at a moment when the pen was a little overworked.
 All R&D members have since been issued swords, just in case.

拙訳:
 ペンの方が強し。そう言うね。でもここで描かれているのは実際の場面さ。開発部の編集者はペンで戦うことに疲れ果ててしまっていたんだ。
 このとき以来、開発部のメンバーはインクをさす代わりに剣をさすようになった。いつか必要になるかもしれないからね。

 原文のネタは理解したんだけど「this actual image of an R&D editor」をそのまま訳そうとすると「実際の開発部のメンバーのイメージ」となってしまってあまりに冗長になる、とか、「the pen was a little overworked」を「ペンが働き過ぎた」では意味が伝わらない気がするとか……

 ああ、そうそう、冒頭の「The pen is mightier」というのが「The pen is mightier than the sword(ペンは剣よりも強し)」という格言が元になってるんだけど、その元の格言が知られているのを前提として訳していいのか、補足したほうがいいのか、とかもある。

 さらに「,(コンマ)」が複数回使われていることで文章が前後したり、日英の文の構成に違いがあるのでさらにその前後が逆になったり。

 一言でいうと「難しかった」となる。

余談3:火曜日 《森/Forest》

 アングル―ドやアンヒンジドの「カードサイズを目いっぱい使ったフルアートの土地」は素晴らしいし、ついでに語るならポータルの「テキスト欄がマナシンボルのみ」の大胆デザインも素晴らしい。

  アングル―ドの土地:《森/Forest》
  https://magiccards.info/ug/en/88.html

  アンヒンジドの土地:《森/Forest》
  https://magiccards.info/uh/en/140.html

  ポータルの土地:《森/Forest》
  https://magiccards.info/po/en/203.html

 個人的なうがった見方だけど、これら「商業的な成功がかなり怪しいセット群」に、公式大会ガチプレイヤーたちにも訴求力のある土地というカードに皆が欲しくなるデザインを持ってきたのはやっぱり……

 まあいいや。

余談4:水曜日 《Richard Garfield, Ph.D.》

 メンタルマジックって聞いたことあるけど遊んだことはないんだよね。学生時代に先輩方がやってるのを見たことはある。ただ、デッキ構築でもプレイングでもない完全に盤外の知識で勝負が決まる、というのが腑に落ちなくて参加はしなかった(単にその頃はまだ遊び始めた頃だったので古いカードに関して先輩方に知識がまったく追いつかなかったから、というのもあるけど)。

 訳の話。
原文:
 Why did this have to be in an Un-set, anyway? That ability might seem overpowered, but come on, it’s really just Transmute without the downside of having to put all those cards in your actual deck.

拙訳:
  いや、考えてみたらこれ銀枠である必要なくないか? 能力はぶっ壊れに見えるかもしれないけど、ちょっと待ってくれ、要は単なる変成(Transmute)じゃないか。マナを再度払う必要がないってのと君のデッキにあらゆる想定されるカードをあらかじめぶち込んでおく必要がない、ってメリットは確かにあるけどさ。

 原文では「Transmute」という単語が《Transmute Artifact》のカードデータにリンクされていたけど「それだったら《Transmute Artifact》と書かなかった理由が分からない」「デメリットであるアーティファクトの生け贄を差っ引いてもアーティファクトしか対象に取れないという点で全く異なる」という2つの理由から「これ、もしかして変成(Transmute)を指しているのでは?」と思ってそう訳した。

 ただあらためて考えると「対象がアーティファクトのみというのもデメリットととらえれば意味が通る」のと「実質的にマナに差額がないという点では同一」と考えると《Transmute Artifact》でいいのかな、と思わないでもない(その場合、リンクする単語が Transmute のみなのに深い意味はない、ということ)。

 うーん。

 とりあえず Transmute の一語だった「原文を尊重」の現状維持で。

余談5:木曜日 《Farewell to Arms》

 こういうカード名を見るとホントに銀枠シリーズは多言語版を出せないな、と思う。蛇足ながら付け加えておくと、英語で「Arm」は「銃器、兵器、武装」という意味がある(例えばPSソフトの「ワイルドアームズ」シリーズの「アーム」も腕ではなくて作中の兵器を指している)。
原文:
 The simple fact that this specifically requires you to choose ”a hand attached to an opponent’s arm” really makes you wonder what horrifying scenarios came up in playtesting, doesn’t it?

拙訳:
 対象にとれるのが対戦相手1人の「腕についている」手のみである、とわざわざ明記されているのは、つまりテストプレイ時に何か恐ろしいことを試みたプレイヤーがいた、ということを示唆しているのではないだろうか……。

 ホントに訳はこれでいいのかな。いや、翻訳という意味ではおそらく間違ってないとは思う。ただ正直なところ、どこがネタなのか(笑いどころなのか)自分でも理解してない。

 付けられた相手が「手を失っても構わないが手札は捨てたくない!」と動きやすいように自分の手を切り落として(その上にカードを乗せたまま)プレイを続けたのかもしれないね、ということを示唆してるのかなあ……腕を後ろに回したままなのと片手を切り落としたあとと、どっちもプレイの難易度は変わらないと思うんだけど(って考えが無粋なだけなのかもしれない)

 もしくは(拙訳ではあえて括弧から除いたけど)「対戦相手の」の部分がポイントだったのかな。自分につけることができると簡単に手札を全部捨てることができるようになる……いや、それだと「horrifying scenario」の意味が通らない。

 まあ、訳としては多分あってるはず。次いこう、次。

余談6:金曜日 《Toy Boat》

 ただの「無色 3マナ 3/3」というスタッツ(= 能力値)は強すぎるとみなされた時代らしく、デメリット持ち。今だったら 4/4 くらいのスタッツはもらえるのかな。

 ところでこれ、非公式ながら日本語があるんだけど「早口で言いづらい」というネタだとさすがに原語の「トーイボート」のほうがいいかなあ、と思ったので訳でもそうした。
原文:
 Have you ever tried to say ”toy boat” quickly even three times? (Please try right now.) This legitimately might be the toughest cumulative upkeep cost ever printed.

拙訳:
 早口に何度も「トーイボート」って言ったことある? 3回でも結構キツいよ(ちょっと今ためしてみて)。もしかしたら歴代の累加アップキープの中で一番厳しい条件かもしれないね。

 語頭と語尾の両方に「T音」が入るせいかな。確かに若干難しい気がする。ついでというかなんというかだけど、累加アップキープの注釈文の日英比較も載せておく。
原文:
 At the beginning of your upkeep, put an age counter on Toy Boat, then sacrifice it unless you say "Toy Boat" once for each age counter on it --- without pausing between or fumbling it.

非公式訳:
 あなたのアップキープの開始時に、Toy Boatの上に経年(age)カウンターを1個置き、その後あなたが失敗せずに経年カウンターと同じ回数だけ間をおかずに「おもちゃの船」と言えないかぎり、それを生け贄に捧げる。

余談7:終わりなき銀枠物語 その1

 公式サイトで Unstable に先駆けて銀枠に関する記事が11月07日にアップされてた

  終わりなき銀枠物語 その1|マジック:ザ・ギャザリング
  http://mtg-jp.com/reading/translated/mm/0019954/

 色々と興味深かった部分を引用&紹介してみる。
6年後、『Unhinged』が発売された。これも同じような流れになった。発売直後は人気だったが、印刷した商品すべてを売り切ることはできず、最終的にはまた商品を破棄することになったのだ。社内では、これらのセットは失敗だった、二度と作ることはない、というのが共通の理解になっていた

 あ、やっぱり売り上げ的には失敗だったのね。そうじゃないかなあ、とは思ってたし、そういう噂は流れまくってたけど。

それらのカードの中に、《蒸気打ちの親分》があった。これはデザイン・チームが冗談として作ったものだ。現時点でマジックに存在しないものを、でっち上げの用語で参照していた。我々は、これがユーモラスだと考えただけで、継続する計画はなかった。しかし、アーロン・フォーサイス/Aaron Forsytheが戦略的な大失敗を犯したのだ。記事の中で(当時アーロンはデベロップの記事を書いていた)、アーロンはそれがただの冗談であり、「からくりを組み立てる」ことは全く計画していないと認めてしまったのだ

 そ う だ っ た の ! ? いや、コアなマジックファンには常識だったのかもしれないけど、正直なところ全然知らなかった。そっか。なんとなくでも「こういう能力になるかも」的なアイデアすら一切なかったのか……へー。

 さらに「私は黒枠セットでからくりを扱おうとしたが、「からくり」と呼ぶにふさわしいものはできなかった(中略)黒枠のルールによる制限がなければ、この問題を解決できるかもしれない」とある。

 そっかぁ……うん、そっかぁ (´・ω・`)

余談8:宣伝

 別シリーズをコツコツ続けてるので宣伝しとく。

  カクヨム:ことのは万華鏡
  https://kakuyomu.jp/works/1177354054884341690

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