【余談】 マジック世界の宗教的な建物を指す英単語の日本語訳について
 マジック世界の宗教的な建物を指す英単語の日本語訳の話をしようと思うけど、その前に、Twitterで上げたけどまったく反応がなくて寂しかったパズルを載せておく(右図)。

 はい、ここからが本題。

 回顧さんのブログで「TempleとShrineってどう違うの」みたいな話題が出てて面白かったので パクって 乗ってみる。

   2018年02月16日:翻訳に自信ニキへ質問
   http://blacklotus1000kyen.diarynote.jp/201802160152152322/

 個人的には「Shrine」は「祠」というイメージで「ひっそりと何かが祀られているいる場所」が思い浮かんで、「Temple」は「お寺、神殿」などで、より住環境がそろってて人の出入りが激しいイメージ。

 マジックの訳だとどうなってるのかなあ、とちょっと調べてみた。「Shirne」と「Temple」とそれら以外の色々な宗教的建物たち。

▼ Shrine の訳

 まずは2001年10月発売のオデッセイに収録されていた祭殿サイクル。ここから「Shirine = 祭殿」が始まった。

   《エイヴンの祭殿/Aven Shrine》
   《セファリッドの祭殿/Cephalid Shrine》
   《陰謀団の祭殿/Cabal Shrine》
   《ドワーフの祭殿/Dwarven Shrine》
   《ナントゥーコの祭殿/Nantuko Shrine》

 次はその3年後、2004年10月発売の神河物語に収録されていた「祭殿/Shrine」サイクル……なんだけど、カード名は「本殿/Honden」である。

   《浄火の本殿/Honden of Cleansing Fire》
   《風見の本殿/Honden of Seeing Winds》
   《夜陰の本殿/Honden of Night’s Reach》
   《激憤の本殿/Honden of Infinite Rage》
   《生網の本殿/Honden of Life’s Web》

 じゃあ何が「祭殿」だったのかと言うとエンチャントのタイプが「祭殿/Shrine」だった。

 その次は2年後の2006年発売、ギルドパクトに収録されていた《神無き祭殿/Godless Shrine》。これはサイクルではなくて通称ギルドランド(もしくはショックランド)と呼ばれていた2色地形の1つ。サイクルではないけど、やっぱり「祭殿」。

 さらに5年の月日を経て、2011年05月発売の新たなるファイレクシアに新たなる祭殿サイクルが登場した……けど、元祖「祭殿/Shrine」サイクルとは違ってカードタイプはアーティファクトで、名前に「Shrine」が入っているサイクル。

   《忠実な軍勢の祭殿/Shrine of Loyal Legions》
   《貫く幻視の祭殿/Shrine of Piercing Vision》
   《限界無き力の祭殿/Shrine of Limitless Power》
   《燃え上がる憤怒の祭殿/Shrine of Burning Rage》
   《際限無き成長の祭殿/Shrine of Boundless Growth》

 その次の「Shrine」は2013年09月発売のテーロスに収録されていた《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》で、これは信心を参照して大量マナを出せる(かもしれない)カード。

 というわけで遥か17年前の2001年から「Shrine = 祭殿」という掟は守られ続けてきた。

 なお今現在もっとも新しい「Shrine」は2015年10月発売の戦乱のゼンディカー、カード名は《見捨てられた神々の神殿/Shrine of the Forsaken Gods》。

 なので、実は守られてない。

 なぜ20年近く守ってきたテンプレを変えたのか。何があったのか。

 まあいいや。

 最後に「Shrine」番外編を2枚紹介しておしまい(なお2枚とも神河謀反)

 1枚目は《廃院の神主/Empty-Shrine Kannushi》。実は「Shrine」ファミリーのうち、唯一のクリーチャー。これも「Shrine = 祭殿」を守っていないと言えばそうかもしれないんだけど……なんか「Empty-Shrine」だと一応は「Shrine」界とはいえ、その辺境に住まう隠者というか……なんか伝わらなさそうなのでいいや。

 2枚目は《祀られる記憶/Enshrined Memories》。《廃院の神主/Empty-Shrine Kannushi》が唯一のクリーチャーなのに対して、これは「Shrine」ファミリー唯一のソーサリー。いや、さすがにこれは本当に「Shrine」ファミリーじゃないな。

 あ、もう1個思い出した。フレイバーテキストから1枚。

 フレイバーテキストだと「Shrine」の訳が「祭殿」でも「神殿」でもないパターンがあって、例えば《巻物の君、あざみ/Azami, Lady of Scrolls》だと以下のような訳になっている。
"Choices belong to those with the luxuries of time and distance. We have neither. I recommend we proceed with the plan to destroy all shrines of the kami."
- Lady Azami, letter to Sensei Hisoka
「選ぶことができるのは、時間も空間も贅を尽くせる者ばかり。我らにはいずれもありませぬ。神のをすべて破壊する計を進めてはいかがかと存じます。」
―― あざみより密師範への書簡

▼ Temple の訳

 ほぼ「祭殿」が占めてた「Shrine」に対して「Temple」は大きく2つに分かれてる。まずは「Temple = 神殿」の訳をとるテーロスの神殿サイクルがある。

   《奔放の神殿/Temple of Abandon》
   《欺瞞の神殿/Temple of Deceit》
   《神秘の神殿/Temple of Mystery》
   《静寂の神殿/Temple of Silence》
   《凱旋の神殿/Temple of Triumph》
   《啓蒙の神殿/Temple of Enlightenment》
   《悪意の神殿/Temple of Malice》
   《豊潤の神殿/Temple of Plenty》
   《天啓の神殿/Temple of Epiphany》
   《疾病の神殿/Temple of Malady》

 サイクルは当然同じとして、これ以外にも「Temple = 神殿」のカードがある。

   《神殿アルティサウルス/Temple Altisaur》
   《アクロゾズの神殿/Temple of Aclazotz》

 次に違う訳、「Temple = 寺院」のカードたち。

   《さびれた寺院/Deserted Temple》
   《ウーラの寺院の探索/Quest for Ula’s Temple》
   《エルドラージの寺院/Eldrazi Temple》
   《シヴィエルナイトの寺院/Svyelunite Temple
   《寺院の庭/Temple Garden》
   《寺院の見習い僧/Temple Acolyte》
   《寺院の鐘/Temple Bell》
   《寺院の長老/Temple Elder》
   《旅する寺院/Wayfaring Temple》
   《溺墓の寺院/Drownyard Temple》
   《邪神の寺院/Temple of the False God》

 おまけとしてフレイバーテキストで「Temple = 寺院」をとるカードたち。

   《アンフィンの殺し屋/Amphin Cutthroat》
   《古代の聖塔/Ancient Ziggurat》
   《内にいる獣/Beast Within》
   《大焼炉/Great Furnace》

 面白いのは上記の最後に紹介してる《大焼炉/Great Furnace》。ミラディンで初登場した悪名高きアーティファクト・ランドのうちの1枚で、そのときのフレイバーテキストでは以下のとおりで「Temple」は「寺院」と訳されていた。
カルドーサ、溶けた金属の噴き出す、ゴブリンの群落の寺院
参照:http://www.hareruyamtg.com/jp/g/gMRD000069JN/

 ところがこれが統率者2014の構築デッキで再録された際のフレイバーテキストでは以下のとおり「寺」と訳されていた。おそらくマジック界の「Temple」訳の中で、唯一の「寺」と思われる。
カルドーサ、溶けた金属の噴き出すゴブリンの群落の
参照:http://www.hareruyamtg.com/jp/g/gC14000121JN/


▼ その他の訳

 他の宗教的な建物や場所を示す名称としては「Church」や「Basilica」や「Cathedral」などがある。最初の「Church」を含むカードは《取引の教会、オルゾヴァ/Orzhova, the Church of Deals》の1枚だけ。

 「Basilica」の訳は全て「聖堂」で統一されている。

   《オルゾフの聖堂/Orzhov Basilica》
   《聖堂の護衛/Basilica Guards》
   《聖堂の金切り声上げ/Basilica Screecher》

 「Cathedral」はそれより大きい建物らしくて「大聖堂」の訳で統一されている。

   《大聖堂の皮膜/Cathedral Membrane》
   《大聖堂の聖別者/Cathedral Sanctifier》
   《戦の大聖堂/Cathedral of War》

 じゃあ「大聖堂」の訳は「Catheral」専用なのかというとそうでもなくて、こんな名前のカードがある。

   《神託者の大聖堂/Oracle’s Vault》

 他にも「Vault」を含むカードは色々あるわけで、じゃあそれらの訳はなんなのよ、というとカード枚数はそれほど多くないのに、日本語訳の種類は妙に多い。

   《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》
   《危険な/Perilous Vault》
   《カトラカンの宝物庫/Vault of Catlacan》
   《ファイレクシアの/Phyrexian Vault》
   《底無しの縦穴/Bottomless Vault》
   《大天使の霊堂/Vault of the Archangel》

 ちなみに「Vault」一族の異端児たちには、複合語(?)の《獄庫/Helvault》や《変わり谷/Mutavault》、それ以外にも「跳ねる、たわむ」などの意味を持つ動詞の「Vault」を含む《顔投げ/Facevaulter》と《空への跳躍/Vault Skyward》などがある。

 上記で色々挙げてきた以外の宗教的な建物名と言えば「神社」か。

 マジックにも「神社」を名前に含むカードがあるかどうか、というと一応はある。ただ「神社」の対となる英単語はカード名の中には存在しない(以下の1枚目の「院」は「Temple」の訳)。

   《先祖の院、翁神社/Okina, Temple to the Grandfathers》
   《翁神社の夜警/Okina Nightwatch》

 どっとはらい。

コメント

回顧
2018年2月24日11:41

(右図)。まで読んだ

re-giant
2018年2月24日17:15

興味なさすぎぃ!

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