記事の前に余談:
 ハースストーンのセットのローテーションがもうすぐ起きて、過去のいくつかのセットが使えなくなり、今の主要なデッキに用いられてるカードが抜ける。
 そこまでは理解してるんだけど具体的に「どのセット」が落ちて「どういった良く使われているカード」が落ちるのかを良く分かっていなかった。

 それが知りたくてネットを彷徨っていた際に見つけた記事が(上級者には物足りないかもしれないけど)個人的には非常に分かりやすかったので訳してみた……という次第。

 なお途中に入ってる (註) は全てこっちで勝手に気分で入れたものなので原文には存在しない。TCG慣れてる人なら知ってる単語ばかりだとは思うけど、意外とこういうの説明してるサイトとか少ない気がするので書いてみた。

【翻訳】今年のハースストーンのローテーションでどのカードがスタンダード落ちするのか?/What cards are rotating out of Standard Hearthstone this year?【Dot Esports】
2018年02月27日
Callum Leslie
引用元:https://dotesports.com/hearthstone/news/hearthstone-card-rotation-guide-21426

 まだ具体的な日程は不明だが、とにもかくにもハースストーンのマンモス年は終わりを告げようとしている。

 それが何を意味するかといえば3つのエキスパンションがワイルド送りになるということだ。現時点で分かっていることは、これが新セットのリリースとともに4月に起きるということだ。

  ・旧神のささやき/Whispers of the Old Gods
  ・ワン・ナイト・イン・カラザン/One Night In Karazhan
  ・仁義なきガジェッツァン/Mean Streets of Gadgetzan

 さて昨年も同じことがあったから皆さんもご存じだろうが、当然これによってメタ(註)は激震する。311枚ものカードがローテーションによってスタンダードを外れ、130枚ほどの新セットのカードがとって代わるんだからね。
(註) メタ
 メタゲームの略。単一の対戦ではなく、特に流行っているデッキやそれに対抗するために作られるデッキなど、より広くゲームを捉える視点を指す。
 一昔前に《ドクター・ブーム/Dr. Boom》という単体で問答無用に強い 7/7 のカードが存在した。当時は、よほど早いデッキでない限り、ほぼ必ず入っていたと言っていいはず。
 そして、ほぼ必ず入っている《ドクター・ブーム/Dr. Boom》に対抗するためだけに、単体ではそれほど強いとは言えない 3マナ 4/2 の《大物ハンター/Big Game Hunter》(雄叫びで「パワー7以上のミニオンを破壊する」)が、多くのデッキに1枚だけ入れられる事態となった。
 その結果、この時代は「パワーが7以上あるよりも6のほうが強い」と評価される逆転現象が起きていた(6マナ以上の隙が大きいミニオンをたった3マナで除去された上に相手の場に4/2が残ると簡単に有利不利が覆ってしまうため)。
 これを指して「当時は《ドクター・ブーム/Dr. Boom》を中心にメタが回っていた」というような言い方をする(はず)

 環境の主要なデッキが影響を受ける一方で、新たなアーキタイプ(註)が勃興するとして、さて、具体的にどんなカードたちが退場するのか? どんなデッキタイプが大きな痛手をこうむるのか? クラスごとに見てみよう。
(註) アーキタイプ
 典型や原型などの意味を持つ英単語で、カードゲームでは「特定の特徴を持つデッキ」を指す。デッキタイプと呼ぶ場合はもっと細かい分類になることが多い(気がする)。
 例えば盤面をコントロールして長期戦に持ち込む「コントロール」や、アグレッシブに序盤から相手を攻め立てる短期決戦タイプの「アグロ」などで、具体的なカード名などを指す場合はデッキタイプになる気がする。
 この記事の原文ではアーキタイプ(Archetype)とデッキタイプ(Deck)いう言葉を分けて使っているが、あまりその使い分けに深い意味はなさそう。


▼ プリースト/Priest

 数週間前であれば、プリーストがこのローテーションによって受けるもっとも大きな影響は《縛鎖のラザ/Raza the Chained》の退場だっただろうね。しかし、このカードはすでにナーフ済み(註)であり、その退場は大きな損失とは言えなくなっている。

 しかしローテーションの影響がないかと言えば、ドラゴンプリースト(註)に対する影響は甚大だ。
(註) ナーフ済み
 原文では「nerfed」。ナーフ(Nerf)は、主にネットゲームで使われるスラングで、ゲームバランスをとるため、パッチやアップデートによってゲームのアイテムやキャラなどが弱体化させられること。
 とりあえず「とっととナーフしろ」とか「やっとナーフされた」とかのフレーズで検索してみればなんとなくこの言葉の使い方が分かるかと。

(註) ドラゴンプリースト
 種族がドラゴンのカードが手札にあるときに使うとボーナスを得られるカードを主軸としたデッキ。特にプリーストは他のクラスに比べてもクラスカードに多くこの手のカードを持っており、一大勢力となった。

 このデッキタイプから失われるカードは《カバールのカギ爪のプリースト/Kabal Talonpriest》、《ドラコニッド諜報員/Drakonid Operative》、《ネザースパイトの歴史家/Netherspite Historian》、《ドラゴンファイア・ポーション/Dragonfire Potion》などだ。

 前者3枚はデッキの心臓部分(註)であり、最後の1枚は実に強力な全体除去(註)だ。ドラゴンプリーストは過去のセット、ブラックロック・マウンテン/Blackrock Mountainのローテーションの際にもデッキ存続の危機を生き延びたが、今回はよほど強力なドラゴンカードが新セットで補充されないと厳しいだろうね。
(註) 心臓部分
 原文では「Engine Card」。車にとってのエンジンのように、これ無しではデッキがコンセプト通りに動かないというカードたち。ほぼ同じ意味の言葉で「キーカード」もあるが、こっちはより派手さのある「デッキの特に強い部分」を指す。

(註) 全体除去
 原文では「Board Clear」。手札に対してカードが置かれる場を日本語では「盤面 (ボード)、戦場、場」などと呼び、英語では「Board、Battlefield, Field」などと呼ぶ。その「盤面/Board」を一掃する(Clearする)カードなので「Board Clear」。
 代表的なところでは共通カードの《終末予言者/Doomsayer》や《デスウィング/Deathwing》、クラスカードではメイジの《フレイムストライク/Flamestrike》やウォーロックの《捻じれし冥界/Twisting Nether》など。
 なお例として挙げた上記のように、敵のミニオンのみを一掃する場合と、敵味方をまとめて一掃する場合のどちらも「全体除去/Board Clear」と呼ぶ(味方側だけを壊滅させるカードはそう呼ばない(たぶん))


▼ ウォーロック/Warlock

 現在、メタを支配しているウォーロックデッキはコントロールウォーロック(註)とキューブロック(註)の2つだ。これらはおそらくローテーションを迎えてもその強さに変化は見られないだろう。いずれのアーキタイプもほぼ失うカードは無いからだ。今後もメタに君臨するだろうね。
(註) コントロールウォーロック
 前述のとおり、相手の出方に合わせて行動を決め、盤面を制御(コントロール)することに主眼を置いたデッキのアーキタイプを「コントロール」と呼ぶ(またそういったデッキをまとめて「コントロールデッキ」と呼ぶ)。
 流行しているウォーロックは長期戦を見据え、序盤は相手のミニオンを除去したりカードを引いたりして生き延びつつ手札を整理することに専念し、中盤から徐々に優位な盤面を作り始め、終盤で一気に攻めに転じる。
 現状、その戦術に適したカードが多くそろっており、回復と除去を同時にこなす《アメジストの小呪文石/Lesser Amethyst Spellstone》や本人も挑発を持っている上に断末魔で挑発もちのミニオンを3体出すという防御に長けた《ヴォイドロード/Voidlord》などが猛威を振るっている。

(註) キューブロック
 《肉食キューブ/Carnivorous Cube》の能力を最大限に生かすことを主軸に据えたウォーロックのデッキ。ちなみにウォーロックのデッキ名はそのキーカードやデッキの特徴と「ロック」を組み合わせて名付けられることが多い(キューブロック、ハンドロック、ナーガロックなど)。

 その一方で、ズーウォーロック(註)はいくつか大事な手ごまを失うことになる。具体的には《ダークシャイアの議員/Darkshire Councilman》と《マルシェザールのインプ/Malchezaar’s Imp》がスタンダードフォーマットから姿を消すからだ。

 しかしこのデッキタイプは過去のローテーションも生き延びてきたし、軽いマナ域に優良なミニオンがいる限りズーウォーロックは不滅だろう。
(註) ズーウォーロック
 ズーというのは小型のミニオンで序盤から攻勢をかけ、終盤を迎える前に殴り勝つ「アーキタイプ:アグロ」なデッキの一種。なぜかズーロックとは言わない。
 ちなみにズーとは「Zoo(動物園)」のことで、その語源はマジック・ザ・ギャザリングで最初に生まれた同種のデッキから来ている。そのデッキの主力である1~2マナの非常に軽いミニオンたちがほぼ全て動物(犬、狼、猿、獅子など)だったのが理由。


▼ パラディン/Paladin

 もう長いことパラディンと言えばマーロックパラディン(註)という時代が続いてきた。このデッキの構成カードは大半がローテーション後も生き延びるが、とはいえ1マナのマーロックを2体失うことについては触れておくべきだろう。

 それら《グリムスケイルのダチ公/Grimscale Chum》と《バイルフィンの異端審問官/Vilefin Inquisitor》の2枚は、どちらも単体で見ると大したカードには見えないかもしれない。しかし、これら最も軽いマナ域のマーロックたちを失うことは間接的にデッキを構成する他のカードを弱体化させる。例えば《温厚なメガサウルス/Gentle Megasaur》だ。
(註) マーロックパラディン
 通称「マロパラ」。マーロックという種族のミニオンたちの相互作用(=シナジー)を主軸に据えたデッキ。共通カードだけでもかなりの枚数が存在するマーロック族だが、パラディンはそれに加えて(ここで紹介されているように)クラスカードに軽量かつ有能なマーロックが多い。


 より重い(註)パラディンのデッキタイプで言うと《頽廃させしものン=ゾス/N’Zoth, the Corruptor》と《光の王ラグナロス/Ragnaros, Lightlord》を失うのが痛手だ。またパラディンの序盤を支えてくれる武器の選択肢から《勝鬨の剣/Rallying Blade》もまた失われる。
(註) 重い
 カードゲームではマナコストの大小を重さで表現することが多い。「軽いカード、軽いデッキ」はマナコストが小さいカードや平均マナコストが低いデッキ。「重いミニオン、重いコンボ」はマナコストが大きいミニオンやマナコストの大きいカードを組み合わせる必要があるコンボ。
 ミニオンのサイズの場合はあまり使わない。マナコストが大きくてサイズが小さいミニオンは「重くて小さいミニオン」、マナコストが小さくてサイズが大きいミニオンは「軽くて大きいミニオン」。


▼ メイジ/Mage

 秘策メイジ(註)は新たな年を迎えられそうにもない。秘策と強力なシナジーを持つ2枚のカード、《メディヴの従者/Medivh’s Valet》と《カバールのクリスタルの運び屋/Kabal Crystal Runner》がローテーションで落ちるからだ。
(註) 秘策メイジ
 秘策および秘策と相性の良いカードが採用されているメイジのデッキ。秘策の英語名が「Secret(シークレット)」なことから「シークレットメイジ」や「シクレメイジ」とも呼ばれている。

 それに加えて《カバールの下っ端/Kabal Lackey》も退場する。これで無料の秘策を調達してくれるのは今後《キリン・トアのメイジ/Kirin Tor Mage》だけとなる。ちょっと力不足だね。

 また近年のメイジを支えてきた有用な呪文2枚、《カバル教団の魔導書/Cabalist’s Tome》と《炎の大地のポータル/Firelands Portal》にも別れを告げなくてはいけない。


▼ ローグ/Rogue

 現状、ローグはどちらかというと不調だが、それでもクエストローグ(註)はメタで存在感を放っている。このデッキでよく用いられているカードの1つである《ガジェッツァンの渡し守/Gadgetzan Ferryman》がローテーションから失われるが、それ以外のデッキのコアとなる部分はローテーション落ちせずにほぼそのまま残る。

 このデッキ以外にも使われているクラスカードでいうと、これもまた大した影響はない。一番使われてきたのはおそらく《怪盗紳士/Swashburglar》だろうが《海賊パッチーズ/Patches the Pirate》のナーフ(註)があって以降、すでにその重要性は大きく減じている。
(註) クエストローグ
 拡張セット「大魔境ウンゴロ」で新たに登場したカードタイプ「クエスト」は各クラスに1枚ずつ用意されており、そのカードを用いたデッキは大体「クエスト+クラス名」で呼ばれたり、そこからさらに略されたりする(例:クエストパラディンが「クエパラ」とか)

(註) 《海賊パッチーズ/Patches the Pirate》のナーフ
 場に海賊ミニオンを出したとき、まだ山札内に残っていた場合(手札に来ていなかった場合)は自動的に場に出るという1/1ミニオンの《海賊パッチーズ/Patches the Pirate》はつい先月ナーフ(バランス調整のための弱体化処置)を受けた。
 具体的には元々持っていた「突撃(場に出たときにすぐ攻撃できる)」の能力を失った。この調整により以前ほどは猛威を振るわなくなり、このカードを山札から引いてしまう前に速やかに場に出すための1マナ海賊としての役割を持っていた《怪盗紳士/Swashburglar》もまた採用率を落とすこととなった。


▼ ドルイド/Druid

 翡翠よ、さらば。翡翠ドルイド(註)がローテーション後に輝きを増す可能性は皆無だろう。

 しかし、そもそもこのデッキはもう十分に長く輝きを放ってきた。そしてその輝きは強すぎた。ローテーションに良い点があるとすれがこれだろう。強過ぎるアーキタイプの光に皆の目が疲れ始める頃、強制的にスイッチを落されるのだ。

 ローテーションで消えるセットのカードの中には《ファンドラル・スタッグヘルム/Fandral Staghelm》と《古代地の番人/Mire Keeper》が含まれている。それら以外で失われる主要なカードと言えば、そうだな、《忘却王クン/Kun the Forgotten King》の退場はドルイドのコンボデッキをエンジョイしてきたプレイヤーたちを悲しませるだろうね。
(註) 翡翠ドルイド
 拡張セット「仁義なきガジェッツァン」で登場した、用いるたびに効果を増していく「翡翠」というシステムを中心に組まれたドルイドのデッキ。そのため「仁義なきガジェッツアン」がローテーションで使えなくなると成り立たないデッキタイプ。


▼ ハンター/Hunter

 ハンターは現状それほどいい位置につけているとは言えない。スペルハンター(註)がメタの周辺を多少賑やかしている程度か。さらに残念なことに、このタイプのデッキはその大半に《バーンズ/Barnes》と《放たれし激昂ヤシャラージュ/Y’Shaarj, Rage Unbound》のいずれか、もしくは両方を積んでおり……その両方が今年でサヨナラだ。
(註) スペルハンター
 大量のスペルと極少量のミニオンで構成されたハンターのデッキ。その極少量に上記の2枚のミニオンだけを入れることで4ターン目終了時に、3/4 と 1/1 と 10/10 が並ぶコンボが可能となる(ただ事故るときは盛大に事故る)

 スペルと言えば、いくつかの有用なスペルたちともおサラバだね。例えば《帽子から猫/Cat Trick 》や《荒野の呼び声/Call of the Wild》や《狩猟/On the Hunt》などだ。

 それにスペルではなくもっとミニオンに頼ったデッキからも《野良猫/Alleycat》や《蝕まれしオオカミ/Infested Wolf》や《ネズミ軍団/Rat Pack》がいなくなってしまう。

 次のセットがハンターに優しいといいんだが。


▼ シャーマン/Shaman

 シャーマンは悪い意味でもっとも影響を受ける2クラスのうちの1つだ。そのもう片方であるドルイド同様に、シャーマンもまた「翡翠」を失う。例えばそう《翡翠の爪/Jade Claws》や《翡翠の稲妻/Jade Lightning 》などだ。

 ただシャーマンは翡翠に限らず、今の主要なシャーマンのデッキを構成する2枚のキーパーツである《進化/Evolve》と《ドッペルギャングスター/Dopplegangster》も手放さなければいけないのが痛い。

 おおっと、さらにさらに使い勝手の良さでは群を抜いている《メイルシュトロームのポータル/Maelstrom Portal》もローテーションで外れるね。


▼ ウォリアー/Warrior

 ウォリアーがローテーションによって何が出来なくなるのかを挙げるのはなかなか難しい。何しろ、残念なことにそもそも今のウォリアーには際立った強さを持つアーキタイプが無いからね。

 ただ、特定のデッキにタイプではなくクラス全体を俯瞰して見ると、今後はどんなデッキを組もうとするにしても必要な道具が足りないという事態に陥りそうだ。

 では実際に失われるものは?

 まずは《魚のエサ/Sleep with the Fishes》だ。《乱闘/Brawl》を除けば、ウォリアーのデッキでもっとも使われている全体除去と言っても過言ではないだろう。

 それ以外では《ブラッドフーフの勇士/Bloodhoof Brave》と《横丁の鎧職人/Alley Armorsmith》もいなくなる。ただでさえ瀕死の挑発ウォリアー(註)の寿命はこれでほぼ尽きるだろう。新セットで新たな挑発ミニオンがその穴を埋めてくれない限りはね。
(註) 挑発ウォリアー
 またの名を「クエストウォリアー(クエウォリ)」や「クエスト挑発ウォリアー」として知られるデッキ。ウォリアーのクエストが、結果としてデッキに大量の挑発ミニオンを入れることを強いるので、そう呼ばれる。

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