【翻訳】ドミナリアから今日の1枚/Dominaria Card of the Day: Time of Ice【DailyMTG】
Blake Rasmussen
2018年03月28日
引用元:https://magic.wizards.com/en/articles/archive/card-preview/dominaria-card-day-time-ice-2018-03-28
今週は毎日1枚ずつ新たなカードを、その中でも特にドミナリアの歴史に関するカードを紹介していこうと思う。
記事の流れとしては、カードにまつわるドミナリアの歴史に触れたり、イラストと物語の結びつきを確認したり、フレイバーテキストを読んでみたり、という感じだ。
またドミナリアの歴史を語る際は、アーギヴィーア暦(註:ウルザとミシュラが生まれた年を元年とする暦法。原語の「Argivian Reckoning」の略称を用いて「AR」と表記)を用いる。私たちが現実世界で紀元前(BC)と西暦(AD)を使っているようにだ。
さて、今日のカードは《氷河期/Time of Ice》だ(註:原文ではここに《氷河期/Time of Ice》のカード画像が表示されている)。
このカードのイラストはよく見ると細かいところに様々なネタが用意されている。まずはそれらがちゃんと見えるよう、特大サイズのイラストを用意した(原文ではここに《氷河期/Time of Ice》のカードイラスト部分のみが大きく表示されている)。
まず上部分を占める雪山の左側の中腹に見えるのはキイェルドーの前哨地(註1)だ。ここで、かつて騎士たちとゾンビの群れとが大規模な衝突を繰り広げた。
その下、イラストの中央で大きく相対しているのは、アイスエイジブロック(アイスエイジ、アライアンス、コールドスナップの3つのセット)を代表する2人のキャラクターだ。左側がキイェルドーのダリアン王(註2)、右側が冷眼のロヴィサ(註3)だ。
一番下に見える2人もまたアイスエイジの重要な登場人物だ。左にいるのがヤヤ・バラード(註4)、右で怪しげに佇んでいるのがジョダー(註5)だ。……おや? この2人を囲っている無数の触手は一体? そう、お気づきの方もいるかもしれないね。これは、かのマリット・レイジ(註6)の触手だ。
最後にググッとカメラをイラストの最上段に向けてみよう。上空に見えるのは2人の騎士だ。片方は白いペガサスにまたがり、もう片方はエイスサーに騎乗しながら槍を構えている。
イラストでは細かいところまで描かれていないので必ずとは言えないが、やはりこの2人はそれぞれ白き盾の十字軍(註7)とキイェルドーの空騎士(註8)と考えて間違いないだろう。
と考えて間違いないだろう。
これでイラストについては語り終えたかな。ただアイスエイジの頃から遊んでたプレイヤー(私もその1人だ。もう随分と遠くに来たものだ)やマジックの歴史にどっぷり浸かったプレイヤーでもなければ、これらの名前を聞いても、いまいちピンとこないかもしれないね。
マジックの世界における氷河期(The Ice Age)は数千年もの年月をまたがって続き、そのあいだには実に多くの出来事があった。数千年と書いたが、より細かく言うと大体 450 ARから 2934 ARのあいだのことだ(寒冷化が始まったのは 64 ARとされているが、本当の意味で厳しい寒さが始まったのは 450 ARであり、歴史上はそこを氷河期の始まりとしている)。
2934 ARに何が起きたかというと、かのフレイアリーズ(註9)が世界呪文を唱え、氷河期を打ち破ったのだ(もっともこの呪文は氷河期を終わらせる以上の様々な効果を発生させたのだが、それはここでは触れない)。
この壮大な絵の説明は以上だ。最後にこのイラストに描かれている人物たちをもう少し詳しく語っておこう。
まずは下段の2人、ヤヤ・バラードとジョダーだ。ヤヤ・バラードは氷河期の頃はまだ子供だった。彼女はあるとき盗みを働くが捕まってしまう。その彼女を捕まえた人物こそがジョダーだった。彼はヤヤ・バラードを罰するかわりに、彼女に魔法を教えた。
のちにヤヤ・バラードは独り立ちしたが、しばらくしてからまたジョダーの元に戻り、共に屍術師リム・ドゥール(註10)を打ち倒した。その後、ヤヤ・バラードは、メアシル(註11)に精神を乗っ取られたり、ジョダーに精神を解放してもらったりしている。なお、この精神を解放してもらう際にプレインズウォーカーの火花が目覚めている。
イラストの中央左にいるのはダリアンであり、彼が王となって統べていた国はキイェルドーだ(間違えやすいが、国がキイェルドーで首都がキイェルドだ)。彼が王位についていたのは 2934 AR、そうまさに氷河期が終わりを告げたそのときだ。
彼はこのイラストの中央右に描かれているロヴィサと、主義主張の違いを一旦脇において同盟(その通り、アライアンスさ)を組んだ。
なぜバーバリアンの長であるロヴィサと手を組んだのか? それは屍術師リム・ドゥールを打倒するためだった。そう。その屍術師リム・ドゥールとの戦いこそがまさにこのイラストのテーマなのだ。
ダリアンとロヴィサは両者の国家を統一し、新アルガイヴを建国した。しかしその建国が成されたのは世界がすでに氷河期に別れを告げて何十年も経ってからのことだった……というわけで《氷河期/Time of Ice》から私も別れを告げたいと思う。皆さん、さようなら。
Blake Rasmussen
2018年03月28日
引用元:https://magic.wizards.com/en/articles/archive/card-preview/dominaria-card-day-time-ice-2018-03-28
今週は毎日1枚ずつ新たなカードを、その中でも特にドミナリアの歴史に関するカードを紹介していこうと思う。
記事の流れとしては、カードにまつわるドミナリアの歴史に触れたり、イラストと物語の結びつきを確認したり、フレイバーテキストを読んでみたり、という感じだ。
またドミナリアの歴史を語る際は、アーギヴィーア暦(註:ウルザとミシュラが生まれた年を元年とする暦法。原語の「Argivian Reckoning」の略称を用いて「AR」と表記)を用いる。私たちが現実世界で紀元前(BC)と西暦(AD)を使っているようにだ。
さて、今日のカードは《氷河期/Time of Ice》だ(註:原文ではここに《氷河期/Time of Ice》のカード画像が表示されている)。
このカードのイラストはよく見ると細かいところに様々なネタが用意されている。まずはそれらがちゃんと見えるよう、特大サイズのイラストを用意した(原文ではここに《氷河期/Time of Ice》のカードイラスト部分のみが大きく表示されている)。
まず上部分を占める雪山の左側の中腹に見えるのはキイェルドーの前哨地(註1)だ。ここで、かつて騎士たちとゾンビの群れとが大規模な衝突を繰り広げた。
その下、イラストの中央で大きく相対しているのは、アイスエイジブロック(アイスエイジ、アライアンス、コールドスナップの3つのセット)を代表する2人のキャラクターだ。左側がキイェルドーのダリアン王(註2)、右側が冷眼のロヴィサ(註3)だ。
(註1) キイェルドーの前哨地
カードとしては、アライアンスの土地カード、《Kjeldoran Outpost》に当たる。そのカードのイラストと同じ砦が《氷河期/Time of Ice》に描かれている。
(註2) キイェルドーのダリアン王
カードとしては、コールドスナップの伝説のクリーチャー、《キイェルドーの王、ダリアン/Darien, King of Kjeldor》に当たる。前述の《Kjeldoran Outpost》と同じく延々と兵士を呼び出せる。
(註3) 冷眼のロヴィサ
カードは《冷眼のロヴィサ/Lovisa Coldeyes》。ダリアンと同じくコールドスナップに収録されている。戦士(Warrior)、狂戦士(Berserker)、バーバリアン(Barbarian) のロード的存在。
一番下に見える2人もまたアイスエイジの重要な登場人物だ。左にいるのがヤヤ・バラード(註4)、右で怪しげに佇んでいるのがジョダー(註5)だ。……おや? この2人を囲っている無数の触手は一体? そう、お気づきの方もいるかもしれないね。これは、かのマリット・レイジ(註6)の触手だ。
(註4) ヤヤ・バラード
カードとしては、時のらせんに《特務魔道士ヤヤ・バラード/Jaya Ballard, Task Mage》として収録されている。ストーリー上はプレインズウォーカーだがカード化はクリーチャーのみ。
(註5) ジョダー
長いことカード化されていなかったがついに今年のドミナリアで伝説のクリーチャー《永遠の大魔道師、ジョダー/Jodah, Archmage Eternal》として登場している。
(註6) マリット・レイジ
そのものはカード化はされていないが、《マリット・レイジ/Marit Lage》という名前の 20/20 のトークンを生み出せる《暗黒の深部/Dark Depths》という土地があり、トークン・カードも存在する。
最後にググッとカメラをイラストの最上段に向けてみよう。上空に見えるのは2人の騎士だ。片方は白いペガサスにまたがり、もう片方はエイスサーに騎乗しながら槍を構えている。
イラストでは細かいところまで描かれていないので必ずとは言えないが、やはりこの2人はそれぞれ白き盾の十字軍(註7)とキイェルドーの空騎士(註8)と考えて間違いないだろう。
と考えて間違いないだろう。
(註7) 白き盾の十字軍
カードとしてはコールドスナップの《白き盾の十字軍/White Shield Crusader》。この騎士がペガサスの代わりに軍馬にまたがると《白き盾の騎士団/Order of the White Shield》となる。
(註8) キイェルドーの空騎士
カードとしてはアイスエイジの《Kjeldoran Skyknight》となる。なおこのカードはアイスエイジにしか収録されていないので日本語名が存在しない。
これでイラストについては語り終えたかな。ただアイスエイジの頃から遊んでたプレイヤー(私もその1人だ。もう随分と遠くに来たものだ)やマジックの歴史にどっぷり浸かったプレイヤーでもなければ、これらの名前を聞いても、いまいちピンとこないかもしれないね。
マジックの世界における氷河期(The Ice Age)は数千年もの年月をまたがって続き、そのあいだには実に多くの出来事があった。数千年と書いたが、より細かく言うと大体 450 ARから 2934 ARのあいだのことだ(寒冷化が始まったのは 64 ARとされているが、本当の意味で厳しい寒さが始まったのは 450 ARであり、歴史上はそこを氷河期の始まりとしている)。
2934 ARに何が起きたかというと、かのフレイアリーズ(註9)が世界呪文を唱え、氷河期を打ち破ったのだ(もっともこの呪文は氷河期を終わらせる以上の様々な効果を発生させたのだが、それはここでは触れない)。
(註9) フレイアリーズ
プレインズウォーカーのフレイアリーズは、統率者2014で《ラノワールの憤激、フレイアリーズ/Freyalise, Llanowar’s Fury》の名でカード化されている。
この壮大な絵の説明は以上だ。最後にこのイラストに描かれている人物たちをもう少し詳しく語っておこう。
まずは下段の2人、ヤヤ・バラードとジョダーだ。ヤヤ・バラードは氷河期の頃はまだ子供だった。彼女はあるとき盗みを働くが捕まってしまう。その彼女を捕まえた人物こそがジョダーだった。彼はヤヤ・バラードを罰するかわりに、彼女に魔法を教えた。
のちにヤヤ・バラードは独り立ちしたが、しばらくしてからまたジョダーの元に戻り、共に屍術師リム・ドゥール(註10)を打ち倒した。その後、ヤヤ・バラードは、メアシル(註11)に精神を乗っ取られたり、ジョダーに精神を解放してもらったりしている。なお、この精神を解放してもらう際にプレインズウォーカーの火花が目覚めている。
(註10) リム・ドゥール
アイスエイジブロックに彼の名を冠したカード名は多いが、彼自身のカード化は時のらせんの《屍術師リム=ドゥール/Lim-Dul the Necromancer》が初出。
(註11) メアシル
カードとしては統率者2017の《偽善者、メアシル/Mairsil, the Pretender》が初出。ただの兵士だったリム・ドゥールに魔術師であったメアシルの意識が融合したことで屍術師リム・ドゥールが生まれたそうな。
イラストの中央左にいるのはダリアンであり、彼が王となって統べていた国はキイェルドーだ(間違えやすいが、国がキイェルドーで首都がキイェルドだ)。彼が王位についていたのは 2934 AR、そうまさに氷河期が終わりを告げたそのときだ。
彼はこのイラストの中央右に描かれているロヴィサと、主義主張の違いを一旦脇において同盟(その通り、アライアンスさ)を組んだ。
なぜバーバリアンの長であるロヴィサと手を組んだのか? それは屍術師リム・ドゥールを打倒するためだった。そう。その屍術師リム・ドゥールとの戦いこそがまさにこのイラストのテーマなのだ。
ダリアンとロヴィサは両者の国家を統一し、新アルガイヴを建国した。しかしその建国が成されたのは世界がすでに氷河期に別れを告げて何十年も経ってからのことだった……というわけで《氷河期/Time of Ice》から私も別れを告げたいと思う。皆さん、さようなら。
コメント
英雄譚(Saga)のイラストはそれぞれタッチが非常に独特で、本当に素晴らしく「ファンタジーな」雰囲気を感じさせてくれますよね。そのうえで、ドミナリアの歴史がこれでもかもと詰め込まれている点も、古くからのファンには嬉しい点だと思います。