【翻訳】伝説のセットから生まれたカードたち/Designing Under the Influence【DailyMTG】
Mark Rosewater
2002年03月04日
元記事:http://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/designing-under-influence-2002-03-04
レジェンド週間へようこそ!(おっと念のため。ここで言っているレジェンドはクリーチャータイプのレジェンドではなく、エキスパンション名のほうだ(註))
私たちは過去にも1週間かけて特定のテーマを扱う企画を行ってきたが、今週のは今までとはちょっと違ったパターンで行おうと思ってる。
マジック初の大型エキスパンションであるレジェンドをありとあらゆる側面から掘り下げて、興味深いネタを根こそぎ引っ張り出そうというわけだ。
さて今週はまずこのセットのデザイナーの1人であるスティーブ・コナードは、このレジェンドというセットがどう生まれたかを紹介してくれた。
さらにはレジェンドの全カードリストを君たちに公開して見せた。さらにさらに、君たちにレジェンドにまつわる興味深い裏話をいくつも紹介してきた。
スティーブ・コナードはマジックのデザインがレジェンドにどのような影響を与えたかについて語ってくれた(興味があればここから記事を読める (註))。
さて私の番となる今日は、逆に「レジェンドがどのような影響をマジックのデザインに与えたか」について語ろうと思う。
さて、レジェンドが生まれたとき、私はまだマジックを単にプレイする側の人間だったのだ。開発する側ではなくてね。……え? いや、まあ確かにマジックのパズルに関する公式コラム(註)を雑誌 Duelist で受け持ってはいたが、その点を除けば本当にただのプレイヤーの1人だったのさ。
レジェンドが発売された日のことは今も覚えているよ。あれは1994年の夏、カリフォルニアのウェストウッドだった。私と友人はカードショップの店頭で開店前から待機してた。
何しろ当時はマジックのセットが発売日当日に売り切れるなんてざらだったからね。入荷するその日が勝負だったのさ。それに収録枚数310枚という、それまでのどの拡張よりも多い枚数の新セットの噂はすでにそこかしこで話題になっていたからね。
私はまず3ボックス購入した(知ってるかもしれないが私は初代アルファからマジックを始めていた。レジェンドの頃にはもうずっぽりハマっていたわけだ。迷わず3ボックス買うほどにね)。
それから家に飛び返り、全てのパックを剥き終えると、すぐにまた店へと駆け戻り、もう1ボックス追加で購入した。
さらに家に帰ってその4つ目の箱を剥き終えると、さらに5つ目のボックスを購入するべく店に走った。ただその5つ目は資産とすべく剥かないでとっておいたけどね(その後この5つ目の箱がどうなったかというと、10箱のリバイズドと交換された。そしてこの10箱のリバイズドがどうなったかというと、おしゃれなテレビ一式の購入資金になった)。
……と、私がなんでいきなりこんな話を始めたか不思議かもしれないね。何が言いたかったかというと、当時私がレジェンドから受けた影響は「プレイヤーとしてのものだった」ということを強調したかったからだ。この出会いがもし数年後であれば、おそらく私はデザイナーとしての立場で影響を受けていただろう。
さて、今日のコラムではレジェンドのカードの中でも、私が他のマジックのカードをデザインする際にインスピレーションを受けたカードをピックアップして紹介したいと思う。
科学者と同じく、デザイナーもまた先人の業績を土台として己の仕事を達成する。
レジェンドというセットが私自身にいかに影響を及ぼしたか、そしてさらにはレジェンドというセットがいかにマジックというゲームそのものに影響を残したか。それがこのコラムから君たちに伝われば、こんなに嬉しいことはない。
そしてレジェンドへ / Design of the Times
この記事で紹介するカードの順番をどうしようか迷ったが、結局はアルファベット順にすることにした。以下が私のカードデザインに影響を与えたレジェンドのカードたちだ(本題に入る前のメモ書き:カードのデザインとは共同作業であり、以下に紹介するカードの多くは、私1人ではなく他のデザイナーと一緒に生み出したものだということをここに記しておく)
▼《抗魔のオーラ/Anti-Magic Aura》・《Spectral Cloak》
開発部で通称「外套(Cloak)」と呼ばれているタイプのカードがあり、私はこの効果を持つカードがずっと好きだった。青の魔法使いが他の魔法使いに対して、私のこのクリーチャーにちょっかいを出すなよ、と妨害の魔法をかけているイメージが気に入っている。
元となったこのレジェンドのカードたちから、私はいくつもの「外套(Cloak)」をデザインした。例えば、ビジョンズの《神秘のヴェール/Mystic Veil》、エクソダスの《鏡のローブ/Robe of Mirrors》、メルカディアン・マスクスの《外交特権/Diplomatic Immunity》、オデッセイの《アボシャンの願望/Aboshan’s Desire》などだ。
▼《Arboria》
私はこのカードが嫌いだった。何しろこのカードはプレイヤーたちが何もしないことを推奨するからだ。そして私はウルザズ・デスティニーのデザインをしているとき、《Arboria》と正反対なエンチャントを作ったらどうだろう、と思ったわけだ。
そして何もしないことに対して罰を与えるカードが生まれた。それが《せっかち/Impatience》(註)だ。
▼《Cleanse》
トーメントの開発中は《ティーロ大隊長/Major Teroh》の能力(すべての黒のクリーチャーを追放する)は現在よりも若干弱い効果だった(対象の黒のパーマネントを追放する)。
私はこのカードの効果はもう少し強くあるべきだと感じたので、白のカードでもっとフレイバー的に強力な「対黒」な効果はないかと思いを巡らせた。
そしてレジェンドの《Cleanse》を思い出すことに成功した私は、今の能力を提案させてもらったというわけだ。
▼《繭/Cocoon》
レジェンド発売後に迎えた最初の秋。その頃、マジック界を席巻していたデッキはノンクリーチャーデッキ(クリーチャーが1体も入っていないタイプのデッキ)だった。その原因は《The Abyss》だ(註)。
さてそんな頃、私がマジック仲間と話してたときに話題になったのは「どの2色でもデッキは組めるけど青緑だけは無理だな」だった。
それを聞いた私がどうしたかって? もちろん次の週末に青緑デッキを引っさげて登場したさ。ちなみにウィニーデッキ(註)だった。私は他のデッキと併用しつつこのデッキを大体1年ほど使い続けた。今でも私にとって思い出深いデッキの1つだ。
さて、長く使い続けた最中、この《繭/Cocoon》が投入されていた時期もあった。対戦相手のクリーチャーを低マナでタップするためにね(ん? ああ、当時は出来たんだ。今はエラッタが出て自分のコントロールするクリーチャーにしか付けられない)。
そんなウィザーズに入社する前の私は、自作カードを考えるという趣味も持っていた。そのとき生み出したアイデアの1つにこの《繭/Cocoon》を元にしたカードもあった。
ふむふむ、《繭/Cocoon》は3ターンも待ったあとにクリーチャーが強化されるのか……じゃあ、その逆はどうだろう? 3ターンのあいだクリーチャーを強化し続けてくれるが、3ターン後にそのクリーチャーが破壊されてしまうカード。
のちのこのアイデアは、私が初めてデザインしたカードの中の1枚である《血の狂乱/Consuming Ferocity》となって世に出た(ミラージュのカードだ)。まあ、ご覧のとおり、元ネタがあるからといって全てがホームラン級の大当たりになるとは限らないというわけさ(もっともこの《血の狂乱/Consuming Ferocity》はヒット性の当たりですらないが……)。
▼《調和の中心/Concordant Crossroads》
結局抜けることになった《繭/Cocoon》とは違い、《調和の中心/Concordant Crossroads》は私のウィニーデッキと最高の相性を見せ続けた(1マナのマナクリーチャーは実質的なフリースペルだ)。
さらにありがたいことに、これはエンチャント・ワールド(註)だった。そう、副次効果として対戦相手の《The Abyss》を破壊することもできたんだ。
私はあまりにこのカードが好きなので、ことあるごとに全体に速攻を与えるエンチャントをねじこもうとしてきた。《熱情/Fervor》と《ヤヴィマヤの火/Fires of Yavimaya》はいずれもこの《調和の中心/Concordant Crossroads》が無ければ生まれ得なかったカードたちだ。
▼《黒き剣のダッコン/Dakkon Blackblade》、《Hazezon Tamar》
私は妙なデッキを作る奴として知られていた。実際、私は対戦相手が過去に見たこともないような勝ち方をするデッキを好んで作っていた。
そしてある時期、私がこだわっていたのは「土地を並べることが勝ち手段となるデッキ」だった。色々なデッキを試していたが、その中の1つが、これら《黒き剣のダッコン/Dakkon Blackblade》と《Hazezon Tamar》の両方が入ったデッキだった。
インベイジョンに収録されていた《マローの魔術師モリモ/Molimo, Maro-Sorcerer》はこれらのカードのオマージュだ。
▼《Divine Intervention》
プロフェシーの《天界の収斂/Celestial Convergence》はまさにこの《Divine Intervention》から着想を得たものだ。大きな変更点として、カウンターが全て取り除かれたときにちゃんとゲームに決着がつくようにした。
▼《エンチャント移動/Enchantment Alteration》
ちょっとしたテクニックを要するカードが好きだ。きっとデザイナーの性なのだろう。それは例えばこの《Enchantment Alteration》のように派手さはないがトリッキーなカードだ。
そう、これがウルザズ・サーガに再録されたのも、またこれによく似た《オーラの移植/Aura Graft》がオデッセイに収録されたのも、いずれも私に責任がある。
▼《Eureka》
おそらく私の中に潜む闇の部分がささやいたのだろうが、私はこのカードの「カードのお代は無料」な効果にすっかり魅了されてしまった。
マナコストを払うことなく呪文を唱えられるストロングホールドの《ドリーム・ホール/Dream Halls》が作られてしまったのはこの《Eureka》(および《意志の力/Force of Will》)があったからだ。
ちなみに、ことあるごとに話題に出されてしまうこの《ドリーム・ホール/Dream Halls》は、当時のカードゲーム雑誌 InQuest では「ストロングホールドで最弱のカード」と名指しされていた。ちなみに1年後に禁止カード入りしたけどね。
▼《Field of Dreams》
オデッセイに収録されていた《頭脳集団/Think Tank》(アップキープ開始時に自分のライブラリの一番上を見て、それを墓地に落とすかどうか選べるエンチャント)の原型は、この《Field of Dreams》から着想を得ている。
元々、オデッセイの開発中の段階では《頭脳集団/Think Tank》の効果は「対戦相手も含む全てのプレイヤーは、ライブラリーの一番上のカードを表向きにしたままゲームをプレイする」というものだったのだ。
▼《Firestorm Phoenix》
メルカディアン・マスクスでスクイー(註)の能力をどう表現しようかと考えているときに思い出したのがこの《Firestorm Phoenix》だった。
決して死なないというこのカードの能力はプレイしていてとても楽しいものだったし、「死なない」ということに関してはスクイーほどふさわしいキャラはいなかった。そこで私は《Firestorm Phoenix》の能力に手を加えて《ゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin Nabob》を完成させたというわけだ。
▼《混沌の篭手/Gauntlets of Chaos》、《対置/Juxtapose》
以前、記事に書いたようにウルザズ・デスティニーの《寄付/Donate》を私に作るよう仕向けた直接的な原因となったカードがこれらだ。
▼《Glyph of Destruction》
ウェザーライトの開発中のことだ。セットのカードの1枚である《ゴブリン爆弾/Goblin Bomb》の効果が「あなたはゲームに勝利する」という単純なものになりそうだったが、私はなんとかそれを「20点のダメージを与える」に変えさせようと戦っていた。
「どっちだって同じだろうし、だったらここは20点ダメージでもいいじゃないか。マジックのテキスト欄にはもっと派手な数字が必要なんだ」と説得しつつ、さらに相手を説得するためにこう付け加えた。「ほら、《Glyph of Destruction》というカードがあっただろう。+10だよ、+10。だったら2桁の数字がもっとあったっていいじゃないか」とね。
そんな私の言葉のおかげかはさておき、とにかく私はチームメンバーを説得することに成功し、無事《ゴブリン爆弾/Goblin Bomb》は20点を与えるカードとなった。憶えている限りで《Glyph of Destruction》というカード名を口に出したのはこのときだけだ(クイズ大会みたいな例外を除けばだけどね)。
▼《Heaven’s Gate》、《Alchor’s Tomb》、《Dream Coat》
土地デッキ以外で組んだ変わったデッキといえば、色変更デッキだ。色々組んだその色変更デッキの中で特にお気に入りだったのは《Martyr’s Cry》と《Heaven’s Gate》によるライブラリ破壊コンボを狙った山札破壊デッキだった。《石臼/Millstone》も入ってたはずだ。
ん? ああ、バレたか。私は強いデッキを作るのが得意だったわけじゃない……面白いデッキを作るのが得意だったんだ。
まあそんなわけで、私はレジェンドで「呪文やパーマネントの色を変える効果」の素晴らしさを知った(ちなみにデザイナーのマイク・エリオットも同好の士だ)。そしてその愛はインベイジョンに反映された(例えば《水晶のしぶき/Crystal Spray》や《変容する大空/Shifting Sky》などだ)。インベイジョンブロック全体を貫くテーマの1つ、色替え効果はレジェンドにその端を発するというわけさ。
▼《地獄の番人/Hell’s Caretaker》
ウィザーズに入社する以前、私は仲間たちと Melee Game という特殊ルールでマジックを遊ぶことがあった。これはマジックを多人数でプレイするためのローカルルールで、プレイヤーは輪になって座り、互いに左側のプレイヤーにしか攻撃できない、というルールだった。
私がその Melee Game 専用に作ったデッキで中心的な役割を果たしていたのがこの《地獄の番人/Hell’s Caretaker》だった。私はこのカードがとても好きだったので、同じように「戦場のクリーチャーと墓地のクリーチャーを入れ替える」という効果を持つカードをいくつも生み出した。
エクソダスの《繰り返す悪夢/Recurring Nightmare》、ウルザズ・サーガの《犠牲/Victimize》、ウルザズ・デスティニーの《ネクロマンサーの弟子/Apprentice Necromancer》や《ボディ・スナッチャー/Body Snatcher》などだ。
これらの発想を土台として、さらにそれらとはまた違った形で墓地からクリーチャーを復活させるカードが生まれていった。そう、ミラージュの《浅すぎる墓穴/Shallow Grave》、テンペストの《死体のダンス/Corpse Dance》、オデッセイの《ゾンビ化/Zombify》などだ。
▼《Hyperion Blacksmith》、《秘宝の障壁/Relic Barrier》
当時、色んなデッキを作っていた中にアーティファクトデッキもあった。新セットが出るたびにカードを入れ替え、長く使い続けたものだ。
これら2枚のカードはいずれもそのアーティファクトデッキに入れたことのあるカードであり、かつこれらから着想を得て生み出したのがウルザズ・サーガの《通電式キー/Voltaic Key》(タップすることで対象のアーティファクトをアンタップできるアーティファクト)だ。
Mark Rosewater
2002年03月04日
元記事:http://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/designing-under-influence-2002-03-04
レジェンド週間へようこそ!(おっと念のため。ここで言っているレジェンドはクリーチャータイプのレジェンドではなく、エキスパンション名のほうだ(註))
(註) クリーチャータイプのレジェンド
記事が書かれた当時は「伝説の~」というカードタイプは「レジェンド」というクリーチャータイプ扱いだった。例えば「クリーチャー - エルフ」のように「クリーチャー - レジェンド」というクリーチャーがいた。そのためクリーチャータイプを書き換える効果で同名クリーチャーカードの両方のタイプを「レジェンド」に書き換えることでそのクリーチャーを破壊する、というテクニックも存在した。なお「伝説の~」に関するルールは二転三転しており、なかなか興味深いネタなのでこれだけでもかなり語れる。
私たちは過去にも1週間かけて特定のテーマを扱う企画を行ってきたが、今週のは今までとはちょっと違ったパターンで行おうと思ってる。
マジック初の大型エキスパンションであるレジェンドをありとあらゆる側面から掘り下げて、興味深いネタを根こそぎ引っ張り出そうというわけだ。
さて今週はまずこのセットのデザイナーの1人であるスティーブ・コナードは、このレジェンドというセットがどう生まれたかを紹介してくれた。
さらにはレジェンドの全カードリストを君たちに公開して見せた。さらにさらに、君たちにレジェンドにまつわる興味深い裏話をいくつも紹介してきた。
スティーブ・コナードはマジックのデザインがレジェンドにどのような影響を与えたかについて語ってくれた(興味があればここから記事を読める (註))。
(註) ここから記事を読める
原文には以下のURLへリンクが張られているが古すぎてリンク切れ。
http://archive.wizards.com/default.asp?x=mtgcom/feature/20
さて私の番となる今日は、逆に「レジェンドがどのような影響をマジックのデザインに与えたか」について語ろうと思う。
さて、レジェンドが生まれたとき、私はまだマジックを単にプレイする側の人間だったのだ。開発する側ではなくてね。……え? いや、まあ確かにマジックのパズルに関する公式コラム(註)を雑誌 Duelist で受け持ってはいたが、その点を除けば本当にただのプレイヤーの1人だったのさ。
(註) 公式コラム
著者のマーク・ローズウォーターはトレーディングカードゲーム雑誌である Duelist で「Magic the Puzzling」という詰めマジック的なコラムを担当していた。
レジェンドが発売された日のことは今も覚えているよ。あれは1994年の夏、カリフォルニアのウェストウッドだった。私と友人はカードショップの店頭で開店前から待機してた。
何しろ当時はマジックのセットが発売日当日に売り切れるなんてざらだったからね。入荷するその日が勝負だったのさ。それに収録枚数310枚という、それまでのどの拡張よりも多い枚数の新セットの噂はすでにそこかしこで話題になっていたからね。
私はまず3ボックス購入した(知ってるかもしれないが私は初代アルファからマジックを始めていた。レジェンドの頃にはもうずっぽりハマっていたわけだ。迷わず3ボックス買うほどにね)。
それから家に飛び返り、全てのパックを剥き終えると、すぐにまた店へと駆け戻り、もう1ボックス追加で購入した。
さらに家に帰ってその4つ目の箱を剥き終えると、さらに5つ目のボックスを購入するべく店に走った。ただその5つ目は資産とすべく剥かないでとっておいたけどね(その後この5つ目の箱がどうなったかというと、10箱のリバイズドと交換された。そしてこの10箱のリバイズドがどうなったかというと、おしゃれなテレビ一式の購入資金になった)。
……と、私がなんでいきなりこんな話を始めたか不思議かもしれないね。何が言いたかったかというと、当時私がレジェンドから受けた影響は「プレイヤーとしてのものだった」ということを強調したかったからだ。この出会いがもし数年後であれば、おそらく私はデザイナーとしての立場で影響を受けていただろう。
さて、今日のコラムではレジェンドのカードの中でも、私が他のマジックのカードをデザインする際にインスピレーションを受けたカードをピックアップして紹介したいと思う。
科学者と同じく、デザイナーもまた先人の業績を土台として己の仕事を達成する。
レジェンドというセットが私自身にいかに影響を及ぼしたか、そしてさらにはレジェンドというセットがいかにマジックというゲームそのものに影響を残したか。それがこのコラムから君たちに伝われば、こんなに嬉しいことはない。
そしてレジェンドへ / Design of the Times
この記事で紹介するカードの順番をどうしようか迷ったが、結局はアルファベット順にすることにした。以下が私のカードデザインに影響を与えたレジェンドのカードたちだ(本題に入る前のメモ書き:カードのデザインとは共同作業であり、以下に紹介するカードの多くは、私1人ではなく他のデザイナーと一緒に生み出したものだということをここに記しておく)
▼《抗魔のオーラ/Anti-Magic Aura》・《Spectral Cloak》
Anti-Magic Aura / 抗魔のオーラ (2)(青)
エンチャント - オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは呪文の対象にならず、他のオーラ(Aura)によってエンチャントされない。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Anti-Magic+Aura/
Spectral Cloak (青)(青)
エンチャント - オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは、それがアンタップ状態であるかぎり被覆を持つ。(それは呪文や能力の対象にならない。)
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Spectral+Cloak/
開発部で通称「外套(Cloak)」と呼ばれているタイプのカードがあり、私はこの効果を持つカードがずっと好きだった。青の魔法使いが他の魔法使いに対して、私のこのクリーチャーにちょっかいを出すなよ、と妨害の魔法をかけているイメージが気に入っている。
元となったこのレジェンドのカードたちから、私はいくつもの「外套(Cloak)」をデザインした。例えば、ビジョンズの《神秘のヴェール/Mystic Veil》、エクソダスの《鏡のローブ/Robe of Mirrors》、メルカディアン・マスクスの《外交特権/Diplomatic Immunity》、オデッセイの《アボシャンの願望/Aboshan’s Desire》などだ。
▼《Arboria》
Arboria (2)(緑)(緑)
ワールド・エンチャント
クリーチャーは、自分の直前のターンに呪文を唱えておらず、トークンでないパーマネントを戦場に出していないプレイヤーを攻撃できない。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Arboria/
私はこのカードが嫌いだった。何しろこのカードはプレイヤーたちが何もしないことを推奨するからだ。そして私はウルザズ・デスティニーのデザインをしているとき、《Arboria》と正反対なエンチャントを作ったらどうだろう、と思ったわけだ。
そして何もしないことに対して罰を与えるカードが生まれた。それが《せっかち/Impatience》(註)だ。
(註) Impatience / せっかち (2)(赤)
エンチャント
各プレイヤーの終了ステップの開始時に、そのプレイヤーがそのターンに呪文を唱えなかった場合、せっかちはそのプレイヤーに2点のダメージを与える。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Impatience/
▼《Cleanse》
Cleanse (2)(白)(白)
ソーサリー
すべての黒のクリーチャーを破壊する。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Cleanse/
トーメントの開発中は《ティーロ大隊長/Major Teroh》の能力(すべての黒のクリーチャーを追放する)は現在よりも若干弱い効果だった(対象の黒のパーマネントを追放する)。
私はこのカードの効果はもう少し強くあるべきだと感じたので、白のカードでもっとフレイバー的に強力な「対黒」な効果はないかと思いを巡らせた。
そしてレジェンドの《Cleanse》を思い出すことに成功した私は、今の能力を提案させてもらったというわけだ。
▼《繭/Cocoon》
Cocoon / 繭 (緑)
エンチャント - オーラ(Aura)
エンチャント(あなたがコントロールするクリーチャー)
繭が戦場に出たとき、エンチャントされているクリーチャーをタップし、繭の上に変態(pupa)カウンターを3個置く。
エンチャントされているクリーチャーは、繭の上に変態カウンターが1個置かれているなら、あなたのアンタップ・ステップにアンタップしない。
あなたのアップキープの開始時に、繭から変態カウンターを1個取り除く。そうできないとき、それを生け贄に捧げ、エンチャントされているクリーチャーの上に+1/+1カウンターを1個置き、そのクリーチャーは飛行を得る。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Cocoon/
レジェンド発売後に迎えた最初の秋。その頃、マジック界を席巻していたデッキはノンクリーチャーデッキ(クリーチャーが1体も入っていないタイプのデッキ)だった。その原因は《The Abyss》だ(註)。
(註) 《The Abyss》
各プレイヤーは毎ターン自分のクリーチャーのうちの1体を破壊しなくてはいけない、というエンチャント。自分はデッキにクリーチャーを入れないことでメリットしかなくなる。
さてそんな頃、私がマジック仲間と話してたときに話題になったのは「どの2色でもデッキは組めるけど青緑だけは無理だな」だった。
それを聞いた私がどうしたかって? もちろん次の週末に青緑デッキを引っさげて登場したさ。ちなみにウィニーデッキ(註)だった。私は他のデッキと併用しつつこのデッキを大体1年ほど使い続けた。今でも私にとって思い出深いデッキの1つだ。
(註) ウィニーデッキ
低マナ域のクリーチャーを主力とし、序盤から盤面の主導権を握ることで中盤までに相手のライフを削りきるデッキ。1体1体が小粒なため、全体強化エンチャントを使ったり、相手のブロックをかいくぐるために単体強化インスタントや軽めの除去呪文などが使われる。
さて、長く使い続けた最中、この《繭/Cocoon》が投入されていた時期もあった。対戦相手のクリーチャーを低マナでタップするためにね(ん? ああ、当時は出来たんだ。今はエラッタが出て自分のコントロールするクリーチャーにしか付けられない)。
そんなウィザーズに入社する前の私は、自作カードを考えるという趣味も持っていた。そのとき生み出したアイデアの1つにこの《繭/Cocoon》を元にしたカードもあった。
ふむふむ、《繭/Cocoon》は3ターンも待ったあとにクリーチャーが強化されるのか……じゃあ、その逆はどうだろう? 3ターンのあいだクリーチャーを強化し続けてくれるが、3ターン後にそのクリーチャーが破壊されてしまうカード。
のちのこのアイデアは、私が初めてデザインしたカードの中の1枚である《血の狂乱/Consuming Ferocity》となって世に出た(ミラージュのカードだ)。まあ、ご覧のとおり、元ネタがあるからといって全てがホームラン級の大当たりになるとは限らないというわけさ(もっともこの《血の狂乱/Consuming Ferocity》はヒット性の当たりですらないが……)。
▼《調和の中心/Concordant Crossroads》
Concordant Crossroads / 調和の中心 (緑)
ワールド・エンチャント
すべてのクリーチャーは速攻を持つ。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Concordant+Crossroads/
結局抜けることになった《繭/Cocoon》とは違い、《調和の中心/Concordant Crossroads》は私のウィニーデッキと最高の相性を見せ続けた(1マナのマナクリーチャーは実質的なフリースペルだ)。
さらにありがたいことに、これはエンチャント・ワールド(註)だった。そう、副次効果として対戦相手の《The Abyss》を破壊することもできたんだ。
(註) エンチャント・ワールド
過去に存在したエンチャントの種類の1つ。もう新たには作られない(はず)。場にエンチャント・ワールドは1枚しか存在できず、新たに唱えられた場合は古いほうが破壊される。世界のルールが上書きされるイメージ(たぶん)。
私はあまりにこのカードが好きなので、ことあるごとに全体に速攻を与えるエンチャントをねじこもうとしてきた。《熱情/Fervor》と《ヤヴィマヤの火/Fires of Yavimaya》はいずれもこの《調和の中心/Concordant Crossroads》が無ければ生まれ得なかったカードたちだ。
▼《黒き剣のダッコン/Dakkon Blackblade》、《Hazezon Tamar》
Dakkon Blackblade / 黒き剣のダッコン (2)(白)(青)(青)(黒)
伝説のクリーチャー - 人間(Human) 戦士(Warrior)
黒き剣のダッコンのパワーとタフネスはそれぞれ、あなたがコントロールする土地の数に等しい。
*/*
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Dakkon+Blackblade/
Hazezon Tamar (4)(赤)(緑)(白)
伝説のクリーチャー - 人間(Human) 戦士(Warrior)
Hazezon Tamarが戦場に出たとき、あなたの次のアップキープの開始時に、赤であり緑であり白である1/1の砂漠の民(Sand)・戦士(Warrior)クリーチャー・トークンをX体生成する。Xは、あなたがその時にコントロールしている土地の数である。
Hazezon Tamarが戦場を離れたとき、すべての砂漠の民・戦士を追放する。
2/4
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Hazezon+Tamar/
私は妙なデッキを作る奴として知られていた。実際、私は対戦相手が過去に見たこともないような勝ち方をするデッキを好んで作っていた。
そしてある時期、私がこだわっていたのは「土地を並べることが勝ち手段となるデッキ」だった。色々なデッキを試していたが、その中の1つが、これら《黒き剣のダッコン/Dakkon Blackblade》と《Hazezon Tamar》の両方が入ったデッキだった。
インベイジョンに収録されていた《マローの魔術師モリモ/Molimo, Maro-Sorcerer》はこれらのカードのオマージュだ。
▼《Divine Intervention》
Divine Intervention (6)(白)(白)
エンチャント
Divine Interventionはその上に介入(intervention)カウンターが2個置かれた状態で戦場に出る。
あなたのアップキープの開始時に、Divine Interventionから介入カウンターを1個取り除く。
あなたがDivine Interventionから最後の介入カウンターを取り除いたとき、このゲームは引き分けになる。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Divine+Intervention/
プロフェシーの《天界の収斂/Celestial Convergence》はまさにこの《Divine Intervention》から着想を得たものだ。大きな変更点として、カウンターが全て取り除かれたときにちゃんとゲームに決着がつくようにした。
▼《エンチャント移動/Enchantment Alteration》
Enchantment Alteration / エンチャント移動 (青)
インスタント
クリーチャーか土地につけられているオーラ(Aura)1つを対象とし、それを同じタイプの別のパーマネントにつける。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Enchantment+Alteration/
ちょっとしたテクニックを要するカードが好きだ。きっとデザイナーの性なのだろう。それは例えばこの《Enchantment Alteration》のように派手さはないがトリッキーなカードだ。
そう、これがウルザズ・サーガに再録されたのも、またこれによく似た《オーラの移植/Aura Graft》がオデッセイに収録されたのも、いずれも私に責任がある。
▼《Eureka》
Eureka (2)(緑)(緑)
ソーサリー
あなたから始めて、各プレイヤーは自分の手札にあるパーマネント・カード1枚を戦場に出してもよい。この手順を誰も戦場にカードを出さなくなるまで続ける。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Eureka/
おそらく私の中に潜む闇の部分がささやいたのだろうが、私はこのカードの「カードのお代は無料」な効果にすっかり魅了されてしまった。
マナコストを払うことなく呪文を唱えられるストロングホールドの《ドリーム・ホール/Dream Halls》が作られてしまったのはこの《Eureka》(および《意志の力/Force of Will》)があったからだ。
ちなみに、ことあるごとに話題に出されてしまうこの《ドリーム・ホール/Dream Halls》は、当時のカードゲーム雑誌 InQuest では「ストロングホールドで最弱のカード」と名指しされていた。ちなみに1年後に禁止カード入りしたけどね。
▼《Field of Dreams》
Field of Dreams (青)
ワールド・エンチャント
プレイヤーは、自分のライブラリーの一番上のカードを公開した状態でプレイする。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Field+of+Dreams/
オデッセイに収録されていた《頭脳集団/Think Tank》(アップキープ開始時に自分のライブラリの一番上を見て、それを墓地に落とすかどうか選べるエンチャント)の原型は、この《Field of Dreams》から着想を得ている。
元々、オデッセイの開発中の段階では《頭脳集団/Think Tank》の効果は「対戦相手も含む全てのプレイヤーは、ライブラリーの一番上のカードを表向きにしたままゲームをプレイする」というものだったのだ。
▼《Firestorm Phoenix》
Firestorm Phoenix (4)(赤)(赤)
クリーチャー - フェニックス(Phoenix)
飛行
Firestorm Phoenixが死亡するなら、代わりにそれをオーナーの手札に戻す。そのプレイヤーの次のターンまで、そのプレイヤーは自分の手札にあるそのカードを公開した状態でプレイするとともに、それをプレイできない。
3/2
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Firestorm+Phoenix/
メルカディアン・マスクスでスクイー(註)の能力をどう表現しようかと考えているときに思い出したのがこの《Firestorm Phoenix》だった。
決して死なないというこのカードの能力はプレイしていてとても楽しいものだったし、「死なない」ということに関してはスクイーほどふさわしいキャラはいなかった。そこで私は《Firestorm Phoenix》の能力に手を加えて《ゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin Nabob》を完成させたというわけだ。
(註) スクイー
飛翔艦ウェザーライト号の乗組員であるゴブリン。背景ストーリーの中で死んでもすぐ生き返る不死の体に改造されてしまい、ここであげられている「能力」とはそのこと。なお実際の《ゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin Nabob》の能力は「アップキープの開始時に墓地から手札に戻る」というもの。
▼《混沌の篭手/Gauntlets of Chaos》、《対置/Juxtapose》
Gauntlets of Chaos / 混沌の篭手 (5)
アーティファクト
(5),混沌の篭手を生け贄に捧げる:あなたがコントロールするアーティファクト1つかクリーチャー1体か土地1つと、対戦相手1人がコントロールする、それと共通するタイプを持つパーマネント1つを対象とし、それらのコントロールを交換する。これによりそれらのパーマネントが交換された場合、それらにつけられているすべてのオーラ(Aura)を破壊する。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Gauntlets+of+Chaos/
Juxtapose / 対置 (3)(青)
ソーサリー
プレイヤー1人を対象とする。あなたとそのプレイヤーは、それぞれ自分がコントロールする点数で見たマナ・コストが最も大きいクリーチャー1体のコントロールを交換する。その後アーティファクトについても同じことを行う。プレイヤーが点数で見たマナ・コストが最も大きいパーマネントが2つ以上コントロールしている場合、そのプレイヤーがどちらか1つを選ぶ。(この効果は、ターン終了時に終わらない。)
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Juxtapose/
以前、記事に書いたようにウルザズ・デスティニーの《寄付/Donate》を私に作るよう仕向けた直接的な原因となったカードがこれらだ。
▼《Glyph of Destruction》
Glyph of Destruction (赤)
インスタント
あなたがコントロールする、ブロックしている壁(Wall)1体を対象とする。それは戦闘終了時まで+10/+0の修整を受ける。このターン、それに与えられるすべてのダメージを軽減する。次の終了ステップの開始時に、それを破壊する。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Glyph+of+Destruction/
ウェザーライトの開発中のことだ。セットのカードの1枚である《ゴブリン爆弾/Goblin Bomb》の効果が「あなたはゲームに勝利する」という単純なものになりそうだったが、私はなんとかそれを「20点のダメージを与える」に変えさせようと戦っていた。
「どっちだって同じだろうし、だったらここは20点ダメージでもいいじゃないか。マジックのテキスト欄にはもっと派手な数字が必要なんだ」と説得しつつ、さらに相手を説得するためにこう付け加えた。「ほら、《Glyph of Destruction》というカードがあっただろう。+10だよ、+10。だったら2桁の数字がもっとあったっていいじゃないか」とね。
そんな私の言葉のおかげかはさておき、とにかく私はチームメンバーを説得することに成功し、無事《ゴブリン爆弾/Goblin Bomb》は20点を与えるカードとなった。憶えている限りで《Glyph of Destruction》というカード名を口に出したのはこのときだけだ(クイズ大会みたいな例外を除けばだけどね)。
▼《Heaven’s Gate》、《Alchor’s Tomb》、《Dream Coat》
Heaven’s Gate (白)
インスタント
好きな数のクリーチャーを対象とする。それらはターン終了時まで白になる。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Heaven%27s+Gate/
Alchor’s Tomb (4)
アーティファクト
(2),(T):あなたがコントロールするパーマネント1つを対象とする。それはあなたが選んだ色1色になる。(この効果は永続する。)
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Alchor%27s+Tomb/
Dream Coat (青)
エンチャント - オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
(0):エンチャントされているクリーチャーは、あなたが選んだ色1色か色の組み合わせになる。この能力は、各ターンに1回のみ起動できる。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Dream+Coat/
土地デッキ以外で組んだ変わったデッキといえば、色変更デッキだ。色々組んだその色変更デッキの中で特にお気に入りだったのは《Martyr’s Cry》と《Heaven’s Gate》によるライブラリ破壊コンボを狙った山札破壊デッキだった。《石臼/Millstone》も入ってたはずだ。
ん? ああ、バレたか。私は強いデッキを作るのが得意だったわけじゃない……面白いデッキを作るのが得意だったんだ。
まあそんなわけで、私はレジェンドで「呪文やパーマネントの色を変える効果」の素晴らしさを知った(ちなみにデザイナーのマイク・エリオットも同好の士だ)。そしてその愛はインベイジョンに反映された(例えば《水晶のしぶき/Crystal Spray》や《変容する大空/Shifting Sky》などだ)。インベイジョンブロック全体を貫くテーマの1つ、色替え効果はレジェンドにその端を発するというわけさ。
▼《地獄の番人/Hell’s Caretaker》
Hell’s Caretaker / 地獄の番人 (3)(黒)
クリーチャー - ホラー(Horror)
(T),クリーチャーを1体、生け贄に捧げる:あなたの墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とし、それを戦場に戻す。この能力は、あなたのアップキープの間にのみ起動できる。
1/1
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Hell%27s+Caretaker/
ウィザーズに入社する以前、私は仲間たちと Melee Game という特殊ルールでマジックを遊ぶことがあった。これはマジックを多人数でプレイするためのローカルルールで、プレイヤーは輪になって座り、互いに左側のプレイヤーにしか攻撃できない、というルールだった。
私がその Melee Game 専用に作ったデッキで中心的な役割を果たしていたのがこの《地獄の番人/Hell’s Caretaker》だった。私はこのカードがとても好きだったので、同じように「戦場のクリーチャーと墓地のクリーチャーを入れ替える」という効果を持つカードをいくつも生み出した。
エクソダスの《繰り返す悪夢/Recurring Nightmare》、ウルザズ・サーガの《犠牲/Victimize》、ウルザズ・デスティニーの《ネクロマンサーの弟子/Apprentice Necromancer》や《ボディ・スナッチャー/Body Snatcher》などだ。
これらの発想を土台として、さらにそれらとはまた違った形で墓地からクリーチャーを復活させるカードが生まれていった。そう、ミラージュの《浅すぎる墓穴/Shallow Grave》、テンペストの《死体のダンス/Corpse Dance》、オデッセイの《ゾンビ化/Zombify》などだ。
▼《Hyperion Blacksmith》、《秘宝の障壁/Relic Barrier》
Hyperion Blacksmith (1)(赤)(赤)
クリーチャー ? 人間(Human) 工匠(Artificer)
(T):対戦相手1人がコントロールするアーティファクト1つを対象とする。あなたはそれをタップまたはアンタップしてもよい。
2/2
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Hyperion+Blacksmith/
Relic Barrier / 秘宝の障壁 (2)
アーティファクト
(T):アーティファクト1つを対象とし、それをタップする。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Relic+Barrier/
当時、色んなデッキを作っていた中にアーティファクトデッキもあった。新セットが出るたびにカードを入れ替え、長く使い続けたものだ。
これら2枚のカードはいずれもそのアーティファクトデッキに入れたことのあるカードであり、かつこれらから着想を得て生み出したのがウルザズ・サーガの《通電式キー/Voltaic Key》(タップすることで対象のアーティファクトをアンタップできるアーティファクト)だ。
後編はこちら
https://regiant.diarynote.jp/201903310243511522/
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