以下の基本セット2012の紹介記事で言及されていた、過去の戦略記事を翻訳してみた。
http://regiant.diarynote.jp/201108071520473612/
以下の通り、既に訳されていた方がいたことにあとから気づいたけど、自分の翻訳記事からリンクを張るならやっぱり自力で訳した記事の方がよかろうということでアップしてみる。
既訳:Who’s The Beatdown?
http://72743.diarynote.jp/200612211801140000/
DOJOからまた1つ/Another Classic from THE DOJO
元記事:http://www.starcitygames.com/php/news/article/3692.html
遥か昔、世界初のマジック専門サイトであるDojoがあった。このサイトはマジックのもっとも基礎的な原理をいくつも世に広めたという点において今なお伝説的な存在だ。ほぼ全ての戦術的なセオリーはその起源を辿ればDojoに記事を寄せていた偉大なるライターたちに辿り着く。本気でマジックに取り組んでいるプレイヤーであれば誰でも、これら古いベテランたちへ感謝の念を忘れてはいけない。
残念ながら、経済的なあれやこれやという実にありがたい事情により、このDojoというサイトはビジネスが立ちゆかなくなり2000年に閉鎖されることとなってしまった。そのとき、4年という歳月をかけて集積された叡智を救うべく土壇場で、とある働きかけが為された。編集部は将来的にも記事が閲覧可能となるよう、マジックのコミュニティに対し記事のアーカイブ化を求めたのだ。
Dojoの記事の中でも特に価値の高いものはこのサイトに再掲載している。なぜならこれらは今日のマジックにとっても今なお力となるものだからだ。このStarCityGames.comのサイトでは内容に手を加えずそのまま載せている。ただ最近のプレイヤーたちが見たことがないであろう古いカードにリンクを加えてはいる。そうすることで紹介されている戦術を理解する助けになるはずだと考えたからだ。
Dojoに記事を寄せていたライターの多くは今なおマジックで活動しており、他のサイトでも記事を書いている。コミュニティが育った功労者である彼らへときにはエールを送ってくれ。
<編集部より>
ビートダウン VS ビートダウンはあり得ない/Who’s The Beatdown?
Mike Flores
1999年01月01日
元記事:http://www.starcitygames.com/php/news/article/3692.html
トーナメントでもっともよく目撃するミスは(小さいもの、大きいもの含めて)似たようなデッキで対戦している際に、自分がビートダウン側なのかコントロール側なのかの見極めを誤っているというものだ。
自身の立ち位置を見誤っている側が負けるのは自明の理だ。
分かると思うが、似たようなデッキ同士のマッチアップは、それらのデッキが真の対称性を持っていない限り(つまり完璧なミラーマッチでない限り)片方のデッキがビートダウン側となり、もう片方がコントロール側とならざるを得ない。このことは、例えば両方のプレイヤーがアグレッシブなデッキを使っているときなどに激しいジレンマを産む。
ここで具体的な例を挙げてみよう。
ワシントンDCで行われたプロツアー予選での話だ。私のチームメイトであるAl Tranは、ベスト8を賭けてスライデッキ(註)と対戦していた。Alが使っていたのは白赤のジャンクデッキ(註1)だ。ジャンクデッキは、通常、アグレッシブなデッキとして分類される……しかし、スライデッキとの対戦時は別だ。
(註) スライデッキ
低マナ域のクリーチャーと火力で固めた赤単。序盤から攻撃に特化した小型クリーチャーで攻め立て、ブロッカーは火力で排除し、相手のライフが残り少なくなったら火力を直接本体へ集中させて勝つ。
(註) 白赤のジャンクデッキ
赤と白の低マナ域の優良カードを集めたビートダウンデッキ。《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》などのウィニークリーチャーで攻めつつ、《稲妻/Lightning Bolt》、《呪われた巻物/Cursed Scroll》などの除去でブロッカーを排除し、同じ火力でとどめをさす。
参照:http://mtgwiki.com/wiki/PT_Jank
マッチアップは1勝1敗の五分五分となり、第3試合の結果によってベスト8が決まることとなった。Alの対戦相手が先攻を取り、《ジャッカルの仔/Jackal Pup》を場に出した。
この時点でAlの手札には2枚の《呪われた巻物/Cursed Scroll》、2枚の《剣を鍬に/Swords to Plowshares》、1枚の《名誉の道行き/Honorable Passage》、そして数枚の土地があった。
Jackal Pup / ジャッカルの仔 (赤)
クリーチャー - 猟犬(Hound)
ジャッカルの仔にダメージが与えられるたび、それはあなたにそのダメージに等しい点数のダメージを与える。
2/1
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Jackal+Pup/
Cursed Scroll / 呪われた巻物 (1)
アーティファクト
(3),(T):クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。カード名を1つ指定する。あなたの手札からカードを1枚、無作為に公開する。そのカードが指定されたカードであった場合、呪われた巻物はそれに2点のダメージを与える。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Cursed+Scroll/
Swords to Plowshares / 剣を鍬に (白)
インスタント
クリーチャー1体を対象とし、それを追放する。それのコントローラーは、そのパワーに等しい点数のライフを得る。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Swords+to+Plowshares/
Honorable Passage / 名誉の道行き (1)(白)
インスタント
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。このターン、あなたが選んだ発生源1つが次にそれに与えるすべてのダメージを軽減する。赤の発生源からのダメージがこれにより軽減された場合、名誉の道行きはその発生源のコントローラーに同じ点数のダメージを与える。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Honorable+Passage/
Alは《ジャッカルの仔/Jackal Pup》の牙を鍬に変えることはせず、最初の攻撃によって2点のダメージを受けることを選択した。対戦相手はさらにもう1体のジャッカルを用意した。Alはこれにも《剣を鍬に/Swords to Plowshares》を唱えず、《稲妻/Lightning Bolt》を引くか巻物のマナが溜まるのを待っていた。
Alは自身の2ターン目にもう1枚土地を置き《呪われた巻物/Cursed Scroll》を設置した。これによってアンタップしている土地は1枚。
対戦相手の3ターン目に3枚目の山が着地し、君の予想通り《ボール・ライトニング/Ball Lightning》が後に続いた。Alは《剣を鍬に/Swords to Plowshares》を《ボール・ライトニング/Ball Lightning》に唱えざるを得なかった。Alはこれによってその後の数ターンは稼げたが、結局は《稲妻/Lightning Bolt》に焼かれて死んでしまった。
何が問題だったのだろうか?
Alが使っていたのはビートダウンデッキだ。そのため彼は対戦相手にダメージを与えつつ《ジャッカルの仔/Jackal Pup》を除去したかった。しかし今回のマッチアップの限れば、彼は自身のデッキをコントロールデッキとしてプレイべきだった。
分かってもらえると思うが、スライデッキはジャンクよりずっと速いデッキなのであり、ジャンク側が勝つためにはスライデッキの序盤を除去呪文で抑え込み、中盤から《呪われた巻物/Cursed Scroll》で相手をロックするという作戦で行くしかない。
何しろスライデッキ側にはこちらより枚数の多い《稲妻/Lightning Bolt》や《呪われた巻物/Cursed Scroll》があるわけで、ジャンク側が勝つためには、自身のデッキに入っている同じカードたちを駆使してライフを安全圏に保っておく必要があるのだ。
2匹の《ジャッカルの仔/Jackal Pup》を《剣を鍬に/Swords to Plowshares》で除去することによってスライデッキ側に4点のライフを回復させてしまうことは、ライフレースにおいて表面上は不利に見えるかもしれない。
しかし上記の例を見てもらえば分かるとおり、結果的にAlは《ボール・ライトニング/Ball Lightning》に対してそれを唱えることで6点のライフを献上している。そうしてさえ、2体の《ジャッカルの仔/Jackal Pup》を除去するまでに少なくとも8点以上のダメージを受けてしまっているのだ。
《ジャッカルの仔/Jackal Pup》を《剣を鍬に/Swords to Plowshares》し、《ボール・ライトニング/Ball Lightning》に対して《名誉の道行き/Honorable Passage》を唱えておいたほうが、ずっとAlにとって有益だったはずだ。
そうしていればライフを20点近くに保ったまま中盤に突入することが可能となり、あらためてその時点から《ヴェクの聖騎士/Paladin en-Vec》や《サルタリーの僧侶/Soltari Priest》などで攻撃に転じることが出来ていたはずだからだ。
似たような対比がコントロールデッキ同士がぶつかり合った際にも見られる。同じプロツアー予選で私はハイタイド(註)でカウンタースリヴァー(註)に挑んでいた。通常であれば不利なマッチアップだ。
(註) ハイタイド
コンボデッキの一種。キーカードは、唱えたターンだけ《島/Island》から1点余分に青マナが出るようになる《High Tide》と各種フリースペル(唱えたらマナコスト分の枚数の土地をアンタップできる呪文の総称)。
これらが組み合わさると1ターンにいくつも呪文を唱えつつマナがどんどん増えるという状態に持っていける。勝ち手段は複数あるが、この記事のデッキは生み出した大量のマナで《天才のひらめき/Stroke of Genius》(= X枚のカードを対象のプレイヤーに引かせるインスタント呪文)を相手に打ち込むタイプらしい。
(註) カウンタースリヴァー
クロック・パーミッションの一種、というか元祖。低マナ域のクリーチャーで攻めつつ、余らせたマナで相手の動きを阻害して殴りきるタイプのデッキ。序盤から毎ターンコンスタントにダメージを刻み続けることを「クロックを刻む(時計の針を刻む)」と呼ぶことからその名がついたらしい。
対戦相手のデッキにはこういったデッキで見慣れたスリヴァーたちと《崇拝/Worship》、さらに打ち消し呪文と《呪われた巻物/Cursed Scroll》とが入っていた。
彼の過ちは、このマッチアップにおいて自身がコントロールデッキ側だと考えたことだ。
2ターン目に《水晶スリヴァー/Crystalline Sliver》をプレイしたあと、さらにその2ターン後に彼は《崇拝/Worship》を唱えた。マナを使い切った相手に、私は《天才のひらめき/Stroke of Genius》を唱えてデッキを空にしてやった。
(1試合目で私は彼を《パリンクロン/Palinchron》で撲殺した。それだけでなく私が対戦相手に見せたカードは主に《撹乱/Disrupt》や《魔力の乱れ/Force Spike》やドロー呪文だけだったため、おそらく彼は私のデッキがヘビークリーチャーに頼ったデッキと判断したのだろう)
Palinchron / パリンクロン (5)(青)(青)
クリーチャー - イリュージョン(Illusion)
飛行
パリンクロンが戦場に出たとき、土地を最大7つまでアンタップする。
(2)(青)(青):パリンクロンをオーナーの手札に戻す。
4/5
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Palinchron/
どうやって勝ったかはあまり関係ない。彼はこの対戦において自分の側がコントロールデッキだと考えていた。しかし実際は明らかにこちら側がコントロールデッキだったのだ。
私は彼と同等かそれ以上の量の打ち消し呪文を持っており、彼がスリヴァーを入れているスペースに私はドローやデッキ操作を入れていた。彼がデュアルランドを入れているかわりに私は《Thawing Glaciers》を入れていた。
Thawing Glaciers
土地
Thawing Glaciersはタップ状態で戦場に出る。
(1),(T):あなたのライブラリーから基本土地カードを1枚探し、そのカードをタップ状態で戦場に出す。その後、あなたのライブラリーを切り直す。次のクリンナップ・ステップの開始時に、Thawing Glaciersをオーナーの手札に戻す。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Thawing+Glaciers/
私は《Thawing Glaciers》によって土地が止まらないことを保証されており、また私は彼の《渦まく知識/Brainstorm》を何枚かすでに《撹乱/Disrupt》してもいた。これはつまり長期戦になりさえすれば私の勝ちが決まっているということだ。
彼がすべきだったのは、こっちの体制が整う前に私のライフをゼロにすることだったのだ。
彼のデッキの勝ちパターンは、パワー2以上のスリヴァーを何体かプレイしてそれらで毎ターン攻撃をしつつ、立たせておいたマナで相手の脅威となる呪文だけを打ち消す、というものだ(脅威となる呪文とは、ご存知の通り《神の怒り/Wrath of God》や《仕組まれた疫病/Engineered Plague》、さらには今回の対戦でいえばコンボの要である《High Tide》も含まれる)。
まず初めに彼はもっとアグレッシブに攻めるべきだった。今回のようにたった1体の《水晶スリヴァー/Crystalline Sliver》で攻めるだけでは、私に《Thawing Glaciers》とドロー呪文を使う時間をそれだけ与えることになってしまう。次に、タップアウトすることは死と同義だ。私からしてみれば《転換/Turnabout》を撃つ手間を省いてもらっているだけだ。
似たようなデッキで対戦する際に、自身がどちら側としてプレイすべきかを確認する指針としては以下のような点が挙げられる。
1. よりダメージ源を持っている側は? 通常、そっちがビートダウン側であるべきだ。
2. より除去を持っている側は? 通常、そっちがコントロール側であるべきだ。
3. より打ち消しとドローを持っている側は? ほぼ確実にそっちがコントロール側だ。
もし君がビートダウン側であれば、君のすべきことは対戦相手よりも早く相手を倒すことだ。もし君がコントロール側であれば、君のすべきことは序盤のビートダウンからの攻撃を切り抜け、カードアドバンテージを得られる中盤以降へ辿り着くことだ。
ビートダウン側とコントロール側の見極めに関する良い例として、1998年のアメリカ選手権のトップ8で発生した、David PriceとAndrew Pacificoによるスライデッキ同士の対戦を見てみよう。
表面上はこれら2人のプレイヤーは非常に似通ったデッキ(註)を使っているように見える。しかしよく見るとそこには大きなデザインの違いがあることが分かる。
(註) デッキ
原文にデッキ内容は載っていないが、別のページで運良く発見したので紹介しておく。
Andrew Pacifico
メインデッキ
4 《ボール・ライトニング/Ball Lightning》
1 《蛮行ゴブリン/Goblin Vandal》
4 《ジャッカルの仔/Jackal Pup》
4 《モグの狂信者/Mogg Fanatic》
4 《モグの下働き/Mogg Flunkies》
3 《スークアタの槍騎兵/Suq’Ata Lancer》
2 《ヴィーアシーノの砂漠の狩人/Viashino Sandstalker》
3 《呪われた巻物/Cursed Scroll》
4 《火炎破/Fireblast》
4 《火葬/Incinerate》
4 《ショック/Shock》
2 《音波の炸裂/Sonic Burst》
17 《山/Mountain》
4 《不毛の大地/Wasteland》
サイドボード
3 《モグの偏執狂/Mogg Maniac》
3 《ネビニラルの円盤/Nevinyrral’s Disk》
3 《発展の代価/Price of Progress》
3 《紅蓮破/Pyroblast》
3 《呪文ショック/Spellshock》
David Price
メインデッキ
4 《ボール・ライトニング/Ball Lightning》
4 《投火師/Fireslinger》
4 《鉄爪のオーク/Ironclaw Orcs》
4 《ジャッカルの仔/Jackal Pup》
4 《モグの狂信者/Mogg Fanatic》
4 《呪われた巻物/Cursed Scroll》
4 《火炎破/Fireblast》
2 《ボガーダンの鎚/Hammer of Bogardan》
4 《火葬/Incinerate》
4 《ショック/Shock》
1 《音波の炸裂/Sonic Burst》
17 《山/Mountain》
4 《不毛の大地/Wasteland》
サイドボード
4 《ボトルのノーム/Bottle Gnomes》
3 《ドワーフ鉱夫/Dwarven Miner》
1 《ドワーフの秘術師/Dwarven Thaumaturgist》
1 《炎の嵐/Firestorm》
4 《紅蓮破/Pyroblast》
1 《拷問室/Torture Chamber》
1 《破壊的脈動/Shattering Pulse》
参照元:http://www.starcitygames.com/php/news/print.php?Article=13967
DavidのデッキはPacificoよりも《呪われた巻物/Cursed Scroll》の枚数が多く、また彼のデッキには《ボガーダンの鎚/Hammer of Bogardan》と《投火師/Fireslinger》も入っている。彼のデッキでビートダウンと呼べるのは《ジャッカルの仔/Jackal Pup》と《ボール・ライトニング/Ball Lightning》くらいのものだ。それら以外のカードは、どちらかというとコントロール寄りであったり、汎用性に富んだものと言える。
Pacificoのデッキはそれよりもずっとダメージを与える機能に寄ったものだ。除去に貢献することのない攻撃に特化した軽いクリーチャーが大半を占めている。《ジャッカルの仔/Jackal Pup》と《ボール・ライトニング/Ball Lightning》に加えて、彼のデッキには《蛮行ゴブリン/Goblin Vandal》、《モグの下働き/Mogg Flunkies》、《スークアタの槍騎兵/Suq’Ata Lancer》、そして《ヴィーアシーノの砂漠の狩人/Viashino Sandstalker》が入っている。さらに言うと、Pacificoのデッキには《投火師/Fireslinger》と《ボガーダンの鎚/Hammer of Bogardan》が無く、《呪われた巻物/Cursed Scroll》も3枚しか入っていない。
先手をとれるのは間違いなくDavidのデッキだが、この対戦において彼のデッキはより長期戦に適したデッキであり、つまりはコントロール側である。ある試合で、Davidがプレイしたのはほとんど土地と巻物だけだった。彼はPacificoのクリーチャーを相打ちや火力で除去してから巻物でロックを固め、カードアドバンテージを多少得たところでゲームを終わらせてしまった。
もしDavidがPacificoに正面切ってダメージレースを挑んでいたら、勝てていたかどうかは分からない。2人のプレイヤーがひたすら互いのクリーチャーを相手プレイヤーへ突撃させた場合、より攻撃に特化したカードを持っているほうが勝つはずだ(とはいえDavidは「King of Red」の通称で呼ばれる男であり、スライデッキの戦い方も当然熟知しているはずではあるが)。
最後に、スーサイドブラック(註)とスライのマッチアップを考えてみよう。
(註) スーサイドブラック
異様に前のめりな黒単。低マナコストかつ高性能なかわりに自分のリソースをがりがり削ってしまうカードを大量にぶちこんだデッキ。自殺志願者のようなそのプレイからSuicide(=自殺)の名がつけられた。
よりダメージに特化しているデッキはどっちだ?
スーサイドブラックだ。
コストに比して高いパワーを持つクリーチャーを多く持つ。例えば《カーノファージ/Carnophage》や《肉占い/Sarcomancy》、たまに《肉裂き怪物/Flesh Reaver》も見かける。ときには《憎悪/Hatred》まで入っている。これは自分のライフさえも削ってくれるカードだ。
Carnophage / カーノファージ (黒)
クリーチャー - ゾンビ(Zombie)
あなたのアップキープの開始時に、あなたがライフを1点支払わない限り、カーノファージをタップする。
2/2
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Carnophage/
Sarcomancy / 肉占い (黒)
エンチャント
肉占いが戦場に出たとき、黒の2/2のゾンビ(Zombie)・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
あなたのアップキープの開始時に、ゾンビが1体も戦場に存在しない場合、肉占いはあなたに1点のダメージを与える。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Sarcomancy/
Flesh Reaver / 肉裂き怪物 (1)(黒)
クリーチャー - ホラー(Horror)
肉裂き怪物がクリーチャーか対戦相手にダメージを与えるたび、肉裂き怪物はあなたにその点数に等しい点数のダメージを与える。
4/4
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Flesh+Reaver/
Hatred / 憎悪 (3)(黒)(黒)
インスタント
憎悪を唱えるための追加コストとして、X点のライフを支払う。
クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+X/+0の修整を受ける。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Hatred/
より除去を持っているデッキはどっちだ?
スライだ。
仮にスーサイドブラック側が《呪われた巻物/Cursed Scroll》を使っていたとしても、スライ側は常にそれを上回るだろう。さらにスライにはウィニークリーチャーだけでなく火力がある。
スライデッキは非常に早い(平均して4ターンキル出来る)が、スーサイドブラックは(そのデッキ内容や儀式の引きにもよるが)2~3ターンキルが可能だ。
ここまで見ると、明らかにビートダウン側はスーサイドブラックであり、コントロール側はスライだ。しかしそれでもなお、スーサイドブラックはビートダウン側になることはできない。
クロックを刻むためのクリーチャーを並べることが出来ないからだ。特に《肉占い/Sarcomancy》と《肉裂き怪物/Flesh Reaver》を出せない。なぜならスライには大量の火力が用意されている。
またスーサイドブラックには《憎悪/Hatred》をプレイする機会は訪れないだろう。本体がそのまま《火葬/Incinerate》されてしまう恐れがあるからだ。
これらの点により、実際のところスーサイドブラックがビートダウンすることはあり得ず、コントロール側に回らざるを得ない。
このマッチアップを目撃したことのある人であれば(少なくともスライ側が事故っていないときのこのマッチアップを目撃したことがあれば)、スーサイドブラックがいかにコントロール寄りにプレイされるかをご存知のはずだ。
見切りを誤る = 敗北
サイドボード後は、スーサイドブラック側が有利だと言われている。
大量の「自分を傷つける」カードたちのかわりにクリーチャー除去とライフ回復を加えることで、より的確にコントロールデッキを演じることが可能となり、相性は随分と改善される(もしくは一方的となる)からだ。