【翻訳】マーフォークの物語/A Merfolk’s Tale【Daily MTG】
Mark Rosewater
2008年06月23日
元記事:http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtgcom/daily/mr337

「さあもうベッドに行く時間だよ、私の小さいアリエル」
「おじいちゃん、あの話聞かせて」
「おちびちゃん、もうあのお話は何千回もしたじゃないか!」
「1回だけ、あと1回だけ、ねえ、お願い、お願い、お願い!」
「よしよし、まずはベッドに入りなさい」

 さて……遠い遠い昔のことだ。遥か彼方に存在した、とあるゲームの世界で私たちマーフォークは平和に暮らしていた。何も難しいことはなかった。私たちには真珠で出来た三つ又の槍があった。

 また私たちには王がいた。彼はマーフォークではなかったが、私たちは彼に付き従った。マーフォークデッキは分かりやすくプレイしやすかった。私たちは決して強くはなかったが、それでもなお、私たちは愛されていた。(註1)

 そこに1つ目の試練が訪れた。神々による「4枚の戒め」が発せられたのだ。今となっては当たり前すぎて大したことに思えないかもしれないが、当時はそれはそれは大変なことだった。

 分かるだろうが、私たちには頼るべき他の種族がいなかった。そう、私たちはあまりに素朴で無力だった。私たちの地位を守るべく、多相の戦士の力を借りようとした人たちもいたが現実は非情だ。私たちは脇へと追いやられた。(註2)

 しかしその暗黒の時代に1人目の救い主が現れた。彼は殺し屋だった。そして暗殺者でもあった。しかし私たちは彼を必要とした。自分たちを守るため、私たちに選択肢はなかった。

 彼は力ある艀(はしけ)を携えてやってきた。その艀(はしけ)は軍用に作られたものだった。私たちは力を合わせ、再び戦うために立ち上がった。しかしそれでも私たちの勢力は非常に小さいものだった。(註3)

 この暗黒時代に光がさした。皮肉なことに、私たちの隆盛はある帝国の衰亡によってようやくもたらされたのだ。そう、やってきたのはヴォーデイリアの民だった!(註4)

 そのとおりだよ、かわいいアリエル。救済はヴォーデイリアの沿岸からやってきたのだ。魔道士も、騎士も、兵士も、戦争機械も、私たちの軍勢に加わってくれたのだ。

 そしてその中でももっとも甘美な存在は、絹のように滑らかな歌声で海そのもののような旋律を歌い上げた。彼女がいるだけで、誰もが振り向かずにはいられなかった。(註5)

 しかし、運命はときに力をもたらし、またときに奪い去る。次の年はまた厳しい年となった。新たに加わった仲間はたった1人。その肩書きが探索者だったというのは皮肉な話だ。(註6)

 マーフォークの民が生き延びるためには新天地を求めて旅立たねばならないことに気付いたのはそのころだった。そこで私たちはジャムーラの沿岸を目指した。

 ジャムーラで私たちは新たな仲間と出会うことはできたが、彼らはいささか弱かった。私たちマーフォークを戦える集団にまとめあげてくれるために必要な何かを残念ながら彼らは持ち合わせていなかった。(註7)

 仕方なく私たちは再び旅立った。次にたどり着いたのが暗黒の地ラース。

 ラースのルートウォーターだった。

 そう、ルートウォーターだ! そこにいた私たちの遠い親戚たちは力強い民だった。マーフォークにも力の兆しが見えた。他の種族たちも私たちに敬意を示すようになった。それは長く絶えていたものだった。(註8)

 しかしこれに続いたのは1年にも続く干ばつだった。お前も知っているだろう。私たちは干ばつを好まぬ。このあいだにもいくらかの新たな参入者はいたが、何かを変えてくれるだけの力を持つものはいなかった。(註9)

 選択肢はなかった。私たちは仕方なくメルカディアの地へと向かった。他の部族はそこで苦しんだが、幸運の女神は私たちに微笑んでくれた。私たちは繁栄のときを迎えた。(註10)

 そこに侵略者たちが襲ってきた。他の部族はまたしてもみな苦難のときを迎えたが、私たちはまた力を得た。奇妙な同盟が結ばれただけでなくさらには奇妙な子孫たちも生まれたが、かつてないほどに私たちマーフォークが輝いていた時代だった。世界の覇権にすら手が届きそうだった。(註11)

 しかし幾度となく繰り返されてきたことだが、もっとも暗き時を直後に控えたときこそ太陽はもっとも強い輝きを放つ……

「それじゃ意味が分からないわ、おじいちゃん」
「おちびちゃん、物語の最中に口を挟んではいけないよ」
「だけどおじいちゃん、太陽が一番明るいのはお昼に空のてっぺんにあるときよ。空が暗いのは真夜中じゃない。お昼よりもずっとずっとあとよ。だから……」
「分かった、分かった。もっとも明るき時のあと、しばらく経ってもっとも暗き時が訪れる」
「もちろんよ! 一番明るいって言ったら、一番暗いがすぐあとに来るのはおかしいわ。だってどんどん暗くなっていくはずだもの!」
「おちびちゃん、話は聞きたくないならここで終えてもいいんだよ?」
「えー、やだ、やだ、聞きたい! いたずら好きの神様の出番もまだなのに!」
「安心おし。すぐに出番だよ」
「良かった!」

 さて、どこまで話したかな。そうだった、そうだった。私たちは黄金期を迎えていた。何もかもが完璧に思われた。このあとに訪れる悲劇など誰も思いもよらなかった。

「……そしてそれはいたずら好きの神の登場とともに始まった」
「やったあ!」

 いたずら好きの神は常に私たちに優しかった。確かに彼のいたずらはときに私たちをも巻き込んだが(お前がいつか大きくなったら、マーフォークの乙女とエルフが大いなる魔術によって結ばれた話もしてあげよう)、その心は常に私たちを気にかけてくれていた。

 しかしそれでもなお彼はいたずら好きの神であり、いたずら好きの神がするであろうことにはなんでも手を出した。その手の一振りで彼は私たちマーフォーク、さらにエルフたちやゴブリンたちもすべての人々の記憶から消し去ってしまった。

 この残酷な冗談の極め付けとして彼は私たち一族の替わりをイカにつとめさせたのだ。

 イカだ。

 それは私たちマーフォークにとって劣った存在だった。私たちのリーダー、偉大なるラクァタスは戦った。私たちの声を代弁しようと戦ってくれたが、神々は聞く耳を持たなかった。

 彼らはラクァタスを悪役に配した。目論見通り、誰も彼の言葉を聞かなくなった。彼が去り、神々はまるで私たちが初めから存在しなかったかのようによそおった。(註12)

「なんでいたずら好きの神様はそんなことしたの?」
「なぜならそれが彼の役割だからだ。その姿が現れしところに災厄をもたらすのだ。多くの人々は彼こそがこの多次元宇宙に終末をもたらすと信じているほどだ」
「いい神様だと思ってたのになあ」
「そんな容易な言葉に括れる神はいないのだよ」
「だけど私聞いたことあるわ。彼は世界を救ったことがあるって。それも何度も!」
「彼は世界を救い、また彼はそれを滅ぼす。彼の意図はまるで週ごとに変わるようだとすら言われる。いたずら好きの神を理解しようとしないことだ。
 彼の考えはたくさんの呪文書にまとめられている。とてもたくさんのだ。しかしその偏った心から生み出されるものを適切にまとめられるものは数えるほどしかいない」

 私たちは攻撃にさらされていた。しかし外敵によってではなく、まさに神々そのものから攻撃を受けていた。新たにマーフォークが生まれないことを確かめた彼らは、ついにはすでに生まれ落ちていた仲間たちをも抹消しはじめた。

 かつてマーフォークであった者たちは、ある者はウツボに姿を変えられ、またある者は魔道士に姿を変えられた。私たちの存在そのものが攻撃にさらされたのだ。(註13)

「私たちはそれでどうしたの!?」
「私たちに出来ることはあまりに少なかった」

 私たちは1人また1人と姿を消していった。全ての希望が消えようとしたとき、もっとも予想だにしないところから私たちの味方が現れたのだ。そう、それはいたずら好きの神、その人だった。

「えー!? なんでっ?」
「それには様々な話がある。
 私が好きなのは、人々が祈りを捧げたという話だ。彼らは祈りをたばね、いたずら好きの神に彼らがいかに悲しみに包まれているかを伝えた。いたずら好きの神はそれに耳を傾けた。
 そう、彼は全ての祈りに答える時間はないが、その全てを聞いてくださっているのだ。そして神は滅ぼすべきでない種を滅ぼしてしまったことに気づいたのだ。彼は祈りを聞き、物事をあるべき姿に戻すために立ち上がられた」
「それで私たちは帰ってこれたのね!」
「そう簡単ではなかったのだよ」

 いたずら好きの神にも出来ないことがあった。

 神々の住まう神殿には様々な力が働いていた。一度動き始めた何かはその力を増し、止めることは非常に難しくなるのだ。さらに悪いことに、このときの力は急な傾斜にあるようなものだった。

 私たちに一撃が加えられるごとに、よみがえることができる可能性はさらに低くなっていった。ただ1つ、幸運だったのは、いたずら好きの神が非常な頑固者だったということだ。彼は私たちを見捨てるつもりはなかった。

「だけど彼は山だって簡単に動かしてしまえるほどに強い神様なんでしょう?」
「うーん、そのとき彼が精力をかけて守ろうとしてたのは私たちだけではなかったのだよ。小さなリスたちやずる賢いビーブルもそうだ。
 それだけでなく彼の全力をもってしても天上の神々は心を動かされはしなかったのだ。
 しかしことわざにあるように「頑固な人は足元の石ころではなく先にある明るい未来しか目に入らない」のだ。まあ、この場合は人ではなく「頑固な神」というべきかもしれないがね」

 新しい世界を訪れるたび、いたずら好きの神はマーフォークのための居場所を探した。

 金属で出来た世界? ロボットのようなえらをもたせることで登場させることはできないだろうか? 街の世界? 下水道に住まうクリーチャーという形で登場させてもよいのではないだろうか?(註14)

 しかし、いずれの場合も神殿に住まう神々の手によって彼の目論見は叩き伏せられた。

 そこでいたずら好きの神は、彼らしい手段で物事に望むことにしたのだ。いたずら好きな神にふさわしい形で、巧妙に抜け目なく、彼は計画を進めた。

 またいたずら好きの神は、私たちマーフォークに愛着を感じているのが自分1人ではないことにも気付き、力を得た。

 次に彼は下準備を始めた。過去に在った世界を今再び掘り起こした。新たな世界に私たちの居場所を見いだせないのなら、すでに在った世界を今一度作り直すしかないと考えたのだ。(註15)

 そこが私たちの帰還する足掛かりとなった。

 また彼は私たちの境遇に同情的だった神々の気持ちを煽った。しかしそれだけでなく、彼の計画はさらに大きな規模で進行していた。

 知っての通り、神々の中でも一際強い力を誇るのは物語の神だ。彼の持つ本にこそ、全ての種族の伝承が語られている。この神の許しなしには、私たちの復活はあり得ないのだ。

 いたずら好きの神はこのことを深く承知していた。そこで彼は環境に細工を施した。私たちが帰還する理由を作るためにだ。

 古き世界のあとに訪れた新たな世界はクリーチャーに焦点を当てたものだった。まさに失われた民が再登場するべく待ち望まれた世界だった。(註16)

 しかしなお物語の神は厳しい態度を崩さなかった。

 それに対していたずら好きの神は得意の踊りを披露し、その口元を少し緩ませることに成功した。少しずつ、少しずつではあったが、頑なだった物語の神の心を解きほぐした。

 物語の神もその心の奥底では人々の祈りの深さを理解していた。そして何年も絶え間なく続いたいたずら好きの神の嘆願に、ついに物語の神も根を上げた。

 そうだな、と彼は言った。戻ってもよかろう、と。

「そんな言葉で、ついに私たちは帰ってきたのだ」
「お話はそれでおしまい?」
「この物語にはおしまいなんてないのだよ、おちびちゃん。手にした勝利を胸に秘め、次の戦いに備え続けなければならないんだ。私たちが忍耐強くあろうとする限り、そしてまた私たちのために祈ってくれる人々がいる限りは、マーフォークが真の意味で消え去ってしまうようなことはないのだからね」

「さて、もう寝る時間だよ、おちびちゃん。ゆっくり頭を休めて、私たちマーフォークの民の夢を見るがいいよ。たなびく青い髪、白い髪、黒い髪の夢をね。ああ、もしかしたら緑色かもしれないね」
「おやすみなさい、おじいちゃん」
「おやすみ、私のアリエル」

<文章終わり>

(註1) : 私たちには真珠で出来た三つ又の槍があった。また私たちには王がいた。
 アルファ版の頃の話。当時、実際にマーフォークのクリーチャータイプを持つものは《真珠三叉矛の人魚/Merfolk of the Pearl Trident》のみ。それを強化してくれる《アトランティスの王/Lord of Atlantis》のクリーチャータイプは当初ロード(Lord)のみだった。

(註2) : 神々による「4枚の戒め」が発せられたのだ。
 公式ルールの「デッキに同じカードは4枚まで」の制限のこと。それまでは同じカードを何枚入れようと自由だったが、これによって《アトランティスの王/Lord of Atlantis》が強化可能なカードがデッキに最高で4枚までしか入れられなくなってしまった。
 それでもあえて5枚目以降のマーフォークを入れようとすると、当時は多相の戦士(Shapeshifter)である《クローン/Clone》を入れるしか選択肢がなかった。

(註3) : その暗黒の時代に1人目の救い主が現れた。彼は殺し屋だった。
 暗黒の時代というのはエキスパンション「ダーク/Dark」のこと。これには新たなマーフォークとして《マーフォークの暗殺者/Merfolk Assassin》が収録されていた。タップのみで島渡りをもつクリーチャーを破壊できる能力持ち。また同じエキスパンションには、対象のクリーチャーに島渡りを付与する《軍用船/War Barge》も収録されており、2枚でコンボとなった。

(註4) : 私たちの隆盛はある帝国の衰亡によってようやくもたらされたのだ。
 ある帝国の滅亡というのはエキスパンション「フォールンエンパイア/Fallen Empire」のこと。ヴォーデイリア/Vodaliaと呼ばれる地にマーフォークが住んでいるという背景設定があり、多くのマーフォークが収録されていた。

(註5) : 魔道士も、騎士も、兵士も、戦争機械も、私たちの軍勢に加わってくれたのだ。
 それぞれフォールンエンパイアに収録されていたマーフォークたち。魔道士は《Vodalian Mage》、騎士は《Vodalian Knights》、兵士は《ヴォーデイリアの兵士/Vodalian Soldiers》、戦争機械は《Vodalian War Machine》、歌声うんぬんは《海の歌姫/Seasinger》で、対戦相手が《島/Island》をコントロールしていればそのクリーチャー1体のコントロールを奪える能力を持っている。
 なお《Vodalian War Machine》のクリーチャータイプはマーフォークではなく壁(Wall)だが、マーフォークを1体タップすることで「このターン攻撃できるようになる」か「+2/+1される」を選ぶことができる能力を持っているため、ここでは仲間に加えられている。

(註6) : 次の年はまた厳しい年となった。新たに加わった仲間はたった1人。
 厳しい年というのは氷河期を舞台にした「アイスエイジ/Ice Age」ブロックのこと。探索者というのは《Benthic Explorers》のことで、これはこのブロック唯一のマーフォーク。能力は半端なく弱いが、当時のマーフォークにしては珍しく4マナで2/4というガタイの良さを誇っていた。まあ、使われなかったけど。

(註7) : ジャムーラで新たな仲間と出会うことはできた
 ジャムーラというのは亜熱帯を舞台にした「ミラージュ/Mirage」ブロックのこと。《マーフォーク襲撃部隊/Merfolk Raiders》や《海の占術師/Sea Scryer》など数多くのマーフォークが収録されてはいたが、軒並みカードパワーが低かった。

(註8) : 次にたどり着いたのが暗黒の地ラース。
 暗黒の地ラースを舞台にした「テンペスト/Tempest」ブロックのこと。1マナ1/1で青マナで飛行を得る《マンタ・ライダーズ/Manta Riders》や《放蕩魔術師/Prodigal Sorcerer》の同型再販である《ルートウォーターのハンター/Rootwater Hunter》など、そこそこ使えるマーフォークがいた。
 またこのブロックの小型エキスパンション「エクソダス/Exodus」に収録されていたのが、ルーター能力という俗称の生みの親、かの有名な《マーフォークの物あさり/Merfolk Looter》だった。

(註9) : これに続いたのは1年にも続く干ばつだった。
 干ばつというのは「ウルザ/Urza」ブロックのこと。まったくマーフォークが収録されなかったわけでもなく、2マナ 2/1の《珊瑚マーフォーク/Coral Merfolk》など、それなりの能力を持ったものもいた。まあ、環境を変えたかと言われると返す言葉もない。

(註10) : 私たちは仕方なくメルカディアの地へと向かった。
 メルカディアの地というのは「マスクス/Masques」ブロックのこと。最初の大型セットである「メルカディアン・マスクス/Mercadian Masques」にはあまり強いマーフォークはいなかったが、続く「ネメシス/Nemesis」には《衝撃のマーフォーク/Jolting Merfolk》や《ルートウォーターの泥棒/Rootwater Thief》、また自身はマーフォークではないがマーフォークを直接戦場に出せる《海のハンター/Seahunter》がいた。

(註11) : そこに侵略者たちが襲ってきた。(中略) 世界の覇権にすら手が届きそうだった。
 侵略者たちというのは「インベイジョン」ブロックのこと。
 多色がテーマだったため、マルチカラーで《ガリーナの騎士/Galina’s Knight》(マーフォーク・騎士)や《ヴォーデイリアのゾンビ/Vodalian Zombie》(マーフォーク・ゾンビ)など、普段マーフォークが持たない肩書きつきのものが生まれた。これが「奇妙な同盟」のくだり。
 さらに「奇妙な子孫たち」とあるのは対抗色がテーマだったアポカリプスに収録された《ガイアの空の民/Gaea’s Skyfolk》(エルフ・マーフォーク)と《カミソリひれのハンター/Razorfin Hunter》(マーフォーク・ゴブリン)たちのこと。
 世界の覇権うんぬんは、2001年度の世界選手権で《対立/Opposition》とマーフォークを組み合わせたコントロールデッキが準優勝まで食い込んだことを指しているものと思われる。

(註12) : すべての人々の記憶から消し去って(中略)替わりをイカにつとめさせたのだ。
 イカというのは「オデッセイ/Odyssey」ブロックで新たに登場したセファリッド(Cephalid)のこと。見た目はどちらかというとタコにくちばしを付けてローブを着せたような生き物っぽい。
 そしてこの「オデッセイ/Odyssey」ブロックの最後のエキスパンションである「トーメント/Torment」に《ラクァタス大使/Ambassador Laquatus》が収録されたのを最後に、マーフォークはマジックのクリーチャータイプから取り除かれた。
 その理由は2003年07月21日のMark Rosewaterのコラムによると「魔術師同士が呪文で戦うというゲームのフレイバーを見直すため」だそうだ。「陸上で魔法を撃ちあっているはずなのに水棲生物を呼びだすのはおかしい」だそうだ。以下がそれに関するコラムへのリンク。いつか訳すかも。
 参照:http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtgcom/daily/mr81

(註13) : ある者はウツボに姿を変えられ、またある者は魔道士に姿を変えられた。
 マーフォークがクリーチャータイプから取り除かれたあとの基本セットである第8版ではかつてクリーチャータイプがマーフォークであったカードの同型再販がクリーチャータイプを変更して収録された。
 《真珠三叉矛の人魚/Merfolk of the Pearl Trident》のかわりに《脱走魔術師/Fugitive Wizard》が、また第7版に収録されていた《珊瑚マーフォーク/Coral Merfolk》のかわりに《珊瑚ウツボ/Coral Eel》がポータルからやってきた。

(註14) : 金属で出来た世界? (中略) 街の世界?
 それぞれ、金属で出来た世界は「ミラディン/Mirrodin」ブロック、街の世界はギルドだらけの「ラヴニカ/Ravnica」ブロックのことを指しているものと思われる。

(註15) : すでに在った世界を今一度作り直すしかないと考えたのだ。
 過去からのカードがタイムシフトカードとして収録された時のらせんブロックのこと。時のらせんでタイムシフトカードとして再録されたマーフォークには《マーフォークの暗殺者/Merfolk Assassin》や《アトランティスの王/Lord of Atlantis》がいる。また次元の混乱でタイムシフトカードとして収録された中にも《マーフォークの秘術師/Merfolk Thaumaturgist》というマーフォークがいる。

(註16) : 新たな世界はクリーチャーに焦点を当てたものだった。
 部族に焦点を当てたローウィンブロックとシャドウムーアブロックのこと。フェアリーと一緒にマーフォークが青が主要クリーチャータイプとして収録されている。なおこの記事が書かれたのは2008年06月で、シャドウムーアが2008年05月発売。

補足 : いたずら好きの神
 説明不要とは思われるけど、最後に蛇足ながらつけくわえておくと、いたずら好きの神(原文:the trickster god)というのは、このコラムを書いているMark Rosewaterその人。

 最後の「いたずら好きの神は得意の踊りを披露し、その口元を少し緩ませることに成功した」の原文は「So the trickster god did his little dance and made his little smile」とあるんだけど、実際に何をしたのかは不明。気になる。

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