今週のCard of the Day (2013年03月 第5週) とか
2013年3月31日 週のまとめ余談1:今週のCard of the Dayのテーマ
白と黒のオルゾフ週間。個人的には白黒のマルチカラーカードといえば今も昔も《宿命の戦い/Righteous War》1択なんだけど、そんなことはどうでもいい。
余談2:月曜日 《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council》
個人的な語呂の悪い名前トップ10に間違いなくランクインするオブゼダート。そんなことより重要なのは、オブゼダートって個人名じゃなくて、集団の名前なのね。知らなかった。名前が「幽霊議員」だから人の名前だと思ったんだよな。これが「幽霊議会」だったら勘違いしなかったんだけど。
ところですでに散々ネタにされてそうではあるけど、「幽霊議員」って滅多に議会に顔を出さない人みたいだよね。議席数足りないから名前だけ置かせてよ、みたいな。
余談3:火曜日 《オルゾフの司教/Orzhov Pontiff》
やってることはほとんど盲信的な迫害そのものだからかわいくもなんともないんだけど、英語名の「ポンチフ」がかわいい。響きがいい。ちなみにデッキ構築側カードゲームの雄である「ドミニオン」にも《司教》というカードがあり、そっちの英語名は《Bishop》。
公式の訳はさておき、個人的な訳の話。
英文の「clearly」の訳をどうするか。拙訳では上記のとおり「見れば分かるとおり」を《オルゾフの司教/Orzhov Pontiff》にかけてある。ただ、《オルゾフの司教/Orzhov Pontiff》にかかるなら、clearlyの直後にコンマがつくのは不自然な気もする。
コンマで「as the pontiff shows」をくくっているということは、この部分を飛ばして、その先にある「奉仕活動中に死ぬと新たな力を得ること」にかかってるのかも、と思わないでもない。
でもそっちだと訳しづらいからやめた(おい)。
余談4:水曜日 《不眠の晒し台/Pillory of the Sleepless》
効果をあらためて読んだとき「あれ? このカードの感想、つい最近書いたばかりだぞ? 再登場かな」と気になったので、過去の記事を確認……ああ、なるほど。03月12日に取り上げられたギルド門侵犯のカード、《千叩き/One Thousand Lashes》がほぼ同じ効果なんだ。
こうやって2つ並べるとなんか間違い探しみたいなカードテキストだなあ。ライフを失う効果も片方はエンチャント自体が持っており、もう片方はクリーチャーに持たせている。
ついでに訳の話。
末尾に「!」をつけようかどうか迷った、という話ではなくて、迷ったのは「pelted by an assortment of unpleasant things」の箇所。限界まで直訳すると「嬉しくないことの詰め合わせを投げつけられることになる」。
色々な組み合わせを考えて(嬉しくないこと/不快なこと/嫌がらせ、詰め合わせ/あれやこれや/様々な、投げつけられる/浴びせられる/受ける)、結果、まあ上記のとおりに。
余談5:木曜日 《死盟の天使/Deathpact Angel》
生まれたときから「その命は天使を呼ぶためだけに消費されること」が定められているという「死の盟約」を背負ったクレリック・トークンの存在。そんな強い物語性を感じさせるカードテキストとフレイバー、さらにそれを補完するコラム。フレイバー好きには非常に高得点。実戦的かどうかは知らん。
そうそう。公式コラムの「邪教の儀式に潜入する」という雰囲気がとても良かった(英文版も日本語版も)。ダークファンタジー的なノリ。ところでこのコラムのラストで天使が語っている「テイサが完走しなければならない迷路」というのが今回の新セット「ドラゴンの迷路」なんだろうか。ちょっと気になった。
余談6:金曜日 《闇の天使セレニア/Selenia, Dark Angel》
このカードを出すと必ずフレイバーテキストの話題になってしまう、という日本特有の現象を英語圏の人に分かってもらうのはなかなか難しいだろうな。精神ドリッパー。
余談7:トークン
木曜日に取り上げられた《死盟の天使/Deathpact Angel》は「(3)(白)(黒)(黒),(T),このクリーチャーを生け贄に捧げる:あなたの墓地にある《死盟の天使/Deathpact Angel》という名前のカードを1枚戦場に戻す。」を持つトークンを生み出す。さらに言うなら、このトークンには「カード名(トークン名)、パワーとタフネス」も書かれている(ことになっている)。
イニストラードの頃、「なんで両面カードを作ったかというと、一時的に他の存在に変わっているのをトークンで表すと、見えない長々としたテキストをトークン上に想像しないといけなくて、それはエレガントなデザインではないから」ということがコラムに書かれてた(下記コラムの《Screeching Bat / 金切り声のコウモリ》の項目)。
(公式コラム) Rotations, Reflections, and Translations
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/ld/171
(拙訳) 交代、反転、そして翻訳
http://regiant.diarynote.jp/201112031619268384/
両面カードは、表現的なメリットとルール的なデメリットの秤が、あまりにもデメリット側(ルールとゲーム進行が煩雑化する)に傾き過ぎているイメージがあり、個人的にあまり好きじゃない(見た目が面白いというメリットはかなり大きいとは思うけれど)。
そこまでしないと表現できないものなのかどうか、という話で、そしてあらためて今回の《死盟の天使/Deathpact Angel》によって「長いテキストを背負ったトークン」の登場が許容されている。
まあ、この《死盟の天使/Deathpact Angel》は別に変身しているわけじゃないから比較するのはおかしいかもしれないし、既存の何にも縛られずに新たな可能性を模索し続けるマジックというカードゲームの姿勢自体は尊敬すべきことではある。
白と黒のオルゾフ週間。個人的には白黒のマルチカラーカードといえば今も昔も《宿命の戦い/Righteous War》1択なんだけど、そんなことはどうでもいい。
余談2:月曜日 《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council》
個人的な語呂の悪い名前トップ10に間違いなくランクインするオブゼダート。そんなことより重要なのは、オブゼダートって個人名じゃなくて、集団の名前なのね。知らなかった。名前が「幽霊議員」だから人の名前だと思ったんだよな。これが「幽霊議会」だったら勘違いしなかったんだけど。
ところですでに散々ネタにされてそうではあるけど、「幽霊議員」って滅多に議会に顔を出さない人みたいだよね。議席数足りないから名前だけ置かせてよ、みたいな。
余談3:火曜日 《オルゾフの司教/Orzhov Pontiff》
やってることはほとんど盲信的な迫害そのものだからかわいくもなんともないんだけど、英語名の「ポンチフ」がかわいい。響きがいい。ちなみにデッキ構築側カードゲームの雄である「ドミニオン」にも《司教》というカードがあり、そっちの英語名は《Bishop》。
公式の訳はさておき、個人的な訳の話。
原文:
And, clearly, as the pontiff shows, dying while in the service of Orzhov can actually give you some additional powers.
拙訳:
また《オルゾフの司教/Orzhov Pontiff》を見れば分かるとおり、オルゾフへの奉仕をしている最中に死ぬことでむしろ新たな力を得ることさえある。
英文の「clearly」の訳をどうするか。拙訳では上記のとおり「見れば分かるとおり」を《オルゾフの司教/Orzhov Pontiff》にかけてある。ただ、《オルゾフの司教/Orzhov Pontiff》にかかるなら、clearlyの直後にコンマがつくのは不自然な気もする。
コンマで「as the pontiff shows」をくくっているということは、この部分を飛ばして、その先にある「奉仕活動中に死ぬと新たな力を得ること」にかかってるのかも、と思わないでもない。
でもそっちだと訳しづらいからやめた(おい)。
余談4:水曜日 《不眠の晒し台/Pillory of the Sleepless》
効果をあらためて読んだとき「あれ? このカードの感想、つい最近書いたばかりだぞ? 再登場かな」と気になったので、過去の記事を確認……ああ、なるほど。03月12日に取り上げられたギルド門侵犯のカード、《千叩き/One Thousand Lashes》がほぼ同じ効果なんだ。
《千叩き/One Thousand Lashes》のテキスト
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは攻撃したりブロックしたりできず、それの起動型能力は起動できない。
エンチャントされているクリーチャーのコントローラーのアップキープの開始時に、そのプレイヤーは1点のライフを失う。
《不眠の晒し台/Pillory of the Sleepless》
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは、攻撃したりブロックしたりできない。
エンチャントされているクリーチャーは「あなたのアップキープの開始時に、あなたは1点のライフを失う。」を持つ。
こうやって2つ並べるとなんか間違い探しみたいなカードテキストだなあ。ライフを失う効果も片方はエンチャント自体が持っており、もう片方はクリーチャーに持たせている。
ついでに訳の話。
原文:
Pilloried prisoners were often pelted by an assortment of unpleasant things. It’s no wonder a person held within couldn’t sleep!
拙訳:
多くの場合、晒し台に拘束された者は様々な嫌がらせを受けることになるので、眠れないのも不思議はない。
末尾に「!」をつけようかどうか迷った、という話ではなくて、迷ったのは「pelted by an assortment of unpleasant things」の箇所。限界まで直訳すると「嬉しくないことの詰め合わせを投げつけられることになる」。
色々な組み合わせを考えて(嬉しくないこと/不快なこと/嫌がらせ、詰め合わせ/あれやこれや/様々な、投げつけられる/浴びせられる/受ける)、結果、まあ上記のとおりに。
余談5:木曜日 《死盟の天使/Deathpact Angel》
生まれたときから「その命は天使を呼ぶためだけに消費されること」が定められているという「死の盟約」を背負ったクレリック・トークンの存在。そんな強い物語性を感じさせるカードテキストとフレイバー、さらにそれを補完するコラム。フレイバー好きには非常に高得点。実戦的かどうかは知らん。
そうそう。公式コラムの「邪教の儀式に潜入する」という雰囲気がとても良かった(英文版も日本語版も)。ダークファンタジー的なノリ。ところでこのコラムのラストで天使が語っている「テイサが完走しなければならない迷路」というのが今回の新セット「ドラゴンの迷路」なんだろうか。ちょっと気になった。
余談6:金曜日 《闇の天使セレニア/Selenia, Dark Angel》
このカードを出すと必ずフレイバーテキストの話題になってしまう、という日本特有の現象を英語圏の人に分かってもらうのはなかなか難しいだろうな。精神ドリッパー。
余談7:トークン
木曜日に取り上げられた《死盟の天使/Deathpact Angel》は「(3)(白)(黒)(黒),(T),このクリーチャーを生け贄に捧げる:あなたの墓地にある《死盟の天使/Deathpact Angel》という名前のカードを1枚戦場に戻す。」を持つトークンを生み出す。さらに言うなら、このトークンには「カード名(トークン名)、パワーとタフネス」も書かれている(ことになっている)。
イニストラードの頃、「なんで両面カードを作ったかというと、一時的に他の存在に変わっているのをトークンで表すと、見えない長々としたテキストをトークン上に想像しないといけなくて、それはエレガントなデザインではないから」ということがコラムに書かれてた(下記コラムの《Screeching Bat / 金切り声のコウモリ》の項目)。
(公式コラム) Rotations, Reflections, and Translations
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/ld/171
(拙訳) 交代、反転、そして翻訳
http://regiant.diarynote.jp/201112031619268384/
両面カードは、表現的なメリットとルール的なデメリットの秤が、あまりにもデメリット側(ルールとゲーム進行が煩雑化する)に傾き過ぎているイメージがあり、個人的にあまり好きじゃない(見た目が面白いというメリットはかなり大きいとは思うけれど)。
そこまでしないと表現できないものなのかどうか、という話で、そしてあらためて今回の《死盟の天使/Deathpact Angel》によって「長いテキストを背負ったトークン」の登場が許容されている。
まあ、この《死盟の天使/Deathpact Angel》は別に変身しているわけじゃないから比較するのはおかしいかもしれないし、既存の何にも縛られずに新たな可能性を模索し続けるマジックというカードゲームの姿勢自体は尊敬すべきことではある。