あけましておめでとうございます
2011年1月1日 日常 コメント (2)昨年は皆様の記事に楽しませてもらうだけの1年でした。
2011年もDiarynoteの皆様の翻訳ネタに楽しませてもらうつもり満々です。
宜しくお願い致します。
一応、また陰で細々と Card of the Day の訳とそれに関連した小ネタの紹介を継続することが出来れば、とは思っています。
2011年もDiarynoteの皆様の翻訳ネタに楽しませてもらうつもり満々です。
宜しくお願い致します。
一応、また陰で細々と Card of the Day の訳とそれに関連した小ネタの紹介を継続することが出来れば、とは思っています。
再誕のパターン/Pattern of Rebirth - ウルザズ・デスティニー レア
《ファイレクシアの食屍鬼/Phyrexian Ghoul》と《アカデミーの学長/Academy Rector》と《再誕のパターン/Pattern of Rebirth》と《はじける子嚢/Saproling Burst》を組み合わせたちょっと複雑なコンボが存在するが、ここで説明するには余白が足りない。
詳細は2002年のBen Bleiweissの記事(註1)に記されている。
(註1) Ben Bleiweissの記事
リンク先は以下のURL。記事の題名は「Nature and Nurture」で、内容は緑が特に強かったエキスパンションのランキング(註2)が1位~5位まで紹介されている。今回の《再誕のパターン/Pattern of Rebirth》に関するコンボ(註3)は第5位のウルザズ・デスティニーに関する段落に載っている。
http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtgcom/daily/bb43
(註2) ランキング
ちなみにランキングは以下の通り。記事にも明記されているけど、あくまでBen Bleiweissの主観に基づいたもの(かつ2002年時点のもの)。英語が読めなくても、リンク先の記事に紹介されている各エキスパンションごとの主要な緑のカードを見るだけで楽しいはず。
第1位 オデッセイ
第2位 テンペスト
第3位 ウルザズ・サーガ
第4位 ビジョンズ
第5位 ウルザズ・デスティニー
(註3) コンボ
コンボ内容としては以下の通り。
1ターン目
《極楽鳥/Birds of Paradise》を召喚。
2ターン目
《ファイレクシアの食屍鬼/Phyrexian Ghoul》を召喚。
3ターン目
《アカデミーの学長/Academy Rector》を召喚し、グールで生贄に捧げ《再誕のパターン/Pattern of Rebirth》を極楽鳥につける。極楽鳥をグールで生贄に捧げて、学長をもう1人場に出す。2人目の学長をグールで生贄に捧げ《はじける子嚢/Saproling Burst》を場に出し、トークンを全てグールで食べると、グールが20/20になる。
<カードデータ>
Pattern of Rebirth / 再誕のパターン (3)(緑)
エンチャント - オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーが戦場から墓地に置かれたとき、そのクリーチャーのコントローラーは、自分のライブラリーからクリーチャー・カードを1枚探し、そのカードを戦場に出してもよい。そのプレイヤーがそうした場合、そのプレイヤーは自分のライブラリーを切り直す。
カードデータ 引用元:
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Pattern+of+Rebirth/
元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0111
開闢の巻物/Scroll of Origins(註1) - 神河救済 レア
正式な決まり事ではなくあくまでおおざっぱな経験則上のルールではあるが、マジックのカードデザインでは、バランスのとれた土地はそのままバランスのとれた2マナのアーティファクトにすることができる、と言われている。例えば《シャドーブラッドの尾根/Shadowblood Ridge》と《ラクドスの印鑑/Rakdos Signet》は両方ともバランスのとれたカードだ。
《開闢の巻物/Scroll of Origins》は《Library of Alexandria》を元にしている。ただし1マナを生み出す能力は削られ、また能力の起動にコストを追加されている。《Library of Alexandria》をそのまま2マナのアーティファクトにしたら強すぎる、という事実はとりもなおさず《Library of Alexandria》がバランスのとれていないカードであることを示している……いや、とっくのとうに分かっていたことではあるが。
(註1) 開闢の巻物/Scroll of Origins
読み方は「かいびゃくのまきもの」。
<カードデータ>
Scroll of Origins / 開闢の巻物 (2)
アーティファクト
(2),(T):あなたの手札にカードが7枚以上ある場合、カードを1枚引く。
カードデータ 引用元:
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Scroll+of+Origins/
元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0111
First Come, First Served - アンヒンジド アンコモン
聞かれる前に答えておくと、トークンにはコレクター番号が存在しない。そうアンヒンジドFAQ(註1)に書かれている。ただこれはパックにトークンカードが封入される前の回答であり、昨今のトークンカードたちにはちゃんとコレクター番号が振られている。いや、実のところアンヒンジドのパック自体にコレクター番号の振られたトークンカードが封入されてはいたんだが、当時はまだマイナーな存在だったんだ。
(註1) アンヒンジドFAQ
文中のリンク先は以下のURL。
http://www.wizards.com/magic/tcg/article.aspx?x=magic/faq/unhinged
日本語訳版へのリンクも張っておく。ナモナモ。
http://mjmj.info/data/obsolete/faq_unh_j.html
<カードデータ>
First Come, First Served (1)(白)
エンチャント
攻撃しているクリーチャーかブロックしているクリーチャーのうち、最もコレクター番号が低いものは先制攻撃を持つ。複数のクリーチャーが同じ番号で最も番号が低い場合、それらはすべて先制攻撃を持つ。
カードデータ 引用元:
http://whisper.wisdom-guild.net/card/First+Come%2C+First+Served/
元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0111
起源の波/Genesis Wave - ミラディンの傷跡 レア
《起源の波/Genesis Wave》はデビット・ウィリアムスが2010年度の世界選手権で用いたデッキのキーカードだった。そのデッキのカードリストと彼によるデッキのビデオ解説については、2010年12月17日のDaily Deck(註1)を参照してくれ。
(註1) Daily Deck
リンク先は以下のURL。それとリンク先の文章の和訳。
http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/deck/605
プロプレイヤーのデビッド・ウィリアムスがトーナメントに持ち込んでくるデッキはいつも予想の斜め上をいってくれる。千葉で開催された2010年度の世界選手権では、彼は緑青の《起源の波/Genesis Wave》デッキで参戦した。
どんなデッキかだって?
大量マナで何度も何度も《起源の波/Genesis Wave》をぶっ放し、大量のデカブツと大量のカードアドバンテージで対戦相手を圧殺するデッキさ。デビッドは世界選手権という忙しい時間の合間を縫って彼の作品をビデオで解説してくれた。なお、世界選手権についてより詳しく知りたい人はアーカイブ(註2)を参照してくれ。
(註2) アーカイブ
リンク先は以下のURL。
http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/eventcoverage/worlds10/welcome
<カードデータ>
Genesis Wave / 起源の波 (X)(緑)(緑)(緑)
ソーサリー
あなたのライブラリーのカードを一番上からX枚公開する。あなたはそれらの中から点数で見たマナ・コストがX以下のパーマネント・カードを望む枚数戦場に出してもよい。その後、これにより公開されて戦場に出されなかったすべてのカードをあなたの墓地に置く。
カードデータ 引用元:
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Genesis+Wave/
元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0111
創造の標/Beacon of Creation - フィフス・ドーン レア
フィフス・ドーンの標(Beacon)サイクルの5枚のうち、3枚は第10版に再録されたが《創造の標/Beacon of Creation》と《明日の標/Beacon of Tomorrows》は落選してしまった。理由についてはアーロン・フォーサイスが数年前に説明している(註1)が、要するにこれは緑という色の特徴を1枚で多く持ち過ぎてしまっているのだ。
(註1) 数年前に説明している
リンク先は以下のURLで、2007年09月の「Ask Wizards」。09月13日の質問に《創造の標/Beacon of Creation》がなぜ再録されなかったかについて質問が来ている。
http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtgcom/askwizards/0907#0913
2007年09月13日
質問:
初めに、素晴らしい第10版の出来に感謝! ただ1つだけ気になってることがあるんです。どうして《創造の標/Beacon of Creation》と《明日の標/Beacon of Tomorrows》は第10版からもれてしまったんですか?
(質問者:アレックス、アメリカのコロラド州フォートコリンズから)
回答:
我々は標(Beacon)サイクルの5枚全てを収録する予定だったが《創造の標/Beacon of Creation》はいくつか問題を生じさせた。
1つ目として、我々は《創造の標/Beacon of Creation》よりも《ブランチウッドの鎧/Blanchwood Armor》と《新緑の魔力/Verdant Force》を収録したかった。これらはそれぞれ「森の枚数を参照する」と「1/1のトークンを生み出す」という点で印象がかぶってしまう。
2つ目として、テストプレイしたところスタンダードでは《創造の標/Beacon of Creation》が強すぎることが分かった。ただでさえ緑にはすでに強いカードたち、《極楽鳥/Birds of Paradise》や《樹上の村/Treetop Village》や《トロールの苦行者/Troll Ascetic》の収録が決まっており、さらにそこへ《創造の標/Beacon of Creation》を追加するのは避けたかった。
これらの理由により我々は《創造の標/Beacon of Creation》の収録を断念し、さらにもう1枚をサイクルから抜くことにした。その理由はサイクルの5枚のうち4枚だけを再録するということに抵抗感があったからだ。やはり違和感がある。《明日の標/Beacon of Tomorrows》はちょうどよい代替カードが存在したため、収録からもれることとなった。その代替カードとは《時間の伸長/Time Stretch》だ。
(回答者:アーロン・フォーサイス、研究開発部ディレクター)
<カードデータ>
Beacon of Creation / 創造の標 (3)(緑)
ソーサリー
あなたがコントロールする森(Forest)1つにつき緑の1/1の昆虫(Insect)クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。創造の標をオーナーのライブラリーに加えて切り直す。
カードデータ 引用元:
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Beacon+of+Creation/
元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0111
余談1:テーマ
今週のCard of the Dayは新年最初の週だけあってテーマは「新たな~/最初の~」だったみたい。月曜日から順にカード名が「Rebirth(再誕)」「Origin(開闢)」「First(最初)」「Genesis(起源)」「Creation(創造)」を含んでいる。
余談2:辞書
ペンティーノさんの12月31日のコメント欄で紹介されてた「まじっ九印どっとこむ」の辞書を(今更と言われそうだけど)導入。これはすごい。装備を「ひのきのぼう」から「はがねのつるぎ」に変えたような力を感じる。
余談3:創造の標
《創造の標/Beacon of Creation》の訳をしているときのこと。MTG Wikiの《創造の標/Beacon of Creation》の項目を見ると、これと似たようなカードとして《草陰の待ち伏せ/Waiting in the Weeds》が紹介されていた。
違いについては「(創造の標はトークンが)出るのは自分だけ」書かれているのを見て「え!? 《草陰の待ち伏せ/Waiting in the Weeds》って相手にもトークン出るんだっけ!? ……うわ、本当だ!」と驚いた。ミラージュが出た頃に何度か見た記憶があるけれど、全然気付かなかった。自分側にだけ出るのってそんなに強すぎるかな、これ。
余談4:make the cut
これまた《創造の標/Beacon of Creation》の訳をしているときのこと。原文にあった「make the cut」という言い回しに「予選突破」という意味があるということを学んだ。なんか「cut」って言うと「削除する・切り落とす」ってイメージがあったので「落選」っぽいイメージを持ってしまった。
よく見ると「make」がついているので「cut(ふるい落とし)をmake(やり過ごし)した」というふうな意味にとればいいんだな、と納得した。
まだまだ精進が必要。
今週のCard of the Dayは新年最初の週だけあってテーマは「新たな~/最初の~」だったみたい。月曜日から順にカード名が「Rebirth(再誕)」「Origin(開闢)」「First(最初)」「Genesis(起源)」「Creation(創造)」を含んでいる。
余談2:辞書
ペンティーノさんの12月31日のコメント欄で紹介されてた「まじっ九印どっとこむ」の辞書を(今更と言われそうだけど)導入。これはすごい。装備を「ひのきのぼう」から「はがねのつるぎ」に変えたような力を感じる。
余談3:創造の標
《創造の標/Beacon of Creation》の訳をしているときのこと。MTG Wikiの《創造の標/Beacon of Creation》の項目を見ると、これと似たようなカードとして《草陰の待ち伏せ/Waiting in the Weeds》が紹介されていた。
違いについては「(創造の標はトークンが)出るのは自分だけ」書かれているのを見て「え!? 《草陰の待ち伏せ/Waiting in the Weeds》って相手にもトークン出るんだっけ!? ……うわ、本当だ!」と驚いた。ミラージュが出た頃に何度か見た記憶があるけれど、全然気付かなかった。自分側にだけ出るのってそんなに強すぎるかな、これ。
余談4:make the cut
これまた《創造の標/Beacon of Creation》の訳をしているときのこと。原文にあった「make the cut」という言い回しに「予選突破」という意味があるということを学んだ。なんか「cut」って言うと「削除する・切り落とす」ってイメージがあったので「落選」っぽいイメージを持ってしまった。
よく見ると「make」がついているので「cut(ふるい落とし)をmake(やり過ごし)した」というふうな意味にとればいいんだな、と納得した。
まだまだ精進が必要。
【翻訳】時間旅行/Time Traveling【Daily MTG】
2011年1月9日 翻訳 コメント (2)時間旅行/Time Traveling : Daily MTG
2010年01月07日
Tom LaPille
元記事:http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/ld/124
(訳注:序文および開発チームメンバーの紹介は割愛)
マスターズエディションIVのカードの大半は、マジックの最初の3つのセット(註1)から収録されている。マジックの黎明期に皆の卓上を賑わしていたカードたちとほぼ同じ顔ぶれたちが今再びマスターズエディションIVのドラフトの卓上で活躍することになるだろう。
おそらく君たちは《大地の怒り/Force of Nature》や《シヴ山のドラゴン/Shivan Dragon》や《マハモティ・ジン/Mahamoti Djinn》のようなカードを引くことを期待しているだろうし、同時にそれらに《恐怖/Terror》や《剣を鍬に/Swords to Plowshares》が飛んできませんように、と祈っているに違いない。
アンコモンの枠に期待しているのは《センギアの吸血鬼/Sengir Vampire》や《大気の精霊/Air Elemental》や《巨大戦車/Juggernaut》あたりだろうか。運がよければ《対抗呪文/Counterspell》(打消し呪文じゃない、そう、《対抗呪文/Counterspell》だ)で対戦相手のキーカードを打ち落とすチャンスもあるだろう。
歴代のマスターズエディションたちは過去をさかのぼり、そしてマスターズエディションIVでついに最古へと到達した。もし君がマジックの黎明期からのプレイヤーであれば懐かしさに流す自分の涙におぼれないよう気をつけてくれ。最近始めたばかりなら、今から追いつけばいいだけのことだ。
ドラフトは楽し
セットの大きなテーマは懐古主義ではあるが、必ずしもよみがえって欲しくない過去もある。例えば、初期のセットを用いたリミテッドはどうしようもないバランスだ。ミラージュはリミテッドで用いられることも意識した初めてのセットだったが、マスターズエディションはそれ以前のカードたちで構成されている。そう。その収録されるカードの構成、ここで我々の近代的な開発のノウハウを活かさずしていつ活かすのか、という話だ。
最近のマジックのセットにはテーマ性があり、今回もそれは変わらない。ベータとアラビアンナイトにはメカニック的なテーマは存在しなかったが、アンティキティーには存在した。アーティファクトだ。そしてマスターズエディションIVも同様だ。ただ今回は金属術を達成するために必要な枚数のアーティファクトをひっかき集めるべく奔走する必要はない。当時、そんなメカニックは存在しなかった。そのかわり《黒曜石のゴーレム/Obsianus Golem》や《原初の土/Primal Clay》(註2)や《機械仕掛けの鳥/Clockwork Avian》などが戦闘で活躍することになり、《神への捧げ物/Divine Offering》や《崩壊/Crumble》や《Artifact Blast》などは申し分ない働きを見せてくれるはずだ。
もし君がマスターズエディションIVのテーマが本当にアーティファクトなのかどうかを疑うなら、普段であれば基本土地が鎮座ましましているスロットを見て欲しい。最近のセットならば必ずそこにあるはずの基本土地のかわりは、なんとウルザ地形だ。
アンティキティーが出た当初、ウルザ地形はそれを発見したプレイヤーたちに重い呪文をデッキへたらふくぶち込ませた。第8版と第9版がスタンダードリーガルだった頃にも同じようなデッキが猛威を振るった。そして今、そんな重量級のデッキをドラフトで組めるチャンスが到来したというわけだ。ドラフトで実際にウルザ・デッキを組めるのは卓で1人か2人だろうが、もし君がその1人になれたなら3ターン目に《黒曜石のゴーレム/Obsianus Golem》を呼び出したり、《ドラゴン・エンジン/Dragon Engine》を7/3までパンプしたりできるはずだ。
さらに、最近のセット同様、マスターズエディションIVはリミテッドのためにカードプール内での細かな調整が効いている。ここで全てをばらしてお楽しみを台無しにする気はない。新たな未知なる世界へと飛び込むのはマジックの新セットの楽しみの1つだからだ。
しかし、1つくらいはいいだろう。このセットで強いとみなされるであろうクリーチャーたちの一部は再生能力を持っている。例えば《粘土像/Clay Statue》や《Sedge Troll》や《Living Wall》などだ。それにはちょっと劣るが、他にも再生クリーチャーがいる。《Drowned》や《悪魔の機械/Diabolic Machine》だ。もちろんこれら再生に対抗する手段が用意されてない、などという不手際はない。《Lim-Dul’s Cohort》もそれなりにいい仕事をしてくれるだろうが、この分野での私のお気に入りは《Gravebind》だ。
《Gravebind》はコモンだ。大半のリミテッド環境ではゴミカードだ。しかし、信じて欲しい。このセットでは別だ。使えるかって? そうだな、絶対とはいえないが、黒いデッキに複数枚入れて、最初の1枚を唱えるときは大抵楽しくてしょうがなかった。アタックするなら今のうち、と対戦相手が信じているときに彼の《粘土像/Clay Statue》をこれで待ち伏せするのは至福の極みだ。
もちろん、マスターズエディションIVで近代の開発ノウハウが活かされたのがこの《Gravebind》だけということではない。他にも、普通なら見向きもされないようなカードたちが君たちのドラフトを手助けしてくれることだろう。
古いカードをマジックオンラインへ
マスターズエディションIVには、過去のマジックオンラインには存在しなかった強力でとんでもないカードたちがたくさん収録されている。これらの多くはマジックオンラインのレガシーやクラシックのカードプールを埋めるのに十分なほど強い。《Maze of Ith》や《Sinkhole》や《Library of Alexandria》や《Mishra’s Workshop》や《Fastbond》、他の制限カードたちがそれだ。
我々は多少時間をかけてでもオンラインのマジックが紙のマジックに追いつければと願っており、その目的のためにこれらのカードは構築環境に必要なカードだ。
もっともそれだけがこれらのカードを復活させた理由ではない。ミラージュ以前のカードの中には、構築では使われないだろうがカジュアルでは人気だったものや、替わりとなれるカードがないものがある。例えば《Leeches》は毒カウンターを取り除くことが出来る唯一のカードだ。さらには《In The Eye of Chaos》の替わりとなれるカードもどこにも存在しない。これらはオンラインに収録されるべきだと感じた。
他にマスターズエディションIVによってマジックオンラインにもたらされたのは昔懐かしいテイストのイラストたちだ。マジックの初期のカードをそろえようというときに《エイトグ/Atog》や《ハルマゲドン/Armageddon》や《対抗呪文/Counterspell》を収録しないわけにもいかない。そして、これらを収録せざるを得ないというのを問題点と考えるのではなく、元のイラストで登場させるチャンスじゃないか、と私はとらえることにした。
現実の世界で、私はアンティキティーの《エイトグ/Atog》と日本語第4版の黒枠の《対抗呪文/Counterspell》を使うのは楽しかった。さらに私よりもそういった楽しみに貪欲な人たちは、ポータル版の《ハルマゲドン/Armageddon》やアラビアンナイト版の《真鍮の都/City of Brass》をそろえたりしていた。
マスターズエディションIVによってマジックオンラインのプレイヤーたちに昔懐かしいイラストをプレイする機会をもたらす、ということだけでなく、今回初めて黒枠で印刷されるカードだってあるのだ。
さて、最後におまけとして、よく聞かれる質問に答えておこう。
質問:なんでレアが105枚も?(註3)
回答:
先に述べたとおり、マスターズエディションの目的の1つは古いカードをマジックオンラインへ出来る限りたくさん放り込むことだ。残念なことに最近の開発方針から鑑みるに、ミラージュ以前のカードの中にはコモンにふさわしいカードがそれほど多くない。オンラインに登場させたいとんでもないカードたちは大抵コモンより上のレアリティに属している。
収録元のセットには《Sinkhole》や《Mishra’s Workshop》や《Maze of Ith》、10枚の制限カードたち、そして10枚のデュアルランドたちがあり、それらの入れたいカードを全部ねじ込むだけのスペースはあると我々は考えた。
質問:なんでプレビューに神話レアとして紹介されたカードがあったの?(註4)
回答:
デザインファイルでは、ヴィンテージで制限カードだった10枚は全て神話レアだった。これによって10枚の神話レアと95枚のレアが存在してた。これによって1枚しか必要ない制限カードを引き過ぎず、かつ引くのが楽しみになるようなバランスになると私は考えた。
しかし後になって現実のセットより遥かに低い確率でしか神話レアが登場しなくなってしまうことに誰かが気づいた。このことが問題視されたため、制限カードたちはレアに格下げされた。そして今や105枚のレアがあるというわけだ。
質問:なんでデュアルランド10枚全てがまたセット入りしたの?(註5)
回答:
我々はマジックオンラインのプレイヤーたちに長くレガシー環境に触れていて欲しいと願っている。それを可能にする一助として、レガシーのマナベースを安定させることが出来るカードを長期間使用可能にすることが必要だと考えた。これを念頭に置き、我々はデュアルランド全てを再度セットに収録することとした。
質問:パワー9はなんで収録されなかったの?
それを決断したのは私ではないので、答えることはできない。かわりにMagic Onlineのフォーラムで以下のとおり述べているWorth Wollpertの言葉を借りよう。
マスターズエディションIVの発売は、01月10日だ。手元にパソコンがあって冒険心に富んでいるならば、我々と一緒に過去にさかのぼって黎明期のマジックを探険しようじゃないか。リリースイベントは12日から始まる。そこで皆と会えるのを楽しみにしているよ!
(註1) 最初の3つのセット
アルファ/ベータ、アラビアンナイト、アンティキティーのことと思われる。なお製品ページによると「Antiquities, Arabian Nights, Ice Age, Legends, Limited (Alpha), Portal, Portal Second Age, The Dark, and more」を含む、とある(以下のURL参照)。
http://www.wizards.com/magic/tcg/productarticle.aspx?x=mtg/tcg/mastersed4/productinfo
(註2) 《原初の土/Primal Clay》
マスターズエディションIVのコモン。昔はレアだったんだけど、コモン。ちなみにこれだけじゃなくて他にも《空飛ぶ絨毯/Flying Carpet》やら《ドラゴン・エンジン/Dragon Engine》やら、むしろなんで昔はレアだったんだろう、という元レアカードたちがコモンに並んでいる。第4版をリアルタイムで買ってた身としては、喜怒哀楽のいずれにも属さない微妙な気持ちがわいてくる。
(註3) レアが105枚
セット枚数は全部で269枚。なんとそのうち105枚がレア、という話。
(註4) 神話レア
製品版には神話レアが存在しない。
(註5) デュアルランド
マスターズエディション2とマスターズエディション3にはそれぞれ5枚ずつのデュアルランドが再録されており、今回あらためてそれら10枚全てが再録されている。
(註6) ※ 引用部分について
まさにここに書いてあるとおり非常にデリケートなネタなので、理由について本気で気になる人は原文を読むことを推奨。
2010年01月07日
Tom LaPille
元記事:http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/ld/124
(訳注:序文および開発チームメンバーの紹介は割愛)
マスターズエディションIVのカードの大半は、マジックの最初の3つのセット(註1)から収録されている。マジックの黎明期に皆の卓上を賑わしていたカードたちとほぼ同じ顔ぶれたちが今再びマスターズエディションIVのドラフトの卓上で活躍することになるだろう。
おそらく君たちは《大地の怒り/Force of Nature》や《シヴ山のドラゴン/Shivan Dragon》や《マハモティ・ジン/Mahamoti Djinn》のようなカードを引くことを期待しているだろうし、同時にそれらに《恐怖/Terror》や《剣を鍬に/Swords to Plowshares》が飛んできませんように、と祈っているに違いない。
アンコモンの枠に期待しているのは《センギアの吸血鬼/Sengir Vampire》や《大気の精霊/Air Elemental》や《巨大戦車/Juggernaut》あたりだろうか。運がよければ《対抗呪文/Counterspell》(打消し呪文じゃない、そう、《対抗呪文/Counterspell》だ)で対戦相手のキーカードを打ち落とすチャンスもあるだろう。
歴代のマスターズエディションたちは過去をさかのぼり、そしてマスターズエディションIVでついに最古へと到達した。もし君がマジックの黎明期からのプレイヤーであれば懐かしさに流す自分の涙におぼれないよう気をつけてくれ。最近始めたばかりなら、今から追いつけばいいだけのことだ。
ドラフトは楽し
セットの大きなテーマは懐古主義ではあるが、必ずしもよみがえって欲しくない過去もある。例えば、初期のセットを用いたリミテッドはどうしようもないバランスだ。ミラージュはリミテッドで用いられることも意識した初めてのセットだったが、マスターズエディションはそれ以前のカードたちで構成されている。そう。その収録されるカードの構成、ここで我々の近代的な開発のノウハウを活かさずしていつ活かすのか、という話だ。
最近のマジックのセットにはテーマ性があり、今回もそれは変わらない。ベータとアラビアンナイトにはメカニック的なテーマは存在しなかったが、アンティキティーには存在した。アーティファクトだ。そしてマスターズエディションIVも同様だ。ただ今回は金属術を達成するために必要な枚数のアーティファクトをひっかき集めるべく奔走する必要はない。当時、そんなメカニックは存在しなかった。そのかわり《黒曜石のゴーレム/Obsianus Golem》や《原初の土/Primal Clay》(註2)や《機械仕掛けの鳥/Clockwork Avian》などが戦闘で活躍することになり、《神への捧げ物/Divine Offering》や《崩壊/Crumble》や《Artifact Blast》などは申し分ない働きを見せてくれるはずだ。
もし君がマスターズエディションIVのテーマが本当にアーティファクトなのかどうかを疑うなら、普段であれば基本土地が鎮座ましましているスロットを見て欲しい。最近のセットならば必ずそこにあるはずの基本土地のかわりは、なんとウルザ地形だ。
アンティキティーが出た当初、ウルザ地形はそれを発見したプレイヤーたちに重い呪文をデッキへたらふくぶち込ませた。第8版と第9版がスタンダードリーガルだった頃にも同じようなデッキが猛威を振るった。そして今、そんな重量級のデッキをドラフトで組めるチャンスが到来したというわけだ。ドラフトで実際にウルザ・デッキを組めるのは卓で1人か2人だろうが、もし君がその1人になれたなら3ターン目に《黒曜石のゴーレム/Obsianus Golem》を呼び出したり、《ドラゴン・エンジン/Dragon Engine》を7/3までパンプしたりできるはずだ。
さらに、最近のセット同様、マスターズエディションIVはリミテッドのためにカードプール内での細かな調整が効いている。ここで全てをばらしてお楽しみを台無しにする気はない。新たな未知なる世界へと飛び込むのはマジックの新セットの楽しみの1つだからだ。
しかし、1つくらいはいいだろう。このセットで強いとみなされるであろうクリーチャーたちの一部は再生能力を持っている。例えば《粘土像/Clay Statue》や《Sedge Troll》や《Living Wall》などだ。それにはちょっと劣るが、他にも再生クリーチャーがいる。《Drowned》や《悪魔の機械/Diabolic Machine》だ。もちろんこれら再生に対抗する手段が用意されてない、などという不手際はない。《Lim-Dul’s Cohort》もそれなりにいい仕事をしてくれるだろうが、この分野での私のお気に入りは《Gravebind》だ。
《Gravebind》はコモンだ。大半のリミテッド環境ではゴミカードだ。しかし、信じて欲しい。このセットでは別だ。使えるかって? そうだな、絶対とはいえないが、黒いデッキに複数枚入れて、最初の1枚を唱えるときは大抵楽しくてしょうがなかった。アタックするなら今のうち、と対戦相手が信じているときに彼の《粘土像/Clay Statue》をこれで待ち伏せするのは至福の極みだ。
もちろん、マスターズエディションIVで近代の開発ノウハウが活かされたのがこの《Gravebind》だけということではない。他にも、普通なら見向きもされないようなカードたちが君たちのドラフトを手助けしてくれることだろう。
古いカードをマジックオンラインへ
マスターズエディションIVには、過去のマジックオンラインには存在しなかった強力でとんでもないカードたちがたくさん収録されている。これらの多くはマジックオンラインのレガシーやクラシックのカードプールを埋めるのに十分なほど強い。《Maze of Ith》や《Sinkhole》や《Library of Alexandria》や《Mishra’s Workshop》や《Fastbond》、他の制限カードたちがそれだ。
我々は多少時間をかけてでもオンラインのマジックが紙のマジックに追いつければと願っており、その目的のためにこれらのカードは構築環境に必要なカードだ。
もっともそれだけがこれらのカードを復活させた理由ではない。ミラージュ以前のカードの中には、構築では使われないだろうがカジュアルでは人気だったものや、替わりとなれるカードがないものがある。例えば《Leeches》は毒カウンターを取り除くことが出来る唯一のカードだ。さらには《In The Eye of Chaos》の替わりとなれるカードもどこにも存在しない。これらはオンラインに収録されるべきだと感じた。
他にマスターズエディションIVによってマジックオンラインにもたらされたのは昔懐かしいテイストのイラストたちだ。マジックの初期のカードをそろえようというときに《エイトグ/Atog》や《ハルマゲドン/Armageddon》や《対抗呪文/Counterspell》を収録しないわけにもいかない。そして、これらを収録せざるを得ないというのを問題点と考えるのではなく、元のイラストで登場させるチャンスじゃないか、と私はとらえることにした。
現実の世界で、私はアンティキティーの《エイトグ/Atog》と日本語第4版の黒枠の《対抗呪文/Counterspell》を使うのは楽しかった。さらに私よりもそういった楽しみに貪欲な人たちは、ポータル版の《ハルマゲドン/Armageddon》やアラビアンナイト版の《真鍮の都/City of Brass》をそろえたりしていた。
マスターズエディションIVによってマジックオンラインのプレイヤーたちに昔懐かしいイラストをプレイする機会をもたらす、ということだけでなく、今回初めて黒枠で印刷されるカードだってあるのだ。
さて、最後におまけとして、よく聞かれる質問に答えておこう。
質問:なんでレアが105枚も?(註3)
回答:
先に述べたとおり、マスターズエディションの目的の1つは古いカードをマジックオンラインへ出来る限りたくさん放り込むことだ。残念なことに最近の開発方針から鑑みるに、ミラージュ以前のカードの中にはコモンにふさわしいカードがそれほど多くない。オンラインに登場させたいとんでもないカードたちは大抵コモンより上のレアリティに属している。
収録元のセットには《Sinkhole》や《Mishra’s Workshop》や《Maze of Ith》、10枚の制限カードたち、そして10枚のデュアルランドたちがあり、それらの入れたいカードを全部ねじ込むだけのスペースはあると我々は考えた。
質問:なんでプレビューに神話レアとして紹介されたカードがあったの?(註4)
回答:
デザインファイルでは、ヴィンテージで制限カードだった10枚は全て神話レアだった。これによって10枚の神話レアと95枚のレアが存在してた。これによって1枚しか必要ない制限カードを引き過ぎず、かつ引くのが楽しみになるようなバランスになると私は考えた。
しかし後になって現実のセットより遥かに低い確率でしか神話レアが登場しなくなってしまうことに誰かが気づいた。このことが問題視されたため、制限カードたちはレアに格下げされた。そして今や105枚のレアがあるというわけだ。
質問:なんでデュアルランド10枚全てがまたセット入りしたの?(註5)
回答:
我々はマジックオンラインのプレイヤーたちに長くレガシー環境に触れていて欲しいと願っている。それを可能にする一助として、レガシーのマナベースを安定させることが出来るカードを長期間使用可能にすることが必要だと考えた。これを念頭に置き、我々はデュアルランド全てを再度セットに収録することとした。
質問:パワー9はなんで収録されなかったの?
それを決断したのは私ではないので、答えることはできない。かわりにMagic Onlineのフォーラムで以下のとおり述べているWorth Wollpertの言葉を借りよう。
最後に、今まで触れなかった例の件について。
マスターズエディションIVにパワー9が登場しなかったからと言って今後もマジックオンラインにパワー9が登場しない、と決まったわけではない。パワー9がマスターズエディションIVに収録されなかったのは、これらの取り扱いについて細心の注意を払いたいからだ。
これらは多くの人にとってあまりに大きな意味を持つカードであり、最終的に私はマスターズエディションIVはまだそのときではない、と判断した。多くの賛成派と多くの否定派が見えないところでせめぎあったが、最終判断者は私だ。
これに関しては本当に多くの議論が戦わされた。
明確にしておきたいのは、我々はまだ皆と分かち合えるだけの納得いく結論に今時点で至っていない、ということだ。マスターズエディションIVに収録されなかった、ということをそれ以上の意味にはとらないで欲しい。(註6)
マスターズエディションIVの発売は、01月10日だ。手元にパソコンがあって冒険心に富んでいるならば、我々と一緒に過去にさかのぼって黎明期のマジックを探険しようじゃないか。リリースイベントは12日から始まる。そこで皆と会えるのを楽しみにしているよ!
(註1) 最初の3つのセット
アルファ/ベータ、アラビアンナイト、アンティキティーのことと思われる。なお製品ページによると「Antiquities, Arabian Nights, Ice Age, Legends, Limited (Alpha), Portal, Portal Second Age, The Dark, and more」を含む、とある(以下のURL参照)。
http://www.wizards.com/magic/tcg/productarticle.aspx?x=mtg/tcg/mastersed4/productinfo
(註2) 《原初の土/Primal Clay》
マスターズエディションIVのコモン。昔はレアだったんだけど、コモン。ちなみにこれだけじゃなくて他にも《空飛ぶ絨毯/Flying Carpet》やら《ドラゴン・エンジン/Dragon Engine》やら、むしろなんで昔はレアだったんだろう、という元レアカードたちがコモンに並んでいる。第4版をリアルタイムで買ってた身としては、喜怒哀楽のいずれにも属さない微妙な気持ちがわいてくる。
(註3) レアが105枚
セット枚数は全部で269枚。なんとそのうち105枚がレア、という話。
(註4) 神話レア
製品版には神話レアが存在しない。
(註5) デュアルランド
マスターズエディション2とマスターズエディション3にはそれぞれ5枚ずつのデュアルランドが再録されており、今回あらためてそれら10枚全てが再録されている。
(註6) ※ 引用部分について
まさにここに書いてあるとおり非常にデリケートなネタなので、理由について本気で気になる人は原文を読むことを推奨。
Card of the Day - 2011/01/10
2011年1月10日 Card of the DayNameless Race - レア
2007年に行われた「大規模クリーチャータイプ更新」(註1)以降、マジックにおいて全てのクリーチャーには最低1つのクリーチャータイプが割り当てられている……ただ1枚の例外を除いて。その例外とは《Nameless Race》であり、理由は、まあ、奴の名前(註2)を見てくれれば分かるよね!
(註1) 大規模クリーチャータイプ更新
原文では「Grand Creature Type Update」。以下のURLへリンクが張ってある。種族をテーマにしたローウィンが発売される直前におこなわれた種族の大整理であり、多くの種族が絶滅したことで有名。
http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtgcom/feature/424a3
(註2) 名前
「Nameless Race」とは、そのまま「名も無き種族」を意味する。現在のオラクルでは本当にクリーチャータイプを一切持っていない。
<カードデータ>
Nameless Race (3)(黒)
クリーチャー
トランプル
Nameless Raceが戦場に出るに際し、好きな量のライフを支払う。あなたが支払うライフの量は、あなたの対戦相手がコントロールする白のカードの枚数足すそれらの墓地にある白のカードの枚数の点数を超えることはできない。
Nameless Raceのパワーとタフネスはそれぞれ、それが戦場に出る際に支払われたライフの点数に等しい。
*/*
カードデータ 引用元:
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Nameless+Race/
元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0111
Cyclopean Tomb - マスターズエディションIV レア
アルファ版の《Cyclopean Tomb》にはエラーでマナコストが記載されていなかった。このエラーはベータ版で訂正された(ちなみにマナコストは(4)だ)。土地でなくマナコストのないカードはこれ以降存在しなかった……《常在精神/Evermind》が現れるまでは。
<カードデータ>
Cyclopean Tomb (4)
アーティファクト
(2),(T):沼(Swamp)でない土地1つを対象とする。その上に湿地(mire)カウンターを1個置く。その土地は、その上に湿地カウンターが置かれている限り沼である。この能力は、あなたのアップキープの間にのみ起動できる。
Cyclopean Tombが戦場から墓地に置かれたとき、ゲームの残りの間、あなたの各アップキープの開始時に、いずれかの土地からCyclopean Tombによって置かれ、Cyclopean Tombによって取り除かれたことがない湿地カウンターをすべて取り除く。
カードデータ 引用元:
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Cyclopean+Tomb/
元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0111
《 》の話。いや、だから《 》の話だよ。ほら、アンヒンジドのあいつ/Blankety-Blank:Daily MTG
2004年12月09日
Mark Gottlieb
元記事:http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtgcom/daily/mg153
スコット・ジョンズ「だけどこのコラムには何も無いじゃないか!」
マーク・ゴットリーブ「違う。何も無い、があるんだ」
その通りだよ、よい子の諸君。「となりのサインフェルド」における不変の慣習に従い(原文:In the immortal tradition of Seinfeld)、今日のコラムは「無」についてだ。
いや、ときどきは《Kjeldoran Phalanx》(註1)についてとも言えるし、ときどきは《Form of the Dragon》についてとも言えるし、ときどきは《Accumulated Knowledge》についてとも言えるし、ときどきは《一般的なウォンバットのダンスパートナー》についてとも言えるし(いや、待て、それは先月の話(註2)だった)、ときどきは《玄関からおどけたアーロン・フォーサイスが飛び込んできて、うちの冷蔵庫を漁っている》こともある(註3)。
楽しくなってきた!
無実の罪なんてありえ無い
何も無い、の何がそんなにいけないっていうんだ。陰鬱な宇宙のど真ん中で休暇を過ごしたいと思わない人がいるだろうか? いや、いないね!だって、きっとすごいリラックスできるはず。締め切りもない、Eメールもない、空気もない。
素晴らしい!
無というコンセプトが指し示すものは言い換えると全ての欠如だ。普段、君が目にしている何かが無い、ってことだ。
例えば、うちの冷蔵庫が空っぽだよ、と不満をもらすことはよくあるけど、実際は本当に何も入ってない、ってわけじゃない。
もし君が僕を疑うなら、そこに入っている黒い粘体(かつてトマトと呼ばれていたもの)の後ろで暮らしている苔のかけら(知性をもった奴)に聞いてもらえば分かるはずさ。
心配することなんて何も無い
何について言いたいかというと(沈黙が流れた際の効果音)だよ。あれ? いや、だから《 》の話だ。あれだよ、あれ、ほら、アンヒンジドの名前のついてないカード!
個人的にこのカードの名前(もしくは名前がついてないこと)はどうしても気に入らなかったので、このカードについてマーク・ローズウォーターと散々議論した。能力はいい、許す。だけど言及する際の面倒は本当に腹立たしい。名前がないことによるお楽しみより、ずっと、ずっと腹立たしい。僕は、プリンスが(発音不可能な記号)と改名したとき(註4)も、小躍りして喜ぶより単に心底いらついた側だ。
ところがどっこいそんな僕の嘆願は聞き入れられなかった。マーク・ローズウォーターはそんないらつかせる要素すら面白みにつながると思ったらしい。
そういうわけだから、僕は以後このコラムではこのカードを何らかの名前で呼ぶことにするよ。僕が適当につける名前だ。ああ、じゃあ、こうしよう。このカードの能力を起動したと思えばいい。この能力は「いつでもどこでも」使っていいんだろ?
この の一番分かりやすい使い方は、同じアンヒンジドに収録されている《Now I Know My ABC’s》とのコンボだ。2つ並べれば目的地への道のりを半分は踏破したようなものだしね。
ポール・バークレーは、皆が噂しているようなことはなくて、実はちゃんとアルファベットを全部言える。だからポールが、どうやったら勝利条件を満たせるかを調べるのに時間を使ったからって不思議なことは何もない。以下が彼の案だ。
素晴らしいね。ちなみに最後の《Erg Raiders》は「D」と「G」を含んでさえいれば別に何でもいいよ。代わりは600枚以上あるはずだから好きにしてくれ。
ポール曰く《Alexi, Zephyr Mage》の利便性の高さは特筆すべきものがある、とのこと。
ここに付け加えるとすれば、《Now I Know My ABC’s》で勝とうとするということは場に《Now I Know My ABC’s》があるということで、つまり「K」とか「W」のような使いづらい文字はすでに解決済みだということ。さらに付け加えるなら《Now I Know My ABC’s》で勝とうと思っているってことはアンヒンジドが使用可能なフォーマットってことで、つまり《名無しのジョー》を入れてもいいってこと。幸い、こいつは《Now I Know My ABC’s》と同じ色で、しかも《Vizzerdrix》や《Kjeldoran Phalanx》や《Jhovall Queen》と違ってたったの2マナで済むし、非常に融通の効くカードだ。
デッキの残りはどうしようか。最初に考えたのは、ポールの案を全部デッキにぶちこむことだ。簡単に置き換え可能な《Erg Raiders》を除くと、全てのカードは白・青・緑の3色に収まる。ただあまりに重過ぎるカードが多いので、いくつか抜くことにした。さらに僕は土地も勘定に入れることにした。
最初に探したのはもちろん《Erg Raiders》のかわりとなる「D」と「G」を含む土地だ。そうすれば《Now I Know My ABC’s》と《Teferi’s Puzzle Box》と《Jhovall Queen》、そして土地があれば勝利条件を満たせることになるからね。
そこで僕は、あることに気づいた。もし全ての土地に共通で含まれる文字があったらどうなるよ? もし全部の土地に「V」が含まれていれば「V」のためだけに入れているパーマネントは用無しだぜ!? ってなわけで、雪かぶり(Snow-Covered)土地には感謝しないといけない。おかげで随分助かった。
このデッキには勝利条件を満たせる組み合わせが「4種類+土地」なら何通りもあるし「3種類+特定の土地」なら以下の2通りがある。
上記に加えて当然《いまいち煮え切らないキャプテン》も手助けしてくれるはずだ。
適切で無いということも無い
読者であるCrusadoerからもらったお便りに書かれてた《ヴォルラスの怪人二十面相》の使い道を2つ紹介するよ。
1つは《Retraced Image》とのコンボだ。想像してごらん、まず2ターン目に《無地の石版くん》を召喚するだろ? 3ターン目にその名前を《Akroma, Angel of Wrath》に変更してから《Retraced Image》を唱えれば、手札にある《Akroma, Angel of Wrath》が戦場にタダで出てくる、ってな寸法だ(伝説性を持つ《Akroma, Angel of Wrath》は1体しか戦場にいないのでレジェンドルールは適用されないのがポイント)。
さっそくこの使い方に注目してみた。どうやら《Bifurcate》は《Retraced Image》よりさらに1歩優れているっぽい。何せ手札じゃなくてデッキから直接デカブツをつかみ出して戦場に叩きつけることが出来るんだからね。他にも《Mask of the Mimic》は《Bifurcate》より安い上にインスタントで《変装の大名人》(註6)と同じ色なのでデッキも組みやすいけど、他に生け贄に捧げるクリーチャーを1体要求するのが玉に瑕。
すぐに気づいたんだけど、別にデカブツに限る必要はないな。
いや、気づいた、って言ったけど、実はCrusaderのお便りに力いっぱい書かれてたんだ。《Gleemax》を場に出す手段としても使えるぜ、ってね。《Bifurcate》はクリーチャーしか持ってこられないけど《Retraced Image》はそんなケチなことは言わない。
それに実は《Mask of the Mimic》にも抜け道がある。これ、クリーチャーしか対象にとれないけど、実は場に出すカードについては特に制限していないんだよね。
もちろんこのデッキは《記憶喪失さん》を引かなければゴミデッキと化すので、何とかしないといけない。まず、墓地に落ちてしまった彼らは《Myr Servitor》がいればすぐに場に戻せる。さらにこのマイアは《Mask of the Mimic》のいい餌になる。ライブラリにいる場合は《Skyshroud Sentinel》を使えば引っ張り出せる(もちろんその前にライブラリにいる彼らの名前を《Skyshroud Sentinel》に変えないといけないけど)。
あとはデッキの残りを最速3ターン目に戦場に出したくなるような馬鹿みたいに強いデカブツたちとぶっ壊れたエンチャントで埋めれば完成だ。
ごわごわするものは何も着ない
《ID泥棒》の使い道はあまりに多岐にわたるのでこんなお粗末なコラムじゃとても語り尽くせやしないんだけど、あえてもう少し頑張ってみる。
永遠に残るものなんて無い
Crusaderのお便りに書かれていた他の提案としては《片手で拍手したときの音みたいな》と《Bazaar of Wonders》の組み合わせがある。
たまんねえ。
大事なことなのでもう1回言うよ。た ま ん ね え な! こいつは想像よりきっつい。うん、こういうの大好き。
このコンボがあれば君は「(1):対象の呪文を打ち消す」の能力を得るんだ(どうやるのかって? 対戦相手が呪文を唱えたら《Bazaar of Wonders》がトリガーするだろ? 対応して《経理部のボブ》を対象の呪文と同じ名前にするんだ。《Bazaar of Wonders》の能力が解決されて、対象の呪文は打ち消されるってな具合さ)。
うーん、これで勝てなきゃ嘘だね。いや、まあ確かに《Blinkmoth Nexus》やら他のミシュランドはどうしようもないし、すでに戦場に出てるカードもどうにかしないといけないけどね。それでもこのコンボはマジできっつい。
このデッキを組むならカードを引く方法が必要だと思う。
《Accumulated Knowledge》は墓地に《ごめん、そろそろネタが尽きてきた》が落ちてれば楽しいことになる。《Intuition》は《Accumulated Knowledge》と楽しいことができるけど、大抵の場合は3枚の《Bazaar of Wonders》を引っ張ってくることになるだろうね。《Urza’s Hot Tub》があれば《もういいよね?》が《Diabolic Tutor》に化ける……ああ、念のためにはっきり書いとくよ。手札にあるそれの名前を《Diabolic Tutor》にしろって意味じゃなくて、ライブラリから引っ張って来たいカードの名前に変えてから《Urza’s Hot Tub》で捨てるって意味だからね。それによって3マナでデッキに入っている好きなカードを引いて来られるわけさ。
色々書いたけど、僕の好みのドローエンジンは《さすがにもう無理》と《My First Tome》の組み合わせだ。《実はなかなか融通の利くフレーバーテキストを持ってるんだよ、こいつ》とフレーバーテキストを持つカード(例えばアーティファクト土地とか。デッキに入ってる理由はそれ)の両方を手札に持って、戦場に《My First Tome》を置けば準備完了。
《ミミズのケツ》のフレーバーテキストをもう片方のカードのフレーバーテキストと完全に同じにするんだ(うん、実はこのフレーバーテキストの能力はちゃんと起動できるんだけど、初めて試す相手には念のために「よくある質問というか答えないと混乱が収まらないよ集」(註10)をプリントアウトしておいたほうがいいだろうね)。それから《My First Tome》を起動して、そのフレーバーテキストを読めばコンボ完成。
対戦相手が《 》を選んだら、本物のフレーバーテキストを持つ方を見せる。
対戦相手が本物のフレーバーテキストを持つ方を選んだら、《 》を見せる。
(訳注:反則です)
2マナの《Jayemdae Tome》の完成だ! もちろんこれは違法そのもので、司法の網("マーク・ローズウォーター"と呼んでもいい)に今まで気づかれずに済んでいたからなんとかなったけど、バレた以上は早急にパッチを貼られてしまうだろうね。
マジックのプレイヤーは紳士たれ、という原則をかんがみるに、このコンボはちょっとした議論を巻き起こすかもしれないし、《My First Tome》を悪用させないためのテクニックが今後発明される危険性もある(例えば、選んだ手札をテーブルに伏せておくようにすることで、相手の宣言のあとにすりかえ出来なくさせられたりするかもしれない)。マーク・ローズウォーターがどんな手を打ってくるかは分からないけど、それまでに使い倒しておくことをオススメするよ!
最後に紹介するコンボは《名も無き者/Nameless One (オンスロートのアレじゃないほう)》と《Grim Reminder》を組み合わせたもの。対戦相手が呪文(どんな呪文でもいい)を唱えたら、ライブラリに入っている例のカードの名前をその呪文と同じ名前にしてから《Grim Reminder》をプレイする。例のアレが見つかって、やったね、6点だ。
《潜入捜査官のアニキ》はあらためてライブラリに潜り込み、君はマナを払って《Grim Reminder》を墓地から釣り上げ、最初に戻る。
まあ要するにこのデッキの基本コンセプトは「対戦相手が呪文を唱える。打ち消すか、6点か、両方か」ってこと。
もし相手が手札を溜め込むようなら《Iron Maiden》の出番だ(ああ、うん、大丈夫だよ、ちゃんとデッキに《Iron Maiden》入れてるよ)。そして《Bazaar of Wonders》が出る前に戦場に出てしまったカードたちを掃除しつつ《Iron Maiden》に燃料を投下するため、かつカード・アドバンテージも得てしまおうというわけで、このデッキには《Turbulent Dreams》が入っている。バザーコンボが発動してしまったあとの無駄カードの使い道としては最上級のものだろ?
最後の最後におまけのトリビア。
相手に《Bazaar of Wonders》コンボを発動されたとしても、君が《名前村 名前ノ助》を唱えるのを止めることはできない。手札にある間に、戦場にも墓地にもないカードの名前に変えてしまえば《Bazaar of Wonders》の魔の手から逃れることが出来る。
また来週。それまで で楽しんでくれ。
(註1) カード名について
この翻訳版では、基本的にカード名については日本語版があるものも英語表記のみの記載。日本語のカード名が出てきたら、基本的にすべて《_____》を指していると思って欲しい。
(註2) 先月の話
このコラムの1ヶ月前に書かれた「Doctor Strangewombat」の話。こんな題名なのに記事にウォンバットが登場していない不思議。エンチャントの話だからかな。
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtgcom/daily/mg151
(註3) 玄関からおどけたアーロン・フォーサイスが飛び込んできて(以下略)
いや、本当に原文にそう書いてあるんだって!
(註4) プリンスが(発音不可能な記号)と改名したとき
ミュージシャンのプリンスが1994年に芸名を改名したとき、改名後の芸名が彼によるオリジナルの記号で、公式な読みが存在しなかったらしい。
(註5) Pangram Fever
Pangramはアルファベットを全て使った文章のこと。日本語にあえて訳すなら「いろはフィーバー」かな、と思ったけどあまりにひどい訳なので文中に書くのはやめた。
(註6) 変装の大名人
原文では《Master of Dis Guys》。あえて訳せば《駄目人間たちの親玉》とか《侮られる男たちの頭領》とかになるけど、多分これは《Master of Disguise》をもじったものなので、素直に訳してみた。なお《The Master of Disguise》(邦題:変身パワーズ)というコメディ映画がある。多分これが元ネタ。さらに余談ながら、この邦題は主役が《オースティンパワーズ》と同じ役者だから、という理由だけでつけられたものと思われる。ひどい話だ(余談の余談:この映画自体はそこそこ面白かった)。
(註7) マナバーン
2004年の当時はまだマナバーンが健在だった。
(註8) (1/2)マナは使い切れない
実はこのルール講座の最後の一文、公式サイト側では画像と重なってしまっているせいか画面に表示されていない。全文コピペすることで偶然発見できた。この翻訳を読んだ方は少し得したと思ってもよいし、思わなくともよい。
(註9) おーふろーたーく
原文では《Ooflotak》。ググッてみたけど、広い世界でもマーク・ゴットリーブしか使ってない単語みたいで、彼が今までに書いたコラムしかヒットしなかった。要は、全然分からなかった、ということ。詳細をご存知の方いらっしゃいましたら教えてください。
(註10) よくある質問というか答えないと混乱が収まらないよ集
リンク先は以下のURL。マーク・ローズウォーター渾身の作である、アンヒンジドのFAQ。なお「よくある質問というか答えないと混乱が収まらないよ集」という訳は、某所で有志が訳した際の名残り。
http://www.wizards.com/Magic/TCG/Article.aspx?x=magic/faq/unhinged
(註11) バザーるでござーる
原文では「How Bazaar」。言い訳はしないし、謝らない。一応、説明しておくと「Bizarre」で「奇妙な」という意味があり「なんと奇妙なことだろう(How bizarre.)」という文章を元にしたダジャレ(「Bizarre」と「Bazaar」をかけている)と思われる。
2004年12月09日
Mark Gottlieb
元記事:http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtgcom/daily/mg153
(訳註) カード名について
基本的にカード名については日本語版があるものも英語表記のみの記載。日本語のカード名が出てきたら、基本的にすべて《_____》を指していると思って欲しい。
スコット・ジョンズ「だけどこのコラムには何も無いじゃないか!」
マーク・ゴットリーブ「違う。何も無い、があるんだ」
その通りだよ、よい子の諸君。「となりのサインフェルド」における不変の慣習に従い(原文:In the immortal tradition of Seinfeld)、今日のコラムは「無」についてだ。
いや、ときどきは《Kjeldoran Phalanx》(註1)についてとも言えるし、ときどきは《Form of the Dragon》についてとも言えるし、ときどきは《Accumulated Knowledge》についてとも言えるし、ときどきは《一般的なウォンバットのダンスパートナー》についてとも言えるし(いや、待て、それは先月の話(註2)だった)、ときどきは《玄関からおどけたアーロン・フォーサイスが飛び込んできて、うちの冷蔵庫を漁っている》こともある(註3)。
楽しくなってきた!
無実の罪なんてありえ無い
何も無い、の何がそんなにいけないっていうんだ。陰鬱な宇宙のど真ん中で休暇を過ごしたいと思わない人がいるだろうか? いや、いないね!だって、きっとすごいリラックスできるはず。締め切りもない、Eメールもない、空気もない。
素晴らしい!
無というコンセプトが指し示すものは言い換えると全ての欠如だ。普段、君が目にしている何かが無い、ってことだ。
例えば、うちの冷蔵庫が空っぽだよ、と不満をもらすことはよくあるけど、実際は本当に何も入ってない、ってわけじゃない。
もし君が僕を疑うなら、そこに入っている黒い粘体(かつてトマトと呼ばれていたもの)の後ろで暮らしている苔のかけら(知性をもった奴)に聞いてもらえば分かるはずさ。
心配することなんて何も無い
何について言いたいかというと(沈黙が流れた際の効果音)だよ。あれ? いや、だから《 》の話だ。あれだよ、あれ、ほら、アンヒンジドの名前のついてないカード!
個人的にこのカードの名前(もしくは名前がついてないこと)はどうしても気に入らなかったので、このカードについてマーク・ローズウォーターと散々議論した。能力はいい、許す。だけど言及する際の面倒は本当に腹立たしい。名前がないことによるお楽しみより、ずっと、ずっと腹立たしい。僕は、プリンスが(発音不可能な記号)と改名したとき(註4)も、小躍りして喜ぶより単に心底いらついた側だ。
ところがどっこいそんな僕の嘆願は聞き入れられなかった。マーク・ローズウォーターはそんないらつかせる要素すら面白みにつながると思ったらしい。
そういうわけだから、僕は以後このコラムではこのカードを何らかの名前で呼ぶことにするよ。僕が適当につける名前だ。ああ、じゃあ、こうしよう。このカードの能力を起動したと思えばいい。この能力は「いつでもどこでも」使っていいんだろ?
この の一番分かりやすい使い方は、同じアンヒンジドに収録されている《Now I Know My ABC’s》とのコンボだ。2つ並べれば目的地への道のりを半分は踏破したようなものだしね。
おまけのルール講座:
クリエイティブな僕はこのコラムの中で好き勝手させてもらってるけど、君が変更することの出来るカード名は実在するマジックのカード名のみだ。だから《いろはにほへと(中略)ゑひもせすエレメンタル》とか召喚しちゃ駄目だぞ。
ポール・バークレーは、皆が噂しているようなことはなくて、実はちゃんとアルファベットを全部言える。だからポールが、どうやったら勝利条件を満たせるかを調べるのに時間を使ったからって不思議なことは何もない。以下が彼の案だ。
その1:
《Now I Know My ABC’s》
《Kjeldoran Phalanx》
《Venomous Dragonfly》
《Quirion Trailblazer》
その2:
《Now I Know My ABC’s》
《Kjeldoran Outpost》
《Vizzerdrix》
《Questing Phelddagrif》
その3:
《Now I Know My ABC’s》
《Teferi’s Puzzle Box》
《Jhovall Queen》
《Erg Raiders》
素晴らしいね。ちなみに最後の《Erg Raiders》は「D」と「G」を含んでさえいれば別に何でもいいよ。代わりは600枚以上あるはずだから好きにしてくれ。
ポール曰く《Alexi, Zephyr Mage》の利便性の高さは特筆すべきものがある、とのこと。
ここに付け加えるとすれば、《Now I Know My ABC’s》で勝とうとするということは場に《Now I Know My ABC’s》があるということで、つまり「K」とか「W」のような使いづらい文字はすでに解決済みだということ。さらに付け加えるなら《Now I Know My ABC’s》で勝とうと思っているってことはアンヒンジドが使用可能なフォーマットってことで、つまり《名無しのジョー》を入れてもいいってこと。幸い、こいつは《Now I Know My ABC’s》と同じ色で、しかも《Vizzerdrix》や《Kjeldoran Phalanx》や《Jhovall Queen》と違ってたったの2マナで済むし、非常に融通の効くカードだ。
デッキの残りはどうしようか。最初に考えたのは、ポールの案を全部デッキにぶちこむことだ。簡単に置き換え可能な《Erg Raiders》を除くと、全てのカードは白・青・緑の3色に収まる。ただあまりに重過ぎるカードが多いので、いくつか抜くことにした。さらに僕は土地も勘定に入れることにした。
最初に探したのはもちろん《Erg Raiders》のかわりとなる「D」と「G」を含む土地だ。そうすれば《Now I Know My ABC’s》と《Teferi’s Puzzle Box》と《Jhovall Queen》、そして土地があれば勝利条件を満たせることになるからね。
そこで僕は、あることに気づいた。もし全ての土地に共通で含まれる文字があったらどうなるよ? もし全部の土地に「V」が含まれていれば「V」のためだけに入れているパーマネントは用無しだぜ!? ってなわけで、雪かぶり(Snow-Covered)土地には感謝しないといけない。おかげで随分助かった。
デッキ名:Pangram Fever(註5)
土地
4 Faerie Conclave
4 Havenwood Battleground
2 Rushwood Grove
2 Snow-Covered Forest
4 Snow-Covered Island
7 Snow-Covered Plains
1 Soldevi Excavations
---------------------------------------
24 lands
クリーチャー
4 _____
4 Alexi, Zephyr Mage
3 Daraja Griffin
3 Kjeldoran Phalanx
3 Questing Phelddagrif
4 Quirion Trailblazer
---------------------------------------
21 creatures
呪文
3 Jeweled Torque
4 Now I Know My ABC’s
2 Phyrexian Lens
2 Talisman of Progress
4 Teferi’s Puzzle Box
---------------------------------------
15 other spells
このデッキには勝利条件を満たせる組み合わせが「4種類+土地」なら何通りもあるし「3種類+特定の土地」なら以下の2通りがある。
その1:
《Now I Know My ABC’s》
《Alexi, Zephyr Mage》
《Jeweled Torque》
《Snow-Covered Forest》もしくは《Faerie Conclave》
その2:
《Now I Know My ABC’s》
《Teferi’s Puzzle Box》
《Jeweled Torque》
《Havenwood Battleground》もしくは《Rushwood Grove》
上記に加えて当然《いまいち煮え切らないキャプテン》も手助けしてくれるはずだ。
おまけのルール講座:
こいつの能力はふるい落とされることがないことに注意。一度でも名前を変えたら、再度変更するまでその名前のままだ。つまり一度でも名前を変えたら、二度と に戻ることはない。
適切で無いということも無い
読者であるCrusadoerからもらったお便りに書かれてた《ヴォルラスの怪人二十面相》の使い道を2つ紹介するよ。
1つは《Retraced Image》とのコンボだ。想像してごらん、まず2ターン目に《無地の石版くん》を召喚するだろ? 3ターン目にその名前を《Akroma, Angel of Wrath》に変更してから《Retraced Image》を唱えれば、手札にある《Akroma, Angel of Wrath》が戦場にタダで出てくる、ってな寸法だ(伝説性を持つ《Akroma, Angel of Wrath》は1体しか戦場にいないのでレジェンドルールは適用されないのがポイント)。
おまけのルール講座:
《空欄さん》の能力はどんなカードの名前でも選べる。クリーチャーでなくてもいい。
さっそくこの使い方に注目してみた。どうやら《Bifurcate》は《Retraced Image》よりさらに1歩優れているっぽい。何せ手札じゃなくてデッキから直接デカブツをつかみ出して戦場に叩きつけることが出来るんだからね。他にも《Mask of the Mimic》は《Bifurcate》より安い上にインスタントで《変装の大名人》(註6)と同じ色なのでデッキも組みやすいけど、他に生け贄に捧げるクリーチャーを1体要求するのが玉に瑕。
すぐに気づいたんだけど、別にデカブツに限る必要はないな。
いや、気づいた、って言ったけど、実はCrusaderのお便りに力いっぱい書かれてたんだ。《Gleemax》を場に出す手段としても使えるぜ、ってね。《Bifurcate》はクリーチャーしか持ってこられないけど《Retraced Image》はそんなケチなことは言わない。
それに実は《Mask of the Mimic》にも抜け道がある。これ、クリーチャーしか対象にとれないけど、実は場に出すカードについては特に制限していないんだよね。
おまけのルール講座:
「いつでもどこでも」ってことは《俺の名前を言ってみろ!》の能力は、こいつが墓地にいようが、手札にいようが、ライブラリにいようが使えるってことだ。いや、実はゲーム内にいなくても使える。アンヒンジドのフォーマットで遊んでるならマナが余ることはないってことさ。マナバーン(註7)よ、さらば! あ、ただし(1/2)マナだけは使い切れないから注意して(註8)。
もちろんこのデッキは《記憶喪失さん》を引かなければゴミデッキと化すので、何とかしないといけない。まず、墓地に落ちてしまった彼らは《Myr Servitor》がいればすぐに場に戻せる。さらにこのマイアは《Mask of the Mimic》のいい餌になる。ライブラリにいる場合は《Skyshroud Sentinel》を使えば引っ張り出せる(もちろんその前にライブラリにいる彼らの名前を《Skyshroud Sentinel》に変えないといけないけど)。
あとはデッキの残りを最速3ターン目に戦場に出したくなるような馬鹿みたいに強いデカブツたちとぶっ壊れたエンチャントで埋めれば完成だ。
デッキ名:証人保護プログラム
土地
2 Blinkmoth Nexus
4 City of Brass
4 Forest
3 Gemstone Mine
3 Island
2 Mirrodin’s Core
2 Treva’s Ruins
4 Yavimaya Coast
---------------------------------------
24 lands
クリーチャー
4 _____
1 Akroma, Angel of Wrath
4 Birds of Paradise
1 Darksteel Colossus
3 Myr Servitor
1 Platinum Angel
1 Serra Avatar
4 Skyshroud Sentinel
1 Sundering Titan
1 Verdant Force
---------------------------------------
21 creatures
呪文
4 Bifurcate
1 Decree of Silence
1 Form of the Dragon
4 Mask of the Mimic
4 Retraced Image
1 Yawgmoth’s Bargain
---------------------------------------
15 other spells
ごわごわするものは何も着ない
《ID泥棒》の使い道はあまりに多岐にわたるのでこんなお粗末なコラムじゃとても語り尽くせやしないんだけど、あえてもう少し頑張ってみる。
その1
オデッセイのShrineサイクル(ああ、悪いほうのShrineサイクルね)と使ってみよう! 墓地にいる間に名前を変えれば、ほら簡単。
その2
似てるけどちょっと違う使い方としては、こいつらを墓地に放り込んで《Kindle》や《Flame Burst》の威力を上げるとか。
その3
《Winnow》と《アンダーラインさん》を組み合わせると、あら不思議、白単色でキャントリップの《Vindicate》だ。
その4
《Spirit of the Night》か《Viashivan Dragon》デッキに加えてみよう。《Urborg Panther》か《Kyscu Drake》はどっちにせよ必要だけど、《Breathstealer》や《Feral Shadow》や《Spitting Drake》のかわりにはなるからね。
その5
デッキを作ろうと思って途中でやめたコンボは《ここにお名前を記入ください》と《Pack Hunt》と《Pyromancy》の組み合わせ。《Draco》3体を同時に持ってこられる。
永遠に残るものなんて無い
Crusaderのお便りに書かれていた他の提案としては《片手で拍手したときの音みたいな》と《Bazaar of Wonders》の組み合わせがある。
たまんねえ。
大事なことなのでもう1回言うよ。た ま ん ね え な! こいつは想像よりきっつい。うん、こういうの大好き。
このコンボがあれば君は「(1):対象の呪文を打ち消す」の能力を得るんだ(どうやるのかって? 対戦相手が呪文を唱えたら《Bazaar of Wonders》がトリガーするだろ? 対応して《経理部のボブ》を対象の呪文と同じ名前にするんだ。《Bazaar of Wonders》の能力が解決されて、対象の呪文は打ち消されるってな具合さ)。
うーん、これで勝てなきゃ嘘だね。いや、まあ確かに《Blinkmoth Nexus》やら他のミシュランドはどうしようもないし、すでに戦場に出てるカードもどうにかしないといけないけどね。それでもこのコンボはマジできっつい。
このデッキを組むならカードを引く方法が必要だと思う。
《Accumulated Knowledge》は墓地に《ごめん、そろそろネタが尽きてきた》が落ちてれば楽しいことになる。《Intuition》は《Accumulated Knowledge》と楽しいことができるけど、大抵の場合は3枚の《Bazaar of Wonders》を引っ張ってくることになるだろうね。《Urza’s Hot Tub》があれば《もういいよね?》が《Diabolic Tutor》に化ける……ああ、念のためにはっきり書いとくよ。手札にあるそれの名前を《Diabolic Tutor》にしろって意味じゃなくて、ライブラリから引っ張って来たいカードの名前に変えてから《Urza’s Hot Tub》で捨てるって意味だからね。それによって3マナでデッキに入っている好きなカードを引いて来られるわけさ。
おまけのルール講座:
「いつでも」ってあるけど《おーふろーたーく》(註9)の能力を他の呪文や能力の解決中に起動することは出来ない。
色々書いたけど、僕の好みのドローエンジンは《さすがにもう無理》と《My First Tome》の組み合わせだ。《実はなかなか融通の利くフレーバーテキストを持ってるんだよ、こいつ》とフレーバーテキストを持つカード(例えばアーティファクト土地とか。デッキに入ってる理由はそれ)の両方を手札に持って、戦場に《My First Tome》を置けば準備完了。
《ミミズのケツ》のフレーバーテキストをもう片方のカードのフレーバーテキストと完全に同じにするんだ(うん、実はこのフレーバーテキストの能力はちゃんと起動できるんだけど、初めて試す相手には念のために「よくある質問というか答えないと混乱が収まらないよ集」(註10)をプリントアウトしておいたほうがいいだろうね)。それから《My First Tome》を起動して、そのフレーバーテキストを読めばコンボ完成。
対戦相手が《 》を選んだら、本物のフレーバーテキストを持つ方を見せる。
対戦相手が本物のフレーバーテキストを持つ方を選んだら、《 》を見せる。
(訳注:反則です)
2マナの《Jayemdae Tome》の完成だ! もちろんこれは違法そのもので、司法の網("マーク・ローズウォーター"と呼んでもいい)に今まで気づかれずに済んでいたからなんとかなったけど、バレた以上は早急にパッチを貼られてしまうだろうね。
マジックのプレイヤーは紳士たれ、という原則をかんがみるに、このコンボはちょっとした議論を巻き起こすかもしれないし、《My First Tome》を悪用させないためのテクニックが今後発明される危険性もある(例えば、選んだ手札をテーブルに伏せておくようにすることで、相手の宣言のあとにすりかえ出来なくさせられたりするかもしれない)。マーク・ローズウォーターがどんな手を打ってくるかは分からないけど、それまでに使い倒しておくことをオススメするよ!
最後に紹介するコンボは《名も無き者/Nameless One (オンスロートのアレじゃないほう)》と《Grim Reminder》を組み合わせたもの。対戦相手が呪文(どんな呪文でもいい)を唱えたら、ライブラリに入っている例のカードの名前をその呪文と同じ名前にしてから《Grim Reminder》をプレイする。例のアレが見つかって、やったね、6点だ。
《潜入捜査官のアニキ》はあらためてライブラリに潜り込み、君はマナを払って《Grim Reminder》を墓地から釣り上げ、最初に戻る。
まあ要するにこのデッキの基本コンセプトは「対戦相手が呪文を唱える。打ち消すか、6点か、両方か」ってこと。
もし相手が手札を溜め込むようなら《Iron Maiden》の出番だ(ああ、うん、大丈夫だよ、ちゃんとデッキに《Iron Maiden》入れてるよ)。そして《Bazaar of Wonders》が出る前に戦場に出てしまったカードたちを掃除しつつ《Iron Maiden》に燃料を投下するため、かつカード・アドバンテージも得てしまおうというわけで、このデッキには《Turbulent Dreams》が入っている。バザーコンボが発動してしまったあとの無駄カードの使い道としては最上級のものだろ?
デッキ名:バザーるでござーる(註11)
土地
1 Darkwater Catacombs
6 Island
3 Polluted Delta
1 Reflecting Pool
4 Salt Marsh
4 Seat of the Synod
1 Swamp
1 Temple of the False God
3 Vault of Whispers
---------------------------------------
24 lands
クリーチャー
4 _____
---------------------------------------
4 creatures
呪文
4 Accumulated Knowledge
4 Bazaar of Wonders
4 Grim Reminder
4 Intuition
4 Iron Maiden
3 My First Tome
4 Sleight of Hand
4 Turbulent Dreams
1 Urza’s Hot Tub
---------------------------------------
32 other spells
最後の最後におまけのトリビア。
相手に《Bazaar of Wonders》コンボを発動されたとしても、君が《名前村 名前ノ助》を唱えるのを止めることはできない。手札にある間に、戦場にも墓地にもないカードの名前に変えてしまえば《Bazaar of Wonders》の魔の手から逃れることが出来る。
また来週。それまで で楽しんでくれ。
(註1) カード名について
この翻訳版では、基本的にカード名については日本語版があるものも英語表記のみの記載。日本語のカード名が出てきたら、基本的にすべて《_____》を指していると思って欲しい。
(註2) 先月の話
このコラムの1ヶ月前に書かれた「Doctor Strangewombat」の話。こんな題名なのに記事にウォンバットが登場していない不思議。エンチャントの話だからかな。
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtgcom/daily/mg151
(註3) 玄関からおどけたアーロン・フォーサイスが飛び込んできて(以下略)
いや、本当に原文にそう書いてあるんだって!
(註4) プリンスが(発音不可能な記号)と改名したとき
ミュージシャンのプリンスが1994年に芸名を改名したとき、改名後の芸名が彼によるオリジナルの記号で、公式な読みが存在しなかったらしい。
(註5) Pangram Fever
Pangramはアルファベットを全て使った文章のこと。日本語にあえて訳すなら「いろはフィーバー」かな、と思ったけどあまりにひどい訳なので文中に書くのはやめた。
(註6) 変装の大名人
原文では《Master of Dis Guys》。あえて訳せば《駄目人間たちの親玉》とか《侮られる男たちの頭領》とかになるけど、多分これは《Master of Disguise》をもじったものなので、素直に訳してみた。なお《The Master of Disguise》(邦題:変身パワーズ)というコメディ映画がある。多分これが元ネタ。さらに余談ながら、この邦題は主役が《オースティンパワーズ》と同じ役者だから、という理由だけでつけられたものと思われる。ひどい話だ(余談の余談:この映画自体はそこそこ面白かった)。
(註7) マナバーン
2004年の当時はまだマナバーンが健在だった。
(註8) (1/2)マナは使い切れない
実はこのルール講座の最後の一文、公式サイト側では画像と重なってしまっているせいか画面に表示されていない。全文コピペすることで偶然発見できた。この翻訳を読んだ方は少し得したと思ってもよいし、思わなくともよい。
(註9) おーふろーたーく
原文では《Ooflotak》。ググッてみたけど、広い世界でもマーク・ゴットリーブしか使ってない単語みたいで、彼が今までに書いたコラムしかヒットしなかった。要は、全然分からなかった、ということ。詳細をご存知の方いらっしゃいましたら教えてください。
(註10) よくある質問というか答えないと混乱が収まらないよ集
リンク先は以下のURL。マーク・ローズウォーター渾身の作である、アンヒンジドのFAQ。なお「よくある質問というか答えないと混乱が収まらないよ集」という訳は、某所で有志が訳した際の名残り。
http://www.wizards.com/Magic/TCG/Article.aspx?x=magic/faq/unhinged
(註11) バザーるでござーる
原文では「How Bazaar」。言い訳はしないし、謝らない。一応、説明しておくと「Bizarre」で「奇妙な」という意味があり「なんと奇妙なことだろう(How bizarre.)」という文章を元にしたダジャレ(「Bizarre」と「Bazaar」をかけている)と思われる。
Card of the Day - 2011/01/12
2011年1月12日 Card of the Day_____ - アンヒンジド アンコモン
名前のないカードにどれほど使い道があるだろうか?
まあ、大したことは出来ないだろう。しかし、自身の名前をどんなカード名にも変えられるカードの使い道なら? マーク・ゴットリーブがその疑問に対する回答(註1)を詳細に述べてくれた……その答えは「とてもたくさん」だ。
そこの君、《不思議のバザール/Bazaar of Wonders》は思いつかなかっただろう?
(註1) 疑問に対する回答
リンク先は以下のURL。《 》について書かれたコラム(註2)。
http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtgcom/daily/mg153
(註2) コラム
面白かったので訳してみた。
http://regiant.diarynote.jp/201101130407484233/
<カードデータ>
_____ (1)(青)
クリーチャー - 多相の戦士(Shapeshifter)
(1):このカードのカード名は、あなたが選んだ名前になる。この能力はいつでも、どこでも使用できる。
1/1
カードデータ 引用元:
http://whisper.wisdom-guild.net/card/+_____/
元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0111
Card of the Day - 2011/01/13
2011年1月13日 Card of the Day第六隊の刃/Blade of the Sixth Pride - 未来予知 コモン
未来予知がマジックにもたらしたものの1つに未来のカード枠があり、特にバニラ・クリーチャーたち(註1)は独自のテキストレス版のデザインを持っている。このデザインのマナコスト欄は8つのマナシンボルを表示できるだけの幅があるため、どんなクリーチャーでもこのデザインに落とし込める。
あ、いや、どんなバニラ・クリーチャーでも、だ。
ごめんよ、《大祖始/Progenitus》と《B.F.M.(Big Furry Monster)》!(註2)
(註1) バニラ・クリーチャー
能力を一切もたないクリーチャーの総称。特別な味のついてないアイスクリームがバニラだから、ということらしい。バニラはバニラ味なのに。
(註2) 《大祖始/Progenitus》と《B.F.M.(Big Furry Monster)》
それぞれマナコストは以下の通りで、8つより多くのシンボルを必要とする。
《大祖始/Progenitus》
(白)(白)(青)(青)(黒)(黒)(赤)(赤)(緑)(緑)
《B.F.M.(Big Furry Monster)》
(黒)(黒)(黒)(黒)(黒)(黒)(黒)(黒)(黒)(黒)(黒)(黒)(黒)(黒)(黒)
<カードデータ>
Blade of the Sixth Pride / 第六隊の刃 (1)(白)
クリーチャー - 猫(Cat) レベル(Rebel)
3/1
カードデータ 引用元:
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Blade+of+the+Sixth+Pride/
元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0111
Card of the Day - 2011/01/14
2011年1月14日 Card of the DayLook at Me, I’m R&D - アンヒンジド レア
《Look at Me, I’m R&D》はマジックにおいてアーティスト名が載っていない唯一のカードである。なにせイラストが載っていないんだから!
<カードデータ>
Look at Me, I’m R&D (2)(白)
エンチャント
Look at Me, I’m R&Dが戦場に出るに際し、数を1つと、その数より1つ多いか1つ少ない数を1つ選ぶ。
パーマネント、呪文、あらゆる領域にあるカードに書かれている1つ目の数は2つ目の数である。
カードデータ 引用元:
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Look+at+Me%2C+I%27m+R%26D/
元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0111
タイムマシンの作り方/How to Make a Time Machine:Daily MTG
Tom LaPille
2011年01月14日
元記事:http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/ld/125
マスターズエディションIIIとマスターズエディションIVの2つは、私がウィザード社にいるあいだに手がけたもっとも楽しいプロジェクトだ。両セットのプレビュー記事は書いたが、それに飽き足らず私はこれらマスターズエディションの開発プロセスについて歯ごたえのある記事を書きたいとずっと思っていた。
そしてこの記事こそがそれだ。
マジックオンラインがリリースされたとき、当時もっとも直近のブロックはInvasionとOdysseyだった。Invasionより後にリリースされていたセットは、オンラインでもリリースされた。その後、私たちはMirageオンラインも発売し、さらにMirage後のセットも同様にオンライン版がリリースされ始めた。今や私たちはUrza’s Legacyまで辿り着いた。しかしMirage以前のセットはいまだオンラインではリリースされていない。なぜか?
まず最初にマジックオンラインの現実というものについて説明したい。紙のマジックでは多くのプレイヤーはカードが欲しいときにパックを購入する。それに対し、マジックオンラインの参加者たちはリミテッドを通じてカードを入手することを好む。考えてみれば、別に驚くようなことではない。マジックオンラインはこれ以上ないほどドラフトに適した空間なのだから。いつでも遊びたいときに相手が存在し、望むなら何度でも挑戦できる。
私たちは The Dark のオンライン版をリリースすることも出来ないことはなかった。もっともそれはろくな結果にならなかっただろう。おそらくだが、君たちの多くはThe Darkでドラフトを試みたことはないと思う。私はある。あれはひどかった。ああ、私は決して The Dark のデザイナーや開発者を責めているわけじゃない。当時、ブースタードラフトなどという遊び方は存在しなかったからだ。ただ、それはそれとして、The Dark のドラフトは本当にひどいものだ。皆にこんな思いは味わって欲しくない。私以外にもMirage以前のセットを用いてドラフトを試みた人たちを何人か知っているが、彼らも私と大して変わらない目にあったようだ。
当時、なぜこれらのドラフトが上手くいかないのか、その原因について、さらに調査しようという気は起きなかった。それから数年後、マスターズエディションのセットたちに取り組んだとき、その作業を通じて何が原因だったのかを知った。
旧セットのクリーチャーは弱すぎる
昨今のリミテッドは全てクリーチャーによる戦闘を中心に回っている。よってクリーチャーのパワーはある一定の高さを求められるし、低いレアリティに一定数以上の数のクリーチャーがいないとゲームが上手く回らない。Mirage以前のセットではこれらのことが明らかに考慮されていなかった。
例えばLegendsだ。コモンの赤い単色クリーチャーはKoboldたち、壁、それと《Blazing Effigy》だけだ(訳注:パワーが0のクリーチャーか、攻撃に参加できないクリーチャーしかいない、ということ)。
これでドラフトを楽しめ、というのは無理な注文だ。それに仮に十分な数のクリーチャーをとれたとしても、今のクリーチャーに比べるとずっと質の劣るものしかない。
当時はインスタントがほとんど無い
昨今のリミテッドで重要な位置を占めるのはクリーチャー同士による戦闘だということは最初に述べた。そのクリーチャー同士の戦闘が面白くなるための大事な要素として、ぶつかりあったあとの結果が簡単に予想できるものであってはならない、ということがある。戦闘に驚きを加えるもの、それこそがインスタントだ。
戦闘にサプライズをもたらすために、私たちはセットをデザインするときには、戦闘中に対戦相手の予想を台無しにできるカードを大量に放り込むようにしている。さらには、それらのカードが全ての色にまんべんなく行き渡るように努力している。
例えばMagic 2011には以下のようなカードが収録されている。《Mighty Leap》《Diminish》《Stabbing Pain》《Thunder Strike》《Giant Growth》これら全てがどんなデッキでもプレイに値するほど強いとは言えないが、これら5枚のカード全てに私は戦闘で痛い目に合ったことがある。Mirage以前のセットにはこういったカードが大して入っていなかった。おそらく、なぜなら誰もドラフトという遊び方を知らなかったからだろう。
白と緑はとくにひどい
最近のセットでは白と緑の強みは主にクリーチャーだ。そのかわり呪文は多少弱めに作ってあることで、他の色とのパワーバランスをとっている。すでに述べたとおり、過去のセットではクリーチャーの強さが今に比べて随分と落ちる。白と緑のクリーチャーも例外ではない。これが何を意味するかというと、白と緑は他の色よりも割を食っているということだ。
さらに特筆すべきこととして《Pacifism》の初出はMirageであり、それ自体もその亜種もMirage以前には存在していない。さらに今では習慣的に加えられることとなっている《Giant Growth》系のカードも緑にはなかった。最近のセットで白と緑の強さを支えている2つの最も重要な要素が過去のセットには欠けているということだ。これらのカードなしに、さらには他の色に与えられている強力な呪文に対抗するクリーチャーもない。白と緑はただただ不利だ。
レアがリミテッド向けの強さをもっていない
リミテッドにおけるレアカードには2つの重要な仕事がある。
1つにはプレイヤーに指針を与えるということがある。もし君がパックを開けて《Shivan Dragon》を引いたら、君は基本的に「よし、赤をやろう」と思うだろう。パックを開けて《Mahamoti Djinn》を引いたら、もちろん話は別だ。君は「青に向かうぞ」という考えを持つはずだ。レアが与えてくれる指針はそれだけじゃない。君に特定の方向に偏ったユニークなデッキを作るよう仕向ける力もある。例えば《Overwhelming Stampede》は非常に強力なカードで、初手に取らないなんてことはあり得ない。
しかしそのカードを入れることによって普段よりも多めのクリーチャーをデッキに入れたくなる衝動に駆られるだろうし、《Overwhelming Stampede》を初手にとることによって、普段なら《Giant Growth》をとるところで《Sacred Wolf》をピックしてしまうかもしれない。このように、色やデッキ全体についてピックの指針を定めてくれる、ということに加えて、レアにはもう1つの仕事がある。
ゲームを終わらせることだ。
ゲームがグダってしまったとき、多くの場合は圧倒的なレアパワーが降臨してゲームと退屈を終わらせてくれる。デッキに指針を与えてくれること、ゲームを終わりへと導いてくれること、この2つがレアに求められている非常に重要な機能だ。
Mirage以前のセットにはユニークで使ってみたくなる面白いレアがたくさんあるが、残念なことにそういったレアの多くは一般的なリミテッドに入れるにはあまりに効果が尖りすぎているのだ。これは、デッキに入れたくなるレアの枚数が足りないということを意味する。私たちはプレイヤーが、レアはデッキに入れることできっとすごいことを引き起こしてくれるはずだ、と信じていることを知っているにも関わらず、だ。
ここまで述べてきたように、過去のセットでドラフトをするということには様々な問題があったが、ありがたいことに私とエリックはマスターズエディションIVでそれらの問題に上手く対処できたと思っている。さて、どうやったのか?
クリーチャー
上で述べたとおり、古いセットのクリーチャーたちは弱い。本当に弱い。
嬉しいことにポータルセットのクリーチャーについてはそのようなことはなかった。これによって私たちは随分と助けられた。ポータルには昨今のリミテッドでは主食に当たる《Ironhoof Ox》《Alaborn Musketeer》《Cloud Spirit》《Goblin Firestarter》《Foul Spirit》のようなカードたちがてんこ盛りだった。
もちろん、これらのようなカードに出来ることは限られていて、フォーマットに特有の雰囲気やユニークさをもたらすことは難しい。しかし、そういった役割は Limited Edition Beta や Arabian Nights や Antiquities に任せればいい。私たちに欠けていたのはシンプルなカードたちで、ポータルがもたらしてくれたものこそ、まさにそれだったのだ。
ポータルのクリーチャーを用いてコモンのスロットを埋めることによって、クリエイティブな面からセットを見たとき多少奇妙なことが起きてしまう。例えば、ここ最近の色の役割からすると《Alaborn Musketeer》の到達能力は白いクリーチャーが持つ能力にしては奇妙に見えるかもしれないが、これは彼の持つ立派な銃によって正当化されている。マスターズエディションIIIはさらに変なことになっていて、ヒロイックファンタジーそのものな《Marhault Elsdragon》や《Riven Turnbull》の隣で、現実の歴史上の人物である中国人たちがポータル三国志のセットから参加していた。
私はたまに、もしポータルのセットを作ったデザイナーや開発チームが《Southern Elephant》を《Elephant Graveyard》で再生するところや、《Shu Elite Companions》が《Arcades Sabboth》の脇をすり抜けて行くのを見たらどう思うんだろう、と考えてしまう。
何にせよ、上で説明したようなクリーチャーの強さやコモンにあるべきクリーチャーの枚数などが、遊んで楽しいマスターズのセットを作るために考慮すべきことだった。結果として、混沌としつつもユニークな雰囲気をセットに与えることにも成功した。私はこの結果を楽しんでいるよ。
インスタントについて
この最後のインスタントに関する問題点については、クリーチャーに関する問題点とは対照的に、ポータルというセットはほとんど頼りにならない。なぜならポータルというセットはインスタントを除く形でデザインされたからだ。私たちはポータルから何枚かのカードをインスタントとして手直しして収録した。それらのカードは本来の機能がインスタントして用いられるべきものだったからだ。しかしそれによって得ることができたのはほんのわずかなカード、《False Summoning》と《Just Fate》のみだ。
その他のインスタントについては他の場所を探さざるを得なかった。その結果、過去のマスターズセットで再録していなかったインスタントがまだまだ残っていることに気がつかされた。《Crumble》《Divine Offering》《Terror》などは最近のセットと比較しても強力なインスタントの除去呪文だ。《Gravebind》《Sandstorm》《Just Fate》《Howl From Beyond》《Fog》は、戦闘を対戦相手の予想外の方向へ導くことができる。
これらのカードは昨今のセットに収録するようなカードと比べると見劣りするが、私たちには大した選択肢はなかった。戦闘に影響を与え得るものであると見れば、全ての(文字通り全ての)インスタントを再録した。《Healing Salve》さえもだ。セットに対する貢献の度合いからすると《Giant Growth》の再録がもっとも大きい。このカード以外に緑のパンプアップ呪文が1つもなかったため、すでに過去のマスターズのセット全てに含まれていることは分かっていてもこれは再録されるべきだった。Mirage以前のセットにおいて、同じような働きをしてくれるカードが本当に1つも無かったのだ。
最終的に、リミテッドを楽しんでもらうに十分な枚数のインスタントがセットに収録された、と私は信じている。私はさらに多くのインスタントを収録したかった。そうすればいくらかをアンコモンに回すことになっただろう。それによって、目につく回数が少なめとなり and not be as correct to play around だったはずだ。しかし本当にそれ以上収録できるインスタントがまったく無かった。
何にせよ、今の最終形で全て上手く回るはずだと信じている。
白と緑のカードについて
最初に挙げた問題点のうち、白と緑の強さを高めることがもっとも難しい問題点だった。マスターズエディションIVで白は質の悪い《Pacifism》である《Serra Bestiary》とセット中でも特に強いコモンである《Divine Offering》を得ている。特に後者は《Obsianus Golem》や《Clay Statue》が戦闘で主力となるであろうこのセットでは汚いほどに強いはずだ。また白はアグレッシブに攻めることも出来る。戦場にクリーチャーを大量に並べているときにコモンの《Righteous Charge》の助けを借りればあっという間にゲームを終わらせることが出来る。
緑を強くするのはもっと大変だった。とりあえず《Crumble》と《Scavenger Folk》は両方とも優秀な除去カードで、君の助けとなってくれるだろう。他にも《Citanul Druid》と《Argothian Pixies》は同様にアーティファクトに対して頼れるカードたちだ。《Ironhoof Ox》《Southern Elephant》《War Mammoth》はこのフォーマットでは効率の良いファッティと考えてよいだろう。ただ、もし対戦相手がアーティファクト少なめの緑を主体としたデッキだったときは、かなりの苦戦が予想される。
まあ、それはそれとして、緑を使おうと思っているプレイヤーへ私からの助言だ。《Elephant Graveyard》を見逃さないように。これは上記に挙げた《War Mammoth》や《Southern Elephant》をさらに凶暴なものに出来るカードだ。
レアについて
マスターズエディションIVにおいて構築フォーマット向けの強いレアを用意するのは非常に簡単だったが、リミテッドを面白くするレアを探すのが大変だった。
これは本当に大変だった。何せレアというのが《Eye of Chaos》《Leeches》《Naked Singularity》と言ったカードたちだ。
これらをマジックオンラインに加えたいことは確かなのだが、リミテッドにおいては明らかに使い道がない。リミテッドで開封したパックにおいて、これらは無地のカードと大差ない。明らかにプレイヤーを失望させること間違いなしだ。
リミテッド向けのカードを探すため、私たちはさらに底の底までさらってみる必要があった。またここでポータルが私たちを救ってくれた。《Cloud Dragon》《Dread Reaper》《Thunder Dragon》などのシンプルだがデカいクリーチャーたちが見つかるたびに収録することを決めた。しばらくして、ゲームを終わらせるパワーを持ったレアの比率は十分なほどに高まった。レガシーやクラシックのフォーマットで君をわくわくさせるカードが《Deathcoil Wurm》や《Minion of Tevesh Szat》ではなくなったわけだが、それでもこれらを引いたときは嬉しいに違いないと思う。(訳注:どうかなあ…)
リミテッドでゲームを終わらせるだけのパワーをもったカードを入れようと四苦八苦した結果、よく似た効果の2枚のカードが収録されてしまう事態がちょくちょく発生した。例えば《Overwhelming Forces》と《Rain of Daggers》は両方とも単細胞的な大ぶりの重たい呪文だ。どちらもゲームを終わらせてくれるという意味でも同じだ。
紙のマジックではこのようなことが起きないように注意を払うところだが、今回は新たなカードを作るわけにもいかない。それにこれら2枚のカードたちが示すデッキの指針は異なるものだ。《Overwhelming Forces》はこの呪文を唱えられるまで生き延びられるような気の長いコントロールデッキへ君を向かわせるが、ライフロスを強要する《Rain of Daggers》はより前のめりなデッキを要求する。こういった微妙な違いを持つペアがマスターズエディションIVにはいくつか存在する。その差異に合わせたドラフトを上手くプレイしてみて欲しい。
私とエリックとはマスターズエディションIIIとマスターズエディションIVを作ることを心から楽しんだ。マスターズエディションIVのリリースイベントはほんの2日前(訳注:この記事は01月14日のもの)に始まったばかりだ。まだまだ楽しむ時間はたっぷり残されている。ただし、来週は「ミラディン包囲戦」のプレビューが始まるので、マスターズエディションだけでなくそっちにも目を向けて欲しい。
さて、このちょっとした余談を楽しんでもらえただろうか。もしそうだとしたら非常に嬉しい。
ではまた来週の金曜日に会おう。
Tom LaPille
2011年01月14日
元記事:http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/ld/125
マスターズエディションIIIとマスターズエディションIVの2つは、私がウィザード社にいるあいだに手がけたもっとも楽しいプロジェクトだ。両セットのプレビュー記事は書いたが、それに飽き足らず私はこれらマスターズエディションの開発プロセスについて歯ごたえのある記事を書きたいとずっと思っていた。
そしてこの記事こそがそれだ。
マジックオンラインがリリースされたとき、当時もっとも直近のブロックはInvasionとOdysseyだった。Invasionより後にリリースされていたセットは、オンラインでもリリースされた。その後、私たちはMirageオンラインも発売し、さらにMirage後のセットも同様にオンライン版がリリースされ始めた。今や私たちはUrza’s Legacyまで辿り着いた。しかしMirage以前のセットはいまだオンラインではリリースされていない。なぜか?
まず最初にマジックオンラインの現実というものについて説明したい。紙のマジックでは多くのプレイヤーはカードが欲しいときにパックを購入する。それに対し、マジックオンラインの参加者たちはリミテッドを通じてカードを入手することを好む。考えてみれば、別に驚くようなことではない。マジックオンラインはこれ以上ないほどドラフトに適した空間なのだから。いつでも遊びたいときに相手が存在し、望むなら何度でも挑戦できる。
私たちは The Dark のオンライン版をリリースすることも出来ないことはなかった。もっともそれはろくな結果にならなかっただろう。おそらくだが、君たちの多くはThe Darkでドラフトを試みたことはないと思う。私はある。あれはひどかった。ああ、私は決して The Dark のデザイナーや開発者を責めているわけじゃない。当時、ブースタードラフトなどという遊び方は存在しなかったからだ。ただ、それはそれとして、The Dark のドラフトは本当にひどいものだ。皆にこんな思いは味わって欲しくない。私以外にもMirage以前のセットを用いてドラフトを試みた人たちを何人か知っているが、彼らも私と大して変わらない目にあったようだ。
当時、なぜこれらのドラフトが上手くいかないのか、その原因について、さらに調査しようという気は起きなかった。それから数年後、マスターズエディションのセットたちに取り組んだとき、その作業を通じて何が原因だったのかを知った。
旧セットのクリーチャーは弱すぎる
昨今のリミテッドは全てクリーチャーによる戦闘を中心に回っている。よってクリーチャーのパワーはある一定の高さを求められるし、低いレアリティに一定数以上の数のクリーチャーがいないとゲームが上手く回らない。Mirage以前のセットではこれらのことが明らかに考慮されていなかった。
例えばLegendsだ。コモンの赤い単色クリーチャーはKoboldたち、壁、それと《Blazing Effigy》だけだ(訳注:パワーが0のクリーチャーか、攻撃に参加できないクリーチャーしかいない、ということ)。
Blazing Effigy (1)(赤)
クリーチャー - エレメンタル(Elemental)
Blazing Effigyが戦場から墓地に置かれたとき、クリーチャー1体を対象とする。Blazing EffigyはそれにX点のダメージを与える。Xは、このターン名前が《Blazing Effigy》である他の発生源からBlazing Effigyに与えられたダメージに3を加えた点数である。
0/3
引用:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Blazing+Effigy
これでドラフトを楽しめ、というのは無理な注文だ。それに仮に十分な数のクリーチャーをとれたとしても、今のクリーチャーに比べるとずっと質の劣るものしかない。
当時はインスタントがほとんど無い
昨今のリミテッドで重要な位置を占めるのはクリーチャー同士による戦闘だということは最初に述べた。そのクリーチャー同士の戦闘が面白くなるための大事な要素として、ぶつかりあったあとの結果が簡単に予想できるものであってはならない、ということがある。戦闘に驚きを加えるもの、それこそがインスタントだ。
戦闘にサプライズをもたらすために、私たちはセットをデザインするときには、戦闘中に対戦相手の予想を台無しにできるカードを大量に放り込むようにしている。さらには、それらのカードが全ての色にまんべんなく行き渡るように努力している。
例えばMagic 2011には以下のようなカードが収録されている。《Mighty Leap》《Diminish》《Stabbing Pain》《Thunder Strike》《Giant Growth》これら全てがどんなデッキでもプレイに値するほど強いとは言えないが、これら5枚のカード全てに私は戦闘で痛い目に合ったことがある。Mirage以前のセットにはこういったカードが大して入っていなかった。おそらく、なぜなら誰もドラフトという遊び方を知らなかったからだろう。
白と緑はとくにひどい
最近のセットでは白と緑の強みは主にクリーチャーだ。そのかわり呪文は多少弱めに作ってあることで、他の色とのパワーバランスをとっている。すでに述べたとおり、過去のセットではクリーチャーの強さが今に比べて随分と落ちる。白と緑のクリーチャーも例外ではない。これが何を意味するかというと、白と緑は他の色よりも割を食っているということだ。
さらに特筆すべきこととして《Pacifism》の初出はMirageであり、それ自体もその亜種もMirage以前には存在していない。さらに今では習慣的に加えられることとなっている《Giant Growth》系のカードも緑にはなかった。最近のセットで白と緑の強さを支えている2つの最も重要な要素が過去のセットには欠けているということだ。これらのカードなしに、さらには他の色に与えられている強力な呪文に対抗するクリーチャーもない。白と緑はただただ不利だ。
レアがリミテッド向けの強さをもっていない
リミテッドにおけるレアカードには2つの重要な仕事がある。
1つにはプレイヤーに指針を与えるということがある。もし君がパックを開けて《Shivan Dragon》を引いたら、君は基本的に「よし、赤をやろう」と思うだろう。パックを開けて《Mahamoti Djinn》を引いたら、もちろん話は別だ。君は「青に向かうぞ」という考えを持つはずだ。レアが与えてくれる指針はそれだけじゃない。君に特定の方向に偏ったユニークなデッキを作るよう仕向ける力もある。例えば《Overwhelming Stampede》は非常に強力なカードで、初手に取らないなんてことはあり得ない。
しかしそのカードを入れることによって普段よりも多めのクリーチャーをデッキに入れたくなる衝動に駆られるだろうし、《Overwhelming Stampede》を初手にとることによって、普段なら《Giant Growth》をとるところで《Sacred Wolf》をピックしてしまうかもしれない。このように、色やデッキ全体についてピックの指針を定めてくれる、ということに加えて、レアにはもう1つの仕事がある。
ゲームを終わらせることだ。
ゲームがグダってしまったとき、多くの場合は圧倒的なレアパワーが降臨してゲームと退屈を終わらせてくれる。デッキに指針を与えてくれること、ゲームを終わりへと導いてくれること、この2つがレアに求められている非常に重要な機能だ。
Mirage以前のセットにはユニークで使ってみたくなる面白いレアがたくさんあるが、残念なことにそういったレアの多くは一般的なリミテッドに入れるにはあまりに効果が尖りすぎているのだ。これは、デッキに入れたくなるレアの枚数が足りないということを意味する。私たちはプレイヤーが、レアはデッキに入れることできっとすごいことを引き起こしてくれるはずだ、と信じていることを知っているにも関わらず、だ。
ここまで述べてきたように、過去のセットでドラフトをするということには様々な問題があったが、ありがたいことに私とエリックはマスターズエディションIVでそれらの問題に上手く対処できたと思っている。さて、どうやったのか?
クリーチャー
上で述べたとおり、古いセットのクリーチャーたちは弱い。本当に弱い。
嬉しいことにポータルセットのクリーチャーについてはそのようなことはなかった。これによって私たちは随分と助けられた。ポータルには昨今のリミテッドでは主食に当たる《Ironhoof Ox》《Alaborn Musketeer》《Cloud Spirit》《Goblin Firestarter》《Foul Spirit》のようなカードたちがてんこ盛りだった。
もちろん、これらのようなカードに出来ることは限られていて、フォーマットに特有の雰囲気やユニークさをもたらすことは難しい。しかし、そういった役割は Limited Edition Beta や Arabian Nights や Antiquities に任せればいい。私たちに欠けていたのはシンプルなカードたちで、ポータルがもたらしてくれたものこそ、まさにそれだったのだ。
ポータルのクリーチャーを用いてコモンのスロットを埋めることによって、クリエイティブな面からセットを見たとき多少奇妙なことが起きてしまう。例えば、ここ最近の色の役割からすると《Alaborn Musketeer》の到達能力は白いクリーチャーが持つ能力にしては奇妙に見えるかもしれないが、これは彼の持つ立派な銃によって正当化されている。マスターズエディションIIIはさらに変なことになっていて、ヒロイックファンタジーそのものな《Marhault Elsdragon》や《Riven Turnbull》の隣で、現実の歴史上の人物である中国人たちがポータル三国志のセットから参加していた。
私はたまに、もしポータルのセットを作ったデザイナーや開発チームが《Southern Elephant》を《Elephant Graveyard》で再生するところや、《Shu Elite Companions》が《Arcades Sabboth》の脇をすり抜けて行くのを見たらどう思うんだろう、と考えてしまう。
何にせよ、上で説明したようなクリーチャーの強さやコモンにあるべきクリーチャーの枚数などが、遊んで楽しいマスターズのセットを作るために考慮すべきことだった。結果として、混沌としつつもユニークな雰囲気をセットに与えることにも成功した。私はこの結果を楽しんでいるよ。
インスタントについて
この最後のインスタントに関する問題点については、クリーチャーに関する問題点とは対照的に、ポータルというセットはほとんど頼りにならない。なぜならポータルというセットはインスタントを除く形でデザインされたからだ。私たちはポータルから何枚かのカードをインスタントとして手直しして収録した。それらのカードは本来の機能がインスタントして用いられるべきものだったからだ。しかしそれによって得ることができたのはほんのわずかなカード、《False Summoning》と《Just Fate》のみだ。
その他のインスタントについては他の場所を探さざるを得なかった。その結果、過去のマスターズセットで再録していなかったインスタントがまだまだ残っていることに気がつかされた。《Crumble》《Divine Offering》《Terror》などは最近のセットと比較しても強力なインスタントの除去呪文だ。《Gravebind》《Sandstorm》《Just Fate》《Howl From Beyond》《Fog》は、戦闘を対戦相手の予想外の方向へ導くことができる。
これらのカードは昨今のセットに収録するようなカードと比べると見劣りするが、私たちには大した選択肢はなかった。戦闘に影響を与え得るものであると見れば、全ての(文字通り全ての)インスタントを再録した。《Healing Salve》さえもだ。セットに対する貢献の度合いからすると《Giant Growth》の再録がもっとも大きい。このカード以外に緑のパンプアップ呪文が1つもなかったため、すでに過去のマスターズのセット全てに含まれていることは分かっていてもこれは再録されるべきだった。Mirage以前のセットにおいて、同じような働きをしてくれるカードが本当に1つも無かったのだ。
最終的に、リミテッドを楽しんでもらうに十分な枚数のインスタントがセットに収録された、と私は信じている。私はさらに多くのインスタントを収録したかった。そうすればいくらかをアンコモンに回すことになっただろう。それによって、目につく回数が少なめとなり and not be as correct to play around だったはずだ。しかし本当にそれ以上収録できるインスタントがまったく無かった。
何にせよ、今の最終形で全て上手く回るはずだと信じている。
白と緑のカードについて
最初に挙げた問題点のうち、白と緑の強さを高めることがもっとも難しい問題点だった。マスターズエディションIVで白は質の悪い《Pacifism》である《Serra Bestiary》とセット中でも特に強いコモンである《Divine Offering》を得ている。特に後者は《Obsianus Golem》や《Clay Statue》が戦闘で主力となるであろうこのセットでは汚いほどに強いはずだ。また白はアグレッシブに攻めることも出来る。戦場にクリーチャーを大量に並べているときにコモンの《Righteous Charge》の助けを借りればあっという間にゲームを終わらせることが出来る。
緑を強くするのはもっと大変だった。とりあえず《Crumble》と《Scavenger Folk》は両方とも優秀な除去カードで、君の助けとなってくれるだろう。他にも《Citanul Druid》と《Argothian Pixies》は同様にアーティファクトに対して頼れるカードたちだ。《Ironhoof Ox》《Southern Elephant》《War Mammoth》はこのフォーマットでは効率の良いファッティと考えてよいだろう。ただ、もし対戦相手がアーティファクト少なめの緑を主体としたデッキだったときは、かなりの苦戦が予想される。
まあ、それはそれとして、緑を使おうと思っているプレイヤーへ私からの助言だ。《Elephant Graveyard》を見逃さないように。これは上記に挙げた《War Mammoth》や《Southern Elephant》をさらに凶暴なものに出来るカードだ。
レアについて
マスターズエディションIVにおいて構築フォーマット向けの強いレアを用意するのは非常に簡単だったが、リミテッドを面白くするレアを探すのが大変だった。
これは本当に大変だった。何せレアというのが《Eye of Chaos》《Leeches》《Naked Singularity》と言ったカードたちだ。
これらをマジックオンラインに加えたいことは確かなのだが、リミテッドにおいては明らかに使い道がない。リミテッドで開封したパックにおいて、これらは無地のカードと大差ない。明らかにプレイヤーを失望させること間違いなしだ。
リミテッド向けのカードを探すため、私たちはさらに底の底までさらってみる必要があった。またここでポータルが私たちを救ってくれた。《Cloud Dragon》《Dread Reaper》《Thunder Dragon》などのシンプルだがデカいクリーチャーたちが見つかるたびに収録することを決めた。しばらくして、ゲームを終わらせるパワーを持ったレアの比率は十分なほどに高まった。レガシーやクラシックのフォーマットで君をわくわくさせるカードが《Deathcoil Wurm》や《Minion of Tevesh Szat》ではなくなったわけだが、それでもこれらを引いたときは嬉しいに違いないと思う。(訳注:どうかなあ…)
リミテッドでゲームを終わらせるだけのパワーをもったカードを入れようと四苦八苦した結果、よく似た効果の2枚のカードが収録されてしまう事態がちょくちょく発生した。例えば《Overwhelming Forces》と《Rain of Daggers》は両方とも単細胞的な大ぶりの重たい呪文だ。どちらもゲームを終わらせてくれるという意味でも同じだ。
Overwhelming Forces / 圧倒的武力 (6)(黒)(黒)
ソーサリー
対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーがコントロールするすべてのクリーチャーを破壊する。これにより破壊されたクリーチャー1体につき、カードを1枚引く。
Rain of Daggers / 短剣の雨 (4)(黒)(黒)
ソーサリー
対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーがコントロールするすべてのクリーチャーを破壊する。これにより破壊されたクリーチャー1体につき、あなたは2点のライフを失う。
引用:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Overwhelming+Forces/
引用:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Rain+of+Daggers/
紙のマジックではこのようなことが起きないように注意を払うところだが、今回は新たなカードを作るわけにもいかない。それにこれら2枚のカードたちが示すデッキの指針は異なるものだ。《Overwhelming Forces》はこの呪文を唱えられるまで生き延びられるような気の長いコントロールデッキへ君を向かわせるが、ライフロスを強要する《Rain of Daggers》はより前のめりなデッキを要求する。こういった微妙な違いを持つペアがマスターズエディションIVにはいくつか存在する。その差異に合わせたドラフトを上手くプレイしてみて欲しい。
私とエリックとはマスターズエディションIIIとマスターズエディションIVを作ることを心から楽しんだ。マスターズエディションIVのリリースイベントはほんの2日前(訳注:この記事は01月14日のもの)に始まったばかりだ。まだまだ楽しむ時間はたっぷり残されている。ただし、来週は「ミラディン包囲戦」のプレビューが始まるので、マスターズエディションだけでなくそっちにも目を向けて欲しい。
さて、このちょっとした余談を楽しんでもらえただろうか。もしそうだとしたら非常に嬉しい。
ではまた来週の金曜日に会おう。
余談1:テーマ
今週のCard of the Dayは「~が載っていないカード特集」だったみたい。月曜日から順に「クリーチャー・タイプ」「マナコスト」「名前」「テキスト欄」「イラスト」がカードに記載されていない。あらためてこう並べてみると、予想してた《幽霊火/Ghostfire》はルール上の特性の話だから、今週のテーマとはちょっと軸がズレてることが分かる。
余談2:マーク・ゴットリーブ
Card of the Dayの文中に取り上げられていたので、この方のコラムを訳してみた(2011年01月12日)。とんでもなくハッチャけた文章を書かれる方で、どう訳したらいいのか困るようなギャグが出てきたり、日本語に直した際の文体をどうしたものかと悩んだり、色々と大変だった。でも面白かった。そしてあらためて Tom LaPille の文章の読みやすさに気づいた。
余談3:マナコスト
以前にも話したとおり、基本的にネット上の文章をテキストエディタへコピペしてから訳してる。それによる弊害の1つは、マナコストの表記がコピーされないこと。今週で言えば《Cyclopean Tomb》の文中に出てきた(4)。
余談4:ギブアップ
「Seinfeld」がドラマの題名らしい(かつ邦訳が「となりのサインフェルド」らしい)ということまでは分かったんだけど、それがどうこの文章につながるのかがまったく分からなかった。
原文に振り回され過ぎた。「プレイヤーたちが望んでいるほどバラエティに富んだレアを収録できなかった」程度でいいのかな。そのほうが読みやすいし。
カードをコモンからアンコモンへ回す理由、というのは今までマーク・ローズウォーター氏のコラムで何度も書かれてきたのでなんとなく分かるんだけど(出現頻度が下がるので多少難解なカードも入れてよい、また頻度が低いことでコモンより効果が強いカードを入れてもよい)、それがどうこの文章につながるのか(特に "play around")がよく分からなかった。
今週のCard of the Dayは「~が載っていないカード特集」だったみたい。月曜日から順に「クリーチャー・タイプ」「マナコスト」「名前」「テキスト欄」「イラスト」がカードに記載されていない。あらためてこう並べてみると、予想してた《幽霊火/Ghostfire》はルール上の特性の話だから、今週のテーマとはちょっと軸がズレてることが分かる。
余談2:マーク・ゴットリーブ
Card of the Dayの文中に取り上げられていたので、この方のコラムを訳してみた(2011年01月12日)。とんでもなくハッチャけた文章を書かれる方で、どう訳したらいいのか困るようなギャグが出てきたり、日本語に直した際の文体をどうしたものかと悩んだり、色々と大変だった。でも面白かった。そしてあらためて Tom LaPille の文章の読みやすさに気づいた。
余談3:マナコスト
以前にも話したとおり、基本的にネット上の文章をテキストエディタへコピペしてから訳してる。それによる弊害の1つは、マナコストの表記がコピーされないこと。今週で言えば《Cyclopean Tomb》の文中に出てきた(4)。
余談4:ギブアップ
In the immortal tradition of Seinfeld, today’s column is about nothing.
引用元:http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtgcom/daily/mg153
「Seinfeld」がドラマの題名らしい(かつ邦訳が「となりのサインフェルド」らしい)ということまでは分かったんだけど、それがどうこの文章につながるのかがまったく分からなかった。
原文:
That means that there aren’t enough rares in decks to give the variety of experience that we’ve found that Magic players like.
拙訳:
私たちはプレイヤーが、レアはデッキに入れることできっとすごいことを引き起こしてくれるはずだ、と信じていることを知っているにも関わらず、だ。
引用元:http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/ld/125
原文に振り回され過ぎた。「プレイヤーたちが望んでいるほどバラエティに富んだレアを収録できなかった」程度でいいのかな。そのほうが読みやすいし。
原文:
I would have liked to find even more so that some could be uncommon, meaning that they would show up less often and not be as correct to play around, but there simply weren’t any more cards to include.
引用元:http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/ld/125
カードをコモンからアンコモンへ回す理由、というのは今までマーク・ローズウォーター氏のコラムで何度も書かれてきたのでなんとなく分かるんだけど(出現頻度が下がるので多少難解なカードも入れてよい、また頻度が低いことでコモンより効果が強いカードを入れてもよい)、それがどうこの文章につながるのか(特に "play around")がよく分からなかった。
Card of the Day - 2011/01/17
2011年1月17日 Card of the Dayオーリオックの包囲そり/Auriok Siege Sled - ダークスティール アンコモン
不思議に思っている人がいるかもしれないので書いておくと、もし君が《オーリオックの包囲そり/Auriok Siege Sled》の両方の能力を同じクリーチャーに対して用いた場合、対象のクリーチャーはそのターンのあいだ《オーリオックの包囲そり/Auriok Siege Sled》をブロックすることが出来なくなる。
<カードデータ>
Auriok Siege Sled / オーリオックの包囲そり (6)
アーティファクト クリーチャー - 巨大戦車(Juggernaut)
(1):アーティファクト・クリーチャー1体を対象とする。それはこのターン、可能ならばオーリオックの包囲そりをブロックする。
(1):アーティファクト・クリーチャー1体を対象とする。このターン、それはオーリオックの包囲そりをブロックできない。
3/5
カードデータ 引用元:
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Auriok+Siege+Sled/
元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0111
Card of the Day - 2011/01/18
2011年1月18日 Card of the Dayマイアの戦闘球/Myr Battlesphere - ミラディンの傷跡 レア
統計によると《マイアの戦闘球/Myr Battlesphere》に引っ付いているマイアの数は、どんなマイア・カードを5枚集めたときよりも多い。なお、イラストはここ(註1)で壁紙として提供されている。
(註1) ここ
リンク先は以下のURL。マイアたちがうじゃうじゃ群がっている様子は大きなサイズで見るとちょっと気持ち悪いかもしれない。そういうのが苦手な人は注意。
http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/arcana/550
<カードデータ>
Myr Battlesphere / マイアの戦闘球 (7)
アーティファクト クリーチャー - マイア(Myr) 構築物(Construct)
マイアの戦闘球が戦場に出たとき、無色の1/1のマイア(Myr)・アーティファクト・クリーチャー・トークンを4体戦場に出す。
マイアの戦闘球が攻撃するたび、あなたはあなたがコントロールするアンタップ状態のマイアをX体タップしてもよい。そうした場合、マイアの戦闘球はターン終了時まで+X/+0の修整を受けるとともに、防御プレイヤーにX点のダメージを与える。
4/7
カードデータ 引用元:
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Myr+Battlesphere/
元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0111
Card of the Day - 2011/01/19
2011年1月19日 Card of the Day拘引/Arrest - メルカディアン・マスクス アンコモン
《拘引/Arrest》はミラディンとミラディンの傷跡にも収録されているが今日はメルカディアン・マスクス版について取り上げたい。なぜならメルカディアン・マスクス版のフレイバーテキスト(註1)の意味するところについて今初めて気づいたからだ。
君たちはこのイラストで《拘引/Arrest》されているのが《サマイトの癒し手オアリム/Orim, Samite Healer》であることに気づいていただろうか……それも殺人の容疑で!
(註1) メルカディアン・マスクス版のフレイバーテキスト
原文:
Orim had no memory of the previous night-the first thing she could remember was waking up with the dead guard’s blood on her hands.
邦訳:
オアリムは前夜のことを何も覚えていなかった。覚えているのは、目が覚めたとき手に死んだ守備兵の血がべっとりとついていたことだった。
<カードデータ>
Arrest / 拘引 (2)(白)
エンチャント - オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは攻撃もブロックもできず、その起動型能力を起動できない。
カードデータ 引用元:
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Arrest/
元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0111
Card of the Day - 2011/01/20
2011年1月20日 Card of the Dayミラディンの核/Mirrodin’s Core(註1) - ダークスティール アンコモン
以下、ミラディンのスタイルガイドからの引用。
「ミラディンの内部には、鈍く銀色に光る金属がどこまでも続くだけの膨大で空虚な空間が広がっている。唯一その風景で目に付くものといえば、特殊なアーティファクトの生命体であるマイコシンス、それと《パノプティコン/Panopticon》(註2)だけだ。
それらを含め、内部にある全てのものは、マナの核という太陽によって真白い強烈な光の中に照らし出されている。そのマナの核とは、球体を平たく伸ばしたような空間の中心に浮遊している真っ白で巨大なプラズマの球だ。」
(註1) ミラディンの核/Mirrodin’s Core
2009年11月18日のCard of the Dayで一度取り上げられている。
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/1109
(註2) 《パノプティコン/Panopticon》
次元カード。イラストと解説は以下のコラム参照(註3)。
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/arcana/333
(註3) コラム
以下、該当コラム内の《パノプティコン/Panopticon》に関連する段落のみ、私訳。
私たちの世界では「Panopticon」とは、中心に守衛を配置することで全ての監房を同時に監視できる監獄を指すが、ミラディンの世界の「Panopticon」はメムナークの占拠する巨大な塔であり、ここからはミラディンという次元をくまなく見渡すことができる。おそらく君たちの間では《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》という名前のほうが有名なはずだ。
<カードデータ>
Mirrodin’s Core / ミラディンの核
土地
(T):あなたのマナ・プールに(1)を加える。
(T):ミラディンの核の上に蓄積(charge)カウンターを1個置く。
(T),ミラディンの核から蓄積カウンターを1個取り除く:あなたのマナ・プールに、好きな色のマナ1点を加える。
カードデータ 引用元:
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Mirrodin%27s+Core/
元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0111
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