メリーラの守り手/Melira’s Keepers - ミラディン包囲戦 アンコモン
Melira’s Keepers / メリーラの守り手 (4)(緑)
クリーチャー - 人間(Human) 戦士(Warrior)
メリーラの守り手の上にはカウンターを配置できない。
4/4
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Melira%27s+Keepers/

 ルールマネージャー Matt Tabakより:
 感染をもったクリーチャーからのダメージによって《メリーラの守り手/Melira’s Keepers》の上に -1/-1カウンターが乗ることはない。しかしこのダメージは軽減されたわけではない。
 もしそのクリーチャーが絆魂をもっていた場合、コントローラーはライフを得られるし、もしそのクリーチャーが接死をもっていた場合、《メリーラの守り手/Melira’s Keepers》は破壊されてしまう。

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0211
悪性の傷/Virulent Wound - ミラディン包囲戦 コモン
Virulent Wound / 悪性の傷 (黒)
インスタント
クリーチャー1体を対象とし、それの上に-1/-1カウンターを1個置く。このターン、そのクリーチャーがいずれかの墓地に置かれたとき、それのコントローラーは毒(poison)カウンターを1個得る。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Virulent+Wound/

 ルールマネージャー Matt Tabakより:
 仮に君の1/1クリーチャーが《悪性の傷/Virulent Wound》の対象になったとする。ここではそれが君のかわいい《銅のマイア/Copper Myr》だったことにしよう。
 君は無駄な試みと知りつつもそれを救うために《巨大化/Giant Growth》を唱えた。
 クリンナップ・ステップのあいだに《巨大化/Giant Growth》による+3/+3は消滅し、0/0となったマイアは墓地へ向かう(なおダメージも同じタイミングで消滅する)。これはまだ「このターン」の出来事だ。よって君は《悪性の傷/Virulent Wound》から毒カウンターをもらうことになる。

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0211
腐敗狼/Rot Wolf - ミラディン包囲戦 コモン
Rot Wolf / 腐敗狼 (2)(緑)
クリーチャー - 狼(Wolf)
感染(このクリーチャーは、クリーチャーに-1/-1カウンターの形でダメージを与え、プレイヤーに毒(poison)カウンターの形でダメージを与える。)
腐敗狼によってこのターンにダメージを与えられたクリーチャーがいずれかの墓地に置かれるたび、あなたはカードを1枚引いてもよい。
2/2
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Rot+Wolf/

 昨日のあのかわいい《銅のマイア/Copper Myr》を覚えているだろうか。

 今日彼がブロックしてくれたのは《腐敗狼/Rot Wolf》で、私はまた《巨大化/Giant Growth》を唱えてあげたところだ。現在のマイアは2/2になっている(-1/-1カウンターが2個乗った4/4だ)。(訳注:《腐敗狼/Rot Wolf》は戦闘の結果、墓地に落ちている)

 クリンナップ・ステップがやってきて《巨大化/Giant Growth》の効果が消滅する。(訳註:その結果、タフネスがマイナスになった《銅のマイア/Copper Myr》は墓地に落ちる)

 《腐敗狼/Rot Wolf》のコントローラーである君はカードを引けると思っているだろうが、残念ながらそうはいかない。《腐敗狼/Rot Wolf》の能力はただの誘発型能力(Triggered Ability)であって、遅延誘発型能力(Delayed Triggered Ability)ではない。そのため能力が誘発するためには、ダメージを与えたクリーチャーが墓地へ落ちるときに《腐敗狼/Rot Wolf》が戦場にいないといけないのだ。

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0211
マイアの溶接工/Myr Welder - ミラディン包囲戦 アンコモン
Myr Welder / マイアの溶接工 (3)
アーティファクト クリーチャー - マイア(Myr)
刻印 ― (T):いずれかの墓地にあるアーティファクト・カード1枚を対象とし、それを追放する。
マイアの溶接工は、それにより追放されたすべてのカードの起動型能力を持つ。
1/4
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Myr+Welder/

 ルールマネージャー Matt Tabakより:

 《マイアの溶接工/Myr Welder》が散歩に出かけた際、《ミミックの大桶/Mimic Vat》とみんな大好き《銅のマイア/Copper Myr》を刻印した。

 あれ? この話、前にしたような気がするな。聞き覚えのある名前が出て来た。

 まあ、いいや。何にせよ、《マイアの溶接工/Myr Welder》と《ミミックの大桶/Mimic Vat》は両方とも2つで1セットとなる能力を持っている。どちらのカードも2つ目の能力は自分自身の1つ目の能力によって追放されたカードしか参照できない。

 よって《マイアの溶接工/Myr Welder》は《ミミックの大桶/Mimic Vat》の起動型能力を使って《銅のマイア/Copper Myr》のコピートークンを作ることはできない。

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0211
 Lost in the Shuffle(今は亡きトレーディングカードゲーム専門誌、The DuelistでRichard Garfieldが書かれていた連載コラム)で1995年に書かれたコラムではメタゲームについての考察がなされており、それが2010年06月にDaily MTGで再掲載された。

 マジックに限らないその「メタゲーム」というものの考察が面白かったので訳してみた。なお序文はDaily MTGの編集者、Kelly Diggesによる紹介文。

シャッフルの中で/Lost in the Shuffle
2010年06月21日
元記事:http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/feature/96

 昔々、時の向こうのそのまた向こう、マジックザギャザリング(以下、マジック)や他のゲームに関する月刊誌であり、このサイトの前身でもあるThe Duelistがあった。マジックの創始者であるRichard Garfieldによる「Lost in the Shuffle」というコラムがこの雑誌にほぼ毎月掲載されていた。このコラムのいくつかはすでにここ(註1)に保管されている。ガーフィールド博士は、かつて(そして今なお!)ゲームに関する多大なる考察を行っており、彼はこれらの考察を短く分かりやすくまとめたものをコラム「Lost in the Shuffle」を通じて皆へ提供していた。

 初期の「Lost in the Shuffle」は後のそれよりも、より長く詳細なものだった。これは、かつて毎週コラムを書いていた身として非常に共感できるものがある。そして、短い形式のほうが結果としてよりLost in the Shuffleに合っていたとは思いつつも、この優れた博士がより複雑な議題に取り組むことが出来たのは初期の長文形式のコラムだけだったのもまた事実だ。例えば、The Duelist #5に掲載されていたこのコラム「the metagame」のように。

 さて、当時ガーフィールド博士がこのコラム内で書いた「メタゲーム」と呼ぶものは、トーナメントプレイヤーたちが用いる意味でのそれよりも少し広い範囲について言及している。彼は「1つの試合に限らず次の試合にまで」影響を及ぼす事柄について述べており、それはフォーマットやハウスルール、そしてカードの入手のし易さや社会契約論まで含んでいる。

 リチャードは「メタゲーム」をこのように広く捉えることで、自身が信じるマジックの持つ可能性について非常に深い洞察を行った。

 古い記事についてよく言われる警句はこのコラムにも当てはまる。この記事は1995年(古参プレイヤーに分かりやすく言えばアイスエイジ前)に書かれたものだ。今となっては骨董品と呼ぶべきマジックのセット(や他のカードゲーム)について書かれている箇所もいくつかある。

 しかしそれらは逆に、リチャードが当然そうなるであろうと予想していたよりもさらにマジックが成長したことを示すに過ぎず、記事を通して勝負から勝負へと受け継がれるもの(信頼、社会的期待、その他諸々の何か)に関する洞察をこのコラムは与えてくれるだろう。

 楽しんでくれ。

Kelly Diggesより (Daily MTG 編集者)
(註1) コラムのいくつかはすでにここに保管
 リンク先は以下のURL。
 http://www.wizards.com/magic/magazine/Article.aspx?x=mtgcom/feature/445


メタゲームとは?/the metagame
Richard Garfield
1995年
引用元:http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/feature/96

 16歳くらいの頃、私はDiplomacy(註2)で仲間をだまし討ちすることを止めた。約束を何度も何度も破るということは、その効力を弱めるだけだと気づいたからだ。さらに言えばその行為はその瞬間の勝ちは拾えても、結局はのちの勝負の勝利をいくつも代償にしただけだった。私と同盟を組もうとする人はいなくなり、私を裏切ることに皆ためらわなくなった。結局のところ、それは私が彼らに対して行ってきたことなのだから。

 好むと好まざると、各勝負をそれぞれ完全に切り離されたものとして扱うことはできない。そう、Diplomacyの各勝負はそれぞれつながっており、ある勝負での私の行為は他の勝負の結果に影響するのだ。

 これに気づいた瞬間こそ、挑戦しがいがあると同時にしばしば私を困惑もさせた「メタゲーム」という名の戦場の入り口に私が立った瞬間だった。

 それぞれが単独で完結することなく、より大きな1つのゲームの一部となるような複数の勝負を行っているとき、君はメタゲームに参戦していると言える。

 チェスを例にとってみよう。君がチェスについて考えるとき、おそらく君は1人の対戦相手との1試合について考える。しかし競技チェスに参加しているチェスプレイヤーにとっては、各試合はより大きな1つのゲームの一部なのだ。

 この場合、チェストーナメントはチェスのメタゲームだ。理想的に考えるならこのメタゲームに対して採りうる戦術はひどく単純なもの、各試合すべてに勝つ、になるだろう。しかし実際には、長時間に及ぶトーナメントを通じて体力を温存するために君はわざと引き分けを狙うこともあるかもしれない。ときにはわざと負けることすら選択するかもしれない。

 もし君がいくつものチェストーナメントを通じて高い勝率を維持しようと考えているのであれば、君はさらなる高次のメタゲーム、チェストーナメントのメタゲームに足を踏み入れたことになる。

 このメタゲームは1つ目のメタゲームよりいくつもの点において面白いものになる。なぜなら君はいくつもの重要な選択を迫られることになるからだ。どのトーナメントに参戦するか、各トーナメントのうちどれにどれだけ注力するか。

 多くのゲームはその基本構造にメタゲームを含んでいる。大半のカードゲームには手札があり、各手札が点数を生み出す。手札はゲームを構成する基本ユニットであるが、競技の本当の目的はメタゲームを制すること、つまり一定の総得点を獲得することにある。

 よって多くのカードゲームの戦略の一部には、「非常に低い確率ながらも勝ちを狙えるが失敗したら大量失点する」という状況では「あえて少ない失点による負けを選択すべき」と学ぶことが含まれる。

 いくつかのカードゲーム、例えばポーカーなどは目の前の試合よりもメタゲームがさらに高い重要性を持つ。ポーカーの手札は確かにいくばくかのお金を君に稼いでくれるが、さらに重要なこととしてそれは君に他プレイヤーの情報を与えてくれるし、また他のプレイヤーへ君に関する誤情報を流すこともできる。これにより、君はその勝負では損を出しながらも、その後の試合でのアドバンテージが得られる。

 メタゲームには不思議な魅力があり、それは感染性のものだ。私は最近、良い「ハシゴ」をその周囲にかけることが出来るならどんなゲームでも大ヒットさせることができる、と主張している。

 「ハシゴ」とはゲームの参加者をランク付けできるシステムであれば何でもよい。「ハシゴ」というメタゲームの目的は「出来る限り上へ登ること」である。君は自分より上位ランクのプレイヤーたちを倒していくことでハシゴを登るのだ。

 私がペンシルバニア大学の大学院生だった頃の話だ。何年かの間、Turbo Heartsと呼ばれるHearts(註3)の一種が人気だった。大学のラウンジには皆で作った「ハシゴ」が備え付けられ、私はそれを登るのに全力を賭けた。まだ学部生だった頃は仲間内でチェス用の「ハシゴ」を作成し、私は生活の全てを賭けてチェスに没頭した。

 私が思うにその中毒性を生み出した元は、今現在、私の最新作であるカードゲーム「The Great Dalmuti」(註4)にも潜んでいる「ハシゴ」のようなシステムなのだろう。私はそれを証明するために、ここ、ウィザードオブコースト社の中に「ジャンケン」のための「ハシゴ」を本気で作るつもりだ!
(註2)Diplomacy
 ヨーロッパを舞台にしたボードゲーム。カードやサイコロといったランダム要素が皆無で、ほぼプレイヤー同士の「外交」のみでゲームが進むらしい。

(註3)Hearts
 基本的に4人で遊ぶトランプを用いたカードゲーム。日本で遊ばれている「ナポレオン」に似ている。なお文中の「Turbo Hearts」はどうやらRichard Garfieldご自身が考案者らしい。
 参考:http://www.pagat.com/reverse/hearts.html#turbo

(註4)The Great Dalmuti
 中世から存在するPresidentというゲームのバリエーションで1995年にRichard Garfieldによって作られ、WoC社から発売されている。Amazonでも売ってる。
 参考:http://www.amazon.com/Avalon-Hill-936851-Great-Dalmuti/dp/B000BZB56W

メタゲームの魅力

 メタゲームとは何か。それはゲームという経験に生命を吹き込むものだ。メタゲームを通じてプレイヤーたちはより大きなコミュニティへと参画することになる。

 多くの場合、メタゲームとは多くの(本当に多くの)人々が参加するイベントだ。それはあまりに人数が多いため、1回の勝負では勝ち負けを決められない。そのイベントはあまりの大きさに、個人はゲームの全体を把握できなくなるほどだ。個人は全体像を見通せない中、より小さい単位の勝負に注力することとなり、こういった各参加者のやる気がイベント全体に不可欠なものとなる。

 またそれぞれのプレイヤーが持つ成功への道筋には多くの選択肢が存在する。プレイヤーはハシゴの最下段からたった1段上がっただけでも勝利の快感を得るだろう。ハシゴの最上段にたどり着かなければ達成感を得ることはできない、などということはないのだ。

 実際のところ、良いメタゲームでは他のプレイヤーの目的を気にする必要は無い。私のディプロマシーの戦略が良い例だろう。私が発見したことは、自分にとってのメリットがなくなった瞬間に同盟を切り捨てていくというやり方よりも、私との同盟は信じられるものであり頼れるものであるという評判の方がより多くのゲームで勝てる、ということだ。

 この戦略をとることによっていくつかの勝負では1位を逃すかもしれないが、少なくとも2位か3位には滑り込めるだろう、と私は判断した (一時期、私は約束の文言をあえて拡大解釈することで中立的な立場を維持しようとしたことがあった。しかしそこから学んだ教訓は次の通りだ。信頼に足る人間であるように思わせるもっとも簡単な方法は、実際に信頼に足る人間になること、だ。この教訓はゲームの世界だけでなく実生活にも役立っている)

 このことから分かるのは、あるディプロマシーの勝負で私のプレイングが全て勝利を目的としたものだと決めてかかることはできない、ということだ。なぜなら、私は1回の勝利よりも約束を守ることのほうが大事だと信じているからだ。

 まとめると、各勝負を別個のものとしてとらえるのではなく、それぞれを関連性のあるもの、つまりメタゲームとして包括的にとらえることでより高い勝率を得ることが出来る、と私は考えている。

 メタゲームは多くの場合、その元となるゲーム自身の枠を越える有用性や意義を持つ。しばしば実生活にすら影響を及ぼすほどだ。メタゲームで成功するにはお金と体力を必要とする。時と場合によっては、着ている服や住んでいる場所すら影響する。

 人によっては、このことがゲームの魅力を減じると言うが、私はこれが良いとも悪いとも思わない。単に、元のゲームには含まれない、メタゲームの一部であるとしか思わない。

 例えばブリッジ(註5)の1ゲームで勝つのに持久力はそれほど必要ではないが、トーナメントでは必須となる。キラー(註6)を遊んでいるとき、次の日の朝8時から授業があるかどうかが君の戦術に大きな影響を及ぼすかもしれない。

 もし君がピンポンのハシゴにいるとして、君がそのとき挑戦できる相手が1人しかおらずその相手が非常に粘り強い選手だったら、それはひどく苛立たしいことかもしれないが、それもまたゲームの一部だ。

 メタゲームが実生活の経験に及ぼす影響についてもっとも良い例は、私とSkaff Eliasがこの冬に参加したMITのミステリーハントだろう。このハントの目的はMITのキャンパス内に隠されたコインを見つけることだ。コインの場所を指し示すヒントは、大量のパズルを解くことでしか手に入らない。

 パズルはジャンルを問わない。胃が痛くなるような論理パズルからスカベンジャーハント(註7)まで実に様々だ。

 その中のいくつかについては、解く為の指示が一切ない。その反面、解法そのものが他のパズルを解く為のカギとなっている場合もある。

 私たちに課せられた課題の中にあったのは「与えられた複数のビデオを映像の順番どおりに並べる」「利き酒ならぬ、利きコーンフレーク」「シルエットから国名や州名を当てる」「音楽の題名で作られた暗号に潜むメッセージを解読する」などだ。

 皮肉なことにパズルの1つにはマジックのカードによる置換式暗号パズル(註8)もあった。君たちが思っているよりも解読は難しかったが(Cuombajjなんて単語をマジックに入れたのは一体誰だ?)、とはいえ一度コツをつかんだらあとは簡単だった。

 このハントは金曜の正午から始まり、週末をかけて行われる。精神的にも肉体的にも耐久力を要求されるとてつもなくキツい競技だ。11人で構成された私たちのグループは、体力回復のための一眠りをとるギリギリまでパズルに取り込み、数時間の休息ののち競技に復帰した。

 ハントで私たちの大きな助けとなったのは、早い段階でSkaffと他一名が2人で解いてくれたパズルだった。そのパズルの答えは、他のパズルたちの解法だったのだ。

 これによって私たちは対象のパズルに取り組むことなく、先手を打つ形で多くのパズルの解き方をあらかじめ調べておくことが出来た。いや、多くはそのパズルを見つける前にすでに解き方を知っておくことができた。

 しかしこのアドバンテージを持っていて、なお私たちは50いくつのパズルのうちの40個を解くのに週末を丸々使ってしまった。

 私たちは月曜日の朝4時に、2位にわずか30秒ほどの差で勝つことができた。私たちに与えられた賞品は「来年度のミステリーハントを企画する権利」だった……来年の参加者たちは苦しむこと間違いなしだ! このハントは私が遊んだ中でも最上のゲームの1つだ。

 さて、なぜこういったトレジャーハントがメタゲームの範疇に入るのだろうか? パズルを解くだけではないということなのだろうか?

 そう。その通りだ。

 確かにただただパズルを解くというのもゲームの一部だが、全てのパズルを解いてコインを見つけるというメタゲームが確かにこのゲームに存在した。このゲームでは君のチームは自分たちのエネルギーとリソースを最も効率よく使うにはどうしたらよいかを考えなくてはいけない。

 どの問題に誰がもっとも適しているか? 徹夜してでもパズルを解き続けるべきか、数時間でも睡眠をとるほうが重要か? 他のチームの動向も気にしなくてはいけない。相手よりどれだけ先行できているのか、それとも後れをとっているのか、また自分がどれだけそれを把握できるのか、といったこと次第で作戦も変えていかなければならない。

 すでに過去に解いたパズルから解法を入手できているパズルに、3人のチームメイトを割り当てるのはチームにとってどれだけ有益なのか? もしかしたらすでに手に入っているその解法それ自身から、そのパズルを解いた際に得られる情報が隠れている可能性があるかもしれないのに?

 個別のパズルを解くかわりに、もう最終回答を求めることに注力するべく人手を割いたほうがよいのか? それとも割かないほうがよいのか?

 全てはより大きなゲームプランにつながっている。あの3日間、いつ食べるか、から、いつ寝るか、まで全てはそのゲームの為だった。
(註5) ブリッジ
 ブリッジはトランプで遊ばれる4人用のゲーム。
 麻雀のように1ゲームごとで点数を計算する賭け事向きのゲーム。

(註6) キラー
 以下のURLにある Card Game の Killer のことと思われる。
 ルールは簡単に言うと大貧民。
 http://en.wikipedia.org/wiki/Killer

(註7) スカベンジャーハント
 主催者側が用意したリストに載っている物品を最初に全て集めたら優勝というゲーム。シカゴ大学が毎年5月に行うスカベンジャーハントが特に有名らしい。
 http://en.wikipedia.org/wiki/University_of_Chicago_Scavenger_Hunt

(註8) 置換式暗号パズル
 原文はCrypt-List。
 以下のリンク先では、JAVAスクリプトで遊べるCrypt-Listパズルが紹介されている。
 http://www.crpuzzles.com/clist/index.html

マジックにおけるメタゲーム

 トレーディングカードゲームはメタゲームの要素を本質的に強く持っている。なぜならカードの移り変わり自体がメタゲームだからだ。そこには常に、今現在プレイしている手札だけでは推し量れない、より大きなゲームの世界が存在している。プレイヤーは「どうやったらこの試合に勝てるか」だけでなく「次の試合ではデッキをどう変えるべきだろう」まで考えている。

 人々がカードを交換したり買ったりするとき、彼らは自身のデッキ構築にあらたな選択肢を与えるという形でメタゲームの一手を打っているのだ。

 トレーディングカードゲームのコミュニティ内のカードプールに変化が訪れるとき、それはコミュニティ内のゲーム環境もまた変えるのだ。もし君の属しているコミュニティ内にフォールン・エンパイアがまったく存在しなかった場合や、またはデッキに投入できるだけの量が手に入ったので君の白デッキにたくさんの《Combat Medic》が投入された場合、これらは君のコミュニティ内の環境をまったく変えてしまうだろう。

 そう、君はメタゲームを動かしたのだ。

 私が初めてトレーディングカードゲームのコンセプトを考案したとき、ゲームのことについて学ぶこともまたそのゲームの一部となる未来を心に描いた。

 私はカードリストをプレイヤーに提供してはならないものと考えていた。それは単なる索引や辞書的にしか使われないで終わってしまう。古参のマジックプレイヤーたちはおそらく覚えていることだろう。今のように情報があふれていなかったあの時代、否応なくプレイヤー同士でゲームについて語り合い、情報を交換する必要があった。

 現在、人々はセットに入っているカードが何なのかをずっと早く知ることができる。リリース情報はインターネットを使えばほぼすぐに手に入ってしまう。

 しかし、もしかしたら情報に乏しかったあの時代が、ほんの少しとはいえ今現在のマジックのコミュニティを作る助けになった、と言えなくはないだろうか。トレーディングカードゲームの世界を探索しようとするプレイヤーたちのメタゲーム的な行為を通じて、人々が集まるようになったのだから。

 実のところ、トレーディングカードゲームにおいて「基本」と呼べる環境は定かではない。ああ、もちろんマジックの基本は「1対1」だ。しかしその「1対1」は未開封のトーナメントパック(註9)を使ったものだろうか?

 それともDCI(註10)の提供している構築ルールに従ったものだろうか? それともコモンカードに限定した構築? それとも君の妹のおもちゃ箱に入ってるカードに限定した構築? これら全ての制限された環境ごとに、異なるメタが存在する。それぞれ、要求されるスキルも異なり、つちかわれる経験もまったく違うものになる。

 メタゲームが自然と問いかけてくることになるこういった流れに対し、私たちはその回答として、新たな階層を用意する。トーナメントやリーグ戦などだ。DCIは、カードの制限を加えたり様々なイベントを提供することで、ローカルなものから国際的なものまで様々なレベルのトーナメント(メタゲーム)を生み出している。

 今やちまたにはトレーディングカードゲームがあふれている。メタゲームは今や手がつけられないほど大きくなった。

 君はマジックのカードとStar Trek(註11)のカードを交換したことがあるだろうか? Illuminati(註12)のカードとWyvern(註13)のカードは? On the Edge(註14)とBlood Wars(註15)は? これら全てのゲームのルールを知っているだろうか? 今や広がりゆくメタゲームはあまりに広大で、把握しようとすることすら不可能に近い。

 MITミステリーハントを終えて、Skaffと私はこのハントのようなイベントをマジックで行うにはどうしたよいかを話し合った。私達の結論は、チーム制の大会を週末をかけて行ってみよう、それも4人で構成される各チームが1回では参加しきれないほどたくさんのイベントを用意しよう、というものだった。

 イベントごとに異なる獲得ポイントを用意し、また賞品もイベントごとに異なるものにする。各チームには初めに300枚ほどのランダムに割り振られたカードが渡される。その週末の大会のあいだ、君たちは点数を獲得するべく、デッキを何度も作り直すことになるだろう。そして、ミステリーハントと同じく、ここで開催される素晴らしいゲームイベントでは様々な決断が多様なレベルに影響を及ぼすことになる。

 カードプールから最強のデッキを1つだけ作り、最もポイントの高いトーナメントを狙うか? それともカードをばらけさせ、ポイントが低いトーナメントを複数狙うか? 上位5人への賞品が「好きな基本土地カード 6枚」のトーナメントは、上位5人への商品が「ザ・ダークのブースター」のトーナメントよりも価値があるのか? 無理しててもトーナメントに参加する回数を増やすか、2時間だけでも睡眠をとったほうがよいのか?

 このイベントでは広い範囲の才能や資質が要求される。当然、その中には持久力も含まれることになるだろう。

 週末の最後にもっとも高いポイントを稼いでいたチームが優勝となる。もしかしたら、各チームが使い続けたそのデッキを使って、最後の大一番となるプレーオフを行うことになるかもしれない。そして私たちはそこで得られた総合ポイントをさらに大きな大会に持ち越すこともできる。その大会は数ヶ月にかけて行われるものになるだろう。そしてそれらの大会で得られたポイントをさらに大きな大会に持ち越すのだ。

 メタゲームというこの題材は私の心をとらえて離さない。もし私たちが各試合それぞれに注いでいる情熱の半分をメタゲームに振り向けさえすれば私たちはよりよいプレイヤーとなれるはずだ。それだけでなく、またイベントもずっとよいものになるはずだ。

 実のところ、それ以上に人間としてより向上することができるはずだと信じているが、それを証明するためには、いましばらくの時間と場所が必要だ。

(註9) 未開封のトーナメントパック
 原文では「stripped starter deck」。第6版以前はスターターと呼ばれていたもので、ブースター3パック分のカードと基本土地を合わせて60枚入っている。

(註10) DCI
 原文では「Duelists’ Combocation」。DCIの旧名称は「Duelists’ Convocation International」で、その略称がDCIだったが、現在は正式名称がDCIとなっている。
 公式サイト:http://www.wizards.com/default.asp?x=dci/welcome,,ja

(註11) Star Trek
 スタートレックを題材にしたトレーディングカードゲーム。1994年発売。
 公式(?)サイト:http://www.trekcc.org/ (リンク先は英語)

(註12) Illuminati
 カードゲーム「Illuminati」を元にしたトレーディングカードゲーム。19971994年発売。
 公式サイト:http://www.sjgames.com/inwo/ (リンク先は英語)

(註13) Wyvern
 ドラゴンやワイバーンとなって宝を奪い合うトレーディングカードゲーム。1994年発売。

(註14) On the Edge
 Over the Edge RPGを題材にしたトレーディングカードゲーム。1994年発売。
 公式サイト:http://www.atlas-games.com/ontheedge/ (リンク先は英語)

(註15) Blood Wars
 D&DのPlanescape世界を題材にしたトレーディングカードゲーム。1995年発売。

余談1:02月01日《メリーラの守り手/Melira’s Keepers》

 2月からFAQシリーズ開始。この日は感染とカウンターが配置されない能力の関係。前にも新しいセットが出た直後のCard of the DayがFAQだったけれど、あのときは本当に公式FAQの完全コピーペーストだった。訳している最中に「あれ、これどっかで読んだな」と気づいて公式を確認したときのあのなんとも言えない気持ち。

余談2:02月02日《悪性の傷/Virulent Wound》

 かわいい《銅のマイア/Copper Myr》初登場の回。それはさておき、FAQと《巨大化/Giant Growth》の相性の良さは第4版の頃から変わってない。今まで、一番FAQに登場した回数が多いカードなんじゃなかろうか。ちなみに今までFAQに登場した回数が一番多いクリーチャーは《灰色熊/Grizzly Bears》……だと思う(憶測)。

 ところで前々から気になっているんだけど、遅延誘発型能力を《もみ消し/Stifle》するときって具体的にいつ唱えればいいんだろう。《悪性の傷/Virulent Wound》から毒カウンターをもらいたくないときは《悪性の傷/Virulent Wound》が唱えられたときに「もみ消す」のか、対象となったクリーチャーが墓地に置かれたときに「もみ消す」のか。これが調べてもなかなか分からない。

 多分、クリーチャーが墓地に置かれたときに「それのコントローラーは毒(poison)カウンターを1個得る」がスタックに積まれるので、そのときに唱えるんだろうと思ってる。でも、そうだとすると《霊体の地滑り/Astral Slide》の遅延誘発型能力を「もみ消す」ときはいつ唱えればいいのかが分からなくなる。

余談3:02月03日《腐敗狼/Rot Wolf》

 Card of the Dayの元記事では省略されているイベントが多かったので、やりすぎかな、と思いつつも訳注で文中に補足を色々と入れてみた。仮にもFAQだから、訳に固執して読む人を混乱させたら意味が無いと思った。

余談4:02月04日《マイアの溶接工/Myr Welder》

 今週の意訳。
原文:
 A Myr Welder walks into a bar and imprints Mimic Vat and our friend the Copper Myr.
拙訳:
 《マイアの溶接工/Myr Welder》が散歩に出かけた際、《ミミックの大桶/Mimic Vat》とみんな大好き《銅のマイア/Copper Myr》を刻印した。

 最初「A walk into bar (Aが棒に出くわす)」という言い回しがあるのかと思って調べてしまった。多分ここの「Bar」は単なる「酒場」。原文に即して訳すなら「《マイアの溶接工/Myr Welder》がふらりと酒場に立ち寄った際に」だけど、日本語的じゃないなあ、という独断と偏見により今の形に。

余談5:02月05日 メタゲームとは?/the metagame

 実はあまり訳すのに際して苦労がなかった。さすがRichard Garfield氏の書かれた文章だけのことはあって、原文が非常に読みやすく分かりやすかった。

 あえて苦労があったとすれば、文中に出てくる各種ゲームについての調査。ブリッジの試合の単位が「ラバー(Rubber)」というのを知らなかったので「a rubber of bridge」が何かの成句かと思って調べてしまった。要するに「ブリッジの1試合」ってことか。

 それより何より、一番調査に時間がかかったのは「Crypt-List」。最初、予想したのは「一見ランダムに縦横に並べられた文字の中から単語を探すパズル」だったんだけど、Google先生に何度も聞きまくった結果、違うことが判明。

 さらに余談。試しにネットで出題されていた「Crypt-List」を解こうとしてみたんだけど、これがなかなか難しい。よほどの英単語数を知らないと太刀打ちできない。

余談6:MTGにおけるミスプレイの意味~プロだってミスするよ!

 ペンティーノさんのブログで紹介されていた翻訳記事。
 http://biggbo.diarynote.jp/201102022153325202/

 これを読んで思ったのは、まったく同じことが翻訳でも言えるなあ、ということ。特に「上手いプレイが行われた際に,観戦者はそれを当然と考え ,自分も同じ結論に至れると決めてかかりますが,実際にはそうできない人もいるはずです.」はそのまま「上手い訳が行われた際に,読者はそれを当然と考え ,自分も同じ訳に至れると決めてかかりますが,実際にはそうできない人もいるはずです.」と言い換えられると思った。うん。気をつけよう。

余談7:《襞金屑ワーム/Quilled Slagwurm》

 Card of the Dayはまったく関係ない話。公式のフルスポイラーを眺めているとき《襞金屑ワーム/Quilled Slagwurm》のフレイバーテキストが引っかかった。
Vorinclex removed its teeth so it wouldn’t waste time chewing before moving to the next kill.
引用元:http://magiccards.info/mbs/en/89.html

 そのまま訳すと「Vorinclexがその歯を取り除いたのは、次の殺しに移る前の噛み砕く無駄な時間を省くため」となるような気がするんだけど、それだと意味が分からない。

 まずVorinclexが人なのかワームなのか。ここで言っている「その歯を取り除く」というのはワームの歯のことだろうから、Vorinclexはワームではない(自分自身の歯を取り除くワームはいないだろうから)。

 ではVorinclexはなんで歯を取り除いたのかというと「次に獲物を殺しに向かう前に、いちいち前の獲物を噛み砕くのが無駄だと思ったため」歯を取り除いたらしい。ここで気になるのが「次の獲物を殺しに向かう」のは誰なんだろう、ということ。

 普通に考えるとワームなんだろうけど、ワームが黙って他人に歯を取り除かれるわけがないんだから、このワームは当然もうVorinclexによって退治されたあと。よって、残る登場人物はVorinclexしか存在しないから「Vorinclexが(ワームを殺し、その歯を取り除いたあと)次の獲物を殺しに向かう前」の話だと思った。

 だけどそうすると「Vorinclexが何かを噛み砕くのに使う時間を省くためにワームの歯を取り除いた」ことになってしまう。意味が通らない。

 ……と、文章にすると長くなってしまうけど、まあ、フレイバーテキストを読んだ瞬間、上記のような疑問が頭の中をグルグルと渦巻いたという話。

 とりあえずは日本語訳を読めば何か分かるだろうと考えて確認しにいってみた。
ヴォリンクレックスはそれの歯を取り除いた。そうすれば、次の獲物を殺す前の、噛み砕く無駄な時間を省けるからだ。
引用元:http://magiccards.info/mbs/jp/89.html

 そのままだった ( ´・ω・`)

 ここで発想の転換をしてみる。

 より自然な解釈として「次の獲物を狙うのがワーム」であるとまず仮定する。そうすると「ワームはVorinclexに黙って歯を取り除かれていた」ことになる。それがあり得るとすると、つまり2人は仲良し……というか、Vorinclexはワームの創造主っぽい立場なのかもしれない。

ヴォリンクレックス
 「デカいワーム作ろう。敵をどんどん貪ってくれるように、歯はつけないでおこう。
  どうせ飲み込まれたら助からないんだ、いちいち犠牲者を噛み砕く時間が惜しいよね」
襞金屑ワーム
 「わーい、これで休み無く獲物を貪れるぞ! ありがとう、ヴォリンクレックスさん!」

 なんか違うような気もしないでもないけど、個人的には納得できたから、これでいいや。
軍団の結集/Rally the Forces - ミラディン包囲戦 コモン
Rally the Forces / 軍団の結集 (2)(赤)
インスタント
攻撃クリーチャーはターン終了時まで+1/+0の修整を受けるとともに先制攻撃を得る。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Rally+the+Forces/

 《軍団の結集/Rally the Forces》はミラン側のカードだが、もしかしたらドラフトでは君はこれがファイレクシア・デッキから飛び出してくるのに出くわすかもしれない。なぜならこのカードは感染という能力とシナジーを持つからだ。
 このことは、いかに相反する両面であってもより良い方向へ向かうために力を合わせることが出来る、ということを確かに指し示している。なお、ここで言っている「より良い」というのは、善悪の話じゃなくて「君のデッキを強くする」という意味だ。

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0211
一同集結!/To Arms! - ギルドパクト アンコモン
To Arms! / 一同集結! (1)(白)
インスタント
あなたがコントロールするすべてのクリーチャーをアンタップする。
カードを1枚引く。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/To+Arms%21/

 「To arms」というフレーズは、《一同集結!/To Arms!》と《Call to Arms》と《Farewell to Arms》(註1)という3つの異なるカード名に登場している。
 だけど、もし君が「古今東西、お題は『他のカード名に丸ごと名前が含まれてしまっているカード』(註2)」というゲームを遊ぶなら、びっくりマークの存在を忘れないように気をつけてくれ!

(註1) 《Call to Arms》と《Farewell to Arms》

 この2枚はあまり有名でない気がしたので簡単に紹介してみる。
 《Call to Arms》はアイスエイジのレアで《十字軍/Crusade》の下位互換的なカード。
 《Farewell to Arms》はアンヒンジドのアンコモンで相手の片手を封じるカード。

(註2) 古今東西、お題は「他のカード名に丸ごと名前が含まれてしまっているカード」

 原文は「the game "What card names are completely quoted in other card names?"」。
 何があるかな、と考えてみたけど、すぐ思いついたのは《停滞/Stasis》くらいしかなかった。

 《Chain Stasis》
 《停滞の繭/Stasis Cocoon》
 《停滞の監房/Stasis Cell》

 あと簡単に調べてみて見つけたのは《求道者/Seeker》。
 含むのは6枚。ちなみに日本語も一致しているのは、そのうち2枚。

 《嵐の運び手/Storm Seeker》
 《天光を求める者/Seeker of Skybreak》
 《真実を求める者、今田魅知子/Michiko Konda, Truth Seeker》
 《栄光の探求者/Glory Seeker》
 《求道者テゼレット/Tezzeret the Seeker》
 《血の求道者/Blood Seeker》

 メンタルマジック強い人はこういうのも得意かもしれない。

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0211
天羅至の叫び/Terashi’s Cry - 神河物語 コモン
Terashi’s Cry / 天羅至の叫び (3)(白)
ソーサリー - 秘儀(Arcane)
3体までのクリーチャーを対象とし、それらをタップする。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Terashi%27s+Cry/

 神河ブロックで天羅至は、叫び、掌握し、評決を下している(註1)。天羅至自身は、白という色の特性を強く体現した太陽の神(Kami of the sun)であり、神河の乱では不死である精霊たちの側についた。

(註1) 天羅至は、叫び、掌握し、評決を下している

 原文ではそれぞれ以下のカードへのリンクが張られている。

  叫び = 《天羅至の叫び/Terashi’s Cry》
  掌握 = 《天羅至の掌握/Terashi’s Grasp》
  評決 = 《天羅志の評決/Terashi’s Verdict》

 ちなみに、なぜか日本語版では1つだけTerashiの対訳が「天羅至」ではなく「天羅」となっている。そのため、日本語版で「叫んで」いる天羅至は「掌握」はしているが「評決」は下していない。

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0211
戦いのハルダ/Battle Hurda - ワールドウェイク コモン
Battle Hurda / 戦いのハルダ (4)(白)
クリーチャー - 巨人(Giant)
先制攻撃
3/3
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Battle+Hurda/

 《戦いのハルダ/Battle Hurda》は《隊商のハルダ/Caravan Hurda》のより攻撃的なバージョンだ。なお《隊商のハルダ/Caravan Hurda》(註1)は1つ前のセットであるゼンディカーに収録されている。

(註1) 《隊商のハルダ/Caravan Hurda》
 ハルダという種族に関する短いコラムがMTG Wikiからリンクされていたので紹介してみる。
控えめなハルダ/The Lowly Hurda
2010年02月01日
引用元:http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/arcana/376

 ハルダという種族を覚えているだろうか?
 ゼンディカーの世界で見られる、群れを作る大型生物だ。

     原文ではここに《隊商のハルダ/Caravan Hurda》のイラスト


 《隊商のハルダ/Caravan Hurda》のフレイバーテキストでは「頭が良いわけじゃないが、仕事には十分だ――荷物を背負って、まっすぐ歩かせる分にはな (註1)」と言い表されている。彼らは与えられた仕事(荷物を持ち上げ、それを運ぶ)をただただこなす。彼らは穏やかで、もの静かで、従順だ。

 では、もしハルダに赤の魔法で巨大な角と凶暴な気性を与えたらどうなるのだろう?

    原文ではここに《雄牛の猛進/Bull Rush》(註2)のイラスト
  (魔法によって真っ赤な角を生やされたハルダが暴れまわっている)


 なんてこった! ハルダがバーサーク状態になっちまったようだぞ!

(註1) フレイバーテキスト
 引用元は以下のリンク先。
 http://magiccards.info/zen/jp/5.html

(註2) 《雄牛の猛進/Bull Rush》
 赤1マナのインスタントで「対象のクリーチャー1体に+2/+0の修整を与える」魔法。
 いくらなんでも上位互換との差が激しすぎるような。


元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0211
ジェラードのときの声/Gerrard’s Battle Cry - テンペスト レア
Gerrard’s Battle Cry / ジェラードのときの声 (白)
エンチャント
(2)(白):あなたがコントロールするクリーチャーは、ターン終了時まで+1/+1の修整を受ける。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Gerrard%27s+Battle+Cry/

 《ジェラードのときの声/Gerrard’s Battle Cry》のイラストでは《旗艦プレデター/Predator, Flagship》が《飛翔艦ウェザーライト/Skyship Weatherlight》を攻撃しているところが見られる。このイラストに描かれているシーンの前後ではたくさんの飛翔艦が登場している。

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0211
Kavu Titan / カヴーのタイタン (1)(緑)
クリーチャー - カヴー(Kavu)
キッカー(2)(緑)(あなたがこの呪文を唱えるに際し、あなたは追加の(2)(緑)を支払ってもよい。)
カヴーのタイタンがキッカーされていた場合、それはその上に+1/+1カウンターが3個置かれた状態で戦場に出るとともに、トランプルを持つ。
2/2
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Kavu+Titan/

 ここ最近、私はFFL(フューチャーフューチャーリーグの略。新セットの発売後に訪れるであろう使用セットを用いた環境で行われるプレイテスト用のリーグ)に参戦せず、通常のプレイテストに参加していた。

 しかし時間に追われるようになってからというもの、他のR&Dメンバーの作ったデッキを使うようになった(ああ、そうそう、私のデッキ構築能力は実にお粗末なものだ。少なくとも対戦相手が見たら驚くようなカードを入れつつも勝てるようなデッキは組めない)。

 ある週、私はRandyから赤緑デッキを借りた。その週は4戦を4勝0敗で終えることが出来た。その週の全勝はR&Dメンバーの中で私だけだった。

 Randyはその最終戦を観戦していた。試合が終わると彼は私に、それは《灰色熊/Grizzly Bears》じゃないぞ、と言った。それは《カヴーのタイタン/Kavu Titan》だぞ、と。

 新たな情報を手に入れた私は、次の週に4戦して2勝2敗となった。

 ここで得た教訓は貴重なものだ。

 単なる熊だと思って使っていたときは、アグレッシブに攻めることができた。しかし一度それが《カヴーのタイタン/Kavu Titan》だと気づいてしまった私は、しばしばそれを5/5のクリーチャーとしてプレイできるようになるまで手札に温存するようになってしまったのだ。

Metathran Zombie / メタスランのゾンビ (1)(青)
クリーチャー - メタスラン(Metathran) ゾンビ(Zombie)
(黒):メタスランのゾンビを再生する。
1/1
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Metathran+Zombie/

 これは実は同型再販だ。マジックに相当詳しくないと気付かないだろうけどね(オリジナルはザ・ダークの《The Drowned》だ(註12)。Ga’aark(註13)の嫌いなアレさ)。
(註12) 《The Drowned》
 元々の《メタスランのゾンビ/Metathran Zombie》はクリーチャータイプにメタスラン(Metathran)が含まれておらず、《Drowned》の完全同型再版だった。
 ちなみにメタスランがクリーチャータイプに含まれるようになったのは、お察しの通り、通称「大規模クリーチャータイプ更新」と呼ばれる2007年09月のアレ以来。

(註13) Ga’aark
 リンク先は以下のURL。
 ゾンビに関する記事で、Ga’aarkというゾンビがゾンビという種族の地位向上を訴えている。彼に言わせると《Drowned》はダメダメらしい。
 http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtgcom/daily/mr61


Molimo, Maro-Sorcerer / マローの魔術師モリモ (4)(緑)(緑)(緑)
伝説のクリーチャー - エレメンタル(Elemental)
トランプル(このクリーチャーが、自身をブロックしているすべてのクリーチャーを破壊するのに十分な戦闘ダメージを割り振る場合、あなたはその残りのダメージを防御プレイヤーかプレインズウォーカーに割り振ってもよい。)
マローの魔術師モリモのパワーとタフネスはそれぞれ、あなたがコントロールする土地の数に等しい。
*/*
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Molimo%2C+Maro-Sorcerer/

 これは名前にMaroが含まれる3枚目のカードだ。

 さらに私たちの市場調査によると最も人気のあるカードだ。

 偶然だと思うかい? 気づいてない人のために書いておくと、このカードはレジェンドで人気のあった伝説のクリーチャー、《黒き剣のダッコン/Dakkon Blackblade》を作り直したものだ。

Noble Panther / 気高き豹 (1)(緑)(白)
クリーチャー - 猫(Cat)
(1):気高き豹はターン終了時まで先制攻撃を得る。
3/3
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Noble+Panther/

 開発中、長いことこいつは3マナ 3/3 先制攻撃 というシンプルなクリーチャーだった。開発の終盤になって、チームはそれじゃちょっと強すぎると考えたため、変更が加えられた。

Plague Spitter / 疫病吐き (2)(黒)
クリーチャー - ホラー(Horror)
あなたのアップキープの開始時に、疫病吐きは各クリーチャーと各プレイヤーにそれぞれ1点のダメージを与える。
疫病吐きが戦場から墓地に置かれたとき、疫病吐きは各クリーチャーと各プレイヤーにそれぞれ1点のダメージを与える。
2/2
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Plague+Spitter/

 インベイジョンをデザインする際、私たちは(Richard Garfieldの一番最初のマジックの対戦相手をつとめた)Barry Reichという人物がデザインしたSpectral Chaosというセットを参考にするところから始めた。

 その中からいくつものカードがインベイジョンに使われることになったが、その中でも特にBarryのカードとして思い出されるのはこの《疫病吐き/Plague Spitter》(Barryのセットでは《Screaming Mimis》という名だった)と各種の版図(Domain)カード(デザイン中は「バリーのカード(Barry’s Card)」と呼ばれていた)だ。

Power Armor / 力の鎧 (4)
アーティファクト
版図 ― (3),(T):クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで、あなたがコントロールする土地の中の基本土地タイプ1種につき+1/+1の修整を受ける。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Power+Armor

 はっきり言っておくが私はメカが嫌いだ。

 大嫌いだ!

 クリテイティブチームの分野でこれよりも嫌いなものがあるとすればたった1つだけ、ポータルセカンドエイジの銃器だ。

Probe / 調査 (2)(青)
ソーサリー
キッカー(1)(黒)(あなたがこの呪文を唱えるに際し、あなたは追加の(1)(黒)を支払ってもよい。)
カードを3枚引き、その後カードを2枚捨てる。調査がキッカーされていた場合、プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを2枚捨てる。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Probe/

 あまりに目立たないデザインだったためのチェックの目を逃れたカードの1つがこれだ。

 《調査/Probe》はキッカーを払うことで君だけが2枚捨てるはずだったところを、相手にも2枚捨てさせることができる。問題はそのとき君だけがカードを3枚も引けるというところだ。

 おそらくこの呪文がプレイヤーに多少好まれるところとなったのもそのあたりが理由だろう。

Pyre Zombie / 火葬のゾンビ (1)(黒)(赤)
クリーチャー - ゾンビ(Zombie)
あなたのアップキープの開始時に、火葬のゾンビがあなたの墓地にある場合、あなたは(1)(黒)(黒)を支払ってもよい。そうした場合、あなたの墓地から火葬のゾンビをあなたの手札に戻す。
(1)(赤)(赤),火葬のゾンビを生け贄に捧げる:クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。火葬のゾンビはそれに2点のダメージを与える。
2/1
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Pyre+Zombie/

 マルチカラーのクリーチャーをデザインする楽しみの1つは、その2色に共通して見られる特色のうち、特に皆の興味を引けるものを探すことだ。

 この《火葬のゾンビ/Pyre Zombie》を作り始めた際、私は黒のクリーチャーが持っている「自力で何度も墓地から戻ってくる能力」を気に入っていることに気づいた。つまり私が赤から探すべき能力はこのクリーチャーを生け贄に捧げる能力だ。

 様々なアイデアを吟味したが、結局はシンプルイズザベストという結論に戻った。

Raging Kavu / 怒り狂うカヴー (1)(赤)(緑)
クリーチャー - カヴー(Kavu)
瞬速
速攻
3/1
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Raging+Kavu/

 これはインベイジョンのプレリリース・カードになったカードだ。

 私はこのカードのデザインについてたくさんの質問をもらった。これの持っている2つの能力は相性が悪いように見える、という点でだ。

 インスタント速度で呼び出された場合、速攻は意味がないように思われ、また速攻を活かすべくプレイしたならインスタントで召喚できるというメリットは活かせない。さて、なぜこのようなデザインになったのか?

 これこそ私が主題的有用性(Thematic Utility)と呼ぶものだ。

 何が言いたいのかと言うと、クリーチャーが持っている2つの能力は「同じテーマに紐づいている」ということだ(《怒り狂うカヴー/Raging Kavu》の場合、素早いクリーチャーである、ことがそれだ)。

 このクリーチャーは、能力を2つ同時に用いることに主眼が置かれているのではなく、どちらかというと、2つの異なる技を隠し持っているということを表したいのだ。

 こういったデザインをすることはあまりない。しかし私はこれが2つの能力をフレイバー的に上手く調和させることが出来たおかげで生まれたいいカードだと思っている。

Recoil / はね返り (1)(青)(黒)
インスタント
パーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。その後そのプレイヤーはカードを1枚捨てる。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Recoil/

 私がデザインしたインベイジョンの全てのマルチカラー・カードの中で(ちなみに結構な枚数をデザインしたつもりだ)、これが私のお気に入りだ。

 これはシンプルでエレガントで、そのうえそれぞれの色の特徴をちゃんと持っている。

 しかしそこに加えられている一工夫は、これら2つの能力が組み合わせられることによって、それぞれの色が持っていない全く新しい能力が生み出されているという点だ。こういったカードはデザイナーをダメにする。なぜならあまりに素晴らしすぎて同じようなカードを大量に作りたくなってしまうからだ。

 しかし実際はそうはならなかった。なぜなら気が狂うほどに難しいことだからだ。このカードを作れたことを誇りに思うよ。

Rith, the Awakener / 煽動するものリース (3)(赤)(緑)(白)
伝説のクリーチャー - ドラゴン(Dragon)
飛行
煽動するものリースがプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、あなたは(2)(緑)を支払ってもよい。そうした場合、色を1色選ぶ。その後、選ばれた色のパーマネント1つにつき、緑の1/1の苗木(Saproling)クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
6/6
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Rith%2C+the+Awakener/

 元々、これら5匹の伝説のドラゴン(おそらく今となっては、伝説のクリーチャー - ドラゴン と言うべきだろうが)はタップを必要とする強力な能力を持っていた。開発チームは誰もが、何かおかしい、と感じてはいたが、何週間ものあいだ、それを具体的に指摘できるメンバーはいなかった。

 最終的に「それ」に気づいたのは私だった。

 ドラゴンはカッコいい……ドラゴンは「それで攻撃したくなる」くらいカッコいい。

 しかし与えられた起動型能力(Activated Ability)は強すぎて、そのためにしかドラゴンたちを使わざるを得なかった。つまり、何が起きたかというと、その素晴らしいドラゴンたちは決して攻撃に使われることはなかったということだ。

 これじゃつまらない。

 そこで私が提案したのは、攻撃に向かわせたときにしか得られないボーナス的な何かに彼らの能力を変えたらどうかということだった。こうすればカードは前の能力とは逆に「プレイヤーがしたいことをするよう、強制するカード」になる。こうやって君らの知っている(そして大好きな)伝説のドラゴンたちが生まれたというわけさ。

Samite Archer / サマイトの射手 (1)(白)(青)
クリーチャー - 人間(Human) クレリック(Cleric) 射手(Archer)
(T):クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。このターン、それに与えられる次のダメージを1点軽減する。
(T):クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。サマイトの射手はそれに1点のダメージを与える。
1/1
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Samite+Archer/

 これも、見事な対称性を持った2つの各色の能力を見つけることが出来た例の1つだ。

Seer’s Vision / 予見者の幻視 (2)(青)(黒)
エンチャント
あなたの対戦相手は自分の手札を公開してプレイする。
予見者の幻視を生け贄に捧げる:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーの手札を見て、カードを1枚選ぶ。そのプレイヤーはそのカードを捨てる。この能力は、あなたがソーサリーを唱えられるときにのみ起動できる。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Seer%27s+Vision/

 忘れられがちだが、インベイジョンにはアンコモンに「全体的な効果+生け贄に捧げることで使える使い捨ての効果」を持つマルチカラーのエンチャントメントのサイクルがある(《天使の盾/Angelic Shield》、《ヤヴィマヤの火/Fires of Yavimaya》、《予見者の幻視/Seer’s Vision》、《くすぶるタール/Smoldering Tar》、そして《真の木立ち/Sterling Grove》だ)。

 サイクルを生み出すインスピレーションの元となったのは、この《予見者の幻視/Seer’s Vision》だ。

Skizzik / スキジック (3)(赤)
クリーチャー - エレメンタル(Elemental)
キッカー(赤)(あなたがこの呪文を唱えるに際し、あなたは追加の(赤)を支払ってもよい。)
トランプル、速攻
終了ステップの開始時に、スキジックがキッカーされていない限り、それを生け贄に捧げる。
5/3
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Skizzik/

 トリビア好きな君のために書いておくと、《スキジック/Skizzik》は能力を得るためではなく失わせるためにキッカーを払う唯一のカードだ。

Sleeper’s Robe / 潜伏工作員のローブ (青)(黒)
エンチャント - オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは畏怖を持つ。(それは黒でもアーティファクトでもないクリーチャーによってはブロックされない。)
エンチャントされているクリーチャーが対戦相手に戦闘ダメージを与えるたび、あなたはカードを1枚引いてもよい。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Sleeper%27s+Robe/

 このカードはつけられたクリーチャーを《影魔道士の浸透者/Shadowmage Infiltrator》に変えることが出来る(ちなみに《影魔道士の浸透者/Shadowmage Infiltrator》は、Jon Finkelがデザインしたインビテーショナルカードだ)。

Spite / 悪意 (3)(青)
インスタント
クリーチャー呪文でない呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Spite
Malice / 敵意 (3)(黒)
インスタント
黒でないクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。それは再生できない。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Malice

 分割カードをデザインしているとき、もっとも最初に作られたのがこの《悪意 & 敵意/Spite & Malice》だ(インベイジョンに限った場合の話。アングルード2のためにも分割カードのセットがデザインされていた)。

 このカードは分割カードのデザインを非常に難しいものにした。

 なぜなら2つの効果がそれぞれ互いを補完する関係にある分割カードが作れる、ということが最初の試みで分かってしまったからだ。《悪意/Spite》は《敵意/Malice》の破壊できないものをカウンターしてくれる(ああ、はいはい、そのとおり、黒いクリーチャー以外の話だ)。

 私たちは全ての分割カードを同じようなデザインにしようと試みたが、すぐに気づかされたのは、《悪意 & 敵意/Spite & Malice》が単なるまぐれ当たりに過ぎなかったということと、そう簡単に繰り返せることではない、ということだった。

Stand / 抵抗 (白)
インスタント
クリーチャー1体を対象とする。このターン、それに与えられる次のダメージを2点軽減する。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Stand
Deliver / 救難 (2)(青)
インスタント
パーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Deliver

 言葉遊びが大好きな君のために書いておこうか。

 この《抵抗 & 救難/Stand & Deliver》は、個々のカード名の単語が「単体で使われた際の意味」と「成句として使われた際の意味」が異なるという点でユニークだ。

 Standは単体では「邪魔されずに放っておかれる」ことを指すが、成句として使われた際のStandの意味は「立ちあがる」という意味になる。Deliverは「A地点からB地点へものを移動させる」ことを指すが、成句として使われた際には「言葉に言い表す」という意味になる(註14)。

 きっとどこかの誰かが、私と同じように、こういう話を面白がってくれていると信じているよ。
(註14) 「言葉に言い表す」
 原文では「to express in words」となっていたため、上記のとおり訳してみたけど「Stand and Deliver」を英英辞典などでいくら調べても Deliver にそういう意味があると解説しているものが(探した限りでは)1つも見つけられなかった。
 以下は調査先の一例。
 http://www.phrases.org.uk/meanings/331200.html(リンク先は英語)


Tek / テク (5)
アーティファクト クリーチャー - ドラゴン(Dragon)
テクは、あなたが平地(Plains)をコントロールしている限り+0/+2の修整を受け、あなたが島(Island)をコントロールしている限り飛行を持ち、あなたが沼(Swamp)をコントロールしている限り+2/+0の修整を受け、あなたが山(Mountain)をコントロールしている限り先制攻撃を持ち、あなたが森(Forest)をコントロールしている限りトランプルを持つ。
2/2
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Tek

 なんで名前がこんなに短いのか、って? そうしないとテキストが収まりきらなかったからさ。

Tsabo’s Decree / サーボの命令 (5)(黒)
インスタント
クリーチャー・タイプを1つ選ぶ。プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは、自分の手札を公開し、選ばれたタイプのすべてのクリーチャー・カードを捨てる。その後そのプレイヤーがコントロールする選ばれたタイプのすべてのクリーチャーを破壊する。それらは再生できない。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Tsabo%27s+Decree/

 このカードは、インベイジョンが開発されていた当時の環境を跳梁跋扈していたレベルデッキに対抗するために生まれた。

Tsabo’s Web / サーボの網 (2)
アーティファクト
サーボの網が戦場に出たとき、カードを1枚引く。
マナ能力でない起動型能力を持つ土地は、それのコントローラーのアンタップ・ステップにアンタップしない。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Tsabo%27s+Web/

 このカードは《リシャーダの港/Rishadan Port》への回答として生まれた。

 まったくサーボときたら流行りのカードやデッキを叩くのが大好きなんだよ。

Utopia Tree / ユートピアの木 (1)(緑)
クリーチャー - 植物(Plant)
(T):あなたのマナ・プールに、好きな色のマナ1点を加える。
0/2
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Utopia+Tree/

 開発中、ほんの少しのあいだだけ、このクリーチャーのコストは(緑)だけだった。

Void / 虚空 (3)(黒)(赤)
ソーサリー
数字を1つ選ぶ。点数で見たマナ・コストが選ばれた数字に等しい、すべてのアーティファクトとすべてのクリーチャーを破壊する。その後プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは、自分の手札を公開し、土地でないカードのうち、点数で見たマナ・コストが選ばれた数字に等しいカードを、すべて捨てる。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Void/

 このカードは、点数で見たマナコストに関する除去について考えながらぶらぶらと散歩していたときに思いついた。

 私は場にあるカードと手札を同時に攻撃するカードが欲しかったが、どの色もそれにふさわしく思えなかった。しかし2色で考えるとぴたりとハマったんだ。

Wax / 増進 (緑)
インスタント
クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+2/+2の修整を受ける。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Wax/
Wane / 衰退 (白)
インスタント
エンチャント1つを対象とし、それを破壊する。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Wane/

 この《増進 & 衰退/Wax & Wane》も名前の変更を迫られたカードだ。

 私がつけた名前は《プライド & 偏見/Pride & Prejudice》であったが、ネーミングチームは現実にある作品の名前(註15)を参照すべきではないと考えたため、今の名前になった。
(註15) 現実にある作品の名前
「Pride & Prejudice」という名前の小説および映画が実在する。
 邦題は「プライドと偏見」。


Yawgmoth’s Agenda / ヨーグモスの行動計画 (3)(黒)(黒)
エンチャント
あなたは、各ターンに呪文を1つしか唱えられない。
あなたは、あなたの墓地にあるカードをプレイしてもよい。
いずれの領域からでも、あなたの墓地にカードが置かれる場合、代わりにそれを追放する。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Yawgmoth%27s+Agenda/

このカードの当初の(実際には印刷されることのなかった)日本語訳(註16)は「Yawgmoth’s Day Planner」だった。
(註16) 日本語訳
 実際に当時どのような日本語訳がされたかは不明だが、ここで使われている Day Planner という言葉には「日記帳」や「ビジネス手帳」のような日用品のイメージがある。おそらく「ヨーグモスの日記帳」辺りだったのではないかと推測してみる。


 さて、これで今日の仕事は終わりだ。

 このコラムから、インベイジョンに関するトリビアを大量に仕入れることが出来たかな? 今回に限ったことじゃないが、君が私の記事にどのような感想を抱いたのか、気になるところだ。

 次回は主に皆からのお便りを取り扱いと思っているので、またお付き合い頂きたい。

Mark Rosewater
長過ぎて1つの記事に収まらなかったため、前編/後編に分けてみる

世界侵略:インベイジョン決戦/Body Snatchers of the Invasion
Mark Rosewater
2005年08月08日
元記事:http://www.wizards.com/Default.asp?x=mtgcom/daily/mr188

 インベイジョン週間へようこそ!

 今週は私たちが探険するのは「歴代マジックの中でも随一のエキスパンション」だ(いや、まあ正直言うと「あの【放送禁止用語】なセットのことか!?」って言う人もいるけどね)。

 デザインチームの一員として、他のどこでも聞けないような見識を聞かせてあげよう。いや、ごめん、さすがに「どこでも」は言いすぎかもしれないな。R&Dの副責任者でありインベイジョンのリード・デザイナーでもあるBill Roseが今週の特集記事を書いてるから、彼も知っていることかもしれない。だから、私がこれから話すことは特集記事をのぞけば他のどこでも聞けないような話ということになるんだろう。

 私がこの記事を書いている今現在、Billはまだ彼の記事を書き終えていない。よって私は彼が何について語るのかよく分かっていない。

 話が重複する可能性を減らすため(それだけならまだしも互いの話が矛盾する可能性を避けるため)、私は個別のカードについてのみ話すことに決めた。Billはセットのメカニズムのデザインについて話してくれるだろうと願っている(彼とまったく相談してないわけじゃないから「~と願っている」というのはちょっと言いすぎかもしれない)。

 さて、カード個別の話に移る前に、舞台を整えさせて欲しい。

私の父について/Dad To The Bone

 まず初めに、私の父について知っておいてもらいたい点が3つある。

その1 私の父はマジックのプレイヤーである

 そのとおり、ここで登場したのは、私の実の父の話だ。

 1993年の10月、私は父を尋ねた。そのとき私は、その夏に見つけた新しいゲームを封切らずに新品のまま持っていった。いや、じらしてもしょうがないからはっきり言ってしまうと、私が持っていったのはマジックだ。

 何にせよ、私はとあるゲームのコンベンションでアルファ版をいくつか購入した。私が自分の発見したものの価値(私はマジックについて「70年代のD&Dと同じレベルのすごいことがゲーム界で起きようとしている」と伝えるためだけに、実際に電話口に父を呼び出したほどだ)に気づいたとき、私はベータ版が出るまで待ち焦がれるしかない状態だった。

 ベータ版が出たとき、私はスターター2ボックスとブースター2ボックスを購入した。なぜならもし友人たちもこのゲームに引きずりこむつもりならブツはこちらから提供する必要があることを知っていたからだ(ちなみに南カリフォルニアではベータ版が1日で売り切れた)。

 何にせよ、1993年の10月に私は父へ未開封のマジックを持っていた。私がゲーム好きとなった主な原因の1つは私の父であり、父がマジックを好きになるであろうことは間違いなかった。

 もちろん、その通りだった。

 それ以来、父はマジックを遊び続けている。主要幹線道路から多少外れたところに住んでいる父は、最近では主にマジックオンラインを遊んでいるらしい。

 さてここで2つ目に話すべき点に移る必要がある。

その2 私の父はタホ湖(註1)に住んでいる

 私はクリーヴランド(註2)で育った。しかしそんな地理的条件のみでは私の両親をスキーから遠ざけることは出来なかった。彼らはあまりにスキー好きだったので私にとっての家族旅行とは大抵の場合スキー旅行を意味していた。

 私たちは地元でスキーを始めた。

 次にニューヨーク州まで足を伸ばした。

 その次はバーモント州まで出向いた。

 しかし最終的に私たちはスキーのために西部まで出向いた。コロラド州、ユタ州、カリフォルニア州、ネバダ州、私はこれら全ての州でスキーをしたことがある。

 そのため父が何年も前に隠居を決めたとき(彼は比較的早い時期に退職した。両親が離婚してすぐの頃だ)彼はタホ湖へ引っ越した。タホ湖は、カリフォルニア州とネバダ州の境にありスキーを楽しむのに適した小奇麗な場所だ。引っ越す際、いつでも好きなときに来なさい、と言ってくれた。

 さらに「友達も連れてきなさい、何人でもかまわないから」とも。
(註1) タホ湖
 原文では「Lake Tahoe」。カリフォルニア州とネバダ州にまたがる湖。

(註2) クリーヴランド
 五大湖の1つであるエリー湖のほとりにあるオハイオ州の町。

その3 私の父はスキーのインストラクターだ

 クリーヴランドにいた頃、私の父は自分の診療所を持った歯科医だった(他に何人かの歯科医が父の下で働いていた)。しかし引退後、彼はちょっと違う仕事にチャレンジしてみることにした。

 スキー大好き人間が楽しみにために何をするか? なんとびっくり、彼はスキーを教えることを仕事に選んだんだ(余談だけど、彼は本当に腕のいいスキーインストラクターだ)。

 ある日、R&Dで「私の父はスキーのインストラクターで、タホ湖に近くに大きくて居心地のよい家を構えていて、いつでも何人でも友達を連れてきなさいと言ってたな」と皆にしゃべった。

 自分でそう言いながら「あれ? もしかしたら本当にそうしてみてもいいのかもしれないぞ?」という気持ちが自然と沸き起こってきた。

 そこで私はそうしたのさ。何人かの友達を連れてね。

 君も彼らをR&Dのメンバーとして知っているかもしれない。

 そう、タホ湖への最初の旅に参加したのはR&Dのメンバーでマジックに関わっている面子、それも全員だ。Bill Rose、Mike Elliott、William Jockusch、Charlie Catino、当時のリードデザイナーであるJoel Mickも参加したし、さらにはSkaff(註3)とRichard Garfieldまでもが参加者だった。まさに全員だ。

 実のところ、私たち全員が飛行機に乗っているとき、ふと私が思ったのは「もし今この飛行機が落ちたら、マジックも終わりだな」ということだった。

 あまりにたくさんの人数で押しかけたため、ベッドが足りなくなった。寝袋で寝る羽目になるのは誰かをどうやって決めたかって? シールド戦だよ。当たり前だろ?(ああ、分かった分かった、正直に言うよ。私は免除させてもらった。いや、だって私の父親の家だよ?)
(註3) Skaff
 原文でもフルネームの表記がなかったが、おそらくSkaff Eliasのこと。
 アルファ版が出る前から開発とテストプレイに関わっているメンバー。元々、プロツアーは彼のアイデアから生まれたものらしい。またエキスパンションごとにカードの裏面を違うものにしようというアイデアを速攻で却下したり、同じカードは4枚までの制限ルールを思いついた人だったりもするらしい(以上の話のソースは以下の MTG Salvation Wiki)。
 http://wiki.mtgsalvation.com/article/Skaff_Elias

 これに味をしめたR&Dは、その後も何度か父の家を訪問した。

 これがインベイジョンのデザインへとつながった。

 Billはインベイジョンのデザインのために小規模なチームを作ることにし、私とMike Elliottをメンバーとして任命した。私たち3人は過去にいくつもセットを手がけていたが、3人一緒にデザインチームを組んだのはこれが最初だった(そして今のところ、あれが最後だった)。

 Billはデザインのために会社を離れてちょっと遠出をしてもいいんじゃないか、と考えた。

 そうなると目的地は1つしかない。私たちは父の家へ向かった。

 インベイジョンはそういった意味でもユニークなセットだったが、核となる部分が1週間でデザインされた、という点でも変わっていた。忘れないで欲しいのは、私たちはタホにいたということだ。つまり3日に1回はスキーをしていた。

 さて、最初に述べたとおり、私はセットをあまり大きな視点から語るつもりはない。それはBillに任せる。

 そうではなくて、私はもっと現場に近いところから個々のカードたちの話をしようと思う。なお、ここで挙げるのは全てのカードについてではない。特に私の心の琴線に触れたカードたちについてのみ記事にしたいと考えている。

Absorb / 吸収 (白)(青)(青)
インスタント
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。あなたは3点のライフを得る。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Absorb/

 オリジナルでは、以下のようなカードだった(対となるUndermineも同様だ)。
Absorb
WUU
Instant
Counter target spell. Gain X life where X is the converted mana cost of the countered spell.(註4)

 2つの理由からこれは採用されなかった。1つに、このバージョンは複雑すぎる。このカードはもっとシンプルでエレガントであるべきだと私たちは考えた。もう1つの理由は、ただでさえゲームデザイン上使われづらい重たい呪文をさらに迫害することになってしまうからだ。私たちは極力それを避けたいと考えている。
(註4) (ルールテキストについて)
 訳すとするなら「呪文1つを対象とし、それを打ち消す。あなたは打ち消した呪文の点数で見たマナコスト分のライフを得る」となる。なお、私訳のため、正式なテンプレートに沿っていない可能性がある。ごめんなさい。


Addle / 頭の混乱 (1)(黒)
ソーサリー
色を1色選ぶ。プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは、自分の手札を公開し、あなたはその中からその色のカードを1枚選ぶ。そのプレイヤーはそのカードを捨てる。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Addle

 私は《強要/Coercion》が好きだ。私は、相手に捨てさせるカードを自分で選択できるのが大好きだ。

 ウルザズサーガで私たちは《強迫/Duress》と《村八分/Ostracize》を作った。私はこいつらが好きだった。選択肢が狭いかわりにとても軽いところが特に(ああ、いや、確かにDuressの選択肢は狭いとは言いがたいかもしれない。まあ、だからこそ強いカードとして認知されることとなったんだろうけど)。

 さてインベイジョンだ。私はセットのテーマである「色」に沿うようにしたかった。この2つの願いを組み合わせた結果、デザインは非常に上手くいった。デザイン面での成功点としてもっとも美しいと思われる点は、軽い手札破壊にも関わらず「non-land(土地ではない)」の一語が入っていないことだ。

Alloy Golem / 合金のゴーレム (6)
アーティファクト クリーチャー - ゴーレム(Golem)
合金のゴーレムが戦場に出るに際し、色を1色選ぶ。
合金のゴーレムは、選ばれた色である。(それは同時にアーティファクトでもある。)
4/4
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Alloy+Golem/

 プレイヤーたちはいつも私たちにこう聞いてくるんだ。「色つきのアーティファクトは作らないの?」ってね。そして私はいつもこう答えるんだ。もう作ったよ、ってね。

 これがそうだ。礼はいらないよ。

Ancient Kavu / 年経たカヴー (3)(赤)
クリーチャー - カヴー(Kavu)
(2):年経たカヴーはターン終了時まで無色になる。
3/3
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Ancient+Kavu/

 インベイジョンには一風変わった再録が多く詰め込まれていた。大半は新しい外見と変な名前で再録されている。このカードはミラージュの《烈火の精/Raging Spirit》の再録で、インベイジョンに再録された理由は「色」に関するテーマに沿ったカードだったからだ。

Armadillo Cloak / アルマジロの外套 (1)(緑)(白)
エンチャント - オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは、+2/+2の修整を受けるとともにトランプルを持つ。
エンチャントされているクリーチャーがダメージを与えるたび、あなたはその点数に等しい点数のライフを得る。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Armadillo+Cloak/

 このカードのレアリティについては実に長い議論が戦わされた。最終的に私たちはこれをコモンに残すことにした。緑白には愛が足りない、と感じたのがその理由だ。

Assault / 暴行 (赤)
ソーサリー
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。暴行はそれに2点のダメージを与える。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Assault/
Battery / 殴打 (3)(緑)
ソーサリー
緑の3/3の象(Elephant)クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Battery/

 これは《暴行 & 殴打/Assault & Battery》の話だ。

 うん、まず初めになぜ私が正式なカード名である《暴行+殴打/Assault+Battery》と書きたくなかったかを説明させて欲しい。

 分割カードに関しては「私の物だ」という思いを強く持っている。このカードが私のおこなってきたデザインの中でも特に好きだからだ(ちなみに私の中でこの順位づけはいまだに変わっていないが、ラヴニカはかなり近いところまで追い上げてきている)。

 分割カードについて当時のネーミング・チームは、単にカードの各半分がマジックのカードとして問題のない名前をもっていればよいという判断を下していた。

 その結果は不自然極まりないものだった。なぜならカードのメカニズムは明らかに1つのものが半分になっているにも関わらず、2つのカードの名前は互いに何ら関連のないものだったからだ。つけられたカード名は基本的にゴミだった。

 私はインベイジョン以前から(そして今後もおそらく)ネーミングに関する作業にも携わっていたが、このときは関わっていなかった。

 そこで私はBillの元へ行き、分割カードは超カッコいいんだからネーミング・チームはもっとカッコいい名前をつけるべきだ、と直談判した。Billの返事は、ただ文句を言うだけより出来ることがあるだろう?、だった。名前に関してどうすればよいのか、自分でより良いアイデアを出す必要があったのだ。

 そこで頭をひねってみたところ、降りて来たアイデアは「プレイヤーたちは各半分を関連づけたいはずだ。だったら名前で関連づければいいじゃないか」だった。

 名前が2つで1つになる? いや、もっといい方法があるぞ。2つの名前を&でつなげるとそのまま成句になるってのは?(註5)

 これはちょいと難しい仕事だった。なにせカードはすでにデザインされたあとだったからだ。それでも私は5つの分割カード全てに十分にカッコいい名前を考え付くことに成功したので、ネーミング・ルールに名前の変更を迫った。

 5つのうち、3つはしっくりきた。

 2つは変更された。

 ちなみにこの《暴行 & 殴打/Assault & Battery》がその2枚のうちの1枚だ。元々の名前は《ヒット & ラン/Hit & Run》だった(ネーミング・チームはそれよりも 暴行(Assault) と 殴打(Battery) のほうがメカニズムに合うと考えた)。

 ああ、そうそう、&マークの話だった。

 私の常々意図していたところでは、このカードはプレイヤーに&を使って呼ばれることになるはずだった。よって現在の名前が《暴行+殴打/Assault+Battery》であるこのカードは、カードリストに《暴行 & 殴打/Assault & Battery》という名で載るはずだった。

 しかし「&」という文字は、私がいまだに理解できない何らかの理由により、問題となったらしい。何にせよ、このカードの公的な呼び名は確かに《暴行+殴打/Assault+Battery》だが、私にとってはいつまでも《暴行 & 殴打/Assault & Battery》だ(註6)(分割カードのデザインについてもっと知りたいなら、私の書いたコラム「Split Decision」(註7)を読んで欲しい。面白い記事だよ。信じてくれ)。
(註5) &でつなげるとそのまま成句になる
 英語版の分割カードの名前はそれぞれを「and」でつなぐと1つの言い回しになる。さすがに日本語版のカードにはそれは受け継がれていない。

(註6) 《暴行 & 殴打/Assault & Battery》
 これ以降に出てくる分割カードの表記も全て + ではなく & が使われている。

(註7) Split Decision
 原文では以下のURLへのリンクが張ってある。
 内容は(当然のように)分割カードに関するMark Rosewaterのコラム。
 http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtgcom/daily/mr7


Barrin’s Unmaking / バリンのやり戻し (1)(青)
インスタント
パーマネント1つを対象とする。それがすべてのパーマネントの中で最も多い色であるか、最も多い色の1つと同じ色を持つ場合、それをオーナーの手札に戻す。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Barrin%27s+Unmaking/

 奇妙な話だが、このカードは元々アングルード2(註8)で生まれる予定だった。知ってのとおり、アングルード2もまた「色」をテーマに扱っていたからだ(分かってるよ、確かにアングルードに入るほど変ちくりんには見えないかもしれない、でも見た目が人間っぽいのに毒を持たない野菜だってあるだろう?(註9))
(註8) アングルード2
 原文ではUnglued II。ちなみに製品化された際の正式名称はアンヒンジド

(註9) 毒を持たない野菜だってあるだろう?
 原文では以下のURLへのリンクが張ってある。
 アンヒンジドでは元々毒を持った人型の野菜クリーチャーという案があったらしい。
 http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtgcom/arcana/688


Blind Seer / 無明の予見者 (2)(青)(青)
伝説のクリーチャー - 人間(Human) ウィザード(Wizard)
(1)(青):呪文1つかパーマネント1つを対象とする。それはターン終了時まで、あなたが選んだ1色の色になる。
3/3
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Blind+Seer/

 プレイヤーたちはよく私たちにこう聞いてくるんだ。「ウルザってカード化されないの?」ってね。そして私はいつもこう答えるんだ。もう作ったよ、ってね。

 これがそうだ。

 Blind Seerはウルザが化けた姿だ(本当だ。小説や他の文献にだってそう書いてある)。

 礼はいらないよ。

Crimson Acolyte / 真紅の見習い僧 (1)(白)
クリーチャー - 人間(Human) クレリック(Cleric)
プロテクション(赤)
(白):クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時までプロテクション(赤)を得る。
1/1
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Crimson+Acolyte/

 アポカリプスに関する最も大きな心残りの1つは、こいつの青バージョンと緑バージョンを作らなかったことだ。

Dream Thrush / 夢ツグミ (1)(青)
クリーチャー - 鳥(Bird)
飛行
(T):土地1つを対象とする。その土地は、ターン終了時まであなたが選んだ基本土地タイプ1種になる。
1/1
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Dream+Thrush/

 このカードが加えられたのは開発後半になってからだ。理由は、緑以外の色にもマルチカラーを手助けさせる方法はないか、色々と模索していたからだ。

Frenzied Tilling / 激情の耕作 (3)(赤)(緑)
ソーサリー
土地1つを対象とし、それを破壊する。あなたのライブラリーから基本土地カードを1枚探し、それをタップ状態で戦場に出す。その後あなたのライブラリーを切り直す。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Frenzied+Tilling/

 私は対称的な(シンメトリカルな)デザインが大好きだ。このカードが生まれたわけは、赤は土地を破壊するのに対して緑は新しい土地を持ってくる、という対称性に気づかされたからだ。これらの相反する特性を1つのカードに収められないものか? ともに手をとりあって歩むわけにはいかないか? そんなわけでこのカードが生まれた。

Goham Djinn / ゴーアム・ジン (5)(黒)
クリーチャー - ジン(Djinn)
(1)(黒):ゴーアム・ジンを再生する。
すべてのパーマネントの中で、黒が最も多い色であるか、最も多い色の1つである限り、ゴーアム・ジンは-2/-2の修整を受ける。
5/5
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Goham+Djinn/

 このジンのサイクル(Goham, Halam, Ruham, Sulam, そしてZanam)もアングルード2から来たものだ。元は馬鹿っぽい名前と今とは違ったイラスト(今日のMagic Arcana(註10)を見てくれ)を持っていたが、その実、メカニック自体はそんなに馬鹿げていなかったため、これらは簡単に「現実の」マジックへやって来られたというわけだ。
(註10) 今日のMagic Arcana
 リンク先は以下のURL。5種のジンたちの元々の名前、イラスト、テキストが見られる。
 http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtgcom/arcana/879


Harrow / 砕土 (2)(緑)
インスタント
砕土を唱えるための追加コストとして、土地を1つ生け贄に捧げる。
あなたのライブラリーから、基本土地カードを最大2枚まで探し、それらを戦場に出す。その後あなたのライブラリーを切り直す。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Harrow/

 それを作れば彼が来るように(註11)、良いマナ加速カードを作れば彼らはやってくる。このカードのパワーバランスがいかに素晴らしいものだったか、それは冗談抜きに私を驚かせた。
(註11) それを作れば彼が来る
 原文は「If you build good mana fixers, they will come」。おそらく映画「フィールドオブドリームス」の一節「If you build it, he will come」から来ていると思われたので、元ネタを併記してみた。なお原文の「They」が何を指しているかは不明。
 以下のリンク先は映画「フィールドオブドリームス」のWikipediaの記事(リンク先は英語)。
 http://en.wikipedia.org/wiki/Field_of_Dreams


Kangee, Aerie Keeper / 巣を守るものカンジー (2)(白)(青)
伝説のクリーチャー - 鳥(Bird) ウィザード(Wizard)
キッカー(X)(2)(あなたがこの呪文を唱えるに際し、あなたは追加の(X)(2)を支払ってもよい。)
飛行
巣を守るものカンジーが戦場に出たとき、それがキッカーされていた場合、その上に羽根(feather)カウンターをX個置く。
他の鳥(Bird)クリーチャーは、巣を守るものカンジーの上に置かれた羽根カウンター1個につき+1/+1の修整を受ける。
2/2
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Kangee%2C+Aerie+Keeper/

 第6版で全ての鳥が鳥になったとき……ああ、ごめんごめん、全ての鳥のクリーチャータイプが鳥になったとき、プレイヤーからは怨嗟の声が上がった。

 彼らはファルコンの絶滅に怒りを覚えたんだ。

 念のためにつけくわえておくと、ファルコン自体がいなくなったわけじゃない。単にファルコンというクリーチャータイプがなくなっただけだ。

 なんでこれがそんなに騒がれたかって? とあるホームランドのクリーチャー、Soraya the Falconerがその理由だ。彼女のおかげで人々はファルコンデッキを組めたんだ。

 強いとは言い難いものではあったけど(いや「対象のファルコンはバンドを得る」のがどれほどのものよ?)それは確かに「ファルコン」デッキだった。

 そのようなわけでこのファルコン大好き人間の代表団は私たちの行った統合処理に憤りを覚えたわけだ。だけど、分かって欲しいのはこれによってもっと使い勝手のよい鳥のロードを作ることが可能になったわけさ。

 そしてインベイジョンのデザインで私はカッコいい鳥のロードを作った。

 ところがどっこい、開発チームはそのデザインを嫌った。

 開発チームが私のデザインのどこを嫌ったのか分からない(いや、私自身チームの一員だったわけだから、これはおかしな話かもしれないけどね)。何にせよ、他の何枚かのカードと同じようにこのカードも狙い撃ちにされた。

 最終的に、私が「いつか出すよ!」と何年も前から約束していた鳥のロードはとにかく世には出たわけだ。

 ゴミみたいな強さでね。

 がっかりさ。まったく。

 この借りはオンスロートブロックで返すよ。プレイするに値する鳥たちを出すことでね。
後編へ続く
http://regiant.diarynote.jp/201102120925214209/

余談1:今週のCard of the Dayのテーマ

 今週のテーマは「Battle Cry/喚声」だったのかもしれない。

 月曜日の《軍団の結集/Rally the Forces》は、効果そのものが喚声+先制攻撃だし、さらにイラストもフレイバーテキストもコスさんが檄を飛ばしているシーン。

 火曜日の《一同集結!/To Arms!》は、イラストが味方に向けて檄を飛ばしているシーンだし、そもそもカード名が「Battle Cry」とも言える気がする。

 水曜日の《天羅至の叫び/Terashi’s Cry》も「戦闘へ向けた叫び」そのもの。

 木曜日の《戦いのハルダ/Battle Hurda》がちょっとこじつけかもだけど、イラストで戦いへ向かわせるために叫んでるハルダ使いがいることと、カード名にBattleが入ってること。

 金曜日の《ジェラードのときの声/Gerrard’s Battle Cry》は木曜日とは逆に説明不要か。

余談2:《一同集結!/To Arms!》

 古今東西というゲーム名を使って訳してしまったけど、そもそも古今東西って全国区な遊ぶなのかどうか。高校と大学では基本的にゲーム名だけで通じたので、説明の必要なく仲間内では遊んでたけど。

余談3:検索ワード

 何人か「タイムマシンの作り方」でこのブログに辿り着いたみたいだけど、がっかりしただろうな。作り方、載ってないし。

余談4:公式サイト

 「言語学から見るミラディン包囲戦」(http://mtg-jp.com/reading/translated/001124/)を読んだ。昔、言語学をかじったことある身としてはなかなか面白かった。

 個人的に一番面白かったのは《大量破壊の網/Decimator》。語源となった言葉は本当に「10分の1を殺す」という意味らしい。そういう背景を知ると、またカードが違って見えてきて面白い。

 コラムとは全然関係ない話。ここ、中東でも豆腐は手に入るけど、なかなかにお高い食べ物。紙パックに入って売っており、ジュースの紙パックと同じ大きさしかないにも関わらず240円ほどする。しかも残念ながらあまり美味しくない。

余談5:【翻訳】世界侵略:インベイジョン決戦

 長過ぎて1つの記事に収まらないのは初めてだ、とか、タイトルの翻訳を「侵略! インベイジョン娘」にしようか散々迷った、とか、どこを引用部分にしてどこのフォントの色を変えようか、とか、色々あったけど、大した話ではないので割愛。

 ただ題名について、今少し書いておくと原題の「Body Snatchers of the Invasion」は、おそらくアメリカのSF映画「Invasion of Body Snatchers」のパロディ。見たことない映画なので内容は語れない。とりあえず映画の邦題で何か「侵略」って入ってるものないかな、と探してみたら、今年封切られる予定の「世界侵略:ロサンゼルス決戦」という映画が見つかったのでそれをお借りした次第。

 このコラムの序盤に長々と語られるマローのお父さんの話は、あまりにインベイジョンに関係ないので、丸ごとすっ飛ばそうかどうか迷った。でも、まあ、マローファンの人がいたら喜んでくれるかもしれないし、訳してみた。

 訳していて困ったのは、口調。真面目な話をしているかと思うと、結構くだけた内容になったりするので、イマイチ統一感がない。まあ、その場その場のノリに合わせた口調には出来たかな、と思っていて、実のところ大して後悔や反省はしていない。

 その他、悩んだ場所。
原文:
 Bill Rose, current VP of R&D and Lead Designer of Invasion is writing this week’s feature article and he was definitely there.

拙訳:
 R&Dの副責任者でありインベイジョンのリード・デザイナーでもあるBill Roseが今週の特集記事を書いてるから、彼も知っていることかもしれない。

 「he was definitely there」って言われてもなあ。

原文:
 No, I’m going to get down and dirty to share stories about a number of the cards.

拙訳:
 そうではなくて、私はもっと現場に近いところから個々のカードたちの話をしようと思う。

 もっと上手い訳があるような気もする。ゲンバー大王を絡めるとか(それはない)。

原文:
 according to our “goodbook” market research.

拙訳:
 私たちの市場調査によると

 分かりづらくなるので「goodbook」を訳に含めることを諦めた。あえて入れるとしたら「内輪向けの」にしてたかも。

原文:
 This card made our design very tough because we were able on our first time out to make a split card where the two cards complemented one another.

拙訳:
 このカードは分割カードのデザインを非常に難しいものにした。なぜなら2つの効果がそれぞれ互いを補完する関係にある分割カードが作れる、ということが最初の試みで分かってしまったからだ。

 どうにもこうにも難しかったのは「we were able on our first time out to make ...」のくだり。「be able on」なんて聞いたことないぞ。「we were able (on our first time out) to make ...」と考える以外、思いつかなかった。
イシュ・サーの背骨/Spine of Ish Sah - ミラディン包囲戦 レア
Spine of Ish Sah / イシュ・サーの背骨 (7)
アーティファクト
イシュ・サーの背骨が戦場に出たとき、パーマネント1つを対象とし、それを破壊する。
イシュ・サーの背骨が戦場からいずれかの墓地に置かれたとき、イシュ・サーの背骨をオーナーの手札に戻す。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Spine+of+Ish+Sah/

 どこかで「イシュ・サー」という言葉を聞いたことがあるような気がするかい? おそらく《囁きの大霊堂/Vault of Whispers》(註1)という名前のほうが有名だろうね。ちなみにここは《ゲスの玉座/Throne of Geth》(註2)が置かれている場所でもある。

(註1) 《囁きの大霊堂/Vault of Whispers》

 以下、《囁きの大霊堂/Vault of Whispers》のフレイバーテキスト。
イシュ・サー、無数の屍賊を指揮する、将軍ゲスの居住地。

 引用元:http://magiccards.info/mi/jp/286.html

(註2) 《ゲスの玉座/Throne of Geth》

 以下、《ゲスの玉座/Throne of Geth》のフレイバーテキスト。
イシュ・サーの心臓部で、ゲスはファイレクシアの暗い炎を燃やしている。

 引用元:http://magiccards.info/som/jp/211.html

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0211
髑髏カタパルト/Skull Catapult - マスターズエディション2 アンコモン
Skull Catapult / 髑髏カタパルト (4)
アーティファクト
(1),(T),クリーチャーを1体、生け贄に捧げる:クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。髑髏カタパルトはそれに2点のダメージを与える。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Skull+Catapult/

 《投げ飛ばし/Fling》によると、あるクリーチャーを何かに叩きつけた際には、そのパワーに等しい点数のダメージを与えるらしい。
 この情報については《髑髏カタパルト/Skull Catapult》を通じて、より深く分析することが出来る。《髑髏カタパルト/Skull Catapult》の示すところによると、いかに巨大なクリーチャーであったとしても、その髑髏はちょうど2点のダメージしか与えないらしいのだ。

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0211
骨溜め/Bonehoard - ミラディン包囲戦 レア
Bonehoard / 骨溜め (4)
アーティファクト - 装備品(Equipment)
生体武器(この装備品(Equipment)が戦場に出たとき、黒の0/0の細菌(Germ)クリーチャー・トークンを1体戦場に出し、その後これをそれにつける。)
装備しているクリーチャーは+X/+Xの修整を受ける。Xはすべての墓地にあるクリーチャー・カードの数である。
装備(2)
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Bonehoard/

 《骨溜め/Bonehoard》は地面に転がっている骨を見つけては自らの体の一部にしている。イラストをよく見てみると、いくつかの骨は金属製であり、またいくつかの骨はカルシウム製であることが分かる。
 《骨溜め/Bonehoard》に好き嫌いはないのだ!

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0211
顎骨のスカルキン/Jawbone Skulkin - イーブンタイド コモン
Jawbone Skulkin / 顎骨のスカルキン (1)
アーティファクト クリーチャー - カカシ(Scarecrow)
(2):赤のクリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで速攻を得る。
1/1
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Jawbone+Skulkin/

 《顎骨のスカルキン/Jawbone Skulkin》のフレイバーテキスト(註1)によると、キスキンのメディックはときどきノッグルの蹄の髄を調合に用いているらしい。ノッグル(註2)が知性を持つ生き物であることを考えると、これは少々意外な話だ。

(註1) フレイバーテキスト
英文:
 "Ah, skull of shrew-a very potent substance. In powdered form, it gives thrice the zing of noggle hoof pulp."
 -Boghald, Barrenton medic
 引用元:http://magiccards.info/eve/en/170.html

和文:
 「ああ、トガリネズミの骸骨か――よく効く材料だ。 粉にすると、ノッグルの蹄の髄の三倍の効き目があるんだぞ。」
 ――バレントンの衛生兵、ボガルド
 引用元:http://magiccards.info/eve/jp/170.html

(註2) ノッグル
 原文のリンク先は「名前、タイプ、サブタイプ」のいずれかに「Noggle」が含まれるカードをギャザラーで検索した結果。ちなみにMTG Wikiで「ノッグル」を検索した結果は以下のURL。
 http://mtgwiki.com/wiki/%E7%89%B9%E5%88%A5:Search?search=Noggle

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0211
Cardboard Carapace - アングルード レア
Cardboard Carapace (5)(緑)
クリーチャー
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは、あなたが所持しているほかのCardboard Carapaceカード1枚につき+1/+1の修整を受ける。
裁定:これはあなたがコントロールする戦場に出ているCardboard Carapaceカードと、あなたの墓地、手札、ライブラリーにあるCardboard Carapaceカードを数えない。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Cardboard+Carapace/

 マジックのコンベンションでファンが作ってくれていたコスプレ衣装の中で我々が特に好きだった衣装の1つが《Cardboard Carapace》をネタにしたものだ。
 ここ(註1)で見られるぞ!

(註1) ここ
 リンク先は以下のURL。
 http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/arcana/103

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0211
余談1:今週のCard of the Dayのテーマ

 コメント欄でも指摘があったけれど、今週のテーマはどうやら「骨」だった模様。月曜日から順に「背骨 (Spine)」「髑髏 (Skull)」「骨 (Bone)」「顎骨 (Jarbone)」「甲殻 (Carapace)」だった。最後の1枚だけ、微妙に仲間外れっぽい気もする。

余談2:今週の意訳

 まず02月15日の《髑髏カタパルト/Skull Catapult》。こっちは大した違いはない。
原文:
 We can further refine this information via Skull Catapult, which seems to assert that no matter how big a creature is, its skull will do exactly 2 damage.

拙訳:
 この情報については《髑髏カタパルト/Skull Catapult》を通じて、より深く分析することが出来る。《髑髏カタパルト/Skull Catapult》の示すところによると、いかに巨大なクリーチャーであったとしても、その髑髏はちょうど2点のダメージしか与えないらしいのだ。

 最後の「ちょうど2点のダメージしか与えない」という訳。原文では「ちょうど2点のダメージを与える」という意味でしかなく「たったの」という意味は含んでない。だけど「クリーチャーがどんなに大きくても」という前情報から、どうしても「2点しか」って言いたかった。

 次は02月17日の《顎骨のスカルキン/Jawbone Skulkin》。
原文:
 Kithkin medics sometimes use noggle hoof pulp in their concoctions. This is a little surprising, because Noggles are sentient creatures.

拙訳:
 キスキンのメディックはときどきノッグルの蹄の髄を調合に用いているらしい。ノッグルが知性を持つ生き物であることを考えると、これは少々意外な話だ。

 要は「Concoction」と「Sentient」をどう訳すという話。前者は「調合した薬」か「混ぜ合わせたカクテル」という意味があって、まあ、メディックだしここは調合薬だろう、と。

 後者の「Sentient」だけど、これは基本的に「鋭敏な、敏感な、感覚が優れている」というような意味合いらしい。だから最初は「~を作るというのに、感覚が鋭い動物を原料とするなんて、ちょっと不思議だね」という話なのかと思って「Concoction」は「麻酔薬」なのかな、と思ったりもした。

 いや、ほら、感覚を鈍らせる薬を作るのに感覚が鋭い動物を材料にする、ってのは不思議かな、と思ったわけ。

 ただそこであらためて「Concoction」をいくら調べても、特定の薬(麻酔薬、麻痺させる薬など)の意味合いはないらしいし、さらにノッグル族を調べてみると、こいつらいわゆる「知的生命体」らしいことが分かって、ってことは、こういうことなのかな、と訳したのが上記の拙訳。

 うーん。やっぱりどっか間違ってるかもしれない。でもイーブンタイドで世界が変貌してしまった結果、陽気なキスキンたちもそういった倫理的に眉をひそめたくなるようなことをするようになった、と考えるとしっくり来る気もする。

余談3:《Cardboard Carapace》

 どうでもいいことかもしれないけど、このカードってレアなのね。枚数集めないと意味が無い上に大した効果でもないのにレア。ひどい話だ。

 あと銀枠にツッコむなよ、って言われそうだけど気になったのはカードテキストの「あなたの墓地、手札、ライブラリーにあるCardboard Carapaceカードを数えない」。いや、そもそもライブラリーにあるのを数えるときはどうするんだよ、とか思った。

 「1、2、……えーと、全部で5枚かな」
 「え? 4枚しかなくない?」
 「いや、ライブラリーにあと1枚あるから」
 「それ、本当?」
 「本当だってばさ」

余談4:世界侵略:インベイジョン決戦/Body Snatchers of the Invasion

 某ブログでこの翻訳が紹介されていた。それ自体は嬉しいことで、別に何も問題ないんだけど、紹介文に書かれていた一言が面白かったので逆にここで紹介してみる。

 面白かった箇所を引用すると「今になってこの記事を翻訳の選択にした理由は良く分からない」。

 ですよねー。

 訳した本人も自分の今回の記事を見るたびに、書き出しの「インベイジョン週間へようこそ!」で吹き出しそうになる。世間がミラディン包囲戦の話題で花盛りというこの時期に、なんで「インベイジョン週間にようこそ」やねん、と思う。

 ちなみに理由は自分でもハッキリとは思い出せない。

 多分、この元記事で上がっているどれかのカードの裏話がMTG Wikiに紹介されていて、その裏を取りに行ったら面白そうな記事を発見した、とかそんな感じじゃないかな。考えられるカードは《Kangee, Aerie Keeper / 巣を守るものカンジー》辺りかも。

余談5:プライベートの話

 自己紹介に書いてあるように住んでるのは中東で、先週のエジプトで起きたあれやこれやの余波がこれまた見事に中東全体に飛び火しており、そこかしこが大変なことになってる。

 民主化を望む一般市民によるデモに対して、それを押さえつけようとする専制国家、という図式は分かりやすく「善」と「悪」に見えてしまいがちだけど、実際に色んな立場の話を聞くとやっぱり色々と複雑だということが分かる。

 この国も人も好きだから、早く収まって欲しいと切実に思う。

 さて、そういうややこしい話はさておき、平時よりもネット環境が厳しくなったせいで更新が色々と大変すぎる、というのが、このブログの記事に書くべき一番の懸案事項。

 今週末までに訳しておきたいコラムがあったんだけど、諸事情により全然進んでない状況で、明日の土曜日も色々と対応しなければならないことがありそうだから、今週末のあいだに訳してアップするのはちょっと無理っぽい。悔しい。

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