【翻訳】ウィンストンドラフトとは?/Winston Draft【Daily MTG】
2011年5月21日 翻訳05月20日の記事でウィンチェスタードラフトという遊び方が紹介されてた。
公式サイト:http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/ld/143
この記事のウィンチェスタードラフトについては Testingさんが紹介されている。
closet belief 2:http://74598.diarynote.jp/201105201220083024/
今日、ここで訳したのは、上記の記事の序文で「ウィンチェスタードラフトの前にも1対1のドラフトが紹介されてたけど、そっちにはいくつか問題点があった」とリンクが張られる形で紹介されていた「ウィンストンドラフト」に関する2005年の記事。
【翻訳】ウィンストンドラフトとは?/Winston Draft【Daily MTG】
Aaron Forsythe
2005年03月25日
元記事:http://www.wizards.com/magic/magazine/Article.aspx?x=mtgcom/daily/af59
先週、スコットは私が以前書いた記事を再掲せざるを得なかった。その理由は私が病気で動けなかったからだ。私の覚えている限り、先日の火曜日の夜まで掲示され続けていた休載理由には、風邪をひいたためと書かれていたはずだ。
そうであればまだ良かったんだが。
私が先週の月曜日にプロツアー・アトランタから家に帰ってきたとき、特に体調に問題はなかった。そこで私は旅行から帰ってきたら誰でもするであろうことに精を出した。
子供遊んだり、妻と語らったり、親を呼んだり、荷解きを半分だけ終えたり、そしてシャワーを浴びたりした。シャワーを浴びたあと髪を乾かしていたときのことだ。突然、猛烈な寒気に襲われた。
正直なところ、ちょっとした恐怖だった。全身の筋肉が張り詰め、ひどく寒気がした。そしてとても弱くなった気がした。歯がカチカチと鳴り始め、空気を求めてあえいだ。
妻はそんな私をベッドに放り込み毛布をかけてくれた。私はその夜の大半を眠ろうと努力することに費やした。
火曜日の朝、今にも死ぬかもしれないというような気分で目覚めた私は会社を休むことにした。私の左足はひどい痛みを抱えており、少しむくみ始めていた。
私は小さい頃この左足にひどい怪我をしたことがあり、当時はしばしば調子が悪くなることがあった。どうやら今またそれが起きているようだ。それとももしかしたら、昨日のシカゴのオヘア空港でターミナルからターミナルへ必死に走ったことでどこか悪化させたのかもしれない。
いや、もしくはこの風邪が、足に何か悪さをしている可能性もある。いずれにせよ、私のすべきことはこの風邪を体からたたき出すことだ。そこで私はコントレックス(註)をとったり、まずいセラフル(註)を飲むことで丸一日を費やした。
(註) コントレックス
風邪による鼻づまりのための薬。ちなみに硬度が高いことで有名な輸入ミネラルウォーターのコントレックスのつづり「Contrex」で、ここで挙がっている薬のつづり「Comtrex」。微妙につづりが異なる。
(註) セラフル
お湯に溶かして飲む粉末タイプの風邪薬。原文では「TheraFlu」と「F」が大文字になっているが、実際の製品のロゴには「F」が大文字のものと小文字のもの、どちらもあるみたい。
水曜日に起きたとき、気分は随分良くなっていた。風邪の諸症状は消え去っていた。
しかし私の足は真っ赤に膨れ上がっており、とても歩ける状態ではなかった。私はそれを妻に見せて、医者の予約をとろうかと考えているんだが、とそれとなく伝えてみた。
彼女は足を一目見て、すぐに緊急治療室に行くわよ、と私に告げた。
あまり長くなりすぎても何なので話を端折ると、緊急治療室へ旅立った私はその後の4日間の大半を病院で過ごすことになった。(NCAAトーナメント(註)が開催されてて助かったよ!)。
(註) NCAAトーナメント
NCAAは「全米大学体育協会(National Collegiate Athletic Association)」。アメリカの大学に所属するスポーツクラブを管理するだけでなく、大会の主催も行っている。
ここで挙げられているのは、3月末という時期的に見ておそらく大学男子バスケットボールの大会。日本の甲子園大会に匹敵する盛り上がりを見せるらしい。
私は血栓や糖尿病や心臓病の検査を受けることとなったが、最終的には組織感染症である蜂巣炎と診断された。ここまで悪化した原因の一端は幼少時代に負った怪我が長引いていたためだそうだ。
24年間という長い時間、一切の深刻な後遺症を生じさせることのなかった傷がこのような事態を引き起こすなど、誰も想像出来ないことだろう。
それはさておき、長い休息と信じられないほど大量の抗生物質を後にして、私はようやく火曜日から仕事に戻ることが出来た。治ったばかりの足を引きずり、ポケットにたくさんの薬を詰め込んでだ。
なんて1週間だ!
さて、なぜこんなことを君たちに語って聞かせるのか? 同情を買おうとしているのだろうか? いや、単に何を書いても良かったからだ。毎週毎週、何千もの単語で記事を埋めるのはそう簡単なことじゃない!
避けるべきドラフトについて
先週のこのサイトではドラフト週間が催されており、私はそれに参加しそびれたわけだ。まったく残念でならない。なぜなら実のところふさわしいテーマを用意できていたからだ。
幸運なことに今週のテーマは特に定められていない。つまり私の書きたいことを書いてよいわけで、それは先週のテーマであっても構わないわけだ。
なお、私がドラフト週間に書こうと思っていた記事は、開発チームがどのようにドラフトを手がけるかについて主眼を置いたものではない。
ドラフトのあるべき姿を考えると、開発チームのドラフトに対するアプローチがどのようなものかについて公にするのは避けるべきであり、つまりそのようなテーマでドラフトの記事を書こうとしても紙面は埋めるだけの内容を書くことはできない。
かわりに私は面白くて新しいドラフトのフォーマットを紹介したい。私が会社で教えてもらったこのフォーマットは、誰あろうリチャード・ガーフィールド氏によって発明されたものだ。
その前に、R&Dとドラフトというフォーマットの関係について、いくつか伝えることがある。
開発者の選択について
・ドラフトの「自ら正解を探す」という性質は、開発側で環境のバランスをとる必要がそれほどにはないことを意味している。もしある色が他の色よりも本質的に強かった場合(ウルザズ・サーガの黒のように)、より多くのプレイヤーたちがその色をドラフトすることになりカードパワーはそれぞれのデッキへ均等化され、結果として勝敗を左右するものは個々の技術となる。そのため、開発時にはシールドデッキが遊ばれることが多い。シールドのほうが、色のバランスに問題があった場合に表面化しやすく、また色のバランスの影響も大きいからだ。
・開発の終盤にはドラフトによるテストも行われる。シールドでは表面化しない様々な戦術(ずべらデッキが良い例だ)を確認し、それらの戦術を推し進めることで不当に強すぎないかどうかを検証する。
・つい最近のことだが、大会の運営組織はプロツアー予選、プロツアー本戦、そしてその他の高レベルなイベントにおいて、今後はロチェスタードラフトを取り扱わないことを発表した。このフォーマットを楽しめるプレイヤーはほとんどおらず(このフォーマットは時間がかかる。またミスに対して容赦がない。何しろ君のミスは全プレイヤーに対してテーブルの上に公開されてしまうのだから)、高いレベルにになるほど意外性に乏しいものとなる。いつの時代にもましてカード評価が研ぎ澄まされている昨今(マジック・オンラインのおかげだ)、どのカードがいつピックされるかを予想することは容易い。全ての情報が公開されている以上、君のとれる選択肢はそう多くはないのだ。そのため、今しばらくのあいだは、すでに面白さが実証済みのブースタードラフトのフォーマットを継続することにしようと考えている。
ウィンストンドラフトについて
マジックの優れている点は、手早く遊べて気軽に持ち運べるという点だ。2人のプレイヤーが腰を下ろしてデッキを取り出せば対戦開始だ。
構築デッキの対戦は2人いれば遊べる。シールド戦も基本的には2人あれば十分だ。しかしドラフトだけはテーブルを囲めるだけの人数がいないと上手くいかない。
もし君が今までに1対1のドラフト(ブースター、ソロモン、ロチェスターのいずれのドラフトでも構わない)を十分な回数試したことがあれば、その場合のドラフト戦術が4人や8人で行われるドラフトとは全く違ったものであることにすぐ気づくだろう。
1対1のドラフトにおけるゴールは、普通のドラフトのように最高のデッキを手に入れることではない。むしろ対戦相手のピックを記憶し、その情報を元にヘイトドラフト(訳注:対戦相手の邪魔をすることを優先させるピック)を行うことで対戦相手のマナバランスを崩すことが目的となる。
(註) ヘイトドラフト
自分の欲しいカードではなく、相手が欲しがるであろうカードを優先的にピックすることで相手のデッキ構築を妨害するドラフト戦術。
特にとるものがないときになんとなく他の色の強そうなカードをとる、という程度ではヘイトドラフトとは言わない。多分。
私はこういったドラフトが楽しいとは到底思えない。そのため私はもう少しランダム性に富み、かつ面白い1対1のドラフトのやり方はないかと常に模索していた。
ありがたいことにR&Dの副責任者であるBill Roseがそれを1つ私に紹介してくれた。
それは「ウィンストンドラフト」と呼ばれるもので、リチャード・ガーフィールドによって生み出された。リチャードは、私と同じように1対1で遊べ、かつ少し運の要素が入ったドラフトのフォーマットを求めていた。
以下が彼の考案したルールだ。
《手順1》
各プレイヤーには45枚分の未開封のカードが配られる(ブースターパック3つ、もしくはトーナメントパックから土地を除いたもの)。
《手順2》
カードを見ないまま、90枚のカードを混ぜて1つの大きなデッキにする。
《手順3》
どちらが先にドラフトするかを決めてから、デッキの上から3枚のカードを伏せたまま並べる。デッキの横に1枚ずつの小さい山札/Pileが出来た感じだ。
《手順4》
最初にピックするプレイヤーはまず1つ目の小さい山札/Pileのカードを確認する。気に入ったならそれをピックしてよい。
《手順5》
ピックするならば、デッキから1枚カードを引き、1つ目の山札/Pileがあった場所に補充し、相手にターンを渡す。
《手順6》
ピックしないのであれば、確認したカードを1つ目の山札/Pileのあった場所に戻し、かつデッキから1枚カードを引いてそれを今戻した1つ目の山札/Pileに足す。それからあらためて2つ目の山札/Pileを見る。
《手順7》
その山札/Pileのカードがピックするかどうか決める。もしピックするなら空になったその2つ目の山札/Pileをデッキから引いたカード1枚で補充する。
《手順8》
3つ目の山札/Pileからもピックしないのであれば、そこへデッキから引いたカード1枚を補充してから、デッキの1番上のカードを引く、つまりランダムでカードを手に入れることになる。
《手順9》
全90枚が全てピックされるまでこれを繰り返し、40枚以上のデッキを作りプレイする。
このフォーマットの素晴らしいところは、相手の持っているカードの半分程度までしか知り得ないということだ。
それでも相手が君に残してくれたカードから相手の色をおおまかなところまで推測することは出来るし、その情報があればどういったカードなら多少長めに卓へ放置できるかを知ることができる。
私はこのフォーマットが非常に気に入った。
兄弟のNeilと一緒に先日の連休にウィンストンドラフトに明け暮れたせいでブースターパック2ボックスを消費し尽してしまった。しかし全てのパックを開封してしまっても大丈夫……単にそこから90枚をランダムに選び、シャッフルし、それで準備完了だ。
実際のドラフトについて
以下が、私とNeilのあいだで行われたウィンストンドラフトの実例だ。
私たちは、神河物語のトーナメントパックから土地を除いたものと神河謀反のブースター3パックを用意した。これでちょうど90枚となる。完璧だ。
私はコイン投げに勝ち、ドラフトの先手をとった。Neilが90枚のカードをシャッフルし、3枚の裏向きのカードでデッキの隣に3つの山札/Pileを用意した。
最初の山札/Pileを確認してみると、そこにあったのは《思考縛り/Thoughtbind》だった。
Thoughtbind / 思考縛り (2)(青)
インスタント
点数で見たマナ・コストが4以下の呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Thoughtbind/
大喜びするようなカードではない。もっといいカードがあるはずだ。
私はそれをピックしないことにした。元あった場所にそれを裏向きで戻し、デッキから1枚引いてその山札/Pileに足す。
それから2番目の山札を確認してみた。《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》だ。
Sakura-Tribe Elder / 桜族の長老 (1)(緑)
クリーチャー - 蛇(Snake) シャーマン(Shaman)
桜族の長老を生け贄に捧げる:あなたのライブラリーから基本土地カードを1枚探し、それをタップ状態で戦場に出す。その後あなたのライブラリーを切り直す。
1/1
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Sakura-Tribe+Elder/
このおチビさんを拒否するのは難しい話だ。
そのようなわけでこいつが私の最初のピックとなった(なおこのカードは裏向きのまま私の前に置かれ、いつでも確認できる)。
最後に私はデッキからカードを1枚引くと、それを裏向きのまま、2つ目の山札/Pileがあった場所に補充した。
さあ、Neilの番だ。
彼はまず今や2枚のカードとなった1つ目の山札/Pileを確認した。うち1枚は《思考縛り/Thoughtbind》だが、もう1枚は私の知らないカードだ。
彼はそれを欲しくはならなかったらしく、3枚目のカードをそこへ足した。2つ目の山札/Pileも彼のお気に召さず、彼はそこへもあらたにカードを足した。
3つ目の山札/Pileは、それが何であったかは分からないが、彼の欲しいカードであったらしい。彼はそれをピックし、かわりに裏向きのカードを1枚補充した。私の番だ。
最初の山札/Pileには今では3枚のカードがある。
まず両者ともに知っている《思考縛り/Thoughbind》、次にこの時点で両者の知るカードとなった《孤独の守護者/Guardian of Solitude》、最後の《天羅至の掌握/Terashi’s Grasp》。これはまだNeilが一度も見ていないカードだ。
この時点になってもまだこの山札/Pileを欲しいとは思えなかったので、私は4枚目のカードをそこに足して、次へと移ることにした。
2つ目の山札/Pileにあったのは《霧中の到達/Reach Through Mists》と《蛇の皮/Serpent Skin》。
お断りだ。
私が優先的に探しているのはクリーチャーと除去なので、3枚目のカードを足して次へ。
3つ目の山札は《滝の源獣/Genju of the Falls》だった。
Genju of the Falls / 滝の源獣 (青)
エンチャント - オーラ(Aura)
エンチャント(島(Island))
(2):エンチャントされている島は、ターン終了時まで飛行を持つ青の3/2のスピリット(Spirit)・クリーチャーになる。それは土地でもある。
エンチャントされている島が墓地に置かれたとき、あなたの墓地にある滝の源獣をあなたの手札に戻してもよい。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Genju+of+the+Falls/
悪くない。
少し考えてからそれをピックしつつ、今まで残してきた青の二軍カードたちをあとで回収できるといいんだが、と考えた。3つ目の山札/Pileに新しいカードを裏向きに置く。
今や私の手元には良い緑のカード1枚、良い青のカード1枚がある。どちらも超がつくような爆弾カードではないから、色ごと諦めることにためらいはない。
ドラフトは進み、私は8枚のカードを含む山札/Pileを回収することとなった(《思考縛り/Thoughbind》、《孤独の守護者/Guardian of Solitude》、《天羅至の掌握/Terashi’s Grasp》、《オーラのとげ/Aura Barbs》、《最後の河童の甲羅/Shell of the Last Kappa》、《樹海の胴/Body of Jukai》、《かまどの神/Hearth Kami 》、そして《摩滅/Wear Away》だ)。
枚数が多いので、カードデータは省略。
最初に、3つ目の山札/Pileも諦めてランダムに賭けることとなったのはNeilだった。
しばらくのちに、私は運良く《地揺すり/Earthshaker》を手に入れることができた。ぜひとも赤をやりたいを思わせるカードだ(ちなみにこれには《貪る憤怒/Devouring Rage》がついてきた)。
Earthshaker / 地揺すり (4)(赤)(赤)
クリーチャー - スピリット(Spirit)
あなたがスピリット(Spirit)か秘儀(Arcane)呪文を唱えるたび、地揺すりは、飛行を持たない各クリーチャーにそれぞれ2点のダメージを与える。
4/5
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Earthshaker/
Devouring Rage / 貪る憤怒 (4)(赤)
インスタント - 秘儀(Arcane)
貪る憤怒を唱えるための追加コストとして、好きな数のスピリット(Spirit)を生け贄に捧げてもよい。
クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+3/+0の修整を受ける。これにより生け贄に捧げられたスピリット1つにつき、そのクリーチャーはさらにターン終了時まで+3/+0の修整を受ける。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Devouring+Rage/
さらに順目が進んだところで、私はデッキからのランダム引きに挑戦し、《肉体の奪取/Rend Flesh》を手に入れることに成功した(これとすでに入手している《鼠の墓荒らし/Nezumi Graverobber》は、私の目を黒に向けさせた)。
Rend Flesh / 肉体の奪取 (2)(黒)
インスタント - 秘儀(Arcane)
スピリット(Spirit)でないクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Rend+Flesh/
Nezumi Graverobber / 鼠の墓荒らし (1)(黒)
クリーチャー - ネズミ(Rat) ならず者(Rogue)
(1)(黒):いずれかの対戦相手の墓地にあるカード1枚を対象とし、それを追放する。その墓地にカードが1枚もない場合、鼠の墓荒らしを反転する。
2/1
Nighteyes the Desecrator / 冒涜する者、夜目 (1)(黒)
伝説のクリーチャー - ネズミ(Rat) ならず者(Rogue)
(4)(黒):墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とし、それをあなたのコントロール下で戦場に出す。
4/2
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Nezumi+Graverobber/
そのあと連続してピックできた《大牙の衆の忍び/Okiba-Gang Shinobi》と《鬼の下僕、墨目/Ink-Eyes, Servant of Oni》は私を黒に染めるに十分なカードたちだった。
Okiba-Gang Shinobi / 大牙の衆の忍び (3)(黒)(黒)
クリーチャー - ネズミ(Rat) 忍者(Ninja)
忍術(3)(黒)((3)(黒),あなたがコントロールする、ブロックされなかった攻撃しているクリーチャー1体を手札に戻す:あなたの手札からこのカードを、タップ状態かつ攻撃している状態で戦場に出す)
大牙の衆の忍びがプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーはカードを2枚捨てる。
3/2
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Okiba-Gang+Shinobi/
Ink-Eyes, Servant of Oni / 鬼の下僕、墨目 (4)(黒)(黒)
伝説のクリーチャー - ネズミ(Rat) 忍者(Ninja)
忍術(3)(黒)(黒)((3)(黒)(黒),あなたがコントロールする、ブロックされなかった攻撃しているクリーチャー1体を手札に戻す:あなたの手札からこのカードを、タップ状態かつ攻撃している状態で戦場に出す。)
鬼の下僕、墨目がプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、あなたはそのプレイヤーの墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とする。あなたはそれをあなたのコントロール下で戦場に出してもよい。
(1)(黒):鬼の下僕、墨目を再生する。
5/4
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Ink-Eyes%2C+Servant+of+Oni/
以下が私のデッキだ。
ウィンストンドラフト・デッキ/Winston Draft Deck
メインデッキ(41枚)
土地(18枚)
7 Forest
6 Mountain
5 Swamp
クリーチャー(17枚)
1 Body of Jukai
1 Child of Thorns
1 Earthshaker
1 Ember-Fist Zubera
1 Feral Deceiver
1 Frostling
1 Hana Kami
1 Hearth Kami
1 Ink-Eyes, Servant of Oni
1 Matsu-Tribe Sniper
1 Nezumi Graverobber
2 Okiba-Gang Shinobi
1 Ronin Houndmaster
1 Sakura-Tribe Elder
1 Scaled Hulk
1 Shinka Gatekeeper
その他(6枚)
1 Call for Blood
1 Devouring Rage
1 First Volley
1 Journeyer’s Kite
1 Rend Flesh
1 Roar of Jukai
《地揺すり/Earthshaker》とシナジーとなるカードが少なく、除去も正直物足りない。しかしこれでなんとかするしかないだろう。私のひ弱なカードプールではこれが精一杯だったからだ。
さあ、デュエル開始だ……!
余談1:今週のCard of the Dayのテーマ
今週も新たなるファイレクシアのFAQ。すでに訳が用意されている意味では非常に楽……というか訳す必要が一切ない。さみしい……と先週の文章を使いまわしてみる。
余談2:月曜日 《内にいる獣/Beast Within》
イメージ的には《猿術》みたいに単に獣になってしまうのかな、思った。カード名からイメージされるのは「内に秘めた獣性に負けて、獣そのものになってしまう」という感じ。だけど、よく考えてみたらこれってパーマネントなら何でも獣になるんだよな。
それこそエンチャントでも獣になるわけで、いまいちイメージがつかめない。場に呪文を唱えておいたのが、ズモモモッと3/3の獣に変わったりする。どういうことなんだろう。エネルギーの変換みたいな?
フレイバーテキスト見れば少しは何かつかめるかな。
分からん。( ´・ω・`)
いや、フレイバーテキストの意味はなんとなく分かる。要は「朱に交われば赤くなる」というか「腐ったリンゴの中にあると、新鮮なリンゴも腐る」みたいな意味かな、と。
だけどカードの効果としては、0/1のクリーチャー・トークンでも3/3になるし(弱き者が強き者になる)、逆に6/6の飛行+先制攻撃+警戒+トランプル+速攻+プロテクション(黒と赤)持ちですら単なる3/3になってしまう(強き者が弱き者になる)わけで。
ベンジアさんに聞けば分かるんだろうけど、ファイレクシアの人なんだよな。怖い。
余談3:火曜日 《かごの中の太陽/Caged Sun》
日本語のカード名がいい。とても短い言葉なのに、連想される物語性の広がりが半端ない。
誰かが太陽を自分のためだけに使おうとそれを持ち去り、魔法のかごに閉じ込めてその力を独り占めしてしまった、みたいなイメージ。その魔法使いの領地ではあふれんばかりのマナが生み出される。逆に奪われた人たちは困り果て、ついに辺境にいる魔法使いに解決を依頼することに。
……って、イラスト見たら本物の太陽は別にあるのか。そうか。
余談4:水曜日 《排他の儀式/Exclusion Ritual》
なぜかずっとレアだと思ってた。アンコモンか。
余談5:金曜日 《ノーンの別館/Norn’s Annex》
「Annex」って言うと、オンスロート時代の《併合/Annex》が思い出されて「今回は何か背景ストーリー的な意味がある単語なのかな」と思ったら、単に「他動詞では、併合する、という意味」で「名詞では、別館や離れ、を意味する」だけだった。
余談6:FAQ
今回、FAQの日本語訳を引用させて頂いたのは以下の文書(04月25日、更新版)。
新たなるファイレクシア よくある質問集
http://www.wizards.com/dci/downloads/MTGNPH_FAQ_JP_20110425.rtf
今回、FAQの日本語訳を引用していて、いくつか誤字らしき箇所があった。本当に誤りかどうかはさておき、とりあえず気づいたものを列記しておく。誰かの役に立つかもしれないし。
余談7:翻訳
今週のTom LaPilleの記事でウィンチェスタードラフトについて紹介されていた。その記事の前書きで、2005年に書かれたウィンストンドラフトに関するAaron Forsytheの記事へリンクが張ってあった。
ウィンチェスタードラフトに関してはすでにDiary Noteで紹介されている方がいらっしゃるので、ウィンストンドラフトに関する記事のほうを訳してみる。今週末に日本へ帰国するので、その前にはアップしておきたい。
それが終わったら、訳し途中のまま放置してるエンチャント週間の記事に取り掛かる予定。
今週も新たなるファイレクシアのFAQ。すでに訳が用意されている意味では非常に楽……というか訳す必要が一切ない。さみしい……と先週の文章を使いまわしてみる。
余談2:月曜日 《内にいる獣/Beast Within》
イメージ的には《猿術》みたいに単に獣になってしまうのかな、思った。カード名からイメージされるのは「内に秘めた獣性に負けて、獣そのものになってしまう」という感じ。だけど、よく考えてみたらこれってパーマネントなら何でも獣になるんだよな。
それこそエンチャントでも獣になるわけで、いまいちイメージがつかめない。場に呪文を唱えておいたのが、ズモモモッと3/3の獣に変わったりする。どういうことなんだろう。エネルギーの変換みたいな?
フレイバーテキスト見れば少しは何かつかめるかな。
原文:
"Kill the weak so they can’t drag the strong down to their level.
This is true compassion."-Benzir, archdruid of Temple Might
引用元:http://magiccards.info/nph/en/103.html
日本語訳:
「弱き者を殺せ。強き者をその域に落とさせぬために。
これぞ真の慈悲だ。」――力の寺院の大ドルイド、ベンジア
引用元:http://magiccards.info/nph/jp/103.html
分からん。( ´・ω・`)
いや、フレイバーテキストの意味はなんとなく分かる。要は「朱に交われば赤くなる」というか「腐ったリンゴの中にあると、新鮮なリンゴも腐る」みたいな意味かな、と。
だけどカードの効果としては、0/1のクリーチャー・トークンでも3/3になるし(弱き者が強き者になる)、逆に6/6の飛行+先制攻撃+警戒+トランプル+速攻+プロテクション(黒と赤)持ちですら単なる3/3になってしまう(強き者が弱き者になる)わけで。
ベンジアさんに聞けば分かるんだろうけど、ファイレクシアの人なんだよな。怖い。
余談3:火曜日 《かごの中の太陽/Caged Sun》
日本語のカード名がいい。とても短い言葉なのに、連想される物語性の広がりが半端ない。
誰かが太陽を自分のためだけに使おうとそれを持ち去り、魔法のかごに閉じ込めてその力を独り占めしてしまった、みたいなイメージ。その魔法使いの領地ではあふれんばかりのマナが生み出される。逆に奪われた人たちは困り果て、ついに辺境にいる魔法使いに解決を依頼することに。
……って、イラスト見たら本物の太陽は別にあるのか。そうか。
余談4:水曜日 《排他の儀式/Exclusion Ritual》
なぜかずっとレアだと思ってた。アンコモンか。
余談5:金曜日 《ノーンの別館/Norn’s Annex》
「Annex」って言うと、オンスロート時代の《併合/Annex》が思い出されて「今回は何か背景ストーリー的な意味がある単語なのかな」と思ったら、単に「他動詞では、併合する、という意味」で「名詞では、別館や離れ、を意味する」だけだった。
余談6:FAQ
今回、FAQの日本語訳を引用させて頂いたのは以下の文書(04月25日、更新版)。
新たなるファイレクシア よくある質問集
http://www.wizards.com/dci/downloads/MTGNPH_FAQ_JP_20110425.rtf
今回、FAQの日本語訳を引用していて、いくつか誤字らしき箇所があった。本当に誤りかどうかはさておき、とりあえず気づいたものを列記しておく。誰かの役に立つかもしれないし。
ノーンの別館/Norn’s Annex
あるプレイヤーが《ノーンの別館》を複数コントロールしている場合、それぞれが攻撃のためのコストを要求スル。プレイヤーはそれぞれのコストをそう支払うかを個別に決定する。
排他の儀式/Exclusion Ritual
追放されたカードが何らかの理由で津砲領域を離れた場合、2つ目の能力は以降何の効果も持たない。
囁く者、シェオルドレッド/Sheoldred, Whispering One
双頭巨人戦では、最後の能力は対戦相手のチームのアップキープに2回――そのチームのプレイヤー1人につき1回ずつ――誘発する。各プレイヤーは。自分がコントロールするクリーチャーのみを1体生け贄に捧げる。
余談7:翻訳
今週のTom LaPilleの記事でウィンチェスタードラフトについて紹介されていた。その記事の前書きで、2005年に書かれたウィンストンドラフトに関するAaron Forsytheの記事へリンクが張ってあった。
ウィンチェスタードラフトに関してはすでにDiary Noteで紹介されている方がいらっしゃるので、ウィンストンドラフトに関する記事のほうを訳してみる。今週末に日本へ帰国するので、その前にはアップしておきたい。
それが終わったら、訳し途中のまま放置してるエンチャント週間の記事に取り掛かる予定。
Card of the Day - 2011/05/23
2011年5月23日 Card of the DayHazezon Tamar - レジェンド レアHazezon Tamar (4)(赤)(緑)(白)
伝説のクリーチャー - 人間(Human) 戦士(Warrior)
Hazezon Tamarが戦場に出たとき、あなたの次のアップキープの開始時に、赤と緑と白の1/1の砂漠の民(Sand)・戦士(Warrior)クリーチャー・トークンをX体戦場に出す。Xは、あなたがその時にコントロールしている土地の数である。
Hazezon Tamarが戦場を離れたとき、すべての砂漠の民・戦士を追放する。
2/4
参照元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Hazezon+Tamar/
長い間、《Hazezon Tamar》の存在だけがSand(砂漠の民)というクリーチャータイプの存在する唯一の理由だった。ギルドパクトが発売されたとき、《砂丘生みのネフィリム/Dune-Brood Nephilim》がSand(砂漠の民)を生み出すもう1つの手段をもたらした。
元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0511
大聖堂の皮膜/Cathedral Membrane - 新たなるファイレクシア アンコモンCathedral Membrane / 大聖堂の皮膜 (1)(白/Φ)
アーティファクト クリーチャー - 壁(Wall)
((白/Φ)は(白)でも2点のライフでも支払うことができる。)
防衛
大聖堂の皮膜が戦闘中に戦場からいずれかの墓地におかれたとき、これは、この戦闘でこれがブロックしていた各クリーチャーに6点のダメージを与える。
0/3
参照元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Cathedral+Membrane/
《大聖堂の皮膜/Cathedral Membrane》を見ることで、ファイレクシア人が木材から建築物を作らないことが分かる。
ファイレクシア化した暗い金属(註1)と磁器的な素材を組み合わせることによって白の派閥にふさわしい審美的に魅力のある金属を生み出すことが出来るのに、わざわざ木材を用いる必要がどこにあるというのだろうか。
なお金属の世界であるミラディンに一切の材木がないこともその路線を推進する一助になっている。
(註1) ファイレクシア化した暗い金属
原文では「the dark Phyrexian metal」。Phyrexian Metalの公式訳に当たる単語があるかどうか探してみたが、それらしき記事が見つからなかったので、とりあえずそのまま訳してみた。
元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0511
Card of the Day - 2011/05/25
2011年5月25日 Card of the Day火の玉/Fireball - ビートダウン コモンFireball / 火の玉 (X)(赤)
ソーサリー
好きな数のプレイヤーかクリーチャー(それらの組み合わせでもよい)を対象とする。火の玉はそれらに、Xを均等に割った点数(端数切り捨て)に等しい点数のダメージを与える。
火の玉を唱えるためのコストは、2つ目以降の対象1つにつき(1)多くなる。
参照元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Fireball/
《火の玉/Fireball》には異なる文面を持つバージョンが数多くある。これはルールチームがなんとかして元のバージョン(註1)と同じ挙動しつつもきちんとルール的に機能させようと努力した結果だ。
ギフトボックスのビートダウン(註2)で印刷されたバージョンでは、なんと(X)(Y)(赤)というそれまでにないマナコストを用いてすらいる!
(註1) 元のバージョン
原文のリンク先はベータ版の《火の玉/Fireball》。なおその際の文面は以下の通り(カードに印刷されたままのテキストと改行)。
Fireball does X damage total,
divided evenly (round down)
amoung any number of targets. Pay
1 extra mana for each target
beyond the first.
参照元:http://magiccards.info/be/en/151.html
(註2) ギフトボックスのビートダウン
ギフトボックスは複数の構築済みデッキといくつかのアクセサリが専用の箱に入った商品。ビートダウンはそのギフトボックスの第3弾(註3)で、2000年10月発売。その名の通り、クリーチャー戦に主眼が置かれたデッキが入っている。
なお、ビートダウンに収録された際の《火の玉/Fireball》のカードテキストは以下の通り(カードに印刷されたままのテキストと改行)。
Fireball deals X damage divided
evenly, rounded down, among Y plus
one target creatures and/or players.
参照元:http://magiccards.info/bd/en/37.html
(註3) 第3弾
余談。
ギフトボックスとしては3つ目だが、構築済みデッキの詰め合わせ商品という意味では4つ目となる。その場合の1作目は1996年07月に発売されたRivals Quick Start Setで、4つの構築済みデッキが入っている。
元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0511
Card of the Day - 2011/05/26
2011年5月26日 Card of the Day戦争門/Wargate - アラーラ再誕 レアWargate / 戦争門 (X)(緑)(白)(青)
ソーサリー
あなたのライブラリーから、点数で見たマナ・コストがX以下のパーマネント・カードを1枚探し、それを戦場に出す。その後、あなたのライブラリーを切り直す。
参照元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Wargate/
《戦争門/Wargate》のイラストでは、切り裂かれた空間の裂け目から大渦(Maelstrom)が漏れ出してきているところが描かれている。
一見したところ分かりづらいかもしれないが、現れようとしているのはバント世界へ召喚されたエスパーのスフィンクス(註1)である。
(註1) エスパーのスフィンクス
エスパー(註2)に属するスフィンクスは何体かいるが、イラストから推測するに、おそらくここで現れようとしているのは《破片撒きのスフィンクス/Sharding Sphinx》と思われる。
参照画像1:《戦争門/Wargate》のイラスト
http://magiccards.info/arb/en/129.html
参照画像2:《破片撒きのスフィンクス/Sharding Sphinx》のイラスト
http://magiccards.info/ala/en/55.html
(註2) エスパー
蛇足ながら付け加えておくと、ここで言っている「エスパー」というのは超能力者という意味ではなく、アラーラの世界が5つに分かれた断片世界のうちの1つを指す名称。色の組み合わせは白青黒。
青を中心としており、エスパーという勢力の支配者もまた青という色を象徴するクリーチャータイプであるスフィンクスが務めている。
元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0511
Little Girl - アンヒンジド コモンLittle Girl (1/2)(註1)
クリーチャー - 人間(Human) 子供(Child)
(1/2)/(1/2)
参照元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Little+Girl/
《Little Girl》はマジックにおける最小にしてユニークなマナコストの持ち主だ。また彼女は多くの「ゼロでない最小の~」系のトリビアの回答でもある。
(註1) マナコスト
引用元のWhisperではなぜかマナコストが(500)となっており、マジック最大のマナコストの持ち主となっている。ここでは修正済み。なお同ページのパワーとタフネスは(1/2)/(1/2)と正しく表記されている。
参照:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Little+Girl/
元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0511
騙し討ち/Sneak Attack - ウルザズ・サーガ
私がこのカードを作った理由は、その色のフレイバーが自然とにじみ出るようなカードを各色にデザインしようとしていたからだ。
そこで赤のカードとして、これだ、と思ったのは「短期的アドバンテージで、長期的ディスアドバンテージ」というアイデアだった。
赤という色は衝動的に行動し、長期的な影響を視野に入れずに実行に移してしまう。このフレイバーに特化すればいいカードが出来るぞ、と私は考えたわけだ。
さて、後に得られる何かを諦めることをコストに即座に利益を与えてくれる、というのを赤で表現するにはどうすればいい?
加えて言うなら、赤という色のフレイバーに忠実であるべく、そのカードから得られる効果は攻撃的であるべきだと私は感じた。
赤が長期的なアドバンテージを諦めるのは、対戦相手の顔にドデカい何かを叩きつけてやりたいから……いや、「今すぐ叩きつけてやりたい」からだ。
過去の経験が、クリーチャーと絡めてはどうだろう、という考えへ導いてくれた。
どうすれば通常より早くクリーチャーを活用できるだろうか。マナをいくらか払うことで戦場に出せるとしたらどうだろう?(もちろん速攻付きでだ。攻撃できなきゃ意味が無い。私たちが今話しているのは「赤」についてなんだぜ?)
それは非常な強力な効果だろう。
じゃあ、デメリットはどうする?
それは悩むまでもないように思われた。そのクリーチャーはターン終了時に死んでしまうのさ。実に「赤」っぽいじゃないか。
このカードは結構古い時代のものだから、もしかしたら君たちの中にはこのカードを使ったり敵に回したりする機会に恵まれなかった人もいるかもしれない。
そこで、このカードが世に出たときに何が起きたかを教えておこうと思う。
このカードは強かった。
ただ私が予想していた方向とは少々異なる方向に、だった。このカードを強からしめたのは、戦場に出たそのターンに強さの大半を発揮するクリーチャーたちが存在していたためだ。
例えば「戦場に出たとき」の能力(もしくは同じように「戦場を離れたとき」)を持つクリーチャーは《騙し討ち/Sneak Attack》と素晴らしいシナジーを形成した。
なぜなら戦場に置いて1ターンあれば彼らの脅威は十分に発揮出来たからだ。
他のカードで言えば《ボール・ライトニング/Ball Lightning》(通常、ターン終了時に生け贄に捧げられてしまう)のようなカードも、2ターン目以降の命を失う代わりに少ないマナでプレイできるという取引に喜んで応じた。
最後に、このカードの起動コストは赤のみであったため、赤デッキに他の色のクリーチャーを(1ターンに限ればの話ではあるが)戦場へ出すことを可能にしてくれた。
このカードからは興味深い教訓を得たが、その教訓とは、長いこと《騙し討ち/Sneak Attack》をそのオリジナルほどの強さを発揮しないようにリメイクしようと試みた挙句に、ようやく得られたものでもある。
(リメイクについては、それなりに成功した例も多少はあったが、いずれも《騙し討ち/Sneak Attack》の出来には達しなかった)
デザイナーはカードの強さがどこから来ているのかを理解する必要がある。しかしそれはカードをリメイクするためではない(とはいえリメイクの必要が生じることはあるが)。
プレイテストに持ち込むのに妥当な強さのカードを作れるようになるためだ。
さて《騙し討ち/Sneak Attack》の何がそこまで強かったのだろうか。
(そのとおり、一般常識から鑑みて《騙し討ち/Sneak Attack》の強さは超えてはならないレベルを超えていた。だからこそ私たちはこのカードを決して再版しなかった。コアセットやエキスパートセット、そしてさらにはタイムシフトでも再版の候補として挙がったにも関わらず、これは再版されなかった)
もっとも大きな問題点は、マジックの基本に関わるものだ。私たちはプレイヤーにマナコストを踏み倒す手段を与えてしまった。マナコストはカードの強さをコントロールするためのキーとなるものなのに。
さらに、私たちの与えたその手段には十分なデメリットが付随せず、あまりにお手軽すぎた。当初、私が重いデメリットとなるであろうと考えていた「クリーチャーを1ターンしか得ることができない」という制約は、想像以上に軽すぎたことが証明された。
2つ目の問題点、プレイヤーに他の色のカードを簡単にプレイさせてくれるカードはパワーレベルが跳ね上がる、ということは、このカードによって証明された。
最終的に私が学んだのは、多くのクリーチャーは1ターンもあれば十分にその力を発揮できる、ということだ。
奸謀/Conspiracy - メルカディアン・マスクス
このカードが生まれた理由は 傭兵/Mercenary に負うところが大きい。
(念のため。R&Dが雇っている助っ人たちを指して傭兵と言っているわけではない。私たちは雇い入れた助っ人のうち、その大半をすでに切っている。あの大々的な「助っ人募集」(註12)を覚えている人も多いだろう)
そうじゃないんだ。
私が取り上げたいのはメルカディアン・マスクス・ブロックにいた、ライブラリーから次から次へと仲間を戦場へ引っ張りだしてくれるクリーチャーだ……違う、レベル/Rebel じゃない。
レベル/Rebel はこのメカニズムをあまりに強力な形で持ってしまった。その結果、いくつものフォーマットを歪めてしまった。
違うんだ。このメカニズムを持った、もう片方について話そうと思っている。
知ってのとおり、レベルたちは互いにつながっている。小さい奴らがデカい奴らを呼び出せる。
しかし、いかなる理由かは不明だが、傭兵/Mercenary は逆方向に働いた。小さい奴らがさらに小さい奴らを呼び出したんだ。
そんなこんなで、レベル/Rebel が 傭兵/Mercenary に多少優れていることはプレイテストの段階で明らかになった。
そしてこの「多少優れている」というのは、本当にありとあらゆる面で優れていたのだ。デザイナーとして、私はなんとか 傭兵/Mercenary デッキを援護したかった。
デッキの全てのカードを 傭兵/Mercenary にすることが出来たらどうだろう、というアイデアが浮かんだのはそのときだ。
そうすれば、君は手元の 傭兵/Mercenary を使ってデッキの中にいる好きなクリーチャーを呼び出せるようになる。
ああ、分かった分かった、デッキの中にいる好きなクリーチャー(ただしマナコストがより安いもの)を呼び出せるようになる。これ以上は譲れないぞ。
しかし「デッキの中にいる全てのクリーチャー・カードは 傭兵/Mercenary である」というカードは、少々用途が狭すぎるように感じられた。
じゃあ、こうしてみたらどうだろう。
それはライブラリーだけじゃなくて君の全てのカードを、傭兵/Mercenary に限らず好きなクリーチャー・タイプに変えてくれるんだ。
オンスロートブロック(すなわち部族デッキ)が到来するのまでにはまだ数年を残していたが、それでもクリーチャータイプを考慮するカードは当時からすでにそこかしこに存在していた。
全て上手く行くかに見えた。
たった1つの問題を除いては。
なんで黒の魔法が君の全てのクリーチャーのタイプを変更できるんだ? それは、青の仕事じゃないのか?
その通り、と認めざるを得ない。
しかしこのカードはあくまで 傭兵/Mercenary を助けるために作られたのだ。このカードを青に転じてしまっては本末転倒だ。そこで私は、フレイバー付け次第でこの問題は乗り越えられる、と主張した。
つまりね、なんでクリーチャータイプが変更されてしまうかというと、それは陰謀によるものだったのさ。
へえ、なるほど、陰謀ね。
それは確かに黒っぽいね。
私がこのカードから得たデザイン上の教訓は、それすなわち上記の決断をどれだけ後悔しているかということに他ならない。
この効果は黒の担当ではない。
(黒の効果でもっとも近いものがあるとすれば、全てのクリーチャーを既存の黒特有のクリーチャータイプで上書きするというものだろう。その場合でも、そこにはおそらく、なぜ全てのクリーチャーがゾンビだか何だかに変わってしまったのかを説明するような追加効果が付随するはずだ)
メカニズムを無理やりフレイバーで正当化しようとするのは、労力を惜しんだみっともないデザインでしかない。私が 傭兵/Mercenary を助けたかったのであれば、青い何かに頼るのではなく、あくまで黒い何かを模索すべきだったのだ。
破滅的な行為/Pernicious Deed - アポカリプス
マジックのデザインにおける楽しみの1つに、あるカードから別のカードが生まれる過程を観察することが挙げられる。
その好例が《ネビニラルの円盤/Nevinyrral’s Disk》だ。
このカードはシンプルで有能だった。あまりに有能であったため、特定の色が持つべき弱点を補完するために使われるようになり始めた。
例えば、青はパーマネント破壊が苦手だった。しかし《ネビニラルの円盤/Nevinyrral’s Disk》を手にした青はその問題を乗り越えてしまった。
またさらに言うと、このカードのパワーレベルはあまりに高いため、ついにはメタゲームを歪めるほどになった。
そのようなわけで、ラリー・ニーヴンの円盤(註13)は封印されることと相成った。
それから何年もの間、様々なデザイナーがこの《ネビニラルの円盤/Nevinyrral’s Disk》を新たな形で再誕させる方法を捜し求めた。
私もその例外ではない。
ウルザズ・デスティニーのデザインを担当していたとき、私は新たな円盤を手がける決心をした。私の生み出した再誕の解は《火薬樽/Powder Keg》だ。
このカードの意図するところは、リセット能力を持たせつつも(全てを破壊するのではなく)あくまで限られた一部のグループを破壊する、というものだった。
デベロップメントの段階で、何度も議論されたのは、このカードの効果が及ぶ範囲が「点数で見たマナ・コストが、火薬樽の上に置かれた導火線カウンターの数に等しい」であるべきか、それとも「点数で見たマナ・コストが、火薬樽の上に置かれた導火線カウンターの数以下」であるべきか、ということだ。
当時、私は「どちらの効果であっても十分に面白いが、デザインの観点から鑑みるに前者であるべきだ」と主張した。個人的に、一度に対処できるのが特定のマナ域のみ、というアイデアが気に入っていたからだ。
これによって、プレイするのが楽しいだけでなく、新たにカウンターを加えるかどうか決断する際に興味深い緊張感を生み出すはずだ、と感じていたのがその理由だ。
最終的に私の意見が通り、《火薬樽/Powder Keg》はそのように印刷された(つまり、十分な数のデベロッパーを私の側につくよう説得できたということだ)。
しかし頭の片隅では、もう片方のアイデアもカード化するに十分値するものだ、ということを理解していた。そこでインベイジョンのデザインをする際に、私は《破滅的な行為/Pernicious Deed》を作ったのだ。
破壊したいものはアーティファクト、クリーチャー、そしてエンチャントだということは分かっていた。
(土地は破壊したくなかった。なぜなら、円盤がそうであったように、マナを阻害することなくリセットすることでプレイヤーたちが素早く場を復帰出来るようにしたかったからだ)
色として、青は明らかにふさわしくない。また全体破壊をするときに何を破壊して何を破壊しないかを選択するという効果は白には似つかわしくないように感じられた。
残った色は黒、赤、そして緑だ。
黒も赤もエンチャントを破壊することが出来ないのだから、緑は必須だ。
赤よりも黒がふさわしかった理由は、ダメージによらないクリーチャー破壊は私には赤っぽくないように感じられたためだ。確かに黒は赤と違ってアーティファクト破壊が苦手だが、幸いそれは緑の得意分野だ。よって、それは問題にはならなかった。
そのような経緯で決断はなされ、《破滅的な行為/Pernicious Deed》の色は黒緑と相成った。
1つ、小さな問題があった。
インベイジョンのデザインの最中、私たちは全ての敵対色マルチカラーのカードは最後のセットまで温存しとこう、と決めた。そのほうが面白くなると考えたためだ。
しかしそれでは《破滅的な行為/Pernicious Deed》へ「アポカリプスが来るまで待っててねファイル」に閉じこもっていろ、と命ずることになる。
何らかの形で待機を命じられたカードは、そのまま時の狭間に消え去ってしまうことが多い。なぜなら新たなデザイン・チームは、自分たちのセットを自分たちのカードで構築しようとするためだ。
ところがアポカリプスのデザイン・チームは、Billの試みで、初めてデザイナーを務めるメンバーばかりで構成されていた。
彼らはインベイジョン・デザイン・チームが作ったカードに興味津々だった。結果、《破滅的な行為/Pernicious Deed》は無事セットに収録されたというわけだ。
《破滅的な行為/Pernicious Deed》に関する話で、私のお気に入りは、最後のぎりぎりになってその名前が変更された件だ。
当時、クリエィティブ・チームは急激な成長に伴う痛みの最中にあったため、新たなメンバーを雇い入れることができるまでは私がカード名とフレイバーテキストをチェックすることになっていた。
その一環として、私はアポカリプスのカード名に問題がないか、最後の最後になって目を通すこととなった。
ざっと眺めただけでも、問題のある名前が見つかった。
1つ目として、そこには Spirit Link 能力(註14)を持っていないにも関わらず《Spirit Lynx》と名づけられたカードがあった(Spirit Link 能力というのは、今でいう 絆魂/Lifelink の能力だ)。
これは混乱を招くことになるから変更する必要がある、と私は言った。
2つ目は《破滅的な行為/Pernicious Deed》だ。
変更前の名は《Planar Bombardment》だった。
この名前の何が問題かというと、《破滅的な行為/Pernicious Deed》は既に同じブロックに収録されていた《次元の門/Planar Portal》と《次元の被覆/Planar Overlay》のいずれとも関連性を持たないカードだということだ。
そこで私は最後の瞬間になって、このカードの名前を変える決断を下した。
ここで問題が生じた。
この決断は作業の本当に最後ギリギリになってから下されたため、すでにカード番号は変更不可能な段階だった。
それが何を意味するかというと、変更後の名前も現在と同じ順目に収まるカード名でなければならなかったのだ(マルチカラーは単体の色とみなして番号がふられている)。
《Spirit Lynx》の新しい名前は《義務と道理の盾/Shield of Duty and Reason》と《軍旗の旗手/Standard Bearer》の間に収まるものである必要があった。
幸運なことに解決策は意外と簡単に見つかり、このカードは《幽体オオヤマネコ/Spectral Lynx》と名づけられた。
それに対して《破滅的な行為/Pernicious Deed》の命名は難航した。
これの名前が入るべき隙間は《草茂る屋敷/Overgrown Estate》と《パワーストーンの地雷原/Powerstone Minefield》の間にあった。
《Spirit Lynx》と違い、なかなか天啓は降りてきてくれなかった。
このような事態が発生したときの常として(そして君たちが考えているよりもこの問題はずっと高い頻度で発生するのだが)、私たちは辞書へ向かった。
私たちは「Overgrown」の項目から読み始めた。
「Pernicious」まで来たとき、私はその意味を読む必要があった。正直に言おう。この単語を見たのはこのときが初めてだったからだ。
意味は「知らぬ間に損害や破滅を生じさせる; 死に至る危険性; 致死性の」だそうだ。
まさに私たちが捜し求めていたものじゃないか。
この単語に少々懐疑的なメンバーもいた。何しろそれはあまり聞きなれない単語だったからだ。
私の回答としては「これはレアだし、Pernicious という言葉の響きはカッコいい。そういうことをさておいても、MTGのプレイヤーたちのボキャブラリを増やすのは別に悪いことじゃないだろう?」
それから何年も経ったある日のこと、私はあるプレイヤーから手紙をもらった。彼はSAT(註15)を受験した直後だったそうだ(アメリカに住んでいない人のために説明しておくと、SATとは重要な大学入学試験の1つだ)。
彼の書いたところによると、その試験の単語を問う設問で「Pernicious」が出てきたらしい。そしてもしマジックを遊んでなかったら絶対に分からなかっただろう、とのことだ。
(余談だが、もし読者の中に「学校生活の中でマジックがこんな風に役に立った」という面白い話を知っていたら、ぜひとも私に知らせてくれ)
私がこのカードから得た教訓、それは他のカードで却下されたアイデアにも注意を払うこと、だ。
あるアイデアが、そのときのカードの問題を解決できなかったとしても、かわりに他のカードに対して有効に働くということはよくある話だ。
よいデザインを心がけたいのであれば、ある問題に対して提案はされたが使われなかった解決法が、もしそれ自体はいいアイデアであればきちんと記録しておくことだ。
ちょっと待った、まだまだあるぞ
このコラムを書き始めた段階では、10個のエンチャントについて書くつもり満々だった。何しろ、私は10個の異なるブロックそれぞれでエンチャントをデザインしたんだからね。
しかし、5つ目のエンチャントについて書き上げて文字数チェックを走らせたところ、すでに3000語を超えていることが判明した。
私は次のコラム担当者と同じくらい(もしくはそれ以上に)書くことが大好きだが、私はこれを毎週やらなくちゃいけないんだ。
来週またコラムを書かないといけないことを考えると、無理して6000語以上のコラムを書こうとするのはおかしな話だ。だから私はこれを前編と後編に分けることにした。
来週は、後半の5つのブロックぞれぞれのエンチャントについて分析し、デザインに関する話を披露しようと思う。君たちがこういうコラムを面白いと思ってくれることを願っているよ。
今週はこれまで。
来週のテーマは……って、聞いてなかったのか? たった今、来週何を話すか伝えたばかりだよ。それまで、平日が過ぎるのを楽しみに待っていてくれ。
Sneak Attack / 騙し討ち (3)(赤)
エンチャント
(赤):あなたは、あなたの手札にあるクリーチャー・カードを1枚戦場に出してもよい。そのクリーチャーは速攻を得る。次の終了ステップの開始時に、そのクリーチャーを生け贄に捧げる。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Sneak+Attack/
私がこのカードを作った理由は、その色のフレイバーが自然とにじみ出るようなカードを各色にデザインしようとしていたからだ。
そこで赤のカードとして、これだ、と思ったのは「短期的アドバンテージで、長期的ディスアドバンテージ」というアイデアだった。
赤という色は衝動的に行動し、長期的な影響を視野に入れずに実行に移してしまう。このフレイバーに特化すればいいカードが出来るぞ、と私は考えたわけだ。
さて、後に得られる何かを諦めることをコストに即座に利益を与えてくれる、というのを赤で表現するにはどうすればいい?
加えて言うなら、赤という色のフレイバーに忠実であるべく、そのカードから得られる効果は攻撃的であるべきだと私は感じた。
赤が長期的なアドバンテージを諦めるのは、対戦相手の顔にドデカい何かを叩きつけてやりたいから……いや、「今すぐ叩きつけてやりたい」からだ。
過去の経験が、クリーチャーと絡めてはどうだろう、という考えへ導いてくれた。
どうすれば通常より早くクリーチャーを活用できるだろうか。マナをいくらか払うことで戦場に出せるとしたらどうだろう?(もちろん速攻付きでだ。攻撃できなきゃ意味が無い。私たちが今話しているのは「赤」についてなんだぜ?)
それは非常な強力な効果だろう。
じゃあ、デメリットはどうする?
それは悩むまでもないように思われた。そのクリーチャーはターン終了時に死んでしまうのさ。実に「赤」っぽいじゃないか。
このカードは結構古い時代のものだから、もしかしたら君たちの中にはこのカードを使ったり敵に回したりする機会に恵まれなかった人もいるかもしれない。
そこで、このカードが世に出たときに何が起きたかを教えておこうと思う。
このカードは強かった。
ただ私が予想していた方向とは少々異なる方向に、だった。このカードを強からしめたのは、戦場に出たそのターンに強さの大半を発揮するクリーチャーたちが存在していたためだ。
例えば「戦場に出たとき」の能力(もしくは同じように「戦場を離れたとき」)を持つクリーチャーは《騙し討ち/Sneak Attack》と素晴らしいシナジーを形成した。
なぜなら戦場に置いて1ターンあれば彼らの脅威は十分に発揮出来たからだ。
他のカードで言えば《ボール・ライトニング/Ball Lightning》(通常、ターン終了時に生け贄に捧げられてしまう)のようなカードも、2ターン目以降の命を失う代わりに少ないマナでプレイできるという取引に喜んで応じた。
最後に、このカードの起動コストは赤のみであったため、赤デッキに他の色のクリーチャーを(1ターンに限ればの話ではあるが)戦場へ出すことを可能にしてくれた。
このカードからは興味深い教訓を得たが、その教訓とは、長いこと《騙し討ち/Sneak Attack》をそのオリジナルほどの強さを発揮しないようにリメイクしようと試みた挙句に、ようやく得られたものでもある。
(リメイクについては、それなりに成功した例も多少はあったが、いずれも《騙し討ち/Sneak Attack》の出来には達しなかった)
デザイナーはカードの強さがどこから来ているのかを理解する必要がある。しかしそれはカードをリメイクするためではない(とはいえリメイクの必要が生じることはあるが)。
プレイテストに持ち込むのに妥当な強さのカードを作れるようになるためだ。
さて《騙し討ち/Sneak Attack》の何がそこまで強かったのだろうか。
(そのとおり、一般常識から鑑みて《騙し討ち/Sneak Attack》の強さは超えてはならないレベルを超えていた。だからこそ私たちはこのカードを決して再版しなかった。コアセットやエキスパートセット、そしてさらにはタイムシフトでも再版の候補として挙がったにも関わらず、これは再版されなかった)
もっとも大きな問題点は、マジックの基本に関わるものだ。私たちはプレイヤーにマナコストを踏み倒す手段を与えてしまった。マナコストはカードの強さをコントロールするためのキーとなるものなのに。
さらに、私たちの与えたその手段には十分なデメリットが付随せず、あまりにお手軽すぎた。当初、私が重いデメリットとなるであろうと考えていた「クリーチャーを1ターンしか得ることができない」という制約は、想像以上に軽すぎたことが証明された。
2つ目の問題点、プレイヤーに他の色のカードを簡単にプレイさせてくれるカードはパワーレベルが跳ね上がる、ということは、このカードによって証明された。
最終的に私が学んだのは、多くのクリーチャーは1ターンもあれば十分にその力を発揮できる、ということだ。
奸謀/Conspiracy - メルカディアン・マスクス
Conspiracy / 奸謀 (3)(黒)(黒)
エンチャント
奸謀が戦場に出るに際し、クリーチャー・タイプを1つ選ぶ。
あなたがオーナーである戦場に出ていないクリーチャー・カードと、あなたがコントロールするクリーチャー呪文と、あなたがコントロールするクリーチャーは選ばれたタイプである。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Conspiracy/
このカードが生まれた理由は 傭兵/Mercenary に負うところが大きい。
(念のため。R&Dが雇っている助っ人たちを指して傭兵と言っているわけではない。私たちは雇い入れた助っ人のうち、その大半をすでに切っている。あの大々的な「助っ人募集」(註12)を覚えている人も多いだろう)
(註12) 助っ人募集
原文では「The Great Mercenary Search」。おそらく一般からMTGのデザイナーを公募した「The Great Designer Search」のことを指しているものと思われる。
以下、このコンテストに関する記事(リンク先は英語)。episodeは1から7まである。
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtgcom/designersearch/episode1
そうじゃないんだ。
私が取り上げたいのはメルカディアン・マスクス・ブロックにいた、ライブラリーから次から次へと仲間を戦場へ引っ張りだしてくれるクリーチャーだ……違う、レベル/Rebel じゃない。
レベル/Rebel はこのメカニズムをあまりに強力な形で持ってしまった。その結果、いくつものフォーマットを歪めてしまった。
違うんだ。このメカニズムを持った、もう片方について話そうと思っている。
知ってのとおり、レベルたちは互いにつながっている。小さい奴らがデカい奴らを呼び出せる。
しかし、いかなる理由かは不明だが、傭兵/Mercenary は逆方向に働いた。小さい奴らがさらに小さい奴らを呼び出したんだ。
そんなこんなで、レベル/Rebel が 傭兵/Mercenary に多少優れていることはプレイテストの段階で明らかになった。
そしてこの「多少優れている」というのは、本当にありとあらゆる面で優れていたのだ。デザイナーとして、私はなんとか 傭兵/Mercenary デッキを援護したかった。
デッキの全てのカードを 傭兵/Mercenary にすることが出来たらどうだろう、というアイデアが浮かんだのはそのときだ。
そうすれば、君は手元の 傭兵/Mercenary を使ってデッキの中にいる好きなクリーチャーを呼び出せるようになる。
ああ、分かった分かった、デッキの中にいる好きなクリーチャー(ただしマナコストがより安いもの)を呼び出せるようになる。これ以上は譲れないぞ。
しかし「デッキの中にいる全てのクリーチャー・カードは 傭兵/Mercenary である」というカードは、少々用途が狭すぎるように感じられた。
じゃあ、こうしてみたらどうだろう。
それはライブラリーだけじゃなくて君の全てのカードを、傭兵/Mercenary に限らず好きなクリーチャー・タイプに変えてくれるんだ。
オンスロートブロック(すなわち部族デッキ)が到来するのまでにはまだ数年を残していたが、それでもクリーチャータイプを考慮するカードは当時からすでにそこかしこに存在していた。
全て上手く行くかに見えた。
たった1つの問題を除いては。
なんで黒の魔法が君の全てのクリーチャーのタイプを変更できるんだ? それは、青の仕事じゃないのか?
その通り、と認めざるを得ない。
しかしこのカードはあくまで 傭兵/Mercenary を助けるために作られたのだ。このカードを青に転じてしまっては本末転倒だ。そこで私は、フレイバー付け次第でこの問題は乗り越えられる、と主張した。
つまりね、なんでクリーチャータイプが変更されてしまうかというと、それは陰謀によるものだったのさ。
へえ、なるほど、陰謀ね。
それは確かに黒っぽいね。
私がこのカードから得たデザイン上の教訓は、それすなわち上記の決断をどれだけ後悔しているかということに他ならない。
この効果は黒の担当ではない。
(黒の効果でもっとも近いものがあるとすれば、全てのクリーチャーを既存の黒特有のクリーチャータイプで上書きするというものだろう。その場合でも、そこにはおそらく、なぜ全てのクリーチャーがゾンビだか何だかに変わってしまったのかを説明するような追加効果が付随するはずだ)
メカニズムを無理やりフレイバーで正当化しようとするのは、労力を惜しんだみっともないデザインでしかない。私が 傭兵/Mercenary を助けたかったのであれば、青い何かに頼るのではなく、あくまで黒い何かを模索すべきだったのだ。
破滅的な行為/Pernicious Deed - アポカリプス
Pernicious Deed / 破滅的な行為 (1)(黒)(緑)
エンチャント
(X),破滅的な行為を生け贄に捧げる:点数で見たマナ・コストがX以下の、すべてのアーティファクトとすべてのクリーチャーとすべてのエンチャントを破壊する。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Pernicious+Deed/
マジックのデザインにおける楽しみの1つに、あるカードから別のカードが生まれる過程を観察することが挙げられる。
その好例が《ネビニラルの円盤/Nevinyrral’s Disk》だ。
このカードはシンプルで有能だった。あまりに有能であったため、特定の色が持つべき弱点を補完するために使われるようになり始めた。
例えば、青はパーマネント破壊が苦手だった。しかし《ネビニラルの円盤/Nevinyrral’s Disk》を手にした青はその問題を乗り越えてしまった。
またさらに言うと、このカードのパワーレベルはあまりに高いため、ついにはメタゲームを歪めるほどになった。
そのようなわけで、ラリー・ニーヴンの円盤(註13)は封印されることと相成った。
(註13) ラリー・ニーヴンの円盤
《ネビニラルの円盤/Nevinyrral’s Disk》のこと。ネビニラル/Nevinyrral という名前の元ネタは、ラリー・ニーヴン/Larry Niven というSF作家の名前を逆に読んだもの。
それから何年もの間、様々なデザイナーがこの《ネビニラルの円盤/Nevinyrral’s Disk》を新たな形で再誕させる方法を捜し求めた。
私もその例外ではない。
ウルザズ・デスティニーのデザインを担当していたとき、私は新たな円盤を手がける決心をした。私の生み出した再誕の解は《火薬樽/Powder Keg》だ。
このカードの意図するところは、リセット能力を持たせつつも(全てを破壊するのではなく)あくまで限られた一部のグループを破壊する、というものだった。
デベロップメントの段階で、何度も議論されたのは、このカードの効果が及ぶ範囲が「点数で見たマナ・コストが、火薬樽の上に置かれた導火線カウンターの数に等しい」であるべきか、それとも「点数で見たマナ・コストが、火薬樽の上に置かれた導火線カウンターの数以下」であるべきか、ということだ。
当時、私は「どちらの効果であっても十分に面白いが、デザインの観点から鑑みるに前者であるべきだ」と主張した。個人的に、一度に対処できるのが特定のマナ域のみ、というアイデアが気に入っていたからだ。
これによって、プレイするのが楽しいだけでなく、新たにカウンターを加えるかどうか決断する際に興味深い緊張感を生み出すはずだ、と感じていたのがその理由だ。
最終的に私の意見が通り、《火薬樽/Powder Keg》はそのように印刷された(つまり、十分な数のデベロッパーを私の側につくよう説得できたということだ)。
しかし頭の片隅では、もう片方のアイデアもカード化するに十分値するものだ、ということを理解していた。そこでインベイジョンのデザインをする際に、私は《破滅的な行為/Pernicious Deed》を作ったのだ。
破壊したいものはアーティファクト、クリーチャー、そしてエンチャントだということは分かっていた。
(土地は破壊したくなかった。なぜなら、円盤がそうであったように、マナを阻害することなくリセットすることでプレイヤーたちが素早く場を復帰出来るようにしたかったからだ)
色として、青は明らかにふさわしくない。また全体破壊をするときに何を破壊して何を破壊しないかを選択するという効果は白には似つかわしくないように感じられた。
残った色は黒、赤、そして緑だ。
黒も赤もエンチャントを破壊することが出来ないのだから、緑は必須だ。
赤よりも黒がふさわしかった理由は、ダメージによらないクリーチャー破壊は私には赤っぽくないように感じられたためだ。確かに黒は赤と違ってアーティファクト破壊が苦手だが、幸いそれは緑の得意分野だ。よって、それは問題にはならなかった。
そのような経緯で決断はなされ、《破滅的な行為/Pernicious Deed》の色は黒緑と相成った。
1つ、小さな問題があった。
インベイジョンのデザインの最中、私たちは全ての敵対色マルチカラーのカードは最後のセットまで温存しとこう、と決めた。そのほうが面白くなると考えたためだ。
しかしそれでは《破滅的な行為/Pernicious Deed》へ「アポカリプスが来るまで待っててねファイル」に閉じこもっていろ、と命ずることになる。
何らかの形で待機を命じられたカードは、そのまま時の狭間に消え去ってしまうことが多い。なぜなら新たなデザイン・チームは、自分たちのセットを自分たちのカードで構築しようとするためだ。
ところがアポカリプスのデザイン・チームは、Billの試みで、初めてデザイナーを務めるメンバーばかりで構成されていた。
彼らはインベイジョン・デザイン・チームが作ったカードに興味津々だった。結果、《破滅的な行為/Pernicious Deed》は無事セットに収録されたというわけだ。
《破滅的な行為/Pernicious Deed》に関する話で、私のお気に入りは、最後のぎりぎりになってその名前が変更された件だ。
当時、クリエィティブ・チームは急激な成長に伴う痛みの最中にあったため、新たなメンバーを雇い入れることができるまでは私がカード名とフレイバーテキストをチェックすることになっていた。
その一環として、私はアポカリプスのカード名に問題がないか、最後の最後になって目を通すこととなった。
ざっと眺めただけでも、問題のある名前が見つかった。
1つ目として、そこには Spirit Link 能力(註14)を持っていないにも関わらず《Spirit Lynx》と名づけられたカードがあった(Spirit Link 能力というのは、今でいう 絆魂/Lifelink の能力だ)。
これは混乱を招くことになるから変更する必要がある、と私は言った。
(註14) Spirit Link 能力
文中にもある通り、絆魂/Lifelink の能力のことを指す。この効果の元祖である《魂の絆/Spirit Link》というカードから来ている。Spirit Link / 魂の絆 (白)
エンチャント - オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)(これを唱える際に、クリーチャー1体を対象とする。このカードはそのクリーチャーにつけられている状態で戦場に出る。)
エンチャントされているクリーチャーがダメージを与えるたび、あなたは同じ点数のライフを得る。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Spirit+Link/
2つ目は《破滅的な行為/Pernicious Deed》だ。
変更前の名は《Planar Bombardment》だった。
この名前の何が問題かというと、《破滅的な行為/Pernicious Deed》は既に同じブロックに収録されていた《次元の門/Planar Portal》と《次元の被覆/Planar Overlay》のいずれとも関連性を持たないカードだということだ。
そこで私は最後の瞬間になって、このカードの名前を変える決断を下した。
ここで問題が生じた。
この決断は作業の本当に最後ギリギリになってから下されたため、すでにカード番号は変更不可能な段階だった。
それが何を意味するかというと、変更後の名前も現在と同じ順目に収まるカード名でなければならなかったのだ(マルチカラーは単体の色とみなして番号がふられている)。
《Spirit Lynx》の新しい名前は《義務と道理の盾/Shield of Duty and Reason》と《軍旗の旗手/Standard Bearer》の間に収まるものである必要があった。
幸運なことに解決策は意外と簡単に見つかり、このカードは《幽体オオヤマネコ/Spectral Lynx》と名づけられた。
それに対して《破滅的な行為/Pernicious Deed》の命名は難航した。
これの名前が入るべき隙間は《草茂る屋敷/Overgrown Estate》と《パワーストーンの地雷原/Powerstone Minefield》の間にあった。
《Spirit Lynx》と違い、なかなか天啓は降りてきてくれなかった。
このような事態が発生したときの常として(そして君たちが考えているよりもこの問題はずっと高い頻度で発生するのだが)、私たちは辞書へ向かった。
私たちは「Overgrown」の項目から読み始めた。
「Pernicious」まで来たとき、私はその意味を読む必要があった。正直に言おう。この単語を見たのはこのときが初めてだったからだ。
意味は「知らぬ間に損害や破滅を生じさせる; 死に至る危険性; 致死性の」だそうだ。
まさに私たちが捜し求めていたものじゃないか。
この単語に少々懐疑的なメンバーもいた。何しろそれはあまり聞きなれない単語だったからだ。
私の回答としては「これはレアだし、Pernicious という言葉の響きはカッコいい。そういうことをさておいても、MTGのプレイヤーたちのボキャブラリを増やすのは別に悪いことじゃないだろう?」
それから何年も経ったある日のこと、私はあるプレイヤーから手紙をもらった。彼はSAT(註15)を受験した直後だったそうだ(アメリカに住んでいない人のために説明しておくと、SATとは重要な大学入学試験の1つだ)。
(註15) SAT
Scholastic Assessment Testの略。日本の共通一次試験(通称センター試験)的な存在らしい。
彼の書いたところによると、その試験の単語を問う設問で「Pernicious」が出てきたらしい。そしてもしマジックを遊んでなかったら絶対に分からなかっただろう、とのことだ。
(余談だが、もし読者の中に「学校生活の中でマジックがこんな風に役に立った」という面白い話を知っていたら、ぜひとも私に知らせてくれ)
私がこのカードから得た教訓、それは他のカードで却下されたアイデアにも注意を払うこと、だ。
あるアイデアが、そのときのカードの問題を解決できなかったとしても、かわりに他のカードに対して有効に働くということはよくある話だ。
よいデザインを心がけたいのであれば、ある問題に対して提案はされたが使われなかった解決法が、もしそれ自体はいいアイデアであればきちんと記録しておくことだ。
ちょっと待った、まだまだあるぞ
このコラムを書き始めた段階では、10個のエンチャントについて書くつもり満々だった。何しろ、私は10個の異なるブロックそれぞれでエンチャントをデザインしたんだからね。
しかし、5つ目のエンチャントについて書き上げて文字数チェックを走らせたところ、すでに3000語を超えていることが判明した。
私は次のコラム担当者と同じくらい(もしくはそれ以上に)書くことが大好きだが、私はこれを毎週やらなくちゃいけないんだ。
来週またコラムを書かないといけないことを考えると、無理して6000語以上のコラムを書こうとするのはおかしな話だ。だから私はこれを前編と後編に分けることにした。
来週は、後半の5つのブロックぞれぞれのエンチャントについて分析し、デザインに関する話を披露しようと思う。君たちがこういうコラムを面白いと思ってくれることを願っているよ。
今週はこれまで。
来週のテーマは……って、聞いてなかったのか? たった今、来週何を話すか伝えたばかりだよ。それまで、平日が過ぎるのを楽しみに待っていてくれ。
長過ぎて1つの記事に収まらなかったため、前編/後編に分けた。なお、コラムのタイトルに[その1]とあるのは、エンチャント週間の記事が長過ぎたせいで、2週間に渡って掲載されたため。
【翻訳】より良いエンチャントのために (1)/Enchantment For Better Things, Part One【Daily MTG】
Mark Rosewater
2007年6月25日
元記事:http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtgcom/daily/mr285
エンチャント週間へようこそ!
今まで時間をかけて各カードタイプそれぞれをテーマとして取り上げてきた。今時点で完了しているのはアーティファクト週間(註1)、インスタント週間(註2)、ソーサリー週間(註3)だ(なおソーサリー週間の記事は2つある「Slow and Steady」というタイトルのコラムの新しい方だ。何かの手違いで私はこのタイトルを2回使ってしまった)。
(註1) アーティファクト週間
原文では当時のコラムの題名(Just the Artifacts, Ma’am)とその記事へのリンク(以下のURL)が張られている。
http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgcom/daily/mr165
(註2) インスタント週間
原文では当時のコラムの題名(Instant Winners)とその記事へのリンク(以下のURL)が張られている。
http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgcom/daily/mr77
(註3) ソーサリー週間
原文では当時のコラムの題名(Slow and Steady)とその記事へのリンク(以下のURL)が張られている。
http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgcom/daily/mr120
付け加えると、私たちはいくつかサブ・テーマ的なものもテーマ週間で取り扱ってきた。
エンチャント・クリーチャー週間(註4)、特殊地形週間(註5)、それらに加えて特定のクリーチャータイプに関するテーマ週間なら石を投げれば当たるほどある(その中でもゴブリン週間の記事である"Mons Made Me Do It"(註6)は私の中のオールタイムベストの1つだ)
(註4) エンチャント・クリーチャー週間
原文では当時のコラムの題名とその記事へのリンク(以下のURL)が張られている。なお文中ではコラムのタイトルが「Some Enchanted Creature」となっているがリンク先では「Some Enchanted Card Type」となっている。
http://www.wizards.com/magic/magazine/Article.aspx?x=mtgcom/daily/mr16
(註5) 特殊地形週間
原文では当時のコラムの題名(This Land Is My Land)とその記事へのリンク(以下のURL)が張られている。
http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgcom/daily/mr65
(註6) "Mons Made Me Do It"
以下のURLへリンクが張られている。文中にあるとおり、ゴブリン週間に書かれた記事。
http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtgcom/daily/mr41
しかしここしばらくカードタイプはテーマとして扱っていなかった。そこで、まだ取り上げていないいくつかの題材から1つ選んでみてもよいのではと思った次第だ(私は、君たちが年内にもう1回はカードタイプ週間を見ることになるだろう、という予言をここに記しておく。何しろローウィンで新たなタイプがまた1つゲームに加わるんだからね。(註7))
(註7) ローウィンで新たなタイプがまた1つゲームに加わる
プレインズウォーカーというカードタイプが新たに加わったのローウィンから。
ここまで長々と書いてきたが、実質、私が語ったことと言えば今週がエンチャント週間であるということだけだ。
さて、じゃあここからは何について書いたらよいだろう?
少なくともエンチャントについて書かないといけないし、このコラムはデザインに関することを書く場所だ。よってここで語るべきはエンチャントのデザインについて、になるだろう。
よし、こうしよう。
過去の10個のブロックからそれぞれ1枚ずつ私がデザインしたエンチャントを選んでみた(私がエンチャントをデザインしたブロック数が10個だ。アライアンスでもいくつかカードをデザインしたけど、全てエンチャント以外のカードだった)。
それぞれのエンチャントについて、どのように(そしてどうして)そんなデザインになったかを紹介しようと思う。それと、語るに値する小ネタがあればそれもね。
加えて、そのカードから得たデザイン上の教訓についても語ろうと思う。
死体の花/Cadaverous Bloom - ミラージュ
Cadaverous Bloom / 死体の花 (3)(黒)(緑)
エンチャント
あなたの手札のカードを1枚追放する:あなたのマナ・プールに(黒)(黒)か(緑)(緑)を加える。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Cadaverous+Bloom/
私が初めてデザインチームとして参加したのはテンペストだ(同時に、私がリーダーを務めたセットでもある。いやはや、今はこういうことは起こらないようにしているよ)。
とはいえ、私がデザインしたカードが初めて世に出たのがテンペストだったということを意味しているわけではない。
テンペストから遡ること1年半前(註8)、私はデベロップメントチームの一員として力いっぱい働いていた(当時のマジックR&Dの規模は小さく、全てのメンバーはいずれかのデベロップメントチームに属していた)。
(註8) 1年半前
要するに、ミラージュの開発。
デベロップメントの工程の最中、私たちはしばしばカードをふるいにかける。そうするとき、そこには私たちが「穴」と呼ぶものが生まれる。
デベロップメント・チームの作業の結果、一定数の「穴」が生みだされたとき、全てのR&Dのメンバー(特にデザイナー)に向けてメッセージが送信される。「穴」埋めに使えるカードを提出するよう依頼するメッセージだ。
《死体の花/Cadaverous Bloom》はそんな「穴埋め」カードの1枚だったのだ。
そのとき埋めなければいけない穴は明確だった。私たちに必要だったのは「レア」で、かつ「黒緑」の多色カードだった。
黒緑っぽさを感じさせてくれるカードに必要なものは2つある。黒っぽさを感じさせてくれる部分、そして緑っぽさを感じさせてくれる部分だ。
それについて思いをめぐらした結果、私が辿り着いたアイデアは、起動コストに片方の色の要素を持ちつつも、その効果に別の色の要素を持たせるというものだった。
手札からカードを捨てるという行為は今ほど広く認知されているコストではなかったため、当時はそこに自傷的な痛みを思わせる何かが存在していた。このフレイバーによってカードは「黒」もしくは「赤」に近づいた。
そしてマナを加えるのは非常に「緑」だ。
これら2つの効果を組み合わせることは非常に自然に思われた。そう、このエンチャントは君のカードをマナと交換させてくれる。この時点では、これがどれほどまでに壊れた効果なのかを私は知る由も無かった。
ところで《死体の花/Cadaverous Bloom》に関する逸話の中で私が好きなのは、プロツアーの悪童、かつ、2回の殿堂入り候補でもあるマイク・ロング(註9)その人が、《死体の花/Cadaverous Bloom》を中心に据えたコンボデッキ(プロスブルームという名で知られているデッキだ)を使ってプロツアー・パリ(註10)で優勝したあと、私に話しかけてきたときのことだ。
(註9) マイク・ロング
文中で悪童(原文ではBad Boy)と書かれているように、強いプレイヤーであると同時に悪いプレイヤーとしても評判だった、往年の強豪プレイヤー。
殿堂入りに関しては、2005年に行われた最初の投票では28人中 7位、2006年は47人中 11位、という風に決して低い順位ではない。良くも悪くも印象に残るプレイヤーっぽい。
なお、このコラムが書かれた2007年以降の結果について書くと、2007年は62人中 20位、2008年は66人中 14位、2009年は62人中 13位、2010年は73人中 13位。
もしかしたらいつかは、と思わせる順位ではある。
(註10) プロツアー・パリ
1997年にパリで行われたプロツアー。フォーマットは、ミラージュ・ブロック構築。
そこでマイクは私に歩み寄るとこう言ったのだ。
マイク:
R&Dにはマジで感謝しないとな。
私:
なんで?
マイク:
このデッキだよ。こいつは狂ってやがる。
私:
マイク、そのデッキを作ったのは私たちじゃない。
作ったのは君だ。
マイク:
はいはい、あんたの言うとおりだよ。《死体の花/Cadaverous Bloom》、《資源の浪費/Squandered Resources》、《自然の均衡/Natural Balance》、《繁栄/Prosperity》、それと《冥府の契約/Infernal Contract》。これの全部が全部、ミラージュとビジョンズに入ってたのが偶然だったとね。
私:
いや、そうだよ?
マイク:
マーク。
俺はこのデッキをプレイしたんだ。
今まで見てきたどんなデッキも、こいつほどシナジーにあふれてる奴はなかった。
ミラージュとビジョンズ以外のカードを使って改良していいと言われても加えるカードを思いつかない。
この2つのセットしか使っちゃいけないってプロツアーがあって、こいつが生まれたのが偶然だって?
ありえないだろ。
私:
何が言いたいんだ?
まさかとは思うが、私たちがこのデッキを作ったあとに、あらためてその必要なパーツをミラージュブロックの2つのセットにばらまいたとでも?
マイク:
お、認める気になったな。
私:
違うよ。まったく逆だ。
私は《死体の花/Cadaverous Bloom》をデザインしたのが誰か、よく知っている。私だ。だが《自然の均衡/Natural Balance》を作ったのはMike Elliottだ。《繁栄/Prosperity》は、Bill Roseが作った。
パリでの君のプロツアー優勝のために私たちがこれを作った、なんて陰謀論は捨てることだね。
マイク:
俺のため、とは言ってないぜ?
私:
マイク、私たちはこのデッキを作ったりはしていない。
マイク:
了解、了解(ウィンク)。
そういうことにしておこう。
私が思うに、今日に至ってもマイクはプロスブルームというデッキが可能だったのはR&Dが意図的にセットに仕込んだからであり、それ以外に説明がつかないと信じ込んでいるだろう。
さて、前述したとおり、紹介する各エンチャントごとにそこから得ることができたデザイン上の教訓について語ろう。
《死体の花/Cadaverous Bloom》からは、コストを必要としないエンジン・カードの秘める危険性に注意を払う必要があることを学んだ(エンジン・カードとは、定義するなら、あるリソースを他のリソースに変換するカードだ。例えば手札をマナに換えるような)。
リソースの変換は強い力を持つ。それを無料で行わせるのは、面倒を引き起こしてくれと頼んでいるようなものだ。
覚えておいて欲しいのは、プロスブルームデッキはマナを得るために上記のルールを破るエンチャントが2つも使われているということだ。
そう《死体の花/Cadaverous Bloom》と《資源の浪費/Squandered Resources》だ。
リソースをマナに変換するカードは特に危険だ。なぜならリソースの変換を制限する手段に「マナを使わせる」という選択肢がほとんど意味をなくしてしまうためだ。
このカードから得られた教訓。それは、エンジン・カードはデザイン時から制限を織り込んでおく必要がある、ということだ。
好きなだけのリソースAを好きなだけリソースBにコストなしで変換できるというのは、面倒を引き起こしてくれとこちらから頼んでいるようなものなのだ。
霊の鏡/Spirit Mirror - テンペスト
Spirit Mirror / 霊の鏡 (2)(白)(白)
エンチャント
あなたのアップキープの開始時に、反射(Reflection)トークンが戦場に存在しない場合、白の2/2の反射クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
(0):反射1つを対象とし、それを破壊する。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Spirit+Mirror/
往々にして私はデザインをシンプルなアイデアから始めることにしている。
《霊の鏡/Spirit Mirror》に関する私のアイデアは、エンチャント破壊でしか対処できないクリーチャーを作りたい、というものだった。
エンチャントでもあるクリーチャーというアイデアもなんとなくは考えていたが、当時、その考えはあまりに時代を先取りしすぎているように思われた。
(もしかしたら君は、私が将来のためにアイデアを温存したんじゃないか?、と思っているかもしれない。正解だ。また、このアイデアに関して述べた私の他の記事を読んでいない君のために付け加えておくと、《輝く透光/Lucent Liminid》(註11)には、もっとはっきりと自身がエンチャントでもあると自己主張できる効果を持たせることが出来ていれば、と今でも残念に思っている)
(註11) 《輝く透光/Lucent Liminid》
どんなクリーチャーかは以下を参照。一見したところ、単なる5マナの割に能力値の低い飛行クリーチャーにしか見えないが、ポイントはカードタイプ欄。
まあ、マナの割に弱いという結論は変わらないんだけど。Lucent Liminid / 輝く透光 (3)(白)(白)
エンチャント クリーチャー - エレメンタル(Elemental)
飛行
3/3
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Lucent+Liminid/
私は、エンチャントをクリーチャーに変える、というアイデアを考えてみたが、それでは単なるクリーチャー除去で対処されてしまう。
そうじゃない。私の望みは「エンチャント破壊を持ってないだって? そりゃ大変だね」と書いてあるも同然のクリーチャーだ。
次に私が辿り着いたのは、クリーチャー・トークンを生み出すエンチャントだった。
もしトークンが破壊されてもエンチャントが戦場に残るのであれば、それは単に新たなトークンを生み出すだけであり、つまりクリーチャー除去はこのカードに対する回答にはならないわけだ。
もっとも、それだけではダメだ。このカードが単体でクリーチャー・トークンの軍団を生み出してしまわないようにしなくてはいけない。
この問題を避けるために、私は「反射(Reflection)トークンが戦場に存在しない場合」にしか、反射/Reflection トークンを生み出せないという一文を追記してみた。
ちなみにこれによってこのカードのためだけのクリーチャータイプが必要となった(なお、反射/Reflection は、のちにインベイジョンの《完全な反射/Pure Reflection》でまた顔を出すこととなった)。
そこで私が気づいたのは、エンチャントが新たなトークンを生み出すのに何らかの制限をつけないといけない、ということだ。
なぜなら、クリーチャー・トークンを生け贄に捧げたあと続けざまにクリーチャー・トークンを生み出すことが出来てしまうと、クリーチャーを生け贄に捧げることのみがコストであるカードで度を越す悪用が出来てしまうからだ。
これによってトークン生成は誘発型能力と相成った。
直後のプレイテストで、私が開けたパックからは《霊の鏡/Spirit Mirror》が出てきた(なかなかラッキーな話だ。これがレアであることを考えるとね)。
さっそくプレイしてみた。
4マナに到達するには少し時間がかかったが、私はなんとか《霊の鏡/Spirit Mirror》を戦場に叩き付けることに成功した。
次の私のアップキープ時に、2/2の 反射/Reflection トークンが場に出た。次の対戦相手のターンに、対戦相手は私のトークンに《平和な心/Pacifism》を唱えた。
私は対応して「そんなことのために作ったんじゃないぞ!」と叫んだ。
そんなわけで、最後の一文が加わることとなったのだ。このカードをどうにかしたかったら、トークンにかかずらっても無駄だ。このカード自体を破壊したまえ。
面白いことに、この「鏡」と「反射」というフレイバーは「なんでこのカードは絶え間なくトークンを生み出すことができるんだ?」という問いに対する答えを模索していたクリエイティブ・チームによって、かなり後半になってからようやく生み出されたものだ。
生みの親として、実に面白いと感じているのはこのカードの非常に幅広い汎用性だ。
あるプレイヤーは、これを「非常に除去しづらいクリーチャー」として用いた。
あるプレイヤーは、「毎ターン、2/2トークンを生み出せるカード」として用いた(これは多くの場合その2/2トークンが何らかのために毎ターン生け贄に捧げられていることを意味している)。
あるプレイヤーは、マナを用いずに対象を破壊できるという能力に目をつけた。私は《霊の鏡/Spirit Mirror》をクリーチャー破壊(ときにはパーマネント破壊)に用いるデッキを何種類も見たことがある(多くの場合、これには他のクリーチャーやパーマネントを「反射/Reflection」に変えることが出来るカードが一緒に用いられている)。
私のデザイナーノートがこのカードから得た教訓は、プレイヤーがどのようにカードを用いるかを恐れてはいけない、ということだ。
多くのプレイヤーが私が元々意図していなかった方法で《霊の鏡/Spirit Mirror》を用いたという事実はむしろ私を喜ばせた。
これは私が繰り返し述べている「道具をデザインする(designs as tools)」というメタファーに当てはまる事例だ。
職人が 道具/Tool を作るとき、エンドユーザがそれをどのように用いるかについてある程度の予想している。
しかし職人にとって真に成功した仕事とは、元々の目的のためだけに使える何かを作ることではなく、エンドユーザが色んな使い道を見出せる高い汎用性を秘めた道具を作り出すことだ。
カードのデザインにも同じことが言える。
デザイナーが、特定のデッキにしか入らないカードを作るようなことは滅多にない。むしろ、特定のことしかできないカードを、それらを最も効率よく活用できるデッキへ自然と収まるように作るのだ。
後編へ続く
http://regiant.diarynote.jp/201106220719143190/
余談1:今週のCard of the Dayのテーマ
今週は特に一貫したテーマらしきものが見えない。新しいエキスパンションからも古いエキスパンションからも採られてるし、内容もクリーチャータイプの話、背景世界の話、ルールテキストの話、などなど広い範囲に及んでいるし。
余談2:月曜日 《Hazezon Tamar》
7マナで2/4、場に出た次のターンのアップキープにだけ1/1トークンをばらまいてくれる伝説のクリーチャー。昨今のカードパワーのインフレを見ていると、同じマナコストで毎ターンばらまいても不思議じゃない気がする。
余談3:火曜日 《大聖堂の皮膜/Cathedral Membrane》
こういう最後の一文に「オチ」のあるネタは好き。訳すときに、あからさまに「オチている」風に訳すか、原文に忠実に書いてオチが伝わるかどうかは読者任せにするかで悩む。
余談4:水曜日 《火の玉/Fireball》
この複雑な効果も《火の玉/Fireball》が範囲魔法であることを表すためだったんだろうな。あくまで《地震/Earthquake》とは違って、全体ではなく限定的な範囲。
ファンタジー的なフレイバーという意味ではそれで十分かもしれないけど、RPGに出てくる魔法という意味での《火の玉/Fireball》を表現するなら「対象が4つ以上必要」のようにすれば「ときには味方を巻き込んででも撃たないといけない」という面を表せたかもしれない。明らかに使いづらいけど。
余談5:木曜日 《戦争門/Wargate》
イラストに出てくるクリーチャーが既存の特定カードのクリーチャーということはよくある話だけど、今回のようにそれが文中で明らかにされないというのは珍しい気がする。
自分で調べた範囲でそれらしきものを紹介しておいたけど、文中で特定されていないということはもしかしたら特定のスフィンクスがモデルじゃないのかもしれない。
それでも《戦争門/Wargate》に描かれているスフィンクスは《破片撒きのスフィンクス/Sharding Sphinx》に良く似てることは間違いない。
余談6:金曜日 《Little Girl》
和訳されるとしても《幼女/Little Girl》にはやっぱりならないだろうな。
余談7:プレイヤータイプ
マジックのプレイヤーをそのプレイスタイルから「ティミー・ジョニー・スパイク」の3種類に分類できるという話は、公式コラムなどで今まで何度も紹介されてきている。
だけどさらに「メルヴィン・ヴォーソス」という分類があるらしい。気になったので調べてみたら、それに関する記事を和訳しているブログと出会えた。
デザインのための言葉
http://iwasgame.sakura.ne.jp/archives/49
これによると「メルヴィン・ヴォーソス」というのは今までの「プレイスタイルによる分類」ではなく、「プレイヤーがカードを評価する際の分類」らしい。詳細は上記リンク先の記事を見てもらうとして、簡単に言うと「メルヴィン:ルールやバランス面から評価」で「ヴォーソス:フレイバー面から評価」ということ。
《凍結/Frozen Solid》が例として挙がっていて、これが素晴らしく分かりやすい。なるほど。自分がヴォーソス寄りだということがよく分かった。《凍結/Frozen Solid》のデザインは素晴らしい。
余談8:記事の形式
知り合いから「毎日のCard of the Dayで、訳だけじゃなくて個人的な感想とか見解とかも一言付け加えてみたら? なんか今のままだとちょっと文章がさみしくない?」との言葉をもらった。
たまにそれも考えるけど「訳」には自分を出す必要はないかなと思ってるので、カードに関する私見はこの「週のまとめ」に書いてくことになると思う。
まあ、気が変わることもあるかもしれないけど。
余談9:05月30日の月曜日
アメリカの祝祭日の為、Card of the Dayの更新はお休み。
ちなみに5月30日が休みと決まっているわけではなく、5月の最後の月曜日が「Memorial Day」と決まっているらしい。戦没者を追悼する日。
今週は特に一貫したテーマらしきものが見えない。新しいエキスパンションからも古いエキスパンションからも採られてるし、内容もクリーチャータイプの話、背景世界の話、ルールテキストの話、などなど広い範囲に及んでいるし。
余談2:月曜日 《Hazezon Tamar》
7マナで2/4、場に出た次のターンのアップキープにだけ1/1トークンをばらまいてくれる伝説のクリーチャー。昨今のカードパワーのインフレを見ていると、同じマナコストで毎ターンばらまいても不思議じゃない気がする。
余談3:火曜日 《大聖堂の皮膜/Cathedral Membrane》
こういう最後の一文に「オチ」のあるネタは好き。訳すときに、あからさまに「オチている」風に訳すか、原文に忠実に書いてオチが伝わるかどうかは読者任せにするかで悩む。
余談4:水曜日 《火の玉/Fireball》
この複雑な効果も《火の玉/Fireball》が範囲魔法であることを表すためだったんだろうな。あくまで《地震/Earthquake》とは違って、全体ではなく限定的な範囲。
ファンタジー的なフレイバーという意味ではそれで十分かもしれないけど、RPGに出てくる魔法という意味での《火の玉/Fireball》を表現するなら「対象が4つ以上必要」のようにすれば「ときには味方を巻き込んででも撃たないといけない」という面を表せたかもしれない。明らかに使いづらいけど。
余談5:木曜日 《戦争門/Wargate》
イラストに出てくるクリーチャーが既存の特定カードのクリーチャーということはよくある話だけど、今回のようにそれが文中で明らかにされないというのは珍しい気がする。
自分で調べた範囲でそれらしきものを紹介しておいたけど、文中で特定されていないということはもしかしたら特定のスフィンクスがモデルじゃないのかもしれない。
それでも《戦争門/Wargate》に描かれているスフィンクスは《破片撒きのスフィンクス/Sharding Sphinx》に良く似てることは間違いない。
余談6:金曜日 《Little Girl》
和訳されるとしても《幼女/Little Girl》にはやっぱりならないだろうな。
余談7:プレイヤータイプ
マジックのプレイヤーをそのプレイスタイルから「ティミー・ジョニー・スパイク」の3種類に分類できるという話は、公式コラムなどで今まで何度も紹介されてきている。
だけどさらに「メルヴィン・ヴォーソス」という分類があるらしい。気になったので調べてみたら、それに関する記事を和訳しているブログと出会えた。
デザインのための言葉
http://iwasgame.sakura.ne.jp/archives/49
これによると「メルヴィン・ヴォーソス」というのは今までの「プレイスタイルによる分類」ではなく、「プレイヤーがカードを評価する際の分類」らしい。詳細は上記リンク先の記事を見てもらうとして、簡単に言うと「メルヴィン:ルールやバランス面から評価」で「ヴォーソス:フレイバー面から評価」ということ。
《凍結/Frozen Solid》が例として挙がっていて、これが素晴らしく分かりやすい。なるほど。自分がヴォーソス寄りだということがよく分かった。《凍結/Frozen Solid》のデザインは素晴らしい。
余談8:記事の形式
知り合いから「毎日のCard of the Dayで、訳だけじゃなくて個人的な感想とか見解とかも一言付け加えてみたら? なんか今のままだとちょっと文章がさみしくない?」との言葉をもらった。
たまにそれも考えるけど「訳」には自分を出す必要はないかなと思ってるので、カードに関する私見はこの「週のまとめ」に書いてくことになると思う。
まあ、気が変わることもあるかもしれないけど。
余談9:05月30日の月曜日
アメリカの祝祭日の為、Card of the Dayの更新はお休み。
ちなみに5月30日が休みと決まっているわけではなく、5月の最後の月曜日が「Memorial Day」と決まっているらしい。戦没者を追悼する日。
Card of the Day - 2011/05/31
2011年5月31日 Card of the Day倒れし者の記憶/Remember the Fallen - 新たなるファイレクシア コモンRemember the Fallen / 倒れし者の記憶 (2)(白)
ソーサリー
以下の2つから1つまたは2つを選ぶ。「あなたの墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す」「あなたの墓地にあるアーティファクト・カード1枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す」
参照元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Remember+the+Fallen/
ツイッターの@dailymtgからの引用:
【Kelly】倒れし者(=The Fallen)の記憶はあるかい? 倒れし者、つまり《The Fallen》のことだよ。望むなら《倒れし者の記憶/Remember the Fallen》で《The Fallen》を手札に戻してもいいんだぜ?
元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/0511
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