【翻訳】《動く死体/Animate Dead》のありがたいお言葉/ What Animate Dead Says【Daily MTG】
Monty Ashley
2011年11月8日
元記事:http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/arcana/837
マジックの最初のセットであるアルファ版が初めて世に出たのは1993年のことだ。
その中にはこのカードも含まれていた。
これは《動く死体/Animate Dead》だ。この文面は実際は上手く働かない。なぜなら、これには「Enchant Dead Creature(エンチャント 墓地にあるクリーチャー)」となっているが、これが唱えられて解決された瞬間から、そのクリーチャーはもう「Dead(墓地にある)」ではないからだ。
しかしマジックの黎明期には変な文面を持つカードはいくらでもあった。第3版、つまりリバイスドが出たときには《動く死体/Animate Dead》も上手く版を重ねて改良されていた。
これもそれほど分かりやすいとは言えない。単に中ほどにあった文章を書き直しただけだ。そうそう、ゲーム終了時には元の所有者へ返すことと書かれた但し書きがあることに気づいたかな。これは《嵐のイフリート/Tempest Efreet》のような奇妙な効果との混同を避けるためのものだ。
さて第5版ではまた新たな文面が用意された。
このバージョンの《動く死体/Animate Dead》はすでにオーラではなくなっている。ああ、つまり「エンチャント クリーチャー」ではなくなっているということだ(当時はまだオーラという単語はなかったからね)。この文面も満足いく出来ではなかったと言える。
このあとから段々文章が怪しくなってくる。なぜなら《動く死体/Animate Dead》は実際に印刷されるカードではなくなり、ルールチームは好きに色んな文面を試すことが出来るようになったからだ。以下が2005年の公式ルールテキストだ。
そして次にあるのが2007年に更新されたバージョンだ。「オーラ」が生まれたことにより、テキストボックス内にこのオーラが何をエンチャントするのかを具体的に記す必要が生じ、結果として複雑怪奇な説明が誕生した。
2009年にまたこれは更新された。理由は「in play(場)」という単語が「battlefield(戦場)」という単語に置き換わることになったためだ。
ほいきたー! いやー、こりゃまた、込み入った文面になったね。しかしルールチームはこれなら正常にプレイできると保証してくれた。
それに文面がヘンテコに見えるからってそれが問題になるだろうか? 別にこの《動く死体/Animate Dead》を再版しようなんてわけでもないだろう?
……本当に?
なんだ、もし君が新しい製品である Graveborn のパッケージを注意深く見ていたら分かることだけど、実は私たちは近々この《動く死体/Animate Dead》を実際の紙のカードとして再版するんだ。11月18日が発売日だね。
実際のカードはこんな感じになるはずさ!
素晴らしい!
Monty Ashley
2011年11月8日
元記事:http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/arcana/837
マジックの最初のセットであるアルファ版が初めて世に出たのは1993年のことだ。
その中にはこのカードも含まれていた。
原文:
Enchant Dead Creature
Any creature in either player’s graveyard comes into play on your side with -1 to its original power. If this enchantment is removed, or at end of game, target creature is returned to its owner’s graveyard. Target creature may be killed as normal.
私訳:
エンチャント 墓地にあるクリーチャー
いずれかのプレイヤーの墓地にあるいずれかのクリーチャーは元のパワーから-1された状態であなたの側の場に出る。もしこのエンチャントメントが取り除かれた場合か、もしくはゲーム終了時に、対象のクリーチャーは元の所有者の墓地に戻される。対象のクリーチャーは通常どおり殺すことが出来る。
これは《動く死体/Animate Dead》だ。この文面は実際は上手く働かない。なぜなら、これには「Enchant Dead Creature(エンチャント 墓地にあるクリーチャー)」となっているが、これが唱えられて解決された瞬間から、そのクリーチャーはもう「Dead(墓地にある)」ではないからだ。
しかしマジックの黎明期には変な文面を持つカードはいくらでもあった。第3版、つまりリバイスドが出たときには《動く死体/Animate Dead》も上手く版を重ねて改良されていた。
原文:
Enchant Dead Creature
Any creature in any graveyard comes into play on your side with -1 to its original power. At end of game, or if this enchantment is discarded without removing target creature from play, target creature is returned to its owner’s graveyard. Target creature may be killed as normal.
私訳:
エンチャント 墓地にあるクリーチャー
いずれかの墓地にあるいずれかのクリーチャーは元のパワーから-1された状態であなたの側の場に出る。ゲーム終了時か、対象のクリーチャーがゲームから取り除かれることなくこのエンチャントメントが破棄されたとき、対象のクリーチャーは元の所有者の墓地に戻される。対象のクリーチャーは通常どおり殺すことが出来る。
これもそれほど分かりやすいとは言えない。単に中ほどにあった文章を書き直しただけだ。そうそう、ゲーム終了時には元の所有者へ返すことと書かれた但し書きがあることに気づいたかな。これは《嵐のイフリート/Tempest Efreet》のような奇妙な効果との混同を避けるためのものだ。
さて第5版ではまた新たな文面が用意された。
原文:
Enchantment
When you play Animate Dead, choose target creature card in any graveyard. When Animate Dead comes into play, put that creature into play and Animate Dead becomes a creature enchantment that targets the creature. Enchanted creature gets -1/-0. If Animate Dead leaves play, bury the creature.
日本語訳:
エンチャント (場)
動く死体をプレイするとき、対象の、いずれかの墓地にあるクリーチャー・カード1枚を選ぶ。動く死体が場に出たとき、そのクリーチャーを場に出し、動く死体はそのクリーチャーを対象とするエンチャント(クリーチャー)になる。エンチャントされているクリーチャーは、-1/-0の修正を受ける。動く死体が場を離れた場合、このクリーチャーを埋葬する。
このバージョンの《動く死体/Animate Dead》はすでにオーラではなくなっている。ああ、つまり「エンチャント クリーチャー」ではなくなっているということだ(当時はまだオーラという単語はなかったからね)。この文面も満足いく出来ではなかったと言える。
このあとから段々文章が怪しくなってくる。なぜなら《動く死体/Animate Dead》は実際に印刷されるカードではなくなり、ルールチームは好きに色んな文面を試すことが出来るようになったからだ。以下が2005年の公式ルールテキストだ。
原文:
Enchantment
When Animate Dead comes into play, if it’s in play, it becomes an Aura with enchant creature. Put target creature card from a graveyard into play under your control and attach Animate Dead to it.
Enchanted creature gets -1/-0.
When Animate Dead leaves play, destroy enchanted creature. It can’t be regenerated.
日本語訳:
エンチャント
動く死体が場に出たとき、墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とする。動く死体が場にある場合、動く死体はエンチャント(クリーチャー)を持つオーラになる。そのクリーチャー・カードをあなたのコントロール下で場に出し、動く死体をそれにつける。
エンチャントされているクリーチャーは-1/-0の修整を受ける。
動く死体が場を離れたとき、エンチャントされているクリーチャーを破壊する。それは再生できない。
そして次にあるのが2007年に更新されたバージョンだ。「オーラ」が生まれたことにより、テキストボックス内にこのオーラが何をエンチャントするのかを具体的に記す必要が生じ、結果として複雑怪奇な説明が誕生した。
原文:
Enchantment - Aura
Enchant creature card in a graveyard
When Animate Dead comes into play, if it’s in play, it loses "enchant creature card in a graveyard" and gains "enchant creature put into play with Animate Dead." Return enchanted creature card to play under your control and attach Animate Dead to it. When Animate Dead leaves play, that creature’s controller sacrifices it.
Enchanted creature gets -1/-0.
日本語訳:
エンチャント - オーラ(Aura)
エンチャント(墓地にあるクリーチャー・カード)
動く死体が場に出たとき、それが場に出ている場合、それは「エンチャント(墓地にあるクリーチャー・カード)」を失い、「エンチャント(動く死体により場に出たクリーチャー)」を得る。エンチャントされているクリーチャー・カードをあなたのコントロール下で場に戻し、動く死体をそれにつける。動く死体が場を離れたとき、そのクリーチャーのコントローラーはそれを生け贄に捧げる。
エンチャントされているクリーチャーは-1/-0の修整を受ける。
2009年にまたこれは更新された。理由は「in play(場)」という単語が「battlefield(戦場)」という単語に置き換わることになったためだ。
原文:
Enchantment - Aura
Enchant creature card in a graveyard
When Animate Dead enters the battlefield, if it’s on the battlefield, it loses “enchant creature card in a graveyard” and gains “enchant creature put onto the battlefield with Animate Dead.” Return enchanted creature card to the battlefield under your control and attach Animate Dead to it. When Animate Dead leaves the battlefield, that creature’s controller sacrifices it.
Enchanted creature gets -1/-0.
日本語訳:
エンチャント - オーラ(Aura)
エンチャント(墓地にあるクリーチャー・カード)
動く死体が戦場に出たとき、それが戦場に出ている場合、それは「エンチャント(墓地にあるクリーチャー・カード)」を失い、「エンチャント(動く死体により戦場に出たクリーチャー)」を得る。エンチャントされているクリーチャー・カードをあなたのコントロール下で戦場に戻し、動く死体をそれにつける。動く死体が戦場を離れたとき、そのクリーチャーのコントローラーはそれを生け贄に捧げる。
エンチャントされているクリーチャーは-1/-0の修整を受ける。
ほいきたー! いやー、こりゃまた、込み入った文面になったね。しかしルールチームはこれなら正常にプレイできると保証してくれた。
それに文面がヘンテコに見えるからってそれが問題になるだろうか? 別にこの《動く死体/Animate Dead》を再版しようなんてわけでもないだろう?
……本当に?
なんだ、もし君が新しい製品である Graveborn のパッケージを注意深く見ていたら分かることだけど、実は私たちは近々この《動く死体/Animate Dead》を実際の紙のカードとして再版するんだ。11月18日が発売日だね。
実際のカードはこんな感じになるはずさ!
原文ではここにGraveborn版カード画像が表示されてる。文章欄がすごいことに…
http://media.wizards.com/images/magic/daily/arcana/837_animatedeadwording.jpg
素晴らしい!
今週のCard of the Day (2011年11月 第2週) とか
2011年11月13日 週のまとめ コメント (2) はじめに。
mrgreedさんのツイッターのつぶやきで面白い公式記事へのリンクが張られていた。訳してみた。確かに《動く死体/Animate Dead》のカードテキストの変遷はリアルタイムで付き合ってた身としても実に面白かった。
《動く死体/Animate Dead》のありがたいお言葉/ What Animate Dead Says
http://regiant.diarynote.jp/201111130229308843/
しかし、過去バージョン当時のままの日本語テキストを探すのはとんでもなく骨が折れる作業で困る。今後も必要になるかもしれないので、効率よく探せる方法知ってる人がいたらぜひ教えてください。
余談1:今週のCard of the Dayのテーマ
今週のテーマは、コメントで情報提供いただいたようにシェイクスピアの戯曲のタイトルに関係しているものらしい。カード名の一部がシェイクスピア作品と同じ(もしくは作品名の一部)のカードたちと考えると、対応作品は以下と推測される。
カード名 対応すると思われる戯曲名
《嵐のイフリート/Tempest Efreet》 :テンペスト(The Tempest)
《悪意の度量/Measure of Wickedness》 :尺には尺を(Measure for Measure)
《小村の隊長/Hamlet Captain》 :ハムレット(Hamlet)
《真夏のお祭り騒ぎ/Midsummer Revel》 :夏の夜の夢(A Midsummer Night’s Dream)
《Shrewd Hatchling / 明敏な雛》 :じゃじゃ馬ならし(Taming of the Shrew)
※ 戯曲名の邦題と原題についてはWikipediaのシェイクスピアの項目から引用。
引用元:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%94%E3%82%A2
余談2:月曜日 《嵐のイフリート/Tempest Efreet》
過去にも何度か語っていることかもしれないけど、マジックを始めたのは第4版の頃から(日本語版が出る前)。当然、この《嵐のイフリート/Tempest Efreet》も引いたことがある。マジックを始めたての頃には拷問のようなカードテキストだった。
ちなみにあの頃はまだ「フェイクアンティ」と呼ばれるプレイ形式が一般的で、ゲーム開始時に山札の1番上のカードを「実際は所有権の移動しない賭け札」としてゲームからリムーブしていた。そういう意味では「アンティを賭けてプレイしない場合」でもないんだけど、そんなフェイクアンティというルールではこのカードの出番はなかった。
覚えている限りでは、確か何度か「リアルアンティ」(本当に所有権が移動する)も遊んだことある。そのときこのカードを使ったような気もする。結果は覚えていない。どちらにしても「リアルアンティ」ということになると互いのデッキのレアリティがガクンと下がり、非常にぬるい対戦になってしまうのであまり遊ばれなかった。
余談3:火曜日 《悪意の度量/Measure of Wickedness》
このカードを見ると当然のように思い出すのは、なんと言っても「スターライト・マナバーン」。これは「デュエルファイター刃」と双璧をなすマジック漫画であり、一部に熱狂的なファンを持つことで有名(かもしれない)。
主人公の属するマジック部が、ライバルの部活やいじめっ子や海底帝国からの侵略者とデュエルで決着をつけたりつけなかったりする、そんな漫画。一部に熱狂的なファンを持つことで有名(大事なことなので以下略)。
この作品に出てくるマジックがとても強いアボシャン先輩の使っていたデッキが《悪意の度量/Measure of Wickedness》デッキだった。それが使われたデュエルでの《悪意の度量/Measure of Wickedness》の押し付け合いがとっても面白かった。
余談。この漫画の青島先輩とは絶対に対戦したくないと心底思う。ってか腕折るなよ。
余談4:水曜日 《小村の隊長/Hamlet Captain》
別段訳に困ったわけでもない。ただ、訳したあと、あまりのストレートな内容に「あれ? 何か間違えてる?」と逆に不安になった。なんというか、本当にカードをそのまま紹介しているだけのような記事だったので。
単にシェイクスピアといえばやっぱりハムレットでしょう、というだけの理由で選ばれてしまい、あまり語ることが無かった、という裏の事情があるのであればそれも納得。本当にそうかどうかは知らない。
余談5:木曜日 《真夏のお祭り騒ぎ/Midsummer Revel》
自分で訳しておいてなんだけど、本当にこのサイクルは歌を題材にしているんだろうか。音楽や歌につられて効果が高まっていく、というフレイバー自体は好きだけど「名前+効果+イラスト」がそれに応えきれていないようなイメージ。
以下、全然関係ない話。
これを訳すために色々な「歌」という単語の訳などを調べている過程で、つい脇道にそれてWikipediaを放浪してしまった。その最中に「演奏時間の長い曲」という項目で発見したネタ。
いや、ちょっと何を言っているのか分かりませんね。
余談6:金曜日 《Shrewd Hatchling / 明敏な雛》
この記事にある「カードの雰囲気はシャドウムーアのメカニズムを自然と進化させたもののように感じられたため」という部分について、補足してみる。
なぜシャドウムーアのメカニズムを進化させたような内容だから次のセットに使うことにしたか、というと、あるブロック内で新たに登場したメカニズムは、そのブロックの後続のセットになるほどテクニカルな(進化した)使われ方をすることが多いため。
基本と応用、みたいな関係。
例えば初めてフラッシュバックが登場したオデッセイでのフラッシュバックコストは普通のマナのみだったが、後続のセットであるトーメントやジャッジメントではマナ以外のフラッシュバックコスト(ライフや生け贄)が存在している。
余談7:主にリミテッドの観点から見た「陰鬱/Morbid」開発秘話/Morbid Thoughts
イニストラードであらたに登場した「陰鬱/Morbid」の話。ドラフトが遊ばれ始めた頃の「お互いにブロックしない戦闘が発生しやすくなる」について開発中にすでに気づかれていたことなどが書いてある。
ところで訳の中で、ツイッターのアカウントとEメールの送り先に関する註に「一部修正あり」と書いた理由を説明しようと思う。まあ、大した修正でもないんだけど。
これ、実際の文中から張られているリンクでは、末尾に「&headline=The%20Modern%20Future」とついている。これがあることで、自動的にメール送信フォームに今回の記事の題名が入る仕組み。
そしてよく見ると分かるんだけど、ここに書かれている記事の題名が「Modern Future」となっている。そう、先週のコラムのタイトル。実は今回のコラム、最初にアップされたときタイトルが先週のままだった(Daily MTGのトップページの見出しも)。
訳している最中に「タイトルどうしよう。日本語訳は内容に即して『陰鬱/Morbid について』にしとこうかな」とか考えてたら、公式サイト側の修正が完了していて一安心……と思いきや、Eメール送り先のリンクについては今もそのままだったり。
余談が長くなったけど、今回の怪しい訳について。
原文の「Sup」は「What’s up」の口語的記述らしい。「Don’t know」を「Dunno」って書くみたいなもの。次の「Howdy」は「How are you doing」とほぼ同じ意味のはず。あと見て分かるとおり、原文には「よし」に当たる言葉はない。ワンテンポ置いたほうが分かりやすいかな、と。
単に訳すのに苦労したという箇所。間違ってはいないだろうけど、上手く伝わっているかどうかはまた別問題。「full of resonant tropes that viscerally conveyed the look and feel」と来られて、英和辞典を引きまくりだった。
怪しいというか意訳というか、ばっさり略した。原文にある「State of the Union address」というのは日本語で「一般教書演説」と呼ばれるもので、大統領が両院議員全員へ向けて行う特別な演説を指す言葉らしい。
日本でどれだけ一般的な言葉なのか分からなかったので、分かりやすさ優先で意訳。
今回の記事に多かった「筆者特有の呼び方や言葉」。ここ以外にも「政策分析(Policy Analyst)」や「人は報酬を求めて行動する(people respond to incentives)」のように原文併記を使ったり、場所によっては使わなかったりしてみた。
ここの「無色透明なルールテキスト(Invisible Text)」では併記してみたけど、「『殺戮』的なメカニズム」は訳のみ。これは原文では「the "carnage" mechanic」となっている。他に併記しなかった場所と言うと……
いや、なんだろう、ほら……これは無理だって。
mrgreedさんのツイッターのつぶやきで面白い公式記事へのリンクが張られていた。訳してみた。確かに《動く死体/Animate Dead》のカードテキストの変遷はリアルタイムで付き合ってた身としても実に面白かった。
《動く死体/Animate Dead》のありがたいお言葉/ What Animate Dead Says
http://regiant.diarynote.jp/201111130229308843/
しかし、過去バージョン当時のままの日本語テキストを探すのはとんでもなく骨が折れる作業で困る。今後も必要になるかもしれないので、効率よく探せる方法知ってる人がいたらぜひ教えてください。
余談1:今週のCard of the Dayのテーマ
今週のテーマは、コメントで情報提供いただいたようにシェイクスピアの戯曲のタイトルに関係しているものらしい。カード名の一部がシェイクスピア作品と同じ(もしくは作品名の一部)のカードたちと考えると、対応作品は以下と推測される。
カード名 対応すると思われる戯曲名
《嵐のイフリート/Tempest Efreet》 :テンペスト(The Tempest)
《悪意の度量/Measure of Wickedness》 :尺には尺を(Measure for Measure)
《小村の隊長/Hamlet Captain》 :ハムレット(Hamlet)
《真夏のお祭り騒ぎ/Midsummer Revel》 :夏の夜の夢(A Midsummer Night’s Dream)
《Shrewd Hatchling / 明敏な雛》 :じゃじゃ馬ならし(Taming of the Shrew)
※ 戯曲名の邦題と原題についてはWikipediaのシェイクスピアの項目から引用。
引用元:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%94%E3%82%A2
余談2:月曜日 《嵐のイフリート/Tempest Efreet》
過去にも何度か語っていることかもしれないけど、マジックを始めたのは第4版の頃から(日本語版が出る前)。当然、この《嵐のイフリート/Tempest Efreet》も引いたことがある。マジックを始めたての頃には拷問のようなカードテキストだった。
ちなみにあの頃はまだ「フェイクアンティ」と呼ばれるプレイ形式が一般的で、ゲーム開始時に山札の1番上のカードを「実際は所有権の移動しない賭け札」としてゲームからリムーブしていた。そういう意味では「アンティを賭けてプレイしない場合」でもないんだけど、そんなフェイクアンティというルールではこのカードの出番はなかった。
覚えている限りでは、確か何度か「リアルアンティ」(本当に所有権が移動する)も遊んだことある。そのときこのカードを使ったような気もする。結果は覚えていない。どちらにしても「リアルアンティ」ということになると互いのデッキのレアリティがガクンと下がり、非常にぬるい対戦になってしまうのであまり遊ばれなかった。
余談3:火曜日 《悪意の度量/Measure of Wickedness》
このカードを見ると当然のように思い出すのは、なんと言っても「スターライト・マナバーン」。これは「デュエルファイター刃」と双璧をなすマジック漫画であり、一部に熱狂的なファンを持つことで有名(かもしれない)。
主人公の属するマジック部が、ライバルの部活やいじめっ子や海底帝国からの侵略者とデュエルで決着をつけたりつけなかったりする、そんな漫画。一部に熱狂的なファンを持つことで有名(大事なことなので以下略)。
この作品に出てくるマジックがとても強いアボシャン先輩の使っていたデッキが《悪意の度量/Measure of Wickedness》デッキだった。それが使われたデュエルでの《悪意の度量/Measure of Wickedness》の押し付け合いがとっても面白かった。
余談。この漫画の青島先輩とは絶対に対戦したくないと心底思う。ってか腕折るなよ。
余談4:水曜日 《小村の隊長/Hamlet Captain》
別段訳に困ったわけでもない。ただ、訳したあと、あまりのストレートな内容に「あれ? 何か間違えてる?」と逆に不安になった。なんというか、本当にカードをそのまま紹介しているだけのような記事だったので。
単にシェイクスピアといえばやっぱりハムレットでしょう、というだけの理由で選ばれてしまい、あまり語ることが無かった、という裏の事情があるのであればそれも納得。本当にそうかどうかは知らない。
余談5:木曜日 《真夏のお祭り騒ぎ/Midsummer Revel》
自分で訳しておいてなんだけど、本当にこのサイクルは歌を題材にしているんだろうか。音楽や歌につられて効果が高まっていく、というフレイバー自体は好きだけど「名前+効果+イラスト」がそれに応えきれていないようなイメージ。
以下、全然関係ない話。
これを訳すために色々な「歌」という単語の訳などを調べている過程で、つい脇道にそれてWikipediaを放浪してしまった。その最中に「演奏時間の長い曲」という項目で発見したネタ。
小杉武久:「革命のための音楽」 - 指定どおりに演奏すれば5年と少しかかる。しかし演奏者自身の眼を摘出しなければならないため、未だに演奏されたことはない。
引用元:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%94%E5%A5%8F%E6%99%82%E9%96%93%E3%81%AE%E9%95%B7%E3%81%84%E6%9B%B2
いや、ちょっと何を言っているのか分かりませんね。
余談6:金曜日 《Shrewd Hatchling / 明敏な雛》
この記事にある「カードの雰囲気はシャドウムーアのメカニズムを自然と進化させたもののように感じられたため」という部分について、補足してみる。
なぜシャドウムーアのメカニズムを進化させたような内容だから次のセットに使うことにしたか、というと、あるブロック内で新たに登場したメカニズムは、そのブロックの後続のセットになるほどテクニカルな(進化した)使われ方をすることが多いため。
基本と応用、みたいな関係。
例えば初めてフラッシュバックが登場したオデッセイでのフラッシュバックコストは普通のマナのみだったが、後続のセットであるトーメントやジャッジメントではマナ以外のフラッシュバックコスト(ライフや生け贄)が存在している。
余談7:主にリミテッドの観点から見た「陰鬱/Morbid」開発秘話/Morbid Thoughts
イニストラードであらたに登場した「陰鬱/Morbid」の話。ドラフトが遊ばれ始めた頃の「お互いにブロックしない戦闘が発生しやすくなる」について開発中にすでに気づかれていたことなどが書いてある。
ところで訳の中で、ツイッターのアカウントとEメールの送り先に関する註に「一部修正あり」と書いた理由を説明しようと思う。まあ、大した修正でもないんだけど。
これ、実際の文中から張られているリンクでは、末尾に「&headline=The%20Modern%20Future」とついている。これがあることで、自動的にメール送信フォームに今回の記事の題名が入る仕組み。
そしてよく見ると分かるんだけど、ここに書かれている記事の題名が「Modern Future」となっている。そう、先週のコラムのタイトル。実は今回のコラム、最初にアップされたときタイトルが先週のままだった(Daily MTGのトップページの見出しも)。
訳している最中に「タイトルどうしよう。日本語訳は内容に即して『陰鬱/Morbid について』にしとこうかな」とか考えてたら、公式サイト側の修正が完了していて一安心……と思いきや、Eメール送り先のリンクについては今もそのままだったり。
余談が長くなったけど、今回の怪しい訳について。
原文:
Sup.
Howdy.
Well hello there.
拙訳:
よお。
最近どう?
ご機嫌いかが?
よし。
原文の「Sup」は「What’s up」の口語的記述らしい。「Don’t know」を「Dunno」って書くみたいなもの。次の「Howdy」は「How are you doing」とほぼ同じ意味のはず。あと見て分かるとおり、原文には「よし」に当たる言葉はない。ワンテンポ置いたほうが分かりやすいかな、と。
原文:
We knew we had a horror set on our hands, we knew we wanted to pack it full of resonant tropes that viscerally conveyed the look and feel of the world.
拙訳:
次のセットがホラーをテーマにすることは分かっていた。その世界の風景と肌触りを直観的に伝えてくれる豊かなあれやこれやが必要になることもまた分かっていた。
単に訳すのに苦労したという箇所。間違ってはいないだろうけど、上手く伝わっているかどうかはまた別問題。「full of resonant tropes that viscerally conveyed the look and feel」と来られて、英和辞典を引きまくりだった。
原文:
That’s sort of like saying the President’s job is to deliver the State of the Union address.
拙訳:
それは例えばアメリカ大統領の仕事が議会で演説するだけだと思っているようなもんだ。
怪しいというか意訳というか、ばっさり略した。原文にある「State of the Union address」というのは日本語で「一般教書演説」と呼ばれるもので、大統領が両院議員全員へ向けて行う特別な演説を指す言葉らしい。
日本でどれだけ一般的な言葉なのか分からなかったので、分かりやすさ優先で意訳。
原文:
One of my least favorite things in any game is a phenomenon I call "invisible text."
拙訳:
ところで俺がどのようなゲームにおいても絶対に好きになれない現象がある。それを俺は「無色透明なルールテキスト(Invisible Text)」と呼んでる。
今回の記事に多かった「筆者特有の呼び方や言葉」。ここ以外にも「政策分析(Policy Analyst)」や「人は報酬を求めて行動する(people respond to incentives)」のように原文併記を使ったり、場所によっては使わなかったりしてみた。
ここの「無色透明なルールテキスト(Invisible Text)」では併記してみたけど、「『殺戮』的なメカニズム」は訳のみ。これは原文では「the "carnage" mechanic」となっている。他に併記しなかった場所と言うと……
原文:
More importantly, he’s probably the only human-computer-beagle-dragon in existence.
拙訳:
もっとも重要な点として、おそらく彼は世界で唯一の「コンピュータの頭脳をもった狩猟犬的ドラゴン(なお見た目は人間)」だ。
いや、なんだろう、ほら……これは無理だって。