アヴァシンの仮面/Mask of Avacyn - イニストラード アンコモン
Mask of Avacyn / アヴァシンの仮面 (2)
アーティファクト - 装備品(Equipment)
装備しているクリーチャーは+1/+2の修整を受けるとともに呪禁を持つ。(それはあなたの対戦相手がコントロールする呪文や能力の対象にならない。)
装備(3)
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Mask+of+Avacyn/

 《アヴァシンの仮面/Mask of Avacyn》は、あなたが「アヴァシン(註1)のような外見になりたい」ときに身につけるものではない。これは、あなたが「アヴァシンである」ときに身につけるものであり、また戦闘の中で自身の顔を守りたいときに身につけるものなのだ。

(註1) アヴァシン
 アヴァシンはイニストラードにいる(いた?)大天使であり、イニストラード最大の宗教であるアヴァシン教会の信仰対象でもある。ここ最近は姿を現さなくなって、みんな不安がってるらしい。

 プレインズウォーカーのためのイニストラード案内 序説
 http://mtg-jp.com/reading/translated/stf/001990/

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/1111
罠探しの計略/Trapfinder’s Trick - ゼンディカー コモン
Trapfinder’s Trick / 罠探しの計略 (1)(青)
ソーサリー
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは自分の手札を公開し、すべての罠(Trap)カードを捨てる。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Trapfinder%27s+Trick/

 ゼンディカーで「罠/Trap」というサブタイプが存在できたのは《罠探しの計略/Trapfinder’s Trick》と《罠師の引き込み/Trapmaker’s Snare》があるからこそだ。サブタイプを用意しておいてそれを使わないなんてことが出来るわけがない!
 最近で言えば《苦心の魔女/Bitterheart Witch》と《魔女封じの宝珠/Witchbane Orb》がいい例だ。

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/1111
断崖の避難所/Clifftop Retreat - イニストラード レア
Clifftop Retreat / 断崖の避難所
土地
断崖の避難所は、あなたが山(Mountain)か平地(Plains)をコントロールしていない限り、タップ状態で戦場に出る。
(T):あなたのマナ・プールに(赤)か(白)を加える。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Clifftop+Retreat/

 《断崖の避難所/Clifftop Retreat》の名前にある「Retreat」は「撤退する、退却する」という意味もあるが、ここでは「避難所、へき地、隠遁する場所」という意味で使われている。
 断崖のてっぺんにある建物が見えるかな?
 そこには僧侶たちが住んでいるんだよ!

(余談)
 公式サイトのコラムに《断崖の避難所/Clifftop Retreat》から届いた絵葉書が紹介されており、ここがどのような場所かの説明が書かれている。

  Postcards from Innistrad: The Nonbasics
  http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/stf/161

  イニストラードからの絵葉書 基本でない土地編
  http://mtg-jp.com/reading/translated/stf/002193/

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/1111
Fat Ass - アンヒンジド コモン
Fat Ass (4)(緑)
クリーチャー - ロバ(Donkey) シャーマン(Shaman)
Fat Assは、あなたが何かを食べているかぎり+2/+2の修整を受けるとともにトランプルを持つ。(食べ物が口の中にあって、噛んでいるか、嘗めているか、しゃぶっているか、飲み込んでいる状態。)
2/3+(1/2)
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Fat+Ass/

 プレイテストの最中、このカードのために重要な会議が行われた(会議の場という形をとらなければ、単なる言い争いにしか見えなかっただろう)。そこで上がった議題とは……「ガムは食べ物か否か?」だ。(註1)

(註1) ガムって食べ物?
 原文では以下のURLへリンクが張られている。これを見ると、開発部がどれだけ「馬鹿なことに真剣になれる」集団なのかが一目で分かる。面白いから週のまとめでちょっと訳すかも。

 http://www.wizards.com/magic/images/mtgcom/fcpics/features/mr147_gum.jpg

(余談1)
 なお、FAQによると「ガムは食べ物ではない」らしい。

 アンヒンジドFAQ
 http://www.wizards.com/magic/tcg/article.aspx?x=magic/faq/unhinged

 アンヒンジドFAQ 日本語訳(ナモナモ)
 http://mjmj.info/data/obsolete/faq_unh_j.html

(余談2)
 元記事だとレアリティの表記がレアになっているけど本当はコモンのはず。

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/1111
【翻訳】モダンというフォーマットとその未来について/The Modern Future【DailyMTG】
Tom LaPille
2011年11月04日
元記事:http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/ld/167

 モダン週間も今日で終わりだ。今週は私にとって非常に親しみ深いテーマだった。モダンというフォーマットを実現するべく動いた中心の1人だからというだけではなく、テーマ週間にとりあげるというアイデアを売りこんだ張本人だからだ。

 私は過去にモダンに関する記事を2回書いている。1つ目(註)はマジックオンラインのコミュニティカップにこのフォーマットを用いる件について紹介したときの記事、2つ目(註)はその結果とプロツアーフィラデルフィア(註)のフォーマットがモダンに変更になったことを報告させてもらったときの記事だ。

 その後、プロツアーフィラデルフィアが開催され、いくつかのカードが禁止リストに加えられた。今日の記事はこのモダン・シリーズの3つ目の記事となる。
(註) 1つ目の記事
 原文では以下のURLへリンクが張られている。
 http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/ld/144

(註) 2つ目の記事
 原文では以下のURLへリンクが張られている。1つ目の記事と同じなのでリンクミスかも
 http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/ld/144

 おそらくこっちが正解。内容は大会の結果に即しての禁止リストの更新、および記事にあるとおりプロツアーフィラデルフィアのフォーマットがモダンに変更になった件。
 http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/ld/155

(註) プロツアーフィラデルフィア
 原文では以下のURLへリンクが張られている。プロツアーフィラデルフィアのカバレージ
 http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/eventcoverage/ptphi11/welcome


 プロツアーフィラデルフィアのフォーマットにはモダンが採用された。私たちの正直な感想としては、フォーマットはかなりぶっ壊れていた。4ターン目が迎えられるようなフォーマットになることを期待していたのだが、実際はそうはならなかった。

 大量のコンボデッキが安定した3ターンキルをもたらし、コントロールデッキらしきものは全て《雲上の座/Cloudpost》によるビッグマナに追いやられ、これら両方のデッキに対抗できた数少ない攻撃的なデッキは、大量の妨害呪文が入っているものか、もしくはコンボデッキと同じかそれ以上の速度で相手を倒せるクロックを持ったものかだった。

 これは私たちの望んでいた姿ではなかったが、それから数週間というもの、プレイヤーたちはモダンに対する興味を増していったようだった。

 シアトル周辺のショップはモダンの大会をみずから開き、プレイヤーに常にない興味を抱かせる結果となった。またマジックオンラインでもモダンの大会が次々と開かれた。

 多くのプレイヤーはプロツアーで活躍したデッキをコピーし、一部のプレイヤーはオリジナルのデッキを生み出す作業に入った。これらのイベントはそれなりに成功を収めており、その事実は私たちを勇気づけた。

 しかし私たちはプロツアー時点でのフォーマットの状態を好ましいとは思っていなかった。前述した通り、それはあまりに速すぎる上に多様性に乏しかった。

 そのため私たちは禁止カードを増やした。

 それによって何がどう変わったか、変更後のデータはそれほど集まっていない。その理由は禁止カードが発表されて以降、このフォーマットに対するプレイヤーたちの興味が以前よりも薄れてしまったようだからだ。一部のプレイヤーは「モダンは死んだ」「もう何をしても手遅れだ」とまで言っている。

 なぜだろう?

 私はそういった「フォーマットが誤った方向へねじまげられた」ことに対する苦情をTwitterやEメールを通じて受け取っている。

 確かに私も不満に感じる気持ちは分からないでもない。しかし私自身この変更に関する議論と決定に加わっていた身として、この変更によって環境が必ずや改善されると信じている。

 それを証明できるのは時間だけだろう。

 この現象を説明づけるとすれば、単純に環境があまりに大きく変えられてしまったためだろう。一部のプレイヤーは確かに暗闇を手探りで進むかのように新たなフォーマットを模索することに楽しみを感じているが、大多数のプレイヤーはそうではなく、ある程度の指針を欲しがる。

 これがプロツアー予選のシーズンが来る前にプロツアーを開催する理由の1つであり、新たなフォーマットでまずグランプリを開催する理由の1つであり、また新セットのリリースのあとすぐに規模の大きいスタンダードの大会を開催する理由の1つでもある。

 プレイヤーはデッキリストを欲している。用意されたデッキリストをコピーしてすぐにプレイしたいプレイヤーたちがいるのだ。またどんなデッキをメタればいいのかを知りたいプレイヤーたちもいる。

 そこにある程度の前提があればこそ対応策や措置を講じることもできるわけだが、私たちがプロツアーのトップ8のうち7つのデッキを禁じてしまったことで、その前提が取り払われてしまった。現状では確かにこのフォーマットに対する動きが停滞してしまっても仕方がないと言える。

 この先を心配する人たちの気持ちも分かるが、モダンの未来を憂慮するには及ばないと言い切れるだけの材料もまたたくさん用意されている。以下がその理由だ。

理由その1:世界選手権がデッキリストをもたらしてくれる

 今月下旬に開催される今年のマジック世界選手権では、世界中のトッププレイヤーが最終目のトップ8へと勝ち進むためにモダンの構築デッキを3日目に披露してくれる。

 国別代表チームの3人のうちの1人もまたモダンのフォーマットでプレイすることになる。これによって大量のデッキリストが提供されることになり、このフォーマットに新たな幕開けをもたらすだろう。

 もし君が、使ってみて楽しいデッキのリストが用意されるのを待っていたのであれば、もしくは読みこむべき環境のメタが固まるのを待っていたのであれば、あと2週間ほどの辛抱だ。

 私たちは禁止リストがこれ以上更新されないことを願っているが、世界選手権後もまたフォーマットに多少の変更が加わる可能性は否定できない。何かが壊れているなら、それを直すのが私たちの仕事だ。モダンが長く続くためには、それに対する変更もまた必要経費だ。

 世界選手権の直後はまだ、プレミアイベントに属するような大会でモダン環境を経験したプレイヤーといえば、世界選手権に参加したプレイヤーかプロツアーフィラデルフィアに参加したプレイヤーに限られるだろう。

 しかし来年になればその範囲はグンと広がるはずだ。そうやって環境が広がってしまう前にフォーマットを「正しておくこと」は非常に重要なことだと私たちは考えている。

 いきなり先に進み過ぎた。ちょっと話を戻そう。

理由その2:私たちは来年からモダンを高いレベルでサポートしていく

 さっき私が、新しいフォーマットのデッキリストの種を撒いておくためにプロツアー予選のためにプロツアーを開催する、と言ったことを覚えているだろうか。今回もそれは変わらない。

 つい最近、私たちは2012年シーズンの最初のプロツアー予選がモダンでとりおこなわれると宣言したばかりだ。規模の大きいオンラインでないオープンな公認大会でモダンをプレイしたいのなら、来年の初めにさっそくその機会が待っているということだ。これらの予選を勝ち抜けば、来年開催される2つ目のプロツアーへの参加権が得られる。

 参加資格を問わないオープンな大会で、かつもっと賞金の高い大会に出たいと望んでいる君のために、私たちは2つのモダンフォーマットのグランプリを開催することにしている。

 1つはネブラスカ州リンカーンで2月に開催される。もう1つはイタリアはトリノで3月末に開催される。来年の残りのスケジュールについてはまだ発表されていないが、よほどのことがない限りはこれら以外にもモダンのフォーマットを用いたグランプリがさらに用意されることになると信じてくれていい。

理由その3:フォーマットが熟すのには時間がかかる

 モダンが死にかけているんじゃないかと心配している君のために、レガシーが生まれたときのことを話そう。

 レガシーというフォーマットは2004年に発表された。出来る限りたくさんのカードが利用可能で、かつローテーションのないフォーマットを生み出すために私たちはヴィンテージの制限カードをレガシーの禁止リストとして統合した。

 フォーマットの発表は華々しく行われたが、当初は不平不満しか聞かれなかった。

 プレイヤーたちはこのフォーマットをプレイできる場所を見つけられず、どのようなデッキが候補に上がるのかも分からず、プレイする前にカードを集める気にもならなかった。そのようなわけで大してプレイされることもなかった。

 初めてレガシーを採用したプレミアイベントは2005年11月に開催されたグランプリフィラデルフィアだった。フォーマットが発表されてから丸1年が経過していた。参加人数は約500人。初めて大規模な大会が開催されたフォーマットとしては悪くない人数だった。

 1ヶ月後、フランスのリールでまたレガシーを採用したグランプリが開催された。これにはグランプリフィラデルフィアのほぼ倍のプレイヤーが集まった。しかし次のレガシーの登場するグランプリは、2006年には無く、2007年のグランプリコロンバスを待たなくてはならなかった。

 それからまたレガシーのグランプリのない年を1年はさみ、2009年のシカゴグランプリのあと、2010年と2011年のそれぞれに2回ずつ開催されている。

 そうやって時が過ぎる中でいくつかのレガシーグランプリは稀に見る大盛況なイベントとなった。特に2010年のグランプリマドリードは、2,227人という史上最大規模のマジックの大会だった。

 ここまで説明した中には重要な大会が欠けている。そう、StarCityGames.comオープンシリーズだ。この大会はレガシーの成功に多大なる貢献をしている。

 この大会は2009年に始まり、それ以来途切れることなく続いている。この大会は、新たなデッキリストと高額の賞金が出るレガシーの大会の両方をプレイヤーに提供している。

 StarCityが週末に定期的なレガシーの大会を開くという決断を下すまで、レガシーは本当の意味では始まっていなかったのではないかと私は考えている。

 グランプリは確かに人気のある大会だ。しかしフォーマットが真に受け入れられたかどうかは世界中にある一般のショップがそのフォーマットで定期的な大会を開いてくれるようになったときであり、またそれらが広く認知されるようになったときだ。

 レガシーは今でこそ幅広い人気を集めているフォーマットだが、今の時点まで育つのに7年の歳月を要している。

 モダンはまだ生まれて数ヶ月であり、ショップが自らの手でイベントを開くようになってから1ヵ月やそこらしか経っていない。モダンとレガシーを今この瞬間に比べるのはあきらかに不公平というものだ。

 モダンにとっての良いニュースとしては、大規模な大会を開く、というサポートがレガシーよりもずっと早く与えられるということがあげられる。

 前述したとおり、最初のプロツアー予選にはモダンが採用されており、これによってたくさんのデッキリストとそれを用いるための機会が多くのプレイヤーに提供されるだろう。

 私たちはこれによってフォーマットが正しい方向へと進むのではないかと期待している。

私たちはモダンを楽しく息の長いフォーマットにしたい

 リアルタイム戦略ゲームやFPSのようなオンラインのデジタルゲームは、発売後も要所要所で調整が加えられることがある。単なる歩兵が強すぎたり、レールガンのダメージが高すぎたりしたときだ。

 これらはパッチで修正可能だ。平均的なプレイヤーは変更に気づかないかもしれないレベルの修正かもしれない。しかし熟練したプレイヤーはこれによって不均衡が是正されることを歓迎するだろう。

 マジックはアナログなゲームだ。そのため、デザインは慎重になされる必要がある。一度作ってしまった以上はもう何もできないのだ。

《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》が出来ることを後から変えることは出来ない。《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》はそのままであり続ける。何しろ私たちは物理的なカードを大量に印刷し終えたあとに、環境へばらまかれたそれら全てを回収してマナコストを修整したりはできないのだ。

 もちろん私たちはフォーマットに手を加えることはいつでもできるが、そうすることには当然強い抵抗感がある。よって私たちは気軽に変更を加えることは決してない。

 ここで述べたいことは、要するに私たちはモダンに末長く楽しまれて欲しいと思っている、ということだ。そう思ってないとすれば私たちはここまで心を砕いたりはしない。

 モダンには、大きく育つために必要なだけの時間とサポートが今後も提供される。

 そのサポートとは、高レベルな大会を開催していくことや、また皆がプレイしたいと思ってくれるようなフォーマットを作り上げることで成される。

 私たちは長い時間をかけてレガシーを管理してきた。その時間の中で私たちはプレイヤーが何を求めているのかを学び、その経験を活かすことでフォーマットを成長させてきた。モダンも同じように成長していくだろうと私は考えている。

 これからしばらくの間もプレイヤーたちはモダンについて不満に思うことがあるかもしれない。しかしこのフォーマットはマジックの他の分野に比べれば、まだ生まれたばかりの赤ん坊に過ぎないのだ。

 私たちは決してこのフォーマットを皮肉や当てつけのために生み出したわけではなく、このフォーマットが成熟するためのサポートを惜しむつもりもない。モダンが成長していく道のりを君たちが共に歩んでくれるのであれば幸いだ。
今週のCard of the Day (2011年11月 第1週) とか
 右の画像は、金曜日の Card of the Day からリンクの張られていた「ガムは食べ物か?」という議題でR&Dが行った会議のホワイトボードに書かれていた文字を訳してみたもの。

 ネタなのか本気なのか分からないあたりが恐ろしい。

 日本語の書かれていない元画像は以下のリンク先を参照のこと。
 http://www.wizards.com/magic/images/mtgcom/fcpics/features/mr147_gum.jpg

余談1:今週のCard of the Dayのテーマ

 コメント欄で情報提供があったように、おそらくハロウィンが隠されたテーマだったのではないか、という話。確かに月曜から順に「仮装」「マスク」「トリック」「トリート」「お菓子」なのでそれっぽい気がする。

 ただこういう「一見分からないだろうけど実はこうだったんだよ」というネタに関しては、多くの場合、金曜日にネタばれと解説を行ってくれるものなんだけど……。真相は闇の中か。誰か開発部に聞いてみる気ない?

余談2:月曜日 《騙り者、逆嶋/Sakashima the Impostor》

 元記事からリンクの張られていた背景ストーリー「仮面の陰の顔/The Face Behind the Mask」を読んだ。逆嶋って、怖いな。特に幼少期の握り飯の話が怖い。無邪気に描かれているだけに怖い。

 なおリンク先の短編は日本語訳もちゃんと用意されているので英語が苦手な人も安心。かくいう自分も日本語版を読んでいる。訳者名が書いていないのが気になる。奥ゆかしいな。

余談3:火曜日 《アヴァシンの仮面/Mask of Avacyn》

 この記事に書かれているとおりの勘違いをしていたので興味深い内容だった……とか言いつつ、実はちょっと訳に自信がない。
原文:
 It’s something you’d wear if you were Avacyn and wanted to keep your face safe while you flew into battle.

拙訳:
 これは、あなたが「アヴァシンである」ときに身につけるものであり、また戦闘の中で自身の顔を守りたいときに身につけるものなのだ。

 原文にある「Avacyn」をまさに「大天使であるアヴァシンその人」として訳したけれど「アヴァシンその人しか身につけない仮面」っておかしいような気もした。もしそうだったらどう考えても「伝説の」装備品だよなあ。

 もしかしてこの「Avacyn」は「アヴァシン教徒」を指すのかもしれない、とも考えたけど、それらしき描写も背景世界情報も見つけられなかったので、あきらめて素直にそのまま訳してみた。

余談4:水曜日 《罠探しの計略/Trapfinder’s Trick》

 新しいカード・サブタイプを出す以上、それに関連したカードも当然作るよ、という話。ここでは「罠/Trap」カードに関連したカードとして、これと対になる《罠師の引き込み/Trapmaker’s Snare》も紹介されている。

 ただ《罠師の引き込み/Trapmaker’s Snare》は自分で組んだデッキから罠カードを探すわけだから使い道もあるけど、《罠探しの計略/Trapfinder’s Trick》は罠を使ってくれているかどうかも分からない対戦相手にしか使えず、しかもソーサリー。

 いくらなんでも弱すぎる気がした。もうひと押し、何かおまけがつけられなかったんだろうか。場に伏せられたトラップカードも墓地に送れるとか(ゲームが違うぞ)。

余談5:木曜日 《断崖の避難所/Clifftop Retreat》

 まずはMTG Wikiの編者に感謝。何をかと言うと、記事内でも取り上げられているカードのイラストについて公式記事でも登場していることについて教えてもらったから。

 さて内容はと言うと、Card of the Day にたまにある英語特有のネタで、日本語のカード名だけだと意味が分からなくなるタイプのもの。

 ためしに日本語だけにすると「《断崖の避難所》の『避難所』には『撤退する』という意味もあるけどここでは『避難所』という意味で用いられている」となる。

余談6:金曜日 《Fat Ass》

 ご丁寧に会議のときのホワイトボードの写真まで残されている……と素直にとっていいんだろうか。どうにもコールドスナップ誕生秘話で騙されて、「R&Dのネタを用意するときの本気度」を知っている身としては、このホワイトボードも仕込みなんじゃなかろうかと疑ってしまう。

 コールドスナップ誕生秘話のネタについては以下のURLのリンク先を参照のこと(しかし2005年の記事がまだ残ってるとは思わなかった)。

 Coldsnap Q&A
 http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtgcom/feature/291

 コールドスナップのQ&A
 http://mtg.takaratomy.co.jp/others/column/product/20051105/index.html

余談7:Card of the Day の翻訳に関して

 今週の金曜日でちょうど丸1年分の Card of the Day を訳したことになる。

 Diarynoteを始めたのは去年の12月初めだけど、1ヵ月前の日記までは更新可能だったので、2010年11月05日から Card of the Day の訳をアップしている。今週の金曜が11月04日なので、ちょうど1年経過。

余談8:素晴らしき狂喜と過ぎ去りし狂喜/The Beauty and Bygone Times of Bloodthirst

 ゆっくりと訳していたものがようやっと完了した。ゆっくりしすぎたせいで旬は遠く過ぎ去り、時期をすっかり外してしまった。基本セット2012のドラフトが流行っていた頃なら需要もあったかも。

 今週の土曜の枠は最新記事に使いたかったので過去日記にあげた。そのせいでアップされたことが気づかれてなさそう。誰にも読まれないとさみしいので、ここにリンクを張っておく。

  素晴らしき狂喜と過ぎ去りし狂喜/The Beauty and Bygone Times of Bloodthirst
  http://regiant.diarynote.jp/201111041043035573/

 結構、訳に窮した箇所の多い記事だった。
原文:
 At the time there were relatively few decks that could play a comparable creature (Watchwolf, Hand of Honor, Hand of Cruelty, or the trump in Burning-Tree Shaman a turn later).

拙訳:
 当時、このサイズに相対することのできる2マナ・クリーチャーを持ったデッキは少なかった(《番狼/Watchwolf》、《名誉の手/Hand of Honor》、《残虐の手/Hand of Cruelty》、あとは1ターン後に現れる《炎樹族のシャーマン/Burning-Tree Shaman》くらいだ)。

 原文を見てもらえば分かるとおり、括弧内の「trump in」をガン無視して訳してる。すいません。しかし、この「trump in」の意味してるところはなんなんだろう。
原文:
 That is the difference between the Cadillac (Scab-Clan Mauler) and cards that don’t make the bloodthirst Constructed lineup, like Ghor-Clan Savage.

拙訳:
 その違いこそがベンツ(《瘡蓋族のやっかい者/Scab-Clan Mauler》)と構築に顔を出さない乗用車(例えば《ゴーア族の野人/Ghor-Clan Savage》)とを分けるものだ。

 見ての通りの意訳っぷり。Cadillacって、単に高級車ってことでいいのかな。「強い、偉い」を表しているってことかと思って、日本人が高級車で典型的に思い浮かべる車種にしてみたんだけど。
原文:
 I hope you don’t mind if we mostly gloss over Bogardan Lancer.

拙訳:
 私たちが《ボガーダンの槍騎兵/Bogardan Lancer》についてあまり語りたがらない理由は想像がつくだろう。

 これまた原文に従ってない訳。特に「Gloss over(言い繕う、都合の悪いことを隠す、など)」の訳に手間取った。最後は諦め気味に「全体的な意味はこんな感じなんでなかろうか」と自分に言い聞かせつつ書きあげた。
原文:
 Whether it is cracking with a Nomadic Elf in draft or setting up a Scab-Clan Mauler to win a Standard Pro Tour (as we discussed above), two-mana creatures are more or less the backbone of competitive Magic play.

拙訳:
 ドラフトで戦線を切り開いてくれる《放浪のエルフ/Nomadic Elf》だったり、前述のとおりプロツアーで狂喜/Bloodthirstを達成させた《瘡蓋族のやっかい者/Scab-Clan Mauler》が活躍したり、とにかく2マナのクリーチャーというのは競技マジックにおいて重要な位置を占める。

 長々と引用したけど、ポイントは最初の部分にある「cracking」。何か知らない意味でもあるのかと思って辞書を引いたけど、知っている以上の意味がなかった。どうしようかなあ、と悩んだ挙句に、結論としては「要するにドラフトで役に立ってくれる、という話かな」と。
原文:
 Even fully powered by bloodthirst, Bloodrage Vampire only has 2 toughness; that is a liability primarily because it gives the opponent increasing opportunities to put one over on us.

拙訳:
 狂喜/Bloodthirstを達成したとしても、こいつのタフネスは2点どまりだ。これは欠点以外の何ものでもない。何しろ対戦相手がこれを1点でも上回ることが非常に簡単だからだ。

 セミコロン以下に自信がない。要するに「弱い」という話だというのは分かるんだけど。

余談8:モダンというフォーマットとその未来について/The Modern Future

 モダンという環境はまだ成長段階にある途中なので暖かい目で見守ってあげてください、という話。もちろん言い訳だけではなくて、盛り上げていくために今後どのような施策がとられるのかもきちんと書かれている。

 単語単位では分からない箇所もあったし、どうやって訳したら上手く伝わるだろうと苦労した箇所もあるけど、文脈がとれなくて困った箇所はほぼなかった。やっぱりTom Lapilleの記事は読みやすい。
嵐のイフリート/Tempest Efreet - 第4版 レア
Tempest Efreet / 嵐のイフリート (1)(赤)(赤)(赤)
クリーチャー - イフリート(Efreet)
アンティを賭けてプレイしない場合、プレイを開始する前に嵐のイフリートをあなたのデッキから取り除く。
(T),嵐のイフリートを生け贄に捧げる:対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは10点のライフを支払ってもよい。そのプレイヤーがそうしなかった場合、そのプレイヤーは自分の手札からカードを1枚無作為に選んで公開する。公開されたカードと嵐のイフリートの所有権を交換する。公開されたカードをあなたの手札に加え、嵐のイフリートをあらゆる領域からそのプレイヤーの墓地に置く。
3/3
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Tempest+Efreet/

 各フォーマットで禁止カードにするために「アンティに関連するカード」として分類されているが、実際のところ《嵐のイフリート/Tempest Efreet》はアンティのルールの目をくぐり抜けて、より直接的な手段でカードの所有権の交換を行っている。

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/1111
悪意の度量/Measure of Wickedness - 神河救済 レア
Measure of Wickedness / 悪意の度量 (3)(黒)
エンチャント
あなたの終了ステップの開始時に、悪意の度量を生け贄に捧げるとともにあなたは8点のライフを失う。
いずれの領域からでも他のカードがあなたの墓地に置かれるたび、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは、悪意の度量のコントロールを得る。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Measure+of+Wickedness/

 その昔、《寄付/Donate》で《Illusions of Grandeur》を押しつける強力なコンボ(註1)があった(押しつけるのは《ネクロポーテンス/Necropotence》でもいい。理由は、まあ、言わなくても分かるだろう)。
 《悪意の度量/Measure of Wickedness》はこの「相手に押しつける」と「ライフをロスさせる」のコンボを1枚に詰め込んだカードだ!

(註1) コンボ
 《寄付/Donate》は「自分のコントロールしているパーマネントを相手のコントロール下に移す」カード。《Illusions of Grandeur》は「場に出た瞬間にライフを20点も回復するけど、場から離れたらライフを20点失う」カードで2マナという軽くない累積アップキープがついている。
 あとはご想像のとおり。

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/1111
小村の隊長/Hamlet Captain - イニストラード アンコモン
Hamlet Captain / 小村の隊長 (1)(緑)
クリーチャー - 人間(Human) 戦士(Warrior)
小村の隊長が攻撃するかブロックするたび、あなたがコントロールする他の人間(Human)クリーチャーはターン終了時まで+1/+1の修整を受ける。
2/2
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Tempest+Efreet/

 「hamlet」とは「小さな村」を意味する言葉だ。
 イニストラードのように狼男やら幽霊やら吸血鬼やら何やらがそこかしこにいる世界において、小さな村が守備の最前線を任されてくれる彼のような存在を必要とするのは当然のことと言えるね!

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/1111
真夏のお祭り騒ぎ/Midsummer Revel - ウルザズ・サーガ レア
Midsummer Revel / 真夏のお祭り騒ぎ (3)(緑)(緑)
エンチャント
あなたのアップキープの開始時に、あなたは真夏のお祭り騒ぎの上に詩句(verse)カウンターを1個置いてもよい。
(緑),真夏のお祭り騒ぎを生け贄に捧げる:緑の3/3のビースト(Beast)・クリーチャー・トークンをX体戦場に出す。Xは、真夏のお祭り騒ぎの上に置かれた詩句カウンターの数である。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Midsummer+Revel/

 ウルザズ・サーガのサイクルの1つである「成長するエンチャント」は、同じように「成長する」テンペストの《レガシーの魅惑/Legacy’s Allure》からその着想を得ている。
 ウルザズ・サーガのエンチャントたちは全て歌を題材にしており(註1)、上に乗るカウンターが詩句(verse)カウンターなのはそれが理由である。

(註1) 全て歌を題材にしており
 ウルザズ・サーガの成長するエンチャントのサイクルは以下のとおり。「葬送歌」以外は、カード名だけ見ても歌を題材にしているというイメージがつかめないかもしれない。

  《セラの儀式文/Serra’s Liturgy》
  《変節/Recantation》
  《不和の葬送歌/Discordant Dirge》
  《力増す轟き/Rumbling Crescendo》
  《真夏のお祭り騒ぎ/Midsummer Revel》

 一応、《セラの儀式文/Serra’s Liturgy》と《変節/Recantation》と《真夏のお祭り騒ぎ/Midsummer Revel》のカードイラストは人が歌っている場面のように見えなくもない。

  《セラの儀式文/Serra’s Liturgy》
                   :http://magiccards.info/us/en/49.html
  《変節/Recantation》
                   :http://magiccards.info/us/en/91.html
  《真夏のお祭り騒ぎ/Midsummer Revel》
                   :http://magiccards.info/us/en/268.html

 赤の《力増す轟き/Rumbling Crescendo》は確かに音楽用語としてよく知られている Crescendo(クレシェンド)という言葉を使っているけれど、これ自体に「歌」という意味はない(はず)。

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/1111
明敏な雛/Shrewd Hatchling - イーブンタイド アンコモン
Shrewd Hatchling / 明敏な雛 (3)(青/赤)
クリーチャー - エレメンタル(Elemental)
明敏な雛は、その上に-1/-1カウンターが4個置かれた状態で戦場に出る。
(青/赤):クリーチャー1体を対象とする。このターン、それでは明敏な雛をブロックできない。
あなたが青の呪文を唱えるたび、明敏な雛から-1/-1カウンターを1個取り除く。
あなたが赤の呪文を唱えるたび、明敏な雛から-1/-1カウンターを1個取り除く。
6/6
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Shrewd+Hatchling/

 イーブンタイドの雛サイクル(註1)は元々シャドウムーアのカードとして予定されていたが候補から落ちてしまった。その理由は、シャドウムーアにはサイクルが多すぎる、というものであった。
 マーク・ローズウォーターはこれを次のセットのためにとっておくことにした。なぜなら-1/-1カウンターを操作するというカードの雰囲気はシャドウムーアのメカニズムを自然と進化させたもののように感じられたためだ。

(註1) 雛サイクル
 戦場に出たとき-1/-1カウンターが置かれ、自身の色の呪文が唱えられるごとにそれが取り除かれるクリーチャーのサイクル。対抗色の混合マナごとに1体ずつおり、名前に全て「雛」がついている。

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/1111
【翻訳】主にリミテッドの観点から見た「陰鬱/Morbid」開発秘話/Morbid Thoughts【Daily MTG】
Zac Hill
2011年11月11日
元記事:http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/ld/168

 パーティ好きの諸君、あー、なんだ。こんちは。俺の名前はザックだ。俺宛てになんか言いたいことがある人用にツイッターのアカウントとEメールの送り先を載せとくぜ。(註)
(註) ツイッターのアカウントとEメールの送り先
 原文ではそれぞれ以下のURLへリンクが張られている(一部修正あり)。

 ツイッターのアカウント
 http://twitter.com/#!/zdch

 Eメールの送り先
 http://www.wizards.com/company/emailtoauthor.asp?author=Zac%20Hill

 いつもならこのLatest Developmentのコラムを担当しているはずのトムの代打として今週の記事を担当させてもらうことになったのが俺なんですよ……いや、なんだ、すまん。まだ「対外的に公開しているコンテンツにふさわしい口調」に自分を馴染ませようとしてるところなんだ。

 もう少しなんだ。ちょっと待ってくれ。

 よお。

 最近どう?

 ご機嫌いかが?

 よし。

 今日、俺はイニストラードの新しいメカニズムである 陰鬱/Morbid について話そうと思ってる。かわいそうなことにコイツはまだテーマ週間をもらっていないからだ(少なくとも今時点では)。

 おそらく死とか墓地とかをテーマにすると記事に(えへん)陰鬱な印象を与えるから、ゴミみたいにそのへんにうっちゃられてるんだろうな。しかし 陰鬱/Morbid がどのようにして作られたかという話は、R&Dがリミテッドの環境をどのように作り上げているかを上手く説明してくれるんじゃないかと思う。

 実のところ、このメカニズムに関する説明は、ゲームをプレイする「感じ」についてプレイヤーたちがどのようにコミュニケーションをとっているかを非常によく説明してくれる。この「感じ」というのは非常に説明が難しい。プレイヤーは皆、それぞれ「感じ」の……なんていうか「感じ方」が違うからだ。

気をつけろ! 死が来るぞ!

 イニストラードデザインの初期に時計の針を巻き戻してみよう。次のセットがホラーをテーマにすることは分かっていた。その世界の風景と肌触りを直観的に伝えてくれる豊かなあれやこれやが必要になることもまた分かっていた。

 そもそも根本的なところとして、ホラーとは一体なんなんだろう。すでにマーク・ローズウォーターや他の方々がこれでもかと書いてきたであろうことだが、あえて繰り返したい。

 ホラーとは驚き(Surprise)だ。

 俺たち人間が、自身の生命についてなんらコントロールできないという偶然性と不確実性に満ちた世界だ。さらにそれは感情だ。俺たちのもっとも大いなる財産である知性が力を失い、生きるために本能に従わざるをえなくなる世界だ。

 しかし最も重要なこと、それはホラーとは死そのものについてだ、ということだ。実体とは何かという問題であり、意識と精神のとらえどころのない非現実性の問題であり、俺たちが単なる骨と筋に包まれた物体以上の存在であるはずという観念だ(本当にそうかどうかは誰にも分からないが)。

 イメージしてくれ。

 ゾンビ、スケルトン、吸血鬼、幽霊。これらは全て「生きていないもの」が顕現したもの、心を持たない体だけの存在だ。ホラーを感じさせるもの、それはグール、モンスター、殺人者、またそれらを生み出す病変だ。人と呼ぶには足らぬものたち、満たされぬ影のような存在。

 実際はアンデッドでない狼男たちでさえもそうだ。命を失うわけじゃないが、自分自身という拠り所を失ってしまうんだ。結局のところ、木の杭や銀の弾丸、さらにニンニクや聖印などの示すように、彼らもまた「死から縁遠い存在」だ。

 どうとらえようとこれは変わらない。ホラーとは本質的に死についてなんだ。俺たちはこのテーマについて何度も確認し直すことになるだろうということをあらかじめ分かっていた。

 このテーマを達成するための手段の1つに、墓地をテーマにしたセットにするということがあった。またもう1つの手段としてプレイヤーが墓地を気にするように仕向けるためのメカニズムを過去から引っ張りだすことがあった(フラッシュバックのことだよ)。

 しかしこれらは全て「すでに死んだもの」についてだ。いずれも「何かが死ぬこと」について注意を払うようなものでなかった。プレイヤーがクリーチャーの死を気にかけるようにする最も良い手段とは何だろう。

 それはゲーム自体が「クリーチャーの死を気にするようにすること」だ。

 最初、これを実現する手段は「殺戮」的なメカニズムと思われた。つまり「いずれかのクリーチャーが墓地に落ちたとき~」だ。しかしこのメカニズムは、単一のクリーチャーの死を強調するよりも、逆にそれらを曖昧な単なる数字に過ぎないものにしてしまうことが分かった(結局のところ、プレイヤーはそれを何度も何度も発生させようとすることになる)。

 そしてかわりにデザインチームは、そのメカニズムを二元的なものにしなくてはならないということに気づいた。このターンにクリーチャーが死んだのか、死ななかったのか。そのいずれかだ。こうして新たなメカニズムが生まれ、これは当初 Deathwatch と呼ばれていた。

君の(もしくは相手の)大切なクリーチャーが殺されるとき

 そのようにして Deathwatch はセットに投入された。さらにそれは 陰鬱/Morbit となり、イニストラードのブースターパックに入れられた。こうして俺たちが生み出したメカニズムはカードとなって印刷された。

 分かりやすいし、いい話だ。もし本当にそう上手くいったんならな。そのとおり、もちろんそんな簡単な話じゃなかった。

 さて、Deathwatch がデベロップメントチームへと引き渡されてからの話だ。

 多くのプレイヤーはデベロップメントチームの仕事を、受け取ったデザインファイルのカードのコストを適正なものにするだけだと思っている。信じられないほどぶっ壊れたカードをバランスのとれたものにしてからセットをリリースするだけの仕事だとね。それは例えばアメリカ大統領の仕事が議会で演説するだけだと思っているようなもんだ。

 もちろんそれは俺たちの大事な仕事の一部であり、非常に対外的にも分かりやすく、かつ失敗すれば一目でバレてしまう部分だ。しかし全体像からはほど遠い。

 デベロップメントチームの最も重要な仕事は「ゲームの楽しさを保証すること」だ。

 疑問の余地は無い。

 デザインの構想、セットのテーマ、その他のマジックを素晴らしくするための全ては「ゲームを遊んで楽しいものにする」ためのものだ。そのためにアイデアを付け加えることもある。またそのためにあるアイデアを丸ごと諦めざるを得ないこともある。

 デベロップメントの初期段階において、判明したのは Deathwatch はクリーチャーの死を目立たせるどころか、実際にはそれが滅多に見られなくなってしまうということだった。さらに悪いことに、この Deathwatch というメカニズムはマジックの楽しさを減じさせた。ゲームにおける相互作用を減らし、かつ先手がもつアドバンテージを不必要に強めてしまった。

 どのようにして?

 俺が政策分析(Policy Analyst)として学んだこと、さらにはゲームデザイナーとして過ごした数年間から学んだことがあるとすれば、それは「人は報酬を求めて行動する(people respond to incentives)」という大原則だ。

 マジックで、もっともクリーチャーが死に追いやられるのは戦闘においてだ。もしこれら 陰鬱/Morbid 持ちのクリーチャーたちが全て戦闘でブロックされて死んだときにメリットをもたらすとしたら、プレイヤーたちは単にブロックすることを止めてしまうだろう。

 これは最悪の事態だ。

 ゲームは相互干渉のないダメージレースの様相を呈することになる。先に効果的な攻撃をしかけることが出来た側がそのまま埋めることのできないアドバンテージを得ることになるんだ。

 まあ、分かりやすいと言えば分かりやすい。ブロックしなければ、不安要素もない。ダメージは受けるが、あとで盛り返すことも出来るだろう、という具合だ。

 しかし逆にブロックしたらどうなるか?

 対戦相手のコンバットトリックに引っ掛かるかもしれないというだけでなく、対戦相手の 陰鬱/Morbit のスイッチを入れることにもなりかねない。放っておけばそうなることはない。

 八方塞がりだった。

 ところで俺がどのようなゲームにおいても絶対に好きになれない現象がある。それを俺は「無色透明なルールテキスト(Invisible Text)」と呼んでる。

 あるカードやメカニズムが「こう使って欲しい」と願っていれば、それはそのとおりに使われるべきだ。俺はそう固く信じており、この考えを変えるつもりはない。

 それを念頭に置いた上で、以下のようなカードがあったと想像してみてくれ。

 「~が対戦相手の呪文や能力の対象になるたび、あなたは5/5のドラゴン・クリーチャー・トークンを4体戦場に出し、カードを4枚引き、このターンに続いて追加の1ターンを行う」

 やったぜ! こいつはすげえや! 俺はドラゴンが大好きだし、カードを引きまくることも好きだし、そいつらを好きに使える追加ターンまでもらえるんだって!? これ以上を望んだら罰が当たる!

 ……ところがどっこい、残念なことにこの素晴らしい効果は絶対に誘発しない(《偏向/Deflection》やら《呪文滑り/Spellskite》やら何やらの小細工を使わない限り)。君は心底がっかりすることになるだろう。

 なぜなら君の対戦相手は単にそいつを対象にしないだけだ。そのカードは単に「呪禁」の2文字で済むところを長々と別の文章で埋めただけだ。

 こんなカードは詐欺だ。許せないね。

 この観点からすると、Deathwatchを持ったカードたちは実質的に「詐欺」同然だった。こいつらは確かに墓地に落ちたときに素晴らしい効果を誘発してくれることになっている。しかしそれはDeathwatch持ちのカードを同じターンに唱えるのに十分なほどマナコストの軽い除去呪文を君が持っているときだけだ。

 そして君は「こんなすごいことが出来るんだぜ」と書かれたカードが実際にそうしてくれるのを願いながら、実際はただそれを眺めるだけで終わる。

燃えよドラゴン

 Deatchwatch というメカニズムには明らかに問題があった。それは間違いなかったが、しかしメカニズム自体の目指すところにも間違いはなかった。俺たちはそれをどのようにして実現するかを考えなければならなかった。

 ありがたいことに俺たちにはエリック・ラウアーがいた。

 エリックはイニストラードのデベロップメント・リーダーであり、ここ数年のマジックの成功は彼に働きによるところが大きい。今もし君がイニストラードのリミテッドを楽しんでいるなら、それもまたほぼエリックのおかげと言っていいだろう。

 マジックにおける史上最高のデッキデザイナーの1人であるということに加え、エリックは、どうすればカードが最高の働きを見せるか、そしてゲームが面白くなるかを見つけ出すことに関して、抜け目ない才能を持っている。なお俺の知る限り最も賢い人間の1人でもある。

 もっとも重要な点として、おそらく彼は世界で唯一の「コンピュータの頭脳をもった狩猟犬的ドラゴン(なお見た目は人間)」だ。まあいい。これはまた別の機会に話すことにしよう。

 さて。

 エリックが気づいたのは、Deathwatch が上手く機能するためには、そのメカニズムの持つアドバンテージを最も上手く引き出せる色の組み合わせにそれをはめ込む必要がある、ということだ。

 エリックがそれに気づくまでは、Deathwatch は基本的に全ての色に等しく配置されていた。これが何を意味するかというと「ブロックが発生しない」という現象は非常に高い率で発生していたということだ。

 だけどもしこの能力がある特定の色に偏って配置されたとしたら?

 プレイヤーたちはもう「いついかなる場合も対戦相手がクリーチャーに死んで欲しいと思っているはず」と考えなくて済むようになる。何しろ、Deathwatch に一切頼らないアーキタイプがいくつも生まれることになるからだ。

 ゲームのプレイ環境を改善してくれるというだけでなく、これは Deathwatch がより頻繁に発生する可能性を飛躍的に高めてくれることにもなった。プレイヤーたちがクリーチャーの死をいつもいつも避ける必要がなくなったからだ。

 上手くいきそうな気がするだろ?

 実際上手くいったんだ。

 しかし、さて、このメカニズムはどの色に寄せられるべきなんだろう?

 特に規模の大きいセットにおいてデベロップメントチームがよく用いる分析の1つに、10種類ある2色の組み合わせごとにリミテッドでどのようなアーキタイプが生じ得るかをマッピングすることがある。

 この作業の目的は、全ての2色の組み合わせが等しい強さを持っているかどうか確認するためじゃない。これは、ブースタードラフトにおいて各組み合わせが何かしら意味のあることを出来るかどうか、をチェックするためのものだ。

 チェックの結果、有効色については問題ないことが分かった。だが一部の敵対色については十分な肉付けがなされていたとは言えなかった。

 もっともこれはこれで理にかなっている。

 有効色には、デザインチームがこのフォーマットのために非常に力を入れて取り組んだ「部族(Tribe)」が用意されていたからだ。とはいえ、この敵対色の問題がどうでもいいってことにもならない。

 敵対色のフラッシュバックカードたちはいくつかのアーキタイプ(白赤アグロ、赤青フラッシュバックなど)を生み出してくれる助けとなってくれていたし、《村の食人者/Village Cannibals》や《骨塚のワーム/Boneyard Wurm》とかは白黒トークンや緑青の墓地をテーマとしたアーキタイプを手堅く固めてくれるカードとなってくれた。

 しかし黒緑についてはこれらの色を結びつける何かに欠けていた。そしてエリックが気づいたことは、この緑黒という組み合わせが Deathwatch に実にしっくりくるという事実だった。

 クリーチャーを墓地に送ることに関してはおそらく黒が最高の色だ。生け贄に捧げてもいい、除去してもいい。

 それと同時に、緑はもっともクリーチャーを墓地に送りづらい色だ。言い換えると、特に強い Deathwatch 持ちのクリーチャーを与えるのにふさわしい色ということになる。さらにそういった Deathwatch 持ちのカードを緑の低いレアリティにばらまきリミテッドで使われる機会を増やすことにした。

 勘違いしないで欲しいのは、強い Deathwatch 持ちのカード(例えば《硫黄の流弾/Brimstone Volley》や《深淵からの魂刈り/Reaper from the Abyss》)が全てリミテッドのアーキタイプバランスだけをにらんでデザインされたわけじゃない、ってことだ(ただし大半のカードはその点からそれることのないように気を遣ったこともまた事実だ)。

 これらの変更は上手いことゲームプレイにも反映された。

 俺たちがセットの総仕上げを終えて、次のクリエイティブチームが60年代っぽい響きの「Deathwatch」という名前より「陰鬱/Morbit」のほうがいいだろうと判断したところで、このメカニズムはようやく産声をあげたわけさ!

いつもの番組表へ

 俺からは以上だ。

 来週のLatest Developmentのコラムは、今週みたいにおしゃべりなリスの出番はなくて、いつものトムが帰って来るはずだ(俺は自分を例えるときにリスを使うことにしてる。いつか《樫の力/Might of Oaks》のイラスト(註)に登場したいとも思ってるし、こう、どんぐりいっぱいに囲まれて、ふわっふわの尻尾で……頬をふくらませることに関しちゃ結構な自信もある)。

 じゃあ、また次の機会に会おう!(次の機会があればの話だけどな)
(註) 《樫の力/Might of Oaks》のイラスト
 リスうんぬんとのことなので、初代ウルザズサーガ版のカードイラストの話をしているものと思われる。イラストは以下のリンク先を参照のこと。
 http://magiccards.info/ul/en/106.html

【翻訳】《動く死体/Animate Dead》のありがたいお言葉/ What Animate Dead Says【Daily MTG】
Monty Ashley
2011年11月8日
元記事:http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/arcana/837

 マジックの最初のセットであるアルファ版が初めて世に出たのは1993年のことだ。

 その中にはこのカードも含まれていた。
原文:
 Enchant Dead Creature

 Any creature in either player’s graveyard comes into play on your side with -1 to its original power. If this enchantment is removed, or at end of game, target creature is returned to its owner’s graveyard. Target creature may be killed as normal.

私訳:
 エンチャント 墓地にあるクリーチャー

 いずれかのプレイヤーの墓地にあるいずれかのクリーチャーは元のパワーから-1された状態であなたの側の場に出る。もしこのエンチャントメントが取り除かれた場合か、もしくはゲーム終了時に、対象のクリーチャーは元の所有者の墓地に戻される。対象のクリーチャーは通常どおり殺すことが出来る。

 これは《動く死体/Animate Dead》だ。この文面は実際は上手く働かない。なぜなら、これには「Enchant Dead Creature(エンチャント 墓地にあるクリーチャー)」となっているが、これが唱えられて解決された瞬間から、そのクリーチャーはもう「Dead(墓地にある)」ではないからだ。

 しかしマジックの黎明期には変な文面を持つカードはいくらでもあった。第3版、つまりリバイスドが出たときには《動く死体/Animate Dead》も上手く版を重ねて改良されていた。
原文:
 Enchant Dead Creature

 Any creature in any graveyard comes into play on your side with -1 to its original power. At end of game, or if this enchantment is discarded without removing target creature from play, target creature is returned to its owner’s graveyard. Target creature may be killed as normal.

私訳:
 エンチャント 墓地にあるクリーチャー

 いずれかの墓地にあるいずれかのクリーチャーは元のパワーから-1された状態であなたの側の場に出る。ゲーム終了時か、対象のクリーチャーがゲームから取り除かれることなくこのエンチャントメントが破棄されたとき、対象のクリーチャーは元の所有者の墓地に戻される。対象のクリーチャーは通常どおり殺すことが出来る。

 これもそれほど分かりやすいとは言えない。単に中ほどにあった文章を書き直しただけだ。そうそう、ゲーム終了時には元の所有者へ返すことと書かれた但し書きがあることに気づいたかな。これは《嵐のイフリート/Tempest Efreet》のような奇妙な効果との混同を避けるためのものだ。

 さて第5版ではまた新たな文面が用意された。
原文:
 Enchantment

 When you play Animate Dead, choose target creature card in any graveyard. When Animate Dead comes into play, put that creature into play and Animate Dead becomes a creature enchantment that targets the creature. Enchanted creature gets -1/-0. If Animate Dead leaves play, bury the creature.

日本語訳:
 エンチャント (場)

 動く死体をプレイするとき、対象の、いずれかの墓地にあるクリーチャー・カード1枚を選ぶ。動く死体が場に出たとき、そのクリーチャーを場に出し、動く死体はそのクリーチャーを対象とするエンチャント(クリーチャー)になる。エンチャントされているクリーチャーは、-1/-0の修正を受ける。動く死体が場を離れた場合、このクリーチャーを埋葬する。

 このバージョンの《動く死体/Animate Dead》はすでにオーラではなくなっている。ああ、つまり「エンチャント クリーチャー」ではなくなっているということだ(当時はまだオーラという単語はなかったからね)。この文面も満足いく出来ではなかったと言える。

 このあとから段々文章が怪しくなってくる。なぜなら《動く死体/Animate Dead》は実際に印刷されるカードではなくなり、ルールチームは好きに色んな文面を試すことが出来るようになったからだ。以下が2005年の公式ルールテキストだ。
原文:
 Enchantment

 When Animate Dead comes into play, if it’s in play, it becomes an Aura with enchant creature. Put target creature card from a graveyard into play under your control and attach Animate Dead to it.
 Enchanted creature gets -1/-0.
 When Animate Dead leaves play, destroy enchanted creature. It can’t be regenerated.

日本語訳:
 エンチャント

 動く死体が場に出たとき、墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とする。動く死体が場にある場合、動く死体はエンチャント(クリーチャー)を持つオーラになる。そのクリーチャー・カードをあなたのコントロール下で場に出し、動く死体をそれにつける。
 エンチャントされているクリーチャーは-1/-0の修整を受ける。
 動く死体が場を離れたとき、エンチャントされているクリーチャーを破壊する。それは再生できない。

 そして次にあるのが2007年に更新されたバージョンだ。「オーラ」が生まれたことにより、テキストボックス内にこのオーラが何をエンチャントするのかを具体的に記す必要が生じ、結果として複雑怪奇な説明が誕生した。
原文:
 Enchantment - Aura

 Enchant creature card in a graveyard
 When Animate Dead comes into play, if it’s in play, it loses "enchant creature card in a graveyard" and gains "enchant creature put into play with Animate Dead." Return enchanted creature card to play under your control and attach Animate Dead to it. When Animate Dead leaves play, that creature’s controller sacrifices it.
 Enchanted creature gets -1/-0.

日本語訳:
 エンチャント - オーラ(Aura)

 エンチャント(墓地にあるクリーチャー・カード)
 動く死体が場に出たとき、それが場に出ている場合、それは「エンチャント(墓地にあるクリーチャー・カード)」を失い、「エンチャント(動く死体により場に出たクリーチャー)」を得る。エンチャントされているクリーチャー・カードをあなたのコントロール下で場に戻し、動く死体をそれにつける。動く死体が場を離れたとき、そのクリーチャーのコントローラーはそれを生け贄に捧げる。
 エンチャントされているクリーチャーは-1/-0の修整を受ける。

 2009年にまたこれは更新された。理由は「in play(場)」という単語が「battlefield(戦場)」という単語に置き換わることになったためだ。
原文:
 Enchantment - Aura

 Enchant creature card in a graveyard
 When Animate Dead enters the battlefield, if it’s on the battlefield, it loses “enchant creature card in a graveyard” and gains “enchant creature put onto the battlefield with Animate Dead.” Return enchanted creature card to the battlefield under your control and attach Animate Dead to it. When Animate Dead leaves the battlefield, that creature’s controller sacrifices it.
 Enchanted creature gets -1/-0.

日本語訳:
 エンチャント - オーラ(Aura)

 エンチャント(墓地にあるクリーチャー・カード)
 動く死体が戦場に出たとき、それが戦場に出ている場合、それは「エンチャント(墓地にあるクリーチャー・カード)」を失い、「エンチャント(動く死体により戦場に出たクリーチャー)」を得る。エンチャントされているクリーチャー・カードをあなたのコントロール下で戦場に戻し、動く死体をそれにつける。動く死体が戦場を離れたとき、そのクリーチャーのコントローラーはそれを生け贄に捧げる。
 エンチャントされているクリーチャーは-1/-0の修整を受ける。

 ほいきたー! いやー、こりゃまた、込み入った文面になったね。しかしルールチームはこれなら正常にプレイできると保証してくれた。

 それに文面がヘンテコに見えるからってそれが問題になるだろうか? 別にこの《動く死体/Animate Dead》を再版しようなんてわけでもないだろう?

 ……本当に?

 なんだ、もし君が新しい製品である Graveborn のパッケージを注意深く見ていたら分かることだけど、実は私たちは近々この《動く死体/Animate Dead》を実際の紙のカードとして再版するんだ。11月18日が発売日だね。

 実際のカードはこんな感じになるはずさ!
 原文ではここにGraveborn版カード画像が表示されてる。文章欄がすごいことに…
 http://media.wizards.com/images/magic/daily/arcana/837_animatedeadwording.jpg

 素晴らしい!
 はじめに。

 mrgreedさんのツイッターのつぶやきで面白い公式記事へのリンクが張られていた。訳してみた。確かに《動く死体/Animate Dead》のカードテキストの変遷はリアルタイムで付き合ってた身としても実に面白かった。

  《動く死体/Animate Dead》のありがたいお言葉/ What Animate Dead Says
  http://regiant.diarynote.jp/201111130229308843/

 しかし、過去バージョン当時のままの日本語テキストを探すのはとんでもなく骨が折れる作業で困る。今後も必要になるかもしれないので、効率よく探せる方法知ってる人がいたらぜひ教えてください。

余談1:今週のCard of the Dayのテーマ

 今週のテーマは、コメントで情報提供いただいたようにシェイクスピアの戯曲のタイトルに関係しているものらしい。カード名の一部がシェイクスピア作品と同じ(もしくは作品名の一部)のカードたちと考えると、対応作品は以下と推測される。

  カード名                    対応すると思われる戯曲名
 《嵐のイフリート/Tempest Efreet》      :テンペスト(The Tempest)
 《悪意の度量/Measure of Wickedness》  :尺には尺を(Measure for Measure)
 《小村の隊長/Hamlet Captain》       :ハムレット(Hamlet)
 《真夏のお祭り騒ぎ/Midsummer Revel》 :夏の夜の夢(A Midsummer Night’s Dream)
 《Shrewd Hatchling / 明敏な雛》      :じゃじゃ馬ならし(Taming of the Shrew)

※ 戯曲名の邦題と原題についてはWikipediaのシェイクスピアの項目から引用。
引用元:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%94%E3%82%A2

余談2:月曜日 《嵐のイフリート/Tempest Efreet》

 過去にも何度か語っていることかもしれないけど、マジックを始めたのは第4版の頃から(日本語版が出る前)。当然、この《嵐のイフリート/Tempest Efreet》も引いたことがある。マジックを始めたての頃には拷問のようなカードテキストだった。

 ちなみにあの頃はまだ「フェイクアンティ」と呼ばれるプレイ形式が一般的で、ゲーム開始時に山札の1番上のカードを「実際は所有権の移動しない賭け札」としてゲームからリムーブしていた。そういう意味では「アンティを賭けてプレイしない場合」でもないんだけど、そんなフェイクアンティというルールではこのカードの出番はなかった。

 覚えている限りでは、確か何度か「リアルアンティ」(本当に所有権が移動する)も遊んだことある。そのときこのカードを使ったような気もする。結果は覚えていない。どちらにしても「リアルアンティ」ということになると互いのデッキのレアリティがガクンと下がり、非常にぬるい対戦になってしまうのであまり遊ばれなかった。

余談3:火曜日 《悪意の度量/Measure of Wickedness》

 このカードを見ると当然のように思い出すのは、なんと言っても「スターライト・マナバーン」。これは「デュエルファイター刃」と双璧をなすマジック漫画であり、一部に熱狂的なファンを持つことで有名(かもしれない)。

 主人公の属するマジック部が、ライバルの部活やいじめっ子や海底帝国からの侵略者とデュエルで決着をつけたりつけなかったりする、そんな漫画。一部に熱狂的なファンを持つことで有名(大事なことなので以下略)。

 この作品に出てくるマジックがとても強いアボシャン先輩の使っていたデッキが《悪意の度量/Measure of Wickedness》デッキだった。それが使われたデュエルでの《悪意の度量/Measure of Wickedness》の押し付け合いがとっても面白かった。

 余談。この漫画の青島先輩とは絶対に対戦したくないと心底思う。ってか腕折るなよ。

余談4:水曜日 《小村の隊長/Hamlet Captain》

 別段訳に困ったわけでもない。ただ、訳したあと、あまりのストレートな内容に「あれ? 何か間違えてる?」と逆に不安になった。なんというか、本当にカードをそのまま紹介しているだけのような記事だったので。

 単にシェイクスピアといえばやっぱりハムレットでしょう、というだけの理由で選ばれてしまい、あまり語ることが無かった、という裏の事情があるのであればそれも納得。本当にそうかどうかは知らない。

余談5:木曜日 《真夏のお祭り騒ぎ/Midsummer Revel》

 自分で訳しておいてなんだけど、本当にこのサイクルは歌を題材にしているんだろうか。音楽や歌につられて効果が高まっていく、というフレイバー自体は好きだけど「名前+効果+イラスト」がそれに応えきれていないようなイメージ。

 以下、全然関係ない話。

 これを訳すために色々な「歌」という単語の訳などを調べている過程で、つい脇道にそれてWikipediaを放浪してしまった。その最中に「演奏時間の長い曲」という項目で発見したネタ。
小杉武久:「革命のための音楽」 - 指定どおりに演奏すれば5年と少しかかる。しかし演奏者自身の眼を摘出しなければならないため、未だに演奏されたことはない。
引用元:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%94%E5%A5%8F%E6%99%82%E9%96%93%E3%81%AE%E9%95%B7%E3%81%84%E6%9B%B2

 いや、ちょっと何を言っているのか分かりませんね。

余談6:金曜日 《Shrewd Hatchling / 明敏な雛》

 この記事にある「カードの雰囲気はシャドウムーアのメカニズムを自然と進化させたもののように感じられたため」という部分について、補足してみる。

 なぜシャドウムーアのメカニズムを進化させたような内容だから次のセットに使うことにしたか、というと、あるブロック内で新たに登場したメカニズムは、そのブロックの後続のセットになるほどテクニカルな(進化した)使われ方をすることが多いため。

 基本と応用、みたいな関係。

 例えば初めてフラッシュバックが登場したオデッセイでのフラッシュバックコストは普通のマナのみだったが、後続のセットであるトーメントやジャッジメントではマナ以外のフラッシュバックコスト(ライフや生け贄)が存在している。

余談7:主にリミテッドの観点から見た「陰鬱/Morbid」開発秘話/Morbid Thoughts

 イニストラードであらたに登場した「陰鬱/Morbid」の話。ドラフトが遊ばれ始めた頃の「お互いにブロックしない戦闘が発生しやすくなる」について開発中にすでに気づかれていたことなどが書いてある。

 ところで訳の中で、ツイッターのアカウントとEメールの送り先に関する註に「一部修正あり」と書いた理由を説明しようと思う。まあ、大した修正でもないんだけど。

 これ、実際の文中から張られているリンクでは、末尾に「&headline=The%20Modern%20Future」とついている。これがあることで、自動的にメール送信フォームに今回の記事の題名が入る仕組み。

 そしてよく見ると分かるんだけど、ここに書かれている記事の題名が「Modern Future」となっている。そう、先週のコラムのタイトル。実は今回のコラム、最初にアップされたときタイトルが先週のままだった(Daily MTGのトップページの見出しも)。

 訳している最中に「タイトルどうしよう。日本語訳は内容に即して『陰鬱/Morbid について』にしとこうかな」とか考えてたら、公式サイト側の修正が完了していて一安心……と思いきや、Eメール送り先のリンクについては今もそのままだったり。

 余談が長くなったけど、今回の怪しい訳について。
原文:
 Sup.
 Howdy.
 Well hello there.

拙訳:
 よお。
 最近どう?
 ご機嫌いかが?
 よし。

 原文の「Sup」は「What’s up」の口語的記述らしい。「Don’t know」を「Dunno」って書くみたいなもの。次の「Howdy」は「How are you doing」とほぼ同じ意味のはず。あと見て分かるとおり、原文には「よし」に当たる言葉はない。ワンテンポ置いたほうが分かりやすいかな、と。
原文:
 We knew we had a horror set on our hands, we knew we wanted to pack it full of resonant tropes that viscerally conveyed the look and feel of the world.

拙訳:
 次のセットがホラーをテーマにすることは分かっていた。その世界の風景と肌触りを直観的に伝えてくれる豊かなあれやこれやが必要になることもまた分かっていた。

 単に訳すのに苦労したという箇所。間違ってはいないだろうけど、上手く伝わっているかどうかはまた別問題。「full of resonant tropes that viscerally conveyed the look and feel」と来られて、英和辞典を引きまくりだった。
原文:
 That’s sort of like saying the President’s job is to deliver the State of the Union address.

拙訳:
 それは例えばアメリカ大統領の仕事が議会で演説するだけだと思っているようなもんだ。

 怪しいというか意訳というか、ばっさり略した。原文にある「State of the Union address」というのは日本語で「一般教書演説」と呼ばれるもので、大統領が両院議員全員へ向けて行う特別な演説を指す言葉らしい。

 日本でどれだけ一般的な言葉なのか分からなかったので、分かりやすさ優先で意訳。
原文:
 One of my least favorite things in any game is a phenomenon I call "invisible text."

拙訳:
 ところで俺がどのようなゲームにおいても絶対に好きになれない現象がある。それを俺は「無色透明なルールテキスト(Invisible Text)」と呼んでる。

 今回の記事に多かった「筆者特有の呼び方や言葉」。ここ以外にも「政策分析(Policy Analyst)」や「人は報酬を求めて行動する(people respond to incentives)」のように原文併記を使ったり、場所によっては使わなかったりしてみた。

 ここの「無色透明なルールテキスト(Invisible Text)」では併記してみたけど、「『殺戮』的なメカニズム」は訳のみ。これは原文では「the "carnage" mechanic」となっている。他に併記しなかった場所と言うと……
原文:
 More importantly, he’s probably the only human-computer-beagle-dragon in existence.

拙訳:
 もっとも重要な点として、おそらく彼は世界で唯一の「コンピュータの頭脳をもった狩猟犬的ドラゴン(なお見た目は人間)」だ。

 いや、なんだろう、ほら……これは無理だって。
Elephant Graveyard - アラビアンナイト レア
Elephant Graveyard
土地
(T):あなたのマナ・プールに(1)を加える。
(T):象(Elephant)1つを対象とし、それを再生する。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Elephant+Graveyard/

 「象の墓場(elephant graveyard)」というのは象が死を迎えるために向かうという伝説上の地だ。ディズニーのライオンキングにも登場する。もう1つ面白い話をすると、アラビアンナイトに象は1枚(註1)しかない。

(註1) アラビアンナイトに象は1枚
 原文では《ウォー・エレファント/War Elephant》のカードデータへのリンクが張られている。

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/1111
墓地のプーカ/Cemetery Puca - シャドウムーア レア
Cemetery Puca / 墓地のプーカ (1)(青/黒)(青/黒)
クリーチャー - 多相の戦士(Shapeshifter)
いずれかのクリーチャーが死亡するたび、あなたは(1)を支払ってもよい。そうした場合、墓地のプーカはそのクリーチャーのコピーになるとともに、この能力を得る。
1/2
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Cemetery+Puca/

 プーカ(カードではPucaというつづりだが実際には他にも多くのつづりで書かれることがある)は、ケルトの民間伝承に登場するいたずら好きの生き物だ。プーカは馬の頭を持っている。だからロバの頭をしたノッグルたち(註1)と混同する心配はない。もちろんドンキーフォークたち(註2)ともね。

(註1) ノッグルたち
 原文ではタイプかサブタイプにノッグル(Noggle)を持つカードを検索条件にしたGathererの検索結果へのリンクが張られている。

(註2) ドンキーフォークたち
 原文ではタイプかサブタイプにドンキー(Donkey)を持つカードを検索条件にしたGathererの検索結果へのリンクが張られている。

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/1111
骨塚のワーム/Boneyard Wurm - イニストラード アンコモン
Boneyard Wurm / 骨塚のワーム (1)(緑)
クリーチャー - ワーム(Wurm)
骨塚のワームのパワーとタフネスはそれぞれ、あなたの墓地にあるクリーチャー・カードの枚数に等しい。
*/*
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Boneyard+Wurm/

 《骨塚のワーム/Boneyard Wurm》のパワーとタフネスを規定する能力は戦場だけでなくどの領域にあっても機能する。もし《骨塚のワーム/Boneyard Wurm》が君の墓地に落ちているのであれば、それは自身も数える。

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/1111
地下墓地の総ざらい/Empty the Catacombs - ラヴニカ:ギルドの都 レア
Empty the Catacombs / 地下墓地の総ざらい (3)(黒)
ソーサリー
各プレイヤーは、自分の墓地にあるすべてのクリーチャー・カードを自分の手札に戻す。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Empty+the+Catacombs/

 カタコンベ(Catacomb)とは地下にある墓地だけでなく、単に曲がりくねった通路をもつ地下の迷路的な建造物も指す。
 マジックに登場するカタコンベ(Catacomb)の多くは「迷宮的」なカテゴリに分類されるものだが(註1)、この《地下墓地の総ざらい/Empty the Catacombs》が総ざらいしているのは明らかに死体に満ちているほうだ。

(註1) 「迷宮的」なカテゴリに分類されるもの
 名前にCatacombが含まれるカードは以下の通り。記事では迷宮的な意味合いのものが多いとのことだけど、翻訳テンプレートの関係か、日本語版は全て「地下墓地」で統一されている。

  《クローシスの地下墓地/Crosis’s Catacombs》
  《ダークウォーターの地下墓地/Darkwater Catacombs》
  《地下墓地のドラゴン/Catacomb Dragon》
  《地下墓地の総ざらい/Empty the Catacombs》
  《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
  《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/1111
Necropolis - ザ・ダーク アンコモン
Necropolis (5)
アーティファクト クリーチャー - 壁(Wall)
防衛(このクリーチャーは攻撃できない。)
あなたの墓地にあるクリーチャー・カードを1枚追放する:Necropolisの上に+0/+1カウンターをX個置く。Xはその追放されたカードの点数で見たマナ・コストの点数である。
0/1
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Necropolis/

 最初の死滅都市である《Necropolis》はケルドにあるものや崩れゆくものとは違い(註1)、あえてプレイヤーがこのカードを使わないといけない理由がさっぱり分からないカードだ。
 もしどうしても使わないといけないことになってしまったら、とりあえず《包囲の搭、ドラン/Doran, the Siege Tower》と《動く壁/Animate Wall》(かその亜種)あたりから始めるといいかもしれない。

(註1) ケルドにあるものや崩れゆくもの
 ケルドにあるのは《ケルドの死滅都市/Keldon Necropolis》(註2)、崩れゆくのは《崩れゆく死滅都市/Crumbling Necropolis》(註3)。原文ではそれぞれのカードデータへリンクが張られている。

(註2) 《ケルドの死滅都市/Keldon Necropolis》
Keldon Necropolis / ケルドの死滅都市
伝説の土地
(T):あなたのマナ・プールに(1)を加える。
(4)(赤),(T),クリーチャーを1体、生け贄に捧げる:クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。ケルドの死滅都市はそれに2点のダメージを与える。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Keldon+Necropolis/

(註3) 《崩れゆく死滅都市/Crumbling Necropolis》
Crumbling Necropolis / 崩れゆく死滅都市
土地
崩れゆく死滅都市はタップ状態で戦場に出る。
(T):あなたのマナ・プールに(青)か(黒)か(赤)を加える。
引用元:http://whisper.wisdom-guild.net/card/Crumbling+Necropolis/

元記事:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/cardoftheday/1111
 プロツアー殿堂サイトにあるインタビュー動画の翻訳。正しくは動画前半の「ウィザーズのメンバーや有名プレイヤーたちからのコメント」部分の翻訳。コメントしている人たちの簡単な説明つき。

 動画の後半にご本人のインタビュー部分もあるにはあるんだけど……元の音声が(インタビュアー含めて)消されていて、英語吹き替えがかぶせられている状態。これには動画のコメントでも非難ごうごう。

 元が日本語のインタビューを英語に訳したものを日本語に訳すってあまりにもなんなので、いつか元の音声が聞けると信じて未訳のまま。 末尾にご本人のインタビュー部分も追記。

【翻訳】殿堂入りプレイヤー中村修平のインタビュー(動画)/Pro Tour Hall of Fame 2011: Shuhei Nakamura【Daily MTG】
サイト:
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/HallOfFame.aspx?x=mtgevent/hofplayer/snakamura
動画(Youtube):
http://www.youtube.com/watch?v=UoaKVm_Pf9U

ナレーター
 日本の中村修平が初めてグランプリに足跡を残したのは2001年のグランプリ神戸の決勝戦だった。

Ron Foster(註):
 彼が初めてトーナメントシーンに姿を現したのはグランプリ神戸01で、もう1人の日本の偉大なマジックプレイヤーである石田相手に2位に終わったときだね。
(註) Ron Foster
 マジックザギャザリングの組織化マネージャー日本担当。ツイッターは日本語。
 ツイッターアカウント:http://twitter.com/#!/RonMFoster

ナレーター
 彼がプロツアーレベルでトップ8の活躍をできるようになったのはグランプリトップ8を4回ほど獲得してからのことだった。2004年シーズンの終わり、彼は藤田剛史と津村健志とともに史上最強と言われる日本代表チームのメンバーの1人だった。

Luis Scott-Vergas(註):
 僕がリスペクトしている人はみんな修平に投票してたよ。ダントツだよね。
 プロツアーのトップ8もあるし、生涯プロポイントもそうだし、プレイヤーオブザイヤーをとってるってだけじゃなくて毎年のプレイヤーオブザイヤーレースの常連だし、ゲームのプレイングだけじゃなくてゲームへの貢献もすごいし……彼を超えるのは相当難しいよね
(註) Luis Scott-Vergas
 マジックのトッププレイヤーが作るチームで中村修平も所属しているChannel Fireball所属。ここ5年の間に、プロツアートップ8が4回(優勝1回)、グランプリトップ8が7回(優勝4回)

ナレーター
 初めてのプロツアートップ8はその1年後、2005年シーズンの始まった直後のコロンブスでのことだった。それからの6シーズンで彼はトップ8をさらに4つ積み上げる。そして彼はプレイヤーズクラブの最高レベルに達すると、以降そこから落ちることはなかった。

Randy Buehler(註):
 マジックのトップであり続けてる……驚異的なほどにね。修平ときたらプレイヤーオブザイヤーレースのトップ5に、ここ6年間で5回も入ってるんだ……! 1位、2位、そして3回の5位だよ。
(註) Randy Buehler
 2007年に殿堂入りしているアメリカのトッププレイヤー。
 ウィザーズ社に所属していた時期もあるらしい。

ナレーター
 修平は2008年にプレイヤーオブザイヤーのトロフィーを獲得している。

Brian Kibler(註):
 修平は……僕が思いつく限りでもっともこの賞にふさわしいプレイヤーだね。彼の生涯プロポイント、400を超えてるんだろ? それって……なんていうか天文学的な数字だよね。
(註) Brian Kibler
 アメリカのトッププレイヤーで2010年に殿堂入りしたばかり。最近だと去年のグランプリ仙台で活躍を見せたキブラーバントというデッキ名で有名かもしれない。

ナレーター
 このマジックというゲーム史上、彼ほど長い旅程をいとわなかったプレイヤーはいなかっただろう。彼はどの週末にもトーナメントがある場所に姿を現していた。

Scott Larabee
 いいか、俺はもうほとんどグランプリに参加してない。だけど、グランプリに行く、ほら、修平がいた! ってなもんだよ(笑)
 そして思い出すんだ。
 あれ? 2週間前に地球の裏側で開催されてたプロツアーでも見かけたぞ? ってね。
(註) Scott Larabee
 ウィザーズ社所属。マジックの組織化マネージャーの1人。

Patrick Chapin(註):
 どのグランプリでも、BYEも持ってないのにグランプリ予選に参加してるんだ。
 彼はただただこのゲームが好きなんだ。とってもね。
(註) Patrick Chapin
 90年代からプレイしている古豪であり、2011年もプロツアーとグランプリでそれぞれ1回ずつベスト8している現役のトッププレイヤー。

ナレーター
 修平にとって、その目的を達成するために遠すぎるという場所は存在しない。

Mike Turian(註):
 ひょいっと、文字通り飛んでグランプリに参加して優勝して、それからまた2日かけて移動して、ほら次のグランプリだ。多分だけどセントルイスがどのあたりにあるか分かってないんじゃないかな。それでも次のグランプリで勝っちゃうんだ。
(註) Mike Turian
 ウィザーズ社所属。2008年に殿堂入り。チーム「Potato Nation」の一員。

Ron Foster
 彼はセントルイスと広島でのグランプリを立て続けに制した。どっちもコールドスナップのリミテッドだった。明らかにコールドスナップが得意だった彼を、日本人プレイヤーたちはスノーマスターって呼んでたよ。

ナレーター
 地球を行ったり来たりしながら修平は17のグランプリでトップ8入りし、そのうちの3つで優勝している。

Zak Hill(註):
 グランプリセントルイスの決勝で彼と戦ったとき……なんだろうね、まるで何をしてもその上を行かれてるみたいな感覚だった。
(註) Zak Hill
 中村修平が優勝したグランプリセントルイスで、決勝戦の相手だったプレイヤー。StarcitygamesのサイトでChatter of the Squirrelという記事を週刊で書いていたことがある。

ナレーター
 修平はまさにマジックを遊び、そして世界を見た。

Martin Juza(註):
 僕らは車を借りてフロリダ国立公園で観光したんだよね。んで道の真ん中にワニがいたんだ。修平がそれを見て「すごいなあ、ワニを見たの生まれて初めてだよ!」って言うんだ。
 そして「近づいてなでてみてもいいかな」とか言い出すんだよ!
 僕たちはもう「おまえ、ほんきか!?」ってなもんで、周りの人たちも「あいつ死ぬ気か!?」って走って逃げ出すし……僕は「いや、修平、やめたほうがいいよ」って言ったんだけど「大丈夫、大丈夫」ってなもんでさ。
 しょうがないから修平とワニの写真を撮って……まあ、あとは予定通り旅を続けたよ。
(註) Martin Juza
 チェコのプレイヤー。つい最近、グランプリ広島を制したばかりであり、なかしゅーさん担当の日本語公式サイトの週刊記事「なかしゅー世界一周」にもよく名前が出てくるプレイヤー。登場した記事を紹介してみる。

 なかしゅー世界一周2011・第9回:グランプリ・神戸
 http://mtg-jp.com/reading/variety/001483/

ナレーター
 殿堂入りの投票対象であるプレイヤーたちは見せた輝きが1年のみのプレイヤーも多い。しかし修平は今なお対戦相手にとっての脅威であり続けている。

Paulo Vitor Damo da Rosa(註):
 もし君が対戦相手のミスにつけこんで勝つタイプなら、修平相手には勝てないだろうね。
(註) Paulo Vitor Damo da Rosa
 ブラジルのプレイヤー。Luis Scott-Vergasと同じくChannel Fireball所属。2010年のプロツアーサンファンで初優勝している。


おまけ:Youtubeで「評価の高いコメント」

shinrenx(フィンランド)
 これなんだよ? このインタビューはゴミだね。ミュートでしかも吹き替えのせいで修平の声だけじゃなくてインタビューしている側の声まで聞こえないじゃん! 修平が何を聞かれてるのか、想像しろっての!? アメリカ人だって字幕くらいは読めるよ。少なくともその大半はね。

siuaiseo(カナダ)
 オリジナルの音源残せよ! どんだけアメリカ中心にすりゃ気が済むんだ! 日本プレイヤーたちは絶対に修平の声を聞きたがってるぜ……ひどい話だ。
<2011年11月19日 22:36 追記>
 このままだとあまりに「看板に偽りあり」な記事だということにあらためて気づいたので、消音部分のなかしゅーさん本人のインタビュー部分についても書き起こし&訳を追加。

 ただし読まれる方には、いくつか注意事項がある。

 実際に動画を観た方はご存知のとおり、インタビュアーの質問は動画に入っていないので以下の「インタビュアー」部分は全部憶測で書いてる。あと当然のように本当はご本人が日本語でコメントしているけれど、ここに書いてある日本語訳はあくまで「翻訳」に過ぎないということを忘れないで欲しい。

 なお英語部分に関しても耳で聞き取った範囲のものなので「ここが違う気がするよ」というツッコミは望むところ、というか大歓迎。どんどん指摘して下さい(聞きとりきれなかった箇所は ??? としてある)。

インタビュアー「受賞する自信はありましたか?」

 I was not necessary confident.
(自信はありませんでした)
 That’s may be not true.
(あったと言えば嘘になるでしょう)
 I thought it was either going to be one or the other things.
(今回受賞するか、もう二度と受賞の機会がないかの二択だと思ってました)
 I was either in or not.
(するか、しないか)
 I certainly hope I was going to get in.
(もちろん、受賞したいと思ってました)

インタビュアー「初めて参加したプロツアーについて教えてください」

 First what I atteneded was about ten years ago in San Diego.
(私が初めて参戦したのは10年くらい前のサンディエゴですね)
 And I remember I was pretty bad.
(ひどい成績だったことを覚えています)
 Ah it was off like still I remember how I lost my matches during that pro tour.
(あまりにもひどかったので、いまだにどうやって負けたか覚えているほどですよ)

インタビュアー「特に思い出に残っている大会を教えてください」

 Probably, Worlds 2005 in Japan.
(おそらく2005年に日本で開催された世界選手権ですね)
 And also the first pro tour I top 8ed in Columbus.
(それと初めてトップ8に入れたプロツアーコロンブスかな)

インタビュアー「受賞された今の気持ちについて教えてください」

 Well, ah, for one thing it is nice to know that even if I step back from the game for a while, I could come back any time I want.
(えーと、一番嬉しいのはこれからはマジックの第一線から多少しりぞく期間があったとしても、またすぐに戻ってきたいときに戻ってこられる、ということですね)
 Playing pro tour, playing Worlds... that’s a great thing.
(プロツアーや世界選手権に出たいときに出られるというのは素晴らしいことだと思います)
 Ah to be honest I have been worried about (???) earning my living, but its nice to have that safety net.
(正直なところ、???について不安はありました。そういう意味ではセーフティネットが用意されたということは嬉しいです)

1 2

 

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索